説明

パックを開封する装置

【課題】パック開封時において、先端部分の非接着部の密接状態を容易に分離し、非接着部を容易に把持し、手指の力に頼らず簡単な作業で開封し、内蔵物の付着や飛散を防止すること。
【解決手段】パックA110と内蔵物を入れたパックB120を接着して密閉し、かつ非接着部A111を持つパック100を、
軸230を支点に取手A212と取手B222を近接して、挟板A211と挟板B221で非接着部A111を挟み、引っ張ってパックA110とパックB120を離間し開封する。
また接触板214にパックA110を接触させて開封する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パックを開封する方法及び構造と、パックの非接着部を把持する方法及び構造と、持ちやすい構造と、開封時に内蔵物の付着や飛散を防止する方法及び構造と、他の器具と接続する構の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なパックの開封方法は以下の通りである。
パック先端部の密接した非接着部Aと非接着部Bを手指で分離する。
パックBを片手で保持する。
非接着部Aを他方の第1手指と第2手指で摘む。
非接着部Aを引っ張り、パックBからパックAを分離して開封する。
【0003】
この方法では、非接着部Aと非接着部Bが密接している場合、パックを開封するためには非接着部Aと非接着部Bを手指で分離する必要があった。
非接着部Aが小さい場合、非接着部Aを第1手指と第2手指で摘むことは困難であった。
非接着部Aを手指で引っ張るとき、手指の力が必要であった。特に接着部130の接着力が強力な場合、非接着部A摘む手指が滑り開封できないことがあった。
開封時に内蔵物が手指に付着、または飛散することがあった。
つまりパックを手指で開封する場合、非接着部Aの分離作業や把持作業が困難で、手指に力を要し、内蔵物の付着や飛散が起こる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
以下に特許文献による従来技術に関して述べる。
例えば特開2008−043522は、パックを圧迫しつつ回転し巻き取って開封する構造で、圧迫することでパックを挟む力を最小限にしている。
そのため、引っ張って開封することはできない。本発明は、梃子の原理を使用し、パックを圧迫することなく、小さな力でパックを引っ張って開封する開封具である。
また特開2004−175445は、一度開封したパックの開封口に取り付ける開封口用の密閉具で、再度開閉することを目的とし、初回を開封するための道具ではない。本発明は、未開封状態のパックを開封する開封具である。
更に特開2003−012034は、包装体にミシン目を入れて開封するもので、開封する道具ではない。
最後に特開平06−227527は、用紙パックにおいて、パック開封ローラーで包装シートのみ巻き取り、内部の用紙をパック開封ローラーで押えて残存させて開封する構造で、内蔵物が液体・ゼリー状の軟性体を残存させることはできない。本発明は、パックを離間し開封するもので、内蔵物に関わらず開封できる。
【0005】
以上よりパックを開封する方法及び構造として従来技術には問題点があり、パックを開封する道具としては不十分であることが分かる。
【特許文献1】特開2008−043522
【特許文献2】特開2004−175445
【特許文献3】特開2003−012034
【特許文献4】特開平06−227527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題及び目的を以下に示す。
非接着部Aと非接着部Bの密接状態を容易に分離すること。
非接着部Aを容易に把持すること。
手指より力の入れやすい方法で開封すること。
簡単な作業で開封すること。
内蔵物の付着や飛散を防止すること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、軸を支点として取手Aと取手Bを近接させて挟板Aに挟板Bを接合し、非接着部Aを挟んで引っ張ることで、パックAとパックBを離間させて開封する手段を有したものである。
また、パックAを接触板に接触させて開封する手段を有したものである。
【発明の効果】
【0008】
以下に本発明の効果を示す。
非接着部Aと非接着部Bの接着部を分離し、非接着部Aを容易に把持し、小さな力及び簡単な作業で開封し、内蔵物の付着や飛散を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パックの概略斜視図である。
【図2】開封具の概略斜視図である。
【図3】パックを引っ張って開封する方法を示した図である。
【図4】パックを接触させながら開封する方法を示した図である。
【図5】クランプ式開封具の概略斜視図である。
【図6】指先で取手を把持する開封具の概略斜視図である。
【図7】ガードを手指で把持する開封具の概略斜視図である。
【図8】器具に付属した開封具の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0011】
図1より開封可能なパック100は、パックA110と内蔵物を入れたパックB120を接着部130で接着して密閉し、パックA110に接着していない非接着部A111を持つ構造である。
【0012】
図2より本発明の開封具200は、挟みA210と、挟みB220と、軸230からなる。
挟みA210は、非接着部A111を挟む挟板A211と、手指で握る取手A212と、可動域を制限する止め具A213と、第1指以外の手指を保持し安定して開封具200を持つためまたはパックA110を接触させる接触板214と、非接着部A111と非接着部B121の分離及び非接着部A111を固定する固定具A215からなる。
挟みB220は、非接着部A111を挟む挟板B221と、手指で握る取手A222と、可動域を制限する止め具B223と、第1指を保持し安定して開封具200を持つためのガード224と、非接着部A111を固定する固定具B225からなる。
軸230は、挟みA210と挟みB220の支点である。
【0013】
図3よりパック100を引っ張って開封する方法を説明する。
第1指以外の手指で取手A212を把持し、第1指で取手B222を把持し、開封具200を手で持つ。
非接着部A111と非接着部B121が密接状態にある場合は、挟板A211で非接着部A111のエッジ部分を引っ掛けるまたは非接着部A111を擦り、非接着部B121から非接着部A111を分離する。
非接着部A111を挟板A211と挟板B221の間に挿入する。
取手A212と取手B222を握って近接し、挟板A211の内面に挟板B221の先端を接合して非接着部A111を挟む。この時、固定具A215と固定具B225が非接着部A111を圧迫し固定する。
開封具200を接着部130の面と平行方向に引っ張って移動し、パックA110とパックB120を離間し、パック100を開封する。
開封後は取手A212と取手B222を離間し、挟板A211と挟板B221の間に挿入した非接着部A111を取り除く。
【0014】
挟板A211と挟板B221を接合して非接着部A111を挟む構造は、挟板A211と挟板B221が対称構造または共に先端部分が接触する形状でも良いが、挟板B221より挟板A211を短くし、挟板A211の内面に挟板B221の先端が接合して非接着部A111を挟むことで非接着部A111を引っ張ることで、非接着部A111は板A211の内面と挟板B221の先端による固定力だけでなく、接合挟板B221の先端から挟板A211の先端まで接触及び挟板A211の先端での屈曲による摩擦力を生じ、非接着部A111の滑りを防止する。
【0015】
これより開封具200を使用しパックA110を引っ張って開封することで、非接着部A111と非接着部B121の密着状態を容易に分離し、握力または固定具A215と固定具B225の固定力及び摩擦力を利用して引っ張る作業で開封し、内蔵物の付着を防止する。
また開封時にパックA110を引っ張る力aとパックB120を保持する力bは互いに反対方向に作用するが、開封具200を持つ手が安定している、つまり力aの方向にブレが生じにくく安定しているため、内蔵物の飛散を抑制する。
【0016】
図4よりパック100を接触させながら開封する方法を説明する。
第1指以外の手指で取手A212を把持し、第1指で取手B222を把持し、開封具200を手で持つ。
非接着部A111と非接着部B121が密接状態にある場合は、挟板A211で非接着部A111のエッジ部分を引っ掛けるまたは非接着部A111を擦り、非接着部B121から非接着部A111を分離する。
非接着部A111を挟板A211と挟板B221の間に挿入する。
取手A212と取手B222を握って近接し、挟板A211の内面に挟板B221の先端を接合して非接着部A111を挟む。この時、固定具A215と固定具B225が非接着部A111を圧迫し固定する。
接触板214をパックA110に接触させながら開封具200を接着部130の面と平行方向に回転して引っ張って移動し、パックA110とパックB120を離間し、パック100を開封する。
開封後は取手A212と取手B222を離間し、挟板A211と挟板B221の間に挿入した非接着部A111を取り除く。
【0017】
これより開封具200を使用しパックA110を接触させながら開封することで、非接着部A111と非接着部B121の密着状態を容易に分離し、握力または固定具A215と固定具B225の固定力及び摩擦力を利用して回転と引っ張る作業で開封し、内蔵物の付着を防止する。
また開封時にパックA110を引っ張る力aとパックB120を保持する力bは互いに向き合う方向に作用するため、パック100は常に力が釣り合っている状態、つまり安定状態にあり、内蔵物の飛散を防止する。
【0018】
図5はクランプ式の開封具200である。
取手A212に取手B222を近接もしくは取手A212を動かすと、挟板A211と挟板B221は接合し、非接着部A111を間に挟んで固定する。接触板214をパックA110に接触させながら開封具200を接着部130の面と平行方向に回転して引っ張って移動し、パックA110とパックB120を離間し、パック100を開封する。
【0019】
図6は指先で取手A212と取手B222を把持する開封具200である。
この構造は小型化できる。軸230から挟板A211または挟板B221までの距離より、軸230から取手A212及び取手B222の把持する位置までの距離の方を長くでき、梃子の原理で取手を握る力を小さくできる。パック100の開封方法は図3または図4と同様である。
【0020】
図7は接触板214を手指で把持する開封具200である。
例えば第3から5手指を接触板214の中に挿入し、第2手指を接触板214の外に配置し、接触板214の一部を第2手指と第3手指で挟み、取手A212を把持する。
これより開封具200は傾けても落下せず、安定した状態で開封具200を把持できる。
また、挟板A211に固定具A215の穴を開け、挟板B221の先端に固定具B225のフックを設け、挟板A211と挟板B221の間に非接着部A111を挿入して挟板A211と挟板B221を接合し、固定具A215に固定具B225を引っ掛けて、非接着部A111を挟んで固定する。パック100の開封方法は図3または図4と同様である。
【0021】
図8は器具に付属した開封具200である。
器具をスプーンとした場合の使用例を説明する。
固定具A215と固定具B225の一体化した固定具を、軸230から挟板A211または挟板B221方向に移動して、取手A212と取手B222を近接し、挟板A211と挟板B221を接合して、非接着部A111を挟板A211と挟板B221の間に挟んで固定する。
固定具A215と固定具B225の一体化した固定具は使用せずに、取手A212と取手B222を握って近接しても良い。
また、挟板A211と挟板B221は、非接着部A111を間に挟んで固定するだけでなく、レモンなどを摘んでコップなどに入れることもできる。
器具をバターナイフとした場合もパック100の開封方法は同様である。
但しパック100が袋状のものの場合、挟板A211と挟板B221で袋を摘んで開封することもできる。
器具とはスプーン、フォーク、ナイフ、箸、棒、栓抜き、缶切り、皿、コップなどの食器類は勿論、装飾品、生活用具などで、複数の器具と接続した構造であっても良い。
【0022】
図9より器具に付属した開封具200で、パック100を接触させながら開封する方法を説明する。
非接着部A111を挟板A211と挟板B221の間に挿入する。
固定具A215と固定具B225の一体化した固定具を、挟板A211及び挟板B221方向に移動して、挟板B221の内面に挟板A211の先端を接合し、非接着部A111を挟んで固定する。
接触板214をパックA110に接触させながら開封具200を接着部130の面と平行方向に回転して引っ張って移動し、パックA110とパックB120を離間し、パック100を開封する。
開封後は固定具A215と固定具B225の一体化した固定具を、挟板A211及び挟板B221から軸230方向に移動して、挟板A211と挟板B221を離間し、挟板A211と挟板B221の間に挿入した非接着部A111を取り除く。
パック100を引っ張って開封する方法は図3と同様である。
また、固定具A215と固定具B225の一体化した固定具を使用せず、取手A212と取手B222を握って近接し、開封しても良い。
【0023】
以下に本発明の応用例を示す。
パック100は、単数だけでなく、複数一度に開封しても良い。
非接着部A111と非接着部B121は、分離状態は勿論、非接着部B121がないもの、非接着部A111と非接着部B121は接着しているがパックB120から非接着部B121が分離する構造であっても良い。
接触板214は、手指を保持及び保護し安定して開封具200を持つためのガードやホルダーとしても良い。
挟みA210と挟みB220は、左右非対称の形状は勿論、左右対称の同形状であっても良い。
挟板A211の内面に挟板B221の先端を接合する構造は勿論、挟板B221の内面に挟板A211の先端を接合させる構造であっても良い。
固定具A215と固定具B225は、ゴム、粘着材、吸盤などで滑りを防止するものは勿論、凹凸、フック、磁石などで固定する構造でも良い。
軸230は、ネジ式は勿論、バネ、フック、磁石、粘着、弾性体などでも良い。
【0024】
開封具200はパック100を開封するだけでなく、物を摘むこともできる。摘む物とは、非接着部A111及びパック100は勿論、レモンなどの食料品、バターやマーガリンを入れた袋など、挟んで摘むことのできる物全般を言う。
開封具200を2つ使用して両手にそれぞれ持ち、非接着部A111を一方の開封具200で把持し、非接着部B121を他方の開封具200で把持し、互いに反対方向に引っ張って開封しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明を、2つのパックを接着したパック100に適用した場合について述べたが、この発明はそれに限定されるものではなく、3つ以上のパックで構成したもの、袋や箱などの形状のものなど、摘むことまたは摘んで引っ張ることが可能なもの全般に利用できる。
【符号の説明】
【0026】
100・・・パック
110・・・パックA
111・・・非接着部A
120・・・パックB
121・・・非接着部B
130・・・接着部
200・・・開封具
210・・・挟みA
211・・・挟板A
212・・・取手A
213・・・止め具A
214・・・接触板
215・・・固定具A
220・・・挟みB
221・・・挟板B
222・・・取手B
223・・・止め具B
224・・・ガード
225・・・固定具B
230・・・軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋を形成するパックA110と、内蔵物を入れたパックB120とが、接着部130で接着され密閉されており、かつ接着されていない非接着部A111を有するパック100を開封するパック開封装置であって、
挟みA210と、挟みB220と、軸230からなり、
前記軸230を支点として、前記挟みA210の取手A212と、前記挟みB220の取手B222とを回転させることにより近接させて、前記挟みA210の挟板A211と、前記挟みB220の挟板B221とを接合して、前記非接着部A111を間に挟んで引っ張ることで、該パックA110と、該パックB120とを離間させて開封することを特徴とするパック開封装置。
【請求項2】
前記パックA110を、接触板214に接触させて開封することを特徴とする請求項1に記載のパック開封装置。
【請求項3】
食器類、もしくは、装飾品や生活用具などの器具と接続したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパック開封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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