説明

パッケージ搬送装置

【課題】複数品種のパッケージを、該パッケージの品種毎に設けられた搬出部に対し、品種毎に区別して搬出するパッケージ搬送装置において、品種情報の読取部が故障しても、パッケージが誤って他品種用の搬出部に移載されるのを確実に防止する。
【解決手段】コンベア1に沿って走行する各ハンガー2に、当該ハンガー2が保持するパッケージの品種情報をビット表示する品種表示部3を設ける。品種表示部3は、品種情報を表示するための品種情報ビットと、該品種情報ビットの誤りを検出するためのパリティビットとを備える。品種読取部4で読み取られた品種情報ビットおよびパリティビットに係るビットデータに対してパリティチェックを行い、パリティチェックを通過したビットデータに基づいてパッケージを移載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数品種のパッケージを、該パッケージの品種毎に設けられた搬出部に対し、品種毎に区別して搬出するためのパッケージ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパッケージ搬送装置は、例えば特許文献1に公知である。そこでのパッケージ搬送装置は、無端状のオーバヘッドコンベアと、該コンベアに沿って走行し1つのパッケージを保持できる複数のパッケージホルダと、該ホルダにパッケージを移載する荷揚げ機構と、該ホルダから搬出部にパッケージを移載する荷降し機構などで構成される。各パッケージホルダは、複数品種のパッケージのうち、予め決められた1品種のパッケージのみを保持するようになっており、また、そのパッケージの品種を表示するための品種表示部を備えている。品種表示部は、パッケージの品種と同数のピン配置部で構成されており、各パッケージホルダにおいて、パッケージaなら1番目、パッケージbなら2番目といった具合に、パッケージの品種毎に定められたいずれか1つのピン配置部のみにピンが配置される。
【0003】
ピンの配置により表示された品種情報は、品種読取部で読み取ることができる。品種読取部は、各ピン配置部に対応してパッケージホルダの走行経路上に配設された複数個の感知スイッチで構成されており、パッケージホルダが品種読取部を通過すると、いずれか1つの感知スイッチが当該パッケージホルダのピンを感知するようになっている。つまり、何番目の感知スイッチがピンを感知したかにより、そのパッケージホルダに保持されているパッケージの品種を判別できる。こうして品種を判別されたパッケージは、荷降し機構により、当該パッケージが搬出されるべき搬出部に対して正しく移載される。
【0004】
【特許文献1】実公昭55−51721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のパッケージ搬送装置では、パッケージの品種の数だけピン配置部や感知スイッチが必要であるため、品種数が多くなったときに、スペースを確保するのが困難になったり、製造コストが高くなるなどの不利がある。そこで本発明者等は、各ピン配置部を1ビット、品種表示部全体をnビットと解釈して(nはピン配置部の数)、品種表示部が最大で2のn乗個のパターンを表示できるようにすることを考えた。このビット表示法によれば、例えば2つのピン配置部を設けるだけでも、(0,0)(0,1)(1,0)(1,1)の4パターンの表示が可能である(“0”はピンを配置しない場合を示し、“1”はピンを配置する場合を示す。以下も同様とする)。勿論、必要な感知スイッチも2つである。ビット表示法によれば、既存のパッケージ搬送装置を、感知スイッチを追加すること無しに、それまでよりも多品種のパッケージの搬送に対応させることができる。
【0006】
このようにビット表示法は、ピン配置部や感知スイッチの数よりも多くの品種のパッケージの搬送に対応できる優れたものであるが、感知スイッチが故障してピンを読み取れなくなった場合に、従来の特許文献1では生じ得なかった不具合が発生するおそれがある。すなわち、特許文献1においては、感知スイッチが故障しても、パッケージの品種を判別できず、荷降し機構によるパッケージの搬出部への移載が行われないだけであるため、感知スイッチを修理するだけで工程を再開することができ、致命的な工程の遅れには至らない。しかしビット表示法では、一部の感知スイッチが故障すると、例えば(1,1)と認識すべきものが誤って(0,1)や(1,0)と認識される場合があり、このような誤認識が発生すると、パッケージが誤って他品種用の搬出部に移載されてしまう。混入した他品種のパッケージを取り除くのは多大な手間が掛かり、したがって、工程に致命的な遅れが生じてしまう。
【0007】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビット表示法を採用するパッケージ搬送装置において、品種読取部が故障しても、パッケージが誤って他品種用の搬出部に移載されるのを確実に防止して、工程を容易に再開できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るパッケージ搬送装置は、複数品種のパッケージを、該パッケージの品種毎に設けられた搬出部に対し、品種毎に区別して搬出するものであり、無端状のコンベアと、該コンベアに沿って走行し1つのパッケージを保持できる複数のパッケージホルダと、パッケージホルダにパッケージを移載する荷揚げ機構と、パッケージホルダから搬出部にパッケージを移載する荷降し機構と、パッケージホルダに保持されているパッケージの品種を判別する判別機構とを有する。判別機構は、パッケージホルダ毎に設けられて、当該パッケージホルダが保持するパッケージの品種情報をビット表示する品種表示部と、該品種表示部の品種情報を読み取り可能な品種読取部とを有し、判別機構からの出力に基づいて、パッケージが搬出部に移載されるようになっている。品種表示部は、パッケージの品種情報を表示するための品種情報ビットと、該品種情報ビットの誤りを検出するためのパリティビットとを備えており、品種読取部で読み取られた品種情報ビットおよびパリティビットに係るビットデータに対して、パリティチェックが行われることを特徴とする。
【0009】
具体的には、品種表示部は、パッケージホルダの表面に設けられた複数個の突起配置部で構成されており、突起配置部のうち1つがパリティビットに対応し、その残りが品種情報ビットに対応する。品種読取部は、各突起配置部に対応してパッケージホルダの走行経路上に配設された複数個のスイッチで構成されており、スイッチは、突起配置部に突起の存在を感知した場合にオンオフ状態が切り換わるように構成される。品種表示部の突起の有無で規定される、品種情報ビットおよびパリティビットに係るビットデータが、各スイッチのオンオフ信号として品種読取部に伝達される。
【0010】
nビットの情報量を有する品種情報ビットで表示可能な2のn乗個のパターンのうち、“1”の個数がある特定の奇数となるパターンと、“1”の個数がある特定の偶数となるパターンとのみを、パッケージの品種情報を表示するものとして使用し、各パターンの品種情報ビットに対してパリティビットが付与される形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、品種表示部が、パッケージの品種情報を表示するための品種情報ビットと、該品種情報ビットの誤りを検出するためのパリティビットとを備え、品種読取部で読み取られた品種情報ビットおよびパリティビットに係るビットデータに対してパリティチェックが行われるように構成した。そのため、品種読取部が故障して、品種表示部のビットデータのうち1個(奇数個)を誤認識したとしても、その誤認識はパリティチェックにより検出される。すなわち、誤認識を含むビットデータに基づいてパッケージが移載されることがなく、したがって、パッケージが誤って他品種用の搬出部に移載されるのを防止できる。
【0012】
具体的には、本発明に係るパッケージ搬送装置は、品種表示部を複数個の突起配置部で構成し、品種読取部を、各突起配置部に対応して配設した複数個のスイッチで構成する。すなわち、品種表示部および品種読取部のハード的な部分は、特許文献1などに示されている従来既存の搬送装置と同様に構成されている。したがって、本発明に係るパッケージ搬送装置は、従来既存の搬送装置のソフト的な部分を変更するだけで製造することができ、導入コストが極めて小さくて済む。
【0013】
パリティチェック方式には、奇数個の誤りを検出できても偶数個の誤りを検出できないという弱点がある。つまり、品種読取部が2個(偶数個)のビットを誤認識した場合は、パリティチェックでも誤認識を検出できない。この誤認識を含むビットデータに基づくと、パッケージが誤って他品種用の搬出部に移載されるおそれがある。そこで本発明では、nビットの情報量を有する品種情報ビットで表示可能な2のn乗個のパターンのうち、“1”の個数がある特定の奇数となるパターンと、“1”の個数がある特定の偶数となるパターンとのみを、パッケージの品種情報を表示するものとして使用した。この場合は、偶数個の“1”が“0”と誤認識されても、他のパターンに一致することがない。換言すれば、該当する移載先がない。したがって、パッケージが誤って他品種用の搬出部に移載されるのをより確実に防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態) 図1から図5に、本発明に係るパッケージ搬送装置(以下、単に搬送装置と記す)の第1実施形態を示す。この搬送装置は、図2に示すように、2機の自動ワインダユニット51・52で3品種ずつ製造される計6品種のパッケージを、該パッケージの品種毎に設けられた搬出部53〜58に対し、品種毎に区別して搬出することができる。具体的には、無端状のオーバヘッドコンベア(以下、単にコンベアと記す)1と、コンベア1に沿って走行する複数のハンガー(パッケージホルダ)2などを備えている。各自動ワインダユニット51・52とコンベア1との間には、製造されたパッケージをハンガー2に移載するリフター(荷揚げ機構)11・12がそれぞれ配設される。また、各搬出部53〜58とコンベア1との間には、パッケージをハンガー2から搬出部53〜58に移載するアンローダ(荷降し機構)13〜18がそれぞれ配設される。リフター11・12およびアンローダ13〜18は、図3に示すように、上下方向に伸びるレール19に沿って、自動ワインダユニット51・52あるいは搬出部53〜58とハンガー2との間を昇降移動して、パッケージの移載を行うことができる。
【0015】
ハンガー2は、図3に示すように、コンベア1に案内されるランナ20と、ランナ20に上端部が固定される吊軸21と、吊軸21の下端部に固定される水平な取付板22と、取付板22の下面に固定されるハンガー本体23とで構成される。ハンガー本体23は、一対の支持腕24・24で、図3に想像線で示すようにパッケージを保持することができる。各ハンガー2は、6品種のパッケージのうち、予め決められた1品種のパッケージのみを保持するようになっており、各ハンガー2の取付板22の上面には、当該ハンガー2が保持できるパッケージの品種を表示する品種表示部3が設けられている。
【0016】
品種表示部3の品種情報は、各リフター11・12および各アンローダ13〜18に対応してそれぞれ設けられた品種読取部4で読み取ることができ、この品種読取部4からの出力に基づいて、リフター11・12およびアンローダ13〜18がパッケージの移載を行う。具体的には、リフター11・12は、近付いて来たハンガー2が保持できる品種のパッケージが自動ワインダユニット51・52にストックされている場合には、それを保持して上昇し、当該ハンガー2にパッケージを移載する。アンローダ13〜18は、自身に対応する搬出部53〜58に搬出されるべき品種のパッケージを保持するハンガー2が近付いて来ると、上昇して当該ハンガー2からパッケージを受け取り、当該パッケージを搬出部53〜58に移載する。
【0017】
図1に示すように品種表示部3は、ハンガー2の進行方向に直交する方向に並べられた4箇所のブロック配置部(突起配置部)31〜34で構成される。各ブロック配置部31〜34は、ブロック(突起)35の有無によりビット表示を行うものであり(有る状態が“1”、無い状態が“0”)、品種表示部3は全体として4ビットの情報量を有する。図1に示す品種表示部3では、左から1番目、3番目および4番目のブロック配置部31・33・34にブロック35が配置されており、この品種表示部3は全体として(1,0,1,1)というビットデータを表示している。
【0018】
図1に示すように品種読取部4は、各ブロック配置部31〜34に対応してハンガー2の走行経路上に配設された配設された4つの近接スイッチ(スイッチ)41〜44で構成される。各近接スイッチ41〜44は、レバー45とセンサ46とが対になって構成される。図4に示すようにレバー45は、側面視で略L字状を呈し、その屈折部分が、取付板10を介してコンベア1に固定された水平な揺動軸47により、揺動可能に支持されている。センサ46は、ブラケット48および取付板10を介して、コンベア1に固定されている。レバー45の一端側には被感知部49が設けられており、この被感知部49がセンサ46に対して一定距離まで近付くと、近接スイッチ41〜44はオン状態になる。
【0019】
レバー45は、被感知部49がセンサ46から離れる方向に、図示しないスプリングなどの付勢手段により付勢されているため、各近接スイッチ41〜44は通常オフ状態である。しかし、走行するハンガー2が品種読取部4に至ると、図4に示すように、ブロック35により他端側を押し上げられたレバー45が上方に揺動し、被感知部49がセンサ46に近接する。図1においては、左から1番目、3番目および4番目の近接スイッチ41・43・44がオン状態になっており、オン状態を“1”、オフ状態と“0”とすると、この品種読取部4は全体として(1,0,1,1)というビットデータを認識していると言える。つまり、品種表示部3のブロック配置部31〜34にブロック35の有無により表示された(1,0,1,1)というビットデータが、品種読取部4に伝達されている。
【0020】
本実施形態では、品種表示部3の4ビットの情報量のうち、3ビットを品種情報ビットとして使用し、残る1ビットを、該品種情報ビットの誤りを検出するためのパリティビットとして使用した。図5は、パッケージの品種a〜fと、当該品種a〜fのパッケージを保持するハンガー2の品種表示部3との関係を示したものである。図5においてビットp〜sは、ブロック配置部31〜34にそれぞれ対応しており、(PA)はビットpがパリティビットであることを示している。残りの3つのビットq〜sは品種情報ビットである。また“データ”とは、ビットqを2の2乗の位、ビットrを2の位、ビットsを1の位とする3桁の2進数を、8進数に変換して表示したものであり、パッケージの品種a〜fに対して一意に定まる。
【0021】
3ビットの品種情報ビットq〜sによると、図5に示すように(0,0,0)から(1,1,1)まで最大8パターンの表示が可能であるが、(0,0,0)および(1,1,1)は使用せず、残る6パターンを、6品種のパッケージにそれぞれ対応させた。(0,0,0)を使用しなかったのは、ブロック35を有しないハンガー2が品種読取部4に至ったことを品種読取部4に認知させるための手段が別途必要になり、他のパターンに比べて使い難いためである。(1,1,1)を使用しなかった理由については後述する。
【0022】
本実施形態では奇数パリティ方式を採用しており、品種情報ビットq〜sのうち“1”となるものが奇数個であればパリティビットpは“0”となり、“1”となるものが偶数個であればパリティビットpは“1”となる。
【0023】
自動ワインダユニット51・52からハンガー2へのパッケージの荷揚げの流れを、図1に示すハンガー2がリフター11・12に至った場合を例に挙げて説明する。図1のハンガー2は、6品種a〜fのうち品種cに係るパッケージを保持するものであり、品種表示部3には(1,0,1,1)というビットデータが表示されている。品種cは、ハンガー2の走行方向上流側の自動ワインダユニット51のみで製造されているとする。
【0024】
品種c用のハンガー2が、自動ワインダユニット51に対応するリフター11に近付くと、リフター11に対応する品種読取部4の近接スイッチ41・43・44がオン状態となり、当該品種読取部4は(1,0,1,1)というビットデータを認識する。認識されたビットデータは、リフター11の制御回路に送信されて、そこでまずパリティチェックが行われる。このビットデータにおける“1”は3個すなわち奇数個であり、したがって、近接スイッチ41〜44は正常に動作しており、品種表示部3のビットデータが誤りなく品種読取部4に伝達されていると判断できる。こうしてビットデータがパリティチェックを通過すると、当該ビットデータの品種情報ビットに基づいて、パッケージの荷揚げが行われる。ここでの品種情報ビットは(0,1,1)であり、近付いて来たハンガー2が品種c用のものであることが分かるので(図5参照)、制御回路は、品種cのパッケージが自動ワインダユニット51にストックされている場合に、リフター11に当該パッケージの荷揚げを行わせる。なお、もう一方のリフター12に対応する自動ワインダユニット52では、品種cのパッケージは製造されていないので、リフター12の制御回路は、近付いて来たハンガー2が品種c用のものである場合は、リフター12を駆動させない。
【0025】
ここで、リフター11に対応する品種読取部4において、図5のビットrすなわちブロック配置部33に対応する近接スイッチ43のセンサ46が故障していた場合について考察する。故障したセンサ46は、レバー45の被感知部49が近接してもそれを感知できず、近接スイッチ43はオン状態にならない。したがって、品種表示部3のビットデータ(1,0,1,1)は、(1,0,0,1)という誤った形で品種読取部4に伝達される。このビットデータの品種情報ビット(0,0,1)を鵜呑みにすれば、品種c用のハンガー2に対し、品種情報ビット(0,0,1)に対応するパッケージ、すなわち品種aのパッケージが誤って荷揚げされてしまう(図5参照)。
【0026】
しかし本実施形態では、ビットデータのパリティチェックを行うので、このビットデータ(1,0,0,1)が誤りであることを検出できる。すなわち、ビットデータにおける“1”は奇数個でなければならないところ、このビットデータ(1,0,0,1)における“1”は2個すなわち偶数個である。そのため、いずれか1個(奇数個)の近接スイッチ41〜44が故障し、品種表示部3のビットデータが誤った形で品種読取部4に伝達されていると判断できる。このように、ビットデータが誤っていると分かった場合には、リフター11・12は無条件で駆動しないので、パッケージが誤って他品種用のハンガー2に荷揚げされることはない。
【0027】
次に、ハンガー2から搬出部53〜58へのパッケージの荷降しの流れを、先と同様のハンガー2、すなわち品種c用のハンガー2が搬出部53〜58に至った場合を例に挙げて説明する。品種cのパッケージは、ハンガー2の走行方向上流側から3番目の搬出部55に搬出されるべきものとする。
【0028】
品種c用のハンガー2が、搬出部55に対応するアンローダ15に近付くと、アンローダ15に対応する品種読取部4の近接スイッチ41・43・44がオン状態となり、当該品種読取部4は(1,0,1,1)というビットデータを認識する。認識されたビットデータは、アンローダ15の制御回路に送信されて、そこでまずパリティチェックが行われる。パリティチェックの具体的内容は先と同様である。ビットデータがパリティチェックを通過すると、当該ビットデータの品種情報ビットに基づいて、パッケージの荷降しが行われる。ここでの品種情報ビットは(0,1,1)であり、これにより、近付いて来たハンガー2が品種c用のものであることが分かるので、制御回路は、当該ハンガー2が保持するパッケージをアンローダ15に受け取らせる。なお、その他5つの搬出部に対応するアンローダの制御回路は、近付いて来たハンガー2が品種c用のものである場合は、当該アンローダを駆動させない。
【0029】
ここで、ハンガー2の走行方向最上流側のアンローダ13に対応する品種読取部4において、図5のビットrすなわちブロック配置部33に対応する近接スイッチ43が故障していた場合について考察する。この場合は、品種表示部3のビットデータ(1,0,1,1)が、(1,0,0,1)という誤った形で当該品種読取部4に伝達される。このアンローダ13に対応する搬出部53は、品種情報ビット(0,0,1)に対応するパッケージ、すなわち品種aのパッケージが搬出されるべきところである。そのため、誤ったビットデータ(1,0,0,1)の品種情報ビット(0,0,1)を鵜呑みにすれば、品種a用の搬出部53に対し、品種cのパッケージが誤って荷降しされてしまう。しかし本実施形態では、ビットデータのパリティチェックを行うので、ビットデータ(1,0,0,1)が誤りであることを検出できる。そして、ビットデータが誤っていると分かった場合には、アンローダ13〜18は無条件で駆動しないので、パッケージが誤って他品種用の搬出部53〜58に荷降しされることはない。
【0030】
ところで、パリティチェック方式には、奇数個の誤りを検出できても偶数個の誤りを検出できないという弱点がある。つまり、4つの近接スイッチ41〜44のうち2つが故障して、正しくは“1”と認識されるべき2つのビットが誤って“0”と認識されても、そのビットデータが誤りであることは検出できない。この誤認識を含むビットデータに基づくと、パッケージが誤って他品種用のハンガー2や搬出部53〜58に移載されるおそれがある。
【0031】
そこで本実施形態では、3ビットの品種情報ビットで表示可能な8パターンのうち“1”が1つのパターン(0,0,1)(0,1,0)(1,0,0)と、“1”が2つのパターン(0,1,1)(1,0,1)(1,1,0)とのみを、パッケージの各品種a〜fに割り当てるようにした。(1,1,1)は、2つの“1”が“0”と誤認識された場合に“1”が1つのパターンのいずれかに一致してしまうので、使用しない。また、“1”が2つのパターンは、2つの“1”が“0”と誤認識された場合に(0,0,0)となってしまうことから、(0,0,0)は使用しない。このように、“1”の個数がある特定の奇数o(ここではo=1)となるパターンと、“1”の個数がある特定の偶数e(ここではe=2)となるパターンとのみを使用すれば、偶数個の“1”が“0”と誤認識されても、他のパターンに一致してしまうことがない。換言すれば、該当する移載先がない。したがって、パッケージが誤って他品種用のハンガー2や搬出部53〜58に移載されるのをより確実に防止できるようになる。
【0032】
奇数oと偶数eは、ビットデータのパターン数が多くなるように選択することが望ましい。これにより、多品種のパッケージの搬送に対応することができる。本実施形態では、品種情報ビットは3ビットであることから、奇数oの選択肢には1と3があり、偶数eの選択肢には0と2がある。ここで各選択肢におけるパターン数を比較すると、品種情報ビット3ビットのうち“1”が1つまたは2つとなるビットデータのパターン数は3、“1”が0つまたは3つとなるビットデータのパターン数は1である。そのため本実施形態では、奇数o=1、偶数e=2としている。一般的には、ビットデータのパターン数が最大となる奇数oおよび偶数eは、nが奇数の場合は、一方が(n−1)/2、他方が(n+1)/2となる。nが偶数の場合については後述する。
【0033】
以上のように本実施形態では、4つのブロック配置部31〜34および近接スイッチ41〜44を用いるだけで、6品種のパッケージを正しいハンガー2や搬出部53〜58に対して確実に移載できる。つまり、誤移載を確実に防止しながらも、4品種のパッケージしか搬送できない特許文献1に比べて多くの品種のパッケージを搬送することができる。
【0034】
(第2実施形態) 図6に、品種表示部3の異なる実施形態を示す。ここでの品種表示部3は、全体として5ビットの情報量を有しており、そのうち4つのビットq〜tが品種情報ビット、残る1つのビットpがパリティビットになっている。“データ”の欄には、ビットqを2の3乗の位、ビットrを2の2乗の位、ビットsを2の位、ビットtを1の位とする4桁の2進数を、16進数に変換して表示している。奇数パリティ方式を採用する点は、先の第1実施形態と同様である。
【0035】
本実施形態では、4ビットの品種情報ビットで表示可能な16パターンのうち“1”が1つのパターン(データ「1」「2」「4」「8」)と、“1”が2つのパターン(データ「3」「5」「6」「9」「A」「C」)とのみを、パッケージの10品種a〜jに割り当てるようにした。“1”が3つのパターン(データ「7」「B」「D」「E」)は、2つの“1”が“0”と誤認識された場合に“1”が1つのパターンのいずれかに一致してしまうので、使用しない。“1”が4つのパターン(データ「F」)も、2つの“1”が“0”と誤認識された場合に“1”が2つのパターンのいずれかに一致してしまうので、使用しない。また、“1”が2つのパターンは、2つの“1”が“0”と誤認識された場合に、“1”が1つもないパターン(データ「0」)と一致してしまうことから、データ「0」は使用しない。一般的には、ビットデータのパターン数が最大となる奇数oおよび偶数eは、nが偶数の場合は、一方がn/2、他方がn/2−1もしくはn/2+1となる。
【0036】
上記各実施形態においては、各ハンガー2が保持できるパッケージの品種が予め決められており、各ハンガー2の品種表示部3に、固有情報としてのビットデータが付与されていたが、これに代えて、各ハンガー2が任意のパッケージを保持できるようにして、パッケージの荷揚げの際に、品種表示部3にビットデータが付与されるようにすることができる。この品種表示部3の具体例としては、例えば特開平6−1538号公報に記載されているような着磁領域を挙げることができる。荷揚げの際に突起を起立させるような形態であってもよい。
【0037】
また、上記各実施形態ではパリティビットを1つとしたが、2以上のパリティビットを設けることもできる。例えば、第1実施形態(図5)において、ビットq・r用のパリティビットp1と、ビットr・s用のパリティビットp2と、ビットs・q用のパリティビットp3とを設けることができる。この場合は、品種c用のハンガー2の品種表示部3のビットデータは(0,1,0,0,1,1)となる(左から順にp1,p2,p3,q,r,s)。
【0038】
ここで、ビットrに誤りが発生して、品種読取部4が(0,1,0,0,0,1)という誤ったビットデータを認識した場合について考察する。パリティチェックは、C1(p1,q,r)、C2(p2,r,s)、C3(p3,s,q)の3つの組み合わせについてそれぞれ行われる。ここでは、C1およびC2で“1”が偶数個となっており、C1とC2の両方に含まれるビットrが誤りであると特定できる。したがって、特定された誤りビットを訂正して、正しいビットデータ(0,1,0,0,1,1)に基づいてパッケージを移載することができる。
【0039】
その他、リフター11・12およびアンローダ13〜18は、荷揚げ機構および荷降し機構の1つの形態であり、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば荷降し機構は、ハンガー2を押し広げてパッケージの落下を促すようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパッケージ搬送装置の品種表示部および品種読取部を示す図である。
【図2】パッケージ搬送装置の全体構成図である。
【図3】ハンガーとその周辺部を示す図である。
【図4】品種読取部の近接スイッチの構成を説明する図である。
【図5】パッケージの品種と品種表示部のビットデータとの関係を示す図である。
【図6】第2実施形態において、パッケージの品種と品種表示部のビットデータとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 コンベア(オーバヘッドコンベア)
2 パッケージホルダ(ハンガー)
3 品種表示部
4 品種読取部
11・12 荷揚げ機構(リフター)
13〜18 荷降し機構(アンローダ)
31〜34 突起配置部(ブロック配置部)
35 突起(ブロック)
41〜44 スイッチ(近接スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数品種のパッケージを、該パッケージの品種毎に設けられた搬出部に対し、品種毎に区別して搬出するためのパッケージ搬送装置であって、
無端状のコンベアと、該コンベアに沿って走行し1つのパッケージを保持できる複数のパッケージホルダと、前記パッケージホルダにパッケージを移載する荷揚げ機構と、前記パッケージホルダから前記搬出部にパッケージを移載する荷降し機構と、前記パッケージホルダに保持されているパッケージの品種を判別する判別機構とを有し、
前記判別機構は、前記パッケージホルダ毎に設けられて、当該パッケージホルダが保持するパッケージの品種情報をビット表示する品種表示部と、該品種表示部の品種情報を読み取り可能な品種読取部とを有し、該判別機構からの出力に基づいて、パッケージが前記搬出部に移載されるようになっており、
前記品種表示部は、パッケージの品種情報を表示するための品種情報ビットと、該品種情報ビットの誤りを検出するためのパリティビットとを備えており、
前記品種読取部で読み取られた前記品種情報ビットおよび前記パリティビットに係るビットデータに対して、パリティチェックが行われるように構成されていることを特徴とするパッケージ搬送装置。
【請求項2】
前記品種表示部は、前記パッケージホルダの表面に設けられた複数個の突起配置部で構成されており、前記突起配置部のうち1つが前記パリティビットに対応し、その残りが前記品種情報ビットに対応しており、
前記品種読取部は、前記各突起配置部に対応して前記パッケージホルダの走行経路上に配設された複数個のスイッチで構成されており、前記スイッチは、前記突起配置部に突起の存在を感知した場合にオンオフ状態が切り換わるように構成されており、
前記品種表示部の突起の有無で規定される、前記品種情報ビットおよび前記パリティビットに係るビットデータが、前記各スイッチのオンオフ信号として前記品種読取部に伝達される請求項1記載のパッケージ搬送装置。
【請求項3】
nビットの情報量を有する前記品種情報ビットで表示可能な2のn乗個のパターンのうち、“1”の個数がある特定の奇数となるパターンと、“1”の個数がある特定の偶数となるパターンとのみを、パッケージの品種情報を表示するものとして使用し、
前記各パターンの品種情報ビットに対して前記パリティビットが付与されている請求項1または2記載のパッケージ搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−64840(P2010−64840A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232130(P2008−232130)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】