説明

パッケージ要素を印刷するための装置及び方法

分離したパッケージ要素(11)を印刷するための装置は、複数の運搬セグメント(15)を含むコンベヤ(10)を含み、分離したパッケージ要素(11)がストック(21)に保持される。少なくとも1つの分離したパッケージ要素(11)をストック(21)から1つの運搬セグメント(15)上に運ぶためにフィーダ(20)が備わり、各分離したパッケージ要素(11)が運搬セグメント(15)に結合された保持要素を介して、対応する運搬セグメント(15)上にしっかりと保持される。少なくとも1つの駆動部(26)がコンベヤ(10)を動かすためにコンベヤ(10)と連結されている。印刷モジュール(40)は、分離したパッケージ要素(11)上の、運搬セグメント(15)の方に向いている面と反対の側面(12,13)を印刷するために、運搬セグメント(15)の上方に備わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ要素、特に分離した(isolated)パッケージ要素、より具体的には、予め折り畳まれた(pre−folded)箱又はカートンを印刷するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術より、情報、宣伝、商標、内容物に関するデータ等が付いたパッケージを作成するための装置が知られている。このような装置には、例えば、紙、厚紙、金属又はプラスチック等の、パッケージ材料のエンドレスシートを装填したフィーダが備わっており、パッケージ材料の表面を覆うために、この材料のシートが印刷モジュール下で押すか引くかされる。その後、生成されるべきパッケージ要素が打ち抜かれ、折り畳まれ、一緒に付着又は接着され、内容物が詰められる。
【0003】
このような装置は、より小さいバッチ又はシリーズのパッケージ要素の作成には対応できないという欠点がある。これは、異なるパッケージを提供しなければならないときに、装置の極めて多くの部品を装置内において状況に合わせて変えられなければならないという事実による。このことは、パッケージ材料のシートの幅、打ち抜きカートンを作成するためのパンチダイ、折り畳み箱やカートンを作成するための折り畳み機構のガイドに関係する。
【発明の開示】
【0004】
従って、本発明の目的は、小バッチのパッケージ要素の作成に容易に対応できる、装置及び方法を提供することである。
【0005】
前記目的は、請求項1の特徴を有する装置によって達成することができる。
【0006】
このようなパッケージ材料を作成する好ましい方法は、必要な色及び情報をパッケージ要素に印刷するために、例えばインクジェット又はフレキソプリンタを用いる。このような分離したパッケージ材料を印刷するために、四色プリントモジュールを使用することは複雑である。従って、好ましい実施形態によれば、コンベヤは通常ベルト又はセグメントを具備する歯車係合により駆動される。しかしながら、この運搬機構は、非精密領域と呼ばれる、平行な運搬手段の一部にしか使用されない。精密領域と呼ばれる残りの領域内、印刷モジュールの近く、高さチェックモジュールの下方や隣接した領域では、より厳密な方法がとられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明による装置の様々なステーション(station)の概略図を示す。装置の中央部分はコンベヤ10で、従来の駆動部26によって両端で駆動される。好ましくは、このコンベヤ10は複数の運搬セグメント15を含み、2つの隣り合うセグメント15は、チェーン要素15で互いに結合されている。図2には、印刷モジュールの隣りにあるいくつかの運搬セグメント15を示し、一つを図4に示す。
【0008】
パッケージ要素11のストック21から、フィーダ20を用いて、初めに、前記運搬セグメント15上にパッケージ要素11が載る。各運搬セグメント15は、要素11を正確に配置するために、クランプ等の保持要素を1つ以上有する。好ましくは、運搬セグメント15は、要素を正確に配置するために、前方迫台面を有する。しかしながら、異なる搭載手段を選ぶこともできる。要素11は分離したパッケージ要素であり、示された実施形態においてこれらは予め折り畳まれたカートン11であり、本発明の装置を通り抜ける通路内で印刷される上面12と側面13を有する。従って、これらの予め折り畳まれたカートンは、大部分で2層の厚紙からなる。駆動部26間の中央領域内部には、精密な運搬領域が存在し、この概略を図2に図示する。この精密な領域は、高さチェックステーション30と印刷モジュールステーション40を含む。高さチェックステーション30は、好ましくは、平らに保持されていないカートンを検知するためのセンサー、例えば光センサーを有する。このようなパッケージ要素11はコンベヤ10の流れから押し出される。なぜなら、図2と合わせて見るとわかるように、カートン11と印字ヘッド41の間の距離が非常に小さく、厚紙と印字ヘッド41との間のいかなる物理的接触も印字ヘッドを損傷する可能性があるからである。このことは、インクジェットの印字ヘッド41が使用される場合は、特に当てはまる。
【0009】
吹き付けられたインクを硬化乾燥させるために、印刷モジュール40の下流にUV乾燥ステーション50が備わっている。
【0010】
最終的に、折り畳まれた箱又はカートン11は、装置の外側にある箱60に押し出される。その後、ストック21を、箱の始めに印刷された内容物60を逆さまにして置き換えてもよく、あるいは平行な2レーンシステムを備えてもよい。この2レーンシステムでは、半分だけ印字された要素11が、裏返され、運搬サークルを通って、印刷モジュール40をもう一度通る。両方の選択肢において、印刷モジュール40は、装置を通り抜ける、パッケージ材料の2回目の通行内に、必要な情報を、面の外側23と他の側面22に印字する。
【0011】
図2に、印刷モジュール15下での運搬セグメント15の中間部分の概略側面図を示す。折り畳まれた箱11が印刷モジュール40に入る前及び上流において、高さチェックモジュール30(図2には示さず)を用いて、パッケージ材料11の配置をチェックする。既にこの領域には、搭載台18上にパッケージ材料11を押すためのホイール43が備わっている。図3及び4と合わせて見るとわかるように、これらの搭載台18は、垂直方向に動くことができる。従って、取り付け位置18はカートン11を、一連の関連のローラー又はホイール43に接するように印字ヘッド41の方へ押し上げる。これらのローラー43は、インクジェットの印字ヘッド41と媒体、すなわちパッケージ材料の間を参照して噴射距離を設定する。これにより、カートンの種類、サイズ及び厚みに変化があっても、調整が必要なくなる。というのも、最も上のカートン層、すなわち表面12,13からの距離が、ローラー43により決められるからである。図示された実施形態の範囲においては、常に、少なくとも2つのローラー43がカートン11と接触状態にあり、搭載台18への安定した固定を与えている。ローラー43はすべて一列に取り付けられている。しかしながら、他の実施形態においては、ローラー43間の距離を変えて、ローラー43を異なる複数の列にして備えることもできる。
【0012】
印字ヘッド41は、折り畳まれた箱材料11から短い垂直距離45、例えば、通常1〜2ミリメートルで配置される。印字ヘッド41はそれぞれ、ヘッドマウント42に固定されている。ヘッドマウント42は複数のベアリングを支持し、その内側にローラー又はホイール対43がある。確実に、各印字ヘッド41の底部と印刷されるべきパッケージ要素11との間の距離がほぼ一定(つまり垂直距離45)になるようにするため、一対のホイール43が、すべての印字ヘッド41の前と後ろに取り付けられていることが好ましい。点線でかいた要素44は、さらなる一連の印字ヘッドを示し、最初に述べた印字ヘッド41の間に横方向に設けて、より広い印刷領域を提供してもよい。
【0013】
図2からわかるように、運搬セグメント15の一部として、複数の搭載台18があり、すべての搭載台18は互いに平行で、搭載台18がパッケージ要素11を支える。搭載台18は互いに接することができる。下にある運搬セグメント15は線形ガイド19上を滑っている。
【0014】
各運搬セグメント15は係合構造27を有し、ウォーム17に係合している。ウォーム17の長手方向軸は、運搬セグメント15の移動方向14に向いており、ウォーム17は、最初の印字ヘッド41の前の所定の距離から、最後の印字ヘッド41又は44の後ろの短い距離までの間に設けられる。この距離は、精密な運搬領域と呼ばれる。従って、運搬セグメント15は、印刷モジュール40の範囲内において、ウォーム17を介して駆動部16のみにより駆動され、運搬セグメント15と上述のコンベヤ駆動部26の間には、力の係合関係はない。ウォーム駆動部分はまた、高さチェックモジュール30を含むことが好ましい。
【0015】
図3は、運搬装置の概略側面図を示す。運搬セグメント15は線形ガイド19上を滑るように搭載される。ウォーム17に直接係合している係合手段27に終わるプロフィール(profile)28を介した連結がある。プロフィール28は硬く、図2の矢印14で示した方向に沿って、平行に配置された運搬セグメント15の滑らかな移動を確実にする。各運搬セグメント15は、片側を運搬セグメント15に、反対側をプロフィール部材31に固定した、二つの平行な板バネ29を介して、搭載台18と連結されている。板バネ29を介したプロフィール部材31と運搬セグメント15の間の連結により生じる平行四辺形によって、搭載台18は、柔軟に二重矢印32に沿って垂直移動できる。これにより、確実に、ガイドホイール43の圧力がパッケージ要素11に適切に伝えられ、パッケージ要素11の最上面と各印字ヘッド41又は44の下面との間の垂直距離45が保たれる。パッケージ要素11を動かしているのは、パッケージ要素11と搭載台18との間の摩擦ではなく、各パッケージ要素11は、移動要素18上に具備された固定クランプ又は迫台面等を介してしっかりと支えられている。
【0016】
通常、各色に1つの印字ヘッド44が備えられるが、付加的に一連の第2の印字ヘッド44を位置をずらして具備することもでき、図3のより広いパッケージ要素11に必要な、より広い印刷領域が可能となる。多色印刷を検討する場合には、通常印字ヘッド44は、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックを印刷する。
【0017】
既存の第1のグループの印字ヘッド41に平行に、第2のグループの印字ヘッド41を具備することもでき、1つの搭載台で平行して二つのパッケージ要素11の印刷が可能となる。
【0018】
また、運搬セグメント15の他の側に、もう1つのプロフィールバー(profile bar)28を具備することもできる。このプロフィールバーは、運搬セグメント15の他の側に第1のウォーム17に平行に取り付けられた付加的な係合手段27によって第2のウォーム17に係合している。
【0019】
図4は、線形ガイド19上に備えた、運搬セグメント15の斜視図を示す。上側の板バネ29はリーフ(leaf)で、下側の板バネ29は一対の平行なスプリングウェブ(spring web)である。プロフィールバー28は、半円筒状の部材27に対する基部を形成し、この部材はプロフィールバー28に取り付けられており、駆動ウォーム17に対する補足的なネジ構造を有する。搭載台18は、様々な平らな部材の構造をとることができ、パッケージ要素11用の正面迫台面やクランプ用搭載台(図示せず)を設けることが可能で、搭載台18上に前記パッケージ要素11を保持する。クランプは、保持されるカートン、箱、又はパッケージ材料11に応じて選択できる。
【0020】
参照番号25は、運搬セグメント15のU字側面の両側にあるチェーンリンク(chain link)を指し、二つの隣り合う運搬セグメント15を連結する。図1に見られるような連続バンドを形成している運搬セグメント15はすべての間に、このような連結があるけれども、印刷モジュールの領域において、駆動部26からコンベヤ10を経た力の伝達は存在しない。これは、最良の印刷結果を得るために必要な、パッケージ材料11が完全に連続して前進することを確実にするために重要である。各セグメントが工作機械中でこのように個別に駆動され配置される部分は、精密な運搬部分と呼ばれ、印字ヘッドの近く及び下に位置されている。前記精密な領域の外側(図2に示さず)では、セグメント15は、セグメントベルトの標準的な使用と同様に、互いに引っ張られ、1つ又は2つのベルト駆動部26により駆動される。
【0021】
パッケージ要素は様々な材料から成ることが可能である。折り畳みを解除するだけで平行六面体が生じる、予め折り畳まれ接着された箱又はカートンは、パッケージ材料11の1つの選択であり、同じ印刷レーンかあるいは平行なレーン(同じレーンか平行なレーンかは再フィーダ機構による)により、パッケージ材料11が二度装置を通ってガイドされる場合、すべての外面に個別に印刷できる。印刷される表面は、アルミニウム、ラミネート紙、プラスチック材料、PET又はポリプロピレン等の様々な材料が可能で、適切なインク又は印字ヘッドが当業者により選択される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による、装置の様々なステーションとモジュールの概略図を示す。
【図2】印刷モジュール下での、運搬セグメントの中央部分の概略側面図を示す。
【図3】本発明による装置の1つの運搬セグメントの概略正面図を示す。
【図4】本発明による装置を用いて使用するための、1つの運搬セグメントの斜視図を示す。
【符号の説明】
【0023】
10 コンベヤ
11 分離したパッケージ要素
12 カートンの上面
13 カートンの側面
14 コンベヤ移動の方向
15 運搬セグメント
16 駆動部
17 ウォーム
18 搭載台
19 線形ガイド
20 フィーダ
21 ストック
22 箱の上面
23 箱の側面
26 駆動部
27 係合手段
28 プロフィール
29 板バネ
30 高さチェックモジュール
31 プロフィール
32 二重矢印
40 印刷モジュール
41 印字ヘッド
42 印字ヘッド取り付け
43 ホイール
44 印字ヘッド
45 短い垂直距離
50 UV乾燥モジュール
60 箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離したパッケージ要素(11)を印刷するための装置であって、
複数の運搬セグメント(15)を含むコンベヤ(10)と、
分離したパッケージ要素(11)を有するストック(21)と、
少なくとも1つの分離したパッケージ要素(11)を、ストック(21)から1つの運搬セグメント(15)上に運ぶためのフィーダ(20)と、
コンベヤ(10)を動かすためにコンベヤ(10)と連結された少なくとも1つの駆動部(26)と、
分離したパッケージ要素(11)の、運搬セグメント(15)の方に向いている面と反対側(12,13)を印刷するために、運搬セグメント(15)の上方に設けられた印刷モジュール(40)とを含み、
各分離したパッケージ要素(11)は、運搬セグメント(15)に結合された保持要素を介して、対応する運搬セグメント(15)にしっかりと保持されている装置。
【請求項2】
印刷モジュール(40)は、パッケージ要素(11)に多色印刷を行うために、四つの印字ヘッド(41,44)を一列に含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1つの駆動部(26)が、コンベヤ(10)の各端部に備わっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
コンベヤ(10)の端部に備わった前記1つ又は2つの駆動部(26)が、精密な動作部分の外側で運搬セグメント(15)の移動を支持し、少なくとも1つの付加的な駆動部(16)がウォーム(17)を駆動し、ウォーム(17)は、前記精密な動作部分、特に印刷モジュール(40)の範囲内で各運搬セグメント(15)と直接係合していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記印字ヘッド(41,44)とパッケージ要素(11)の最上面との間の垂直なガイド距離(45)を決めるために、印字ヘッド(41,44)の近くに、印字ヘッド(41,44)の底面より下に所定の距離延びている複数のローラー(43)が備わっていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
各運搬セグメント(15)は、ガイドされたパッケージ要素(11)をローラー(43)に対して下から押すために、対応する運搬セグメント(15)に柔軟に連結された少なくとも1つの搭載台(18)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
搭載台(18)は、バネの平行四辺形(29)を介して対応する運搬セグメント(15)と連結されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
分離したパッケージ要素(11)を印刷するための方法であって、
分離したパッケージ要素(11)のストック(21)を設けるステップと、
少なくとも1つの分離したパッケージ要素(11)を、ストック(21)からフィーダ(20)を用いてコンベヤ(10)の1つの運搬セグメント(15)上に運ぶステップと、
各分離したパッケージ要素(11)を、対応する運搬セグメント(15)上に、前記運搬セグメント(15)に結合された保持要素を介して保持するステップと、
少なくとも1つの駆動部(26)を用いて運搬セグメント(15)を駆動するステップと、
運搬セグメント(15)の上方に設けられた印刷モジュール(40)を用いて、運搬セグメント(15)の方に向いている面と反対の、分離したパッケージ要素(11)の上面を印刷するステップを含む方法。
【請求項9】
前記駆動部(26)が所定の精密な動作部分の外側でコンベヤ(10)を駆動し、それにより、隣り合う運搬セグメント(15)が互いに連結され、運搬セグメント(15)が所定の精密な動作部分の内部で、ウォーム(17)を有するネジ部分(27)の直接的な係合を介して駆動される請求項8に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−536724(P2008−536724A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507090(P2008−507090)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061744
【国際公開番号】WO2006/111576
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(503070096)グラクソ グループ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】