説明

パティキュレート燃焼触媒

【課題】耐熱性が優れており、低温でススを酸化除去することができ、酸素のみでも酸化反応が進むので排ガス中のNOx 濃度に関わらず低温でススを酸化除去することができるパティキュレート燃焼触媒を提供する。
【解決手段】担体に担持された触媒成分がAg85〜20at%と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属15〜80at%との合金からなるパティキュレート燃焼触媒、その製造方法、該パティキュレート燃焼触媒がコーティングされているパティキュレートフィルター、その製造方法、及び該パティキュレート燃焼触媒がコーティングされたパティキュレートフィルターを備えている排ガス浄化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパティキュレート燃焼触媒、その製造方法、パティキュレートフィルター、その製造方法及び排ガス浄化装置に関し、より詳しくはディーゼル内燃機関から排出されるパティキュレートを酸化除去し得るパティキュレート燃焼触媒、その製造方法、該パティキュレート燃焼触媒がコーティングされているパティキュレートフィルター、及び該パティキュレート燃焼触媒がコーティングされたパティキュレートフィルターを備えている排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガスは窒素酸化物(NOx )やパティキュレート(粒子状物質)を含んでおり、これらの物質がそのまま大気中に放出されると大気汚染の主要な原因になる。それで、これらの物質の大幅な規制が求められている。パティキュレートを取り除くための有効な手段として、SOF(Soluble Organic Fraction)(可溶性有機成分)を燃焼させるためのフロースルー型酸化触媒やススを捕集するためのディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)を用いたディーゼル排ガス装置トラップシステムがある。しかし、このDPFでは捕集したパティキュレートを連続的に酸化除去してDPFを再生する必要がある。
【0003】
これまでに提案されてきた連続再生システムとしては、担体、例えば、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化セリウム等の無機酸化物からなる担体にPtなどの高価な貴金属を担持させた触媒(例えば、特許文献1、2及び3参照)を用いるシステムや、NO2 による連続再生方法(例えば、特許文献4参照)等がある。この連続再生方法ではDPFの前段にNOを酸化してNO2 とするためのPt等の酸化触媒を取り付ける必要があり、コストがかかる。また、このNO2 による反応ではNOx とCとの比率も問題とされ、使用条件に制約が多い。
【0004】
また、高価な貴金属を使用することなしで低温でススを酸化除去することができ、酸素のみでも酸化反応が進むので排ガス中のNOx 濃度に関わらず低温でススを酸化除去することができるパティキュレート燃焼触媒として、セリウム酸化物の量が5〜50質量%であるセリウム−ジルコニウム複合酸化物からなる担体と、該担体に担持されたAg及びRuの少なくとも一種類の金属又は該金属の酸化物からなる第一触媒とで構成されているパティキュレート燃焼触媒が提案されている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−047035号公報
【特許文献2】特開2003−334443号公報
【特許文献3】特開2004−058013号公報
【特許文献4】特許第3012249号公報
【特許文献5】特許第4144898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特許文献5に記載のパティキュレート燃焼触媒よりも耐熱性が優れており、低温でススを酸化除去することができ、酸素のみでも酸化反応が進むので排ガス中のNOx 濃度に関わらず低温でススを酸化除去することができるパティキュレート燃焼触媒、その製造方法、該パティキュレート燃焼触媒がコーティングされているパティキュレートフィルター、その製造方法、及び該パティキュレート燃焼触媒がコーティングされたパティキュレートフィルターを備えている排ガス浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、パティキュレート燃焼触媒の触媒成分としてAgと、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属との合金を用いることにより上記の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明のパティキュレート燃焼触媒は、担体に担持された触媒成分がAg85〜20at%と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属15〜80at%との合金からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のパティキュレート燃焼触媒の製造方法は、Agイオンを含有する水溶液と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属のイオンを含有する水溶液とを混合し、その混合水溶液に触媒の担体となる粉末を投入して攪拌し、得られたスラリーを蒸発乾固、乾燥処理した後、空気中700〜1000℃で、〔50−0.047×温度(℃)〕時間以上焼成することを特徴とする。
【0010】
更に、本発明のパティキュレートフィルターは、上記のパティキュレート燃焼触媒がコーティングされていることを特徴とし、また、本発明の排ガス浄化装置は、上記のパティキュレート燃焼触媒がコーティングされたパティキュレートフィルターを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明のパティキュレートフィルターの製造方法は、担体をバインダー成分及び水と共に混合し、粉砕し、得られたスラリーを基材フィルターにコートし、焼成し、形成されたウオッシュコート層に、触媒成分としてAgイオンを含有する水溶液と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属のイオンを含有する水溶液との混合水溶液を含浸させ、乾燥処理した後、空気中700〜1000℃で、〔50−0.047×温度(℃)〕時間以上焼成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のパティキュレート燃焼触媒は耐熱性に優れており、低温でススを酸化除去することができ、酸素のみでも酸化反応が進むので排ガス中のNOx 濃度に関わらず低温でススを酸化除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】Pd含有量の変化したパティキュレート燃焼触媒の燃焼開始温度(Tig)を示すグラフである。
【図2】Pd含有量、熱処理温度の変化したパティキュレート燃焼触媒のXRDのピークシフト量の変化を示すグラフである。
【図3】ピーク位置の変化(シフト量)の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のパティキュレート燃焼触媒においては、燃焼開始温度を低下させるために、触媒成分としてAgと、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属との合金、好ましくはAgと、Pd及び/又はPtとの合金を用いる。しかし、合金中のPd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属の含有量が20at%未満である場合や85at%を超える場合には燃焼開始温度の低下効果が充分でないので、触媒成分としてAg85〜20at%、好ましくは80〜30at%と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属15〜80at%、好ましくは20〜70at%との合金を用いる。また、コスト低減のために高価な貴金属の使用量を少なくする観点から、Ag80〜65at%、貴金属20〜35at%とすることが望ましい。なお、貴金属としてPdを用いた場合には低温でパティキュレートを燃焼させる効果が最も発揮される。
【0015】
本発明のパティキュレート燃焼触媒においては、触媒成分としての合金を担体100質量部に対して好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは0.5〜15質量部(質量%)の量で用いる。担体に対する合金の量が0.5質量%よりも少ない場合には、触媒として効果が充分には発揮されず、また、30質量%を超える場合には、担持された合金の単位質量当りの触媒活性が低下する傾向がある。なお、本発明のパティキュレート燃焼触媒は上記の合金に加えて、Ag、Pt、Pd又はAuの単体からなる触媒を併用することもできる。
【0016】
本発明のパティキュレート燃焼触媒においては、触媒成分としてAgを用いているパティキュレート燃焼触媒で担体として一般的に用いられているいかなる担体も使用することができる。しかし、担体からの酸素の移動速度が速く、パティキュレートを効率的に燃焼させ得る担体を用いることが好ましく、そのような担体として、例えば、CeO2−ZrO2系やZrO2系を挙げることができ、CeO2−ZrO2系を用いることが好ましい。
【0017】
本発明のパティキュレート燃焼触媒において、CeO2−ZrO2系担体を用いる場合には、この複合酸化物中のCeO2の量が5〜50質量%であることが好ましい。CeO2の量が50質量%を超える場合には、高温時に、例えば700℃以上の温度で担体の比表面積が低下して最終的に触媒の熱劣化を引き起こすことがある。また、CeO2の量が5質量%未満の場合には、最終的に触媒の熱劣化をまねくことがある。
【0018】
本発明のパティキュレート燃焼触媒においては、担体がNd、La、Fe、Y、Pr、Ba、Ca、Mg、Sn及びSrの少なくとも一種類の金属の酸化物を含むCeO2−ZrO2系複合酸化物からなることが好ましい。これらの金属の酸化物を含むことによりCeO2−ZrO2系複合酸化物からなる担体の熱安定性の向上が達成され、低温での酸化特性の向上が達成される。これらの効果が達成されるためには、Nd、La、Fe、Y、Pr、Ba、Ca、Mg、Sn及びSrの少なくとも一種類の金属の酸化物の量が1質量%以上である必要がある。しかし、これらの金属酸化物の量が35質量%を超えると、それに応じてCeO2及びZrO2の相対量が低下し、CeO2−ZrO2系複合酸化物からなる担体の特性が低下する傾向がある。従って、Nd、La、Fe、Y、Pr、Ba、Ca、Mg、Sn及びSrの少なくとも一種類の金属の酸化物の量(二種以上の金属の酸化物を用いる場合にはその合計量)が1〜35質量%であり、CeO2の量が5〜50質量%であるCeO2−ZrO2系複合酸化物からなる担体を用いることが好ましい。
【0019】
本発明のパティキュレート燃焼触媒の製造方法は、Agイオンを含有する水溶液、例えば硝酸銀水溶液と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属のイオンを含有する水溶液、例えば硝酸パラジウム水溶液、ジニトロジアンミンPt硝酸溶液又は塩化金水溶液とを、Ag85〜20at%に対してPd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属15〜80at%となる量比で混合し、その混合水溶液に上記したような担体の粉末を、担体100質量部に対して触媒成分の金属の合計量が0.5〜30質量部となる量比で投入して攪拌し、得られたスラリーを蒸発乾固させ、例えば120℃で乾燥処理し、その後空気中700〜1000℃、好ましくは800〜950℃で、〔50−0.047×温度(℃)〕時間以上焼成することによりAgとPd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属との合金化を確実に行うことができる。なお、焼成時間については、〔50−0.047×温度(℃)〕時間以上の条件を満足した上で10〜30時間であることが好ましく、15〜25時間であることが一層好ましい。本発明において焼成時間を「〔50−0.047×温度(℃)〕時間以上」で規定している根拠は多数の実験に基づくものである。
【0020】
触媒成分として上記の合金を用いた本発明のパティキュレート燃焼触媒は、そのXRDのピーク位置が触媒成分としてAgのみを用いたパティキュレート燃焼触媒のXRDのピーク位置と比較して0.45度以上シフトしていることが好ましい。このパティキュレート燃焼触媒のXRDのピークシフト〔Ag(111)ピーク位置のシフト〕量は合金の固溶化度、合金化度に対応するものであり、後記の説明からも明らかなように合金組成及び熱処理温度(焼成温度)によって変化する。
【0021】
基材上に本発明のパティキュレート燃焼触媒を保持させて本発明のパティキュレートフィルターを製造することを考慮すると、担体の表面にバインダー成分としてSiO2 、TiO2 、ZrO2 又はAl23 などを付与することが好ましい。担体の表面にバインダー成分を付与することにより基材と担体との密着性が向上して触媒の耐久性が向上し、耐熱性が向上する。
【0022】
本発明のパティキュレートフィルターはパティキュレートフィルターとして公知のいかなる形状であっても良いが、三次元立体構造を有するものが好ましい。三次元立体構造を有するフィルターの具体例として、ウォールスルー型、フロースルーハニカム型、ワイヤメッシュ型、セラミックファイバー型、金属多孔体型、粒子充填型、フォーム型等を挙げることができる。また、基材の材質としてコージェライト、SiCなどのセラミックやFe−Cr−Al合金やステンレス合金などを挙げることができる。
【0023】
本発明の排ガス浄化装置は上記の本発明のパティキュレートフィルターを組み込んだものであり、その構造については当業者には容易に理解できるものである。
【0024】
次に、本発明のパティキュレートフィルターの製造方法について説明する。
担体としてのセリウム−ジルコニウム複合酸化物をSiO2 、アルミナゾルなどのバインダー成分及び水と共に混合したあと、ボールミルなどの粉砕装置で細かく粉砕する。このようにして得られたスラリーをワイヤメッシュフィルターなどの基材フィルターにコートする。一般的には、これを500℃から700℃くらいの温度で焼成する。形成されたウオッシュコート層に、触媒成分として例えば硝酸銀水溶液と硝酸パラジウム水溶液との混合水溶液を含浸させ、その後、乾燥及び焼成を行う。焼成の条件は上記のパティキュレート燃焼触媒の製造方法で記載した条件と同じである。触媒の総コート量としては、ウォールフロータイプのDPFの場合には10〜100g/L、ワイヤメッシュの場合には50〜150g/Lくらいが好ましい。触媒の総コート量が少なすぎると充分な性能を得ることができない。また、多すぎると排ガスに対する背圧が高くなってしまう。
【実施例】
【0025】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、各実施例及び比較例において、担体である複合酸化物を構成する各酸化物の後の括弧内の数値は複合酸化物全体に対する各酸化物の質量%を示すものである。
【0026】
実施例1〜5、比較例1〜4
担体の質量に対して金属元素換算で5質量%となる、硝酸銀水溶液(比較例1)、硝酸銀水溶液と硝酸パラジウム水溶液とのAg原子:Pd原子=95:5の混合溶液(比較例2)、硝酸銀水溶液と硝酸パラジウム水溶液とのAg原子:Pd原子=90:10の混合溶液(比較例3)、硝酸銀水溶液と硝酸パラジウム水溶液とのAg原子:Pd原子=80:20の混合溶液(実施例1)、硝酸銀水溶液と硝酸パラジウム水溶液とのAg原子:Pd原子=70:30の混合溶液(実施例2)、硝酸銀水溶液と硝酸パラジウム水溶液とのAg原子:Pd原子=50:50の混合溶液(実施例3)、硝酸銀水溶液と硝酸パラジウム水溶液とのAg原子:Pd原子=30:70の混合溶液(実施例4)、硝酸パラジウム水溶液(比較例4)、又は硝酸銀水溶液とジニトロジアンミンPt硝酸溶液とのAg原子:Pt原子=80:20の混合溶液(実施例5)にそれぞれ水30gを加え、攪拌して水溶液とした。得られた各々の水溶液にCeO2(21)+ZrO2(72)+La23(2)+Nd23(5)からなる複合酸化物の粉末5.0gを投入し、30分間攪拌した。得られた各々のスラリーを蒸発乾固させた後、120℃で3時間乾燥した。その後、空気中800℃で20時間焼成した。得られた各々のパティキュレート燃焼触媒の触媒金属担持量は担体の質量基準で5質量%であった。
【0027】
<Pd含有量の変化したパティキュレート燃焼触媒の燃焼開始温度の評価>
実施例1〜4及び比較例1〜4で得た各々のパティキュレート燃焼触媒粉末について下記の方法で燃焼開始温度(Tig)を測定した。
【0028】
実施例1〜4及び比較例1〜4で得た各々のパティキュレート燃焼触媒粉末の何れか1種20mgとカーボン2mg(デグサ社製、Printex−V、トナーカーボン)とをメノウ乳鉢で15秒間混合し、この混合物を石英反応管の中央部に石英ウールを使って固定した。下記組成の流通ガスを下記の流量で流しながら電気炉によってその石英反応管の温度を下記の昇温速度で昇温させながら出口側でのCO及びCO2 の濃度を赤外線型分析計で測定した。このCO2とCOとの合計濃度が30ppmになった時の触媒入り口側の温度(電気炉制御温度)を燃焼開始温度とした。各々のパティキュレート燃焼触媒粉末について測定された燃焼開始温度は図1に示す通りであった。
ガス組成:O2:10%、N2:残余
流量:400cc/min
昇温速度:10℃/min
【0029】
図1に示すグラフに基づいて判断されるように、触媒成分としてAg85〜20at%と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属15〜80at%との合金を用いることが好ましく、Ag80〜30at%と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属20〜70at%との合金を用いることがより好ましい。
【0030】
<熱処理温度の変化したパティキュレート燃焼触媒の燃焼開始温度の評価>
焼成温度を800℃、900℃又は1000℃とした以外は実施例1、比較例1又は実施例5と同様にして得た各々のパティキュレート燃焼触媒粉末について上記の方法で燃焼開始温度(Tig)を測定した。各々のパティキュレート燃焼触媒粉末について測定された燃焼開始温度は第1表に示す通りであった。
【0031】
【表1】

【0032】
第1表に示すデータに基づいて判断されるように、触媒成分としてAg単独で用いるよりもAg80at%とPd20at%との合金、Ag80at%とPt20at%との合金を用いることにより耐熱性が改善されていることは明らかである。
【0033】
<Pd含有量、熱処理温度の変化したパティキュレート燃焼触媒のXRDのピークシフト量の測定>
Pd含有量が5at%、10at%又は20at%で熱処理温度が800℃である場合のパティキュレート燃焼触媒、Pd含有量が20at%で熱処理温度が900℃である場合のパティキュレート燃焼触媒、及びPd含有量が20at%で熱処理温度が1000℃である場合のパティキュレート燃焼触媒についてXRDのピークシフト〔Ag(111)ピーク位置のシフト〕量(固溶化度、合金化度)の変化を求めた。各々のパティキュレート燃焼触媒粉末について測定されたピーク位置のシフト量は図2に示す通りであった。なお、ピーク位置の変化(シフト量)の状態は図3に示す通りである。なお、触媒成分として上記の合金を用いた場合のXRDのピーク位置が、触媒成分としてAgのみを用いた場合のXRDのピーク位置よりも0.45度以上シフトする程度に合金化させることが好ましい。
【0034】
図2に示すグラフに基づいて判断されるように、Pd含有量の増加につれてピーク位置のシフト量は大きくなり、また、熱処理温度が上がることでピーク位置のシフト量は大きくなり、固溶化、合金化が促進されることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体に担持された触媒成分がAg85〜20at%と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属15〜80at%との合金からなることを特徴とするパティキュレート燃焼触媒。
【請求項2】
触媒成分がAg80〜30at%と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属20〜70at%との合金からなる請求項1記載のパティキュレート燃焼触媒。
【請求項3】
触媒成分がAgと、Pt及びPdからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属との合金からなる請求項1又は2記載のパティキュレート燃焼触媒。
【請求項4】
触媒成分として上記の合金を用いたパティキュレート燃焼触媒のXRDのピーク位置が、触媒成分としてAgのみを用いたパティキュレート燃焼触媒のXRDのピーク位置と比較して0.45度以上シフトしている請求項1、2又は3記載のパティキュレート燃焼触媒。
【請求項5】
担体がCeO2−ZrO2系である請求項1、2、3又は4記載のパティキュレート燃焼触媒。
【請求項6】
Agイオンを含有する水溶液と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属のイオンを含有する水溶液とを混合し、その混合水溶液に触媒の担体となる粉末を投入して攪拌し、得られたスラリーを蒸発乾固、乾燥処理した後、空気中700〜1000℃で、〔50−0.047×温度(℃)〕時間以上焼成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパティキュレート燃焼触媒の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパティキュレート燃焼触媒がコーティングされていることを特徴とするパティキュレートフィルター。
【請求項8】
担体をバインダー成分及び水と共に混合し、粉砕し、得られたスラリーを基材フィルターにコートし、焼成し、形成されたウオッシュコート層に、触媒成分としてAgイオンを含有する水溶液と、Pd、Pt及びAuからなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属のイオンを含有する水溶液との混合水溶液を含浸させ、乾燥処理した後、空気中700〜1000℃で、〔50−0.047×温度(℃)〕時間以上焼成することを特徴とする請求項7記載のパティキュレートフィルターの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパティキュレート燃焼触媒がコーティングされたパティキュレートフィルターを備えていることを特徴とする排ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−11195(P2011−11195A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160197(P2009−160197)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】