説明

パネルラジエータユニット及びその設置構造

【課題】間仕切りパネル状に設置することができるパネルラジエータユニットと、その設置構造を提供する。
【解決手段】床1と天井2との間に鉛直に設置される枠状のフレーム4と、フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、下部に設置された下部ヘッダー6と、ヘッダー5,6の間に架設された放熱管7と、フレーム4の上下に設けられたアジャスタ8と、放熱管7が挿通されたスルーパネル20とを備えてなり、アジャスタ8を突出させて突っ張り状に固定設置されるパネルラジエータユニット。フレーム4の上下にそれぞれヘッダー5,6を隠蔽するカバー16,17が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルラジエータユニット及びその設置構造に係り、特に壁暖房用のパネルラジエータユニットとその設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
壁暖房用のパネルラジエータとして、パネルラジエータユニットをL字形の固定金具によって壁に直に取り付けるものが、特開2002−162050号公報に記載されている。同号公報のパネルラジエータは、1対の縦主管の間に多数の副管を水平に架け渡した構造のものである。上記のL字形の固定金具は縦主管に取り付けられており、固定金具はネジによって壁に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−162050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2002−162050号公報のパネルラジエータは、壁取り付け専用のものであり、パネルラジエータ自体を間仕切りパネル状に設置することはできない。
【0005】
本発明は、間仕切りパネル状に設置することができるパネルラジエータユニットと、その設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1)のパネルラジエータユニットは、上下方向に設置される枠状のフレームと、該フレームの上部に設置された上部ヘッダーと、該フレームの下部に設置された下部ヘッダーと、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された複数の放熱管と、該フレームの上部から上方に突設されるか又は下部から下方に突設されたアジャスタとを備えてなるものである。
【0007】
請求項2のパネルラジエータユニットは、請求項1において、前記フレームの上部に前記上部ヘッダーを隠蔽するための上部カバーが設けられ、フレームの下部に前記下部ヘッダーを隠蔽するための下部カバーが設けられており、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間には、放熱管が挿通されたスルーパネルが設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3のパネルラジエータユニットは、請求項2において、該スルーパネルは半透明であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明(請求項4)のパネルラジエータユニットの設置構造は、請求項1ないし3のいずれか1項のパネルラジエータユニットを天井と床との間に立設したパネルラジエータユニットの設置構造であって、前記アジャスタをフレームから突出させることにより、パネルラジエータユニットを突っ張らせた状態で天井及び床に固定したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5のパネルラジエータユニットの設置構造は、請求項4において、床下を引き回された温水配管がフレーム下方の床面の開口を通って前記下部ヘッダーに接続されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパネルラジエータユニットは、枠状のフレームと、該フレームの上部及び下部にそれぞれ設けられた上部ヘッダー及び下部ヘッダーと、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された放熱管と、該フレームに設けられたアジャスタとを備えているので、このアジャスタを突出させてパネルラジエータユニットを天井と床との間に突っ張り状に固定設置することができる。
【0012】
このパネルラジエータユニットは、壁に沿った位置だけでなく、壁から離隔した位置に間仕切り状に設置することもできる。パネルラジエータユニットを間仕切り状に設置した場合には、パネルラジエータユニットの両側の部屋を暖房することができる。
【0013】
フレームに上部カバー、下部カバー及びスルーパネルを設けることにより美観が向上する。
【0014】
また、このスルーパネルを半透明とすることにより、放熱管から輻射される遠赤外線の透過率が高くなり、暖房効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カバーを装着した状態のパネルラジエータユニット及びその設置構造を示す斜視図である。
【図2】カバーを取り外した状態におけるパネルラジエータユニット及びその設置構造を示す斜視図である。
【図3】パネルラジエータユニットの上部の構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図4】(a)図はパネルラジエータユニットの図1におけるIV−IV線に沿う箇所の断面図、(b)図はスルーパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、第1図〜第4図を参照して実施の形態について説明する。
【0017】
第1図の通り、床1と天井2との間にパネルラジエータユニット3が立設されている。このパネルラジエータユニット3は、第2図及び第3図に示される通り、長方形枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、フレーム4の下部に設置された下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された放熱管7と、フレーム4の上部及び下部から突設されたアジャスタ8と、放熱管7が挿通されたスルーパネル20等を備えている。
【0018】
フレーム4は、好ましくはアルミ等の軽金属の押出材よりなるものであり、1対の縦アングル4a,4aと、該縦アングル4a,4aの上端同士の間に架設された上部アングル4bと、縦アングル4a,4aの下端同士の間に架設された下部アングル4cとを有している。なお、上部アングル4bを省略し、上部ヘッダー5を縦アングル4a,4aの上端同士の間に架設し、上部ヘッダー5縦アングル4a,4aの上端同士を連結してもよい。
【0019】
図示は省略するが、縦アングル4a,4aの上端及び下端にナットが固着されている。前記アジャスタ8は、該ナットに螺合し、上下方向に螺進可能とされている。アジャスタ8は、長尺のボルトよりなるものであり、回転させることにより、フレーム4からの突出長さが調整される。
【0020】
上部アングル4bの下面側に上部ヘッダー5が取付金具(図示略)によって取り付けられている。放熱管7は、この実施の形態ではポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂チューブよりなる。各放熱管7は、スルーパネル20の挿通孔23に挿通され、各々の上端及び下端がそれぞれ継手(図示略)によって上部ヘッダー5及び下部ヘッダー6に接続されている。
【0021】
スルーパネル20は、ポリカーボネート等の半透明な合成樹脂よりなる。このスルーパネル20は、第4図(b)の通り、平行な1対の主板面21,21と、該主板面21,21同士を接続するリブ部22とを有したハーモニカ形断面形状となっており、隣接するリブ部22同士の間が放熱管7の挿通孔23となっている。リブ部22は主板面21と垂直である。このスルーパネル20の左右の両側縁は、縦アングル4a,4aの内向き面(対向面)に設けられた溝(図示略)に係合することにより、フレーム4に保持されているが、ビス留め等によって保持されてもよい。挿通孔23は、縦アングル4aと平行方向に延在する。
【0022】
下部ヘッダー6は、引張コイルバネ10を介して下部アングル4cに連結されている。下部ヘッダー6は、下部アングル4cよりも所定距離上方に位置しており、下部ヘッダー6と下部アングル4cとの間に所定の間隙があいているので、温水を放熱管7に通水して放熱管7が熱膨張により伸長したときの伸びが吸収される。下部ヘッダー6には、床1の開口11及び下部アングル4cの開口(符号略)を通過した温水循環配管12,13の一端が接続されている。この配管12,13はポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂よりなり、その他端はボイラや分岐ヘッダー(図示略)に接続されている。
【0023】
パネルラジエータユニット3を床1と天井2との間に間仕切り状に立設するには、ヘッダー5,6、放熱管7、スルーパネル20、アジャスタ8及びコイルバネ10を備えたフレーム4を部屋のパネルラジエータユニット設置予定位置にて起立させる。なお、下側のアジャスタ8と床1との間、及び上側のアジャスタ8と天井2との間には、ゴム、合成樹脂等よりなる固定座9又はパッキンを介在させるのが好ましい。次いで、パネルラジエータユニット3が鉛直となるように支えた状態で、アジャスタ8を回して突出させ、パネルラジエータユニット3を床1と天井2との間で突っ張らせて固定する。
【0024】
次いで、温水循環配管12,13を下部ヘッダー6に接続する。その後、フレーム4の上部にカバー16を取り付け、フレーム4の下部にカバー17を取り付け、各ヘッダー5,6を隠蔽する。これらのカバー16,17は例えばビス留めによりフレーム4に固定される。
【0025】
このように構成されたパネルラジエータユニット3及びその設置構造にあっては、部屋の所望箇所に間仕切り状のパネルラジエータユニットを容易に鉛直状に立設することができる。
【0026】
このパネルラジエータユニット3にあっては、ヘッダー5,6がカバー16,17で隠蔽され、また、放熱管7が半透明のスルーパネル20で覆われるので、美観に優れる。
【0027】
このパネルラジエータユニット3の放熱管7に温水を循環通水することにより、熱がパネルラジエータユニット3の両面から輻射される。スルーパネル20が半透明であるので、放熱管7からの遠赤外線が効率よく部屋内に放射される。温水を通水することにより、放熱管7が熱膨張して伸長し、また温水通水を停止すると、放熱管7が縮んで短くなるが、この放熱管7の伸縮はバネ10によって吸収される。
【0028】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。
【0029】
例えば、温水循環配管は床下ではなく天井裏に引き回されてもよい。また、放熱管7の本数は図示以外でもよい。下部ヘッダー6と下部アングル4cとをバネ10で連結する代りに、上部ヘッダー5をバネで上部アングル4bに連結してもよい。縦アングル4aは円筒形であってもよい。
【0030】
本発明のパネルラジエータユニットは壁に沿って立設されてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 床
2 天井
3 パネルラジエータユニット
4 フレーム
5 上部ヘッダー
6 下部ヘッダー
7 放熱管
8 アジャスタ
20 スルーパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に設置される枠状のフレームと、
該フレームの上部に設置された上部ヘッダーと、
該フレームの下部に設置された下部ヘッダーと、
該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された複数の放熱管と、
該フレームの上部から上方に突設されるか又は下部から下方に突設されたアジャスタと
を備えてなるパネルラジエータユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記フレームの上部に前記上部ヘッダーを隠蔽するための上部カバーが設けられ、フレームの下部に前記下部ヘッダーを隠蔽するための下部カバーが設けられており、
該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間には、放熱管が挿通されたスルーパネルが設けられていることを特徴とするパネルラジエータユニット。
【請求項3】
請求項2において、該スルーパネルは半透明であることを特徴とするパネルラジエータユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項のパネルラジエータユニットを天井と床との間に立設したパネルラジエータユニットの設置構造であって、
前記アジャスタをフレームから突出させることにより、パネルラジエータユニットを突っ張らせた状態で天井及び床に固定したことを特徴とするパネルラジエータユニットの設置構造。
【請求項5】
請求項4において、床下を引き回された温水配管がフレーム下方の床面の開口を通って前記下部ヘッダーに接続されていることを特徴とするパネルラジエータユニットの設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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