パネル体
【課題】部品点数を少なくでき軽量で、製造コストが安価なパネル体を提供する。
【解決手段】外鋼板3及び内鋼板5は、各々上見込面3a、5a、下見込面3b、5b、右縦見込面3c、5c及び左縦見込面3d、5dを有し、外鋼板3及び内鋼板5のうちの一方の鋼板5の上下及び少なくとも左右の一方の見込面5a、5b、5cには、絞り加工した凹条15が見込面の長手方向に形成してあり、他方の鋼板3の対向する見込面3a、3b、3cには、対向する一方の鋼板の見込面5a、5b、5cに向けて突設すると共に曲げ加工した凸条19が見込面の長手方向に形成してあり、一方の鋼板5の凹条15に他方の鋼板3の凸条19を嵌合すると共に鋼板3、5どうしがリベット21で固定してある。
【解決手段】外鋼板3及び内鋼板5は、各々上見込面3a、5a、下見込面3b、5b、右縦見込面3c、5c及び左縦見込面3d、5dを有し、外鋼板3及び内鋼板5のうちの一方の鋼板5の上下及び少なくとも左右の一方の見込面5a、5b、5cには、絞り加工した凹条15が見込面の長手方向に形成してあり、他方の鋼板3の対向する見込面3a、3b、3cには、対向する一方の鋼板の見込面5a、5b、5cに向けて突設すると共に曲げ加工した凸条19が見込面の長手方向に形成してあり、一方の鋼板5の凹条15に他方の鋼板3の凸条19を嵌合すると共に鋼板3、5どうしがリベット21で固定してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア本体や間仕切り等のパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外鋼板と内鋼板の間に芯材を設けたパネル体が開示されている。この特許文献1のパネル体では、四周にスチール製の力骨(框)を組み付けてあり、芯材と四周の力骨の室内側面に内鋼板を接着し、室外側面に外鋼板を接着している。また、パネル体の上下端には力骨を隠す端部カバーを取付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−349153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のパネル体は、四周にスチール製の力骨を設けたり、力骨を隠す端部カバーを設けているので、部品点数が多くなると共にパネル体の重量が重くなるという問題があり、且つコスト高になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、部品点数を少なくでき軽量で、製造コストが安価なパネル体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、外鋼板と、内鋼板と、外鋼板と内鋼板との間に配置した芯材とを備え、外鋼板及び内鋼板は各々、上見込面と下見込面と左右の縦見込面とを有し、外鋼板及び内鋼板のうちの一方の鋼板の上見込面と下見込面と少なくとも左右一方の縦見込面とには、絞り加工した凹条が見込面の長手方向に形成してあり、他方の鋼板の各見込み面のうち一方の鋼板の凹条が形成された見込み面に対向する見込面には、一方の鋼板の見込面に向けて突設すると共に曲げ加工した凸条が見込面の長手方向に形成してあり、一方の鋼板の凹条に他方の鋼板の凸条を嵌合すると共に鋼板どうしを固定してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、外鋼板及び内鋼板の一方の鋼板には、少なくとも左右の一方と上下の見込面とに絞り加工した凹条を形成し、他方の鋼板の対向する見込面に曲げ加工した凸条を形成して、凹条と凸条を嵌合しているので、パネルの四周に力骨がなくても、少なくとも三方の見込み面で凹条と凸条とがリブとなって必要な強度を得ることができる。
パネル体の四周にスチール製の力骨が不要になると共にパネル体の端部に力骨を隠す端部カバーが不要になるから、部品点数が少なく、重量を軽量にでき且つ製造コストを安価にできる。
本発明のパネル体では、凹条と凸条とが嵌合した上下の見込面により左右の見込み方向で生じる捩れを防止できる。また、左右一方の見込面で凹条と凸条とが嵌合することにより熱反りによる上下方向の撓みを防止できる。
芯材と鋼板を接着剤のみで固定する従来技術の場合に接着剤が固化するまでの仮止め用のテープ等が必要であったが、本発明のパネル体では鋼板どうしを固定しているので、仮止め用のテープ等が不要となり、この点においても製造コストを安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態にかかるパネル体の図であり、図3に示すA−A断面図である。
【図2】本実施の形態にかかるパネル体の図であり、図3に示すB−B断面図である。
【図3】本実施の形態にかかるパネル体を室外側から見た正面図である。
【図4】内鋼板の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図である。
【図5】図4に示すC−C断面図である。
【図6】図4に示すD−D断面図である。
【図7】外鋼板の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。
【図8】図7に示すE−E断面図である。
【図9】図7に示すF−F断面図である。
【図10】本実施の形態にかかるパネル体において、吊元側コーナ部のキャップの取り付けを示す斜視図である。
【図11】本実施の形態にかかるパネル体において、戸先側コーナ部のキャップの取り付けを示す斜視図である。
【図12】内鋼板及び外鋼板の展開図と組立図を示し、(a)は外鋼板の展開図であり、(b)は外鋼板の組立図であり、(a)は内鋼板の展開図であり、(b)は内鋼板の組立図である。
【図13】図12に示すG部の拡大図である。
【図14】図12に示すH部の拡大図である。
【図15】本実施の形態にかかるパネル体の組立工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態に係るパネル体1は、図1〜3に示すように、耐熱防火ドアのドア本体である。
図1及び図2に示すように、パネル体1は、外鋼板3と、内鋼板5と、外鋼板3と内鋼板5との間に配置した芯材7とを備えている。図2に示すように、パネル体1の吊元側にはヒンジ9が取付けてあり、戸先側にはラッチボルト11及び煙返し13が取付けてある。尚、本実施の形態の説明において、吊元側を右側とし、戸先側を左側として説明するので、例えば、図4に示す内鋼板5の正面図と図7に示す外鋼板3の正面図では左右が逆になっている。
【0010】
図4に示すように、内鋼板5は上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5c(吊元側見込面)及び左縦見込面(戸先側見込面)5dを有し、図4及び図5に示すように、上見込面5aと下見込面5bとには、絞り加工した凹条15が見込面の長手方向全体に亘って形成してある。
図4及び図6に示すように、内鋼板5には、右縦見込面5cにも絞り加工した凹条15が右縦側見込面5cの長手方向に形成しているが、右縦見込面5cでは、ヒンジ裏板17(図2参照)の取付け箇所を除いて形成してある。尚、内鋼板5の左縦見込面(戸先側見込面)5dには凹条15は形成されていない。
【0011】
図7〜図9に示すように、外鋼板3は、上見込面3a、下見込面3b、右縦見込面(吊元側見込面)3c及び左縦見込面(戸先側見込面)3dを有し、図7及び図8に示すように、上見込面3a、下見込面3bはその室内側端部を折り返すように曲げ加工した凸条19が各見込面3a、3bの長手方向全体に亘って形成してある。図7及び図9に示すように、右縦見込面3cにも、見込面の長手方向に凸条19を形成してあるが、右縦見込面3cの凸条19はヒンジ裏板17の取付け箇所を除いて形成してある。尚、外鋼板3の左縦見込面3dには凸条19は形成されていない。
図1に示すように、内鋼板5の上見込面5aに外鋼板3の上見込面3aを重ねての内鋼板5の凹条15に外鋼板3の凸条19を嵌合してあり、内鋼板5の上見込面5aと外鋼板3の上見込面3aとをリベット21で固定している。同様に、内鋼板5の下見込面5bと外鋼板の下見込面3cにおいても各凹条15に凸条19を嵌合して、内鋼板5の下見込面5bと外鋼板の下見込面3cとをリベット21で固定している。
【0012】
図2及び図15に示すように、内鋼板5の右縦見込面5cと外鋼板3の右縦見込面3cとは、内鋼板5の凹条15に外鋼板3の凸条19を嵌合して、鋼材製のヒンジ裏板17をヒンジ9にタップねじ25で固定してある。
内鋼板5の左縦見込面5dには、外鋼板の左縦見込面3dが重ねてあると共にその内周側にロック用フレーム23がタップねじ25により固定されている。
芯材7は、断熱材である。
【0013】
次に、本実施の形態にかかるパネル体1の製造方法、作用及び効果について説明する。図12(a)に外鋼板3の展開図を示すように、外鋼板3には上見込面3a、下見込面3b、右縦見込面3c及び左縦見込面3dとなる部分を形成し、上見込面3a、下見込面3b及び右縦見込面3cとなる部分の端部を折り曲げて凸条19を形成し、図12(b)に示すように、各見込面3a、3b、3c、3dを折り立てる。図1及び図2に示すように、凸条19の厚みは凹部15の深さと同じが或いは僅かに浅い寸法にしている。
内鋼板5は、図12(c)に展開図を示すように、上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5c及び左縦見込面5dとなる部分を形成し、上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5cとなる部分に凹条15を形成した後、図12(d)、図13及び図14に示すように各見込面5a〜5dを折り立てて、室内側鋼板5を組み立てる。
凹条15の形成は、図12(c)に示す展開状態において、各上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5cとなる部分にタレットパンチングで凹条の絞り加工を辺の長手方向に順次移動させながら形成する。
図5に示すように、各見込面5a、5b、5cの見付け面に対する折り立て角度Rは、鋭角が好ましく、例えば38度〜40度が好ましい。
【0014】
次に、図15(a)に示すように、室内側鋼板5の右縦見込面5cにヒンジ裏板17をタップねじ25で固定し、左縦見込面5dにロック側フレーム23をタップねじ25で固定する。その後、図15(b)に示すように、室内側鋼板5の内周側にロック側スペーサ27、クローザ木29及び芯材7を配置して、図15(c)に示すように、室外側鋼板3を室内側鋼板5に組み付けて、図1及び図2に示すように、室内側鋼板5の上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5cに各々形成した凹条15に、対応する室外側鋼板3の見込面3a、3b、3cに形成した凸条19を嵌合して、外鋼板3の上込み面3aと内鋼板5の上見込面5aとをリベット21で固定し、外鋼板3の下込み面3bと内鋼板5の下見込面5bとをリベット21で固定する。
尚、芯材7と外鋼板3の室外側面との間及び芯材7と内鋼板5の室内側面との間には接着剤を塗布して接着固定している。
そして、図10に示すように、パネル体1の吊元側の上下端部にコーナーキャップ33をねじ37で固定し、図11に示すように、戸先側の上下端部にコーナーキャップ35をねじ37で固定する。
【0015】
本実施の形態にかかるパネル体1によれば、図1及び図2に示すように、内鋼板5の上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5cに各々、見込面の長手方向に絞り加工した凹条15を形成し、外鋼板3の上見込面3a、下見込面3b、右縦見込面3cの各長手方向に曲げ加工した凸条19を形成して、パネル体1の三方で凹条15と凸条19を嵌合してリブを形成しているので、パネルの四周に力骨がなくても、必要な強度を得ることができる。
パネル体1の四周に従来技術のようなスチール製の力骨が不要になると共に、パネル体1の四周の端部(見込面)は外鋼板3及び内鋼板5の各見込面3a〜3d、5a〜5dを重ねて形成しているので、パネル体1の端部に力骨を隠す端部カバーが不要になるから、部品点数が少なく、重量を軽量にでき且つ製造コストを安価にできる。
パネル体1を、内鋼板5の上見込面5a及び下見込面5bに形成した凹条15と、外鋼板3の上見込面3a及び下見込面3bに形成した凸条19とを嵌合して、パネル体の上見込面と下見込面とにこれらの長手方向にリブを形成しているので、パネル体1の左右の見込み方向で生じる捩れを防止できる。
また、内鋼板5の右縦見込面5cの凹条15と外鋼板3の右縦見込面3cの凸条19とが嵌合することにより上下方向のリブを形成するので、熱反りによる上下方向の撓みを防止できる。
外鋼板3と内鋼板5を互いに固定しているので、芯材7と各鋼板3、5を接着剤で固定しても接着剤が固化するまでの仮止め用のテープ等が不要となり、この点においても製造コストを安価にできる。
パネル体1は、外鋼板3及び内鋼板5は各々芯材7に接着剤で固定してあると共に上見込面と下見込面をリベット21により固定しているので、接着剤の劣化による剥離や浮上がりを防止できると共に固定強度を高めることができる。
外鋼板3の各見込面3a、3b、3c、3dと対応する内鋼板5の各見込面5a、5b、5c、5dを重合しているので、従来技術のように室外側面と室内側面のみに鋼板を設ける場合に比較して、外鋼板3と内鋼板5との間に隙間が発生して雨水等が浸入するのを防止できる。
パネル体1の吊元側見込面では、内鋼板5の右縦見込面5cに形成した凹条15と外鋼板3の右縦見込面3cに形成した凸条19との嵌合部と、ヒンジ裏板17とヒンジ羽根板31との固定部分により、上下方向全体を強固に固定できる。
図5に示すように、凹条15を形成する外鋼板3の各見込面3a、3b、3cを見付け面に対する折り立て角度Rを鋭角に折り曲げているので、内鋼板5の見込面5a、5b、5cの凸条19が凹条15に乗り上げやすく、組立易い。
図1に示すように、凹条15及び凸条19は、パネル体1の見込面においてその厚み方向中央よりも偏った位置に形成しているので外鋼板3の見込面3a、3b、3cと内鋼板5の見込面5a、5b、5cとを固定するリベット21の打ち込み箇所を容易に確保でき、製造し易い。
凸条19は見込面の端部を折り返しているので、切断小口を露出しないで済む。
【0016】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、リベット21による固定部分は、ねじによる固定や超音波振動溶着等による固定であっても良く、固定手段は限定されない。
外鋼板3の左縦見込面3dの見込寸法はパネル体1の見込寸法と略同じ寸法にしても良いし、半分程度の寸法にしても良いし、見込寸法は制限されない。
パネル体1は、ドアに限らず、間仕切り等であっても良い。例えば、間仕切りの場合には、錠部やラッチを必要としないので、パネル体1の外鋼板3と内鋼板5とのうちの一方の鋼板の各見込面に凹条15を形成し、他方の鋼板の各見込面に凸条19を形成して、四周の見込面で凹条15と凸条19を嵌合させても良い。
凹条15の形状は限定されず、例えば、断面がV字や円弧形状として凸条19の形状も同様に凹条15の形状に合わせて断面をV字や円弧形状にしても良い。このように凹条15及び凸条19の断面V字や円弧状にすることにより、嵌合し易く位置決めが容易にできる。
内鋼板5に凹条15を形成して外鋼板3に凸条19を形成することに限らず、内鋼板5に凸条19を形成して外鋼板3に凹条15を形成しても良い。
【符号の説明】
【0017】
1 パネル体
3 外鋼板
3a 上見込面
3b 下見込面
3c 右縦見込面(吊元側見込面)
3d 左縦見込面(戸先側見込面)
5 内鋼板
5a 上見込面
5b 下見込面
5c 右縦見込面(吊元側見込面)
5d 左縦見込面(戸先側見込面)
7 芯材
15 凹条
19 凸条
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア本体や間仕切り等のパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外鋼板と内鋼板の間に芯材を設けたパネル体が開示されている。この特許文献1のパネル体では、四周にスチール製の力骨(框)を組み付けてあり、芯材と四周の力骨の室内側面に内鋼板を接着し、室外側面に外鋼板を接着している。また、パネル体の上下端には力骨を隠す端部カバーを取付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−349153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のパネル体は、四周にスチール製の力骨を設けたり、力骨を隠す端部カバーを設けているので、部品点数が多くなると共にパネル体の重量が重くなるという問題があり、且つコスト高になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、部品点数を少なくでき軽量で、製造コストが安価なパネル体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、外鋼板と、内鋼板と、外鋼板と内鋼板との間に配置した芯材とを備え、外鋼板及び内鋼板は各々、上見込面と下見込面と左右の縦見込面とを有し、外鋼板及び内鋼板のうちの一方の鋼板の上見込面と下見込面と少なくとも左右一方の縦見込面とには、絞り加工した凹条が見込面の長手方向に形成してあり、他方の鋼板の各見込み面のうち一方の鋼板の凹条が形成された見込み面に対向する見込面には、一方の鋼板の見込面に向けて突設すると共に曲げ加工した凸条が見込面の長手方向に形成してあり、一方の鋼板の凹条に他方の鋼板の凸条を嵌合すると共に鋼板どうしを固定してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、外鋼板及び内鋼板の一方の鋼板には、少なくとも左右の一方と上下の見込面とに絞り加工した凹条を形成し、他方の鋼板の対向する見込面に曲げ加工した凸条を形成して、凹条と凸条を嵌合しているので、パネルの四周に力骨がなくても、少なくとも三方の見込み面で凹条と凸条とがリブとなって必要な強度を得ることができる。
パネル体の四周にスチール製の力骨が不要になると共にパネル体の端部に力骨を隠す端部カバーが不要になるから、部品点数が少なく、重量を軽量にでき且つ製造コストを安価にできる。
本発明のパネル体では、凹条と凸条とが嵌合した上下の見込面により左右の見込み方向で生じる捩れを防止できる。また、左右一方の見込面で凹条と凸条とが嵌合することにより熱反りによる上下方向の撓みを防止できる。
芯材と鋼板を接着剤のみで固定する従来技術の場合に接着剤が固化するまでの仮止め用のテープ等が必要であったが、本発明のパネル体では鋼板どうしを固定しているので、仮止め用のテープ等が不要となり、この点においても製造コストを安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態にかかるパネル体の図であり、図3に示すA−A断面図である。
【図2】本実施の形態にかかるパネル体の図であり、図3に示すB−B断面図である。
【図3】本実施の形態にかかるパネル体を室外側から見た正面図である。
【図4】内鋼板の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図である。
【図5】図4に示すC−C断面図である。
【図6】図4に示すD−D断面図である。
【図7】外鋼板の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。
【図8】図7に示すE−E断面図である。
【図9】図7に示すF−F断面図である。
【図10】本実施の形態にかかるパネル体において、吊元側コーナ部のキャップの取り付けを示す斜視図である。
【図11】本実施の形態にかかるパネル体において、戸先側コーナ部のキャップの取り付けを示す斜視図である。
【図12】内鋼板及び外鋼板の展開図と組立図を示し、(a)は外鋼板の展開図であり、(b)は外鋼板の組立図であり、(a)は内鋼板の展開図であり、(b)は内鋼板の組立図である。
【図13】図12に示すG部の拡大図である。
【図14】図12に示すH部の拡大図である。
【図15】本実施の形態にかかるパネル体の組立工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態に係るパネル体1は、図1〜3に示すように、耐熱防火ドアのドア本体である。
図1及び図2に示すように、パネル体1は、外鋼板3と、内鋼板5と、外鋼板3と内鋼板5との間に配置した芯材7とを備えている。図2に示すように、パネル体1の吊元側にはヒンジ9が取付けてあり、戸先側にはラッチボルト11及び煙返し13が取付けてある。尚、本実施の形態の説明において、吊元側を右側とし、戸先側を左側として説明するので、例えば、図4に示す内鋼板5の正面図と図7に示す外鋼板3の正面図では左右が逆になっている。
【0010】
図4に示すように、内鋼板5は上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5c(吊元側見込面)及び左縦見込面(戸先側見込面)5dを有し、図4及び図5に示すように、上見込面5aと下見込面5bとには、絞り加工した凹条15が見込面の長手方向全体に亘って形成してある。
図4及び図6に示すように、内鋼板5には、右縦見込面5cにも絞り加工した凹条15が右縦側見込面5cの長手方向に形成しているが、右縦見込面5cでは、ヒンジ裏板17(図2参照)の取付け箇所を除いて形成してある。尚、内鋼板5の左縦見込面(戸先側見込面)5dには凹条15は形成されていない。
【0011】
図7〜図9に示すように、外鋼板3は、上見込面3a、下見込面3b、右縦見込面(吊元側見込面)3c及び左縦見込面(戸先側見込面)3dを有し、図7及び図8に示すように、上見込面3a、下見込面3bはその室内側端部を折り返すように曲げ加工した凸条19が各見込面3a、3bの長手方向全体に亘って形成してある。図7及び図9に示すように、右縦見込面3cにも、見込面の長手方向に凸条19を形成してあるが、右縦見込面3cの凸条19はヒンジ裏板17の取付け箇所を除いて形成してある。尚、外鋼板3の左縦見込面3dには凸条19は形成されていない。
図1に示すように、内鋼板5の上見込面5aに外鋼板3の上見込面3aを重ねての内鋼板5の凹条15に外鋼板3の凸条19を嵌合してあり、内鋼板5の上見込面5aと外鋼板3の上見込面3aとをリベット21で固定している。同様に、内鋼板5の下見込面5bと外鋼板の下見込面3cにおいても各凹条15に凸条19を嵌合して、内鋼板5の下見込面5bと外鋼板の下見込面3cとをリベット21で固定している。
【0012】
図2及び図15に示すように、内鋼板5の右縦見込面5cと外鋼板3の右縦見込面3cとは、内鋼板5の凹条15に外鋼板3の凸条19を嵌合して、鋼材製のヒンジ裏板17をヒンジ9にタップねじ25で固定してある。
内鋼板5の左縦見込面5dには、外鋼板の左縦見込面3dが重ねてあると共にその内周側にロック用フレーム23がタップねじ25により固定されている。
芯材7は、断熱材である。
【0013】
次に、本実施の形態にかかるパネル体1の製造方法、作用及び効果について説明する。図12(a)に外鋼板3の展開図を示すように、外鋼板3には上見込面3a、下見込面3b、右縦見込面3c及び左縦見込面3dとなる部分を形成し、上見込面3a、下見込面3b及び右縦見込面3cとなる部分の端部を折り曲げて凸条19を形成し、図12(b)に示すように、各見込面3a、3b、3c、3dを折り立てる。図1及び図2に示すように、凸条19の厚みは凹部15の深さと同じが或いは僅かに浅い寸法にしている。
内鋼板5は、図12(c)に展開図を示すように、上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5c及び左縦見込面5dとなる部分を形成し、上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5cとなる部分に凹条15を形成した後、図12(d)、図13及び図14に示すように各見込面5a〜5dを折り立てて、室内側鋼板5を組み立てる。
凹条15の形成は、図12(c)に示す展開状態において、各上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5cとなる部分にタレットパンチングで凹条の絞り加工を辺の長手方向に順次移動させながら形成する。
図5に示すように、各見込面5a、5b、5cの見付け面に対する折り立て角度Rは、鋭角が好ましく、例えば38度〜40度が好ましい。
【0014】
次に、図15(a)に示すように、室内側鋼板5の右縦見込面5cにヒンジ裏板17をタップねじ25で固定し、左縦見込面5dにロック側フレーム23をタップねじ25で固定する。その後、図15(b)に示すように、室内側鋼板5の内周側にロック側スペーサ27、クローザ木29及び芯材7を配置して、図15(c)に示すように、室外側鋼板3を室内側鋼板5に組み付けて、図1及び図2に示すように、室内側鋼板5の上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5cに各々形成した凹条15に、対応する室外側鋼板3の見込面3a、3b、3cに形成した凸条19を嵌合して、外鋼板3の上込み面3aと内鋼板5の上見込面5aとをリベット21で固定し、外鋼板3の下込み面3bと内鋼板5の下見込面5bとをリベット21で固定する。
尚、芯材7と外鋼板3の室外側面との間及び芯材7と内鋼板5の室内側面との間には接着剤を塗布して接着固定している。
そして、図10に示すように、パネル体1の吊元側の上下端部にコーナーキャップ33をねじ37で固定し、図11に示すように、戸先側の上下端部にコーナーキャップ35をねじ37で固定する。
【0015】
本実施の形態にかかるパネル体1によれば、図1及び図2に示すように、内鋼板5の上見込面5a、下見込面5b、右縦見込面5cに各々、見込面の長手方向に絞り加工した凹条15を形成し、外鋼板3の上見込面3a、下見込面3b、右縦見込面3cの各長手方向に曲げ加工した凸条19を形成して、パネル体1の三方で凹条15と凸条19を嵌合してリブを形成しているので、パネルの四周に力骨がなくても、必要な強度を得ることができる。
パネル体1の四周に従来技術のようなスチール製の力骨が不要になると共に、パネル体1の四周の端部(見込面)は外鋼板3及び内鋼板5の各見込面3a〜3d、5a〜5dを重ねて形成しているので、パネル体1の端部に力骨を隠す端部カバーが不要になるから、部品点数が少なく、重量を軽量にでき且つ製造コストを安価にできる。
パネル体1を、内鋼板5の上見込面5a及び下見込面5bに形成した凹条15と、外鋼板3の上見込面3a及び下見込面3bに形成した凸条19とを嵌合して、パネル体の上見込面と下見込面とにこれらの長手方向にリブを形成しているので、パネル体1の左右の見込み方向で生じる捩れを防止できる。
また、内鋼板5の右縦見込面5cの凹条15と外鋼板3の右縦見込面3cの凸条19とが嵌合することにより上下方向のリブを形成するので、熱反りによる上下方向の撓みを防止できる。
外鋼板3と内鋼板5を互いに固定しているので、芯材7と各鋼板3、5を接着剤で固定しても接着剤が固化するまでの仮止め用のテープ等が不要となり、この点においても製造コストを安価にできる。
パネル体1は、外鋼板3及び内鋼板5は各々芯材7に接着剤で固定してあると共に上見込面と下見込面をリベット21により固定しているので、接着剤の劣化による剥離や浮上がりを防止できると共に固定強度を高めることができる。
外鋼板3の各見込面3a、3b、3c、3dと対応する内鋼板5の各見込面5a、5b、5c、5dを重合しているので、従来技術のように室外側面と室内側面のみに鋼板を設ける場合に比較して、外鋼板3と内鋼板5との間に隙間が発生して雨水等が浸入するのを防止できる。
パネル体1の吊元側見込面では、内鋼板5の右縦見込面5cに形成した凹条15と外鋼板3の右縦見込面3cに形成した凸条19との嵌合部と、ヒンジ裏板17とヒンジ羽根板31との固定部分により、上下方向全体を強固に固定できる。
図5に示すように、凹条15を形成する外鋼板3の各見込面3a、3b、3cを見付け面に対する折り立て角度Rを鋭角に折り曲げているので、内鋼板5の見込面5a、5b、5cの凸条19が凹条15に乗り上げやすく、組立易い。
図1に示すように、凹条15及び凸条19は、パネル体1の見込面においてその厚み方向中央よりも偏った位置に形成しているので外鋼板3の見込面3a、3b、3cと内鋼板5の見込面5a、5b、5cとを固定するリベット21の打ち込み箇所を容易に確保でき、製造し易い。
凸条19は見込面の端部を折り返しているので、切断小口を露出しないで済む。
【0016】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、リベット21による固定部分は、ねじによる固定や超音波振動溶着等による固定であっても良く、固定手段は限定されない。
外鋼板3の左縦見込面3dの見込寸法はパネル体1の見込寸法と略同じ寸法にしても良いし、半分程度の寸法にしても良いし、見込寸法は制限されない。
パネル体1は、ドアに限らず、間仕切り等であっても良い。例えば、間仕切りの場合には、錠部やラッチを必要としないので、パネル体1の外鋼板3と内鋼板5とのうちの一方の鋼板の各見込面に凹条15を形成し、他方の鋼板の各見込面に凸条19を形成して、四周の見込面で凹条15と凸条19を嵌合させても良い。
凹条15の形状は限定されず、例えば、断面がV字や円弧形状として凸条19の形状も同様に凹条15の形状に合わせて断面をV字や円弧形状にしても良い。このように凹条15及び凸条19の断面V字や円弧状にすることにより、嵌合し易く位置決めが容易にできる。
内鋼板5に凹条15を形成して外鋼板3に凸条19を形成することに限らず、内鋼板5に凸条19を形成して外鋼板3に凹条15を形成しても良い。
【符号の説明】
【0017】
1 パネル体
3 外鋼板
3a 上見込面
3b 下見込面
3c 右縦見込面(吊元側見込面)
3d 左縦見込面(戸先側見込面)
5 内鋼板
5a 上見込面
5b 下見込面
5c 右縦見込面(吊元側見込面)
5d 左縦見込面(戸先側見込面)
7 芯材
15 凹条
19 凸条
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外鋼板と、内鋼板と、外鋼板と内鋼板との間に配置した芯材とを備え、外鋼板及び内鋼板は各々、上見込面と下見込面と左右の縦見込面とを有し、外鋼板及び内鋼板のうちの一方の鋼板の上見込面と下見込面と少なくとも左右一方の縦見込面とには、絞り加工した凹条が見込面の長手方向に形成してあり、他方の鋼板の各見込み面のうち一方の鋼板の凹条が形成された見込み面に対向する見込面には、一方の鋼板の見込面に向けて突設すると共に曲げ加工した凸条が見込面の長手方向に形成してあり、一方の鋼板の凹条に他方の鋼板の凸条を嵌合すると共に鋼板どうしを固定してあることを特徴とするパネル体。
【請求項1】
外鋼板と、内鋼板と、外鋼板と内鋼板との間に配置した芯材とを備え、外鋼板及び内鋼板は各々、上見込面と下見込面と左右の縦見込面とを有し、外鋼板及び内鋼板のうちの一方の鋼板の上見込面と下見込面と少なくとも左右一方の縦見込面とには、絞り加工した凹条が見込面の長手方向に形成してあり、他方の鋼板の各見込み面のうち一方の鋼板の凹条が形成された見込み面に対向する見込面には、一方の鋼板の見込面に向けて突設すると共に曲げ加工した凸条が見込面の長手方向に形成してあり、一方の鋼板の凹条に他方の鋼板の凸条を嵌合すると共に鋼板どうしを固定してあることを特徴とするパネル体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−44146(P2013−44146A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182197(P2011−182197)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]