パネル材
【課題】 一枚の基板にエンボス加工による凸部が形成されたパネル材において、高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保することができ、また疵がつきにくく且つ反射光分散によって面ひずみを見え難くする効果が高いパネル材を得る。
【解決手段】 一枚の基板2にエンボス加工による凸部3Aが形成されたパネル材1Aにおいて、該パネル材1Aを、上記凸部3Aが、少なくとも、平面視環状に形成された複数の環状凸部4Aを有していて、これらの環状凸部4Aを、隣接する環状凸部4A,4A同士の間の平板部6が非直線状となるように配列させた構成とする。
【解決手段】 一枚の基板2にエンボス加工による凸部3Aが形成されたパネル材1Aにおいて、該パネル材1Aを、上記凸部3Aが、少なくとも、平面視環状に形成された複数の環状凸部4Aを有していて、これらの環状凸部4Aを、隣接する環状凸部4A,4A同士の間の平板部6が非直線状となるように配列させた構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電筐体や貨物コンテナ、建築構造物、自動車、鉄道車両、航空機、船舶等の構造に用いられるパネル材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家電筐体や貨物コンテナ、建築構造物、自動車などの輸送機器等に用いられるパネル材としては、(1)曲げ剛性及びねじり剛性の向上、(2)疵つきの防止、(3)反射光の分散によって面ひずみを見え難くする等の各種効果が求められている。さらには、近年の省資源化のニーズの高まりから、高い曲げ剛性及びねじり剛性を有しながら軽量であることも求められている。
このような要求に対しては、金属板等の基板に筋状のエンボス加工を施して凸部を形成することが行われているが、この凸部としては、例えば特許文献1に記載されているような図16に示すパネル材のように、平面視直線状あるいは曲線状の突稜複数をランダムに配置したいわゆるメロン筋柄に形成した構成が広く知られている。
上記メロン筋柄の凸部を有するパネル材の場合は、筋状のエンボスを分散配置することでパネルの疵つきを防止し、反射光の分散によって面ひずみを見え難くすることができる。
しかしながら、パネル材に曲げやねじりといった力が作用すると、各突稜の交差部分で該突稜が相互に分断されるため、その分断箇所において基板が局所変形し易いという欠点があった。そのため、パネル材の曲げ剛性やねじり剛性を十分に高めることができないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−286453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、一枚の基板にエンボス加工による凸部が形成されたパネル材において、疵つき防止及び反射光分散による面ひずみを見え難くする効果を得るとともに、高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保することができるパネル材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のパネル材は、一枚の基板にエンボス加工による凸部が形成されたパネル材であって、上記凸部は、少なくとも、平面視環状に形成された複数の環状凸部を有していて、これらの環状凸部を、隣接する環状凸部同士の間の平板部が非直線状となるように配列させていることを特徴とするものである。
【0006】
この発明においては、上記凸部における環状凸部は、平面視円環状に形成された円環状凸部を有していることが好ましい。
この場合において、上記環状凸部は、複数の上記円環状凸部と、上記基板上において四方がこれらの円環状凸部に囲まれた空間に配設された平面視四角環状に形成された複数の四角環状凸部とをそれぞれ有していて、
上記四角環状凸部は、平面視において、上記円環状凸部と同じ曲率の曲線からなる4辺からなり、且つ各辺が対向する円環状凸部の外周部分とそれぞれ平行となるように配置された構成となっているものとすることができる。
また、上記凸部は、上記基板上における上記円環状凸部の内周側に、該円環状凸部と同心の平面視円形状に形成された円形凸部を有しているものとすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板にエンボス加工により形成する凸部を、少なくとも、平面視環状に形成された複数の環状凸部を有したものとして、これらの環状凸部を、隣接する環状凸部同士の間の平板部が非直線状となるように配列させたことにより、凸部の曲げ剛性及びねじり剛性を向上させて、基板における凸部以外の平板部での局所変形を抑えることができる。これにより、パネル材において、高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保することができる。
また、上記環状凸部は、筋状の平面視環状に形成されているため、パネルの疵つきを防止し、反射光の分散によってパネル材の面ひずみを見えにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るパネル材の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同、(a)要部拡大平面図、(b)A−A断面図である。
【図3】本発明に係るパネル材の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】同、(a)要部拡大平面図、(b)B−B断面図である。
【図5】本発明に係るパネル材の第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】同、(a)要部拡大平面図、(b)C−C断面図である。
【図7】本発明に係るパネル材の第4の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】同要部拡大平面図である。
【図9】実施例における本発明例1の寸法を示す断面図である。ただし、図2(a)中のA−A線での断面を示す。
【図10】実施例における本発明例2の寸法を示す断面図である。ただし、図4(a)中のB−B線での断面を示す。
【図11】実施例における本発明例3の寸法を示す断面図である。ただし、(a)は図6(a)中のD−D線での断面を、(b)は図6(a)中のC−C線での断面をそれぞれ示す。
【図12】実施例における本発明例4の寸法を示す断面図である。ただし、図8中のE−E線での断面を示す。
【図13】実施例において基板の板厚t=0.4mmであって、凸部の突出高さがH=0.4mm、H=0.8mm、H=1.2mmの場合の結果をそれぞれ示すグラフである。
【図14】実施例において基板の板厚t=0.6mmであって、凸部の突出高さがH=0.6mm、H=1.2mm、H=1.8mmの場合の結果をそれぞれ示すグラフである。
【図15】実施例において基板の板厚t=0.8mmであって、凸部の突出高さがH=0.8mm、H=1.6mm、H=2.4mmの場合の結果をそれぞれ示すグラフである。
【図16】従来のメロン筋柄の凸部を有するパネル材の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び図2(a),(b)は、本発明のパネル材の第1の実施形態を示すもので、この第1の実施の形態のパネル材1Aは、図1に示すように、一枚の基板2に、エンボス加工による凸部3Aが形成されたパネル材であって、該凸部3Aは、平面視環状に形成された複数の環状凸部4A、さらに具体的には平面視円環状の円環状凸部5Aにより構成されている。
なお、この第1の実施の形態、及び後で述べる第2〜第4の実施の形態では、上記凸部は、いずれも基板の板面の一方側(図1の場合、板面上方側)に突出するようにエンボス加工されたものとなっている。
【0010】
この発明においては、上記基板2として、スチールやステンレス、アルミ、チタン、各種合金等の金属板、あるいは、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂などの合成樹脂を用いることができ、上記環状凸部を該基板に成形するに際しては、金属板の場合はエンボスロールやプレスによるエンボス加工、合成樹脂の場合は射出成形等が用いられる。
また、この発明における基板2の厚さは、パネル材の用途によって決定されるが、例えば家電筐体に使用する場合は0.3〜1.0mm程度、貨物コンテナや建築構造物、自動車等に使用する場合は0.6〜3mm程度が好ましい。
【0011】
上記各円環状凸部5Aは、相互に同形同大の平面視円環状に形成されたもので、側面視において下端側が大きい略等脚台形状に形成され、また、図2(b)に示すように、該円環状凸部5Aの環状の部分における径方向の縦断面の形状が、下端側が大きい略等脚台形状となるように突設させている。さらに、これらの各円環状凸部5Aは、上端面は全周に亘って一定の幅に形成された平坦面状に形成されていて、隣接する円環状凸部5A,5A同士が相互に干渉しないように配設されている。
【0012】
ここで、上記凸部3Aを環状凸部4Aのような平面視環状としたのは、環状の形状が従来のメロン柄筋状の凸部のような筋状の形状に比較的近く、このような環状凸部をパネル面に略均等に配置することで疵つきの抑制を図ることができる上、反射光の分散効果が高くてパネル材の面ひずみを見えにくくできるためである。
さらに、上記環状凸部4Aを平面視円環状の円環状凸部5Aとしたのは、円環状として各環状凸部が相互に接触しないようにすることで、各突稜の交差部分に生じる局所変形を排除し、各環状凸部に作用するあらゆる方向の曲げやねじりに対して高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保できるため、パネル材全体として高い曲げ剛性とびねじり剛性とを得ることができるようにするためである。
【0013】
また、これらの円環状凸部5Aは、上記基板2における該円環状凸部5Aが設けられていない部分、即ち、隣接する円環状凸部5A,5A同士の間の基板2上の空間である平板部6が非直線状となるようにそれぞれ配列されている。
この実施の形態においては、図2(a)に示すように、平面視において、1つの円環状凸部5Aの周囲に、該円環状凸部5Aの円周の中心に対して60°ずつずれるように6つの円環状凸部5Aが所定の間隔且つ相互に干渉しないように配設された構成(図2(a)の場合は千鳥状)となっていて、これにより、平板部6が非直線状となるようにそれぞれ配列されている
このように、円環状凸部5A,5A同士の間の平板部6が非直線状となるようにしたのは、パネル材に曲げやねじりが作用した場合に、該平板部6で局所変形が生じるのを可及的に抑え、パネル材全体としての曲げ剛性及びねじり剛性を一層向上させるためである。
【0014】
さらに、この実施の形態においては、上記円環状凸部5Aの寸法は、用途に応じたパネル材の曲げ剛性及びねじり剛性が確保できる程度に任意に設定することができる。
したがって、図2(a),(b)に示す各円環状凸部5Aは、内径について、上端側を下端側の約4/5程度、外径について、上端側を、下端側の約4/5程度、内径の上端側の約1.6倍程度、突出高さを基板の板厚の約2倍程度に設定しているが、各円環状凸部の内径や外径、突出高さについては、用途に応じたパネル材の曲げ剛性及びねじり剛性が確保できる程度に設定することができる。なお、突出高さについては板厚の0.5〜5倍程度、環状凸部の外径については板厚の5〜50倍程度が好ましい。
【0015】
上記構成を有するパネル材1Aは、基板2に、エンボス加工による凸部3Aを、平面視円環状に形成された複数の円環状凸部5Aにより形成し、これらの円環状凸部5Aを、隣接する円環状凸部5A,5A同士の間の平板部6が非直線状となるように配列させたため、凸部3Aの曲げ剛性及びねじり剛性を向上させると共に、基板2における凸部3A以外の平板部6での局所変形も抑えることができる。
これにより、パネル材全体として、高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保することが可能となる。
また、高い曲げ剛性とねじり剛性とを確保できることから、同程度の曲げ剛性及びねじり剛性を有する同じ材質の他のパネル材に比べて基板の厚さを薄くすることができ、これにより、パネル材全体としての重量を軽量化することが可能となる。
さらに、上記円環状凸部5Aは、筋状のエンボスを平面視環状に形成されているため、パネルの疵つきを防止し、反射光の分散によってパネル材の面ひずみを見えにくくすることができる。
【0016】
上記第1の実施の形態においては、凸部3Aの環状凸部4Aを、平面視円環状に形成された円環状凸部5Aとしているが、環状凸部の形状は、平面視形状が環状であれば、円環状以外のものでもよく、例えば、平面視が各種形状の多角環状や楕円形状等、任意の平面視形状のものを採用することができる。
また、上記第1の実施の形態においては、円環状凸部5Aを、側面視の形状を下端側が大きい略等脚台形状となるように基板2から突設させたものとしているが、側面視略矩形状であってもよい。さらに、円環状凸部の環状の部分における径方向の縦断面の形状も、必ずしも下端側が大きい略等脚台形状とする必要はなく、略円弧状や略楕円状、略矩形状、略三角形状等、任意の縦断面形状とすることができる。
さらに、上記凸部は、相互に同形同大に、基板の板面の一方側(図1の場合、板面上方側)に突出するようにエンボス加工される場合に限らず、相互に形状や大きさが異なるもの、基板の表裏の双方(図1の場合、板面の上方側と下方側)に加工されるものであってもよい。
【0017】
上記第1の実施の形態のパネル材1Aでは、エンボス加工による凸部3Aを、環状凸部4Aとして、平面視円環状の複数の円環状凸部5Aのみからなるものとしている。
しかしながら、次に述べる第2の実施の形態においては、上記凸部が、上記円環状凸部とは別に、該円環状凸部と同心の平面視円形状に形成された円形凸部を備えた構成となっている。
即ち、図3及び図4(a),(b)は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、この第2の実施の形態のパネル材1Bは、図3に示すように、基板2上に、相互に同形同大の平面視円環状に形成された、環状凸部4Bとしての複数の円環状凸部5Bと、基板2上におけるこれらの各円環状凸部5Bの内周側にそれぞれ形成された平面視円形状の円形凸部7とからなる、エンボス加工による凸部3Bを有している。
【0018】
上記円形凸部7は、図4(a),(b)に示すように、平面視における外径が上記円環状凸部5Bの内径よりも小さく、且つ側面視の形状が、下端側が大きい略等脚台形状となるように形成された、上端面が平坦面状のものとなっている。
また、各円形凸部7は、図4(a)に示すように、平面視において、その中心位置が、対応する円環状凸部5Bの中心と一致するように該円環状凸部5Bの内周側の空間内に配設されており、これにより、これらの円形凸部7と円環状凸部5Bとは、円形凸部7の外周側と円環状凸部5Bの内周側との間に一定の間隔が保たれた状態で、相互に非接触に配設された状態となっている。
【0019】
この実施の形態においては、図4(b)に示すように、上記円形凸部は、下端側の外径が上記円環状凸部の下端側の内径の約5/8程度、上端側の外径が下端側の外径の約2/3程度、突出高さが円環状凸部5Bと同程度に設定されているが、円形凸部の内径や外径、突出高さについては、用途に応じたパネル材の曲げ剛性及びねじり剛性が確保できる程度に任意に設定することができる。この場合において、突出高さについては板厚の0.5〜5倍程度、環状凸部の外径については板厚の5〜50倍程度が好ましい。
【0020】
なお、上記凸部3Bにおける円環状凸部5B、及び基板2上の平板部6については、上述した第1の実施の形態の円環状凸部5Aと構成(配置含む)及び効果は基本的に同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0021】
上記構成を有する第2の実施の形態のパネル材1Bは、基本的には上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができるが、円環状凸部5Bに加えて円形凸部7を設けたことにより、第1の実施の形態に比べ、円環状凸部5Bの内周側の平坦な面を小さくできるため、疵つき防止の効果と反射光分散によって面ひずみを見え難くする効果とをさらに高めることができる。また、第1の実施の形態と同等のパネル剛性を確保することができる。
【0022】
上記第2の実施の形態においては、上記円形凸部7を、側面視形状を下端側が大きい略等脚台形状としているが、側面視形状は略矩形状であってもよい。
また、上記第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、円環状凸部を、側面視の形状を略等脚台形状以外に側面視略矩形状としてもよいこと、該円環状凸部の環状の部分における径方向の縦断面の形状を任意の縦断面形状としてもよいことは当然である。
【0023】
なお、上記第2の実施の形態においては、凸部3Bにおける環状凸部4Bを円環状凸部5Bとしているが、この環状凸部は、上記第1の実施の形態と同様に、平面視形状が環状であれば、円環状以外のものでもよく、例えば、平面視が各種形状の角環状や楕円形状等、任意の平面視形状のものを採用することができる。このとき、環状凸部の内周側には、上記円形凸部、あるいは円形凸部に代わる平面視略矩形状等の任意の平面視形状のものを、該環状凸部と干渉しないように配設することができる。さらに、上記凸部は、相互に大きさが異なるもの、基板の表裏の双方に加工されるものであってもよい。
【0024】
上記第2の実施の形態のパネル材1Bでは、エンボス加工による凸部3Bを、平面視円環状の複数の円環状凸部5Bと、各円環状凸部5Bの内周側に配設した平面視円形状の円形凸部7とで構成したものとしているが、次に述べる第3の実施の形態においては、凸部である環状凸部が、上記円環状凸部と、平面視略四角環状に形成された四角環状凸部とで形成された構成となっている。
即ち、図5及び図6(a),(b)は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、この第3の実施の形態のパネル材1Cは、図5に示すように、基板2上に、相互に同形同大の平面視円環状に形成された複数の上記円環状凸部5Cと、これらの円環状凸部5Cの外周側に該円環状凸部5Cとは別に設けられた、平面視略四角環状に形成された複数の四角環状凸部8との2種類の環状凸部4Cからなる、エンボス加工による凸部3Cを有している。
【0025】
上記円環状凸部5Cは、この実施の形態においては、各円環状凸部5C相互の配置が上記第1及び第2の実施の形態の円環状凸部5A,5Bとは異なっていて、図5及び図(a)に示すように、平面視において、1つの円環状凸部5Cの周囲に、該円環状凸部5Cの円周の中心に対して90°ずつずれるように4つの円環状凸部5Cを相互に等間隔且つ相互に干渉しない位置に配設させている。したがって、図6(a)に示すものの場合、これらの円環状凸部5Cは、平面視において縦方向及び横方向にそれぞれ直線的に配列させた態様となっている。
なお、これらの各円環状凸部5Cについては、相互の配置以外の基本的な構成及び効果は、上記第1の実施の形態の円環状凸部5Aと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
一方、上記各四角環状凸部8は、図6(a)に示すように、上記基板2上において四方が上記円環状凸部5Cに囲まれた各空間にそれぞれ配設された、いずれも同形同大のものである。
この四角環状凸部8は、平面視において、上記円環状凸部5Cと同じ曲率の曲線からなる4つの辺9からなり、且つ各辺9が対向する円環状凸部5Cの外周部分とそれぞれ平行となるように配置された構成となっている。したがって、各四角環状凸部8を構成する各辺9は、平面視においていずれも四角環状凸部8の内周側向きに凸となるように相互に同じ曲率に湾曲した、同じ長さの曲線となっている。
この実施の形態においては、各四角環状凸部8の各辺9は、平面視において、上記円環状凸部5Cの円周の約1/4程度の円弧の形状と同大同形のものとしている。また、図6(a)に示すように、この四角環状凸部は、平面視において、対角線が縦方向・横方向にそれぞれ延びる態様となっている。
【0027】
また、上記各四角環状凸部8は、四方が上記円環状凸部5Cに囲まれた各空間内における略中央に配設されていて、隣接する円環状凸部5Cや他の四角環状凸部8と相互に非接触で、且つ各辺9と対向する円環状凸部5Cとの間がいずれも相互に等間隔となっている。そして、隣接する環状凸部4C同士、即ち、円環状凸部5C,5C同士や四角環状凸部8,8同士、あるいは円環状凸部5C・四角環状凸部8同士の各間の平板部6が全体として非直線状となるように配列させた態様となっている。
なお、図6(a)に示すものの場合、上記四角環状凸部8は、平面視において縦方向及び横方向にそれぞれ直線的に配列させたものとなっており、したがって、各四角環状凸部8の斜め45°の方向に上記円環状凸部5Cがそれぞれ位置し、これら四角環状凸部8と円環状凸部5Cとが千鳥状に配設された状態となっている。
【0028】
さらに、上記各四角環状凸部8は、図6(b)に示すように、側面視の形状が、下端側が大きい略等脚台形状となるように形成され、各辺9は、その縦断面が、下端側が大きい略等脚台形状となるように突設させた形状となっていて、上端面が一定の幅に形成された平坦面状に形成されたものとなっている。
また、各四角環状凸部8は、いずれも、上記円環状凸部5Cと同じ程度の突出高さとなっている。
【0029】
上記構成を有するこの第3の実施の形態のパネル材1Cは、基本的には上記第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができるが、凸部3Cの環状凸部4Cとして、円環状凸部5Cに加えて四角環状凸部を別に設けたことにより、上記第1の実施の形態に比べ、パネル材全体としての曲げ剛性及びねじり剛性をより高く確保できる。
したがって、同程度の曲げ剛性及びねじり剛性を有する同じ材質の他のパネル材に比べて基板の厚さを一層薄くすることができ、これにより、パネル材全体としての重量の軽量化の促進を図ることができる。
さらに、上記各四角環状凸部8は、上記円環状凸部5Cと同様に平面視環状の筋状に形成されているため、従来のメロン筋柄の凸部のように、パネル材の疵つきを防止し、反射光の分散によってパネル材の面ひずみを見えにくくすることができる。
【0030】
上記第3の実施の形態においては、上記四角環状凸部8を、側面視形状は下端側が大きい略等脚台形状としているが、側面視形状は略矩形状であってもよい。
また、上記第3の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、円環状凸部を、側面視の形状を略等脚台形状以外に側面視略矩形状としてもよいこと、該円環状凸部の環状の部分における径方向の縦断面の形状を任意の縦断面形状としてもよいことはもちろんである。さらに、上記凸部は、相互に大きさが異なるもの、基板の表裏の双方に加工されるものであってもよい。なお、突出高さについては板厚の0.5〜5倍程度、環状凸部の外径については板厚の5〜50倍程度が好ましい。
【0031】
上記第3の実施の形態では、上記凸部3Cを、平面視円環状に形成された複数の円環状凸部5Cと、平面視略四角環状に形成された複数の四角環状凸部8との2種類の環状凸部4Cで構成したものとしている。
しかしながら、次に述べる第4の実施の形態では、上記凸部を、上記第3の実施の形態における円環状凸部及び四角環状凸部からなる環状凸部に、上記第2の実施の形態の構成、即ち、円環状凸部の内周側に、該円環状凸部と同心の平面視円形状に形成された円形凸部を配設した構成を加えたものとしている。
【0032】
即ち、図7及び図8は、本発明の第4の実施の形態を示すもので、この第4の実施の形態のパネル材1Dは、上述した第3の実施の形態と同様、基板2上に、相互に同形同大の平面視円環状に形成された複数の上記円環状凸部5Dと、これらの円環状凸部5Dの外周側に該円環状凸部5Dとは別に設けられた、平面視四角環状に形成された複数の四角環状凸部10との2種類のエンボス加工による環状凸部4D、及び環状凸部4D,4D同士の間の空間である平板部6を有している。
さらに、上述した第2の実施の形態のように、基板2上における上記各円環状凸部5Dの内周側に、その円環状凸部5Dと同心の平面視円形状に形成された、エンボス加工による円形凸部10がそれぞれ配設させたものとなっている。
したがって、この第4の実施の形態におけるパネル材1Dは、複数の円環状凸部5D及び四角環状凸部10の2種類の環状凸部4Dと、円形凸部11とからなる、エンボス加工による凸部3Dを備えた構成となっている。
【0033】
なお、上記円環状凸部5D及び四角環状凸部10の各構成(配置含む)及び効果については上述した第3の実施の形態における円環状凸部5C及び四角環状凸部8と、上記円形凸部11の構成及び効果については上述した第2の実施の形態における円形凸部7と、それぞれ基本的に同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0034】
上記構成を有する第4の実施の形態のパネル材は、基本的には上記第1〜第3の実施の形態と同様の効果を得ることができるが、円環状凸部5Dに加えて四角環状凸部10、さらには円形凸部11をそれぞれ別に設けたことにより、上記第3の実施の形態に比べて、円環状凸部5Dの内周側の平坦な面を小さくできるため、疵つき防止の効果と反射光分散によって面ひずみを見え難くする効果とをさらに高めることができる。また、第3の実施の形態と同等のパネル剛性を確保することができる。
【0035】
上記第4の実施の形態においても、円環状凸部5Dを、側面視の形状を略等脚台形状以外に側面視略矩形状としてもよいこと、また、該円環状凸部5Dの環状の部分における径方向の縦断面の形状を任意の縦断面形状としてもよいこと、さらには、上記四角環状凸部10を、側面視形状を略矩形状としてもよいこと等は、上述した第3の実施の形態と同様である。
また、上記円形凸部11についても、側面視形状は略矩形状であってもよいことは、上記第2の実施の形態と同様である。さらに、上記凸部は、相互に形状や大きさが異なるもの、基板の表裏の双方に加工されるものであってもよい。なお、突出高さについては板厚の0.5〜5倍程度、環状凸部の外形については板厚の5〜50倍程度が好ましい。
【実施例】
【0036】
本発明の効果を確認するため、上記第1〜第4の実施の形態において説明したパネル材と、図16に示す従来のパネル材(「比較例」という。)について、曲げ剛性及びねじり剛性についての比較実験を行った。
この比較実験は、1辺が100mmの平面視正方形の板状のパネル材を用い、曲げ剛性に関する実験については、このパネル材の4隅を固定した上で、パネル材中央に板面に対して直角な方向に荷重を加える一方、ねじり剛性に関する実験については、パネル材の4隅のうちの3隅を固定した上で、残りの1隅に鉛直下方向に荷重を加えることにより、凸部のない平板を基準とした各パネル材の各剛性を評価した。
また、各パネル材については、いずれも同じ組成の鋼製であり、基板の厚さtが0.4mm,0.6mm,0.8mmのものをそれぞれ用い、凸部の突出高さ(基板の板面からの高さ)hを、各基板の板厚の1倍,2倍,3倍としたものを用いた。
【0037】
本発明例としての上記第1,第2,第3,第4の各実施の形態に係るパネル材(以下、それぞれ「本発明例1」,「本発明例2」,「本発明例3」,「本発明例4」という。)について、各構成の寸法は図9〜図12に記載の通りとした。ここで、図9は図2(a)におけるA−A断面、図10は図4(a)におけるB−B断面、図11(a)は図6(a)におけるD−D断面、図11(b)は図6(a)におけるC−C断面、図12は図8におけるE−E断面、の各寸法をそれぞれ示している。
なお、図8における四角環状凸部の寸法及び間隔等は図11(b)と同じとした。また、比較例のパネル材のメロン筋柄について、平面視における各筋状の凸部の長さや方向等についてはランダムで、基板の厚さ及び凸部の突出高さは本発明1〜4と同様に、基板の厚さは0.4mm,0.6mm,0.8mm、凸部の突出高さは各基板の板厚の1倍,2倍,3倍とした。
さらに、本発明例1〜4における円環状凸部については、隣接する円環状凸部の平面視における各中心間の距離を、いずれも10mmとした。
【0038】
結果を下記表1〜表3、及び図13〜図15に示す。なお、結果については、凸部のない平板の曲げ剛性及びねじり剛性を基準(1.00)とした場合における、本発明例1〜4及び比較例の曲げ剛性及びねじり剛性の各比を示したものとしている。また、図13〜図15のグラフにおいては、平板を黒丸印、本発明例1を白抜き丸印、本発明例2を白抜き三角印、本発明例3を白抜き四角印、本発明例4を×印、比較例を黒三角印として表示している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
表1〜3、及び図13〜図15からわかるように、板厚、凸部の突出高さに関わらず、比較例は、平板を基準とした剛性向上の効果が小さいのに対し、本発明例1〜4は、比較例に比べて、曲げ剛性及びねじり剛性が向上の効果が高いことが分かる。
本発明例1〜4について、板厚や凹凸深さにより若干のばらつきはあるものの、凸部として円環状凸部に四角環状凸部を加えた構成の本発明例3及び本発明例4は、本発明例1及び本発明例2に対してパネル剛性をさらに向上する効果があることが分かる。
以上、本発明例1〜4については、パネルの疵つきを防止し、反射光の分散によってパネル材の面ひずみを見えにくくする筋状の凸部を構成しながら、高い曲げ剛性及びねじり剛性を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1A〜1D パネル材
2 基板
3A〜3D 凸部
4A〜4D 環状凸部
5A〜5D 円環状凸部
6 平板部
7,11 円形凸部
8,10 四角環状凸部
9 四角環状凸部の辺
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電筐体や貨物コンテナ、建築構造物、自動車、鉄道車両、航空機、船舶等の構造に用いられるパネル材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家電筐体や貨物コンテナ、建築構造物、自動車などの輸送機器等に用いられるパネル材としては、(1)曲げ剛性及びねじり剛性の向上、(2)疵つきの防止、(3)反射光の分散によって面ひずみを見え難くする等の各種効果が求められている。さらには、近年の省資源化のニーズの高まりから、高い曲げ剛性及びねじり剛性を有しながら軽量であることも求められている。
このような要求に対しては、金属板等の基板に筋状のエンボス加工を施して凸部を形成することが行われているが、この凸部としては、例えば特許文献1に記載されているような図16に示すパネル材のように、平面視直線状あるいは曲線状の突稜複数をランダムに配置したいわゆるメロン筋柄に形成した構成が広く知られている。
上記メロン筋柄の凸部を有するパネル材の場合は、筋状のエンボスを分散配置することでパネルの疵つきを防止し、反射光の分散によって面ひずみを見え難くすることができる。
しかしながら、パネル材に曲げやねじりといった力が作用すると、各突稜の交差部分で該突稜が相互に分断されるため、その分断箇所において基板が局所変形し易いという欠点があった。そのため、パネル材の曲げ剛性やねじり剛性を十分に高めることができないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−286453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、一枚の基板にエンボス加工による凸部が形成されたパネル材において、疵つき防止及び反射光分散による面ひずみを見え難くする効果を得るとともに、高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保することができるパネル材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のパネル材は、一枚の基板にエンボス加工による凸部が形成されたパネル材であって、上記凸部は、少なくとも、平面視環状に形成された複数の環状凸部を有していて、これらの環状凸部を、隣接する環状凸部同士の間の平板部が非直線状となるように配列させていることを特徴とするものである。
【0006】
この発明においては、上記凸部における環状凸部は、平面視円環状に形成された円環状凸部を有していることが好ましい。
この場合において、上記環状凸部は、複数の上記円環状凸部と、上記基板上において四方がこれらの円環状凸部に囲まれた空間に配設された平面視四角環状に形成された複数の四角環状凸部とをそれぞれ有していて、
上記四角環状凸部は、平面視において、上記円環状凸部と同じ曲率の曲線からなる4辺からなり、且つ各辺が対向する円環状凸部の外周部分とそれぞれ平行となるように配置された構成となっているものとすることができる。
また、上記凸部は、上記基板上における上記円環状凸部の内周側に、該円環状凸部と同心の平面視円形状に形成された円形凸部を有しているものとすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板にエンボス加工により形成する凸部を、少なくとも、平面視環状に形成された複数の環状凸部を有したものとして、これらの環状凸部を、隣接する環状凸部同士の間の平板部が非直線状となるように配列させたことにより、凸部の曲げ剛性及びねじり剛性を向上させて、基板における凸部以外の平板部での局所変形を抑えることができる。これにより、パネル材において、高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保することができる。
また、上記環状凸部は、筋状の平面視環状に形成されているため、パネルの疵つきを防止し、反射光の分散によってパネル材の面ひずみを見えにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るパネル材の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同、(a)要部拡大平面図、(b)A−A断面図である。
【図3】本発明に係るパネル材の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】同、(a)要部拡大平面図、(b)B−B断面図である。
【図5】本発明に係るパネル材の第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】同、(a)要部拡大平面図、(b)C−C断面図である。
【図7】本発明に係るパネル材の第4の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】同要部拡大平面図である。
【図9】実施例における本発明例1の寸法を示す断面図である。ただし、図2(a)中のA−A線での断面を示す。
【図10】実施例における本発明例2の寸法を示す断面図である。ただし、図4(a)中のB−B線での断面を示す。
【図11】実施例における本発明例3の寸法を示す断面図である。ただし、(a)は図6(a)中のD−D線での断面を、(b)は図6(a)中のC−C線での断面をそれぞれ示す。
【図12】実施例における本発明例4の寸法を示す断面図である。ただし、図8中のE−E線での断面を示す。
【図13】実施例において基板の板厚t=0.4mmであって、凸部の突出高さがH=0.4mm、H=0.8mm、H=1.2mmの場合の結果をそれぞれ示すグラフである。
【図14】実施例において基板の板厚t=0.6mmであって、凸部の突出高さがH=0.6mm、H=1.2mm、H=1.8mmの場合の結果をそれぞれ示すグラフである。
【図15】実施例において基板の板厚t=0.8mmであって、凸部の突出高さがH=0.8mm、H=1.6mm、H=2.4mmの場合の結果をそれぞれ示すグラフである。
【図16】従来のメロン筋柄の凸部を有するパネル材の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び図2(a),(b)は、本発明のパネル材の第1の実施形態を示すもので、この第1の実施の形態のパネル材1Aは、図1に示すように、一枚の基板2に、エンボス加工による凸部3Aが形成されたパネル材であって、該凸部3Aは、平面視環状に形成された複数の環状凸部4A、さらに具体的には平面視円環状の円環状凸部5Aにより構成されている。
なお、この第1の実施の形態、及び後で述べる第2〜第4の実施の形態では、上記凸部は、いずれも基板の板面の一方側(図1の場合、板面上方側)に突出するようにエンボス加工されたものとなっている。
【0010】
この発明においては、上記基板2として、スチールやステンレス、アルミ、チタン、各種合金等の金属板、あるいは、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂などの合成樹脂を用いることができ、上記環状凸部を該基板に成形するに際しては、金属板の場合はエンボスロールやプレスによるエンボス加工、合成樹脂の場合は射出成形等が用いられる。
また、この発明における基板2の厚さは、パネル材の用途によって決定されるが、例えば家電筐体に使用する場合は0.3〜1.0mm程度、貨物コンテナや建築構造物、自動車等に使用する場合は0.6〜3mm程度が好ましい。
【0011】
上記各円環状凸部5Aは、相互に同形同大の平面視円環状に形成されたもので、側面視において下端側が大きい略等脚台形状に形成され、また、図2(b)に示すように、該円環状凸部5Aの環状の部分における径方向の縦断面の形状が、下端側が大きい略等脚台形状となるように突設させている。さらに、これらの各円環状凸部5Aは、上端面は全周に亘って一定の幅に形成された平坦面状に形成されていて、隣接する円環状凸部5A,5A同士が相互に干渉しないように配設されている。
【0012】
ここで、上記凸部3Aを環状凸部4Aのような平面視環状としたのは、環状の形状が従来のメロン柄筋状の凸部のような筋状の形状に比較的近く、このような環状凸部をパネル面に略均等に配置することで疵つきの抑制を図ることができる上、反射光の分散効果が高くてパネル材の面ひずみを見えにくくできるためである。
さらに、上記環状凸部4Aを平面視円環状の円環状凸部5Aとしたのは、円環状として各環状凸部が相互に接触しないようにすることで、各突稜の交差部分に生じる局所変形を排除し、各環状凸部に作用するあらゆる方向の曲げやねじりに対して高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保できるため、パネル材全体として高い曲げ剛性とびねじり剛性とを得ることができるようにするためである。
【0013】
また、これらの円環状凸部5Aは、上記基板2における該円環状凸部5Aが設けられていない部分、即ち、隣接する円環状凸部5A,5A同士の間の基板2上の空間である平板部6が非直線状となるようにそれぞれ配列されている。
この実施の形態においては、図2(a)に示すように、平面視において、1つの円環状凸部5Aの周囲に、該円環状凸部5Aの円周の中心に対して60°ずつずれるように6つの円環状凸部5Aが所定の間隔且つ相互に干渉しないように配設された構成(図2(a)の場合は千鳥状)となっていて、これにより、平板部6が非直線状となるようにそれぞれ配列されている
このように、円環状凸部5A,5A同士の間の平板部6が非直線状となるようにしたのは、パネル材に曲げやねじりが作用した場合に、該平板部6で局所変形が生じるのを可及的に抑え、パネル材全体としての曲げ剛性及びねじり剛性を一層向上させるためである。
【0014】
さらに、この実施の形態においては、上記円環状凸部5Aの寸法は、用途に応じたパネル材の曲げ剛性及びねじり剛性が確保できる程度に任意に設定することができる。
したがって、図2(a),(b)に示す各円環状凸部5Aは、内径について、上端側を下端側の約4/5程度、外径について、上端側を、下端側の約4/5程度、内径の上端側の約1.6倍程度、突出高さを基板の板厚の約2倍程度に設定しているが、各円環状凸部の内径や外径、突出高さについては、用途に応じたパネル材の曲げ剛性及びねじり剛性が確保できる程度に設定することができる。なお、突出高さについては板厚の0.5〜5倍程度、環状凸部の外径については板厚の5〜50倍程度が好ましい。
【0015】
上記構成を有するパネル材1Aは、基板2に、エンボス加工による凸部3Aを、平面視円環状に形成された複数の円環状凸部5Aにより形成し、これらの円環状凸部5Aを、隣接する円環状凸部5A,5A同士の間の平板部6が非直線状となるように配列させたため、凸部3Aの曲げ剛性及びねじり剛性を向上させると共に、基板2における凸部3A以外の平板部6での局所変形も抑えることができる。
これにより、パネル材全体として、高い曲げ剛性及びねじり剛性を確保することが可能となる。
また、高い曲げ剛性とねじり剛性とを確保できることから、同程度の曲げ剛性及びねじり剛性を有する同じ材質の他のパネル材に比べて基板の厚さを薄くすることができ、これにより、パネル材全体としての重量を軽量化することが可能となる。
さらに、上記円環状凸部5Aは、筋状のエンボスを平面視環状に形成されているため、パネルの疵つきを防止し、反射光の分散によってパネル材の面ひずみを見えにくくすることができる。
【0016】
上記第1の実施の形態においては、凸部3Aの環状凸部4Aを、平面視円環状に形成された円環状凸部5Aとしているが、環状凸部の形状は、平面視形状が環状であれば、円環状以外のものでもよく、例えば、平面視が各種形状の多角環状や楕円形状等、任意の平面視形状のものを採用することができる。
また、上記第1の実施の形態においては、円環状凸部5Aを、側面視の形状を下端側が大きい略等脚台形状となるように基板2から突設させたものとしているが、側面視略矩形状であってもよい。さらに、円環状凸部の環状の部分における径方向の縦断面の形状も、必ずしも下端側が大きい略等脚台形状とする必要はなく、略円弧状や略楕円状、略矩形状、略三角形状等、任意の縦断面形状とすることができる。
さらに、上記凸部は、相互に同形同大に、基板の板面の一方側(図1の場合、板面上方側)に突出するようにエンボス加工される場合に限らず、相互に形状や大きさが異なるもの、基板の表裏の双方(図1の場合、板面の上方側と下方側)に加工されるものであってもよい。
【0017】
上記第1の実施の形態のパネル材1Aでは、エンボス加工による凸部3Aを、環状凸部4Aとして、平面視円環状の複数の円環状凸部5Aのみからなるものとしている。
しかしながら、次に述べる第2の実施の形態においては、上記凸部が、上記円環状凸部とは別に、該円環状凸部と同心の平面視円形状に形成された円形凸部を備えた構成となっている。
即ち、図3及び図4(a),(b)は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、この第2の実施の形態のパネル材1Bは、図3に示すように、基板2上に、相互に同形同大の平面視円環状に形成された、環状凸部4Bとしての複数の円環状凸部5Bと、基板2上におけるこれらの各円環状凸部5Bの内周側にそれぞれ形成された平面視円形状の円形凸部7とからなる、エンボス加工による凸部3Bを有している。
【0018】
上記円形凸部7は、図4(a),(b)に示すように、平面視における外径が上記円環状凸部5Bの内径よりも小さく、且つ側面視の形状が、下端側が大きい略等脚台形状となるように形成された、上端面が平坦面状のものとなっている。
また、各円形凸部7は、図4(a)に示すように、平面視において、その中心位置が、対応する円環状凸部5Bの中心と一致するように該円環状凸部5Bの内周側の空間内に配設されており、これにより、これらの円形凸部7と円環状凸部5Bとは、円形凸部7の外周側と円環状凸部5Bの内周側との間に一定の間隔が保たれた状態で、相互に非接触に配設された状態となっている。
【0019】
この実施の形態においては、図4(b)に示すように、上記円形凸部は、下端側の外径が上記円環状凸部の下端側の内径の約5/8程度、上端側の外径が下端側の外径の約2/3程度、突出高さが円環状凸部5Bと同程度に設定されているが、円形凸部の内径や外径、突出高さについては、用途に応じたパネル材の曲げ剛性及びねじり剛性が確保できる程度に任意に設定することができる。この場合において、突出高さについては板厚の0.5〜5倍程度、環状凸部の外径については板厚の5〜50倍程度が好ましい。
【0020】
なお、上記凸部3Bにおける円環状凸部5B、及び基板2上の平板部6については、上述した第1の実施の形態の円環状凸部5Aと構成(配置含む)及び効果は基本的に同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0021】
上記構成を有する第2の実施の形態のパネル材1Bは、基本的には上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができるが、円環状凸部5Bに加えて円形凸部7を設けたことにより、第1の実施の形態に比べ、円環状凸部5Bの内周側の平坦な面を小さくできるため、疵つき防止の効果と反射光分散によって面ひずみを見え難くする効果とをさらに高めることができる。また、第1の実施の形態と同等のパネル剛性を確保することができる。
【0022】
上記第2の実施の形態においては、上記円形凸部7を、側面視形状を下端側が大きい略等脚台形状としているが、側面視形状は略矩形状であってもよい。
また、上記第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、円環状凸部を、側面視の形状を略等脚台形状以外に側面視略矩形状としてもよいこと、該円環状凸部の環状の部分における径方向の縦断面の形状を任意の縦断面形状としてもよいことは当然である。
【0023】
なお、上記第2の実施の形態においては、凸部3Bにおける環状凸部4Bを円環状凸部5Bとしているが、この環状凸部は、上記第1の実施の形態と同様に、平面視形状が環状であれば、円環状以外のものでもよく、例えば、平面視が各種形状の角環状や楕円形状等、任意の平面視形状のものを採用することができる。このとき、環状凸部の内周側には、上記円形凸部、あるいは円形凸部に代わる平面視略矩形状等の任意の平面視形状のものを、該環状凸部と干渉しないように配設することができる。さらに、上記凸部は、相互に大きさが異なるもの、基板の表裏の双方に加工されるものであってもよい。
【0024】
上記第2の実施の形態のパネル材1Bでは、エンボス加工による凸部3Bを、平面視円環状の複数の円環状凸部5Bと、各円環状凸部5Bの内周側に配設した平面視円形状の円形凸部7とで構成したものとしているが、次に述べる第3の実施の形態においては、凸部である環状凸部が、上記円環状凸部と、平面視略四角環状に形成された四角環状凸部とで形成された構成となっている。
即ち、図5及び図6(a),(b)は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、この第3の実施の形態のパネル材1Cは、図5に示すように、基板2上に、相互に同形同大の平面視円環状に形成された複数の上記円環状凸部5Cと、これらの円環状凸部5Cの外周側に該円環状凸部5Cとは別に設けられた、平面視略四角環状に形成された複数の四角環状凸部8との2種類の環状凸部4Cからなる、エンボス加工による凸部3Cを有している。
【0025】
上記円環状凸部5Cは、この実施の形態においては、各円環状凸部5C相互の配置が上記第1及び第2の実施の形態の円環状凸部5A,5Bとは異なっていて、図5及び図(a)に示すように、平面視において、1つの円環状凸部5Cの周囲に、該円環状凸部5Cの円周の中心に対して90°ずつずれるように4つの円環状凸部5Cを相互に等間隔且つ相互に干渉しない位置に配設させている。したがって、図6(a)に示すものの場合、これらの円環状凸部5Cは、平面視において縦方向及び横方向にそれぞれ直線的に配列させた態様となっている。
なお、これらの各円環状凸部5Cについては、相互の配置以外の基本的な構成及び効果は、上記第1の実施の形態の円環状凸部5Aと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
一方、上記各四角環状凸部8は、図6(a)に示すように、上記基板2上において四方が上記円環状凸部5Cに囲まれた各空間にそれぞれ配設された、いずれも同形同大のものである。
この四角環状凸部8は、平面視において、上記円環状凸部5Cと同じ曲率の曲線からなる4つの辺9からなり、且つ各辺9が対向する円環状凸部5Cの外周部分とそれぞれ平行となるように配置された構成となっている。したがって、各四角環状凸部8を構成する各辺9は、平面視においていずれも四角環状凸部8の内周側向きに凸となるように相互に同じ曲率に湾曲した、同じ長さの曲線となっている。
この実施の形態においては、各四角環状凸部8の各辺9は、平面視において、上記円環状凸部5Cの円周の約1/4程度の円弧の形状と同大同形のものとしている。また、図6(a)に示すように、この四角環状凸部は、平面視において、対角線が縦方向・横方向にそれぞれ延びる態様となっている。
【0027】
また、上記各四角環状凸部8は、四方が上記円環状凸部5Cに囲まれた各空間内における略中央に配設されていて、隣接する円環状凸部5Cや他の四角環状凸部8と相互に非接触で、且つ各辺9と対向する円環状凸部5Cとの間がいずれも相互に等間隔となっている。そして、隣接する環状凸部4C同士、即ち、円環状凸部5C,5C同士や四角環状凸部8,8同士、あるいは円環状凸部5C・四角環状凸部8同士の各間の平板部6が全体として非直線状となるように配列させた態様となっている。
なお、図6(a)に示すものの場合、上記四角環状凸部8は、平面視において縦方向及び横方向にそれぞれ直線的に配列させたものとなっており、したがって、各四角環状凸部8の斜め45°の方向に上記円環状凸部5Cがそれぞれ位置し、これら四角環状凸部8と円環状凸部5Cとが千鳥状に配設された状態となっている。
【0028】
さらに、上記各四角環状凸部8は、図6(b)に示すように、側面視の形状が、下端側が大きい略等脚台形状となるように形成され、各辺9は、その縦断面が、下端側が大きい略等脚台形状となるように突設させた形状となっていて、上端面が一定の幅に形成された平坦面状に形成されたものとなっている。
また、各四角環状凸部8は、いずれも、上記円環状凸部5Cと同じ程度の突出高さとなっている。
【0029】
上記構成を有するこの第3の実施の形態のパネル材1Cは、基本的には上記第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができるが、凸部3Cの環状凸部4Cとして、円環状凸部5Cに加えて四角環状凸部を別に設けたことにより、上記第1の実施の形態に比べ、パネル材全体としての曲げ剛性及びねじり剛性をより高く確保できる。
したがって、同程度の曲げ剛性及びねじり剛性を有する同じ材質の他のパネル材に比べて基板の厚さを一層薄くすることができ、これにより、パネル材全体としての重量の軽量化の促進を図ることができる。
さらに、上記各四角環状凸部8は、上記円環状凸部5Cと同様に平面視環状の筋状に形成されているため、従来のメロン筋柄の凸部のように、パネル材の疵つきを防止し、反射光の分散によってパネル材の面ひずみを見えにくくすることができる。
【0030】
上記第3の実施の形態においては、上記四角環状凸部8を、側面視形状は下端側が大きい略等脚台形状としているが、側面視形状は略矩形状であってもよい。
また、上記第3の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、円環状凸部を、側面視の形状を略等脚台形状以外に側面視略矩形状としてもよいこと、該円環状凸部の環状の部分における径方向の縦断面の形状を任意の縦断面形状としてもよいことはもちろんである。さらに、上記凸部は、相互に大きさが異なるもの、基板の表裏の双方に加工されるものであってもよい。なお、突出高さについては板厚の0.5〜5倍程度、環状凸部の外径については板厚の5〜50倍程度が好ましい。
【0031】
上記第3の実施の形態では、上記凸部3Cを、平面視円環状に形成された複数の円環状凸部5Cと、平面視略四角環状に形成された複数の四角環状凸部8との2種類の環状凸部4Cで構成したものとしている。
しかしながら、次に述べる第4の実施の形態では、上記凸部を、上記第3の実施の形態における円環状凸部及び四角環状凸部からなる環状凸部に、上記第2の実施の形態の構成、即ち、円環状凸部の内周側に、該円環状凸部と同心の平面視円形状に形成された円形凸部を配設した構成を加えたものとしている。
【0032】
即ち、図7及び図8は、本発明の第4の実施の形態を示すもので、この第4の実施の形態のパネル材1Dは、上述した第3の実施の形態と同様、基板2上に、相互に同形同大の平面視円環状に形成された複数の上記円環状凸部5Dと、これらの円環状凸部5Dの外周側に該円環状凸部5Dとは別に設けられた、平面視四角環状に形成された複数の四角環状凸部10との2種類のエンボス加工による環状凸部4D、及び環状凸部4D,4D同士の間の空間である平板部6を有している。
さらに、上述した第2の実施の形態のように、基板2上における上記各円環状凸部5Dの内周側に、その円環状凸部5Dと同心の平面視円形状に形成された、エンボス加工による円形凸部10がそれぞれ配設させたものとなっている。
したがって、この第4の実施の形態におけるパネル材1Dは、複数の円環状凸部5D及び四角環状凸部10の2種類の環状凸部4Dと、円形凸部11とからなる、エンボス加工による凸部3Dを備えた構成となっている。
【0033】
なお、上記円環状凸部5D及び四角環状凸部10の各構成(配置含む)及び効果については上述した第3の実施の形態における円環状凸部5C及び四角環状凸部8と、上記円形凸部11の構成及び効果については上述した第2の実施の形態における円形凸部7と、それぞれ基本的に同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0034】
上記構成を有する第4の実施の形態のパネル材は、基本的には上記第1〜第3の実施の形態と同様の効果を得ることができるが、円環状凸部5Dに加えて四角環状凸部10、さらには円形凸部11をそれぞれ別に設けたことにより、上記第3の実施の形態に比べて、円環状凸部5Dの内周側の平坦な面を小さくできるため、疵つき防止の効果と反射光分散によって面ひずみを見え難くする効果とをさらに高めることができる。また、第3の実施の形態と同等のパネル剛性を確保することができる。
【0035】
上記第4の実施の形態においても、円環状凸部5Dを、側面視の形状を略等脚台形状以外に側面視略矩形状としてもよいこと、また、該円環状凸部5Dの環状の部分における径方向の縦断面の形状を任意の縦断面形状としてもよいこと、さらには、上記四角環状凸部10を、側面視形状を略矩形状としてもよいこと等は、上述した第3の実施の形態と同様である。
また、上記円形凸部11についても、側面視形状は略矩形状であってもよいことは、上記第2の実施の形態と同様である。さらに、上記凸部は、相互に形状や大きさが異なるもの、基板の表裏の双方に加工されるものであってもよい。なお、突出高さについては板厚の0.5〜5倍程度、環状凸部の外形については板厚の5〜50倍程度が好ましい。
【実施例】
【0036】
本発明の効果を確認するため、上記第1〜第4の実施の形態において説明したパネル材と、図16に示す従来のパネル材(「比較例」という。)について、曲げ剛性及びねじり剛性についての比較実験を行った。
この比較実験は、1辺が100mmの平面視正方形の板状のパネル材を用い、曲げ剛性に関する実験については、このパネル材の4隅を固定した上で、パネル材中央に板面に対して直角な方向に荷重を加える一方、ねじり剛性に関する実験については、パネル材の4隅のうちの3隅を固定した上で、残りの1隅に鉛直下方向に荷重を加えることにより、凸部のない平板を基準とした各パネル材の各剛性を評価した。
また、各パネル材については、いずれも同じ組成の鋼製であり、基板の厚さtが0.4mm,0.6mm,0.8mmのものをそれぞれ用い、凸部の突出高さ(基板の板面からの高さ)hを、各基板の板厚の1倍,2倍,3倍としたものを用いた。
【0037】
本発明例としての上記第1,第2,第3,第4の各実施の形態に係るパネル材(以下、それぞれ「本発明例1」,「本発明例2」,「本発明例3」,「本発明例4」という。)について、各構成の寸法は図9〜図12に記載の通りとした。ここで、図9は図2(a)におけるA−A断面、図10は図4(a)におけるB−B断面、図11(a)は図6(a)におけるD−D断面、図11(b)は図6(a)におけるC−C断面、図12は図8におけるE−E断面、の各寸法をそれぞれ示している。
なお、図8における四角環状凸部の寸法及び間隔等は図11(b)と同じとした。また、比較例のパネル材のメロン筋柄について、平面視における各筋状の凸部の長さや方向等についてはランダムで、基板の厚さ及び凸部の突出高さは本発明1〜4と同様に、基板の厚さは0.4mm,0.6mm,0.8mm、凸部の突出高さは各基板の板厚の1倍,2倍,3倍とした。
さらに、本発明例1〜4における円環状凸部については、隣接する円環状凸部の平面視における各中心間の距離を、いずれも10mmとした。
【0038】
結果を下記表1〜表3、及び図13〜図15に示す。なお、結果については、凸部のない平板の曲げ剛性及びねじり剛性を基準(1.00)とした場合における、本発明例1〜4及び比較例の曲げ剛性及びねじり剛性の各比を示したものとしている。また、図13〜図15のグラフにおいては、平板を黒丸印、本発明例1を白抜き丸印、本発明例2を白抜き三角印、本発明例3を白抜き四角印、本発明例4を×印、比較例を黒三角印として表示している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
表1〜3、及び図13〜図15からわかるように、板厚、凸部の突出高さに関わらず、比較例は、平板を基準とした剛性向上の効果が小さいのに対し、本発明例1〜4は、比較例に比べて、曲げ剛性及びねじり剛性が向上の効果が高いことが分かる。
本発明例1〜4について、板厚や凹凸深さにより若干のばらつきはあるものの、凸部として円環状凸部に四角環状凸部を加えた構成の本発明例3及び本発明例4は、本発明例1及び本発明例2に対してパネル剛性をさらに向上する効果があることが分かる。
以上、本発明例1〜4については、パネルの疵つきを防止し、反射光の分散によってパネル材の面ひずみを見えにくくする筋状の凸部を構成しながら、高い曲げ剛性及びねじり剛性を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1A〜1D パネル材
2 基板
3A〜3D 凸部
4A〜4D 環状凸部
5A〜5D 円環状凸部
6 平板部
7,11 円形凸部
8,10 四角環状凸部
9 四角環状凸部の辺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の基板にエンボス加工による凸部が形成されたパネル材であって、
上記凸部は、少なくとも、平面視環状に形成された複数の環状凸部を有していて、これらの環状凸部を、隣接する環状凸部同士の間の平板部が非直線状となるように配列させていることを特徴とするパネル材。
【請求項2】
上記凸部における環状凸部は、平面視円環状に形成された円環状凸部を有していることを特徴とする請求項1に記載のパネル材。
【請求項3】
上記環状凸部は、複数の上記円環状凸部と、上記基板上において四方がこれらの円環状凸部に囲まれた空間に配設された平面視四角環状に形成された複数の四角環状凸部とをそれぞれ有していて、
上記四角環状凸部は、平面視において、上記円環状凸部と同じ曲率の曲線からなる4辺からなり、且つ各辺が対向する円環状凸部の外周部分とそれぞれ平行となるように配置された構成となっていることを特徴とする請求項2に記載のパネル材。
【請求項4】
上記凸部は、上記基板上における上記円環状凸部の内周側に、該円環状凸部と同心の平面視円形状に形成された円形凸部を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のパネル材。
【請求項1】
一枚の基板にエンボス加工による凸部が形成されたパネル材であって、
上記凸部は、少なくとも、平面視環状に形成された複数の環状凸部を有していて、これらの環状凸部を、隣接する環状凸部同士の間の平板部が非直線状となるように配列させていることを特徴とするパネル材。
【請求項2】
上記凸部における環状凸部は、平面視円環状に形成された円環状凸部を有していることを特徴とする請求項1に記載のパネル材。
【請求項3】
上記環状凸部は、複数の上記円環状凸部と、上記基板上において四方がこれらの円環状凸部に囲まれた空間に配設された平面視四角環状に形成された複数の四角環状凸部とをそれぞれ有していて、
上記四角環状凸部は、平面視において、上記円環状凸部と同じ曲率の曲線からなる4辺からなり、且つ各辺が対向する円環状凸部の外周部分とそれぞれ平行となるように配置された構成となっていることを特徴とする請求項2に記載のパネル材。
【請求項4】
上記凸部は、上記基板上における上記円環状凸部の内周側に、該円環状凸部と同心の平面視円形状に形成された円形凸部を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のパネル材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−59805(P2013−59805A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201716(P2011−201716)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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