パネル構造、パネルユニット及びパネル構成方法
【課題】施工作業量を低減しパネル内に配管の配置スペースを確保する。
【解決手段】多角形のパネルと、多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、をそれぞれ備えた複数のパネルユニット10を隣接して配置し、隣接するパネルユニット10に備えられる配管保持部の端を連結して構成したことを特徴とする天井パネル構造100。
【解決手段】多角形のパネルと、多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、をそれぞれ備えた複数のパネルユニット10を隣接して配置し、隣接するパネルユニット10に備えられる配管保持部の端を連結して構成したことを特徴とする天井パネル構造100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル構造、パネルユニット及びパネル構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天井等のパネルの施工は、上階の床スラブの下に吊りボルトを打ち込み、吊りボルトに金属製の下地材料を吊り下げ、下地材料の下面に石膏ボードを取り付けた後石膏ボードの下面に岩綿吸音板を取り付ける工程により行われる(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−148942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパネルの施工工法は、吊りボルトに下地を取り付けてから仕上げ材を取り付けるため作業量が多かった。また、天井内に液体を搬送する配管を敷設する場合には、天井内に別途防水型の配管ラックを設ける必要があった。
【0005】
本発明の目的の一つは、施工作業量を低減しパネル内に配管の配置スペースを確保したパネル構造、パネルユニット及びパネル構成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るパネル構造は、多角形のパネルと、前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、をそれぞれ備えた複数のパネルユニットを隣接して配置し、隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の端を連結して構成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様では、前記隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の側面の間に挟み込まれる防水部材をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記配管保持部の底面の端にそれぞれ設けられた鉤状の突起と、前記隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の底面の端に設けられた鉤状の突起と嵌合し、前記隣接するパネルユニットを連結する連結部材と、をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記連結部材は、前記隣接するパネルユニットに備えられる配管保持部の底面の端に設けられた鉤状の突起のそれぞれと嵌合する枠と、当該枠の内部に配置され、連結時に前記枠と前記鉤状の突起との間に挟み込まれる防水部材とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記隣接して配置された複数のパネルユニットの側面により囲まれる空隙を覆う空隙用パネルをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係るパネルユニットは、多角形のパネルと、前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係るパネル構成方法は、多角形のパネルと、前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、をそれぞれ備えた複数のパネルユニットを、隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の端がそれぞれ向かい合うように配置する工程と、前記隣接するパネルユニットに備えられる配管保持部の端を連結する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、施工作業量を低減しパネル内に配管の配置スペースを確保することができる。
【0014】
本発明の一態様によれば、配管保持部の側面の連結部からの漏水を防水できる。
【0015】
本発明の一態様によれば、パネルユニットを確実に固定できる。
【0016】
本発明の一態様によれば、パネルユニットの連結部からの漏水を防止できる。
【0017】
本発明の一態様によれば、パネルを一面に敷き詰めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本実施形態に係るパネルユニットの構成を示す斜視図である。
【図1B】パネルユニットの平面図である。
【図1C】パネルユニットの側面図である。
【図2】パネルユニットをスラブ下面に吊り下げて設置する作業を説明する図である。
【図3】複数のパネルユニットを設置した場合の配置の一例を示す図である。
【図4A】パネルユニットの連結部分に取り付ける防水部材を示す図である。
【図4B】パネルユニットの連結部分に取り付ける防水部材を示す図である。
【図5A】連結アタッチメントの構成を示す斜視図である。
【図5B】構成アタッチメントの断面図である。
【図6A】連結アタッチメントを取り付ける作業を説明する図である。
【図6B】配管ラックと嵌合した連結アタッチメントの断面図である。
【図7】固定されたパネルユニットの側面により囲まれる空隙を埋める作業を説明する図である。
【図8】天井パネル構造の一例を示す図である。
【図9】パネルの形状を三角形とした場合のパネル構造の一例を示す図である。
【図10】パネルの形状を三角形とした場合のパネル構造の他の例を示す図である。
【図11】パネルの形状を四角形とした場合のパネル構造の一例を示す図である。
【図12】パネルの形状を六角形とした場合のパネル構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0020】
図1Aは、本実施形態に係るパネルユニット10の構成を示す斜視図である。図1Aに示されるように、パネルユニット10は、多角形(本実施形態では正方形)のパネル12と、パネル12の各辺に防水型の配管ラック14(配管保持部)を接合して一体化したものである。また、図1Bには、パネルユニット10の平面図を示し、図1Cにはパネルユニット10の側面図を示した。
【0021】
パネル12は、例えば金属等の防水性のある材料により形成することとしてよく、本実施形態ではパネル面を格子状に形成しているが、パネル12の材料や形状は、パネル12の用途に応じて選択することとしてよい。
【0022】
配管ラック14は、例えば金属等の防水性のある材料により形成することとしてよく、底面と2つの側面から構成されている。配管ラック14の一方の側面はパネル12の辺と接合され、本実施形態に係るパネルユニット10は4つの配管ラック14とパネル12とが一体となり構成されている。図1A及び図1Bに示されるように、配管ラック14はパネル12の外側に位置した状態でパネル12と接合されており、配管ラック14のパネル12と接合する側面の長さは、パネル12の辺の長さと一致するように構成されている。配管ラック14とパネル12とは、それぞれ別々に成型した後にレーザ接合等の接合技術を用いて接合することとしてもよいし、配管ラック14とパネル12とを金型を用いて一体成型することとしてもよい。
【0023】
図1Cに示されるように、配管ラック14の底面の両端(側面が形成されない方の端)には鉤状の突起(鉤状突起16)が形成されている。鉤状突起16は底面の裏面側(配管ラック14の開口側を表面とした場合の裏面)に設けられており、さらに各鉤状突起16は底面の短辺を幅とし底面の中心方向に突起が突出するように設けられている。本実施形態では鉤状突起16の形状はL字型としているがその他の鉤形状としてもよい。
【0024】
図2には、パネルユニット10をスラブ下面に吊り下げて設置する作業を説明する図を示した。図2に示されるように、パネルユニット10は、例えば先行してスラブ下面に設置された先行フレーム50に取り付けたメインボルト52に固定された調整アーム54のそれぞれに、サブボルト56を用いてパネルユニット10の四隅を固定することで設置することとしてよい。なお、図2に示した例では、図面の見やすさのため、調整アーム54とパネルユニット10におけるサブボルト56による固定箇所の一部を省略している。また、上記の例では、パネル12の四隅を吊り下げて固定することとしたが、パネルユニット10の重量や強度によっては、パネル12の吊り下げポイント数を減らしてもよいし(例えば中央の一点にする等)、増やすこととしてもよい。
【0025】
図3には、複数のパネルユニット10を設置した場合の配置の一例を示した。図3に示されるように、複数のパネルユニット10のそれぞれについて配管ラック14の側面同士が接するのではなく、側面の端部(出隅部分)が接するように配置して、各パネルユニット10を設置するようにする。
【0026】
図4A及び図4Bには、パネルユニット10の連結部分に取り付ける防水部材20を示した。図4Aに示されるように、防水部材20はパネルユニット10同士の側面の連結部に設けられるものであり、例えばゴム等の弾力性のある材料を用いて形成することとしてよい。本実施形態に係るパネルユニット10に対しては、パネルユニット10同士の連結につき防水部材20が一組必要となる。そして、図4Bに示されるように、防水部材20は、パネルユニット10同士が連結された場合に、側面の繋ぎ目を塞いで側面からの漏水を防止する機能を果たす。
【0027】
図5A及び図5Bには、パネルユニット10同士を連結すると同時に、連結部の底を構成する連結アタッチメント30を示した。図5Aは連結アタッチメント30の構成を示す斜視図であり、図5Bは連結アタッチメント30の断面図である。
【0028】
図5Aに示されるように、連結アタッチメント30は、パネルユニット10を連結した場合に形成される空隙に合わせて形状が定められ、防水部材32と、配管ラック14の底面に設けられた突起と嵌合する連結枠34とを含む。
【0029】
防水部材32は、パネルユニット10間の空隙を埋める底として機能するものであり、底からの漏水を防止し、さらに後述する連結枠34をパネルユニット10に嵌め合わせる際に隙間が形成されるのを防止するために、ゴム等の弾力性のある材料を用いて形成することとしてよい。防水部材32は、ベース部32Aと凸部32Bとを含み、ベース部32Aは連結枠34の縁に引っかかり連結枠34の内部に収まる大きさに、そして凸部32Bは連結枠34の縁に引っかからず連結枠34から外に突出する大きさに構成されている。
【0030】
図5A及び図5Bに示されるように、連結枠34は、枠の内側に配管ラック14の底面に設けられた突起と嵌合する嵌合部36が形成されている。そして、図5Aに示されるように、連結枠34の内側に防水部材32を入れ込むことで連結アタッチメント30が構成される。
【0031】
図6Aには、連結アタッチメント30をパネルユニット10に取り付ける作業を説明する図を示し、図6Bには、配管ラック14と嵌合した連結アタッチメント30の断面図を示した。
【0032】
図6Aに示されるように、パネルユニット10を連結する際には、隣接して配置されたパネルユニット10間の連結箇所の下方から、連結アタッチメント30の鉤状突起16と、配管ラック14の鉤状突起16とが嵌合するまで連結アタッチメント30を押し込む。こうすることで、図6Bに示されるように、嵌合部36において配管ラック14と連結アタッチメント30が固定されると同時に、連結枠34と配管ラック14との間に防水部材32が挟み込まれ圧着されることにより防水性が確保される。以上の作業を各パネルユニット10の連結部に対して行うことで、各パネルユニット10が一体化され固定される。
【0033】
図7には、固定されたパネルユニット10の側面により囲まれる空隙を埋める作業を説明する図を示した。図7に示されるように、パネルユニット10を連結することで形成される空隙には、当該空隙の形状に合わせたパネル(空隙用パネル40)をパネルユニット10の上方から載せることで天井パネルが構成される。この空隙用パネル40を着脱可能に設けることで、例えば空隙用パネル40を点検口の出入り口として用いることとしてよい。
【0034】
図8には、パネルユニット10を連結し、さらにパネルユニット10間のスペースに空隙用パネル40を埋めることで形成された天井パネル構造100の一例を示す。本実施形態に係るパネルユニット10は、パネルユニット10の数及び配置を変更することで、多様な形状の天井パネルを構成することができる。また、本実施形態に係るパネルユニット10を用いた天井の施工工法によれば、各パネルユニット10をスラブ下面に吊り下げ、パネルユニット10同士を連結アタッチメント30で固定し、空隙用パネル40を設置するという工程で天井を施工することができるため、従来のように吊りボルトに下地を取り付け、下地に仕上げ材を取り付ける工程を行う必要がなくなり、施工工程の作業量を低減することができる。また、本実施形態に係るパネルユニット10には、パネルユニット10同士の連結機能を兼ねた防水型の配管ラック14が一体に構成されているため、配管ラック14を別途構成する場合に比べて施工工程を減らし、さらにはコストも削減できる。そして、本実施形態に係るパネルユニット10間の連結部は防水性能が確保されるため、別途防水対策を行う必要がなくなり、施工工程及びコストを低減することができる。
【0035】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えばパネルユニット10の形状は正方形に限らず、以下に説明するように他の多角形の形状を用いることとしてよい。
【0036】
図9には、パネル12の形状を三角形とした場合のパネル構造の一例を示した。図9に示されるように、パネルユニット10は、三角形のパネル12と、パネル12の各辺に設けられた配管ラック14により構成される。配管ラック14の底面は台形で、側面は長方形の形状である。そして、パネルユニット10の連結部には、3つのパネルユニット10がそれぞれ向かい合って配置されており、空隙用パネル40の形状と連結アタッチメント30の形状はそれぞれ三角形となる。
【0037】
図10には、パネル12の形状を三角形とした場合のパネル構造の他の例を示した。図10に示されるパネルユニット10の構成は、図9に示したものと同じであるが、パネルユニット10の配置が異なっている。すなわち、図10では、パネルユニット10の連結部には、2つのパネルユニット10がそれぞれ向かい合って配置されており、空隙用パネル40の形状は六角形、連結アタッチメント30の形状は菱形となる。
【0038】
図11には、パネル12の形状を四角形(長方形)とした場合のパネル構造の一例を示した。図11に示されるように、パネルユニット10は、四角形のパネル12と、パネル12の各辺に設けられた配管ラック14により構成される。配管ラック14の底面及び側面は四角形の形状である。そして、パネルユニット10の連結部には、2つのパネルユニット10がそれぞれ向かい合って配置されており、空隙用パネル40の形状と連結アタッチメント30の形状はそれぞれ四角形となる。
【0039】
図12には、パネル12の形状を六角形とした場合のパネル構造の一例を示した。図12に示されるように、パネルユニット10は、六角形のパネル12と、パネル12の各辺に設けられた配管ラック14により構成される。配管ラック14の底面は台形で、側面は長方形の形状である。そして、パネルユニット10の連結部には、2つのパネルユニット10がそれぞれ向かい合って配置されており、空隙用パネル40の形状は三角形、連結アタッチメント30の形状は菱形となる。
【0040】
本発明に係るパネルの形状は上述した実施形態に限られるものではない。そして、天井パネルに吸音性が求められる場合には、パネルに吸音性の材料を用いるか、あるいは、パネルの上に吸音性のシート等を設置することとしてもよい。
【0041】
また、本発明は天井を構成する以外にも床や壁を構成する用途に対して適用することとしても構わない。なお、本発明に係る連結アタッチメント30は、配管の連結に用いることもでき、そうした場合には気体や液体を搬送する搬送路を固定すると共に気密性を確保することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 パネルユニット、12 パネル、14 配管ラック、16 鉤状突起、20 防水部材、30 連結アタッチメント、32 防水部材、32A ベース部、32B 凸部、34 連結枠、36 嵌合部、40 空隙用パネル、50 先行フレーム、52 メインボルト、54 調整アーム、56 サブボルト、100 天井パネル構造。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル構造、パネルユニット及びパネル構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天井等のパネルの施工は、上階の床スラブの下に吊りボルトを打ち込み、吊りボルトに金属製の下地材料を吊り下げ、下地材料の下面に石膏ボードを取り付けた後石膏ボードの下面に岩綿吸音板を取り付ける工程により行われる(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−148942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパネルの施工工法は、吊りボルトに下地を取り付けてから仕上げ材を取り付けるため作業量が多かった。また、天井内に液体を搬送する配管を敷設する場合には、天井内に別途防水型の配管ラックを設ける必要があった。
【0005】
本発明の目的の一つは、施工作業量を低減しパネル内に配管の配置スペースを確保したパネル構造、パネルユニット及びパネル構成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るパネル構造は、多角形のパネルと、前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、をそれぞれ備えた複数のパネルユニットを隣接して配置し、隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の端を連結して構成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様では、前記隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の側面の間に挟み込まれる防水部材をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記配管保持部の底面の端にそれぞれ設けられた鉤状の突起と、前記隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の底面の端に設けられた鉤状の突起と嵌合し、前記隣接するパネルユニットを連結する連結部材と、をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記連結部材は、前記隣接するパネルユニットに備えられる配管保持部の底面の端に設けられた鉤状の突起のそれぞれと嵌合する枠と、当該枠の内部に配置され、連結時に前記枠と前記鉤状の突起との間に挟み込まれる防水部材とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記隣接して配置された複数のパネルユニットの側面により囲まれる空隙を覆う空隙用パネルをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係るパネルユニットは、多角形のパネルと、前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係るパネル構成方法は、多角形のパネルと、前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、をそれぞれ備えた複数のパネルユニットを、隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の端がそれぞれ向かい合うように配置する工程と、前記隣接するパネルユニットに備えられる配管保持部の端を連結する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、施工作業量を低減しパネル内に配管の配置スペースを確保することができる。
【0014】
本発明の一態様によれば、配管保持部の側面の連結部からの漏水を防水できる。
【0015】
本発明の一態様によれば、パネルユニットを確実に固定できる。
【0016】
本発明の一態様によれば、パネルユニットの連結部からの漏水を防止できる。
【0017】
本発明の一態様によれば、パネルを一面に敷き詰めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本実施形態に係るパネルユニットの構成を示す斜視図である。
【図1B】パネルユニットの平面図である。
【図1C】パネルユニットの側面図である。
【図2】パネルユニットをスラブ下面に吊り下げて設置する作業を説明する図である。
【図3】複数のパネルユニットを設置した場合の配置の一例を示す図である。
【図4A】パネルユニットの連結部分に取り付ける防水部材を示す図である。
【図4B】パネルユニットの連結部分に取り付ける防水部材を示す図である。
【図5A】連結アタッチメントの構成を示す斜視図である。
【図5B】構成アタッチメントの断面図である。
【図6A】連結アタッチメントを取り付ける作業を説明する図である。
【図6B】配管ラックと嵌合した連結アタッチメントの断面図である。
【図7】固定されたパネルユニットの側面により囲まれる空隙を埋める作業を説明する図である。
【図8】天井パネル構造の一例を示す図である。
【図9】パネルの形状を三角形とした場合のパネル構造の一例を示す図である。
【図10】パネルの形状を三角形とした場合のパネル構造の他の例を示す図である。
【図11】パネルの形状を四角形とした場合のパネル構造の一例を示す図である。
【図12】パネルの形状を六角形とした場合のパネル構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0020】
図1Aは、本実施形態に係るパネルユニット10の構成を示す斜視図である。図1Aに示されるように、パネルユニット10は、多角形(本実施形態では正方形)のパネル12と、パネル12の各辺に防水型の配管ラック14(配管保持部)を接合して一体化したものである。また、図1Bには、パネルユニット10の平面図を示し、図1Cにはパネルユニット10の側面図を示した。
【0021】
パネル12は、例えば金属等の防水性のある材料により形成することとしてよく、本実施形態ではパネル面を格子状に形成しているが、パネル12の材料や形状は、パネル12の用途に応じて選択することとしてよい。
【0022】
配管ラック14は、例えば金属等の防水性のある材料により形成することとしてよく、底面と2つの側面から構成されている。配管ラック14の一方の側面はパネル12の辺と接合され、本実施形態に係るパネルユニット10は4つの配管ラック14とパネル12とが一体となり構成されている。図1A及び図1Bに示されるように、配管ラック14はパネル12の外側に位置した状態でパネル12と接合されており、配管ラック14のパネル12と接合する側面の長さは、パネル12の辺の長さと一致するように構成されている。配管ラック14とパネル12とは、それぞれ別々に成型した後にレーザ接合等の接合技術を用いて接合することとしてもよいし、配管ラック14とパネル12とを金型を用いて一体成型することとしてもよい。
【0023】
図1Cに示されるように、配管ラック14の底面の両端(側面が形成されない方の端)には鉤状の突起(鉤状突起16)が形成されている。鉤状突起16は底面の裏面側(配管ラック14の開口側を表面とした場合の裏面)に設けられており、さらに各鉤状突起16は底面の短辺を幅とし底面の中心方向に突起が突出するように設けられている。本実施形態では鉤状突起16の形状はL字型としているがその他の鉤形状としてもよい。
【0024】
図2には、パネルユニット10をスラブ下面に吊り下げて設置する作業を説明する図を示した。図2に示されるように、パネルユニット10は、例えば先行してスラブ下面に設置された先行フレーム50に取り付けたメインボルト52に固定された調整アーム54のそれぞれに、サブボルト56を用いてパネルユニット10の四隅を固定することで設置することとしてよい。なお、図2に示した例では、図面の見やすさのため、調整アーム54とパネルユニット10におけるサブボルト56による固定箇所の一部を省略している。また、上記の例では、パネル12の四隅を吊り下げて固定することとしたが、パネルユニット10の重量や強度によっては、パネル12の吊り下げポイント数を減らしてもよいし(例えば中央の一点にする等)、増やすこととしてもよい。
【0025】
図3には、複数のパネルユニット10を設置した場合の配置の一例を示した。図3に示されるように、複数のパネルユニット10のそれぞれについて配管ラック14の側面同士が接するのではなく、側面の端部(出隅部分)が接するように配置して、各パネルユニット10を設置するようにする。
【0026】
図4A及び図4Bには、パネルユニット10の連結部分に取り付ける防水部材20を示した。図4Aに示されるように、防水部材20はパネルユニット10同士の側面の連結部に設けられるものであり、例えばゴム等の弾力性のある材料を用いて形成することとしてよい。本実施形態に係るパネルユニット10に対しては、パネルユニット10同士の連結につき防水部材20が一組必要となる。そして、図4Bに示されるように、防水部材20は、パネルユニット10同士が連結された場合に、側面の繋ぎ目を塞いで側面からの漏水を防止する機能を果たす。
【0027】
図5A及び図5Bには、パネルユニット10同士を連結すると同時に、連結部の底を構成する連結アタッチメント30を示した。図5Aは連結アタッチメント30の構成を示す斜視図であり、図5Bは連結アタッチメント30の断面図である。
【0028】
図5Aに示されるように、連結アタッチメント30は、パネルユニット10を連結した場合に形成される空隙に合わせて形状が定められ、防水部材32と、配管ラック14の底面に設けられた突起と嵌合する連結枠34とを含む。
【0029】
防水部材32は、パネルユニット10間の空隙を埋める底として機能するものであり、底からの漏水を防止し、さらに後述する連結枠34をパネルユニット10に嵌め合わせる際に隙間が形成されるのを防止するために、ゴム等の弾力性のある材料を用いて形成することとしてよい。防水部材32は、ベース部32Aと凸部32Bとを含み、ベース部32Aは連結枠34の縁に引っかかり連結枠34の内部に収まる大きさに、そして凸部32Bは連結枠34の縁に引っかからず連結枠34から外に突出する大きさに構成されている。
【0030】
図5A及び図5Bに示されるように、連結枠34は、枠の内側に配管ラック14の底面に設けられた突起と嵌合する嵌合部36が形成されている。そして、図5Aに示されるように、連結枠34の内側に防水部材32を入れ込むことで連結アタッチメント30が構成される。
【0031】
図6Aには、連結アタッチメント30をパネルユニット10に取り付ける作業を説明する図を示し、図6Bには、配管ラック14と嵌合した連結アタッチメント30の断面図を示した。
【0032】
図6Aに示されるように、パネルユニット10を連結する際には、隣接して配置されたパネルユニット10間の連結箇所の下方から、連結アタッチメント30の鉤状突起16と、配管ラック14の鉤状突起16とが嵌合するまで連結アタッチメント30を押し込む。こうすることで、図6Bに示されるように、嵌合部36において配管ラック14と連結アタッチメント30が固定されると同時に、連結枠34と配管ラック14との間に防水部材32が挟み込まれ圧着されることにより防水性が確保される。以上の作業を各パネルユニット10の連結部に対して行うことで、各パネルユニット10が一体化され固定される。
【0033】
図7には、固定されたパネルユニット10の側面により囲まれる空隙を埋める作業を説明する図を示した。図7に示されるように、パネルユニット10を連結することで形成される空隙には、当該空隙の形状に合わせたパネル(空隙用パネル40)をパネルユニット10の上方から載せることで天井パネルが構成される。この空隙用パネル40を着脱可能に設けることで、例えば空隙用パネル40を点検口の出入り口として用いることとしてよい。
【0034】
図8には、パネルユニット10を連結し、さらにパネルユニット10間のスペースに空隙用パネル40を埋めることで形成された天井パネル構造100の一例を示す。本実施形態に係るパネルユニット10は、パネルユニット10の数及び配置を変更することで、多様な形状の天井パネルを構成することができる。また、本実施形態に係るパネルユニット10を用いた天井の施工工法によれば、各パネルユニット10をスラブ下面に吊り下げ、パネルユニット10同士を連結アタッチメント30で固定し、空隙用パネル40を設置するという工程で天井を施工することができるため、従来のように吊りボルトに下地を取り付け、下地に仕上げ材を取り付ける工程を行う必要がなくなり、施工工程の作業量を低減することができる。また、本実施形態に係るパネルユニット10には、パネルユニット10同士の連結機能を兼ねた防水型の配管ラック14が一体に構成されているため、配管ラック14を別途構成する場合に比べて施工工程を減らし、さらにはコストも削減できる。そして、本実施形態に係るパネルユニット10間の連結部は防水性能が確保されるため、別途防水対策を行う必要がなくなり、施工工程及びコストを低減することができる。
【0035】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えばパネルユニット10の形状は正方形に限らず、以下に説明するように他の多角形の形状を用いることとしてよい。
【0036】
図9には、パネル12の形状を三角形とした場合のパネル構造の一例を示した。図9に示されるように、パネルユニット10は、三角形のパネル12と、パネル12の各辺に設けられた配管ラック14により構成される。配管ラック14の底面は台形で、側面は長方形の形状である。そして、パネルユニット10の連結部には、3つのパネルユニット10がそれぞれ向かい合って配置されており、空隙用パネル40の形状と連結アタッチメント30の形状はそれぞれ三角形となる。
【0037】
図10には、パネル12の形状を三角形とした場合のパネル構造の他の例を示した。図10に示されるパネルユニット10の構成は、図9に示したものと同じであるが、パネルユニット10の配置が異なっている。すなわち、図10では、パネルユニット10の連結部には、2つのパネルユニット10がそれぞれ向かい合って配置されており、空隙用パネル40の形状は六角形、連結アタッチメント30の形状は菱形となる。
【0038】
図11には、パネル12の形状を四角形(長方形)とした場合のパネル構造の一例を示した。図11に示されるように、パネルユニット10は、四角形のパネル12と、パネル12の各辺に設けられた配管ラック14により構成される。配管ラック14の底面及び側面は四角形の形状である。そして、パネルユニット10の連結部には、2つのパネルユニット10がそれぞれ向かい合って配置されており、空隙用パネル40の形状と連結アタッチメント30の形状はそれぞれ四角形となる。
【0039】
図12には、パネル12の形状を六角形とした場合のパネル構造の一例を示した。図12に示されるように、パネルユニット10は、六角形のパネル12と、パネル12の各辺に設けられた配管ラック14により構成される。配管ラック14の底面は台形で、側面は長方形の形状である。そして、パネルユニット10の連結部には、2つのパネルユニット10がそれぞれ向かい合って配置されており、空隙用パネル40の形状は三角形、連結アタッチメント30の形状は菱形となる。
【0040】
本発明に係るパネルの形状は上述した実施形態に限られるものではない。そして、天井パネルに吸音性が求められる場合には、パネルに吸音性の材料を用いるか、あるいは、パネルの上に吸音性のシート等を設置することとしてもよい。
【0041】
また、本発明は天井を構成する以外にも床や壁を構成する用途に対して適用することとしても構わない。なお、本発明に係る連結アタッチメント30は、配管の連結に用いることもでき、そうした場合には気体や液体を搬送する搬送路を固定すると共に気密性を確保することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 パネルユニット、12 パネル、14 配管ラック、16 鉤状突起、20 防水部材、30 連結アタッチメント、32 防水部材、32A ベース部、32B 凸部、34 連結枠、36 嵌合部、40 空隙用パネル、50 先行フレーム、52 メインボルト、54 調整アーム、56 サブボルト、100 天井パネル構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形のパネルと、
前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、
をそれぞれ備えた複数のパネルユニットを隣接して配置し、
隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の端を連結して構成したことを特徴とするパネル構造。
【請求項2】
前記隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の側面の間に挟み込まれる防水部材をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項3】
前記配管保持部の底面の端にそれぞれ設けられた鉤状の突起と、
前記隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の底面の端に設けられた鉤状の突起と嵌合し、前記隣接するパネルユニットを連結する連結部材と、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル構造。
【請求項4】
前記連結部材は、前記隣接するパネルユニットに備えられる配管保持部の底面の端に設けられた鉤状の突起のそれぞれと嵌合する枠と、当該枠の内部に配置され、連結時に前記枠と前記鉤状の突起との間に挟み込まれる防水部材とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項5】
前記隣接して配置された複数のパネルユニットの側面により囲まれる空隙を覆う空隙用パネルをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項6】
多角形のパネルと、
前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、
を備えたことを特徴とするパネルユニット。
【請求項7】
多角形のパネルと、前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、をそれぞれ備えた複数のパネルユニットを、隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の端がそれぞれ向かい合うように配置する工程と、
前記隣接するパネルユニットに備えられる配管保持部の端を連結する工程と、
を含むことを特徴とするパネル構成方法。
【請求項1】
多角形のパネルと、
前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、
をそれぞれ備えた複数のパネルユニットを隣接して配置し、
隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の端を連結して構成したことを特徴とするパネル構造。
【請求項2】
前記隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の側面の間に挟み込まれる防水部材をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項3】
前記配管保持部の底面の端にそれぞれ設けられた鉤状の突起と、
前記隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の底面の端に設けられた鉤状の突起と嵌合し、前記隣接するパネルユニットを連結する連結部材と、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル構造。
【請求項4】
前記連結部材は、前記隣接するパネルユニットに備えられる配管保持部の底面の端に設けられた鉤状の突起のそれぞれと嵌合する枠と、当該枠の内部に配置され、連結時に前記枠と前記鉤状の突起との間に挟み込まれる防水部材とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項5】
前記隣接して配置された複数のパネルユニットの側面により囲まれる空隙を覆う空隙用パネルをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項6】
多角形のパネルと、
前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、
を備えたことを特徴とするパネルユニット。
【請求項7】
多角形のパネルと、前記多角形のパネルの各辺にそれぞれ設けられ、底面と両側面とを有し、一方の側面が前記多角形のパネルの一辺と接合された配管保持部と、をそれぞれ備えた複数のパネルユニットを、隣接するパネルユニットに備えられる前記配管保持部の端がそれぞれ向かい合うように配置する工程と、
前記隣接するパネルユニットに備えられる配管保持部の端を連結する工程と、
を含むことを特徴とするパネル構成方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−127348(P2011−127348A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287499(P2009−287499)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
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