説明

パネル構造及び記録装置

【課題】組立作業性が改善でき、且つ、外観を損なうことがないパネル構造及び記録装置を提供する。
【解決手段】パネル本体30の一辺に沿って立設されたリブ部31と嵌合する溝部41を備える化粧ベルト40がパネル本体30の一辺に沿って取り付けられる操作パネル20であって、リブ部31上の所定局部に立設された嵌合凸部32と、溝部41内に設けられて、嵌合凸部32と嵌合する嵌合凹部42とを有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル構造及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に記録処理を実施する記録装置は、例えば記録ヘッドを備えてインクジェットによる記録処理を実施する形態や、感光体に静電潜像を形成し、トナー像を記録媒体に転写して記録処理を実施する形態等がある。
記録装置は、例えば下記特許文献1のように、所定の情報を表示する表示部や所定の情報を入力するボタン部を有する操作パネルを備えて、ユーザーが該操作パネルを操作することで記録処理に係る所望の設定や操作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−81248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外観の向上を図るために、操作パネルの一辺に沿って化粧部材を取り付けることがなされている。当該取り付けは、例えば、パネル本体の一辺に沿ってリブ部を設け、一方の化粧部材にリブ部と嵌合する溝部を設け、両者を嵌合させて仮止めをした後、パネル本体と挟持部材との間で化粧部材を挟み込む組立作業にて行う。
しかしながら、化粧部材は、パネル本体の一辺に沿う長さを有するため、リブ部に対して反るような変形が生じ易い。また、装置の仕様によってはスペースの問題で、リブ部の高さを確保することが難しい場合がある。このため、仮止めの際に、化粧部材がパネル本体から容易に外れてしまうという問題がある。したがって、従来では、化粧部材を指で押さえながら、という煩雑な組立作業を行わなければならなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、組立作業性が改善でき、且つ、外観を損なうことがないパネル構造及び記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、パネル本体の一辺に沿って立設されたリブ部と嵌合する溝部を備える化粧部材が上記パネル本体の一辺に沿って取り付けられるパネル構造であって、上記リブ部上の所定局部に立設された嵌合凸部と、上記溝部内に設けられて、上記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、リブ部と溝部との嵌合に加えて、リブ部と溝部との間で局部的に嵌合する第2の嵌合箇所を設けることによって、パネル本体からの化粧部材の外れを防止する。また、第2の嵌合箇所を構成する嵌合凸部はリブ部上に立設され、一方の嵌合凹部は溝部内に設けられるので、パネル構造の外観は保たれる。
【0007】
また、本発明においては、上記嵌合凸部及び上記嵌合凹部は、上記パネル本体の一辺の両端部に対応する位置にそれぞれ設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、パネル本体の一辺の両端部において局部的に嵌合させることで、化粧部材のリブ部に対する反りを規制する。
【0008】
また、本発明においては、上記嵌合凹部は、第1面に形成された上記溝部の底部を、上記第1面と逆側の第2面に開口するように貫通して形成された貫通穴を有し、上記嵌合凸部は、上記貫通穴を上記第1面側から通過して上記第2面に係合するフック部が設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、フック部を、溝部の底部を貫通する貫通穴を通して該溝部が形成された第1面と逆側の第2面にて係合させることで、リブ部と溝部との嵌合方向における離間を規制する。
【0009】
また、本発明においては、上記第1面は、上記パネル本体への当接面であり、上記第2面は、上記パネル本体との間で上記化粧部材を挟持する挟持部材への第2当接面に形成された凹部に設けられ、上記嵌合凸部の厚さは、上記第2面と上記第2当接面との間の距離よりも小さいという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、挟持部材が当接する第2当接面への嵌合凸部の突出を避けて、パネル本体と挟持部材との間で化粧部材を適切に挟持させる。
【0010】
また、本発明においては、先に記載のパネル構造を有する記録装置を採用する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における操作パネルを示す右側面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるパネル本体の要部を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態における化粧ベルトを示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるパネル本体と化粧ベルトとの仮止めの様子を示す図である。
【図6】本発明の実施形態における操作パネルの要部拡大斜視図である。
【図7】図6が示す要部の線視A−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るパネル構造及び記録装置の実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、本発明に係るパネル構造を有する記録装置として、操作パネルを有するインクジェット式プリンター(以下、インクジェットプリンターと称する)を例示する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1を示す斜視図である。
インクジェットプリンター1は、記録用紙(記録媒体)をスタックするスタック部10と、ユーザーが所定の情報を入力する操作パネル20とを有する。
【0014】
スタック部10は、ハウジング2に形成された取出口3において、給紙トレイ11上に排紙トレイ12が設けられる構成となっている。給紙トレイ11は、記録用紙の取出方向下流側(装置手前側)に引き出し可能な構成となっている。
操作パネル20は、スタック部10の上部に設けられており、ハウジング2と同一面を形成する基準角度から所定の角度へと変位可能なチルト機構を備える。また、操作パネル20には、後述する化粧ベルト(化粧部材)40がパネルの上部の長辺に沿って取り付けられており、基準角度に位置するときに、ハウジング2に設けられた化粧ベルト2aと連続的なラインデザインを構成する。
【0015】
インクジェットプリンター1は、操作パネル20から指令が入力されると、給紙トレイ11にスタックされている記録用紙を一枚ずつピックアップして、ハウジング2内に配置された不図示の記録ヘッドを走査させ、記録用紙にインクを噴射し、文字や画像等の所望の情報を記録する記録処理を実施する。記録処理を経た記録用紙は、給紙トレイ11上に配置された排紙トレイ12上に排紙されてスタックされる。
【0016】
次に、図2〜図5を参照して、本実施形態の操作パネル20の構成について詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態における操作パネル20を示す右側面図である。
図3は、本発明の実施形態におけるパネル本体30の要部を示す斜視図である。
図4は、本発明の実施形態における化粧ベルト40を示す斜視図である。
図5は、本発明の実施形態におけるパネル本体30と化粧ベルト40との仮止めの様子を示す図である。
図6は、本発明の実施形態における操作パネル20の要部拡大斜視図である。
図7は、図6が示す要部の線視A−A断面図である。
【0017】
図2に示すように、操作パネル20は、操作パネル20の前方の外装を構成すると共に表示部及びボタン部が設けられるパネル本体30と、パネル本体30の一辺に沿って設けられる化粧ベルト40と、操作パネル20の後方の外装を構成すると共にパネル本体30との間で化粧ベルト40を挟持するロアカバー(挟持部材)50とを有する。なお、ロアカバー50には、回転軸51が設けられており、操作パネル20は、該回転軸51を中心に所望の角度に変位可能な構成となっている。
【0018】
図3に示すように、パネル本体30は、化粧ベルト40が取り付けられる一辺に沿って立設されたリブ部31を有する。リブ部31は、パネル本体30の端面30aから所定高さで設けられ、パネル本体30の一辺の全体に亘って延在している。
このリブ部31上の局部には、嵌合凸部32が設けられる。本実施形態の嵌合凸部32は、パネル本体30の一辺の両端部に対応する位置に設けられる。嵌合凸部32の先端部には、立設方向と直交する方向に屈曲した形状のフック部33が設けられる。
【0019】
図4に示すように、化粧ベルト40は、リブ部31と嵌合する溝部41と、嵌合凸部32と嵌合する嵌合凹部42とを有する。図4(b)に示すように、溝部41は、パネル本体30への当接面となる化粧ベルト40の下面(第1面,当接面)40aに形成されている。溝部41は、リブ部31の高さに対応した深さを有し、リブ部31と同様の幅を有する。また、化粧ベルト40には、ロアカバー50への当接面である上面(第2当接面)40bが設けられる。下面40aと上面40bとは、溝部41の深さ方向において互いに逆側となるように配置される。
【0020】
溝部41内の局部には、嵌合凹部42が設けられる。本実施形態の嵌合凹部42は、嵌合凸部32と同様に、パネル本体30の一辺の両端部に対応する位置に設けられる。図4(a)に示すように、嵌合凹部42は、下面40aに形成された溝部41の底部を貫通する貫通穴43を有する。貫通穴43は、下面40aと逆側の上面40b及び、上面40bから所定深さ掘り込まれた凹部44の係合面(第2面)44aに開口するように形成されている。また、貫通穴43は、嵌合凸部32の幅より大きく(図5、図6参照後述)なるように形成されている。
【0021】
続いて、上記構成のパネル本体30と化粧ベルト40との仮止めについて説明する。
図5に示すように、化粧ベルト40は、パネル本体30の一辺に沿って延在する形状を有するため、リブ部31に対して反るような変形(図5において2点鎖線で示す)が生じ易い。また、化粧ベルト40をポリプロピレン等の可撓性を有する樹脂材で構成すると、反りが大きくなり、外れ易くなる。
本実施形態では、パネル本体30の一端部においてパネル本体30の嵌合凸部32と化粧ベルト40の嵌合凹部42とを嵌合させ、該一端部から他端部に向かってパネル本体30のリブ部31と化粧ベルト40の溝部41とを合わせ込み、パネル本体30の他端部においてパネル本体30の嵌合凸部32と化粧ベルト40の嵌合凹部42とを嵌合させることで仮止めを行う。このように、本実施形態では、パネル本体30の一辺の両端部において局部的にパネル本体30と化粧ベルト40とを嵌合させ、化粧ベルト40のリブ部31に対する反りを規制する。
【0022】
図6及び図7に示すように、嵌合凹部42は、溝部41の底部を貫通して形成された貫通穴43を有し、嵌合凸部32のフック部33は、貫通穴43を下面40a側から通過して下面40aの逆側の係合面44aに係合する。図7に示すように、フック部33の長さは、貫通穴43より大きく、フック部33は、圧入により貫通穴43を通過する。なお、貫通穴43は、嵌合凸部32(フック部33)の長さ方向と直交する方向の幅より大きくなるように形成され、フック部33の圧入による変形代を確保している(図6参照)。フック部33が貫通穴43を通過して係合面44aに乗り上がると、化粧ベルト40がフック部33と端面30aとの間で挟み込まれ、リブ部31と溝部41との嵌合方向における離間が規制される。
【0023】
また、図7に示すように、嵌合凸部32の厚さは、係合面44aと上面40bとの間の距離よりも小さくなるように設計されている。これにより、本実施形態では、ロアカバー50が当接する上面40bへの嵌合凸部32の突出を避けて、パネル本体30とロアカバー50との間で化粧ベルト40を適切に挟持させることが可能となる。
【0024】
したがって、上述した本実施形態によれば、パネル本体30の一辺に沿って立設されたリブ部31と嵌合する溝部41を備える化粧ベルト40がパネル本体30の一辺に沿って取り付けられる操作パネル20であって、リブ部31上の所定局部に立設された嵌合凸部32と、溝部41内に設けられて、嵌合凸部32と嵌合する嵌合凹部42とを有するという構成を採用し、リブ部31と溝部41との嵌合に加えて、リブ部31と溝部41との間で局部的に嵌合する第2の嵌合箇所を設けることによって、パネル本体30からの化粧ベルト40の外れを防止する。また、第2の嵌合箇所を構成する嵌合凸部32はリブ部31上に立設され、一方の嵌合凹部42は溝部41内に設けられるので、操作パネル20の外観は保たれる。
したがって、本実施形態では、組立作業性が改善でき、且つ、外観を損なうことがない操作パネル20が得られる。
【0025】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0026】
例えば、上述の実施形態においては、記録装置がインクジェットプリンター1である場合を例にして説明したが、インクジェットプリンターに限られず、複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1…インクジェットプリンター(記録装置)、20…操作パネル(パネル構造)、30…パネル本体、31…リブ部、32…嵌合凸部、33…フック部、40…化粧ベルト(化粧部材)、40a…下面(第1面,当接面)、40b…上面(第2の当接面)、41…溝部、42…嵌合凹部、43…貫通穴、44…凹部、44a…係合面、50…ロアカバー(挟持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル本体の一辺に沿って立設されたリブ部と嵌合する溝部を備える化粧部材が前記パネル本体の一辺に沿って取り付けられるパネル構造であって、
前記リブ部上の所定局部に立設された嵌合凸部と、
前記溝部内に設けられて、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部とを有することを特徴とするパネル構造。
【請求項2】
前記嵌合凸部及び前記嵌合凹部は、前記パネル本体の一辺の両端部に対応する位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項3】
前記嵌合凹部は、第1面に形成された前記溝部の底部を、前記第1面と逆側の第2面に開口するように貫通して形成された貫通穴を有し、
前記嵌合凸部は、前記貫通穴を前記第1面側から通過して前記第2面に係合するフック部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のパネル構造。
【請求項4】
前記第1面は、前記パネル本体への当接面であり、
前記第2面は、前記パネル本体との間で前記化粧部材を挟持する挟持部材への第2当接面に形成された凹部に設けられ、
前記嵌合凸部の厚さは、前記第2面と前記第2当接面との間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のパネル構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のパネル構造を有することを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−102018(P2011−102018A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258623(P2009−258623)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】