説明

パネル構造

【課題】小型の押出装置を用いて成形することができると共に、軽量で、強度を有し、かつ安価な押出し形材を用いて作ることができるパネル構造を提供する。
【解決手段】中空押出形材22は、嵌め込み凹部22dと段差部22fが形成され、中空押出形材24は、嵌め込み凸部24dと段差部24fが形成され、嵌め込み凹部22dに嵌め込み凸部24dが嵌め込まれると共に、段差部22fと段差部24fが係合した部分を摩擦撹拌接合手段により接合することにより、中空押出形材22,24が接続されて形成されたパネル構造20であって、中空押出形材22,24のそれぞれは、その押出し断面の内部空洞中に、その肉厚方向に対して傾いた方向の肉厚を有する補強板部34,36,46,48が、中空押出形材22,24の長さ方向に沿って形成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フリーアクセスフロアに用いられるフロアパネル等のパネル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリーアクセスフロアに用いられるフロアパネルは、建築構造物のコンクリートを用いた基礎床面である第1の床部分の上方に空間を隔てて設けた第2の床部分を有して二重床構造を構成するフリーアクセスフロア構造において、その第2の床部分に用いられるものである。
【0003】
従来のフロアパネルには、特許文献1の図1に示すように、内部に多数の補強板が一体成形された中空押出形材であって、その上面の平面形状が略正方形に形成された、支持脚3と共にフリーアクセスフロアを構成するフロアパネル2があった(特許文献1参照)。
【0004】
この従来のフロアパネル2は、コンクリートを用いた基礎床面1上に立設された支持脚3により、その四隅部を下側から支持されるようになっていた。そしてフロアパネル2は、基礎床面1から上方に離れた水平面において、上から見て縦横二軸両方向に互いに隣合うように整列して、水平面上に複数配置されるようになっていた。
【0005】
特許文献1の図1に示すように、従来のフロアパネル2は、その下方に床下空間を形成するようになっており、この床下空間に電気機器のコード等を配線することができる二重床構造になっていた。
【0006】
そして、従来のフロアパネル2は、特許文献1の図2に示すように、互いに上下方向に対向するように所定の間隔をおいて上下に配置された平板状の天板部5及び底板部6と、これらの天板部5と底板部6とを連結するように、それらの間に垂直に立設された平板状の連結板部7とにより構成されていた。
【0007】
この従来のフロアパネル2は、アルミニウム製の中空押出形材により形成されており、その天板部5と底板部6と連結板部7とが押出し成形により一体的に形成されるようになっていた。
【0008】
このような従来のフロアパネル2は、アルミニウム製の中空構造になっており、その内部に複数の連結板部7を一体的に有する構造となっているため、その重量を軽いものにすることができると共に、その強度を強いものにすることができるようになっていた。
【0009】
また、上記従来のフロアパネル2は、その天板部5と底板部6と連結板部7とが押出し成形により一体的に形成されるようになっているため、その製作を容易なものにすることができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平5−83168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1の図2に示す従来のフロアパネル2においては、その外形形状の全てを押出し成形により一体形成されるようになっていたので、このフロアパネル2の押出し成形に用いる押出装置の、押し出す材料を収納するコンテナや、材料押出し時に成形を行なうダイス(金型)等の各部品は、その外形寸法が大きなものになってしまう。
【0012】
このため、フロアパネル2の押出し成形に用いる押出装置自体もその外形寸法が大きなものになってしまうため、小型な押出装置を使用する場合に比べてその装置や運転にかかる費用が著しく高くなってしまうという問題があった。
【0013】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、小型の押出装置を用いて成形することができると共に、軽量で、強度を有し、かつ安価な押出し形材を用いて作ることができるパネル構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明によるパネル構造は、
互いに隣合う側面部を有する角筒状の中空押出形材の一方は、前記側面部の上下方向一端部に嵌め込み凹部を有し、かつ前記側面部の上下方向他端部に互いに係合する段差部の一方が形成され、
前記互いに隣合う中空押出形材の他方は、前記側面部の上下方向一端部に嵌め込み凸部を有し、かつ前記側面部の上下方向他端部に互いに係合する段差部の他方が形成され、
前記嵌め込み凹部に前記嵌め込み凸部が嵌め込まれると共に、前記段差部の一方と他方が係合した部分を摩擦撹拌接合手段により接合することにより、前記互いに隣合う中空押出形材が接続されて形成されたパネル構造であって、
前記互いに隣合う中空押出形材のそれぞれは、その押出し断面の内部空洞中に、前記側面部の肉厚方向に対して傾いた方向の肉厚を有する補強板部が、前記中空押出形材の長さ方向に沿って形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明によるパネル構造は、
前記補強板部の幅方向の一端部が、前記互いに係合した段差部の近傍に接合されたことを特徴とするものである。
【0016】
また、上記課題を解決するために本発明によるパネル構造は、
互いに隣合う側面部を有する角筒状の中空押出形材の一方は、前記側面部の上下方向両端部に嵌め込み凹部又は嵌め込み凸部を有し、
前記互いに隣合う中空押出形材の他方は、前記側面部の上下方向両端部に嵌め込み凸部又は嵌め込み凹部を有し、
前記嵌め込み凹部に前記嵌め込み凸部が嵌め込まれると共に、前記側面部の上下方向下端部の嵌め込み凹部と前記嵌め込み凸部の嵌め込み部を摩擦撹拌接合手段により接合することにより、前記互いに隣合う中空押出形材が接続されて形成されたパネル構造であって、
前記互いに隣合う中空押出形材のそれぞれは、その押出し断面の内部空洞中に、前記側面部の肉厚方向に対して傾いた方向の肉厚を有する補強板部が、前記中空押出形材の長さ方向に沿って形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明によるパネル構造は、
前記補強板部の幅方向の一端部が、前記側面部の上下方向下端部の嵌め込み凹部と前記嵌め込み凸部の嵌め込み部の近傍に接合されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
このような本発明のパネル構造によれば、
互いに隣合う側面部を有する角筒状の中空押出形材の一方は、前記側面部の上下方向一端部に嵌め込み凹部を有し、かつ前記側面部の上下方向他端部に互いに係合する段差部の一方が形成され、
前記互いに隣合う中空押出形材の他方は、前記側面部の上下方向一端部に嵌め込み凸部を有し、かつ前記側面部の上下方向他端部に互いに係合する段差部の他方が形成され、
前記嵌め込み凹部に前記嵌め込み凸部が嵌め込まれると共に、前記段差部の一方と他方が係合した部分を摩擦撹拌接合手段により接合することにより、前記互いに隣合う中空押出形材が接続されて形成されたパネル構造であって、
前記互いに隣合う中空押出形材のそれぞれは、その押出し断面の内部空洞中に、前記側面部の肉厚方向に対して傾いた方向の肉厚を有する補強板部が、前記中空押出形材の長さ方向に沿って形成されていることにより、
小型の押出装置を用いて成形することができると共に、軽量で、強度を有し、かつ安価な押出し形材を用いてパネル構造を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル20の簡略斜視図である。
【図2】図1における中空押出形材22の正面断面図である。
【図3】図1における中空押出形材24の正面断面図である。
【図4】フロアパネル20の製造方法を説明するための図であって、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに中空押出形材24の嵌め込み凸部24dの先端部を嵌合させた状態を示す正面断面図である。
【図5】やはりフロアパネル20の製造方法を説明するための図であって、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに中空押出形材24の嵌め込み凸部24dを嵌合させると共に、段差部22fに段差部24fを係合させた状態を示す正面断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るパネル構造における中空押出形材62の正面断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るパネル構造における中空押出形材64の正面断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル60の摩擦撹拌接合前の状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のパネル構造を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0021】
図1ないし図5は、本発明の第1の実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル20について説明するために参照する図である。なお、図1においては、図が煩雑になることを防ぐために、後述する補強板部34,36,46,48を省略して簡略に示している。
【0022】
図1に示すように、フロアパネル20は、略矩形の角筒状の2つの中空押出形材22,24の互いに隣合う側面部30,42同士が互いに嵌合されると共に、互いに接合されることにより構成されている。
【0023】
すなわち、フロアパネル20は、図1に示すように、中空押出形材22,24それぞれの互いに隣合う側面部30,42の図中上部において、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに、中空押出形材24の嵌め込み凸部24dが嵌め込まれて嵌合するようになっている。
【0024】
また図1に示す、上記互いに隣合う側面部30,42の図中下部において、図2に示す中空押出形材22の段差部22fと、図3に示す中空押出形材24の段差部24fとが互いに接触して係合するようになっている。
【0025】
中空押出形材22,24は、互いに係合した段差部22f,24f間を摩擦撹拌接合手段(Friction Stir Welding)により互いに接合されるようになっている。図1における黒い半円部分が、摩擦撹拌接合手段により接合された接合部Wである。
【0026】
ここで、摩擦撹拌接合手段とは、例えば、特許第2712838号,第2792233号公報に記載されているように、略円柱形状の部分と、その先端部から同一軸線方向に突出するネジ棒状の突起部(以下、プローブと呼ぶ)とを有する工具の、そのプローブを軸線回りに回転させながらその先端を接合部材同士の接合部分を含む面、又はその近傍部の面にほぼ垂直に押し付ける。
【0027】
このときの、回転するプローブと接合部材との間の摩擦熱で、接合部材を液状化手前まで軟化させると共に、この軟化した接合部材の肉厚内に前記プローブがその先端部から入り込んで、接合部材同士間において回転するプローブの撹拌作用により塑性流動を生じさせ、接合部材同士の接合部分の金属組織を練り混ぜることにより一体化させた後、温度降下により固化するような接合手段をいう。
【0028】
このような接合手段により、フロアパネル20は、中空押出形材22,24の側面部30,42の下端部同士が一体的に接合されており、その上面全体の平面形状が略正方形になっている。
【0029】
そして、本実施の形態に係るパネル構造を備えたフロアパネル20は、前記従来のフロアパネル2と同様に、コンクリートを用いた基礎床面1上に立設された支持脚3により、その四隅部を下側から支持されるようになっている。そして、このフロアパネル20は、基礎床面1から上方に離れた水平面上の縦横二軸両方向に互いに隣合うように整列して、複数配置されるようになっている。
【0030】
フロアパネル20の中空押出形材22は、図2に示すように、アルミニウム製の略角筒状の押出形材により形成されており、その押出し方向(図中紙面垂直方向)に所定の長さを有していて、その押出し方向に垂直な断面は略矩形の中空状に形成されている。
【0031】
すなわち、中空押出形材22は、図2中互いに上下方向に対向するように所定の間隔をおいて、上下に配置された平板状の天板部26及び底板部28と、天板部26と底板部28の幅方向(図中左右方向)両端部それぞれを連結するように、それらの間に垂直に伸びる平板状の側面部30,32とを備えている。
【0032】
そして中空押出形材22は、図2に示すようにその内部に、その底板部28と側面部30とを連結する隅部と、天板部26の図中左右中央部との間に、その幅方向両端部が連結された補強板部34を備えるようになっている。また、中空押出形材22はその内部に、その底板部28と側面部32とを連結する隅部と、天板部26の図中左右中央部との間に、その幅方向両端部が連結された補強板部36を備えるようになっている。
【0033】
そして、図2に示すように、中空押出形材22は、その天板部26と側面部30とを連結する隅部に、天板部26を水平方向に延長して側面部30より外側に突出したその先端部が底板部28側に向かって折れ曲がることにより、嵌め込み凹部22dが形成されている。
【0034】
また中空押出形材22は、図2に示すように、その底板部28と側面部30とを連結する隅部に、その底板部28の底面22bから天板部26側に向かって少し凹んだ凹み面22cが形成されている。
【0035】
そして、中空押出形材22は、その底板部28と側面部30とを連結する隅部に、その側面部30より外側に突き出した突出部22eが形成されていると共に、その突出部22eの下部に段差部22fが形成されている。
【0036】
そして、中空押出形材22は、押出し成形により上述するような断面形状に一体的に形成されるようになっている。
【0037】
図1,図3に示すフロアパネル20の中空押出形材24は、図2に示す中空押出形材22と同様に、アルミニウム製の中空状の押出形材により形成されており、その押出し方向(図中紙面垂直方向)に所定の長さを有しており、その押出し方向に垂直な断面は略矩形状に形成されている。
【0038】
すなわち、図3に示す中空押出形材24は、図2に示す中空押出形材22と同様に、互いに対向するように上下に配置された天板部38及び底板部40と、天板部38と底板部40の幅方向両端部それぞれを連結するように、それらの間に垂直に伸びる平板状の側面部42,44とを備えている。
【0039】
また、図3に示す中空押出形材24は、図2に示す中空押出形材22の補強板部34,36と同様の補強板部48,46を備えるようになっている。
【0040】
そして、図3に示すように、中空押出形材24は、その天板部38と側面部42とを連結する隅部に、側面部42より外側に突出したその先端部が天板部38側に向かって折れ曲がることにより、嵌め込み凸部24dが形成されている。そして、この中空押出形材24の嵌め込み凸部24dは、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに嵌合するようになっている。
【0041】
中空押出形材24は、その底板部40と側面部42とを連結する隅部に、その側面部42より外側に突き出した突出部24eが形成されている。そして、この突出部24eの下面に、底板部40の底面24bから天板部38側に向かって少し凹んだ凹み面24cが形成されている。
【0042】
中空押出形材24は、その突出部24eの上部に段差部24fが形成されるようになっている。この中空押出形材24の段差部24fは、その嵌め込み凸部24dが中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに嵌合した際に、中空押出形材22の段差部22fに接触して係合するようになっている。そして、中空押出形材24の突出部24eの先端が、中空押出形材22の段差部22fから直角の当接面22gに当接するようになっている。
【0043】
そして、中空押出形材24は、押出し成形により上述するような断面形状に一体的に形成されるようになっている。
【0044】
図4及び図5は、本発明の第1の実施の形態に係るフロアパネル20の製造方法について説明するために参照する図である。
【0045】
図4に示すように、中空押出形材22,24を、それらの上面22a,24aが図中下側に位置し、それらの下面22b,24bが図中上側に位置するように上下逆さまに配置して、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに、中空押出形材24の嵌め込み凸部24dの先端部を嵌合させる。
【0046】
そして、中空押出形材24の嵌め込み凸部24dの先端部が、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに完全に入り込むように、中空押出形材24を図中時計回り方向に回動させる。
【0047】
すると、図5に示すように、中空押出形材22の嵌め込み凹部22dに中空押出形材24の嵌め込み凸部24dが完全に嵌合する。このとき、中空押出形材22の段差部22fと中空押出形材24の段差部24fとは互いに接触して係合するようになっている。
【0048】
またこのとき、中空押出形材24の突出部24eの先端が中空押出形材22の段差部22fから直角の当接面22gに突き当たって接触するようになっており、このことにより中空押出形材22の上面22aと中空押出形材24の上面24aが同一平面上に連続すると共に、中空押出形材22の底面22bと中空押出形材24の底面24bも同一平面上に連続するようになっている。
【0049】
また、図5に示すように、中空押出形材22の凹み面22cと中空押出形材24の凹み面24cが同一平面上に隣合って配置されている。そして、段差部22f,24fが重なって互いに接触した部分に対応する凹み面22c,24cの互いの隣接部に、摩擦撹拌接合手段の工具50のプローブ50aをその軸線回りに回転させながら上方からほぼ垂直に押し付ける。
【0050】
このとき、回転するプローブ50aと中空押出形材22,24との間の摩擦熱で、中空押出形材22,24を液状化手前まで軟化させると共に、この軟化した中空押出形材22,24の肉厚内にプローブ50aがその先端部から入り込んで、中空押出形材22,24間において回転するプローブ50aの撹拌作用により塑性流動を生じさせ、中空押出形材22,24の接合部分の金属組織を練り混ぜることにより一体化させた後、温度降下により固化する。
【0051】
このような摩擦撹拌接合手段による接合により、図1に示すように、中空押出形材22,24が一体的に接合されて、それぞれの上面22a,24aが上にくるような本来の状態に配置されて、上面全体の平面形状が略正方形であるフロアパネル20を構成するようになっている。
【0052】
このように、2つの中空押出形材22,24により1つのフロアパネル20を構成するようになっているため、フロアパネル20を構成する、中空押出形材22,24の押出し成形に用いる押出装置は、前記従来のフロアパネル2の押出し成形に用いる押出装置の略半分位の小型なもので済ますことができる。
【0053】
また、中空押出形材22,24は、アルミニウム製の中空構造になっているため、その重量を軽いものにすることができると共に、それらの互いに隣合う側面部30,42同士を嵌合及び接合する構造となっていて、それぞれは補強板部34,36及び補強板部46,48を有しているので、その強度を強いものにすることができる。
【0054】
また、中空押出形材22,24は、それぞれ凹み面22c,24cの互いの隣接部から摩擦撹拌接合手段により接合されるようになっているため、接合部やその近傍が凹み面22c,24cよりも多少盛り上がったりしても、それらの底板部28,40より外側にはみ出さない限り支障を来たすことはない。このため、フロアパネル20は、中空押出形材22,24の接合部W(図1参照)の周辺近傍に研削や研磨等といった余計な加工をしなくても済む。
【0055】
また、中空押出形材22,24それぞれの互いに隣合う側面部30,42の上部は互いに、摩擦撹拌接合手段による接合ではなくて単に嵌合されているだけのため、摩擦撹拌接合手段による接合箇所は互いに隣合う側面部30,42の下部だけで、上部には行われないので、摩擦撹拌接合手段による接合箇所をできるだけ少なくすることができる。
【0056】
また、中空押出形材22,24それぞれは、押出し成形により形成された精度の高い平面状態をそのままフロアパネル20の上面として利用することができる。
【0057】
また、フロアパネル20は、中空押出形材22,24それぞれの互いに隣合う側面部30,42において互いを接合するようになっており、さらに中空押出形材22,24に補強板部34,46がそれぞれ形成されているため、中空押出形材22,24の突出部22e,24eそれぞれの、側面部30,42から突出する長さ寸法が短くとも、中空押出形材22,24の段差部22f,24fが、摩擦接合手段による接合時に下方に向って加えられる押圧力に耐えることができるようになっている。
【0058】
この場合さらに、中空押出形材22,24の段差部22f,24fそれぞれは、中空押出形材22,24の互いに隣合う側面部30,42の近傍かつ、補強部材34,46の近傍に配置されるため、摩擦接合手段による接合時における段差部22f,24fの破損や変形を防止することができ、中空押出形材22,24を確実に接合することができる。
【0059】
以上に説明したように、本実施の形態に係るフロアパネル20によれば、小型の押出装置を用いて成形することができると共に、軽量で、強度を有し、かつ安価な押出し形材を用いてパネル構造を作ることができる。
【0060】
図6ないし図8は、本発明の第2の実施の形態に係るパネル構造を備えた、フリーアクセスフロアのフロアパネル60について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態における同一の部品には同一の符号を付し、重複する構成の説明はなるべく省略する。
【0061】
図6に示すように、本実施の形態における中空押出形材62は、その底板部28と側面部30とを連結する隅部に、前記第1の実施の形態における中空押出形材22の突出部22e及び段差部22fの代わりに、前記中空押出形材22の嵌め込み凹部22dと同じ形状の嵌め込み凹部62aが形成されている点において、図2に示す前記第1の実施の形態における中空押出形材22と異なるものである。
【0062】
また、図7に示すように、本実施の形態における中空押出形材64は、その底板部40と側面部42とを連結する隅部に、前記第1の実施の形態における中空押出形材24の突出部24e及び段差部24fの代わりに、前記中空押出形材24の嵌め込み凸部24dと同じ形状の嵌め込み凸部64aが形成されるようになっている点において、図3に示す前記第1の実施の形態における中空押出形材24と異なるものである。
【0063】
このため、図8に示すように、本実施の形態に係るパネル構造を備えたフリーアクセスフロアのフロアパネル60は、中空押出形材62の嵌め込み凹部22dに中空押出形材64の嵌め込み凸部24dが嵌合した際に同時に、中空押出形材62の嵌め込み凹部62aに中空押出形材64の嵌め込み凸部64aが嵌合するようになっている。
【0064】
そして、図8に示すように、中空押出形材62,64は、嵌め込み凹部62aと嵌め込み凸部64aとが互いに嵌合した部分に対応する凹み面22c,24cの互いの隣接部が、摩擦接合手段による接合により一体的に接合されて、上面全体の平面形状が略正方形であるフロアパネル60を構成するようになっている。
【0065】
このような本実施の形態に係るフロアパネル60によっても、前記第1の実施の形態に係るフロアパネル20と同様の効果、すなわち、小型の押出装置を用いて成形することができると共に、軽量で、強度を有し、かつ安価な押出し形材を用いてパネル構造を作ることができる。
【0066】
なお、前記第1の実施の形態に係るフロアパネル20においては、その上面の平面形状が全体として略正方形になっていたが、その上面の平面形状は正方形に限定されず、長方形や他の形状に形成されるようになっていてもよい。
【0067】
また、前記第1の実施の形態における中空押出形材22,24は、アルミニウム製の中空押出形材により形成されていたが、アルミニウム製の中空押出形材と同様に軽量で強度を有し、互いを接合することができるものであれば、他の製法や他の材料を用いてもよい。
【0068】
また、前記第1の実施の形態に係るフロアパネル20においては、予め所定の長さを有する中空押出形材22,24同士を接合するようになっていたが、中空押出形材22,24の側面部30,42同士を接合した後に、フロアパネル20をその幅方向に切断することにより、その長さが所定の長さに定まるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
20 フロアパネル
22 中空押出形材
22a 上面
22b 底面
22c 凹み面
22d 嵌め込み凹部
22e 突出部
22f 段差部
22g 当接面
24 中空押出形材
24a 上面
24b 底面
24c 凹み面
24d 嵌め込み凸部
24e 突出部
24f 段差部
26 天板部
28 底板部
30,32 側面部
34,36 補強板部
38 天板部
40 底板部
42,44 側面部
46,48 補強板部
50 工具
50a 突起部
60 フロアパネル
62 中空押出形材
62a 嵌め込み凹部
64 中空押出形材
64a 嵌め込み凸部
W 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣合う側面部を有する角筒状の中空押出形材の一方は、前記側面部の上下方向一端部に嵌め込み凹部を有し、かつ前記側面部の上下方向他端部に互いに係合する段差部の一方が形成され、
前記互いに隣合う中空押出形材の他方は、前記側面部の上下方向一端部に嵌め込み凸部を有し、かつ前記側面部の上下方向他端部に互いに係合する段差部の他方が形成され、
前記嵌め込み凹部に前記嵌め込み凸部が嵌め込まれると共に、前記段差部の一方と他方が係合した部分を摩擦撹拌接合手段により接合することにより、前記互いに隣合う中空押出形材が接続されて形成されたパネル構造であって、
前記互いに隣合う中空押出形材のそれぞれは、その押出し断面の内部空洞中に、前記側面部の肉厚方向に対して傾いた方向の肉厚を有する補強板部が、前記中空押出形材の長さ方向に沿って形成されていることを特徴とするパネル構造。
【請求項2】
前記補強板部の幅方向の一端部が、前記互いに係合した段差部の近傍に接合されたことを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
【請求項3】
互いに隣合う側面部を有する角筒状の中空押出形材の一方は、前記側面部の上下方向両端部に嵌め込み凹部又は嵌め込み凸部を有し、
前記互いに隣合う中空押出形材の他方は、前記側面部の上下方向両端部に嵌め込み凸部又は嵌め込み凹部を有し、
前記嵌め込み凹部に前記嵌め込み凸部が嵌め込まれると共に、前記側面部の上下方向下端部の嵌め込み凹部と前記嵌め込み凸部の嵌め込み部を摩擦撹拌接合手段により接合することにより、前記互いに隣合う中空押出形材が接続されて形成されたパネル構造であって、
前記互いに隣合う中空押出形材のそれぞれは、その押出し断面の内部空洞中に、前記側面部の肉厚方向に対して傾いた方向の肉厚を有する補強板部が、前記中空押出形材の長さ方向に沿って形成されていることを特徴とするパネル構造。
【請求項4】
前記補強板部の幅方向の一端部が、前記側面部の上下方向下端部の嵌め込み凹部と前記嵌め込み凸部の嵌め込み部の近傍に接合されたことを特徴とする請求項3に記載のパネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−149427(P2012−149427A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8268(P2011−8268)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】