説明

パネル開閉機構

【課題】簡単な構造・機構で、パネル開閉動作をより安全に行なうことのできるパネル開閉機構。
【解決手段】前面が開口している箱体の開口部に配置され、箱体開口部の下側を箱体の後方側から前方側に向かって出没する下部フレームの前端両側に下端側の両側がそれぞれ回動自在に連結され、上端側の両側が前記箱体の開口部両側内にそれぞれ形成されているガイドに沿って案内されるパネルを前記下部フレームを箱体の後方側から前方側に向かって出没させることにより開閉するパネル開閉機構。下部フレームは第一フレーム部と第二フレーム部とから構成され、第二フレーム部の前端部両側にパネルの下端側の両側がそれぞれ回動自在に連結される。第二フレーム部は第一フレーム部に対して変位可能になっている。第二フレーム部が変位前の位置に位置するように第二フレーム部に対して常に付勢力を与える付勢手段が第一フレーム部と第二フレーム部との間に配備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパネル開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からカーオーディオやナビゲーション装置のような車載装置などにおける液晶画面からなる操作パネル・表示パネルを開閉するパネル開閉機構が知られている。
【0003】
例えば、前面が開口している箱体の開口部に配置され、前記箱体開口部の下側を前記箱体の後方側から前方側に向かって出没する下部フレームの前端両側に下端側の両側がそれぞれ回動自在に連結され、上端側の両側が前記箱体の開口部両側内にそれぞれ形成されているガイドに沿って案内されるパネルを、前記下部フレームを前記箱体の後方側から前方側に向かって出没させることにより開閉するパネル開閉機構が知られている。
【0004】
図1〜図5は、カーオーディオやナビゲーション装置のような車載装置1に採用されている従来公知のパネル開閉機構の一例を表すものである。
【0005】
車載装置1を構成する箱体2の内部には不図示の電子回路基板や、下部フレーム8を箱体2の開口部の下側で、箱体2の後方側から前方側に向かって矢印10、11(図3)方向に出没させる不図示の駆動モータなどが配備されている。パネル5は前面が開口している箱体2の開口部に配置されている。パネル5の下端側の両側7、7は、箱体2の開口部の下側を箱体2の後方側から前方側に向かって出没する下部フレーム8の前端9、9にそれぞれ回動自在に連結される。パネル5の上端側の両側6、6は、箱体2の開口部両側3、3の内側にそれぞれ形成されているガイド4に沿って案内される。
【0006】
パネル5の下端側の両側7、7と、下部フレーム8の前端9、9との間の回動自在な連結としては、例えば、下部フレーム8の前端9、9にそれぞれ突起部が形成され、パネル5の下端側の両側7、7にそれぞれ前記突起部が嵌装される孔が形成されている形態が採用される。
【0007】
また、パネル5の上端側の両側6、6が、箱体2の開口部両側3、3の内側にそれぞれ形成されているガイド4に沿って案内される機構としては、例えば、箱体2の開口部両側3、3の内側にそれぞれ溝条が形成されており、パネル5の上端側の両側6、6にそれぞれ前記溝条に嵌装される突起部が形成されている形態が採用される。
【0008】
不図示の駆動モータの働きにより、下部フレーム8が箱体2の開口部の下側で矢印10(図3)方向、すなわち、図4中、矢印12方向に前進して、箱体2の後方側から前方側に向かって箱体2の開口部から突出する。これにより、下部フレーム8の前端9、9に下端側の両側7、7がそれぞれ回動自在に連結されているパネル5の下端側も矢印12(図4)方向に移動する。そして、これに応じて、パネル5の上端側は、その両側6、6が箱体2の開口部両側3、3の内側にそれぞれ形成されているガイド4に沿って案内され矢印13(図4)方向に移動する。
【0009】
こうして、図4に実線で表している状態から一点破線で表している状態、すなわち、図5図示の状態にパネル5が回動して図1図示のように箱体2の前面(図5中、左側)が開口される。
【0010】
一方、閉鎖する場合には、不図示の駆動モータの働きにより、下部フレーム8が箱体2の開口部の下側で矢印11(図3)方向、すなわち、図4中、矢印14方向に後退して、箱体2の前方側から後方側に向かって箱体2の開口部内に没入する。これにより、下部フレーム8の前端9、9に下端側の両側7、7がそれぞれ回動自在に連結されているパネル5の下端側も矢印14(図4)方向に移動し、これに応じて、パネル5の上端側は、その両側6、6が箱体2の開口部両側3、3の内側にそれぞれ形成されているガイド4に沿って案内され矢印15(図4)方向に移動する。こうして、図5図示の状態、すなわち、図4に一点破線で表している状態から、実線で表している状態へと変位しつつパネル5が回動し、最終的に箱体2の前面(図5中、左側)が閉鎖される。
【0011】
このようにして、前面が開口している箱体2の開口部に配置され、当該箱体開口部の下側を箱体の後方側から前方側に向かって出没する下部フレーム8の動作により、パネル5が回動して箱体2の開口部が開閉される。
【0012】
このようなパネル開閉機構においては、パネル5の開閉時に、パネル5の下側面16と、下部フレーム8の上側面との間に形成される空間部17(図4)に指などの異物が挟まれるおそれがある。
【0013】
指などの異物が挟まれてしまうとパネル5の移動が困難になるため、下部フレーム8を駆動している駆動モータに余分な負荷がかかる。そこで、従来は、この駆動モータにかかる負荷を電流値として検出し、所定の電流値が検出されたときにパネル5の移動方向を逆方向にして、挟まれてしまった指などに過度の負荷がかからないようにする提案がされていた。
【0014】
また、弾性体を介してパネル5が上下にクリアランスを確保できるようにして挟まれた指などに過度の負荷がかからないようにする提案もされていた(特許文献2)。
【0015】
更に、挟まれた指などに過度の負荷がかからないようにする目的で、パネル5の下側面16にクッション材を配設する提案もされている。
【0016】
パネル5の開閉時に、パネル5の下側面16と、下部フレーム8の上側面との間に形成される空間部17に指などの異物が挟まれた場合であっても、挟まれてしまった指などに過度の負荷がかからないようにする従来の提案において、電流値により駆動モータへの負荷を検出するものでは、電流値の検出に所定の時間を要し、その後パネルの移動方向を逆方向にして挟まれた指などが開放されるまでの所定の時間の間、指などが挟まれた状態が継続するおそれがある。
【0017】
また、検出される電流値は、指などを挟みこんだ位置のパネル回転支点からの距離によりに変動する。例えば、パネルの回転支点から近い位置ではモーメントが小さいため電流値は小さく、パネルの回転支点から遠い位置ではモーメントが大きいため電流値は大きくなる。そこで、指などが挟みこまれた場合にできるだけ速やかにそれを検知し、また、すべての箇所でより安定的に検知するためには電流設定値を小さくすることが望ましい。
【0018】
しかし、電流値を小さく設定するためには各部材の寸法精度を向上させる等々の改善が必要になり、技術面、コスト面での負担が大きくなるおそれがある。
【0019】
弾性体を介してパネルが上下にクリアランスを確保できるようにしたり、クッション材を採用する場合であっても、電流値の検出などによってパネルが移動する方向が逆転されるまでパネルが移動する方向が常に一方向のみであると、依然として、挟まれた指などに過度の負荷がかかるおそれがあった。また、前記のように、パネルが移動する方向が一方向のみであると、挟まれる指などの太さの相違や、挟まれる位置(パネルの回転支点からの距離)により、挟まれた指などに過度の負荷がかかるおそれがあった。
【0020】
更に、クッション材などの採用はコストの上昇につながるおそれもあった。
【0021】
【特許文献1】特開2006−76369号公報
【特許文献2】特開2000−132957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、簡単な構造・機構で、パネル開閉動作をより安全に行なうことのできるパネル開閉機構を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成するため本願が提案する請求項1記載の発明は、以下の通りのものである。
【0024】
前面が開口している箱体の開口部に配置され、前記箱体開口部の下側を前記箱体の後方側から前方側に向かって出没する下部フレームの前端両側に下端側の両側がそれぞれ回動自在に連結され、上端側の両側が前記箱体の開口部両側内にそれぞれ形成されているガイドに沿って案内されるパネルを、前記下部フレームを前記箱体の後方側から前方側に向かって出没させることにより開閉するパネル開閉機構であって、
前記下部フレームは、前記箱体の後方側に位置する第一フレーム部と、当該第一フレーム部の前端側から前記箱体の前方側に向かって延び、前端部に前記パネルの下端側両側が回動自在に連結する連結部を有する第二フレーム部とからなり、当該第二フレーム部が第一フレーム部に対して変位可能であると共に、当該第二フレーム部が変位前の位置に位置するように第二フレーム部に対して常に付勢力を与える付勢手段が前記第一フレーム部と第二フレーム部との間に配備されている
ことを特徴とするパネル開閉機構。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明することにより本発明の最良の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0026】
図6は本発明のパネル開閉機構が、カーオーディオやナビゲーション装置のような車載装置に採用されている一例を説明する一部を省略した側面図である。
【0027】
図1〜図5図示の従来のパネル開閉機構と共通する部材には共通する符号を付けてその説明を省略する。
【0028】
本実施例のパネル開閉機構においては、図1〜図5図示の従来のパネル開閉機構における下部フレーム8に対応する下部フレーム18が、第一フレーム部18bと、第二フレーム部18aとからで構成されている。
【0029】
第一フレーム部18bは、図6図示のように箱体2の後方側に位置し、第二フレーム部18aは、第一フレーム部18bの前端側(図6中、左端側)から箱体2の前方側(図6において右側から左側に向かう方向)に向かって延びている。この第二フレーム部18aの前端部両側には、図1〜図5図示の従来のパネル開閉機構において符号9、9(図3)で表されていたものと同等の、パネル5の下端側両側7、7が回動自在に連結する連結部が配備されている。
【0030】
図6〜図8図示の本実施例のパネル開閉機構においては、第二フレーム部18aの後端側(図6中、右端側)が第一フレーム部18bの前端側(図6中、左端側)に配備されているピン19に回動可能に連結され、第二フレーム部18aの前端側(図6中、左端側)が、後端側を中心として、矢印24、23方向に回動できるようになっている。これにより、第二フレーム部18aが第一フレーム部18bに対して変位可能になっている。
【0031】
そして、第一フレーム部18bと第二フレーム部18aとの間には、第二フレーム部18aが変位前の位置に位置するように第二フレーム部18aに対して常に付勢力を与える付勢手段が配備されている。
【0032】
図6〜図8図示の本実施例のパネル開閉機構においては、バネ体22が、第一フレーム部18bに配備されているピン21、19と、第二フレーム部18aに配備されているピン20との間に掛け渡されていて、第一フレーム部18bと第二フレーム部18aとの間に配備されている。そして、このバネ体22が、第二フレーム部18aの前端側(図6中、左端側)が、後端側を中心として、常に、矢印23方向に向かうように付勢力を第二フレーム部18aに対して与えている。これによって、第二フレーム部18aは、常に、変位前の位置である図6図示の状態に位置するようにバネ体22によって付勢されている。
【0033】
図6〜図8図示の本実施例のパネル開閉機構がカーオーディオやナビゲーション装置のような車載装置1に採用されている場合において、パネルの開閉時に、パネル5の下側面16と、下部フレームの上側面との間に形成される空間部17に指などの異物が挟まれたときの動作を図7を参照して説明する。
【0034】
不図示の駆動モータの働きにより、第一フレーム部18bと第二フレーム部18aとからなる下部フレーム18が箱体2の開口部の下側で矢印12方向に移動して、箱体2の後方側から前方側に向かい、箱体2の開口部から突出する。これにより、第二フレーム部18aの前端に下端側が回動自在に連結されているパネル5の下端側も矢印12(図7)方向に移動する。そして、これに応じて、パネル5の上端側は、その両側6、6が箱体2の開口部両側3、3内に形成されているガイド4に沿って案内され矢印13(図7)方向に移動する。
【0035】
ここで、指などの異物25が、図7に実線で示すパネル5の下側面16と、第一フレーム部18bの上側面との間に形成される空間部17に挟まれると、第二フレーム部18aの前端側(図7中、左端側)が、後端側を中心として、バネ体22の付勢力に抗して矢印24方向に回動する。
【0036】
これによって、第二フレーム部18aの前端に下端側が回動自在に連結されているパネル5の下端側は、矢印26で示す方向に直ちに持ち上がり、パネル5の下側面16は図7に一点破線で示す位置にまで直ちに上昇する。
【0037】
この結果、指などの異物25は直ちに拘束状態から開放され、大きな負荷を受けることなく、パネル5の下側面16と、第一フレーム部18bの上側面との間に形成される空間部17から抜き取ることができる。
【0038】
そして、指などの異物25が抜き取られると、第二フレーム部18aの前端側(図7中、左端側)は、バネ体22の付勢力により、後端側を中心として矢印23方向に回動し、自動的にもとの位置に復帰する。これにより、パネル5の下側面16は図7に実線で示す位置に戻って、パネル5を開く動作が再開される。
【0039】
この実施例においては、パネル5が開く動作の進行中に、指などの異物25が、パネル5の下側面16と、第一フレーム部18bの上側面との間に形成される空間部17に挟まれると、第二フレーム部18aの前端側(図7中、左端側)が後端側を中心としてバネ体22の付勢力に抗して矢印24方向に回動し、挟まれた異物25に過剰な負荷がかからないようになっている。そこで、バネ体22の付勢力を調整することにより、異物25にかかる最低荷重を決定することができる。すなわち、バネ体22の付勢力を調整することにより、どの程度の荷重が異物25にかかったときに第二フレーム部18aが矢印24方向に回動して負荷を解除するか決定できる。
【0040】
これにより、駆動モータの負荷を電流値で検知して異物25が挟まれたことを検知していた従来のパネル開閉機構に比較して、電流値検知後、パネルを逆方向に移動させるための所定の時間を要することなく、バネ体22の付勢力によって決定される最低荷重が挟まれた異物25に加えられた時点で、直ちに、異物25に対する負荷を解除することができる。
【0041】
また、第二フレーム部18aの後端側(図6中、右端側)が第一フレーム部18bの前端側(図6中、左端側)に回動可能に連結され、第二フレーム部18aの前端にパネル5の下端側が回動自在に連結されていることによって構成されているリンク機構によって図7に矢印24、26で示す第二フレーム部18aの変位、パネル5の変位が生じるので、挟まれる異物25の太さ、挟まれる位置(パネル5の回転支点からの距離)にかかわらず、常に、前述した最低荷重が挟まれた異物25に加えられた時点で、直ちに、異物25に対する負荷を解除することができる。
【0042】
更に、第二フレーム部18aは、矢印24方向に変位する前の位置である図6図示の状態に位置するように、バネ体22によって、常に、矢印23方向に付勢されているので、パネル5の開閉動作の際にがたつきが生じるおそれはない。
【0043】
図8は、本実施例のパネル開閉機構が、カーオーディオやナビゲーション装置のような車載装置1に採用されている場合において、パネル5の開閉時に、前方から矢印40の方向に力が加えられたときの動作を説明するものである。
【0044】
一般に車載装置1は、図8図示のように、前方が斜め上方向を向くようにして取り付けれ、パネル5を開く動作が進行中には、第一フレーム部18bと第二フレーム部18aとからなる下部フレーム18は、図8に矢印12で示す方向に移動する。
【0045】
このような状況で、前方から矢印40方向の力が加えられた場合であっても、前述したように、第二フレーム部18aの前端側(図8中、左端側)が、後端側を中心として、バネ体22の付勢力に抗して矢印24方向に回動する。これによって、矢印40方向の力による衝撃を緩和することが可能になる。いわば、バネ体22の弾性力によって衝撃が緩和され、安全にパネル5の開閉を行うことができる。
【0046】
以上のように、この実施例によれば、複雑な検出手段や、複雑な機構・構造を採用することなく、簡単な構造・機構で、より安全なパネル開閉動作を行なうことができる。
【実施例2】
【0047】
図9、図10は本発明の他の実施例を説明するものである。
【0048】
図1〜図8図示のパネル開閉機構と共通する部材には共通する符号を付けてその説明を省略する。
【0049】
図9、図10図示の実施例においても下部フレーム18は、第一フレーム部18bと、第二フレーム部18aとから構成され、第二フレーム部18aは、第一フレーム部18bに対して変位可能になっていて、第二フレーム部18aが変位前の位置に位置するように第二フレーム部18aに対して常に付勢力を与える付勢手段が第一フレーム部18bと第二フレーム部18aとの間に配備されている。
【0050】
図9、図10図示の本実施例のパネル開閉機構においては、第二フレーム部18aが第一フレーム部18bに対して矢印30で示す接近する方向及び、矢印31で示す離れる方向に変位できるように第二フレーム部18aの後端側(図9、10中、右端側)と、第一フレーム部18bの前端側(図9、10中、左端側)とが連結されている。
【0051】
そして、第二フレーム部18aが第一フレーム部18bに対して矢印30(図9)で示す接近する方向への付勢力が、付勢手段によって、常に、第二フレーム部18aに対して与えられる。
【0052】
図示の実施例では、第一フレーム部18bの前端側(図9、10中、左端側)に前後方向に延びる長穴28が形成されており、第二フレーム部18aの後端側(図9、10中、右端側)に配備されているピン29がこの長穴28に嵌装されている。
【0053】
そして、図10(b)図示のように、第一フレーム部18bに後端が固定されている弾性体34の前端がピン29に取り付けられ、ピン29及び第二フレーム部18aは、弾性体34によって常に矢印30方向に付勢されている。弾性体34としては、例えば、引っ張りバネを採用できる。
【0054】
これによって、第二フレーム部18aは、通常の状態では、パネルが開いている状態を表す図9に示されているように、ピン29が長穴28の後端縁28b(図10)に当接するまで、第一フレーム部18bに接近する方向に付勢されている。
【0055】
図9、図10図示のパネル開閉機構が、カーオーディオやナビゲーション装置のような車載装置1に採用されている場合において、パネルが開いている状態(図9)から、閉鎖している状態に変位する間に、パネル5の下側面16と、箱体2の前面との間に形成される空間部17に指などの異物25が挟まれたときの動作を図10(a)を参照して説明する。
【0056】
第一フレーム部18bと第二フレーム部18aとからなる下部フレーム18が箱体2の開口部の下側で矢印14方向に移動して、箱体2の前方側から後方側に向かって箱体2の開口部内に没入する。これにより、第二フレーム部18aの前端両側に下端側の両側が回動自在に連結されているパネル5の下端側も矢印14方向に移動し、これに応じて、パネル5の上端側は、その両側が箱体2の開口部両側3内にそれぞれ形成されているガイドに沿って案内され矢印15方向に移動し、パネル5は矢印32方向に移動する。
【0057】
この動作の進行中に、指などの異物25がパネル5の下側面16と箱体2の前面との間に形成される空間部17に挟まれると、第二フレーム部18aは弾性体34の付勢力に抗して矢印31方向に移動し、例えば、図10(a)に示すように、ピン29が長穴28の前端縁28a(図9)に当接するまで、第二フレーム部18aは矢印31方向に移動する。これによって、同時に、パネル5は矢印33方向に戻る。
【0058】
そこで、異物25は、パネル5の下側面16と箱体2の前面との間による拘束から直ちに解放される。
【0059】
この場合も、実施例1で説明したものと同じく、弾性体34の付勢力を調整することにより、異物25にかかる最低荷重を決定することができる。
【0060】
これにより、駆動モータの負荷を電流値で検知して異物25が挟まれたことを検知していた従来のパネル開閉機構に比較して、電流検知後、パネルを逆方向に移動させるための所定の時間を要することなく、弾性体34の付勢力によって決定される最低荷重が挟まれた異物25に加えられた時点で、直ちに、異物25に対する負荷を解除することができる。
【0061】
また、第二フレーム部18aは、矢印31方向に変位する前の位置である図9図示の状態に位置するように、弾性体34によって、常に、矢印30方向に付勢されているので、パネル5の開閉動作の際にがたつきが生じるおそれはない。
【0062】
更に、実施例1と同じく、複雑な検出手段や、複雑な機構・構造を採用することなく、簡単な構造・機構で、パネル開閉動作をより安全に行なうことができる。
【0063】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例、実施形態を説明したが、本発明はこれらに限られるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【0064】
例えば、バネ体22、弾性体34としては前記に例示したものに限られず、前記に説明したものと同等の機能を発揮できるものであれば種々のものを採用することができる。
【0065】
また、本発明のパネル開閉機構は、前述した車載装置1におけるパネル開閉機構としてだけでなく、パネル、例えば、液晶画面などからなる操作パネル・表示パネルなどが、前面が開口している箱体の開口部に配置され、当該箱体開口部の下側を箱体の後方側から前方側に向かって出没する下部フレームの動作により、前記パネルが回動して箱体の開口部が開閉されるパネル開閉機構に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来のパネル開閉機構が採用されている車載装置の一例を説明する斜視図。
【図2】(a)図1図示の車載装置の開口部を拡大して表す一部を省略した斜視図、(b)図1図示の車載装置におけるパネルの斜視図。
【図3】図1図示の車載装置においてパネル開閉動作が行なわれる際の下部フレームの動作を説明する斜視図。
【図4】図1図示の車載装置におけるパネル開閉中の動作を説明する一部を省略した側面図。
【図5】図1図示の車載装置においてパネルが開いた状態を説明する一部を省略した側面図。
【図6】本発明のパネル開閉機構が採用されている車載装置の一例を説明する一部を省略した側面図。
【図7】図6図示の車載装置においてパネル開閉動作中に異物が挟まった場合の動作を説明する一部を省略した側面図。
【図8】図6図示の車載装置でパネル開閉動作中に前方から力が加えられた場合の動作を説明する一部を省略した側面図。
【図9】本発明の他のパネル開閉機構が採用されている車載装置の一例を説明する一部を省略した側面図。
【図10】(a)図9図示の車載装置でパネル閉鎖動作中に異物が挟まった場合の動作を説明する一部を省略した側面図、(b)第一フレーム部と第二フレーム部との連結構造を説明する一部を省略した平面図。
【符号の説明】
【0067】
2 箱体
4 ガイド
5 パネル
8 下部フレーム
18 下部フレーム
18b 第一フレーム部
18a 第二フレーム部
22 バネ体
34 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口している箱体の開口部に配置され、前記箱体開口部の下側を前記箱体の後方側から前方側に向かって出没する下部フレームの前端両側に下端側の両側がそれぞれ回動自在に連結され、上端側の両側が前記箱体の開口部両側内にそれぞれ形成されているガイドに沿って案内されるパネルを、前記下部フレームを前記箱体の後方側から前方側に向かって出没させることにより開閉するパネル開閉機構であって、
前記下部フレームは、
前記箱体の後方側に位置する第一フレーム部と、
当該第一フレーム部の前端側から前記箱体の前方側に向かって延び、前端部両側に前記パネルの下端側両側がそれぞれ回動自在に連結する連結部を有する第二フレーム部とからなり、
当該第二フレーム部が第一フレーム部に対して変位可能であると共に、
当該第二フレーム部が変位前の位置に位置するように第二フレーム部に対して常に付勢力を与える付勢手段が前記第一フレーム部と第二フレーム部との間に配備されている
ことを特徴とするパネル開閉機構。
【請求項2】
前記第二フレーム部の後端側が前記第一フレーム部の前端側に回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1記載のパネル開閉機構。
【請求項3】
前記第二フレーム部が前記第一フレーム部に対して接近する方向及び離れる方向に変位できるように前記第二フレーム部の後端側と前記第一フレーム部の前端側とが連結され、前記付勢手段によって前記第二フレーム部が前記第一フレーム部に対して接近する方向への付勢力が常に前記第二フレーム部に対して与えられていることを特徴とする請求項1記載のパネル開閉機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−96319(P2009−96319A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269601(P2007−269601)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】