説明

パピオシノセファラス(Papiocynocephalus)Toll様受容体3

パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)Toll様受容体3(ヒヒTLR3)をコードする単離ポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドの発現から入手可能なポリペプチド、組み換え細胞及び使用方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)(キイロヒヒ)Toll様受容体3及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Toll様受容体(TLR)は、バクテリア性、ウイルス性、寄生性及び場合によっては宿主由来のリガンドに反応してシグナル伝達カスケードを検出及び開始することにより、先天性の免疫応答の活動を制御し、適応免疫の形成に影響する(Lancaster et al.,J.Physiol.563:945〜55,2005)。TLRファミリーのメンバーTLR1、TLR2、TLR4及びTLR6は、原形質膜上に位置し、バクテリア及び真菌のタンパク質又は脂質成分を含むリガンドに反応して下流のシグナル経路を活性化する。TLR3、TLR7及びTLR9は好ましくは細胞内に局在し、それぞれdsRNA、ssRNA及び非メチル化CpG DNAに反応する。
【0003】
TLRは、アダプター分子骨髄分化因子88(MyD88)、インターフェロン−βを誘導するToll/IL−1受容体領域含有アダプター(TRIF)及びTRIF関連アダプター分子(TRAM)を通してシグナル生成し、JNK/p38キナーゼ、インターフェロン制御因子(IFN)IFN−3、IFN−5及びIFN−7並びにNF−κBを伴うシグナル経路を開始し、炎症性サイトカインの産生を引き起こす(Romagne,Drug Discov.Today 12:80〜87,2007)。TLRシグナルの異常調節は多数の問題を引き起こすと考えられており、この方向で治療戦略が開発されている(Hoffman et al.,Nat.Rev.Drug Discov.4:879〜880,2005;Rezaei,Int.Immunopharmacol.6:863〜869,2006;Wickelgren,Science 312:184〜187,2006)。例えば、TLR4、TLR7及びTLR9のアンタゴニストが重度敗血症及び狼瘡について臨床開発されている(Kanzler et al.Nat.Med.13:552〜559,2007)。
【0004】
TLR3シグナルは、炎症又はウイルス感染の際に壊死細胞から放出されるdsRNA、mRNA又はRNAにより活性化され、インターフェロン及び炎症性サイトカインの分泌の誘発を生じ、これは病原体感染に伴うものであり、例えば、大腸炎、ぜんそく、乾癬、敗血性ショック、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患及び1型糖尿病といった様々な炎症性、免疫媒介及び自己免疫疾患の一因となることが示されている(Tabeta et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.101:3516〜3521,2004;Underhill,Curr.Opin.Immunol.16:483〜487,2004;Gaspari,J.Am.Acad.Dermatol.54:S67〜80,2006;Van Amersfoort et al.,Clin.Microbiol.Rev.16:379〜414,2003;Miossec et al.,Curr.Opin.Rheumatol.16:218〜222,2004;Ogata and Hibi,Curr.Pharm.Res.9:1107〜1113,2003;Takeda and Akira,J.Derm.Sci.34:73〜82,2004;Doqusan et al.Diabetes 57:1236〜1245,2008)。TLR3発現は、肝臓組織の原発性胆汁性肝硬変などの病的状態に伴う炎症反応に関連することが示されている(Takii et al.,Lab Invest.85:908〜920,2005)。TLR3はまた、ウイルス感染の際に免疫反応において鍵となる役割を果たす。例えば、TLR3欠損動物は、炎症メディエーターの著しい低減、及び、インフルエンザAウイルス感染の際の野生型動物に対する生存率の優位性を示し(Le Goffic et al.,PloS Pathog.2:e53,2006)、並びに、TLR3欠損動物はロタウイルス感染により誘発される粘膜上皮破壊から保護される(Zhou et al.J.Immunology 178:4548〜4556,2007)。壊死状態において、TLR3リガンド内因性mRNAを含む細胞内容物の放出は、サイトカイン、ケモカイン及び他の因子の炎症性発現の引き金となって、死細胞残留物の浄化及び損傷の修復を促進する。壊死はしばしば、慢性又は異常な炎症のプロセスを永続化させ、二次的損傷や影響のカスケードを引き起こす。
【0005】
現在では、TLR3の活性を様々な兆候の処置の標的とするために、多くの異なるアプローチがとられている。これらのアプローチには、アゴニスト及びアンタゴニストなどのTLR3調節因子、抗体、ペプチド、TLR3リガンドdsRNA及びポリ(I:C)、並びに、TLR活性を標的とするこれらの機能的類縁体が挙げられる。TLR3アンタゴニストについての可能な指標としては、炎症状態、敗血症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、及び自己免疫疾患が挙げられる。TLR3アゴニストについての可能な指標及び用途としては、ウイルス感染後疲労症候群、神経膠種、前立腺癌、抗ウイルスワクチン、膀胱癌、子宮頸部形成異常、ヒトパピローマウイルス感染、乳癌、ウイルス感染予防、組織再生、及び鳥インフルエンザワクチンが挙げられる。
【0006】
いずれのヒト用TLR3調節因子についても市場への流通が可能になる前に、推定薬物動態学的な安全性及び有効性の研究が必要とされる。このような研究では、TLR−3関連病理の動物モデルにおいてin vitro及びin vivo試験の両方を伴う。調節因子が種を横断してのTLR3との交さ反応性を欠落していることは、これらの研究にとって問題となり得る。それゆえに、例えば、抗体ベースのTLR3調節因子の使用は、種間の抗体の交さ反応性の評価、特定のモデル動物により発現されたTLR3ポリペプチドに対する代替抗体の産生、並びに、このような代替抗体の有意なin vitroにおける特徴付けを必要とし得る。反応交さ性の評価、代替物産生及びin vitroにおける特徴付けは、好適なモデル動物からのTLR3ポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用を必要とする。重要なことに、上記の研究に好適な動物モデルの同定は、ヒトTLR3に対して高い同一性及び相同性を有するTLR3を発現する動物種の同定を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに、TLR3調節因子の推定薬物動態学的な安全性及び有効性研究に好適であるとして同定された動物モデルにおいて発現された、TLR3をコードしているポリヌクレオチド及びTLR3ポリペプチドの同定に対して必要が存在する。このようなポリペプチドを発現させる方法及びTLR3調節因子の交さ反応性を試験する方法などの関連する方法に対しても必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドである。
【0009】
本発明の別の態様は、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドである。
【0010】
本発明の別の態様は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドである。
【0011】
本発明の別の態様は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドである。
【0012】
本発明の別の態様は、配列番号1、2、3、4、5又は6に示される配列を有する単離ポリヌクレオチドを含むベクターである。
【0013】
本発明の別の態様は、配列番号7に示される配列を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドである。
【0014】
本発明の別の態様は、配列番号8に示される配列を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドである。
【0015】
本発明の別の態様は、配列番号9に示される配列を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドである。
【0016】
本発明の別の態様は、配列番号10に示される配列を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドである。
【0017】
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドを発現させるための方法である。
【0018】
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する単離抗体である。
【0019】
本発明の別の態様は、パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3に対するヒトTLR3調節因子の反応交さ性を測定するための方法である。
【0020】
本発明の別の態様は、ヒトに使用するためのTLR3調節因子の安全性を評価する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)対ヒトTLR3のタンパク質配列アラインメント。
【図2】ポリ(I:C)によるヒト及びパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3タンパク質を介しての投与量依存NF−κB活性化。
【図3】パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3を介してのポリ(I:C)により誘導されるNF−κB活性化の、抗ヒトTLR3抗体によるが、抗ヒトTLR1抗体によるものではない、阻害。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に引用される特許及び特許出願を含むがそれらには限定されない全ての刊行文献は、完全に説明されているかのように本願に参照として包含される。
【0023】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、文脈で明確に指示されない限り、単数形「a」、「and」、及び「the」は、複数形の言及を含む。したがって、例えば、「ポリペプチド」への言及は1つ以上のポリペプチドへの言及であり、当業者には既知のそれらの等価物を包含する。
【0024】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されているのと同様又は同等のあらゆる組成物及び方法を本発明を実施又は試験するために使用することが可能であるが、代表的な組成物及び方法を本明細書に記載する。
【0025】
本発明は、単離キイロヒヒ(パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus))Toll様受容体3(ヒヒTLR3)ポリヌクレオチド、これらのポリヌクレオチドを含むベクター、単離宿主細胞、これらのポリヌクレオチドの発現から入手可能なポリペプチド、本発明のポリペプチドの発現方法、並びに、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用方法を提供する。
【0026】
TLR3は、ウイルス複製時に作製されるか又は壊死細胞により放出される、多くのウイルスのゲノムに存在するdsRNA又は内因性mRNAのいずれかを認識する。リガンドがTLR3に結合すると、シグナル伝達が開始され、これはNF−κB及びIRF−3の活性化を導き、1型インターフェロンに加えて炎症性及び抗炎症性サイトカインの産生を引き起こす。これらのシグナルは、周囲の細胞に作用して、免疫系の他の構成要素に対して、感染が存在すると警告する。場合によっては、この先天性免疫応答の異常調節は、炎症メディエーターの過剰につながる恐れがあり、したがって、ぜんそく、COPD、潰瘍性大腸炎、リウマチ様関節炎及び変形性関節症などの多くの慢性疾患を悪化させる恐れがある。
【0027】
TLR3活性化の維持は、感染に伴う炎症性疾患の調節における重大な要素である。それゆえに、創薬展望からの免疫調節治療の発展は、炎症の制御方法であり得、生得の免疫機能をホメオスタシスに戻すことである。
【0028】
本発明の組成物及び方法は、様々な具体的な用途のために使用することができる。本発明のポリヌクレオチド及びベクターは、これらがキイロヒヒ(パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus))TLR3(ヒヒTLR3)ポリペプチドをコードすることと、これらのポリペプチドを発現するために使用できることから有用である。これらのヒヒTLR3ポリペプチドは、更に、これらが組み換え技術によって過剰発現されるか又は他の手段によって宿主動物又は組織へと導入された場合に、dsRNA又は他のTLR3リガンドへの曝露後の抗ウイルス反応を増大させるために又は制御するために使用できるので、有用である。本発明の全長ヒヒTLR3ポリペプチド配列(配列番号10)は、ヒトTLR3ポリペプチド(配列番号13)に95.7%同一であり、96.8%相同であり、TLR3治療薬の推定薬物動態学的な安全性及び有効性の研究及び他の用途を可能にする。
【0029】
ヒヒTLR3の細胞外領域を含むポリペプチドはまた、利用可能なTLR3リガンド又はTLR3の活性化にとって必要なTLR3関連タンパク質に結合しこれによりTLR3活性を制御するリガンドシンク(ligand sink)タイプのアンタゴニストとして使用することもできる。ヒヒTLR3ポリペプチドはまた、ヒヒTLR3又は他の供給源からのTLR3の活性のポジティブ又はネガティブ調節のための治療抗体を産生するために使用することもできる。ヒヒTLR3ポリペプチドはまた、ヒヒTLR3又は他のTLR3の活性を調節できる、低分子、オリゴヌクレオチド又はペプチドなどの他の治療薬を同定するためのin vitro又はin vivoアッセイで使用することもできる。開示されている発現方法は、これらの方法がヒヒTLR3ペプチドの発現を可能にするので、有用である。開示されている他の方法は、安全性及びTLR3治療法の種間の交さ反応性の査定に有用である。
【0030】
用語「ポリヌクレオチド」は、糖−リン酸骨格又は他の等価な共有結合化学によって共有結合されたヌクレオチド鎖を含む分子を意味する。二本鎖及び一本鎖のDNA及びRNAが、ポリヌクレオチドの典型的な例である。
【0031】
用語「相補配列」は、第1の単離ポリヌクレオチド配列と逆平行であり、第1のポリヌクレオチド配列におけるヌクレオチドに対して相補的なヌクレオチドを含む第2の単離ポリヌクレオチド配列を意味する。典型的には、このような「相補配列」は、適切な条件下で第1の単離ポリヌクレオチド配列と組み合わされたときに、二本鎖DNA又は二本鎖RNAのような二本鎖のポリヌクレオチド分子を形成することができる。
【0032】
用語「ベクター」は、生体系内で複製することができる、又はこうした系の間で移動可能である、ポリヌクレオチドを意味する。ベクターポリヌクレオチドは典型的に、生体系においてこれらのポリヌクレオチドの複製又は維持を促進するように機能する複製起点、ポリアデニル化信号又は選択マーカーのような因子を含有する。このような生体系の例としては、細胞、ウイルス、動物、植物、及びベクターを複製することのできる生物学的構成成分を利用して再構成された生体系を挙げることができる。ベクターを含むポリヌクレオチドは、DNA又はRNA分子又はこれらのハイブリッドであってよい。
【0033】
用語「発現ベクター」は、生体系又は再構成された生体系において、その発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドの翻訳を指示するために利用することができるベクターを意味する。
【0034】
用語「ポリペプチド」は、ポリペプチドを形成するためにペプチド結合によって結合された少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を意味する。50個未満のアミノ酸からなる低分子量ポリペプチドは「ペプチド」と呼ばれる場合がある。ポリペプチドはまた、「タンパク質」とも呼ばれる場合がある。
【0035】
用語「抗体」は、抗原に特異的に結合する分子を指し、二量体、三量体及び多量体抗体、並びにキメラ、ヒト化及び完全ヒト抗体を包含する。また、抗体は、全抗体又は、少なくともその抗原結合機能を保持しているフラグメントなどの抗体分子の機能フラグメントであり得、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、scFv、dsFv及び二重特異性抗体を包含する。例えば、抗体フラグメントは、タンパク質分解酵素を使用して入手してもよい(例えば、全抗体をパパインで消化して、Fabフラグメントを生成させ、ペプシン処理によりF(ab’)2フラグメントの生成を得る)。種々の抗体の調製及び使用技術は、当該技術分野において周知である(Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY 1987〜2001;Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY,1989;Harlow and Lane,Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY,1989;Colligan,et al.,ed.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY 1994〜2001;Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,1997〜2001;Kohler et al.,Nature 256:495〜497,1975;US 4,816,567,Queen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.86:10029〜10033,1989)。例えば、いずれかの非ヒト配列を欠失している完全ヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリントランスジェニックマウスから、又は、ファージディスプレイライブラリーから調製することができる(Lonberg et al.,Nature 368:856〜859,1994;Fishwild et al.,Nature Biotech.14:845〜851,1996;Mendez et al.,Nature Genetics 15:146〜156,1997;Knappik et al.,J.Mol.Biol.296:57〜86,2000;Krebs et al.,J.Immunol.Meth.265:67〜84,2001)。
【0036】
抗体分子又は調製物は、所与の抗原が、第2の非同一性抗原と比較して、より高い親和性をもって、及び非特異的な態様とは対照的に特異的な態様で、結合する場合に、この抗原を「特異的に結合する」という。別の言い方をすれば、抗体分子又は調製物の「特異的な結合」を使用して、2つの異なるポリペプチドを区別することができる。
【0037】
「フラグメント」とは、本発明のいずれかのポリペプチドのいずれかのアミノ酸配列のうちの一部を含むが全部は含まない、アミノ酸配列を有するポリペプチドである。フラグメントは例えば、シグナルペプチド、細胞外領域、膜貫通領域、若しくは細胞質領域、又はそれらの変異型、例えば異種のアミノ−及び/又はカルボキシ−末端アミノ酸配列を包含する連続した一連の残基など、に対応するアミノ酸配列の一部を有する末端切断型(truncated)ポリペプチドを包含することができる。宿主細胞によって又は宿主細胞中で産生される本発明のポリペプチドの分解形態もまた包含される。他の代表的なフラグメントは、α−へリックス又はα−へリックス形成領域、β−シート又はβ−シート形成領域、ターン又はターン形成領域、コイル又はコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α−両親媒性領域、β−両親媒性領域、フレキシブル領域、表面形成領域、基材結合領域、細胞外領域、及び高抗原性インデックス領域を含むフラグメントのような、構造的又は機能的属性によって特徴付けられる。重要なことには、本発明のポリペプチドはフラグメントとして使用又は提供することができる。
【0038】
「変異型ポリペプチド」とは、第1のポリペプチドに対してアミノ酸置換基、挿入基、欠損基、又はこれらの組み合わせが作り込まれた第2のポリペプチドである。自然発生の、変性された、又は非定形型(atypical)なアミノ酸を置換基及び挿入基に使用することができる。
【0039】
「変異型ポリヌクレオチド」とは、第1のポリヌクレオチド配列に対して核酸残基置換基、挿入基、欠損基、又はこれらの組み合わせが作り込まれた第2のポリヌクレオチドである。自然発生の又は変性された核酸塩基を、置換基及び欠損基に使用することができる。
【0040】
用語「調節因子」は、ヒト又は他の動物において治療効果を提供すると考えられ、並びに、TLR3を活性化又は抑制することを通して部分的に治療効果を提供すると考えられている分子又は調製物を意味する。このようなTLR3は、本発明のポリペプチドを含み得る。TLR3治療薬の例には、dsRNA若しくはポリ(I:C)などの既知のTLR3リガンド又は抗TLR3抗体が挙げられ、これらはTLR3に結合して、TLR3を活性化又は抑制して、抗ウイルス活性の増減及び免疫系の刺激といった治療効果を生み出す。
【0041】
用語「有害な症状」は、動物により提示され動物に害を示すいずれかの症状が起こったということを意味する。
【0042】
用語「交さ反応性」は、第1抗原に対して生成した抗体に第2抗原が結合することを意味する。反応交さ性は通常、抗原が異なる種のポリペプチドから、又は、タンパク質ファミリーに属するポリペプチドから、誘導される場合に生じる。交さ反応性は、ヒトTLR3に対して産生された抗体がヒヒTLR3ポリペプチドに結合することであり得る。
【0043】
用語「調節因子」は、阻害因子及び活性化因子を包含する。阻害因子は、結合してTLR3の活性の刺激を部分的又は全体的にブロックし、TLR3の活性を低下させ、阻害し、活性化を遅らせ、不活性化し、感受性を低下させ、又は下方制御する作用剤であり、例えば、アンタゴニストである。活性化因子は、結合してTLR3の活性を刺激し、上昇させ、開放し、活性化し、促進し、活性を増加させ、感受性を上げ、又は上方制御する作用剤であり、例えば、アゴニストである。調節因子には、抗体、抗体部分又はフラグメント、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、低分子量化学分子及びこれらに類するものが挙げられる。既知のTLR3調節因子は、例えば、ポリ(I:C)及びODN2006(Alexopoulou et al.,Nature 413:732〜738,2001;Ranjith−Kumar et al.,Mol Cell Biol.28:4507〜19,2008)である。調節因子についてのアッセイは、下記のように、TLR3を発現している細胞に推定調節因子化合物を適用し、その後、TLR3シグナルにおける機能効果を測定することを含む。
【0044】
本明細書で使用するとき、用語「TLR3活性の調節」は、阻害、抑制、部分的若しくは全体的刺激ブロック、低減、防止、活性化の遅延、不活性化、感受性低減、TLR3のシグナルの活性の下方制御、活性化、促進、活性上昇、感受性上昇、又はTLR3の活性の上方制御を意味する。Toll様受容体活性の阻害は、対照に対してのToll様受容体活性値が50〜80%、所望により25〜50%又は0〜25%であるときに達成される。Toll様受容体活性の活性化は、対照に対してのToll様受容体活性値が100〜125%、所望により125〜150%又は150〜180%であるときに達成され、ここで、対照サンプルは100%の相対TLR3を割り当てられている。上記のように、TLR3活性及び、例えば、TLR3治療薬又は抗体のTLR3活性に対する分子の効果を測定する方法は、当該技術分野で既知の任意の好適な技術を使用して評価され得る。
【0045】
用語「TLR3活性」又は「活性」は、TLR3シグナル伝達経路に基づく多数の可能なシステムにおいて測定することができる。TLR3活性の測定は、在来遺伝子又は、その代わりに、TLR3シグナル伝達経路に反応性である遺伝子導入若しくは別の方法で人工的に導入されたレポーター遺伝子コンストラクトの使用に基づく。本アッセイに有用なレポーター遺伝子及びレポーター遺伝子コンストラクトには、NF−κBに感受性を有するプロモーターに作動可能に連結したレポーター遺伝子が挙げられる。このようなプロモーターの例には、IL−6、IL−8及びIL−12 p40についてのものが挙げられる(Murphy et al.,Mol.Cell.Biol.15:5258〜5267,1995;Libermann and Baltimore,Mol.Cell.Biol.10:2327〜2334,1990;Mauviel et al.,J.Immunol.149:2969〜2976,1992)。TLR3感受性プロモーターに作動可能に連結されたレポーター遺伝子には、例えば、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)、又は緑色蛍光タンパク質(GFP)を挙げることができる。代表的なTLR3活性アッセイは、ポリ(I:C)リガンドにより誘導されるNF−κB活性に基づくTLR3についてのレポーター遺伝子アッセイを使用する。このアッセイは、確立されており、この分野の施術者に一般的に用いられている(Alexopoulos et al.,Nature 413:732〜738,2001;Hacker et al.,EMBO J.18:6973〜6982,1999)。検出できるTLR3活性化から生じる細胞質内シグナル事象には、p38、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)、及びc−jun N末端キナーゼ(JNK)経路、IκBキナーゼリン酸化反応の活性化、並びに、Iκα若しくはIκβの活性化又は分解、及びNF−κBの核転位が挙げられる。TLR3の効果はまた、例えば、IFN−γ、IL−6、IL−12、TNF−α、マクロファージ炎症性タンパク質−1α(MIP1−α)、IL−1α、IP−10及びMIGといったポリ(I:C)などのTLR3リガンドで誘導されると産生されるサイトカイン及びケモカインの量を査定することによりモニターすることもできる(Kabelitz,Curr.Opin.Immunol.19:39〜45,2007)。分泌された分子は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又はバイオアッセイを使用して分析することができる。これら及び他の好適な読み取りシステムは、当該技術分野において周知であり、市販されている。
【0046】
本発明の1つの態様は、配列番号1に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。配列番号1に示されるポリヌクレオチド配列は、ヒヒTLR3の細胞外領域の推定成熟型を含むポリペプチドをコードする。
【0047】
本発明の別の態様は、配列番号2に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドである。配列番号2に示されるポリヌクレオチド配列は、推定ヒヒTLR3シグナル配列及び細胞外領域を含むポリペプチドをコードする。
【0048】
本発明の別の態様は、配列番号3に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。配列番号3に示されるポリヌクレオチド配列は、ヒヒTLR3細胞外領域の推定成熟型、膜貫通領域、及び細胞質領域を含むポリペプチドをコードする。
【0049】
本発明の別の態様は、配列番号4に示される配列又はその相補配列を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドである。配列番号4に示されるポリヌクレオチド配列は、推定ヒヒTLR3シグナルペプチド、細胞外領域、膜貫通領域、及び細胞質領域を含むポリペプチドをコードする。
【0050】
本発明のポリヌクレオチドは、自動ポリヌクレオチドシンセサイザーでの固相ポリヌクレオチド合成のような化学合成により産生されてよい。あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、PCRに基づく複製、ベクターに基づく複製、又は制限酵素に基づくDNA操作技術などの他の技術によって産生してもよい。所与の既知の配列のポリヌクレオチドを産生する又は得るための技術は、当該技術分野において周知である。
【0051】
本発明のポリヌクレオチドはまた、転写されているが翻訳されていない配列、終結シグナル、リボソーム結合部位、mRNA安定化配列、イントロン、及びポリアデニル化シグナルなどの、少なくとも1つの非コード配列を含んでもよい。ポリヌクレオチド配列はまた、追加のアミノ酸をコードする追加の配列を含んでもよい。これらの追加のポリヌクレオチド配列は、例えば、ヘキサ−ヒスチジンペプチド(Gentz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)86:821〜284,1989)又はHAペプチドタグ(Wilson et al.,Cell 37:767〜778,1984)などのマーカー若しくはタグ配列をコードし得、これらは融合ポリペプチドの精製を促進する。
【0052】
本発明の別の実施形態は、配列番号1、2、3、4、5又は6に示される配列を有する単離ポリヌクレオチドを含むベクターである。配列番号5に示されるポリヌクレオチド配列は、完全長ヒヒTLR3を含むペプチド鎖をコードするオープンリーディングフレームに隣接する5’及び3’配列を含む。配列番号6は、p4668と称されるポリヌクレオチド(DNA)発現ベクターである。
【0053】
本発明のベクターは、ポリヌクレオチドを維持し、ポリヌクレオチドを複製し、又は再構成された生体系を包含する生体系において本発明のベクターによりコードされたポリペプチドの発現を促進するために有用である。ベクターは、細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入因子、酵母染色体因子、バキュロウイルス、SV40などのパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、家禽ジフテリアウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ピコロナウイルス(picronaviruses)、及びレトロウイルスに由来するベクター、並びにコスミド及びファージミドなどのこれらの組み合わせに由来するベクターのような、染色体由来、エピソーム由来、及びウイルス由来のものであってよい。
【0054】
本発明のベクターは、脂質、緩衝液、又は粒子に適用するために適切なもののような他の賦形剤を有する補助剤とともに、微小粒子中に処方することができる。本発明の一実施形態では、ベクターは発現ベクターである。発現ベクターは典型的に、このようなベクターによってコードされたポリペプチの発現を制御し、調節し、引き起こし又は許容することができる核酸配列因子を含む。このような因子は、転写エンハンサー結合部位、RNAポリメラーゼ開始部位、リボソーム結合部位、及び所与の発現系においてコードされたポリペプチドの発現を促進する他の部位を含んでよい。このような発現系は、当該技術分野において周知の、細胞に基づく、又は無細胞の系であってよい。コードされたポリペプチドの発現に使用するのに好適な核酸配列因子及び親ベクター配列もまた、当該技術分野において周知である。本発明のポリペプチドの発現のために有用な代表的なプラスミド由来発現ベクターは、大腸菌複製起点、aph(3’)−1aカナマイシン耐性遺伝子、イントロンAを有するHCMV前初期プロモーター、合成ポリA配列及びウシ成長ホルモンターミネータを含む。別の代表的なプラスミド由来の発現ベクターは、大腸菌複製起点、ant(4’)−1aカナマイシン耐性遺伝子、ラウス肉腫ウイルス長末端反復配列、HCMV前初期プロモータ、及びSV40 lateポリA配列を含む。
【0055】
本発明の別の実施形態は、本発明のベクターを含む単離宿主細胞である。代表的な宿主細胞の例としては、古細菌細胞、細菌細胞、例えば連鎖球菌、ブドウ球菌、腸球菌、大腸菌、ストレプトミセス、シアノバクテリア、枯草菌、及び黄色ブドウ球菌、真菌細胞、例えばKluveromyces、サッカロミセス、担子菌(Basidomycete)、カンジダアルビカンス、又はアスペルギルス、昆虫細胞、例えばドロソフィラS2及びスポドプテラSf9、動物細胞、例えばCHO、COS,HeLa、C127、3T3、BHK、293、CV−1、ボーズメラノーマ(Bowes melanoma)、及び骨髄腫、並びに植物細胞、例えば裸子植物又は被子植物細胞が挙げられる。本発明の方法における宿主細胞は、個々の細胞として提供されても細胞群として提供されてもよい。細胞群は、単離された培養された細胞群、又は組織などのマトリックス中に存在する細胞を含んでよい。
【0056】
ベクターなどのポリヌクレオチドの宿主細胞への導入は、当業者には周知の方法によって行うことができる(Davis et al.,Basic Methods in Molecular Biology,2nd ed.,Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,2001)。これらの方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング(scrape loading)、バリスティック導入(ballistic introduction)、及び感染が挙げられる。
【0057】
本発明の別の態様は、配列番号7に示される配列を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドである。配列番号7は、ヒヒTLR3細胞外領域の推定成熟型を含むポリペプチドである。
【0058】
本発明の別の態様は、配列番号8に示される配列を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドである。配列番号8は、推定ヒヒTLR3シグナルペプチド及び細胞外領域を含むポリペプチドである。
【0059】
本発明の別の態様は、配列番号9に示される配列を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドである。配列番号9は、ヒヒTLR3細胞外領域の推定成熟型、膜貫通領域、及び細胞質領域を含むポリペプチドである。
【0060】
本発明の別の態様は、配列番号10に示される配列を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドである。配列番号10は、推定ヒヒTLR3シグナルペプチド、細胞外領域、膜貫通領域、及び細胞質領域を含むポリペプチドである。
【0061】
本発明のポリペプチドは、自動ペプチド合成機で固相ペプチド合成などの化学合成により産生してもよい。あるいは、本発明のポリペプチドは、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドから、網状赤血球溶血液(reticulocyte lystate)に基づく発現系、小麦胚抽出物に基づく発現系、及び大腸菌抽出物に基づく発現系などの無細胞発現系を使用することによって得ることができる。本発明のポリペプチドはまた、容易に単離されるアフィニティ標識されたポリペプチドの組み換え発現などの当該技術分野において周知の技術により、本発明の核酸配列を内包する細胞から発現及び単離することによって得ることもできる。当業者は、本発明のポリペプチドを得るための他の技術を認識するであろう。
【0062】
本発明のポリペプチドは、第2のポリペプチドと融合した本発明のポリペプチドを含む融合ポリペプチドを含むことができる。このような第2のポリペプチドは、リーダー又は分泌シグナル配列、プレ−若しくはプロ−又はプレプロ−タンパク質配列、並びに自然発生の、又は一部が自然発生の配列に由来する部分的に合成された配列又は全合成の配列であってよい。分泌シグナル又はリーダーポリペプチド配列は、本発明のポリペプチドの分泌を小胞体の内腔又は細胞外環境に向けるように選択してもよい。このようなポリペプチド配列は、パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿からのいずれかのポリペプチドに対して異種性又は内因性であってもよく、又はこれらのハイブリッドを含んでもよい。代表的な融合タンパク質は、配列番号7、8、9又は10に示されているアミノ酸配列を有するヒヒTLR3ポリペプチドと、デザインされたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)(Stumpp and Amstutz,Curr.Opin.Durg Discov.Devel.10:153〜159,2007)、MIMETIBODY(商標)コンストラクト(Picha et al.Diabetes 57:1926〜1934,2008)、他のタンパク質領域又は他のTLR3、例えばTLR7若しくはTLR9、に特異的なペプチドとを互いに結合させることにより形成することができる。融合タンパク質は通常、組み換え核酸法又は当該技術分野において周知の化学合成法のいずれかを用いて産生され得る。MIMETIBODY(商標)コンストラクトは、下記一般式(I)を有する:
(Bp−Lk−(V2)y−Hg−CH2−CH3)(t)
(I)
【0063】
ここで、Bpは標的分子に結合する能力を有するペプチド又はポリペプチド、Lkはポリペプチド又は化学的連結、V2は免疫グロブリンの可変部分のC−端末部分、Hgは少なくとも免疫グロブリンの可変ヒンジ領域、CH2は免疫グロブリン重鎖のCH2定常領域、及びCH3は免疫グロブリン重鎖のCH3定常領域、yは0又は1であり、tは独立して1から10までの整数である。
【0064】
基質特異性、安定性、溶解性及びこれらに類するものを高めるなどの目的のために本発明のポリペプチド又はフラグメントの構造を改変することが可能である。例えば、アミノ酸置換、欠失又は付加などによってアミノ酸配列が変更された改変済みポリペプチドを作製することができる。ロイシンをイソロイシン若しくはバリンで、アスパラギン酸をグルタミン酸で、トレオニンをセリンで、単独置換すること、又は、アミノ酸を構造的に関連したアミノ酸で同様に置換すること(すなわち、保守的変異)は、場合によっては、但し全てがではないが、得られる分子の生物活性に大きな影響を及ぼさないと想到される。保守的置換は、側鎖に関連性があるアミノ酸のファミリー内で生じるものである。遺伝的にコードされたアミノ酸は4つのファミリーに分けることができる:(1)酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸);(2)塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン);(3)非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);並びに(4)非荷電極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン)。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、時に、芳香族アミノ酸として一緒に分類される。同様に、アミノ酸レパートリーは、以下のように分類することができる:(1)酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸);(2)塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、(3)脂肪族(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン)、但し、セリン及びトレオニンは所望により脂肪族ヒドロキシルとして別個に分類される;(4)芳香族(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン);(5)アミド(アスパラギン、グルタミン);並びに(6)硫黄含有(システイン及びメチオニン)(Stryer(ed.),Biochemistry,2nd ed,WH Freeman and Co.,1981)。ポリペプチド又はそのフラグメントのアミノ酸配列の変化が機能的ホモログを生じるかどうかは、本明細書に記載のアッセイを使用して、改変されたポリペプチド又はフラグメントが非改変ポリペプチド又はフラグメントと同様の反応を生じることができるかを査定することにより容易に判定することができる。1つ以上の置換が生じるペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、同様に容易に試験することができる。
【0065】
本発明のポリペプチドはまた、製薬上許容できるキャリア又は希釈剤中へと処方することができる。例えば、0.4%生理食塩水又は0.3%グリセリンなどの、種々の水性キャリアを援用することができる。これらの溶液は滅菌され、一般的には粒子状物質を含まない。これらの溶液は、従来の、周知の殺菌技術(例えば、ろ過)などにより殺菌される。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤のような製薬上許容できる補助物質を、生理学的状態に近づけるために必要に応じて含有してもよい。そのような薬学的製剤中の本発明のポリペプチドの濃度は、幅広く変化させることができ、すなわち、約0.5重量%未満から、通常は約1重量%又は少なくとも約1重量%から15又は20重量%程度まで変化させることができ、主に選択された投与の特定の様式に応じて流体の容積、粘度、及び他の要因に基づいて選択される。
【0066】
本発明のポリペプチド及び核酸はまた、免疫反応を引き出すためのワクチンなどの、単位用量形態で提供できる医薬品の形態で提供することもできる。適切な、治療上有効な投与量は、当業者にとっては容易に決定することができる。決定された用量は、必要ならば、治療期間の間、医師又は他の当業者(例えば、看護師、獣医、又は獣医学技術者)によって適切に選択された適切な時間間隔で繰り返してもよい。
【0067】
本発明のポリペプチドは、保存のために凍結乾燥することができ、使用前に好適なキャリアで再構成できる。この技術は、従来のタンパク質調製で有効であることが示されている。凍結乾燥及び再構成技術は、当該技術分野において周知である。
【0068】
本発明の別の実施形態は、本発明の宿主細胞を提供する工程と、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11に示される配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを発現するために十分な条件下で宿主細胞を培養する工程と、所望により配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、又は配列番号11に示される配列を含む少なくとも1つのポリペプチドの発現を確認する工程と、を含む、ポリペプチドを発現させるための方法である。
【0069】
宿主細胞は、所与のタイプの宿主細胞を維持し又は増殖させるのに好適な、かつポリペプチドを発現させるために十分なあらゆる条件下で培養することができる。ポリペプチドの発現に十分な培養条件、培地、及び関連する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、多くの哺乳類細胞タイプは、適切に緩衝されたDMEM培地を用いて37℃において好気的に培養することができ、一方細菌、酵母、及び他の細胞タイプは、LB培地中適切な雰囲気条件下で37℃にて培養されてよい。
【0070】
本発明の方法では、ポリペプチドの発現は、当該技術分野において周知の種々の異なる技術を用いて確認することができる。例えば、ポリペプチドの発現は、発現されるポリペプチドに特異的な抗体又は受容体リガンドのような検出試薬を用いて確認することができる。本発明のヒヒTLR3ポリペプチドに特異的に結合する又はこれと交さ反応する抗体は、このような試薬の一例である。TLR3に結合するdsRNA又はポリ(I:C)のようなTLR3受容体リガンドは、このような試薬のもう1つの例である。検出試薬は、その検出試薬に対して若しくは検出試薬中に放射線標識、蛍光色素分子、発色団、又は他の検出可能な分子を、結合させること又は組み込むことによって、検出可能に標識してよい。ポリペプチドの発現はまた、NF−κBの活性化又はI型インターフェロンの生成の増大などの、TLR3の活性化に関連する生物活性についてのアッセイを行うことによって確認することもできる。アッセイはまた、TLR3活性化に対して応答するレポーター遺伝子コンストラクトを利用してもよい。本アッセイに有用なレポーター遺伝子及びレポーター遺伝子コンストラクトには、NF−κBに感受性を有するプロモーターに作動可能に連結したレポーター遺伝子が挙げられる。このようなプロモーターの例には、IL−6、IL−8及びIL−12 p40についてのものが挙げられる(Murphy et al.,Mol.Cell.Biol.15:5258〜5267,1995;Libermann and Baltimore,Mol.Cell.Biol.10:2327〜2334,1990;Mauviel et al.,J.Immunol.149:2969〜2976,1992)。TLR3感受性プロモーターに作動可能に連結されたレポーター遺伝子には、例えば、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)、又は緑色蛍光タンパク質(GFP)を挙げることができる。代表的なTLR3活性アッセイは、ポリ(I:C)リガンドにより誘導されるNF−κB活性に基づくTLR3についてのレポーター遺伝子アッセイを使用する。このアッセイは、確立されており、この分野の施術者に一般的に用いられている(Alexopoulos et al.,Nature 413:732〜738,2001;Hacker et al.,EMBO J.18:6973〜6982,1999)。
【0071】
ポリペプチド発現はまた、ポリペプチドの調製において本発明のポリペプチドを物理的に特徴付けることでポリペプチドを同定することにより確認することもできる。例えば、SDS−PAGE技術、及び例えば、タンパク質分子量又は等電点のような基準を利用する他の周知のタンパク質評価技術を使用して、本発明のポリペプチドの発現を確認することができる。硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、高速液体クロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーのようなタンパク質の精製技術を使用して、本発明のポリペプチドの発現を確認することもできる。
【0072】
重要なことに、本発明の方法では、発現されるポリペプチドを単離する必要はない。したがって、ポリペプチドの発現は例えば、細胞上若しくは細胞中で、又はポリペプチドの混合物中で、確認してもよい。適切な場合には、蛍光標識細胞分取(FACS)のようなフローサイトメトリーに基づく技術を使用して、細胞によるポリペプチドの発現を確認してもよい。上述したように、ポリペプチドの発現は、当該技術分野において既知のいずれかの好適な技術を用いて確認してもよい。
【0073】
本発明の別の実施形態は、本発明の方法によって産生されたポリペプチドである。このようなポリペプチドは、例えばグリコシル化又はリン酸化反応を包含する翻訳後修飾を含んでもよい。このようなポリペプチドはまた、スプライスバリアント、末端切断(truncated)形態、又はタンパク質分解修飾形態などの別のポリペプチド形態を含んでもよい。
【0074】
本発明の別の実施形態は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体である。本発明のポリペプチドは、ヒヒTLR3に対するポリクローナル又はモノクローナル抗体を産生するために使用することができる。タンパク質又は核酸免疫付与を使用するネズミ、キメラ、ヒト化、及び完全ヒトモノクローナル抗体を作製するための技術は、当業者には日常的であり、周知である。こうした技術についての追加の議論及び説明は、上記に見出すことができる。
【0075】
本発明の別の実施形態は、パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿TLR3に対するTLR3調節因子の交さ反応性を測定する方法である。たとえポリペプチド及びエピトープが、調節因子のための推定モデルを考慮して種を横断して及び種において保存されたとしても、調節因子の交さ反応性は追加的実験が行われる前に確証すべきである(Loisel et al.,Crit.Rev.in Onc.Hematol.62:34〜42,2007)。ポリペプチド及び他の抗原に対する、調節因子、本発明の抗体及び他のTLR3抗体の交さ反応性は、例えば、BIAコア分析、FACS分析、免疫蛍光法、免疫細胞化学法、ラジオイムノアッセイ、ELISA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、ウエスタンブロット、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ及びプロテインAイムノアッセイなどの技術を用いる競合的及び非競合的アッセイシステムを使用して分析され得る。このようなアッセイは慣行法であり、当該技術分野において周知である(Ausubel et al.,eds,1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,New York)。交さ反応性はまた、TLR3の活性に関連する生物活性についての分析により評価することもできる。このようなアッセイの更なる議論は、上記に見ることができる。例えば、ヒヒTLR3ポリペプチドについてのヒト抗TLR3抗体調節因子の交さ反応性は、TLR3のポリ(I:C)により誘導されるNF−κB活性化下流の活性化をブロックすることにおける抗体の効果を査定するアッセイを使用して、評価することができる。
【0076】
本発明の別の実施形態は、TLR3調節因子がヒトにおける使用に安全でありそうか又は安全でなさそうかを判定するための方法であり、TLR3調節因子と第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿と第2のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿を提供する工程と、TLR3調節因子を第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿に投与する工程と、第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿が第2の猿と比較して有害症状を呈するかどうかを判定する工程とを含み、ここで、第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿が有害症状を呈することは、TLR3調節因子がヒトにおける使用について潜在的に安全ではないことを示し、第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿が有害症状を呈さないことは、TLR3治療薬がヒトにおいて潜在的に安全であることを示す。
【0077】
本発明の方法では、第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿が第2のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿と比較して有害症状を呈しているかどうかの判定は、容易に達成される。例えば、獣医、獣医の助手、動物技術者、又は研究者などの当業者は、動物により呈される症状が有害であるかどうかを判定できる。有害症状の例としては、死、昏睡、痙攣、発熱、臓器不全、組織異常、臓器機能障害、組織機能障害、癌、腫瘍、潰瘍、出血、感染等が挙げられる。試験できるTLR3調節因子には、抗体、抗体部分若しくはフラグメント、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、低分子、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0078】
ここで、以下の具体的かつ非限定的な実施例を参照して、本発明を説明する。
【実施例】
【0079】
(実施例1)
パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3(ヒヒTLR3)をコードするポリヌクレオチドの単離
パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)初代気管上皮細胞からパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3 cDNAをクローニングした。ヒヒTLR3 cDNAは905個のアミノ酸のタンパク質をコードし、配列番号13に示されたヒトTLR3 cDNA配列に95.7%の同一性と96.9%の相同性を示した。パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3タンパク質は、推定23アミノ酸シグナル配列を有し、膜貫通領域はアミノ酸704〜725.ssを包含すると推定された。
【0080】
気管上皮細胞は、正常パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)ヒヒからの気管リングを消化することにより入手された。気管/気管支上皮細胞の単離は、本質的にはRobinson及びWu(Robinson and Wu,J.Tissue Culture Methods 13:95〜102,1991)により記載されているように実施した。全RNAの単離のために細胞を培養し、採取した。
【0081】
ヒトオリゴヌクレオチドプライマー5’GATCTGTCTCATAATGGCTTGTCA 3’(配列番号14)及び5’GTTTATCAATCCTGTGAACATAT 3’(配列番号15)を使用して、682塩基対のヒヒTLR3 cDNAをうまく増幅した。得られたフラグメントを単離し、TOPO pCR4キット(Invitrogen)を用いてサブクローニングし、形質転換細胞からプラスミドDNAを単離し、配列決定した。遺伝子の5’末端をクローニングするために、ヒト5’及びヒヒ3’オリゴヌクレオチドプライマー5’ATGAGACAGACTTTGCCTTGT 3’(配列番号16)及び5’CAAATGCTGTATATTATTATA 3’(配列番号17)を用いてRT−PCRを行った。遺伝子の3’末端をクローニングするために、ヒヒ5’及びヒト3’オリゴヌクレオチドプライマー(5’GTTAGAGTTATCATCGAAT 3’(配列番号18)及び5’TTAATGTACAGAGTTTTTGGA 3’(配列番号19)を用いてPCRを行った。得られたフラグメントを単離し、サブクローニングし、形質転換細胞からのプラスミドDNAを単離し、配列決定した。
【0082】
更に、ヒト5’及び3’非翻訳領域(UTR)配列から得られるプライマーを、入手したヒヒTLR3 cDNAから得られるプライマーと共に用いる、RT−PCRにより、5’及び3’ヒヒcDNA並びにUTRをクローニングした。プライマー5’CATCCAACAGAAT 3’(配列番号20)及び5’CAAATGCTGTATATTATTATA 3’(配列番号21)を用いるRT−PCRにより5’領域をクローニングした。プライマー5’TTGAATATGCAGCATATATAA 3’(配列番号22)及び5’AACTTTTTAAATTGAGAAAGTT 3’(配列番号23)を用いるRT−PCRにより3’領域をクローニングした。得られたおよそ1,000塩基対及び508塩基対のPCRフラグメントは、ヒヒTLR3 cDNAの5’及び3’末端にそれぞれ相当し、上記のように単離し、サブクローニングした。形質転換細胞からのプラスミドDNAを単離し、配列決定した。重複クローニングしたヒヒcDNAフラグメントの配列から完全長ヒヒTLR3 cDNA配列を得た。完全長ヒヒTLR3ポリヌクレオチド配列を配列番号5で示す。推定完全長タンパク質配列を配列番号10で示す。ヒトとヒヒTLR3ポリペプチド配列間のアラインメントを図1に示す。
【0083】
(実施例2)
ヒヒTLR3 cDNAは、機能タンパク質をコードし、抗ヒトTLR3抗体と交さ反応する。
【0084】
ヒヒTLR3の機能性を査定するために、ヒヒTLR3が下流シグナル経路を活性化する能力を査定した。ヒトTLR3の下流のNF−κBの活性化と比較した場合に同様のやりかたでポリ(I:C)に誘導されると、ヒヒTLR3はNF−κBを活性化した(図2)。更に、ポリ(I:C)に誘導されたNF−κB活性化は、抗ヒトTLR3ポリクローナル抗体により阻害された。抗ヒトTLR1ポリクローナル抗体は、効果を有さなかった(図3)。
【0085】
5’NotI及び3’XhoI制限部位をそれぞれ含んだオリゴヌクレオチドプライマー5’ATTATTGCGGCCGCCACCATGAGACAGACTTTGCCTTGTATCTAC 3’(配列番号24)及び5’TAATAACTCGAGTTAATGTACAGAGTTTTTGGATCCAAGTG 3’(配列番号25)を用いて、ヒヒTLR3完全長cDNAをpBETHベクター内にクローニングした。得られた2.7κBのPCRフラグメントを精製し、NotI及びXhoIで消化し、発現ベクターpBETH(Invitrogen)の対応する部位にサブクローニングした。sプラスミドDNAを精製し、配列決定して、ヒヒTLR3 cDNAの正確なクローニングを確認した。コンストラクトにプラスミド番号p4668を割り当てた。200μLのHEK−293細胞を96ウェル白色透明底プレートの各ウェルに完全DMEM中4×104細胞数/ウェルの濃度で蒔いた。24時間後、70〜90%コンフルエントの細胞に、ホタルルシフェラーゼpNF−κBレポータープラスミド(30ng、Stratagene)、phRL−TK対照Renillaルシフェラーゼレポータープラスミド(5ng、Promega)を含有するプラスミド、ヒトTLR3又はヒヒTLR3 cDNAコンストラクト(1.5ng)及び空pcDNA3.1ベクター(13.5ng、Invitrogen)を含有するプラスミドを形質導入して、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて全DNA量を50ng/ウェルにした。形質導入の24時間後、無血清DMEM中で抗ヒトTLR3(AF1487,R&D Systems)又は抗ヒトTLR1抗体(AF1484,R&D Systems)と共に細胞を1時間にわたって37℃にてインキュベートし、その後、1μg/mLのポリ(I:C)(GE−Amersham)を添加した。更に24時間にわたってインキュベートした後、Dual−Glo Luciferase Assay System試薬(Promega)を用いて細胞を採取し、OPTIMAソフトウェアを備えるFLUOstar OPTIMA多方向リーダー(BMG Labtech GmbH,Germany)を用いて相対発光量を測定した。
【0086】
本発明はここに完全に記述され、添付の本発明の請求項の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲での、本発明に対する多くの変更及び改良をなしうることは、当業者にとり明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
配列番号1に示される配列又はその相補配列を有する、請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号2に示される配列又はその相補配列を有する、請求項3に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号3に示される配列又はその相補配列を有する、請求項5に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号4に示される配列又はその相補配列を有する、請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号1、2、3、4、5又は6に示される配列を有する単離ポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項10】
発現ベクターである、請求項9に記載のベクター。
【請求項11】
請求項9に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
【請求項12】
請求項10に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
【請求項13】
配列番号7に示される配列を有するポリペプチドを含む、単離ポリペプチド。
【請求項14】
配列番号8に示される配列を有するポリペプチドを含む、単離ポリペプチド。
【請求項15】
配列番号9に示される配列を有するポリペプチドを含む、単離ポリペプチド。
【請求項16】
配列番号10に示される配列を有するポリペプチドを含む、単離ポリペプチド。
【請求項17】
a.請求項12に記載の宿主細胞を提供する工程と、
b.配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10又は配列番号11に示される配列を含む少なくとも1つのポリペプチドの発現に十分な条件下で前記宿主細胞を培養する工程と、を含む、ポリペプチドの発現方法。
【請求項18】
請求項13、14、15又は16に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
【請求項19】
パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3に対するヒトTLR3調節因子の交さ反応性を測定するための方法であって、
a.TLR3調節因子と、配列番号7、配列番号8、配列番号9又は配列番号10で示される配列を含むパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3単離ポリペプチドとを提供することと、
b.前記TLR3調節因子を前記パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3単離ポリペプチドに接触させることと、
c.前記TLR3調節因子が前記パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3単離ポリペプチドに結合するかどうかを判定することと、を含む、方法。
【請求項20】
パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3に対するヒトTLR3調節因子の交さ反応性を測定するための方法であって、前記方法は、
a.TLR3調節因子と請求項12に記載の単離宿主細胞を提供することと、
b.請求項17に記載のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3単離ポリペプチドを発現させることと、
c.前記TLR3調節因子を前記発現させたパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3ポリペプチドに接触させることと、
d.TLR3活性における前記TLR3調節因子の影響を測定することと、を含み、ここで、前記TLR3調節因子を接触させることから生じるTLR3活性の調節は、TLR3治療薬が前記パピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)TLR3と交さ反応することを示す、方法。
【請求項21】
前記TLR3調節因子が抗体、抗体部分若しくはフラグメント、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド又はこれらの組み合わせである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
TLR3調節因子の安全性を査定するための方法であって、前記方法は、
a.TLR3調節因子と第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿と第2のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿とを提供する工程と、
b.前記TLR3調節因子を前記第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿に投与する工程と、
c.前記第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿が前記第2の猿と比較して有害症状を呈するかどうかを判定する工程とを含み、ここで、前記第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿が有害症状を呈することは、TLR3調節因子がヒトにおける使用について潜在的に安全ではないことを示し、前記第1のパピオ シノセファラス(Papio cynocephalus)猿が有害症状を呈さないことは、TLR3治療薬がヒトにおける使用に潜在的に安全であることを示す、方法。
【請求項23】
前記TLR3調節因子が抗体、抗体部分若しくはフラグメント、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、低分子又はこれらの組み合わせである、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−504413(P2012−504413A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530123(P2011−530123)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/058430
【国際公開番号】WO2010/039615
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(509087759)ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド (77)
【Fターム(参考)】