説明

パラジウム複合粒子

【課題】高温条件下における酸化パラジウムのパラジウムへの分解を防止する手段を提供することを目的とする。
【解決手段】パラジウムと、ストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種とを含む複合体が、無機酸化物に担持されてなるパラジウム複合粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラジウム複合粒子に関する。より詳しくは、本発明は、高温条件下における酸化パラジウムの金属パラジウムへの分解を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウムは、内燃機関などから排出される排気ガス浄化用の触媒中に触媒成分として広く使用されている元素である。これらの触媒中で、パラジウムは金属パラジウム(Pd)、酸化パラジウム(PdO、PdO2)、および他の金属との複合酸化物などからなる粒子として存在する。
【0003】
しかし、800℃以上の高温条件下では、酸化パラジウムは、金属パラジウムに分解される(還元される)ことが知られている。例えば、非特許文献1には、酸化パラジウムの分解温度と酸素分圧との関係を表す式が開示されている。
【0004】
また、金属パラジウム粒子は、高温条件下でシンタリングを起こしやすいという性質を有する。金属パラジウム粒子がシンタリングを起こすと、複数の金属パラジウムが融合し、1つの大きな金属パラジウム粒子となるため、単位物質量あたりの表面積が小さくなるという現象が起こる。一方、パラジウムが酸化パラジウムとして存在する場合は、高温条件下においても、シンタリングが起こりにくく、小さな粒子形態を維持することができる。
【0005】
また、パラジウムを触媒として酸化反応に用いる場合には、Pdよりも酸化パラジウムの方が高い活性を示す場合がある。
【0006】
したがって、パラジウムの活性表面積を維持するため、または、酸化反応活性を得るために、高温条件下における酸化パラジウムの金属パラジウムへの分解を防ぐことが求められる。このように、酸化パラジウムの分解を防止するために、いくつかの手法が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1では、燃料噴射手段からの燃料の流量を調節して触媒温度を約900℃以下となるように制御することにより、酸化パラジウムの金属パラジウムへの分解を防ぐことを提案している。また、非特許文献2では、酸化アルミニウム(Al23)に担持させた酸化パラジウムは、酸化セリウム(CeO2)や酸化ジルコニウムに担持させた酸化パラジウムよりも、金属パラジウムへの分解温度が高いことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−196307号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】G.Bayer, H.G. Wiedemann, THERMAL ANALYSIS, 1, 763 (1974)
【非特許文献2】R.J. Farrauto el. al., Applied Catalysis B: Environmental, 6, 263 (1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の手法は、酸化パラジウムが高温条件下において金属パラジウムへと分解しやすいという物性そのものを改善するものではない。したがって、触媒温度が900℃以上となる条件下では当該酸化パラジウムを使用することができないという問題がある。また、非特許文献2の手法によると、酸化パラジウムを酸化アルミニウムに担持させることにより、酸化パラジウムの分解温度を高温化させることができる、とあるが、この場合の分解開始温度も810℃と十分ではない。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高温条件下における酸化パラジウムのパラジウムへの分解を防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題に鑑み鋭意検討した結果、パラジウムを、ストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種と共に無機酸化物に担持させることにより、高温条件下での酸化パラジウムのパラジウムへの分解を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、上記課題は、パラジウムと、ストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種とを含む複合体が、無機酸化物に担持されてなるパラジウム複合粒子、により解決される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高温条件下における酸化パラジウムのパラジウムへの分解を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】各温度における、パラジウム複合粒子の重量の減少量および重量減少勾配の接線の傾きを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきものであり、以下の形態に限定されない。
【0017】
<パラジウム複合粒子>
本形態のパラジウム複合粒子は、パラジウムと、ストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種とを含む複合体が、無機酸化物に担持されてなる。
【0018】
(パラジウム)
上記複合体は、パラジウムを必須に含む。本形態において、パラジウムは、有害物質を浄化するための化学反応(酸化・還元反応)において、触媒として機能する。なお、本明細書において、パラジウムとは「パラジウム元素」または「パラジウム原子」を意味する。したがって、本形態のパラジウム複合粒子において、パラジウムは単体または化合物のいずれの形態で存在していてもよく、例えば、パラジウム酸化物(PdO、PdO2)などのパラジウム化合物や、金属パラジウム(Pd)などの形態でありうる。
【0019】
上記複合体に含まれる、パラジウムの量は特に制限はないが、後述の無機酸化物100質量部に対して、金属パラジウム(Pd)換算で、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。パラジウムの含有量が、0.1質量部以上であるとパラジウムとストロンチウムおよび/またはバリウムとの接触確率が上がるため複合化しやすくなる。一方、20質量部以下であると、複合体を形成させるには十分であるため原料コストを低減できる。
【0020】
(ストロンチウムまたはバリウム)
本形態のパラジウム複合粒子における複合体は、ストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種を必須に含む。本形態において、ストロンチウムまたはバリウムは、パラジウムと共に複合体中に存在することによって、高温条件下における酸化パラジウムのパラジウムへの分解の防止に寄与しているものと考えられる。
【0021】
本明細書において、ストロンチウムとは「ストロンチウム元素」または「ストロンチウム原子」を意味し、バリウムとは「バリウム元素」または「バリウム原子」を意味する。したがって、本形態のパラジウム複合粒子において、ストロンチウムまたはバリウムは、単体または化合物のいずれの形態で存在していてもよく、例えば、ストロンチウムは、ストロンチウム酸化物(SrO)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)などのストロンチウム化合物や、金属ストロンチウム(Sr);バリウムは、バリウム酸化物(BaO)、炭酸バリウム(BaCO3)などのバリウム化合物や、金属バリウム(Ba);などの形態でありうる。なお、本形態のパラジウム複合粒子における複合体には、ストロンチウムまたはバリウムのいずれか一方が含まれていればよいが、ストロンチウムおよびバリウムの両方が含まれていても勿論構わない。
【0022】
上記複合体に含まれる、ストロンチウムおよびバリウムの総量も特に制限はないが、後述の無機酸化物100質量部に対して、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)換算で、0.5〜15質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましい。ストロンチウムおよびバリウムの総量が、0.1質量部以上であるとPd原子との接触確率が上がるため複合体を形成しやすくすることできる。一方、20質量部以下であると、Pd原子が気相に十分露出しているため、反応に寄与できる
また、上記複合体において、パラジウムのモル数に対する、ストロンチウムおよびバリウムの総モル数の割合は、0.1〜3であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。
【0023】
(他の触媒成分)
上記複合体には、上述のパラジウム、ならびにストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種以外に、必要に応じて他の触媒成分を含んでもよい。なお、本明細書において、「触媒成分」とは、有害物質を浄化するための化学反応(酸化・還元反応)を直接的に触媒する成分のみならず、酸素貯蔵材(OSC材)、HC吸着材、およびNOx吸着材などの触媒作用を補助する機能を有する成分をも含む概念である。他の触媒成分としては、例えば、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、およびルテニウム(Ru)などのパラジウム以外の貴金属;ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rh)、およびセシウム(Cs)などのアルカリ金属;マグネシウム(Mg)およびカルシウム(Ca)などの、ストロンチウムおよびバリウム以外のアルカリ土類金属;セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、およびエルビウム(Er)などの希土類元素;マンガン、ならびにタングステンからなる群より選択される少なくとも1種の元素が挙げられる。これらの他の触媒成分は、浄化(除去)する有害成分などによって適宜選択され、1種のみを単独で使用されてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記複合体に、場合によって含まれる他の触媒成分の量は、特に制限はないが、後述の無機酸化物100質量部に対して、酸化物換算で、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましい。他の触媒成分の量が0.01質量部以上であると、当該他の触媒成分を複合体中に十分に分散させることができ、一方、10質量部以下であると、他の触媒成分の効果または他の触媒成分以外の触媒成分(すなわち、パラジウム、ならびにストロンチウムおよび/またはバリウム)の効果を十分発揮させることができる。
【0025】
[無機酸化物]
本形態のパラジウム複合粒子において、無機酸化物は、上記複合体を担持させるための担体として機能する。無機酸化物に使用される材料は、当該分野において担体として使用されうる、耐火性無機酸化物や酸素貯蔵材として使用される無機酸化物などを制限なく私用することができる。
【0026】
上記耐火性無機酸化物としては、融点の高い無機酸化物、より好ましくは融点が1000℃以上の無機酸化物が好ましく使用される。より好ましくは融点が1000〜3000℃、特に好ましくは1500〜3000℃の無機酸化物が使用される。具体的には、α−アルミナ、もしくはγ、δ、η、θなどの活性アルミナのような酸化アルミニウム(Al23);酸化ケイ素(シリカ)(SiO2);酸化チタン(チタニア)(TiO2);酸化ジルコニウム(ジルコニア)(ZrO2);酸化リン(P25);リン酸ゼオライト;またはこれらの複合酸化物、例えば、アルミナ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、チタニア−ジルコニアなどが挙げられる。これらのうち、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化ケイ素が好ましく、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムがより好ましく、酸化アルミニウムがさらに好ましい。
【0027】
また、上記耐火性無機酸化物は、希土類金属を含有していてもよい。希土類金属としては、セリウム(Ce)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、プラセオジム(Pr)などが挙げられる。このうち、好ましくは、セリウム、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジムであり、より好ましくは、ランタン、およびセリウムである。なお、これらの希土類金属は、耐火性無機酸化物中に、単独で含有されていてもよいし、2種以上が組み合わされて含有されていてもよい。また、希土類金属は、耐火性無機酸化物中において、金属そのままの形態であってもよいし、酸化物の形態であってもよく、あるいは耐火性無機酸化物との複合酸化物の形態であってもよい。
【0028】
一方、酸素貯蔵材として使用される無機酸化物としては、例えば、セリウム酸化物(CeO2)、セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2−ZrO2)などが挙げられる。
【0029】
また、上記酸素貯蔵材として使用される無機酸化物は、希土類金属(ただし、Ceを除く)を含有していてもよい。希土類金属としては、上述の耐火性無機酸化物に含まれうる希土類元素と同様のものが挙げられる。このうち、好ましくは、ランタン、ネオジム、イットリウム、プラセオジムであり、より好ましくは、ランタン、イットリウムである。なお、これらの希土類金属は、酸素貯蔵材として使用される無機酸化物中に、単独で含有されていてもよいし、2種以上が組み合わされて含有されていてもよい。また、希土類金属は、酸素貯蔵材として使用される無機酸化物中において、金属そのままの形態であってもよいし、酸化物の形態であってもよく、あるいは当該酸素貯蔵材として使用される無機酸化物に含まれる無機物(金属)との複合酸化物の形態であってもよい。
【0030】
これらの無機酸化物のうち、高温条件下における酸化パラジウムの金属パラジウムへの分解をより効果的に防止する観点から、酸化アルミニウム、またはセリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2−ZrO2)を用いることが好ましく、セリア−ジルコニア複合酸化物を用いることがより好ましい。なお、以上の無機酸化物は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
無機酸化物の形状は、特に制限はないが、例えば、球形状、立方体状、紡錘形状、円柱形状、リング状、針状、および不定形状などの形状でありうる。この際の無機酸化物の粒径は、複合体粒子の分散性の観点から、好ましくは、0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜10μmである。また、無機酸化物のBET比表面積は、上記複合体を担持させる観点から、10〜750m2/gであることが好ましく、30〜750m2/gであることがより好ましい。
【0032】
本形態のパラジウム複合粒子は、パラジウムと、ストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種とを含む複合体が、無機酸化物に担持されてなる。言い換えると、本形態のパラジウム複合粒子はパラジウムと、ストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種とを含む複合体が、無機酸化物の少なくとも一部に被覆されてなる形態を有する。本形態のパラジウム複合粒子により、高温条件下における酸化パラジウムの金属パラジウムへの分解が防止されるメカニズムは定かではないが、本発明者らは、無機酸化物の表面に存在する複合体中で、パラジウムと、ストロンチウムおよび/またはバリウムとが共存していることによりこのような効果が発現されるものと推測している。
【0033】
<パラジウム複合粒子の製造方法>
本形態のパラジウム複合粒子の製造方法は、無機酸化物に、パラジウムならびにストロンチウムおよび/またはバリウムを担持することによって製造されうる。本形態の製造方法で用いられる担持方法は、特に制限はなく、当該分野で使用されうる担持方法を適宜採用することができる。例えば、担持方法として、混練法、共沈法、ゾルゲル法や、含浸法、逆ミセル法およびイオン交換法など各種の方法が用いられうる。このうち、複合体形成の観点から、混練法、共沈法、および含浸法を用いることが好ましく、混練法および共沈法を用いることがより好ましい。このような担持方法を用いることにより、無機酸化物に、パラジウムと、ストロンチウムおよび/またはバリウムとを共存させて担持させることができる。
【0034】
これらの担持方法に用いられる、パラジウムの出発原料(パラジウム源)は、特に制限されることなく、当該分野で用いられている原料を用いることができる。具体的には、金属パラジウム;塩化パラジウム等のハロゲン化物;パラジウムの、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、テトラアンミン塩等の、無機塩類;酢酸塩等のカルボン酸塩;および水酸化物、アルコキサイド、酸化物などが挙げられる。好ましくは硝酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、テトラアンミン塩、塩化物、炭酸塩が挙げられる。これらのうち、硝酸塩(硝酸パラジウム)、塩化物(塩化パラジウム)、酢酸塩(酢酸パラジウム)、テトラアンミン塩(テトラアンミンパラジウム)が好ましく、硝酸パラジウムがより好ましい。なお、これらのパラジウム源は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
また、上記担持方法に用いられる、ストロンチウムの出発原料(ストロンチウム源)も特に制限はない。例えば、ストロンチウムの、酸化物;水酸化物塩、硝酸塩、硫酸塩および炭酸塩、ならびにこれらの塩の水和物などが挙げられる。このうち、水酸化ストロンチウム八水和物、硝酸塩、および炭酸塩が好ましく、水酸化ストロンチウム八水和物、および硝酸塩がより好ましい。なお、これらのストロンチウム源は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
また、上記担持方法に用いられる、バリウムの出発原料(バリウム源)も特に制限はない。例えば、バリウムの、酸化物;水酸化物塩、硝酸塩、硫酸塩および炭酸塩、ならびにこれらの塩の水和物などが挙げられる。このうち、水酸化バリウム八水和物、硝酸塩、および炭酸塩が好ましく、水酸化バリウム八水和物、および硝酸塩がより好ましい。なお、これらのバリウム源は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
パラジウムと、ストロンチウムおよび/またはバリウムとを、無機酸化物に担持させる具体的な手順としては、特に制限はないが、例えば、混練法により担持する場合、パラジウム源と、ストロンチウム源および/またはバリウム源とを予め水性媒体中で混合し、当該混合物を無機酸化物に混練法により担持し、焼成する方法であることが好ましい。このような担持方法を用いることにより、無機酸化物に、パラジウムと、ストロンチウムおよび/またはバリウムとを共存させて担持させることができる。
【0038】
また、例えば共沈法により担持する場合、以下のような手順で担持させることができる。ストロンチウム源および/またはバリウム源として硝酸塩を用いる場合、硝酸パラジウムを硝酸ストロンチウムまたは硝酸バリウムとを混合したものを塩基性水性媒体中に分散させた無機酸化物に投入することで、無機酸化物上にパラジウムおよびストロンチウムまたはバリウムを沈殿させ、パラジウムおよびストロンチウムまたはバリウム複合体を無機酸化物に担持することができる。
【0039】
上記製造方法において使用される水性媒体としては、特に制限されず、当該分野にて通常使用される水性媒体が同様にして使用される。具体的には、水、シクロヘキサノール、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの低級アルコール、ならびに有機系のアルカリ水溶液などが挙げられる。好ましくは、水や低級アルコールが使用され、特に水が好ましく使用される。
【0040】
上記焼成時間は、通常350〜600℃で10分〜5時間焼成する。なお、焼成の前に予め100〜250℃で10分〜10時間乾燥することによって水性媒体などを除去することが好ましい。
【0041】
<排気ガス浄化用触媒>
本形態のパラジウム複合粒子は、三次元構造体などに担持させることによって、排気ガス中の有害物質を浄化するための排気ガス浄化用触媒として使用できる。すなわち、本発明は、上述のパラジウム複合粒子を含む、排気ガス浄化用触媒を提供する。
【0042】
(三次元構造体)
本形態の触媒に使用される三次元構造体は、特に制限はなく、当該分野で通常使用される三次元構造体を制限なく使用することができる。三次元構造体としては、ハニカム担体などの耐熱性担体が挙げられるが、一体成型のハニカム構造体が好ましく、例えば、モノリスハニカム担体、メタルハニカム担体、プラグハニカム担体などが挙げられる。また、三次元一体構造体ではないものの例として、ペレット担体なども挙げることができる。
【0043】
モノリスハニカム担体としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、特に、コージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、アルミニウムチタネート、ベタライト、スポンジュメン、アルミノシリケート、マグネシムシリケートなどを材料とするハニカム担体が好ましく、なかでも、コージェライト質のものが特に好ましい。その他、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金などの酸化抵抗性の耐熱性金属を用いて一体構造体としたものが用いられる。これらのモノリス担体は、押出成型法やシート状素子を巻き固める方法などで製造される。そのガス通過口(セル形状)の形は、六角形、四角形、三角形またはコルゲーション形のいずれであってもよい。セル密度(セル数/単位断面積)は100〜600セル/平方インチであれば十分に使用可能であり、好ましくは200〜500セル/平方インチである。
【0044】
触媒の構造は、特に制限はないが、上記パラジウム複合粒子を含む触媒層が担体上に1または2以上積層された構造を有する。本形態の触媒の構造は、パラジウム複合粒子を含む触媒層が少なくとも1つ含まれていれば特に制限はなく、触媒層が2以上積層されてなる場合においては、当該パラジウム複合粒子を含む触媒層がどこの位置に存在してもよい。
【0045】
なお、本形態の触媒は、本形態のパラジウム複合粒子を含む限りにおいては、必要により、パラジウム複合粒子以外の触媒成分を含んでもよい。パラジウム複合粒子以外の触媒成分としては、例えば、貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、耐火性無機酸化物、酸素貯蔵材、HC吸着材、およびNOx吸着材などの、当該分野で使用されうる触媒成分を制限なく使用することができる。
【0046】
<排気ガス浄化用触媒の製造方法>
以下、本形態の触媒の製造方法について説明する。本形態の触媒の製造方法は特に制限はなく、従来公知の知見を適宜参照して製造することができる。当該分野で用いられる触媒の製造方法の一形態によると、まず、本形態のパラジウム複合粒子を適当な水性媒体に分散して、パラジウム複合粒子の分散液を得る。そして、三次元構造体(例えば、ハニカム担体)を当該分散液に浸し、余剰の分散液を除いた後、乾燥、焼成する。以上の工程によって三次元構造体上にパラジウム複合粒子を含む触媒層が形成された触媒を製造することができる。なお、分散液には、本形態のパラジウム複合粒子以外の触媒成分、例えば、貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、耐火性無機酸化物、酸素貯蔵材、HC吸着材、およびNOx吸着材などが含まれていてもよい。
【0047】
上記製造方法において使用される水性媒体としては、特に制限されず、当該分野にて通常使用される水性媒体が同様にして使用される。具体的には、水、シクロヘキサノール、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどの低級アルコール、ならびに有機系のアルカリ水溶液などが挙げられる。好ましくは、水や低級アルコールが使用され、特に水が好ましく使用される。
【0048】
上記分散液は、必要により湿式粉砕されてもよい。湿式粉砕は通常公知の方法によって行われ、特に制限されないが、ボールミルなどが好ましく使用される。または、ホモジナイザ、超音波分散装置、サンドミル、ジェットミル、ビーズミルなどの従来公知の手段を用いることもできる。
【0049】
そして、上記のようにして調製された分散液に三次元構造体を投入・浸漬する。その後、三次元構造体をスラリーから引き上げて余分なスラリーを除去する。その後、100〜250℃で10分から3時間、乾燥し、さらに、350〜600℃で10分から5時間、焼成することにより、三次元構造体上にパラジウム複合粒子を含む触媒層が形成された触媒が得られる。
【0050】
<排気ガス浄化方法>
本形態の排気ガス浄化用触媒は、内燃機関などから排出される排気ガスの浄化に使用される。特に、本形態の触媒は、800℃以上の高温条件下において、パラジウム複合粒子中の酸化パラジウムの金属パラジウムへの分解が効果的に抑制されるため、優れた触媒性能を維持することができる。すなわち、本発明は、上述の排気ガス浄化用触媒を、800℃以上の排気ガスに曝すことを含む、排気ガス浄化方法をも提供する。なお、本明細書において「排気ガスに曝す」とは、排気ガス浄化用触媒を排気ガスと接触させることをいい、触媒表面の全部分を排気ガスと接触させる場合だけでなく、触媒表面の一部分を排気ガスと接触させる場合も含まれる。
【0051】
本形態の排気ガス浄化方法に使用される排気ガスは、内燃機関などから排出される排気ガスであれば特に制限されず、例えば、窒素酸化物(例えば、NO、NO2、N2O)、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、水素、アンモニア、水、二酸化硫黄、炭化水素全般などを含む排気ガスなどが挙げられる。
【0052】
上記排気ガスの温度は、800℃以上であれば、本発明の効果(すなわち、高温条件下での、酸化パラジウムの金属パラジウムへの分解抑制効果)を十分に発揮することができるが、排気ガスの温度がより高い場合、本発明の効果がより一層顕著に発揮されうる。具体的には、排気ガスの温度は、850℃以上であることが好ましく、900℃以上であることがより好ましく、950℃以上であることがさらに好ましい。
【0053】
また、本形態の排気ガス浄化方法では、本形態の排気ガス浄化用触媒の前段(流入側)または後段(流出側)に、同様の、または異なる排気ガス浄化用触媒を配置してもよい。
【実施例】
【0054】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
[実施例1]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化ストロンチウム八水和物、およびCeO2−ZrO2複合酸化物(CeO2:ZrO2:La23=45:45:10、以下同様)を、パラジウム(Pd):酸化ストロンチウム(SrO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:7.31:100(すなわち、Sr/Pd(モル比)=1.5)となるように、それぞれ秤量した。
【0055】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化ストロンチウム八水和物を混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Aを得た。
【0056】
なお、混練法は、例えば、水および硝酸パラジウム水溶液の合計量が予め測定したCeO2−ZrO2複合酸化物の吸水量以上とならない量を添加し、バット上で色むらがなくなるまで圧搾、せん断することによって行うことができる。
【0057】
[実施例2]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化ストロンチウム八水和物、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化ストロンチウム(SrO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:4.88:100(すなわち、Sr/Pd(モル比)=1.0)となるように、それぞれ秤量した。
【0058】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化ストロンチウム八水和物を混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Bを得た。
【0059】
[実施例3]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化ストロンチウム八水和物、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化ストロンチウム(SrO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:2.44:100(すなわち、Sr/Pd(モル比)=0.5)となるように、それぞれ秤量した。
【0060】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化ストロンチウム八水和物を混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Cを得た。
【0061】
[実施例4]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化バリウム八水和物、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化バリウム(BaO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:10.89:100(すなわち、Ba/Pd(モル比)=1.5)となるように、それぞれ秤量した。
【0062】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化バリウム八水和物を混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Dを得た。
【0063】
[実施例5]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化バリウム八水和物、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化バリウム(BaO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:7.21:100(すなわち、Ba/Pd(モル比)=1.0)となるように、それぞれ秤量した。
【0064】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化バリウム八水和物を混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Eを得た。
【0065】
[実施例6]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化バリウム八水和物、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化バリウム(BaO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:3.60:100(すなわち、Ba/Pd(モル比)=0.5)となるように、それぞれ秤量した。
【0066】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化バリウム八水和物を混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Fを得た。
【0067】
[実施例7]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化ストロンチウム八水和物、およびLa23含有酸化アルミニウムを、パラジウム(Pd):酸化ストロンチウム(SrO):La23含有酸化アルミニウムの質量比が5:7.31:100(すなわち、Sr/Pd(モル比)=1.5)となるように、それぞれ秤量した。
【0068】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化ストロンチウム八水和物を混合し、当該混合溶液をLa23含有酸化アルミニウムに混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Gを得た。
【0069】
[実施例8]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化バリウム八水和物、およびLa23含有酸化アルミニウムを、パラジウム(Pd):酸化バリウム(BaO):La23含有酸化アルミニウムの質量比が5:10.89:100(すなわち、Ba/Pd(モル比)=1.5)となるように、それぞれ秤量した。
【0070】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化バリウム八水和物を混合し、当該混合溶液をLa23含有酸化アルミニウムに混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Hを得た。
【0071】
[実施例9]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化バリウム八水和物、およびLa23含有酸化アルミニウムを、パラジウム(Pd):酸化バリウム(BaO):La23含有酸化アルミニウムの質量比が5:7.21:100(すなわち、Ba/Pd(モル比)=1.0)となるように、それぞれ秤量した。
【0072】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化バリウム八水和物を混合し、当該混合溶液をLa23含有酸化アルミニウムに混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、パラジウム複合粒子Iを得た。
【0073】
[比較例1]
硝酸パラジウム水溶液およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:100となるように、それぞれ秤量した。
【0074】
次に、硝酸パラジウム水溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、比較用パラジウム複合粒子aを得た。
【0075】
[比較例2]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化カルシウム、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化カルシウム(CaO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:4.05:100となるように、それぞれ秤量した。
【0076】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化カルシウムを混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、比較用パラジウム複合粒子bを得た。
【0077】
[比較例3]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化カルシウム、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化カルシウム(CaO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:1.34:100となるように、それぞれ秤量した。
【0078】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化カルシウムを混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、比較用パラジウム複合粒子cを得た。
【0079】
[比較例4]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化マグネシウム、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化マグネシウム(MgO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:4.10:100となるように、それぞれ秤量した。
【0080】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化マグネシウムを混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、比較用パラジウム複合粒子dを得た。
【0081】
[比較例5]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化マグネシウム、およびCeO2−ZrO2複合酸化物を、パラジウム(Pd):酸化マグネシウム(MgO):CeO2−ZrO2複合酸化物の質量比が5:1.36:100となるように、それぞれ秤量した。
【0082】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化マグネシウムを混合し、当該混合溶液をCeO2−ZrO2複合酸化物に混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、比較用パラジウム複合粒子eを得た。
【0083】
[比較例6]
硝酸パラジウム水溶液およびCeO2−ZrO2複合酸化物をパラジウム(Pd):La23含有酸化アルミニウムの質量比が5:100となるように、それぞれ秤量した。
【0084】
次に、硝酸パラジウム水溶液をLa23含有酸化アルミニウムに混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、比較用パラジウム複合粒子fを得た。
【0085】
[比較例7]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化カルシウム、およびLa23含有酸化アルミニウムを、パラジウム(Pd):酸化カルシウム(CaO):La23含有酸化アルミニウムの質量比が5:4.05:100となるように、それぞれ秤量した。
【0086】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化カルシウムを混合し、当該混合溶液をLa23含有酸化アルミニウムに混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、比較用パラジウム複合粒子gを得た。
【0087】
[比較例8]
硝酸パラジウム水溶液、水酸化マグネシウム、およびLa23含有酸化アルミニウムを、パラジウム(Pd):酸化マグネシウム(MgO):La23含有酸化アルミニウムの質量比が5:4.10:100となるように、それぞれ秤量した。
【0088】
次に、硝酸パラジウム水溶液および水酸化マグネシウム、を混合し、当該混合溶液をLa23含有酸化アルミニウムに混練法にて担持し、120℃で8時間乾燥後、500℃で1時間の空気焼成を行い、比較用パラジウム複合粒子hを得た。
【0089】
<分解温度測定>
上記実施例および比較例のパラジウム粒子をそれぞれ30mg秤量し、これを熱重量分析計TMA4000S(Bruker AXS社製)に充填し、50ml/分の流量で空気を流しながら、100℃から50℃/分の速度で1100℃まで昇温していく際のパラジウム粒子の重量を測定した。そして、図1のように、昇温前のパラジウム複合粒子の重量を基準にした、各測定温度における重量の減少量を、温度に対してプロットした。800℃以上におけるパラジウム複合粒子の重量減少は、パラジウム複合粒子に含まれる酸化パラジウム(PdO、PdO2)がパラジウム(Pd)へと分解されることによる重量減少を意味する。そこで次に、800℃以上における重量減少勾配の接線の傾きが減少し始める時点を「分解開始」、傾きが再び増加し、一定値となる時点を「分解終了」とした時の、それぞれの温度を測定した。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
表1より、実施例1〜9のパラジウム複合粒子中の酸化パラジウムは、比較例1〜8の比較用パラジウム複合粒子中の酸化パラジウムよりも分解終了温度が高いことが分かる。この結果から、パラジウム複合粒子における複合体中で、パラジウムと、ストロンチウムまたはバリウムとが共存することにより、酸化パラジウムの耐熱性が有意に向上することが示された。
【0092】
また、表1より、実施例1のパラジウム複合粒子中の酸化パラジウムの方が、実施例7のパラジウム複合粒子中の酸化パラジウムよりも分解終了温度が高いことが分かる。この結果から、無機酸化物としてLa23含有Al23よりもCeO2−ZrO2を用いた方が酸化パラジウムの耐熱性がより向上することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のパラジウム複合粒子は、高温条件下で使用される触媒(例えば、内燃機関の排気ガス浄化用触媒)などに好適に用いられうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウムと、
ストロンチウムおよびバリウムの少なくとも1種と、
を含む複合体が、無機酸化物に担持されてなるパラジウム複合粒子。
【請求項2】
前記複合体における、前記パラジウムのモル数に対する、前記ストロンチウムおよびバリウムの総モル数の割合は0.5〜1.5である、請求項1に記載のパラジウム複合粒子。
【請求項3】
前記無機酸化物は、CeO2−ZrO2複合酸化物である、請求項1または2に記載のパラジウム複合粒子。
【請求項4】
前記複合体が、前記無機酸化物に混練法により担持されてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジウム複合粒子。

【図1】
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【公開番号】特開2013−39552(P2013−39552A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179934(P2011−179934)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(593024380)株式会社アイシーティー (22)
【出願人】(395016659)インターナショナル キャタリスト テクノロジー インコーポレイテッド (22)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL CATALYST TECHNOLOGY,INC.
【Fターム(参考)】