説明

パルス放電現象を応用した半田レス接合

【課題】接合(半田)熱によって割れの発生しやすいセラミック製品や部分膨張によって性能の低下が生じる部材の接合において熱影響を最小限に抑える接合方法を提供する。
【解決手段】電極11にプラス、接合中間金属10にマイナス電気を付加し、放電及び通電によって熱エネルギーを与え振動と電気短絡を繰り返す事で、接合材間に配置した金属(ハンダ等)8を溶融させて接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気放電現象にて金属原子遷移現象を使って、金属原子を相手方に遷移させることで、合金金属を構成させる異材金属接合方法。
【背景技術】
【0002】
ハンダ接合の問題点として、ハンダを溶かすために熱を必要とし、その熱が接合した部品に大きな悪い影響を及ぼしている。セラミック部品に於いてはハンダ熱により、部品が割れる現象を出す、またフェライト部品はハンダ接合熱により、部分膨張が発生し、部材独自の性能が大きく失われ、性能が発揮されない状態であった。
【0003】
ピエゾ素子(セラミックス)及びモーターフェライトに銅線接合する場合、はんだでは接合が不可能であり、接合可能な環境(メッキ等)を必要とし、接合環境を揃えると商品化までの工程が複雑となり、歩留りの低下を招き価格上昇を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独立行政法人産業技術総合研究所 「導電性を有する微小球体の接合及び接合方法」特許出願2004-276371
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接合したい部材にハンダ及び溶接のような熱エネルギーを与えず、密着性を確保して熱膨張収縮を最小にする事で、電気抵抗を少なくし確実に接合を行う工法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、接合金属にマイナス電圧を与え、電極金属(タングステン及び銅)にプラス電圧を与え小さな放電によって電極金属(タングステン及び銅等)からマイナス電圧を与えた母材金属に電極金属の原子遷移を行う事で、母材金属の内部に遷移してきた金属が撃ち込まれ、母材金属の表面に向かって積み上げることで、異材金属との接合を可能にした接合方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果として、電極には母材金属と相性の良い金属を使用するため、遷移された原子は母材金属と合金層を形成するため、密着強度は母材金属と同様の強度を得る事が出来る。
【0008】
銅線接合の場合、中間金属としてハンダを使用する時にハンダだけに通電及び放電を行うので、接合したい金属同士は最小限の熱エネルギーの影響しか受けないので、ハンダのような熱影響を回避できる。
【0009】
接合においては、人の手が加わらないので不良接合の確立が低く、自動接合が行えるので歩留りが良く、接合が自動で行える。
【0010】
ハンダの問題点であるボイド発生確率が無いので、接合後の接合力が保たれる。
短い時間少ない面積で高い温度を有するので、母材金属への熱影響が少なく、熱によ る膨張収縮が最大限に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】放電硬化に使用される基本的電気回路は図1に示す、いわゆるラザゼンコ回路(R-C回路)である。
【図2】図1で示したラザレンコ回路を応用して作成した簡便な接合装置
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2の実験装置にて実現した。
【0013】
図1は、プラス電極がハ゛イフ゛レーターに取り付けられていて、放電後に両極が短絡する点が著しい特徴である。回路として100V.200Vの交流電源と、直流発電機と全波整流装置、コンデンサーと可変抵抗で全体の回路を組み、バイブレーターが加わる構造である。
放電接合を行うにあたっては、発電機もしくは整流器からの直流を回路に加え、バイブレーターを振動数サイクルに駆動して電極(陽極)2を試料(陰極)3に近づける。この間この間に蓄電器は電源電圧、充電時間、蓄電器容量及び充電抵抗によって決定されるある電圧まで充電される。両極の接近にともない、電極と試料との絶縁が破れてその間に花火放電が発生する。
この花火放電の間に接合したい金属と金属を入れる事で放電接合が可能になる。
【0014】
図2の装置による実験例は半ダレス接合を可能にする。
電極11,10に放電と通電を行い、ハ゛イフ゛レーター周波数に合わせてオン・オフを繰り返し、フィルムハンダだけに電気を流し、通電による熱でハンダを溶かしセラミックスと銅線を接合させる。またプラス電極10を銅線9の上に接触させ、間隔を空けながらパルス放電を繰り返すことで銅線9に溶融までエネルギーを加え、銅線9の下にある鉛フリー半田8に間接的にエネルギーを与え融合を図りながらセラミック7との接合を図る。
よって本発明は、機械的に接合したい金属同士を抑え、熱によって融合を図り、パルス放電によって電圧圧縮を行うことで、不良接合を回避し尚且つ接合歩留りを上げる方法を提供するものである。
【符号の説明】
【0015】
図1
1 ハ゛イフ゛レーター
2 電極(+)
3 試料(−)
4 直流電流
5 充電回路
6 放電回路
【0016】
図2
7 セラミック(フェライト)
8 鉛フリーはんだ
9 銅線
10プラス電極
11マイナス電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属分子放電遷移装置にて電極金属棒からイオンを遷移させ、異材金属同士を接合させる異材金属接合方法。
【請求項2】
電極金属からパルス放電によって金属分子を遷移させ母材金属と合金層を成立させる事で、異材金属との接合を可能にした異材金属接合方法。
【請求項3】
電極金属から放電させる熱で接合したい金属を溶融させ、尚且つ電極金属から遷移した金属がアンカー効果により接合力を増した異材金属接合方法。
【請求項4】
接合したい金属間に金属フィルムはんだを挟み、フィルムはんだに通電を行い通電熱(放電熱)にて金属フィルムを溶融させ接合させる異材金属接合方法。
【請求項5】
銅線と接合したい金属、セラミック、フェライト等材料にフィルム状にしたはんだを重ね合わせフィルムはんだ、だけを通電させ通電熱によって、はんだを溶融させ異材金属接合方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−38153(P2011−38153A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187188(P2009−187188)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(508209956)D.N.A.メタル株式会社 (4)
【出願人】(508357833)ミズノハードテック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】