説明

パルプモウルド製卵収納用容器

【課題】 パルプモウルド製卵収納用容器において、卵収納凹部2に収納した卵の間隙を、境界壁3,3’の交差部に形成した截頭ほぼ4角錐形支柱5の形状によって拡大し卵相互の接触による損傷を防止する。
【解決手段】 截頭ほぼ4角錐形支柱5の角部Cが、前後方向突条4’と左右方向突条4”により構成され、上記突条4’,4”は前後方向及び左右方向の境界壁3,3’に連設する稜線部4aと、各稜線部4aの両側に連なって上記突条4’,4”の両側面をかたち作るものであって各両側面が対応する卵収納凹部2の方向に突出する凸状面Pを有する突出側部4b,4b’とから構成されており、卵収納凹部2内に卵を収納すると、卵の側面が上記突条4’,4”の上記各突出側部4b,4b’の上記凸状面Pに当接することにより、隣接する卵が互いに離間する方向に若干移動して卵相互の接触を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
パルプモウルドによる卵収納凹部を前後左右の境界壁を介して形成し、境界壁の交差部に截頭ほぼ4角錐形支柱を形成してなる卵収納用容器であって、上記卵収納凹部に収納される卵の隣接間隙を若干拡大し得て、収納卵間の接触損傷を防止し得るパルプモウルド製卵収納用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パルプモウルドによる卵収納用容器は前後左右方向の境界壁を介して複数の卵収納凹部を平行2列に形成し、境界壁の交差部に截頭4角錐形支柱を上方に突設し、上記容器の一側に開閉蓋を設け、閉鎖時に開閉蓋を上記支柱の上面で支持し、収納凹部に収納した卵を上記直交境界壁と上記支柱及び開閉蓋とによって収納用容器内に保持するものであった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3160968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の卵収納用容器は、例えば図8、図9に示すように、截頭4角錐形支柱21の角錐面20,20が横断面凹弧面であるため(図9参照)、卵収納凹部22内に収納された卵7が振動により上記角錐面20,20に当接すると、上記角錐面20の角部23に対し、該角部23を両側から押し潰す方向(矢印H方向)の力が作用し、これにより上記角部23が両側から押し潰されて、その幅tが減少し、その結果、隣接する卵7の側面同士が接触して卵7が損傷する場合があるという課題があった(特許文献1)。
【0005】
本発明は、截頭ほぼ4角錐形支柱の角部を、卵収納凹部の方向に突出する凸状面を有する突条によって構成することにより、当該突条の強度を高くして、卵収納用容器内の収納卵同士の接触による損傷を防止し得るパルプモウルド製卵収納用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、前後方向の境界壁(3)とこれに交差する左右方向の境界壁(3’)を介して隣接する複数の卵収納凹部(2)を備え、前後方向及び左右方向の上記境界壁(3,3’)の交差部に上記卵収納凹部(2)内面に連設する截頭ほぼ4角錐形支柱(5)を上方に突設し、該截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の4つの角部(C)をそれぞれ上記境界壁(3,3’)と連設させてなるパルプモウルド製卵収納用容器において、上記截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の上記4つの角部(C)が、上記前後方向の境界壁(3)に連設することにより左右に隣接する上記卵収納凹部(2)の間に位置する前後方向突条(4’)と、上記左右方向の境界壁(3’)に連設することにより前後に隣接する上記卵収納凹部(2)の間に位置する左右方向突条(4”)により構成されており、上記前後方向突条(4’)及び上記左右方向突条(4”)は、上記前後方向及び上記左右方向の上記境界壁(3,3’)に連設する稜線部(4a)と、上記各稜線部(4a)の両側に連なって上記突条(4’,4”)の両側面をかたち作るものであって、上記各両側面が対応する上記卵収納凹部(2)の方向に突出する凸状面(P)を有する突出側部(4b,4b’)と、から構成されており、上記卵収納凹部(2)内に卵を収納した状態において、上記卵の側面が上記前後方向突条(4’)及び左右方向突条(4”)の上記各突出側部(4b,4b’)の上記凸状面(P)に当接するように構成したものであるパルプモウルド製卵収納用容器により構成される。
【0007】
従って、上記卵収納凹部(2)内に卵を収納すると、その側面が上記截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の突条(4’,4”)の突出側部(4b,4b’)の凸状面(P)に当接した状態で保持されるが、上記突条(4’,4”)の突出側部(4b,4b’)は、対応する卵収納凹部(2)の方向に突出した凸状面(P)を有しているので、卵の側面から突出側部(4b,4b’)を押し潰す方向の力(矢印Q方向、図7)が作用しても、突条(4’,4”)は容易に押し潰されることはない。よって、隣接する卵収納凹部(2)内に収納された隣接する卵は、隣接する卵間に存在する上記突条(4’,4”)によって所定の間隙を維持した状態が保たれるので、隣接する卵が接触して損傷することはない。
【0008】
第2に、上記各卵収納凹部(2)内に卵を収納した状態において、隣接する上記卵収納凹部(2)内に収納された隣接する上記卵は、各卵の側面が上記各突出側部(4b,4b’)の上記凸状面(P)に当接することにより、互いに離間する方向に若干移動するように構成したものであることを特徴とする上記第1記載のパルプモウルド製卵収納用容器により構成される。
【0009】
隣接する卵収納凹部(2)間に存在する突条(4’,4”)は、その稜線部(4a)の両側面(突出側部4b,4b’)が各々の卵収納凹部(2)の方向に突出した凸状面(P)となっているので、上記隣接する卵収納凹部(2)に各々卵を収納すると、各卵は、隣接する上記卵収納凹部(2)の中間に位置する上記突条(4’,4”)の各凸状面(P)により互いに離間する方向に押されるため、結果としてこれら隣接する卵は、互いに離間する方向に若干移動する。ここで、互いに離間する方向に若干移動するとは、例えば、截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の角部(C)に、突条(4’,4”)が存在しない従来容器においては、卵は、上記卵収納凹部(2)の中心(G)と当該卵収納凹部(2)内に収納された卵の中心(G’)とが略一致する位置に保持されていたとすると、上記卵の側面が上記凸状面(P)から互いに離間する方向に押されることにより、当該卵の中心(G’)が上記卵収納凹部(2)の中心(G)から互いに離間する方向に振られた位置に位置付けられることをいう。
【0010】
第3に、上記境界壁(3,3’)の上記交差部を左右方向に連続して設けることで左右方向に複数の上記卵収納凹部(2)を設け、上記各交差部の各々に上記截頭ほぼ4角錐形支柱(5)を設けた方形の卵収納容器からなるパルプモウルド製卵収用容器において、上記卵収納容器のコーナ部に位置する上記卵収納凹部(2)内に収納された卵は、上記コーナ部に位置する卵収納凹部(2)において、上記卵に対して「L」字形状に位置する上記前後方向突条(4’)及び上記左右方向突条(4”)の各凸状面(P)に当接することにより、上記コーナ部を構成する2辺の交差角度を2分する外側方向に若干移動するように構成したものであることを特徴とする上記第1又は2記載のパルプモウルド製卵収納用容器により構成される。
【0011】
このように構成すると、コーナ部の卵収納凹部(2)に収納された卵はコーナ部を構成する2辺の交差角度を2分する外側方向に若干移動するため、コーナ部に位置する卵を含めて卵同士の接触による損傷を効果的に防止し得る。
【0012】
第4に、上記卵収納容器の短辺の中央部に上記左右方向の境界壁(3’)に連設する柱部(11)を設けると共に、上記卵収納容器の長辺に上記前後方向の境界壁(3)に連設する柱部(11’)を設け、上記短辺側の上記柱部(11)に、上記コーナ部に位置する上記卵収納凹部(2)の内部方向に突出する凸状面(P)を設けると共に、上記長辺側の上記柱部(11’)の内、コーナ部に位置する上記卵収納凹部(2)に面する上記柱部(11’)に、上記コーナ部に位置する上記卵収納凹部(2)の内部方向に突出する凸状面(P)を設け、上記コーナ部に位置する卵収納凹部(2)内に収納された卵は、上記柱部(11,11’)の凸状面(P)に当接することにより、隣接する卵収納凹部(2)内に収納された卵から離間する方向に若干移動するように構成したものであることを特徴とする上記第3記載のパルプモウルド製卵収納用容器により構成される。
【0013】
このように構成すると、コーナ部の卵収納凹部(2)に収納された卵と、当該コーナ部に位置する卵収納凹部(2)に隣接する卵収納凹部(2)に収納された卵との接触を効果的に防止し得る。
【0014】
第5に、上記截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の前後方向突条(4’)及び左右方向突条(4”)の中程上部の傾倒角度(α)が中程下部の傾倒角度(β)より若干小であり、かつ上記各突条(4’,4”)の稜線部(4a)の幅(T)は、上記中程上部側より中程下部側を広く形成したものであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載のパルプモウルド製卵収納用容器により構成される。
【0015】
このように構成すると隣接する卵収納凹部(2)に収納する卵同士の間隔を広くとることができ、卵同士の接触を効果的に防止し得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、卵の側面が当接する截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の突条(4’,4”)の突出側部(4b,4b’)は、卵収納凹部(2)の方向に突出する凸状面(P)を有しているので、卵収納凹部(2)内に卵を収納しても上記突条(4’,4”)は容易に潰れることがなく、隣接する卵同士の間隔を維持し得るので、卵同士の接触による卵の損傷を効果的に防止することができる。
【0017】
また、各卵収納凹部(2)に卵を収納すると、隣接する卵同士には、その間に存在する上記突条(4’,4”)の上記突出側部(4b,4b’)の凸状面(P)により、互いに離間する方向に若干移動するので、上記卵収納凹部(2)内に卵を収納しても卵同士の接触による卵の損傷を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のパルプモウルド製卵収納用容器を示す斜視図である。
【図2】同上収納用容器の卵収容器の平面図である。
【図3】図1A−A線による側面図である。
【図4】図2の截頭ほぼ4角錐形支柱近傍の拡大平面図である。
【図5】図3B−B線による裏面図である。
【図6】図2のD−D線による断面図である。
【図7】図6の截頭ほぼ4角錐形支柱のE−E線による断面図である。
【図8】従来の卵収納用容器の側面図である。
【図9】図8の截頭ほぼ4角錐形支柱のF−F線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1、図2、図3に示す方形(実施形態では長方形)のパルプモウルド製卵収納用容器の卵収納容器1内に長手方向(左右方向)に5個(2列)の卵収納凹部2(計10個)を前後方向境界壁3を介して形成し、かつ該前後方向境界壁3と直交する左右方向境界壁3’を介して該卵収納凹部2を2列に形成するものである。尚、図1の斜視図中、手前を「前」、後方を「後」、前方から後方をみた場合の左右の方向を「左」、「右」として以下説明する。尚、上記容器1の形状は長方形に限らず、正方形等の四角形(方形)であっても良い。
【0020】
上記前後方向及び左右方向に直交する上記境界壁3,3’の交差部には上記凹部2の内面に連設する4個の角錐面4,4,4,4(図4参照)によって截頭ほぼ4角錐形の支柱(截頭ほぼ4角錐形支柱)5を上方に向って突設又は立設し、4方の角部C,C,C,C(図4)をそれぞれ上記前後方向境界壁3及び左右方向境界壁3’と連設させるものであって、かつ上記長方形容器1の長手方向一側に折り曲げ式フランジ部を介した開閉蓋6を設け、該蓋6の閉鎖時に該蓋6の内面を上記支柱5の上端面5’で支持するように構成する。また、上記開閉蓋6とは反対側の上記容器1の他方の長手方向他側に折り曲げ式フランジ部を介して蓋支持片(係止片)8を形成する。
【0021】
上記支柱5の4方の角部C,C,C,Cはそれぞれ上下方向に中心線S(図3)に向って傾倒し十字状に交差する4個の突条(前後方向の突条4’,4’と左右方向の突条4”,4”、図4参照)によって形成され、これらの突条4’,4”の中程共通水準Lの上部の水平線との傾倒角度αを71度とし、中程共通水準Lの下部の水平線との傾倒角度βを75度とし、図3に示すように水平線との傾倒角度αをβよりも若干小(α<β)に形成することにより、上記支柱5の高さを若干低く形成し、かつ図1、図3に示すように該支柱5の下部を前後左右方向に若干拡大し、上端面5’の面積を若干縮小する。
【0022】
即ち、上記截頭ほぼ4角錐形支柱5の前後方向突条4’及び左右方向突条4”の中程上部の傾倒角度αが中程下部の傾倒角度βより若干小であり、かつ上記各突条4’,4”の稜線部4aの幅Tは、上記中程上部側より中程下部側を広く形成したものである。
【0023】
このように上端面5’の面積が縮小することにより、上記支柱5の全体の強度(上下方向の荷重に対する強度)が増すため、上記卵収納凹部2内に卵7を収納し(図3)、蓋6を閉じた状態で、当該卵収納容器1を多段に複数個積み重ねたとき、当該支柱5にその上端面5’から下方に荷重が作用しても支柱5の変形等のおそれがなく、内部の卵7を確実に保持し得る。また、上記稜線部4aの中程下部側の幅Tを広く形成することにより、突条4’,4”の突出側部4b,4b’の幅が広くなり、隣接する卵収納凹部2に収納された卵7同士の間隔が広くなり、卵同士の接触による損傷を防止し得る。
【0024】
上記複数の上記截頭ほぼ4角錐形支柱5は、左右方向に一列に並設され、1つの截頭ほぼ4角錐形支柱5の周りには4箇所の上記卵収納凹部2,2,2,2が形成され、左右両端の各コーナ部に位置する卵収納凹部2(4個)以外の卵収納凹部2(6個)は、隣接する上記截頭ほぼ4角錐形支柱5,5における卵収納容器1の長手方向中央部に位置する左右方向の境界壁3’に連設する上記長手方向中央部に位置する一対の左右方向突条4”,4”と、前後方向の境界壁3,3に連設する一対の前後方向の突条4’,4’によって「コ」字形状に囲まれている。
【0025】
また、左右両端のコーナ部に位置する卵収納凹部2(4個)は、1つの上記截頭ほぼ4角錐形支柱5における上記卵収納容器1の長手方向中央部に位置する左右方向の境界壁3’に連接する上記長手方向中央部に位置する一つの左右方向突条4”と、前後方向の境界壁3に連接する一つの前後方向突条4’によって略「L」字形状に囲まれている。
【0026】
上記截頭ほぼ4角錐形支柱5の上記4つの角部C,C,C,Cは、上述のように、各々上記上端面5’から上記前後方向又は左右方向境界壁3又は3’に向けて連設するように下り傾斜面を構成する上下方向の突条(前後方向の突条4’,4’、左右方向の突条4”,4”)により構成されている。
【0027】
即ち、上記截頭ほぼ4角錐形支柱5の上記4つの角部C,C,C,Cは、上記前後方向の境界壁3に連設することにより左右に隣接する上記卵収納凹部2の間に位置する前後方向突条4’と、上記左右方向の境界壁3’に連設することにより前後に隣接する上記卵収納凹部2の間に位置する左右方向突条4”により構成されている。
【0028】
そして、上記前後方向突条4’及び上記左右方向各突条4”は、図4に示すように、上記前後方向及び上記左右方向の上記境界壁3,3’に連設する稜線部4aと、上記各稜線部4aの両側に連なって上記突条4’,4”の両側面をかたち作るものであって、上記各両側面が対応する上記卵収納凹部2の方向に突出する凸状面P,Pを有する突出側部4b,4b’と、から構成されている。
【0029】
そして、上記卵収納凹部2内に卵7を収納した状態において、上記卵7の側面7’が上記前後方向突条4’及び左右方向突条4”の上記各突出側部4b,4b’の上記凸状面P,Pに当接するように構成されている(図7参照)。
【0030】
このように、上記稜線部4a,4a,4a,4aは、上記截頭ほぼ4角錐形支柱5の上端面5’から上記各境界壁3又は3’に至る、十字状に交差する上下方向傾斜面により構成されており、本実施形態では上記稜線部4aの上面は何れも平面状に形成されている。
【0031】
そして、上記各卵収納凹部2内に、卵7を収納した場合は、図7に示すように、卵7の側面7’が上記凹部2に位置する上記突出側部4b,4b’の上記各凸状面P,Pに接触するように構成されている。
【0032】
図7に示すように、隣接する上記卵収納凹部2,2内の隣接する卵7,7の側面7’,7’が、一の突条4’,4”の両突出側部4b,4b’に接触すると、隣接する卵7,7の側面7’,7’から、一の突条4’,4”の両突出側部4b,4b’に対して、それらの凸状面P,Pを押し潰す方向(図7、矢印Q,Q方向)の力が作用するが、上記突出側部4b,4b’は、外側方向(各卵収納凹部2の方向)、即ち、上記押し潰す方向の力に対向する方向に湾曲した凸状面P,Pが形成されているので、上記卵7,7から矢印Q,Q方向の力を受けても容易に潰れることはなく、従って、隣接する卵7,7同士の間隔Xを維持することができ、前後方向及び左右方向に隣接する卵7,7同士の接触を何れも効果的に防止することができる。
【0033】
このことは、左右方向に隣接する卵同士だけでなく、前後方向に隣接する卵同士においても、同様である。
【0034】
また、上記各卵収納凹部2に卵7を収納すると、隣接する卵7,7同士には、その間に存在する上記突条4’,4”の上記突出側部4b,4b’の上記凸状面P,Pにより、互いに離間する方向(図7の左右方向に隣接する卵7,7は矢印N,N’方向(左右方向)、前後方向に隣接する卵7,7は矢印M,M’方向(前後方向))に押される力が働き、その結果、両卵7,7の中心G’(卵の長手方向の中心G’、図3参照)は、卵収納凹部2,2の中心G,G(図2参照)間の距離より互いにその間隔が離間する方向に振られた位置(上記卵同士の間隔Xが広がる方向の位置)に位置付けられるように構成されている。
【0035】
即ち、上記截頭ほぼ4角錐形支柱5の角部Cに、突条4’,4”が存在しない従来容器においては、卵は、上記卵収納凹部2の中心Gと当該卵収納凹部2内に収納された卵の中心G’とが略一致する位置に保持されるが、本発明に係る卵収納容器1の卵収納凹部2では、上記隣接する卵7,7の側面7’,7’が上記凸状面P,Pから互いに離間する方向に押されることにより、当該卵7はその中心G’が上記卵収納凹部2の中心Gから互いに離間する方向に若干振られた位置に位置付けられる。
【0036】
そして、卵収納容器1全体でみると、図2に示すように、上記各卵収納凹部2に収納された卵7は、卵収納容器1の左右のコーナ部に位置する4つの卵収納凹部2を除いた卵収納凹部2(6個)内に収納した卵7は、上記各截頭ほぼ4角錐形支柱5の「コ」字状に位置する各突条4’,4”の上記突出側面部4b,4b’の凸状面Pが上記各卵7の側面7’に当接することによって、図2中矢印M,M’方向(互いに容器1の外側縁に直交する外側に向いた方向)に振られた位置に位置付けられ、これにより、前後方向に隣接する卵7同士の接触を効果的に防止することができる。
【0037】
また、上記コーナ部に位置する4つの卵収納凹部2に収納した卵7は、上記截頭ほぼ4角錐形支柱5の「L」字状に位置する各突条4’,4”の上記突出側部4b,4b’の凸状面Pが上記各卵7の側面7’に「L」字型に当接することによって、図2中矢印Z方向(卵収納容器1の直角コーナ部を2等分する外側方向、或いは上記「L」字状に直交する上記突条4’,4”を2等分する外側方向)に振られた位置に位置付けられ、これにより、前後方向、左右方向に位置する卵7同士の接触を効果的に防止することができる。即ち、上記卵収納容器1のコーナ部に位置する上記卵収納凹部2内に収納された卵7は、上記コーナ部に位置する卵収納凹部2において、上記卵7に対して「L」字形状に位置する上記前後方向突条4’及び上記左右方向突条4”の各凸状面Pに当接することにより、上記コーナ部を構成する2辺の交差角度を2分する外側方向(矢印Z方向)に若干移動するように構成されている。
【0038】
さらに、上記卵収納容器1の短辺の中央部に上記左右方向の境界壁3’に連設する柱部11(実施形態では左右に1個ずつ)を設けると共に(図1、図2参照)、上記卵収納容器1の長辺に上記前後方向の境界壁3に連設する柱部11’(実施形態では各長辺に4個ずつ)を設け、上記短辺側の上記柱部11に、上記コーナ部に位置する上記卵収納凹部2の内部方向に突出する凸状面Pを両側に設けると共に、上記コーナ部に位置する上記卵収納凹部2に面する上記長辺側の上記柱部11’に、上記コーナ部に位置する上記卵収納凹部2の内部方向に突出する凸状面P,Pを設け(図1、図2参照)、上記コーナ部に位置する卵収納凹部2内に収納された卵7は、上記柱部11,11’の各凸状面P,Pに当接することにより、隣接する卵収納凹部2(前後方向に隣接する卵収納凹部2、左右方向に隣接する卵収納凹部2)内に収納された卵7から離間する方向に若干移動するように構成されている。
【0039】
即ち、上記柱部11では、その前後方向(両側)に凸面部P,Pが形成されるので、前後方向に隣接するコーナ部の卵収納凹部2内に収納された卵7,7は、それらの側面が上記柱部11の各凸面部P,Pに接触することにより互いに離間する方向(矢印M,M’方向)に若干移動される。また、上記柱部11’では、コーナ部に位置する卵収納凹部2側にのみ上記凸状面Pが形成されているので、上記コーナ部に位置する卵収納凹部2に収納された卵7は、上記柱部11’の上記凸状面Pによって左右方向に隣接する卵収納凹部2に収納された卵から離間する方向に若干移動される。
【0040】
そして、上記コーナ部に位置する卵収納凹部2内に収納された卵7は、上記「L」字形状に位置する上記突条4’,4”、上記柱部11,11’に位置する凸状面P,Pによって、全体として、上記コーナ部を構成する2辺の交差角度を2分する外側方向(矢印Z方向)に若干移動するように構成されている。
【0041】
これにより、コーナ部に位置する卵7同士、及び、コーナ部に位置する卵7と隣接するコーナ部に位置しない卵7同士は、互いに離間する方向に移動され、結果として互いに接触することなく、よって接触による卵7の損傷を効果的に防止し得る。
【0042】
また、1つの截頭ほぼ4角錐形支柱5における十字状に交差する上記4個の突条4’,4”間の角錐面4,4,4,4はほぼ凹弧面4cに形成し(図4参照)、上記卵収納凹部2内のほぼ凹弧面4c’に一連に設けられ(連設され)、上記截頭ほぼ4角錐形支柱5の凹弧面4c、及び上記突条4’,4”の突出側部4b,4b’と上記卵収納凹部2の凹弧面4c’とによって卵7の側面7’を支持し、かつ4方の上記突条4’,4”の下端がそれぞれ前後左右方向境界壁3,3’と繋がり、該突条4’,4”の下端部により隣接する収納卵7,7間を充分隔離して支持することができる。
【0043】
上記本発明のような凸状面Pを有する突出側部4b,4b’を具備した突条4’,4”とすることにより、又は、さらに図8に示す従来の角部23の下端部幅tを、図3に示す本発明の4箇所の突条4’,4”の稜線部4aの下端部幅Tのように拡大(T>t)することにより、図2に示すように、左右の卵収納凹部2,2に収納された卵7間の中心間隔K、及び前後の卵収納凹部2,2に収納された卵7,7間の中心間隔K’を、前後左右方向の何れの方向においても拡大することができる(例えば、拡大幅は、従来K=K’=48mmであったとすると、本発明ではK=K’=49mm)。
【0044】
このように上記凸状面Pを有する突出側部4b,4b’を具備した突条4’,4”とすることにより、又は、さらに上記1つの截頭ほぼ4角錐形支柱5の4箇所の上記突条4’,4”の稜線部4aの各々の下端部幅を拡大(T)することにより、当該支柱5の周囲の4箇所の卵収納凹部2,2,2,2に収納される4個の卵7の前後方向及び左右方向の相互間の間隔を拡大することができ、これにより前後左右間の卵7相互の接触を防止して卵の損傷を効果的に防止することができる。
【0045】
尚、図3中fは上記支柱5の上端面5’の幅、図3中hは上記支柱5の上部高さである。
【0046】
本発明は上述のように構成されるので、蓋6を開いて前後左右に境界壁3,3’によって区画された卵収納凹部2に卵7を収納すると、卵7の下半部が上記凹部2の凹弧面4c’及び上記4角錐形支柱5の突条4’,4”の突出側部4b,4b’に収納支持され、その状態で卵7の上端が上記支柱5の上端面5’下又は同水準に保持される。
【0047】
その状態で開閉蓋6で容器1の上面を閉じると、該蓋6の下面が上記支柱5の上端面5’に支持され、図1に示す蓋支持片8に形成した突起9,9に上記蓋6の支持孔10,10が係合して閉じた上記蓋6が閉鎖状態に保持される。
【0048】
上記閉鎖状態では上記蓋6の下面は上記支柱5の上端面5’で支持され、該下面と収納卵7の上端面とは小間隙を保持し、又は接して輸送振動に際し、収納卵7は前後左右方向には境界壁3,3’及び突条4’,4”によってガタ無く保持され、上下方向には上記蓋6の下面によって殆んどガタ無く保持され、安全に輸送することができる。
【0049】
また、卵収納凹部2に卵7を収納すると、卵7の側面7’が当接する截頭ほぼ4角錐形支柱5の突条4’,4”の突出側部4b,4b’は、卵収納凹部2の方向に突出する凸状面Pを有しているので、上記卵収納凹部2内に卵7を収納しても上記突条4’,4”は容易に潰れることがなく、隣接する卵同士の間隔を維持し得るので、卵同士の接触による卵の損傷を効果的に防止することができる。
【0050】
また、上記各卵収納部2に卵7を収納すると、隣接する卵7同士には、その間に存在する上記突条4’,4”の上記突出側部4b,4b’により、互いに離間する方向に押される力が働き、その結果、両卵7,7の中心は、卵収納凹部2,2の中心G,Gより若干左右に振られた位置(卵7,7同士の間隔Xが広がる方向の位置)に位置付けられる(図7参照)。
【0051】
そして、卵収納用容器1全体でみると、上記各卵収納凹部2に収納された卵7は、互いに容器1の外側縁に直交する外側に向いた方向(矢印M,M’方向)に振られた位置に位置付けられ、これにより、前後方向に隣接する卵7同士の接触を効果的に防止することができる(図7参照)。
【0052】
また、上記コーナ部に位置する4つの卵収納凹部2に収納した卵7は、上記4角錐形支柱5の「L」字状に位置する各突条4’の上記突出側面部4b,4b’が上記各卵7の側面7’に当接することによって、卵収納用容器1のコーナ部を2等分する外側方向(矢印Z方向)に振られた位置に位置付けられ、これにより、前後方向、左右方向に位置する卵7同士の接触を効果的に防止することができる。
【0053】
尚、図2中、左右方向に一列に並ぶ5個の卵をより詳細に検討すると、両端のコーナ部に位置する2個の卵が各々矢印Z方向(外側)に振られる結果、中央部に並列する3つの卵の内、中央に位置する卵の左右に位置する卵は中央の卵から左右に離間する方向(矢印N,N’方向)に振られるため(図7参照)、結果として、左右方向に並列する5個の卵は、左右方向においても、何れも互いの間隔が離間する方向に位置付けられることになる。
【0054】
また、上記4箇所の突条4’,4”の上記下端部幅Tを拡大することにより、卵収納凹部2間の前後左右の隣接収納卵7相互の間隙を拡大することができ、搬送される卵収納用容器内の収納卵同士の接触による卵の損傷を効果的に防止することができる。
【0055】
また、図3に示すように、截頭ほぼ4角錐形支柱5の4個の角部がそれぞれ上下方向の突条4’,4”によって形成され、該突条4’,4”の中程上部の傾倒角度αが中程下部の傾倒角度βよりも若干小であるため、上記支柱5の下部の4方の角部を前後左右に若干拡大し得るばかりでなく、4方の角錐面が上記凹部2の凹弧面4c’と一連の凹弧面4cとによりに形成されているため、収納卵がガタ無く収納し得るばかりでなく、隣接卵との間に上記支柱5の突条4’,4”が介在して隣接収納卵相互の間隔を若干拡大させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、パルプモウルド製の卵の収納用容器として、広く利用が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 卵収納容器
2 卵収納凹部
3 前後方向境界壁(境界壁)
3’ 左右方向境界壁(境界壁)
4’ 前後方向突条(突条)
4” 左右方向突条(突条)
4a 稜線部
4b,4b’ 突出側部
11,11’ 柱部
5 截頭ほぼ4角錐形支柱
C 角部
P 凸状面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向の境界壁(3)とこれに交差する左右方向の境界壁(3’)を介して隣接する複数の卵収納凹部(2)を備え、前後方向及び左右方向の上記境界壁(3,3’)の交差部に上記卵収納凹部(2)内面に連設する截頭ほぼ4角錐形支柱(5)を上方に突設し、該截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の4つの角部(C)をそれぞれ上記境界壁(3,3’)と連設させてなるパルプモウルド製卵収納用容器において、
上記截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の上記4つの角部(C)が、上記前後方向の境界壁(3)に連設することにより左右に隣接する上記卵収納凹部(2)の間に位置する前後方向突条(4’)と、上記左右方向の境界壁(3’)に連設することにより前後に隣接する上記卵収納凹部(2)の間に位置する左右方向突条(4”)により構成されており、
上記前後方向突条(4’)及び上記左右方向突条(4”)は、
上記前後方向及び上記左右方向の上記境界壁(3,3’)に連設する稜線部(4a)と、
上記各稜線部(4a)の両側に連なって上記突条(4’,4”)の両側面をかたち作るものであって、上記各両側面が対応する上記卵収納凹部(2)の方向に突出する凸状面(P)を有する突出側部(4b,4b’)と、から構成されており、
上記卵収納凹部(2)内に卵を収納した状態において、上記卵の側面が上記前後方向突条(4’)及び左右方向突条(4”)の上記各突出側部(4b,4b’)の上記凸状面(P)に当接するように構成したものであるパルプモウルド製卵収納用容器。
【請求項2】
上記各卵収納凹部(2)内に卵を収納した状態において、隣接する上記卵収納凹部(2)内に収納された隣接する上記卵は、各卵の側面が上記各突出側部(4b,4b’)の上記凸状面(P)に当接することにより、互いに離間する方向に若干移動するように構成したものであることを特徴とする請求項1記載のパルプモウルド製卵収納用容器。
【請求項3】
上記境界壁(3,3’)の上記交差部を左右方向に連続して設けることで左右方向に複数の上記卵収納凹部(2)を設け、上記各交差部の各々に上記截頭ほぼ4角錐形支柱(5)を設けた方形の卵収納容器からなるパルプモウルド製卵収納用容器において、
上記卵収納容器のコーナ部に位置する上記卵収納凹部(2)内に収納された卵は、上記コーナ部に位置する卵収納凹部(2)において、上記卵に対して「L」字形状に位置する上記前後方向突条(4’)及び上記左右方向突条(4”)の各凸状面(P)に当接することにより、上記コーナ部を構成する2辺の交差角度を2分する外側方向に若干移動するように構成したものであることを特徴とする請求項1又は2記載のパルプモウルド製卵収納用容器。
【請求項4】
上記卵収納容器の短辺の中央部に上記左右方向の境界壁(3’)に連設する柱部(11)を設けると共に、上記卵収納容器の長辺に上記前後方向の境界壁(3)に連設する柱部(11’)を設け、
上記短辺側の上記柱部(11)に、上記コーナ部に位置する上記卵収納凹部(2)の内部方向に突出する凸状面(P)を設けると共に、
上記長辺側の上記柱部(11’)の内、コーナ部に位置する上記卵収納凹部(2)に面する上記柱部(11’)に、上記コーナ部に位置する上記卵収納凹部(2)の内部方向に突出する凸状面(P)を設け、
上記コーナ部に位置する卵収納凹部(2)内に収納された卵は、上記柱部(11,11’)の凸状面(P)に当接することにより、隣接する卵収納凹部(2)内に収納された卵から離間する方向に若干移動するように構成したものであることを特徴とする請求項3記載のパルプモウルド製卵収納用容器。
【請求項5】
上記截頭ほぼ4角錐形支柱(5)の前後方向突条(4’)及び左右方向突条(4”)の中程上部の傾倒角度(α)が中程下部の傾倒角度(β)より若干小であり、かつ上記各突条(4’,4”)の稜線部(4a)の幅(T)は、上記中程上部側より中程下部側を広く形成したものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のパルプモウルド製卵収納用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−166804(P2012−166804A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27727(P2011−27727)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000206392)大石産業株式会社 (34)
【Fターム(参考)】