説明

パンク修理キット

【課題】内蓋の取り外しを確実化しながら、内蓋とキャップ本体との嵌め合い精度を緩和できる。
【解決手段】ボトル容器の口部に抽出キャップを取り付けたパンク修理キット用のボトルユニットにおいて、抽出キャップは、コンプレッサからの圧縮空気をボトル容器内に取り込む第1の流路と、ボトル容器からパンク修理液と圧縮空気とを順次取り出す第2の流路と、連結前の状態において前記第1、第2の流路を閉じる第1、第2の閉止手段とを具える。前記抽出キャップは、連結に伴い前記第2の閉止手段を解除して該第2の流路を開く解除手段を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサと、パンク修理液を収容したボトル容器の口部に抽出キャップを取り付けたボトルユニットとを具え、パンクしたタイヤにパンク修理液と圧縮空気とを順次注入してパンクを応急的に修理するタイヤのパンク修理キットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記の特許文献1には、図8に示すように、ボトル容器aの口部a1に抽出キャップbを取り付けたパンク修理キット用のボトルユニットcが記載されている。
【0003】
このボトルユニットcに用いられる抽出キャップbは、コンプレッサdからの圧縮空気をボトル容器a内に取り込む第1の流路eと、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器aからパンク修理液と圧縮空気とを順次取り出す第2の流路fとを具えるキャップ本体g、及び前記第1、第2の流路e、fを同時に閉じる内蓋hから構成される。
【0004】
具体的には、前記キャップ本体gは、ボトル容器aの口部a1を螺着する取付け凹部g1の底面から立ち上がるボス部g2を具え、このボス部g2の上面には、前記第1、第2の流路e、fの上開口部e1、f1が開口する。又前記内蓋hは、該ボス部g2の外周面に嵌着される内蓋本体haと、前記上開口部f1に嵌着される栓軸部hbとを一体に具える。
【0005】
そして前記ボトルユニットcは、使用前においては、前記内蓋hにより第1、第2の流路e、fが閉止された状態で車載保管される。又パンク修理の際には、この状態の抽出キャップbに配管を施してコンプレッサdを作動させる。これにより、圧縮空気が第1の流路eをへて内蓋本体ha内に流れ込み、その内圧上昇によって、前記内蓋hを自動的に取り外し第1、第2の流路e、fを開放させるのである。
【0006】
従って前記内蓋hでは、保管時には外れず、逆にパンク修理時には圧縮空気によって容易に外れることが必要である。そのために、前記内蓋hとキャップ本体gとの間の嵌め合い寸法の精度を高め、内蓋hとキャップ本体gとの間の嵌合力を高精度で管理することが要求される。
【0007】
しかし従来構造では、前記内蓋本体haと栓軸部hbとの双方を嵌着させる必要があるため、双方に嵌合バラツキが発生する。そのため嵌め合い寸法によりいっそう高い精度が要求され、歩留まり率の低下、及び製品検査工程での行程コストの上昇を招いている。
【0008】
しかも前記内蓋hでは、前記内蓋本体haの嵌合、及び栓軸部hbの嵌合が同時に外れることが必要であり、例えば栓軸部hbが先に外れかかって隙間が生じた場合、内蓋本体ha内の圧縮空気がその隙間から第2の流路fに流出するため、内蓋本体haの内圧が上昇しなくなる。逆に、内蓋本体haが先に外れかかって隙間が生じた場合には、その隙間から圧縮空気がボトル容器a内に漏れ出してボトル容器a内の圧力が上昇するため、内蓋本体haの内外の圧力差が減少する。その結果、何れの場合も内蓋hがボス部g2から外れなくなる。このように、内蓋本体haと栓軸部hbとが同時に外れることが必要であり、このことも高精度が必要な要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−23123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、抽出キャップをコンプレッサに連結する際の連結に伴って第2の閉止手段を解除する解除手段を設け、第1、第2の流路を別々に開放させることを基本として、内蓋の取り外しを確実化しながら、内蓋とキャップ本体との嵌め合い精度を緩和でき、抽出キャップの歩留まり率の低下、及び製品検査工程の行程コストの上昇などを抑えうるパンク修理キットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、圧縮空気を吐出させるコンプレッサ、
パンク修理液を収容したボトル容器の口部に、抽出キャップを取り付けたボトルユニット、
及び前記コンプレッサと前記ボトルユニットの抽出キャップとを互いに連結して一体固定しうる連結手段を具えるパンク修理キットであって、
前記抽出キャップは、前記コンプレッサからの圧縮空気をボトル容器内に第1の流路をへて取り込む取入れ口部と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器からパンク修理液と圧縮空気とを第2の流路をへて順次取り出す取出し口部と、前記連結手段による連結前の状態において前記第1、第2の流路を閉じる第1、第2の閉止手段とを具えるとともに、
前記取入れ口部は、前記コンプレッサに一端が接続される圧縮空気接続ホースの他端と接続自在なホース接続部として形成され、
しかも前記抽出キャップは、前記連結手段による連結に伴い前記第2の閉止手段を解除して該第2の流路を開く解除手段を具えることを特徴としている。
【0012】
また請求項2では、前記抽出キャップは、前記ボトル容器の口部に上端が取り付きかつボトル容器内に連なる内孔を有する筒状部分の下端を底部分で継いだ胴部と、前記底部分から前記筒状部分と同心に立ち上がりかつ前記第1の流路をなす中心孔を有する送空気管とを一体に具えるキャップ本体、及び前記送空気管に、上下に摺動可能に外挿保持される鞘管を含むとともに、前記鞘管に、前記第2の閉止手段が前記鞘管と一体移動可能に設けられ、かつ前記筒状部分に、前記取入れ口部が外向きに突設されることを特徴としている。
【0013】
また請求項3では、前記解除手段は、前記鞘管の下端から、前記底部分を貫通して下方に突出してのびる解除用突出片からなり、前記連結手段による連結に伴い、前記解除用突出片がコンプレッサに当接して前記鞘管を上方に押し上げることにより、前記第2の閉止手段を解除することを特徴としている。
【0014】
また請求項4では、前記第2の流路は、前記鞘管と筒状部分との間の間隙によって形成される環状の縦の流路部と、この縦の流路部に交点Pで連なりかつ該交点Pから前記取出し口部の先端開口部までのびる横の流路部とを具えるとともに、前記筒状部分は、前記内孔が大径をなす大径壁部と、この大径壁部に段差部を介して下方側に連なる小径壁部とを具え、かつ前記大径壁部は前記交点Pよりも上方位置に形成されることを特徴としている。
【0015】
また請求項5では、前記第2の閉止手段は、前記鞘管に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部と当接することにより、前記交点Pよりも上方側、下方側で前記縦の流路を閉じる上下のシール部材を具えるとともに、前記上のシール部材は、前記鞘管の押し上げにより前記段差部をこえて上方に移動したとき、前記大径壁部との間に隙間を形成して前記第2の流路を開くことを特徴としている。
【0016】
また請求項6では、前記送空気管の上端は、前記パンク修理液の液面よりも上方に位置することを特徴としている。
【0017】
また請求項7では、前記第1の閉止手段は、前記送空気管の上端部に嵌着されて前記第1の流路を閉じる内蓋であり、この内蓋は、前記コンプレッサからの圧縮空気による第1の流路の内圧によって外れて第1の流路を開くことを特徴としている。
【0018】
また請求項8では、前記送空気管は、その上端から控えた位置で該送空気管の外周面から小高さで突出する第1の係止突起を具え、かつ前記内蓋は、その内周面から小高さで突出して周方向にのびしかも前記第1の係止突起を乗り越え可能な環状の第2の係止突起を具え、前記連結手段による連結前の状態において、前記内蓋は、前記第2の係止突起が第1の係止突起とはその下側で係合する第1の係合状態にて前記第1の流路を閉止することを特徴としている。
【0019】
また請求項9では、前記内蓋は、前記連結手段による連結に伴い、鞘管を介して前記第1の係合状態から上方に押し上げられ、前記第2の係止突起が、第1の係止突起よりも上方側で前記送空気管の外周面に狭圧されて保持される第2の係合状態にて前記第1の流路を閉止することを特徴としている。
【0020】
また請求項10では、前記第1の閉止手段は、前記送空気管の上端部に嵌着されて前記第1の流路を閉じる内蓋であり、この内蓋は、前記連結手段による連結に伴い、鞘管を介して上方に押し上げられて前記上端部から外れて第1の流路を開くことを特徴としている。
【0021】
また請求項11では、前記送空気管は、前記送空気管の外周面から小高さで突出する第1の係止突起を具え、かつ前記内蓋は、その内周面から小高さで突出して周方向にのびしかも前記第1の係止突起を乗り越え可能な環状の第2の係止突起を具え、
前記連結手段による連結前の状態において、前記内蓋は、前記第2の係止突起が第1の係止突起とはその下側で係合する第1の係合状態にて前記第1の流路を閉止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明は叙上の如く、抽出キャップをコンプレッサに連結する際の連結に伴って第2の閉止手段を解除する解除手段を別途設け、第1、第2の流路を別々に開放させている。そのため、第1の閉止手段である内蓋とキャップ本体との嵌め合い精度を緩和して、抽出キャップの歩留まり率の低下、及び製品検査工程の行程コストの上昇などを抑えながら、保管時に前記内蓋が外れて液漏れが生じるのを確実に防止しうるとともに、使用時に内蓋が外れなくなってパンク修理作業が行えなくなるのを確実に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のパンク修理キットの連結前の状態を示す断面図である。
【図2】その主要部を拡大して示す部分断面図である。
【図3】パンク修理キットの連結状態を示す断面図である。
【図4】その主要部を拡大して示す部分断面図である。
【図5】(A)は抽出キャップ側連結部分を下方から見た下面図、(B)はコンプレッサ側連結部分を上方から見た上面図である。
【図6】(A)、(B)は連結前の状態、及び連結状態における第1の閉止手段を拡大して示す部分断面図である。
【図7】(A)、(B)は連結前の状態、及び連結状態における他の実施例の第1の閉止手段を拡大して示す部分断面図である。
【図8】従来の抽出キャップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明のパンク修理キット1の連結前の状態Y1を示す断面図であって、本実施形態のパンク修理キット1は、圧縮空気を吐出させるコンプレッサ3、パンク修理液Tを収容したボトル容器4に抽出キャップ5を取り付けたボトルユニット6、及び前記コンプレッサ3と前記ボトルユニット6の抽出キャップ5とを互いに連結して一体固定しうる連結手段7を具える。
【0025】
なお前記連結手段7は、前記コンプレッサ3に形成されるコンプレッサ側連結部分7Aと、前記抽出キャップ5に形成される抽出キャップ側連結部分7Bとからなり、パンク修理の際、パンク修理現場において両者7A、7Bを連結することにより、コンプレッサ3とボトルユニット6とを一体固定する。これにより、パンク修理作業中にボトルユニット6が転倒するのを防止できる。
【0026】
前記コンプレッサ3は、例えばモータ、ピストン、シリンダなどを用いた周知構造の可動部を有し、本例では、その上面3Sにコンプレッサ側連結部分7Aが形成される。
【0027】
次に、前記ボトルユニット6は、ボトル容器4と抽出キャップ5とからなり、前記ボトル容器4は、パンク修理液Tを収容する容器部4Bの下端に、小径円筒状の口部4Aを突出している。
【0028】
前記抽出キャップ5は、コンプレッサ3からの圧縮空気をボトル容器4内に第1の流路8をへて取り込む取入れ口部9と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器4からパンク修理液と圧縮空気とを第2の流路10をへて順次取り出す取出し口部11と、前記連結手段7による連結前の状態Y1において前記第1、第2の流路8、10を閉じる第1、第2の閉止手段12、13とを具える。又抽出キャップ5は、前記連結手段7による連結に伴い、前記第2の閉止手段13を解除して第2の流路10を開く解除手段19を具える。
【0029】
具体的には、本例の抽出キャップ5は、図2に拡大して示すように、キャップ本体14と鞘管15とを含んで構成される。前記キャップ本体14は、前記ボトル容器4の口部4Aに上端が気密に取り付く筒状部分16Aと、その下端を継ぐ底部分16Bとからなる胴部16、及び前記底部分16Bから立ち上がる送空気管17を一体に具える。なお前記筒状部分16Aの内孔16Hは、ボトル容器4内に連なる。
【0030】
本例では、前記口部4Aと筒状部分16Aとが、溶着によって固定される場合が示されるが、例えば接着剤を用いて固定しても良く、又螺着によって両者を固定する等、種々な方法が採用しうる。
【0031】
又前記送空気管17は、前記筒状部分16Aと同心に立ち上がり、かつその中心孔17Hが前記第1の流路8を構成する。そして前記送空気管17の上端部には、前記第1の流路8を閉じる内蓋18(図1に示す。)が嵌着される。即ち、内蓋18が前記第1の閉止手段12を構成する。この内蓋18は、本例では、前記コンプレッサ3からの圧縮空気による第1の流路8の内圧によって自動的に外れ、第1の流路8を開放させる。なお送空気管17の上端17Eは、パンク修理液Tの液面Tsよりも上方位置で終端している。
【0032】
本例では、前記第1の流路8は、前記中心孔17Hがなす縦の流路部8Aと、この縦の流路部8Aに交点Qで連なりかつ該交点Qから前記取入れ口部9の先端開口部9Aまでのびる横の流路部8Bとから形成される。なお前記縦の流路部8Aの下端は、底板部21によって閉止されている。本例の底板部21は、前記底部分16Bよりも下方に位置し、連結状態Y2(図4に示す。)においてコンプレッサ3の上面3Sに着座して姿勢を安定させる機能を有する。
【0033】
又前記取入れ口部9は、前記コンプレッサ3に一端が接続される圧縮空気接続ホース22(図3に示す。)の他端と接続自在なホース接続部23として、前記筒状部分16Aから外向きに突出して形成される。これにより、前記コンプレッサ3は、パンク修理用だけでなく、例えばエアマット、浮き袋などへの空気充填用途しても使用することが可能となる。
【0034】
次に、前記鞘管15は、前記送空気管17に、上下に摺動可能に外挿保持されるとともに、この鞘管15には、本例では、前記第2の流路10を閉じる第2の閉止手段13と、該第2の閉止手段13を解除する前記解除手段19とが設けられる。
【0035】
前記解除手段19は、前記鞘管15の下端から、前記底部分16Bを貫通して下方に突出してのびる例えば3本の解除用突出片19Aからなる。なお前記底部分16Bには、解除用突出片19Aを貫通させる貫通孔16Bhが透設される。この解除用突出片19Aは、前記連結手段7による連結に伴いコンプレッサ3の上面3Sと当接し、前記鞘管15を上方に押し上げうる。
【0036】
ここで前記第2の流路10は、前記鞘管15と筒状部分16Aとの間の間隙によって形成される環状の縦の流路部10Aと、この縦の流路部10Aに交点Pで連なりかつ該交点Pから前記取出し口部11の先端開口部11Aまでのびる横の流路部10Bとを具える。なお前記取出し口部11は、タイヤ側にパンク修理液T及び圧縮空気を注入するホース40の接続部41として、前記筒状部分16Aから外向きに突出して形成される。なお前記ホース40は前記筒状部分16Aの周囲に巻き付けられて保管される。
【0037】
又前記筒状部分16Aの内壁面Wは、前記内孔16Hが大径をなす大径壁部Waと、この大径壁部Waに段差部Wbを介して下方側に連なる小径壁部Wcとを具える。そして、前記大径壁部Waは、前記交点Pよりも上方位置に形成される。従って、小径壁部Wcは、前記段差部Wbと交点Pとの間の上の小径壁部WcUと、交点Pよりも下方側の下の小径壁部WcLとに区分される。
【0038】
前記第2の閉止手段13は、前記鞘管15に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部Wcと当接することにより、前記交点Pよりも上方側および下方側で前記縦の流路部10Aを閉じる上下のリング状のシール部材20U、20Lを具える。本例のシール部材20U、20Lは、所謂Oリングであって、前記鞘管15の外周に形成される周溝によって保持される。
【0039】
この第2の閉止手段13は、前記連結前の状態Y1(図2に示す。)においては、上のシール部材20Uが、上の小径壁部WcUと当接して、前記第2の流路10を閉止し、パンク修理液Tが取出し口部11側に流出するのを防止する。又、連結状態Y2(図4に示す。)においては、前記解除用突出片19Aによる前記鞘管15の押し上げにより、前記上のシール部材20Uは、前記段差部Wbをこえて上方に移動する。このとき、前記上のシール部材20Uと大径壁部Waとの間に隙間Gが形成され、これによって前記第2の流路10を開くことができる。
【0040】
次に、前記連結手段7は、前述の如く、コンプレッサ側連結部分7Aと抽出キャップ側連結部分7Bとからなる。本例では、前記抽出キャップ側連結部分7Bは、図2、5に示すように、前記底部分16Bから下方に突出する筒状の突出部24を具える。この突出部24は、上下に延びるスリット28により、バネ弾性を有する複数本、本例では6本の突出片29に分割される。このうち少なくとも2本、本例では3本の突出片29は、その下端に略直角三角形状のフック部30を外向きに突設した第1の突出片29Aとして形成され、残部はフック部のない第2の突出片29Bとして形成される。
【0041】
他方、前記コンプレッサ側連結部分7Aは、前記筒状の突出部が嵌入する環状の連結溝31として形成されるとともに、この連結溝31の溝底31Aには、前記フック部30と係合して抜け止めされる爪係合穴32が形成される。
【0042】
ここで、第1、第2の突出片29A、29Bは、その外側面が、前記バネ弾性によって前記連結溝31の内側面と圧接でき、かつ前記第2の突出片29Bの下端が前記連結溝31の溝底31Aに保持される。又前記第1の突出片29Aはその前記フック部30が連結溝31の爪係合穴32と係合して抜け止めされる。これにより、コンプレッサ3とボトルユニット6とは強固にかつワンタッチで連結される。なお図6中の符号42Aは、突出片29に突設される位置決め用の突起であって、前記連結溝31の内側面に設ける溝42Bに挿入されることで、回転方向の位置決めが行われる。

【0043】
又図6(A)、(B)に示すように、本例の送空気管17は、その上端17Eから控えた位置に、該送空気管17の外周面から小高さで突出する第1の係止突起33を具える。又前記内蓋18は、その内周面に、小高さで突出して周方向にのびるとともに前記第1の係止突起33を乗り越え可能な環状の第2の係止突起34を具える。そして連結手段7による連結前の状態Y1において、前記内蓋18は、前記第2の係止突起34が第1の係止突起33とはその下側で係合する第1の係合状態X1にて前記第1の流路8の上端を閉止する。
【0044】
なお前記連結前の状態Y1においては、前記鞘管15の上端15Eは、前記第1の係合状態X1の内蓋18よりも下方に位置する。又前記送空気管17の外周には、前記位置に第3の係止突起35が形成される。これにより、前記鞘管15の上端位置が規制され、連結前の状態Y1において前記鞘管15が内蓋18と接触するのが防止される。なお送空気管17には、鞘管15との間をシールする、Oリングなどのシールリング36が装着される。
【0045】
他方、前記内蓋18は、連結状態Y2においては、図6(B)に示すように、鞘管15を介して前記第1の係合状態X1から上方に押し上げられ、第2の係止突起34が、第1の係止突起33よりも上方側となる第2の係合状態X2にて前記第1の流路8の上端を閉止する。前記第1の係合状態X1から第2の係合状態X2への移動は、第2の係止突起34が第1の係止突起33を乗り越えることにより行いうる。又第2の係合状態X2では、第2の係止突起34が送空気管17の外周面を狭圧することだけで内蓋18が保持されるため、圧縮空気による第1の流路8の内圧によって容易にかつ確実に取り外すことが可能となる。これに対して前記第1の係合状態X1では、第2の係止突起34が第1の係止突起33と係合しているため強固に取り付いている。
【0046】
然して、本実施形態のパンク修理キット1では、連結手段7を有するため、不安定なボトルユニット6をコンプレッサ3に一体連結して固定しうる。そのため、パンク修理作業中のボトルユニット6の転倒を防止できる。
【0047】
又第2の閉止手段13を解除する解除手段19を別途設け、第1、第2の流路8、10を別々に開放させている。そのため、第1の閉止手段12である内蓋18と、送空気管17との間の嵌合バラツキのみを考慮すれば良くなる。即ち、嵌合バラツキを従来に比して半減することができ、嵌め合い精度を緩和して、抽出キャップの歩留まり率の低下、及び製品検査工程の行程コストの上昇などを抑えることが可能となる。特に本例では、第1、第2の係止突起33、34を設け、連結前の状態Y1では強固な第1の係合状態X1で内蓋18を取り付けているため、保管時での液漏れを確実に防止することができる。又連結状態Y2では、内蓋18が弱い第2の係合状態X2となるため、パンク修理時、圧縮空気の空気圧によって内蓋18を容易にかつ確実に取り外すことが可能となる。しかも第1、第2の係合状態X1、X2が、連結手段7による連結に連動して切り替わるため、確実に機能させることができる。
【0048】
又第1の流路8をなす送空気管17に鞘管15を外挿保持させ、この鞘管15に第2の閉止手段13と、解除手段19とを設けている。これにより前記第1の係合状態X1から第2の係合状態X2への切り替え、および第2の閉止手段13の解除(第2の流路10の開放)を、前記連結手段7による連結に連動させて確実に動作させることができる。
【0049】
又本例のように、前記送空気管17の上端17Eが、パンク修理液Tの液面Tsよりも上方に位置するのが好ましい。その理由としては、もし第2の流路10側が塞がれた状態でコンプレッサ3を作動してしまった場合、ボトル容器4内の圧力が異常に高まり、コンプレッサ3に脈動がある場合には、ボトル容器4のパンク修理液Tがコンプレッサ3側に逆流する恐れが生じる。これに対して前記上端17E を液面Tsよりも上方に位置させることで、前記トラブルを防止できる。なお第2の流路10側が塞がれた状態とは、第2の閉止手段13の不良によって第2の内蓋8Bが外れない場合、前記取出し口部11に接続されるホース40が折れて塞がった場合、或いは、前記ホース40先端がキャップで塞がっている場合などがあり得る。
【0050】
図7(A)、(B)に、抽出キャップ5の他の実施例を示す。本例では、前記第1、3の係止突起33、35間の距離が短いことにより、連結前の状態Y1において、前記内蓋18下端と鞘管15上端15E とが近接している。そのため図7(B)に示すように、前記内蓋18は、連結手段7による連結時、鞘管15を介して上方に押し上げられ前記送空気管17の上端部から外れて第1の流路8を開放する。
【符号の説明】
【0051】
1 パンク修理キット
3 コンプレッサ
4 ボトル容器
4A 口部
5 抽出キャップ
6 ボトルユニット
7 連結手段
8 第1の流路
9 取入れ口部
10 第2の流路
10A 縦の流路部
10B 横の流路部
11 取出し口部
11A 先端開口部
12 第1の閉止手段
13 第2の閉止手段
14 キャップ本体
15 鞘管
16 胴部
16A 筒状部分
16B 底部分
16H 内孔
17 送空気管
17H 中心孔
18 内蓋
19 解除手段
19A 解除用突出片
20U 上のシール部材
20L 下のシール部材
33 第1の係止突起
34 第2の係止突起
T パンク修理液
Ts 液面
X1 第1の係合状態
X2 第2の係合状態
Y1 連結前の状態
Y2 連結状態
Wa 大径壁部
Wb 段差部
Wc 小径壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を吐出させるコンプレッサ、
パンク修理液を収容したボトル容器の口部に、抽出キャップを取り付けたボトルユニット、
及び前記コンプレッサと前記ボトルユニットの抽出キャップとを互いに連結して一体固定しうる連結手段を具えるパンク修理キットであって、
前記抽出キャップは、前記コンプレッサからの圧縮空気をボトル容器内に第1の流路をへて取り込む取入れ口部と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器からパンク修理液と圧縮空気とを第2の流路をへて順次取り出す取出し口部と、前記連結手段による連結前の状態において前記第1、第2の流路を閉じる第1、第2の閉止手段とを具えるとともに、
前記取入れ口部は、前記コンプレッサに一端が接続される圧縮空気接続ホースの他端と接続自在なホース接続部として形成され、
しかも前記抽出キャップは、前記連結手段による連結に伴い前記第2の閉止手段を解除して該第2の流路を開く解除手段を具えることを特徴とするパンク修理キット。
【請求項2】
前記抽出キャップは、
前記ボトル容器の口部に上端が取り付きかつボトル容器内に連なる内孔を有する筒状部分の下端を底部分で継いだ胴部と、前記底部分から前記筒状部分と同心に立ち上がりかつ前記第1の流路をなす中心孔を有する送空気管とを一体に具えるキャップ本体、
及び前記送空気管に、上下に摺動可能に外挿保持される鞘管を含むとともに、
前記鞘管に、前記第2の閉止手段が前記鞘管と一体移動可能に設けられ、かつ前記筒状部分に、前記取入れ口部が外向きに突設されることを特徴とする請求項1記載のパンク修理キット。
【請求項3】
前記解除手段は、前記鞘管の下端から、前記底部分を貫通して下方に突出してのびる解除用突出片からなり、前記連結手段による連結に伴い、前記解除用突出片がコンプレッサに当接して前記鞘管を上方に押し上げることにより、前記第2の閉止手段を解除することを特徴とする請求項2記載のパンク修理キット。
【請求項4】
前記第2の流路は、前記鞘管と筒状部分との間の間隙によって形成される環状の縦の流路部と、この縦の流路部に交点Pで連なりかつ該交点Pから前記取出し口部の先端開口部までのびる横の流路部とを具えるとともに、
前記筒状部分は、前記内孔が大径をなす大径壁部と、この大径壁部に段差部を介して下方側に連なる小径壁部とを具え、かつ前記大径壁部は前記交点Pよりも上方位置に形成されることを特徴とする請求項2又は3記載のパンク修理キット。
【請求項5】
前記第2の閉止手段は、前記鞘管に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部と当接することにより、前記交点Pよりも上方側、下方側で前記縦の流路を閉じる上下のシール部材を具えるとともに、前記上のシール部材は、前記鞘管の押し上げにより前記段差部をこえて上方に移動したとき、前記大径壁部との間に隙間を形成して前記第2の流路を開くことを特徴とする請求項4記載のパンク修理キット。
【請求項6】
前記送空気管の上端は、前記パンク修理液の液面よりも上方に位置することを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載のパンク修理キット。
【請求項7】
前記第1の閉止手段は、前記送空気管の上端部に嵌着されて前記第1の流路を閉じる内蓋であり、この内蓋は、前記コンプレッサからの圧縮空気による第1の流路の内圧によって外れて第1の流路を開くことを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載のパンク修理キット。
【請求項8】
前記送空気管は、その上端から控えた位置で該送空気管の外周面から小高さで突出する第1の係止突起を具え、かつ前記内蓋は、その内周面から小高さで突出して周方向にのびしかも前記第1の係止突起を乗り越え可能な環状の第2の係止突起を具え、
前記連結手段による連結前の状態において、前記内蓋は、前記第2の係止突起が第1の係止突起とはその下側で係合する第1の係合状態にて前記第1の流路を閉止することを特徴とする請求項7に記載のパンク修理キット。
【請求項9】
前記内蓋は、前記連結手段による連結に伴い、鞘管を介して前記第1の係合状態から上方に押し上げられ、前記第2の係止突起が、第1の係止突起よりも上方側で前記送空気管の外周面に狭圧されて保持される第2の係合状態にて前記第1の流路を閉止することを特徴とする請求項8記載のパンク修理キット。
【請求項10】
前記第1の閉止手段は、前記送空気管の上端部に嵌着されて前記第1の流路を閉じる内蓋であり、この内蓋は、前記連結手段による連結に伴い、鞘管を介して上方に押し上げられて前記上端部から外れて第1の流路を開くことを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載のパンク修理キット。
【請求項11】
前記送空気管は、前記送空気管の外周面から小高さで突出する第1の係止突起を具え、かつ前記内蓋は、その内周面から小高さで突出して周方向にのびしかも前記第1の係止突起を乗り越え可能な環状の第2の係止突起を具え、
前記連結手段による連結前の状態において、前記内蓋は、前記第2の係止突起が第1の係止突起とはその下側で係合する第1の係合状態にて前記第1の流路を閉止することを特徴とする請求項10に記載のパンク修理キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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