パンク修理キット
【課題】流路の開閉を確実としながらも、従来のごとき内蓋とキャップ本体との間の嵌め合いを不要とし、抽出キャップの形成時の歩留まり率を高めうる。
【解決手段】ボトル容器の口部に抽出キャップを取り付けたパンク修理キット用のボトルユニットにおいて、抽出キャップは、取入れ口部で一端が開口する導孔を有するキャップ本体と、このキャップ本体に上下に摺動可能に保持されるとともに前記導孔の他端に下端側が連なりかつ該導孔と協働して第１の流路を形成する中心孔を有する空気送給管とを具える。第１の閉止手段は、前記空気送給管の上端に取り付く封止シール体からなり、
かつ前記ボトル容器の底面に、空気送給管の持ち上げによって前記封止シール体を破る開封突起を設けた。
【解決手段】ボトル容器の口部に抽出キャップを取り付けたパンク修理キット用のボトルユニットにおいて、抽出キャップは、取入れ口部で一端が開口する導孔を有するキャップ本体と、このキャップ本体に上下に摺動可能に保持されるとともに前記導孔の他端に下端側が連なりかつ該導孔と協働して第１の流路を形成する中心孔を有する空気送給管とを具える。第１の閉止手段は、前記空気送給管の上端に取り付く封止シール体からなり、
かつ前記ボトル容器の底面に、空気送給管の持ち上げによって前記封止シール体を破る開封突起を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、コンプレッサと、パンク修理液を収容したボトル容器の口部に抽出キャップを取り付けたボトルユニットとを具え、パンクしたタイヤにパンク修理液と圧縮空気とを順次注入してパンクを応急的に修理するタイヤのパンク修理キットに関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば下記の特許文献１には、図９に示すように、ボトル容器ａの口部ａ１に取り付けられ、コンプレッサｄからの圧縮空気により、パンクしたタイヤｔにパンク修理液と圧縮空気とを順次注入してパンクを応急的に修理するパンク修理用のキャップユニットｂが記載されている。
【０００３】
このキャップユニットｂは、コンプレッサｄからの圧縮空気をボトル容器ａ内に送り込む第１の流路ｅと、この圧縮空気の送り込みにより前記ボトル容器ａからパンク修理液と圧縮空気とを順次取り出す第２の流路ｆとを具えるキャップ本体ｇ、及び前記第１、第２の流路ｅ、ｆを同時に閉じる一つの内蓋ｈから構成される。
【０００４】
具体的には、前記キャップ本体ｇは、ボトル容器ａの口部ａ１を螺着する取付け凹部ｇ１の底面から立ち上がるボス部ｇ２を具え、このボス部ｇ２の上面には、前記第１、第２の流路ｅ、ｆの上開口部ｅ１、ｆ１が開口する。又前記内蓋ｈは、該ボス部ｇ２の外周面に嵌着される内蓋本体ｈａと、前記上開口部ｆ１に嵌着される栓軸部ｈｂとを一体に具える。
【０００５】
そして前記ボトルユニットｃは、使用前においては、前記内蓋ｈにより第１、第２の流路ｅ、ｆが閉止された状態で車載保管される。又パンク修理の際には、この状態の抽出キャップｂに配管を施してコンプレッサｄを作動させる。これにより、圧縮空気が第１の流路ｅをへて内蓋本体ｈａ内に流れ込み、その内圧上昇によって、前記内蓋ｈを自動的に取り外し第１、第２の流路ｅ、ｆを解放させるのである。
【０００６】
従って前記内蓋ｈでは、保管時には外れず、逆にパンク修理時には圧縮空気によって容易に外れることが必要である。そのために、前記内蓋ｈとキャップ本体ｇとの間の嵌め合い寸法の精度を高め、内蓋ｈとキャップ本体ｇとの間の嵌合力を高精度で管理することが要求される。
【０００７】
しかし従来構造では、前記内蓋本体ｈａと栓軸部ｈｂとの双方に嵌合バラツキが発生する。そのため嵌め合い寸法によりいっそう高い精度が要求され、歩留まり率の低下、及び製品検査工程での行程コストの上昇を招いている。
【０００８】
しかも従来構造では、前記内蓋本体ｈａの嵌合、及び栓軸部ｈｂの嵌合が同時に外れることが必要であり、例えば栓軸部ｈｂが先に外れかかって隙間が生じた場合、内蓋本体ｈａ内の圧縮空気がその隙間から第２の流路ｆに流出するため、内蓋本体ｈａの内圧が上昇しなくなる。逆に、内蓋本体ｈａが先に外れかかって隙間が生じた場合には、その隙間から圧縮空気がボトル容器ａ内に漏れ出してボトル容器ａ内の圧力が上昇するため、内蓋本体ｈａの内外の圧力差が減少する。その結果、何れの場合も内蓋ｈがボス部ｇ２から外れなくなる。このように、内蓋本体ｈａと栓軸部ｈｂとが同時に外れることが必要であり、このことも高精度が必要な要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開２００９−２３１２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
そこで本発明は、内蓋とキャップ本体との間の嵌め合いを不要とし、第１、第２の流路の開閉を確実に行いながら抽出キャップの歩留まり率の低下、及び製品検査工程の行程コストの上昇などを抑えうるパンク修理キットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記課題を解決するために、本願請求項１の発明は、圧縮空気を吐出させるコンプレッサ、
パンク修理液を収容したボトル容器の口部に、抽出キャップを取り付けたボトルユニット、
及び前記抽出キャップを下方に向けたボトルユニットの前記抽出キャップと前記コンプレッサとを互いに連結して一体固定しうる連結手段を具えるパンク修理キットであって、 前記抽出キャップは、前記コンプレッサからの圧縮空気をボトル容器内に第１の流路をへて取り込む取入れ口部と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器からパンク修理液と圧縮空気とを第２の流路をへて順次取り出す取出し口部と、前記連結手段による連結前の状態において前記第１、第２の流路を閉じる第１、第２の閉止手段とを具え、
しかも前記抽出キャップは、前記ボトル容器の口部に固定されかつ前記取入れ口部で一端が開口する導孔を有するキャップ本体と、このキャップ本体に上下に摺動可能に保持されるとともに前記導孔の他端に下端側が連なりかつ該導孔と協働して前記第１の流路を形成する中心孔を有する空気送給管とを具えるとともに、
前記第１の閉止手段は、前記空気送給管の上端に取り付き前記中心孔を塞ぐ封止シール体からなり、
かつ前記ボトル容器の底面に、下向きに突出し、前記連結に伴う空気送給管の持ち上げによって前記封止シール体を破って第１の流路を開放する開封突起を設けたことを特徴としている。
【００１２】
また請求項２では、前記キャップ本体は、前記ボトル容器の口部に上端が取り付く筒状部分の下端を底部分で継いだ胴部と、前記底部分から前記筒状部分と同心に立ち上がりかつ上端で前記導孔の他端が開口する基管部とを一体に具えるとともに、
前記空気送給管は、該基管部に上下に摺動可能に外挿保持されることを特徴としている。
【００１３】
また請求項３では、前記空気送給管は、その下端に、前記底部分を貫通して下方に突出してのびる突出片を具え、前記連結に伴い前記突出片がコンプレッサに当接することで該空気送給管が持ち上げられることを特徴としている。
【００１４】
また請求項４では、前記第２の流路は、前記空気送給管と筒状部分との間の間隙によって形成される環状の縦の流路部と、この縦の流路部に交点Ｐで連なりかつ該交点Ｐから前記取出し口部の先端開口部までのびる横の流路部とを具えるとともに、
前記筒状部分は、前記内孔が大径をなす大径壁部と、この大径壁部に段差部を介して下方側に連なる小径壁部とを具え、かつ前記大径壁部は前記交点Ｐよりも上方位置に形成されることを特徴としている。
【００１５】
また請求項５では、前記第２の閉止手段は、前記空気送給管に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部と当接することにより、前記交点Ｐよりも上方側、下方側で前記縦の流路を閉じる上下のシール部材を具えるとともに、前記上のシール部材は、前記空気送給管の押し上げにより前記段差部をこえて上方に移動したとき、前記大径壁部との間に隙間を形成して前記第２の流路を開くことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１６】
本発明は、コンプレッサとボトルユニットとを連結手段を用いて一体固定可能としている。そのため、不安定なボトルユニットをパンク修理現場にて安定して設置させることができ、パンク修理作業中のボトルユニットの転倒を防止できる。
【００１７】
又第１の流路形成用の空気送給管を、前記連結手段による連結に伴って上下に摺動しうるように保持させる。しかもこの空気送給管の上端を封止シール体からなる第１の閉止手段によって塞ぐとともに、ボトル容器の底面に、前記連結に伴う空気送給管の持ち上げによって前記封止シール体を破って第１の流路を開放する開封突起を設けている。
【００１８】
即ち、封止シール体を用いて第１の流路を確実に閉止しうるため、保管中等におけるパンク修理液の液漏れ、流出を防止しうる。又封止シール体は、開封突起が通破して破れることにより、第１の流路を確実に開放しうる。しかも前記通破が、前記連結に伴う空気送給管の持ち上げによって自動的に行われるため、作業ミス等の発生も排除しうる。
【００１９】
このように第１の流路の開閉を確実としながらも、従来のごとき内蓋とキャップ本体との間の嵌め合いが不要となるなど、この嵌め合いのための高い寸法精度の規制や管理がなくなり、抽出キャップの形成時の歩留まり率を高めうるとともに、製品検査工程での行程コストを低減しうる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明のパンク修理キットの連結前の状態を示す断面図である。
【図２】その主要部を拡大して示す部分断面図である。
【図３】パンク修理キットの連結状態を示す断面図である。
【図４】その主要部を拡大して示す部分断面図である。
【図５】（Ａ）、（Ｂ）は、開封突起の作用を示す断面図である。
【図６】抽出キャップの他の実施例を示す断面図である。
【図７】その連結状態を示す断面図である。
【図８】（Ａ）は抽出キャップ側連結部分を下方から見た下面図、（Ｂ）はコンプレッサ側連結部分を上方から見た上面図である。
【図９】従来の抽出キャップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図１は、本発明のパンク修理キット１の連結前の状態Ｙ１を示す断面図であって、本実施形態のパンク修理キット１は、圧縮空気を吐出させる圧縮空気吐出口部２を具えるコンプレッサ３、パンク修理液Ｔを収容したボトル容器４に抽出キャップ５を取り付けたボトルユニット６、及び前記抽出キャップ５を下方に向けたボトルユニット６の前記抽出キャップ５と前記コンプレッサ３とを互いに連結して一体固定しうる連結手段７を具える。
【００２２】
なお前記連結手段７は、前記コンプレッサ３に形成されるコンプレッサ側連結部分７Ａと、前記抽出キャップ５に形成される抽出キャップ側連結部分７Ｂとからなり、パンク修理の際、パンク修理現場において両者７Ａ、７Ｂを連結することにより、コンプレッサ３とボトルユニット６とを一体固定する。これにより、パンク修理作業中にボトルユニット６が転倒するのを防止できる。
【００２３】
前記コンプレッサ３は、例えばモータ、ピストン、シリンダなどを用いた周知構造の可動部を有し、本例では、その上面３Ｓ側に、前記圧縮空気吐出口部２およびコンプレッサ側連結部分７Ａが配される。
【００２４】
次に、前記ボトルユニット６は、ボトル容器４と抽出キャップ５とからなり、前記ボトル容器４は、パンク修理液Ｔを収容する有底の容器部４Ｂの下端に、小径円筒状の口部４Ａを突出している。
【００２５】
前記抽出キャップ５は、コンプレッサ３からの圧縮空気をボトル容器４内に第１の流路８をへて取り込む取入れ口部９と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器４からパンク修理液Ｔと圧縮空気とを第２の流路１０をへて順次取り出す取出し口部１１と、前記連結手段７による連結前の状態Ｙ１において前記第１、第２の流路８、１０を閉じる第１、第２の閉止手段１２、１３とを具える。
【００２６】
具体的には、本例の抽出キャップ５は、図２に拡大して示すように、キャップ本体１４と空気送給管１５とを含んで構成される。前記キャップ本体１４は、前記ボトル容器４の口部４Ａに上端が気密に取り付く筒状部分１６Ａと、その下端を継ぐ底部分１６Ｂとからなる胴部１６、及び前記底部分１６Ｂから立ち上がる基管部１７を一体に具える。なお前記基管部１７は、前記筒状部分１６Ａと同心に立ち上がり、又筒状部分１６Ａの内孔１６Ｈは、ボトル容器４内に連なる。
【００２７】
本例では、前記口部４Ａと筒状部分１６Ａとが、溶着によって固定される場合が示されるが、例えば接着剤を用いて固定しても良く、又螺着によって両者を固定する等、種々な方法が採用しうる。
【００２８】
又前記キャップ本体１４は、前記取入れ口部９で一端（下端）が開口する導孔２４を有し、この導孔２４の他端（上端）は、前記基管部１７の上端で開口している。
【００２９】
次に、前記空気送給管１５は、前記基管部１７に、上下に摺動可能に外挿保持される。なお前記基管部１７の外周には、空気送給管１５との間を気密にシールするＯリングなどのシールリング２７が取り付く。又空気送給管１５の中心孔１５Ｈは、その下端側が前記導孔２４の前記他端（上端）に連なり、該導孔２４と協働して前記第１の流路８を形成する。又空気送給管１５の下端には、前記底部分１６Ｂを貫通して下方に突出してのびる例えば３本の突出片１９が設けられ、この突出片１９は、前記連結手段７による連結に伴い本例ではコンプレッサ３の上面３Ｓと同一平面のノズル受け２６の上面と当接し、前記空気送給管１５を上方に押し上げうる。
【００３０】
そしてこの空気送給管１５には、前記第１、第２の閉止手段１２、１３が、一体移動可能に設けられる。
【００３１】
前記第１の閉止手段１２は、図５（Ａ）に拡大して示すように、前記空気送給管１５の上端に取り付き前記中心孔１５Ｈを塞ぐ封止シール体３４から形成される。この封止シール体３４としては、例えばポリエチレン系やポリプロピレン系等の合成樹脂フィルム、アルミニウムフィルム及びこれらを積層させたラミネートフィルムなどの種々のフィルム材料が好適に使用できる。
【００３２】
この封止シール体３４は、空気送給管１５の上端に溶着等により貼着される周囲部分３４Ａと、その内側のシール部分３４Ｂとを具え、本例では、前記シール部分３４Ｂが前記空気送給管１５の上端から下方に距離Ｌ１を隔てた位置に配される。
【００３３】
又前記ボトル容器４の底面４Ｂｓには、下向きに突出し、前記連結に伴う空気送給管１５の持ち上げによって前記封止シール体３４を破って第１の流路８を開放する開封突起３５が形成される。この開封突起３５は、下端を鋭利とした先細状（円錐形、三角錐形、四角錐形、三ツ矢状など種々の断面形状のものを含む。）をなし、図５（Ｂ）に示すように、前記封止シール体３４を通破して第１の流路８を開放しうる。本例では、前記連結前の状態Ｙ１（図５（Ａ））において、開封突起３５の下端は、前記空気送給管１５の上端よりも下方、かつシール部分３４Ｂよりも上方に位置している。これにより、保管時、振動などによって前記空気送給管１５の上端が開封突起３５の外側に位置ズレしてしまうのを防止している。
【００３４】
次に、前記第２の流路１０は、前記図２の如く、前記空気送給管１５と筒状部分１６Ａとの間の間隙によって形成される環状の縦の流路部１０Ａと、この縦の流路部１０Ａに交点Ｐで連なりかつ該交点Ｐから前記取出し口部１１の先端開口部１１Ａまでのびる横の流路部１０Ｂとを具える。なお前記取出し口部１１は、タイヤ側にパンク修理液Ｔ及び圧縮空気を注入するホース４０の接続部４１として、前記筒状部分１６Ａから外向きに突出して形成される。前記ホース４０は、前記筒状部分１６Ａの周囲に巻き付けられて保管される。
【００３５】
又前記筒状部分１６Ａの内壁面Ｗは、前記内孔１６Ｈが大径をなす大径壁部Ｗａと、この大径壁部Ｗａに段差部Ｗｂを介して下方側に連なる小径壁部Ｗｃとを具える。そして、前記大径壁部Ｗａは、前記交点Ｐよりも上方位置に形成される。従って、小径壁部Ｗｃは、前記段差部Ｗｂと交点Ｐとの間の上の小径壁部ＷｃＵと、交点Ｐよりも下方側の下の小径壁部ＷｃＬとに区分される。
【００３６】
前記第２の閉止手段１３は、前記空気送給管１５に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部Ｗｃと当接することにより、前記交点Ｐよりも上方側および下方側で前記縦の流路部１０Ａを閉じる上下のリング状のシール部材２０Ｕ、２０Ｌを具える。本例のシール部材２０Ｕ、２０Ｌは、所謂Ｏリングであって、前記空気送給管１５の外周に形成される周溝によって保持される。
【００３７】
この第２の閉止手段１３は、前記連結前の状態Ｙ１（図２に示す。）においては、上のシール部材２０Ｕが、上の小径壁部ＷｃＵと当接して、前記第２の流路１０を閉止し、パンク修理液Ｔが取出し口部１１側に流出するのを防止する。又、連結状態Ｙ２（図４に示す。）においては、前記突出片１９による前記空気送給管１５の押し上げにより、前記上のシール部材２０Ｕは、前記段差部Ｗｂをこえて上方に移動する。このとき、前記上のシール部材２０Ｕと大径壁部Ｗａとの間に隙間Ｇが形成され、これによって前記第２の流路１０を開くことができる。前記空気送給管１５の押し上げのストロークは５ｍｍ程度が好適である。
【００３８】
又本例の抽出キャップ５では、前記胴部１６の底部分１６Ｂに、前記取入れ口部９が形成されており、この取入れ口部９は、コンプレッサ３の前記圧縮空気吐出口部２と、ホースなどを介することなく直接接続される。
【００３９】
具体的には、前記圧縮空気吐出口部２と取入れ口部９との一方は、他方に向かって突出する接続ノズル２５からなり、かつ他方は、前記連結手段７による連結に伴い前記接続ノズル２５が挿入されて該接続ノズル２５と密に接続されるノズル受け２６から形成される。本例では、前記取入れ口部９が、前記底部分１６Ｂから下方に突出する接続ノズル２５として形成され、かつ前記圧縮空気吐出口部２がノズル受け２６として形成される場合が示される。
【００４０】
前記接続ノズル２５は、外径一定のノズル本体２５Ａの下端側に、先細コーン状のテーパ面部２５Ｂを具える。なおノズル本体２５Ａには、Ｏリングなどである例えば２本のシールリング２７が装着される。又前記ノズル受け２６は、前記シールリング２７を介してノズル本体２５Ａに気密に嵌合する嵌合孔部２６Ａの下端に、前記テーパ面部２５Ｂとほぼ同傾斜をなすテーパ面部２６Ｂを具える。このテーパ面部２５Ｂ、２６Ｂにより、接続ノズル２５とノズル受け２６とは、同心に位置合わせされる。
【００４１】
又前記連結手段７は、前述の如く、コンプレッサ側連結部分７Ａと抽出キャップ側連結部分７Ｂとからなり、前記抽出キャップ側連結部分７Ｂは、本例では、前記底部分１６Ｂから下方に向かってのびる複数本、例えば２本の係止爪３０からなる。この係止爪３０は、前記底部分１６Ｂに連なる主部３０Ａ先端に、略直角三角形状のフック部３０Ｂを外向きに突設している。他方、前記コンプレッサ側連結部分７Ａは、前記フック部３０Ｂに係合して抜け止めされる爪係合穴３１を具え、これにより、コンプレッサ３とボトルユニット６とは強固にかつワンタッチで連結される。本例の爪係合穴３１は、前記ノズル受け２６と一体形成されるフレーム枠３２に形成される。
【００４２】
然して、本実施形態のパンク修理キット１では、連結手段７を有し、不安定なボトルユニット６をコンプレッサ３に一体連結して固定しうるため、パンク修理作業中のボトルユニット６の転倒を防止できる。
【００４３】
又抽出キャップ５では、第１の流路８形成用の空気送給管１５を、前記連結手段７による連結に伴って上下に摺動可能に保持させている。しかも、この空気送給管１５上端の開口を封止シール体３４からなる第１の閉止手段１２によって塞ぐとともに、ボトル容器４の底面４Ｂｓに、前記封止シール体３４を破通しうる開封突起３５を設けている。即ち、封止シール体３４を用いて第１の流路８を確実に閉止しうるため、保管中等におけるパンク修理液Ｔの液漏れ、流出を防止しうる。又封止シール体３４は、開封突起３５が通破して破れるため第１の流路８を確実に開放しうる。しかも前記通破が、前記連結に伴う空気送給管１５の持ち上げによって自動的に行われるため、作業ミス等の発生も排除しうる。このように第１の流路８の開閉を確実としながらも、従来の如き内蓋とキャップ本体との間の嵌め合いが不要となるなど、この嵌め合いのための高い寸法精度の規制や管理がなくなる。そのため抽出キャップ５の形成時の歩留まり率を高めうるとともに、製品検査工程での行程コストを低減しうる。
【００４４】
又本例では、第２の閉止手段１３も、前記空気送給管１５に設けているため、圧縮空気の力を利用することなく、第１の流路８と第２の流路１０とを同時にかつ確実に開放させることができる。
【００４５】
又本例ではコンプレッサ３の圧縮空気吐出口部２と、抽出キャップ５の取入れ口部９とが直接接続されるため、空気供給側のホースを排除でき、パンク修理現場での配管作業を容易とし、かつ誤配管を防止することができる。
【００４６】
ここで、前記空気送給管１５の上端は、図１に示すように、前記装着状態Ｙ１におけるパンク修理液Ｔの液面Ｔｓよりも上方に位置させることが好ましい。その理由としては、もし第２の流路１０側が塞がれた状態でコンプレッサ３を作動してしまった場合、ボトル容器４内の圧力が異常に高まり、コンプレッサ３に脈動がある場合には、ボトル容器４のパンク修理液Ｔがコンプレッサ３側に逆流する恐れが生じる。従って、空気送給管１５の上端を液面Ｔｓよりも上方に位置させることで、前記トラブルを防止できる。なお第２の流路１０側が塞がれた状態とは、前記取出し口部１１に接続されるホース４０が折れて塞がった場合、或いは、前記ホース４０先端がキャップで塞がっている場合などがあり得る。
【００４７】
次に、図６〜８に、パンク修理キット１の他の実施例を示す。
本例のパンク修理キット１では、前記コンプレッサ３の圧縮空気吐出口部２と、抽出キャップ５の取入れ口部９とが、ホースを介して接続される場合が示される。
【００４８】
次に、図６〜８に、パンク修理キット１の他の実施例を示す。本例のパンク修理キット１では、前記コンプレッサ３の圧縮空気吐出口部２と、抽出キャップ５の取入れ口部９とが、ホース５０を介して接続される場合が示される。
【００４９】
本例では、前記取入れ口部９が、前記筒状部分１６Ａから外向きに突出するホース接続部４２として形成され、前記キャップ本体１４には、導孔２４が略Ｌ字状に形成される。
【００５０】
又前記抽出キャップ側連結部分７Ｂは、前記底部分１６Ｂから下方に突出する筒状の突出部４３を具える。この突出部４３は、上下に延びるスリット４４により、バネ弾性を有する複数本、本例では６本の突出片４５に分割される。このうち少なくとも２本、本例では３本の突出片４５は、その下端に略直角三角形状のフック部４６を外向きに突設した第１の突出片４５Ａとして形成され、残部はフック部４６のない第２の突出片４５Ｂとして形成される。
【００５１】
他方、前記コンプレッサ側連結部分７Ａは、前記筒状の突出部４３が嵌入する環状の連結溝４７として形成されるとともに、この連結溝４７の溝底４７Ａには、前記フック部４６と係合して抜け止めされる爪係合穴４８が形成される。ここで第１、第２の突出片４５Ａ、４５Ｂは、その外側面が、前記バネ弾性によって前記連結溝４７の内側面と圧接でき、かつ前記第２の突出片４５Ｂの下端が前記連結溝４７の溝底４７Ａに保持される。又前記第１の突出片４５Ａはその前記フック部４６が連結溝４７の爪係合穴４８と係合して抜け止めされる。これにより、コンプレッサ３とボトルユニット６とは強固にかつワンタッチで連結される。なお図中の符号４９Ａは、突出片４５に突設される位置決め用の突起であって、前記連結溝４７の内側面に設ける溝４９Ｂに挿入されることで、回転方向の位置決めが行われる。
【００５２】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【００５３】
１ パンク修理キット
３ コンプレッサ、
４ ボトル容器
４Ａ 口部
４Ｂｓ 底面
５ 抽出キャップ
６ ボトルユニット
７ 連結手段
８ 第１の流路
９ 取入れ口部
１０ 第２の流路
１０Ａ 縦の流路部
１０Ｂ 横の流路部
１１ 取出し口部
１２ 第１の閉止手段
１３ 第２の閉止手段
１４ キャップ本体
１５ 空気送給管
１５Ｈ 中心孔
１６ 胴部
１６Ａ 筒状部分
１６Ｂ 底部分
１６Ｈ 内孔
１７ 基管部
１９ 突出片
２０Ｕ、２０Ｌ 上下のシール部材
２４ 導孔
３４ 封止シール体
３５ 開封突起
Ｔ パンク修理液
Ｗａ 大径壁部
Ｗｂ 段差部
Ｗｃ 小径壁部
Ｙ１ 連結前の状態
【技術分野】
【０００１】
本発明は、コンプレッサと、パンク修理液を収容したボトル容器の口部に抽出キャップを取り付けたボトルユニットとを具え、パンクしたタイヤにパンク修理液と圧縮空気とを順次注入してパンクを応急的に修理するタイヤのパンク修理キットに関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば下記の特許文献１には、図９に示すように、ボトル容器ａの口部ａ１に取り付けられ、コンプレッサｄからの圧縮空気により、パンクしたタイヤｔにパンク修理液と圧縮空気とを順次注入してパンクを応急的に修理するパンク修理用のキャップユニットｂが記載されている。
【０００３】
このキャップユニットｂは、コンプレッサｄからの圧縮空気をボトル容器ａ内に送り込む第１の流路ｅと、この圧縮空気の送り込みにより前記ボトル容器ａからパンク修理液と圧縮空気とを順次取り出す第２の流路ｆとを具えるキャップ本体ｇ、及び前記第１、第２の流路ｅ、ｆを同時に閉じる一つの内蓋ｈから構成される。
【０００４】
具体的には、前記キャップ本体ｇは、ボトル容器ａの口部ａ１を螺着する取付け凹部ｇ１の底面から立ち上がるボス部ｇ２を具え、このボス部ｇ２の上面には、前記第１、第２の流路ｅ、ｆの上開口部ｅ１、ｆ１が開口する。又前記内蓋ｈは、該ボス部ｇ２の外周面に嵌着される内蓋本体ｈａと、前記上開口部ｆ１に嵌着される栓軸部ｈｂとを一体に具える。
【０００５】
そして前記ボトルユニットｃは、使用前においては、前記内蓋ｈにより第１、第２の流路ｅ、ｆが閉止された状態で車載保管される。又パンク修理の際には、この状態の抽出キャップｂに配管を施してコンプレッサｄを作動させる。これにより、圧縮空気が第１の流路ｅをへて内蓋本体ｈａ内に流れ込み、その内圧上昇によって、前記内蓋ｈを自動的に取り外し第１、第２の流路ｅ、ｆを解放させるのである。
【０００６】
従って前記内蓋ｈでは、保管時には外れず、逆にパンク修理時には圧縮空気によって容易に外れることが必要である。そのために、前記内蓋ｈとキャップ本体ｇとの間の嵌め合い寸法の精度を高め、内蓋ｈとキャップ本体ｇとの間の嵌合力を高精度で管理することが要求される。
【０００７】
しかし従来構造では、前記内蓋本体ｈａと栓軸部ｈｂとの双方に嵌合バラツキが発生する。そのため嵌め合い寸法によりいっそう高い精度が要求され、歩留まり率の低下、及び製品検査工程での行程コストの上昇を招いている。
【０００８】
しかも従来構造では、前記内蓋本体ｈａの嵌合、及び栓軸部ｈｂの嵌合が同時に外れることが必要であり、例えば栓軸部ｈｂが先に外れかかって隙間が生じた場合、内蓋本体ｈａ内の圧縮空気がその隙間から第２の流路ｆに流出するため、内蓋本体ｈａの内圧が上昇しなくなる。逆に、内蓋本体ｈａが先に外れかかって隙間が生じた場合には、その隙間から圧縮空気がボトル容器ａ内に漏れ出してボトル容器ａ内の圧力が上昇するため、内蓋本体ｈａの内外の圧力差が減少する。その結果、何れの場合も内蓋ｈがボス部ｇ２から外れなくなる。このように、内蓋本体ｈａと栓軸部ｈｂとが同時に外れることが必要であり、このことも高精度が必要な要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開２００９−２３１２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
そこで本発明は、内蓋とキャップ本体との間の嵌め合いを不要とし、第１、第２の流路の開閉を確実に行いながら抽出キャップの歩留まり率の低下、及び製品検査工程の行程コストの上昇などを抑えうるパンク修理キットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記課題を解決するために、本願請求項１の発明は、圧縮空気を吐出させるコンプレッサ、
パンク修理液を収容したボトル容器の口部に、抽出キャップを取り付けたボトルユニット、
及び前記抽出キャップを下方に向けたボトルユニットの前記抽出キャップと前記コンプレッサとを互いに連結して一体固定しうる連結手段を具えるパンク修理キットであって、 前記抽出キャップは、前記コンプレッサからの圧縮空気をボトル容器内に第１の流路をへて取り込む取入れ口部と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器からパンク修理液と圧縮空気とを第２の流路をへて順次取り出す取出し口部と、前記連結手段による連結前の状態において前記第１、第２の流路を閉じる第１、第２の閉止手段とを具え、
しかも前記抽出キャップは、前記ボトル容器の口部に固定されかつ前記取入れ口部で一端が開口する導孔を有するキャップ本体と、このキャップ本体に上下に摺動可能に保持されるとともに前記導孔の他端に下端側が連なりかつ該導孔と協働して前記第１の流路を形成する中心孔を有する空気送給管とを具えるとともに、
前記第１の閉止手段は、前記空気送給管の上端に取り付き前記中心孔を塞ぐ封止シール体からなり、
かつ前記ボトル容器の底面に、下向きに突出し、前記連結に伴う空気送給管の持ち上げによって前記封止シール体を破って第１の流路を開放する開封突起を設けたことを特徴としている。
【００１２】
また請求項２では、前記キャップ本体は、前記ボトル容器の口部に上端が取り付く筒状部分の下端を底部分で継いだ胴部と、前記底部分から前記筒状部分と同心に立ち上がりかつ上端で前記導孔の他端が開口する基管部とを一体に具えるとともに、
前記空気送給管は、該基管部に上下に摺動可能に外挿保持されることを特徴としている。
【００１３】
また請求項３では、前記空気送給管は、その下端に、前記底部分を貫通して下方に突出してのびる突出片を具え、前記連結に伴い前記突出片がコンプレッサに当接することで該空気送給管が持ち上げられることを特徴としている。
【００１４】
また請求項４では、前記第２の流路は、前記空気送給管と筒状部分との間の間隙によって形成される環状の縦の流路部と、この縦の流路部に交点Ｐで連なりかつ該交点Ｐから前記取出し口部の先端開口部までのびる横の流路部とを具えるとともに、
前記筒状部分は、前記内孔が大径をなす大径壁部と、この大径壁部に段差部を介して下方側に連なる小径壁部とを具え、かつ前記大径壁部は前記交点Ｐよりも上方位置に形成されることを特徴としている。
【００１５】
また請求項５では、前記第２の閉止手段は、前記空気送給管に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部と当接することにより、前記交点Ｐよりも上方側、下方側で前記縦の流路を閉じる上下のシール部材を具えるとともに、前記上のシール部材は、前記空気送給管の押し上げにより前記段差部をこえて上方に移動したとき、前記大径壁部との間に隙間を形成して前記第２の流路を開くことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１６】
本発明は、コンプレッサとボトルユニットとを連結手段を用いて一体固定可能としている。そのため、不安定なボトルユニットをパンク修理現場にて安定して設置させることができ、パンク修理作業中のボトルユニットの転倒を防止できる。
【００１７】
又第１の流路形成用の空気送給管を、前記連結手段による連結に伴って上下に摺動しうるように保持させる。しかもこの空気送給管の上端を封止シール体からなる第１の閉止手段によって塞ぐとともに、ボトル容器の底面に、前記連結に伴う空気送給管の持ち上げによって前記封止シール体を破って第１の流路を開放する開封突起を設けている。
【００１８】
即ち、封止シール体を用いて第１の流路を確実に閉止しうるため、保管中等におけるパンク修理液の液漏れ、流出を防止しうる。又封止シール体は、開封突起が通破して破れることにより、第１の流路を確実に開放しうる。しかも前記通破が、前記連結に伴う空気送給管の持ち上げによって自動的に行われるため、作業ミス等の発生も排除しうる。
【００１９】
このように第１の流路の開閉を確実としながらも、従来のごとき内蓋とキャップ本体との間の嵌め合いが不要となるなど、この嵌め合いのための高い寸法精度の規制や管理がなくなり、抽出キャップの形成時の歩留まり率を高めうるとともに、製品検査工程での行程コストを低減しうる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明のパンク修理キットの連結前の状態を示す断面図である。
【図２】その主要部を拡大して示す部分断面図である。
【図３】パンク修理キットの連結状態を示す断面図である。
【図４】その主要部を拡大して示す部分断面図である。
【図５】（Ａ）、（Ｂ）は、開封突起の作用を示す断面図である。
【図６】抽出キャップの他の実施例を示す断面図である。
【図７】その連結状態を示す断面図である。
【図８】（Ａ）は抽出キャップ側連結部分を下方から見た下面図、（Ｂ）はコンプレッサ側連結部分を上方から見た上面図である。
【図９】従来の抽出キャップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図１は、本発明のパンク修理キット１の連結前の状態Ｙ１を示す断面図であって、本実施形態のパンク修理キット１は、圧縮空気を吐出させる圧縮空気吐出口部２を具えるコンプレッサ３、パンク修理液Ｔを収容したボトル容器４に抽出キャップ５を取り付けたボトルユニット６、及び前記抽出キャップ５を下方に向けたボトルユニット６の前記抽出キャップ５と前記コンプレッサ３とを互いに連結して一体固定しうる連結手段７を具える。
【００２２】
なお前記連結手段７は、前記コンプレッサ３に形成されるコンプレッサ側連結部分７Ａと、前記抽出キャップ５に形成される抽出キャップ側連結部分７Ｂとからなり、パンク修理の際、パンク修理現場において両者７Ａ、７Ｂを連結することにより、コンプレッサ３とボトルユニット６とを一体固定する。これにより、パンク修理作業中にボトルユニット６が転倒するのを防止できる。
【００２３】
前記コンプレッサ３は、例えばモータ、ピストン、シリンダなどを用いた周知構造の可動部を有し、本例では、その上面３Ｓ側に、前記圧縮空気吐出口部２およびコンプレッサ側連結部分７Ａが配される。
【００２４】
次に、前記ボトルユニット６は、ボトル容器４と抽出キャップ５とからなり、前記ボトル容器４は、パンク修理液Ｔを収容する有底の容器部４Ｂの下端に、小径円筒状の口部４Ａを突出している。
【００２５】
前記抽出キャップ５は、コンプレッサ３からの圧縮空気をボトル容器４内に第１の流路８をへて取り込む取入れ口部９と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器４からパンク修理液Ｔと圧縮空気とを第２の流路１０をへて順次取り出す取出し口部１１と、前記連結手段７による連結前の状態Ｙ１において前記第１、第２の流路８、１０を閉じる第１、第２の閉止手段１２、１３とを具える。
【００２６】
具体的には、本例の抽出キャップ５は、図２に拡大して示すように、キャップ本体１４と空気送給管１５とを含んで構成される。前記キャップ本体１４は、前記ボトル容器４の口部４Ａに上端が気密に取り付く筒状部分１６Ａと、その下端を継ぐ底部分１６Ｂとからなる胴部１６、及び前記底部分１６Ｂから立ち上がる基管部１７を一体に具える。なお前記基管部１７は、前記筒状部分１６Ａと同心に立ち上がり、又筒状部分１６Ａの内孔１６Ｈは、ボトル容器４内に連なる。
【００２７】
本例では、前記口部４Ａと筒状部分１６Ａとが、溶着によって固定される場合が示されるが、例えば接着剤を用いて固定しても良く、又螺着によって両者を固定する等、種々な方法が採用しうる。
【００２８】
又前記キャップ本体１４は、前記取入れ口部９で一端（下端）が開口する導孔２４を有し、この導孔２４の他端（上端）は、前記基管部１７の上端で開口している。
【００２９】
次に、前記空気送給管１５は、前記基管部１７に、上下に摺動可能に外挿保持される。なお前記基管部１７の外周には、空気送給管１５との間を気密にシールするＯリングなどのシールリング２７が取り付く。又空気送給管１５の中心孔１５Ｈは、その下端側が前記導孔２４の前記他端（上端）に連なり、該導孔２４と協働して前記第１の流路８を形成する。又空気送給管１５の下端には、前記底部分１６Ｂを貫通して下方に突出してのびる例えば３本の突出片１９が設けられ、この突出片１９は、前記連結手段７による連結に伴い本例ではコンプレッサ３の上面３Ｓと同一平面のノズル受け２６の上面と当接し、前記空気送給管１５を上方に押し上げうる。
【００３０】
そしてこの空気送給管１５には、前記第１、第２の閉止手段１２、１３が、一体移動可能に設けられる。
【００３１】
前記第１の閉止手段１２は、図５（Ａ）に拡大して示すように、前記空気送給管１５の上端に取り付き前記中心孔１５Ｈを塞ぐ封止シール体３４から形成される。この封止シール体３４としては、例えばポリエチレン系やポリプロピレン系等の合成樹脂フィルム、アルミニウムフィルム及びこれらを積層させたラミネートフィルムなどの種々のフィルム材料が好適に使用できる。
【００３２】
この封止シール体３４は、空気送給管１５の上端に溶着等により貼着される周囲部分３４Ａと、その内側のシール部分３４Ｂとを具え、本例では、前記シール部分３４Ｂが前記空気送給管１５の上端から下方に距離Ｌ１を隔てた位置に配される。
【００３３】
又前記ボトル容器４の底面４Ｂｓには、下向きに突出し、前記連結に伴う空気送給管１５の持ち上げによって前記封止シール体３４を破って第１の流路８を開放する開封突起３５が形成される。この開封突起３５は、下端を鋭利とした先細状（円錐形、三角錐形、四角錐形、三ツ矢状など種々の断面形状のものを含む。）をなし、図５（Ｂ）に示すように、前記封止シール体３４を通破して第１の流路８を開放しうる。本例では、前記連結前の状態Ｙ１（図５（Ａ））において、開封突起３５の下端は、前記空気送給管１５の上端よりも下方、かつシール部分３４Ｂよりも上方に位置している。これにより、保管時、振動などによって前記空気送給管１５の上端が開封突起３５の外側に位置ズレしてしまうのを防止している。
【００３４】
次に、前記第２の流路１０は、前記図２の如く、前記空気送給管１５と筒状部分１６Ａとの間の間隙によって形成される環状の縦の流路部１０Ａと、この縦の流路部１０Ａに交点Ｐで連なりかつ該交点Ｐから前記取出し口部１１の先端開口部１１Ａまでのびる横の流路部１０Ｂとを具える。なお前記取出し口部１１は、タイヤ側にパンク修理液Ｔ及び圧縮空気を注入するホース４０の接続部４１として、前記筒状部分１６Ａから外向きに突出して形成される。前記ホース４０は、前記筒状部分１６Ａの周囲に巻き付けられて保管される。
【００３５】
又前記筒状部分１６Ａの内壁面Ｗは、前記内孔１６Ｈが大径をなす大径壁部Ｗａと、この大径壁部Ｗａに段差部Ｗｂを介して下方側に連なる小径壁部Ｗｃとを具える。そして、前記大径壁部Ｗａは、前記交点Ｐよりも上方位置に形成される。従って、小径壁部Ｗｃは、前記段差部Ｗｂと交点Ｐとの間の上の小径壁部ＷｃＵと、交点Ｐよりも下方側の下の小径壁部ＷｃＬとに区分される。
【００３６】
前記第２の閉止手段１３は、前記空気送給管１５に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部Ｗｃと当接することにより、前記交点Ｐよりも上方側および下方側で前記縦の流路部１０Ａを閉じる上下のリング状のシール部材２０Ｕ、２０Ｌを具える。本例のシール部材２０Ｕ、２０Ｌは、所謂Ｏリングであって、前記空気送給管１５の外周に形成される周溝によって保持される。
【００３７】
この第２の閉止手段１３は、前記連結前の状態Ｙ１（図２に示す。）においては、上のシール部材２０Ｕが、上の小径壁部ＷｃＵと当接して、前記第２の流路１０を閉止し、パンク修理液Ｔが取出し口部１１側に流出するのを防止する。又、連結状態Ｙ２（図４に示す。）においては、前記突出片１９による前記空気送給管１５の押し上げにより、前記上のシール部材２０Ｕは、前記段差部Ｗｂをこえて上方に移動する。このとき、前記上のシール部材２０Ｕと大径壁部Ｗａとの間に隙間Ｇが形成され、これによって前記第２の流路１０を開くことができる。前記空気送給管１５の押し上げのストロークは５ｍｍ程度が好適である。
【００３８】
又本例の抽出キャップ５では、前記胴部１６の底部分１６Ｂに、前記取入れ口部９が形成されており、この取入れ口部９は、コンプレッサ３の前記圧縮空気吐出口部２と、ホースなどを介することなく直接接続される。
【００３９】
具体的には、前記圧縮空気吐出口部２と取入れ口部９との一方は、他方に向かって突出する接続ノズル２５からなり、かつ他方は、前記連結手段７による連結に伴い前記接続ノズル２５が挿入されて該接続ノズル２５と密に接続されるノズル受け２６から形成される。本例では、前記取入れ口部９が、前記底部分１６Ｂから下方に突出する接続ノズル２５として形成され、かつ前記圧縮空気吐出口部２がノズル受け２６として形成される場合が示される。
【００４０】
前記接続ノズル２５は、外径一定のノズル本体２５Ａの下端側に、先細コーン状のテーパ面部２５Ｂを具える。なおノズル本体２５Ａには、Ｏリングなどである例えば２本のシールリング２７が装着される。又前記ノズル受け２６は、前記シールリング２７を介してノズル本体２５Ａに気密に嵌合する嵌合孔部２６Ａの下端に、前記テーパ面部２５Ｂとほぼ同傾斜をなすテーパ面部２６Ｂを具える。このテーパ面部２５Ｂ、２６Ｂにより、接続ノズル２５とノズル受け２６とは、同心に位置合わせされる。
【００４１】
又前記連結手段７は、前述の如く、コンプレッサ側連結部分７Ａと抽出キャップ側連結部分７Ｂとからなり、前記抽出キャップ側連結部分７Ｂは、本例では、前記底部分１６Ｂから下方に向かってのびる複数本、例えば２本の係止爪３０からなる。この係止爪３０は、前記底部分１６Ｂに連なる主部３０Ａ先端に、略直角三角形状のフック部３０Ｂを外向きに突設している。他方、前記コンプレッサ側連結部分７Ａは、前記フック部３０Ｂに係合して抜け止めされる爪係合穴３１を具え、これにより、コンプレッサ３とボトルユニット６とは強固にかつワンタッチで連結される。本例の爪係合穴３１は、前記ノズル受け２６と一体形成されるフレーム枠３２に形成される。
【００４２】
然して、本実施形態のパンク修理キット１では、連結手段７を有し、不安定なボトルユニット６をコンプレッサ３に一体連結して固定しうるため、パンク修理作業中のボトルユニット６の転倒を防止できる。
【００４３】
又抽出キャップ５では、第１の流路８形成用の空気送給管１５を、前記連結手段７による連結に伴って上下に摺動可能に保持させている。しかも、この空気送給管１５上端の開口を封止シール体３４からなる第１の閉止手段１２によって塞ぐとともに、ボトル容器４の底面４Ｂｓに、前記封止シール体３４を破通しうる開封突起３５を設けている。即ち、封止シール体３４を用いて第１の流路８を確実に閉止しうるため、保管中等におけるパンク修理液Ｔの液漏れ、流出を防止しうる。又封止シール体３４は、開封突起３５が通破して破れるため第１の流路８を確実に開放しうる。しかも前記通破が、前記連結に伴う空気送給管１５の持ち上げによって自動的に行われるため、作業ミス等の発生も排除しうる。このように第１の流路８の開閉を確実としながらも、従来の如き内蓋とキャップ本体との間の嵌め合いが不要となるなど、この嵌め合いのための高い寸法精度の規制や管理がなくなる。そのため抽出キャップ５の形成時の歩留まり率を高めうるとともに、製品検査工程での行程コストを低減しうる。
【００４４】
又本例では、第２の閉止手段１３も、前記空気送給管１５に設けているため、圧縮空気の力を利用することなく、第１の流路８と第２の流路１０とを同時にかつ確実に開放させることができる。
【００４５】
又本例ではコンプレッサ３の圧縮空気吐出口部２と、抽出キャップ５の取入れ口部９とが直接接続されるため、空気供給側のホースを排除でき、パンク修理現場での配管作業を容易とし、かつ誤配管を防止することができる。
【００４６】
ここで、前記空気送給管１５の上端は、図１に示すように、前記装着状態Ｙ１におけるパンク修理液Ｔの液面Ｔｓよりも上方に位置させることが好ましい。その理由としては、もし第２の流路１０側が塞がれた状態でコンプレッサ３を作動してしまった場合、ボトル容器４内の圧力が異常に高まり、コンプレッサ３に脈動がある場合には、ボトル容器４のパンク修理液Ｔがコンプレッサ３側に逆流する恐れが生じる。従って、空気送給管１５の上端を液面Ｔｓよりも上方に位置させることで、前記トラブルを防止できる。なお第２の流路１０側が塞がれた状態とは、前記取出し口部１１に接続されるホース４０が折れて塞がった場合、或いは、前記ホース４０先端がキャップで塞がっている場合などがあり得る。
【００４７】
次に、図６〜８に、パンク修理キット１の他の実施例を示す。
本例のパンク修理キット１では、前記コンプレッサ３の圧縮空気吐出口部２と、抽出キャップ５の取入れ口部９とが、ホースを介して接続される場合が示される。
【００４８】
次に、図６〜８に、パンク修理キット１の他の実施例を示す。本例のパンク修理キット１では、前記コンプレッサ３の圧縮空気吐出口部２と、抽出キャップ５の取入れ口部９とが、ホース５０を介して接続される場合が示される。
【００４９】
本例では、前記取入れ口部９が、前記筒状部分１６Ａから外向きに突出するホース接続部４２として形成され、前記キャップ本体１４には、導孔２４が略Ｌ字状に形成される。
【００５０】
又前記抽出キャップ側連結部分７Ｂは、前記底部分１６Ｂから下方に突出する筒状の突出部４３を具える。この突出部４３は、上下に延びるスリット４４により、バネ弾性を有する複数本、本例では６本の突出片４５に分割される。このうち少なくとも２本、本例では３本の突出片４５は、その下端に略直角三角形状のフック部４６を外向きに突設した第１の突出片４５Ａとして形成され、残部はフック部４６のない第２の突出片４５Ｂとして形成される。
【００５１】
他方、前記コンプレッサ側連結部分７Ａは、前記筒状の突出部４３が嵌入する環状の連結溝４７として形成されるとともに、この連結溝４７の溝底４７Ａには、前記フック部４６と係合して抜け止めされる爪係合穴４８が形成される。ここで第１、第２の突出片４５Ａ、４５Ｂは、その外側面が、前記バネ弾性によって前記連結溝４７の内側面と圧接でき、かつ前記第２の突出片４５Ｂの下端が前記連結溝４７の溝底４７Ａに保持される。又前記第１の突出片４５Ａはその前記フック部４６が連結溝４７の爪係合穴４８と係合して抜け止めされる。これにより、コンプレッサ３とボトルユニット６とは強固にかつワンタッチで連結される。なお図中の符号４９Ａは、突出片４５に突設される位置決め用の突起であって、前記連結溝４７の内側面に設ける溝４９Ｂに挿入されることで、回転方向の位置決めが行われる。
【００５２】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【００５３】
１ パンク修理キット
３ コンプレッサ、
４ ボトル容器
４Ａ 口部
４Ｂｓ 底面
５ 抽出キャップ
６ ボトルユニット
７ 連結手段
８ 第１の流路
９ 取入れ口部
１０ 第２の流路
１０Ａ 縦の流路部
１０Ｂ 横の流路部
１１ 取出し口部
１２ 第１の閉止手段
１３ 第２の閉止手段
１４ キャップ本体
１５ 空気送給管
１５Ｈ 中心孔
１６ 胴部
１６Ａ 筒状部分
１６Ｂ 底部分
１６Ｈ 内孔
１７ 基管部
１９ 突出片
２０Ｕ、２０Ｌ 上下のシール部材
２４ 導孔
３４ 封止シール体
３５ 開封突起
Ｔ パンク修理液
Ｗａ 大径壁部
Ｗｂ 段差部
Ｗｃ 小径壁部
Ｙ１ 連結前の状態
【特許請求の範囲】
【請求項１】
圧縮空気を吐出させるコンプレッサ、
パンク修理液を収容したボトル容器の口部に、抽出キャップを取り付けたボトルユニット、
及び前記抽出キャップを下方に向けたボトルユニットの前記抽出キャップと前記コンプレッサとを互いに連結して一体固定しうる連結手段を具えるパンク修理キットであって、 前記抽出キャップは、前記コンプレッサからの圧縮空気をボトル容器内に第１の流路をへて取り込む取入れ口部と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器からパンク修理液と圧縮空気とを第２の流路をへて順次取り出す取出し口部と、前記連結手段による連結前の状態において前記第１、第２の流路を閉じる第１、第２の閉止手段とを具え、
しかも前記抽出キャップは、前記ボトル容器の口部に固定されかつ前記取入れ口部で一端が開口する導孔を有するキャップ本体と、このキャップ本体に上下に摺動可能に保持されるとともに前記導孔の他端に下端側が連なりかつ該導孔と協働して前記第１の流路を形成する中心孔を有する空気送給管とを具えるとともに、
前記第１の閉止手段は、前記空気送給管の上端に取り付き前記中心孔を塞ぐ封止シール体からなり、
かつ前記ボトル容器の底面に、下向きに突出し、前記連結に伴う空気送給管の持ち上げによって前記封止シール体を破って第１の流路を開放する開封突起を設けたことを特徴とするパンク修理キット。
【請求項２】
前記キャップ本体は、前記ボトル容器の口部に上端が取り付く筒状部分の下端を底部分で継いだ胴部と、前記底部分から前記筒状部分と同心に立ち上がりかつ上端で前記導孔の他端が開口する基管部とを一体に具えるとともに、
前記空気送給管は、該基管部に上下に摺動可能に外挿保持されることを特徴とする請求項１記載のパンク修理キット。
【請求項３】
前記空気送給管は、その下端に、前記底部分を貫通して下方に突出してのびる突出片を具え、前記連結に伴い前記突出片がコンプレッサに当接することで該空気送給管が持ち上げられることを特徴とする請求項２記載のパンク修理キット。
【請求項４】
前記第２の流路は、前記空気送給管と筒状部分との間の間隙によって形成される環状の縦の流路部と、この縦の流路部に交点Ｐで連なりかつ該交点Ｐから前記取出し口部の先端開口部までのびる横の流路部とを具えるとともに、
前記筒状部分は、前記内孔が大径をなす大径壁部と、この大径壁部に段差部を介して下方側に連なる小径壁部とを具え、かつ前記大径壁部は前記交点Ｐよりも上方位置に形成されることを特徴とする請求項２又は３記載のパンク修理キット。
【請求項５】
前記第２の閉止手段は、前記空気送給管に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部と当接することにより、前記交点Ｐよりも上方側、下方側で前記縦の流路を閉じる上下のシール部材を具えるとともに、前記上のシール部材は、前記空気送給管の押し上げにより前記段差部をこえて上方に移動したとき、前記大径壁部との間に隙間を形成して前記第２の流路を開くことを特徴とする請求項４記載のパンク修理キット。
【請求項１】
圧縮空気を吐出させるコンプレッサ、
パンク修理液を収容したボトル容器の口部に、抽出キャップを取り付けたボトルユニット、
及び前記抽出キャップを下方に向けたボトルユニットの前記抽出キャップと前記コンプレッサとを互いに連結して一体固定しうる連結手段を具えるパンク修理キットであって、 前記抽出キャップは、前記コンプレッサからの圧縮空気をボトル容器内に第１の流路をへて取り込む取入れ口部と、この圧縮空気の取り込みにより前記ボトル容器からパンク修理液と圧縮空気とを第２の流路をへて順次取り出す取出し口部と、前記連結手段による連結前の状態において前記第１、第２の流路を閉じる第１、第２の閉止手段とを具え、
しかも前記抽出キャップは、前記ボトル容器の口部に固定されかつ前記取入れ口部で一端が開口する導孔を有するキャップ本体と、このキャップ本体に上下に摺動可能に保持されるとともに前記導孔の他端に下端側が連なりかつ該導孔と協働して前記第１の流路を形成する中心孔を有する空気送給管とを具えるとともに、
前記第１の閉止手段は、前記空気送給管の上端に取り付き前記中心孔を塞ぐ封止シール体からなり、
かつ前記ボトル容器の底面に、下向きに突出し、前記連結に伴う空気送給管の持ち上げによって前記封止シール体を破って第１の流路を開放する開封突起を設けたことを特徴とするパンク修理キット。
【請求項２】
前記キャップ本体は、前記ボトル容器の口部に上端が取り付く筒状部分の下端を底部分で継いだ胴部と、前記底部分から前記筒状部分と同心に立ち上がりかつ上端で前記導孔の他端が開口する基管部とを一体に具えるとともに、
前記空気送給管は、該基管部に上下に摺動可能に外挿保持されることを特徴とする請求項１記載のパンク修理キット。
【請求項３】
前記空気送給管は、その下端に、前記底部分を貫通して下方に突出してのびる突出片を具え、前記連結に伴い前記突出片がコンプレッサに当接することで該空気送給管が持ち上げられることを特徴とする請求項２記載のパンク修理キット。
【請求項４】
前記第２の流路は、前記空気送給管と筒状部分との間の間隙によって形成される環状の縦の流路部と、この縦の流路部に交点Ｐで連なりかつ該交点Ｐから前記取出し口部の先端開口部までのびる横の流路部とを具えるとともに、
前記筒状部分は、前記内孔が大径をなす大径壁部と、この大径壁部に段差部を介して下方側に連なる小径壁部とを具え、かつ前記大径壁部は前記交点Ｐよりも上方位置に形成されることを特徴とする請求項２又は３記載のパンク修理キット。
【請求項５】
前記第２の閉止手段は、前記空気送給管に一体移動可能に設けられかつ前記小径壁部と当接することにより、前記交点Ｐよりも上方側、下方側で前記縦の流路を閉じる上下のシール部材を具えるとともに、前記上のシール部材は、前記空気送給管の押し上げにより前記段差部をこえて上方に移動したとき、前記大径壁部との間に隙間を形成して前記第２の流路を開くことを特徴とする請求項４記載のパンク修理キット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
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【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
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【公開番号】特開２０１３−６７０１４（Ｐ２０１３−６７０１４Ａ）
【公開日】平成２５年４月１８日（２０１３．４．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２０４９６９（Ｐ２０１１−２０４９６９）
【出願日】平成２３年９月２０日（２０１１．９．２０）
【出願人】（０００１８３２３３）住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年４月１８日（２０１３．４．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年９月２０日（２０１１．９．２０）
【出願人】（０００１８３２３３）住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Ｆターム（参考）】
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