説明

パントエア属によるカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法

【課題】ヘミアセタール水酸基を有する糖質を安全かつ効率的にカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩へ変換させる方法を提供する。
【解決手段】ヘミアセタール水酸基を有する糖質に、パントエア属に属する微生物あるいはその微生物の培養液又はその微生物が産生する酵素を作用させることにより、対応するカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パントエア属による微生物を用いたカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコースのヘミアセタール水酸基を酸化することで得られるカルボン酸の一つであるグルコン酸は、単糖でありながらビフィズス菌増殖選択性を持つ機能性等を有しているだけでなく、カルシウムなどの無機カチオンと安定な塩を形成する特徴を持つことから、ミネラル補強剤として利用されている。しかしながら溶液安定性が悪く、高濃度下で保存すると析出してしまう欠点があった。
【0003】
これら欠点を補う素材として、グルコン酸にグルコースが付加した糖カルボン酸の一つであるマルトビオン酸が挙げられる。このようにヘミアセタール水酸基を有する糖質を酸化することで、多くの機能性物質が得られることが期待される。
【0004】
グルコースを原料としグルコン酸を得る手法としては、グルコースオキシダーゼを用いた酵素法(例えば、特許第3910213号公報)や、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)による発酵法が広く知られており、利用されている。しかしながら、これら手法はグルコースに特異的であり、これ以外の糖には殆ど作用しない。
【0005】
一方、グルコース以外にヘミアセタール水酸基を有する糖質であるガラクトース、マンノース、マルトース、セロビオース、ラクトースなどを酸化することが出来る微生物として、アシネトバクター属やブルクホルデリア属などの微生物を用いた方法が知られている(例えば、特開2001−245657号公報)。しかしながら、アシネトバクター属やブルクホルデリア属などの微生物は安全性が十分に担保された菌株とはいえず、これらの微生物を用いて生産したカルボン酸や糖カルボン酸を食品や飼料用途に用いることには問題がある。このため、グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖質も容易にかつ安全性の担保された方法で酸化するカルボン酸及び/又は糖カルボン酸の製造方法が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、アルドースなどの糖質を安全かつ効率的にアルドン酸などの酸へ変換させる方法を提供することにある。
【0007】
より詳細には、本発明の目的は、ヘミアセタール水酸基を有する糖質を安全かつ効率的にカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩へ変換させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、パントエア属に属する微生物によるカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造法を見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明者らは、パントエア属に属する微生物を使用することにより、ヘミアセタール水酸基を有する糖質が、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩へ変換されることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
【0011】
第一に、パントエア属に属する微生物を使用することを特徴とする、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法である。
第二に、ヘミアセタール水酸基を有する糖質に、パントエア属に属する微生物あるいはその微生物の培養液又はその微生物が産生する酵素を作用させ、対応するカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法である。
第三に、ヘミアセタール水酸基を有する糖質を炭素源とした培地で培養することで生育させたパントエア属に属する微生物の菌体、菌体処理物、若しくは該菌体固定化物を、ヘミアセタール水酸基を有する糖質溶液に接触させることを特徴とする、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法である。
第四に、前記パントエア属に属する微生物が、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、パントエア・ユウカリプティ(Pantoea eucalypti)、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)、パントエア・アントフィラ(Pantoea anthophila)、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)、パントエア・デレイ(Pantoea deleyi)、パントエア・ディスペルサ(Panotea dispersa)、パントエア・パンクタータ(Pantoea punctata)、パントエア・ステワルティイ(Pantoea stewartii)、パントエア・テレア(Pantoea terrea)、またはパントエア・バガンス(Pantoea vagans)であることを特徴とする、上記第一から第三の何れか一つに記載のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法である。
第五に、前記パントエア属に属する微生物が、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)NBRC102470(=JCM1236=ATCC27155=LMG1286)、NBRC12686、JCM20215、JCM20219からなる群から選択されることを特徴とする、上記第一から第三の何れか一つに記載のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれら塩の製造方法である。
第六に、前記ヘミアセタール水酸基を有する糖質が、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、L−アラビノース、L−ラムノース、ラクトース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、メリビオース、ニゲロース、コージビオース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトヘキサオース、パノース、マルトオリゴ糖、水飴、粉飴、デキストリンからなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする、上記第二から第五の何れか一つに記載のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法である。
第七に、前記カルボン酸又は前記糖カルボン酸が、グルコン酸、マンノン酸、ガラクトン酸、キシロン酸、アラボン酸、ラムノン酸、ラクトビオン酸、セロビオン酸、セロトリオン酸、セロテトラオン酸、メリビオン酸、ニゲロビオン酸、コージビオン酸、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、パノース酸化物、マルトオリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物、デキストリン酸化物からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする、上記第一から第六の何れか一つに記載のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法である。
【0012】
なお、カルボン酸塩や糖カルボン酸塩は、それぞれ、既知の脱塩方法で容易にカルボン酸や糖カルボン酸への調製が可能である。
【0013】
また、原料糖としてヘミアセタール水酸基を有する糖質を二種類以上同時に用いることにより、複数のカルボン酸又は複数の糖カルボン酸、又はカルボン酸と糖カルボン酸を同時に製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヘミアセタール水酸基を有する糖質を安全かつ効率的にカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩へ変換させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】培養液中へ蓄積したマルトビオン酸量の経時変化を示した図。
【図2】培養液中へ蓄積したラクトビオン酸量の経時変化を示した図。
【図3】培養液中へ蓄積したマルトビオン酸量の経時変化を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明においてヘミアセタール水酸基を有する糖質とは、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、L−アラビノース、L−ラムノース、ラクトース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、メリビオース、ニゲロース、コージビオース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトヘキサオース、パノース、マルトオリゴ糖、水飴、粉飴、デキストリン等が挙げられる。
【0018】
本発明においてカルボン酸とは、前記ヘミアセタール水酸基を有する糖質のアルデヒド基が酸化されたものを言い、さらにこれらの塩の形態も含む。具体例としては、グルコン酸、グルコン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸鉄、
グルコン酸銅、グルコン酸マグネシウム、マンノン酸、マンノン酸カルシウム、マンノン酸ナトリウム、マンノン酸カリウム、マンノン酸鉄、マンノン酸銅、マンノン酸マグネシウム、ガラクトン酸、ガラクトン酸カルシウム、ガラクトン酸ナトリウム、ガラクトン酸カリウム、ガラクトン酸鉄、ガラクトン酸銅、ガラクトン酸マグネシウム、キシロン酸、キシロン酸カルシウム、キシロン酸ナトリウム、キシロン酸カリウム、キシロン酸鉄、キシロン酸銅、キシロン酸マグネシウム、アラボン酸、アラボン酸カルシウム、アラボン酸ナトリウム、アラボン酸カリウム、アラボン酸鉄、アラボン酸銅、アラボン酸マグネシウム、ラムノン酸、ラムノン酸カルシウム、ラムノン酸ナトリウム、ラムノン酸カリウム、ラムノン酸鉄、ラムノン酸銅、ラムノン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0019】
本発明において糖カルボン酸とは、前記ヘミアセタール水酸基を有する2糖類以上の糖質の還元末端側のアルデヒド基が酸化されたものを言い、さらにこれらの塩の形態も含む。具体例としては、ラクトビオン酸、ラクトビオン酸カルシウム、ラクトビオン酸ナトリウム、ラクトビオン酸カリウム、ラクトビオン酸鉄、ラクトビオン酸銅、ラクトビオン酸マグネシウム、セロビオン酸、セロビオン酸カルシウム、セロビオン酸ナトリウム、セロビオン酸カリウム、セロビオン酸鉄、セロビオン酸銅、セロビオン酸マグネシウム、セロトリオン酸、セロトリオン酸カルシウム、セロトリオン酸ナトリウム、セロトリオン酸カリウム、セロトリオン酸鉄、セロトリオン酸銅、セロトリオン酸マグネシウム、セロテトラオン酸、セロテトラオン酸カルシウム、セロテトラオン酸ナトリウム、セロテトラオン酸カリウム、セロテトラオン酸鉄、セロテトラオン酸銅、セロテトラオン酸マグネシウム、メリビオン酸、メリビオン酸カルシウム、メリビオン酸ナトリウム、メリビオン酸カリウム、メリビオン酸鉄、メリビオン酸銅、メリビオン酸マグネシウム、ニゲロビオン酸、ニゲロビオン酸カルシウム、ニゲロビオン酸ナトリウム、ニゲロビオン酸カリウム、ニゲロビオン酸鉄、ニゲロビオン酸銅、ニゲロビオン酸マグネシウム、コージビオン酸、コージビオン酸カルシウム、コージビオン酸ナトリウム、コージビオン酸カリウム、コージビオン酸鉄、コージビオン酸銅、コージビオン酸マグネシウム、マルトビオン酸、マルトビオン酸カルシウム、マルトビオン酸ナトリウム、マルトビオン酸カリウム、マルトビオン酸鉄、マルトビオン酸銅、マルトビオン酸マグネシウム、イソマルトビオン酸、イソマルトビオン酸カルシウム、イソマルトビオン酸ナトリウム、イソマルトビオン酸カリウム、イソマルトビオン酸鉄、イソマルトビオン酸銅、イソマルトビオン酸マグネシウム、マルトトリオン酸、マルトトリオン酸カルシウム、マルトトリオン酸ナトリウム、マルトトリオン酸カリウム、マルトトリオン酸鉄、マルトトリオン酸銅、マルトトリオン酸マグネシウム、イソマルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸カルシウム、イソマルトトリオン酸ナトリウム、イソマルトトリオン酸カリウム、イソマルトトリオン酸鉄、イソマルトトリオン酸銅、イソマルトトリオン酸マグネシウム、マルトテトラオン酸、マルトテトラオン酸カルシウム、マルトテトラオン酸ナトリウム、マルトテトラオン酸カリウム、マルトテトラオン酸鉄、マルトテトラオン酸銅、マルトテトラオン酸マグネシウム、マルトヘキサオン酸、マルトヘキサオン酸カルシウム、マルトヘキサオン酸ナトリウム、マルトヘキサオン酸カリウム、マルトヘキサオン酸鉄、マルトヘキサオン酸銅、マルトヘキサオン酸マグネシウム、パノース酸化物、パノース酸化カルシウム塩、パノース酸化ナトリウム塩、パノース酸化カリウム塩、パノース酸化鉄塩、パノース酸化銅塩、パノース酸化マグネシウム塩、マルトオリゴ糖酸化物、マルトオリゴ糖酸化カルシウム塩、マルトオリゴ糖酸化ナトリウム塩、マルトオリゴ糖酸化カリウム塩、マルトオリゴ糖酸化鉄塩、マルトオリゴ糖酸化銅塩、マルトオリゴ糖酸化マグネシウム塩、水飴酸化物、水飴酸化カルシウム塩、水飴酸化ナトリウム塩、水飴酸化カリウム塩、水飴酸化鉄塩、水飴酸化銅塩、水飴酸化マグネシウム塩、粉飴酸化物、粉飴酸化カルシウム塩、粉飴酸化ナトリウム塩、粉飴酸化カリウム塩、粉飴酸化鉄塩、粉飴酸化銅塩、粉飴酸化マグネシウム塩、デキストリン酸化物、デキストリン酸化カルシウム塩、デキストリン酸化ナトリウム塩、デキストリン酸化カリウム塩、デキストリン酸化鉄塩、デキストリン酸化銅塩、デキストリン酸化マグネシウム塩等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いるパントエア属は、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、パントエア・ユウカリプティ(Pantoea eucalypti)、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)、パントエア・アントフィラ(Pantoea anthophila)、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)、パントエア・デレイ(Pantoea deleyi)、パントエア・ディスペルサ(Panotea dispersa)、パントエア・パンクタータ(Pantoea punctata)、パントエア・ステワルティイ(Pantoea stewartii)、パントエア・テレア(Pantoea terrea)、パントエア・バガンス(Pantoea vagans)などが挙げられ、自然界から分離しても良いが、LMGカルチャーコレクション、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NBRC)、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター(JCM)やアメリカン・タイプカルチャー・コレクション(ATCC)より分譲菌などを入手することが可能である。
【0021】
例えば、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)LMG132、LMG1286(=JCM1236=ATCC27155=NBRC102470)、LMG2101、LMG2102、LMG2103、LMG2553(ATCC13329)、LMG2554、LMG2555、LMG2557、LMG2562、LMG2563、LMG2564、LMG2565(=ATCC33243)、LMG2567、LMG2568、LMG2569、LMG2570、LMG2571、LMG2572、LMG2573、LMG2574、LMG2576、LMG2578、LMG2579、LMG2580、LMG2581、LMG2582、LMG2583、LMG2584、LMG2585、LMG2587、LMG2590、LMG2591、LMG2592、LMG2593、LMG2594、LMG2595、LMG2596、LMG2639、LMG2659(=ATCC23375)、LMG2660(=ATCC33261)、LMG2661、LMG2662、LMG2732、LMG2733、LMG2734、LMG2737、LMG2740、LMG2741、LMG2742、LMG2743、LMG2744、LMG2745、LMG2746、LMG2764、LMG2936、LMG2941、LMG2942、LMG2990、ATCC12287(=JCM20143)、ATCC1340、ATCC14537、ATCC23372、ATCC23374、ATCC43348、ATCC49008、ATCC49010、ATCC49011、ATCC49012、ATCC49013、ATCC49014、ATCC49016、ATCC49017、ATCC49018、ATCC49019、ATCC49020、ATCC49021、ATCC49022、ATCC49174、NBRC12686、JCM20215、JCM20219、パントエア・ユウカリプティ(Pantoea eucalypti)LMG24197、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)LMG2628(=ATCC23822=ATCC23988)、LMG2629、LMG2664、LMG2665(=ATCC33244)、LMG2666、LMG2667、LMG2668、LMG2669、LMG2670、LMG2672(=ATCC11530)、LMG2675、LMG2676(=ATCC19321)、LMG2677、LMG2678、LMG2679、LMG2680、LMG2681、LMG2682、LMG2807、LMG5255、LMG5256、LMG5257、LMG5258、LMG5342(=ATCC29920)、LMG20103、LMG20104、LMG20105、LMG20106、ATCC13531、ATCC114536、ATCC23637、ATCC35400、パントエア・アントフィラ(Pantoea anthophila)LMG2558、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)LMG22049(=ATCC31623=JCM8882)、LMG23359、LMG23360、ATCC39140、ATCC39141、パントエア・デレイ(Pantoea deleyi)LMG24200、パントエア・ディスペルサ(Panotea dispersa)LMG2601、LMG2602、LMG2603、LMG2604、LMG2605、LMG2748、LMG2749、LMG2769、LMG2770、LMG5344(=ATCC29922)、パントエア・パンクタータ(Pantoea punctata)LMG22050(=ATCC31626)、LMG22097(=ATCC31624)、LMG22098(=ATCC31625)、LMG23362、LMG23363(=ATCC31627)、パントエア・ステワルティイ(Pantoea stewartii)LMG2630、LMG2631、LMG2632、LMG2633、LMG2634、LMG2635、LMG2671、LMG2673、LMG2674、LMG2712、LMG2713、LMG2714、LMG2715(=ATCC8199)、LMG2716、LMG2717、LMG2718(=ATCC15367=ATCC8200)、LMG2719、ATCC29227、ATCC29228、ATCC29229、ATCC29230、ATCC29231、ATCC35396、ATCC35397、ATCC35398、ATCC35399、ATCC51785、パントエア・テレア(Pantoea terrea)LMG22051(=ATCC31628=JCM8887)、LMG22099、LMG22100、LMG22706、LMG23364(=ATCC31629=JCM8888)、LMG23365(=ATCC31630=JCM8889)、LMG23366(=ATCC31631=JCM8890)、ATCC31624(=JCM8883)、ATCC31625(=JCM8884)、ATCC31626(=JCM8885)、ATCC31627(=JCM8885)、パントエア・バガンス(Pantoea vagans)LMG24199、パントエアsp. LMG2727、LMG2728、LMG2729、LMG2736、LMG2989、JCM14682などが挙げられる。
【0022】
これら微生物としては、野生株または変異株のいずれを使用しても良いし、細胞融合もしくは遺伝子操作などの遺伝学的手法により誘導される組み換え株等も用いることができる。
【0023】
本発明の第一のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法としては、ヘミアセタール水酸基を有する糖質を炭素源に含有する培地でパントエア属の微生物を培養することにより培養液中にカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を蓄積させ、該培養液からカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を分離するものである。
【0024】
本発明のパントエア属の微生物に用いられる培地成分としては、炭素源として、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、L−アラビノース、L−ラムノース、ラクトース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、メリビオース、ニゲロース、コージビオース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトヘキサオース、パノース、マルトオリゴ糖、水飴、粉飴、デキストリンからなる群から選択された少なくとも一つ以上の糖質などが挙げられる。炭素源の添加量としては、一般的に10〜500g/Lで、より好ましくは10〜300g/Lである。
【0025】
窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素化合物ならびに尿素等を用いることができる。もしくは、アミノ酸、コーンスティープリカー、乾燥酵母、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、スキムミルクなどの有機窒素源を用いても良い。
【0026】
所望により、第一リン酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化コバルトなどの無機塩を使用することができる。また、必要な場合、特に培地が著しく発泡する場合には、液状パラフィン、高級アルコール、植物油、鉱物油、シリコーンなどの消泡剤を添加してもよい。
【0027】
必要に応じて、各種ビタミン類などのさらなる成分を培地に添加してもよい。その他、ミネラル成分、ビタミン成分等添加しても良い。
【0028】
培養液の攪拌及び通気は種々の方法で行なうことができる。
【0029】
本発明の方法におけるパントエア属の微生物の培養は、嫌気的条件下に行っても良いが、好ましくは好気的条件下で行われる。好気的条件とは、分子状酸素の存在下での培養をいう。酸素供給などのために、攪拌、通気、振盪などを行なっても良い。
【0030】
攪拌は、プロペラまたはこれに類似する機械的攪拌装置の使用、ファーメンタの回転または振盪、種々のポンプ装置の使用等により行なうことができる。また、通気は、例えば、滅菌エアーを培養液中へ通過させることによって行なうことができ、この場合、通気操作により攪拌の効果も得ることが可能である。
【0031】
液体培地で培養する場合、回分培養(batch culture)、流加培養(fed batch culture)、連続培養(continuous culture)などの培養方法を適宜選択して用いることができる。
【0032】
培養条件は、本発明で用いるパントエア属の微生物の培養に適したものであれば良い。例えば、培養温度は、10℃〜45℃、好ましくは20℃〜37℃である。培地のpHは、pH3.0〜9.0、好ましくはpH5.0〜7.0である。カルボン酸及び/又は糖カルボン酸の生成に伴い、培地のpHが低下する場合があるので、必要に応じて、培養中に炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などのアルカリを添加して、培地のpHをこれらの範囲内に調整しても良い。
【0033】
上記条件で適宜培養を行うと、培養から1日〜12日間でカルボン酸、糖カルボン酸及び/又はそれらの塩が蓄積された培養液を得ることが出来る。得られた培養液は、遠心分離や膜濾過等で菌体を取り除くことで、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を含有した培養物として利用して良いし、該培養物よりエタノール沈殿、活性炭・イオン交換樹脂によるクロマトグラフィー、電気透析、膜分離等の処理を行うことで、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を単離精製しても良い。
【0034】
本発明の第二のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法としては、グルコース、マルトース、ラクトース、セロビオースなどのヘミアセタール水酸基を有する糖質に上記記載のパントエア属の微生物菌体を接触させ、菌体内に存在していた酵素によりヘミアセタール水酸基を有する糖質のアルデヒド基を酸化しカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を生成させる方法である。
【0035】
本発明の方法で用いるパントエア属の微生物は、菌体そのまま、または菌体処理物、或いはそれらの固定化物という形で使用しても良い。
【0036】
ここで、菌体処理物とは、菌体破砕物、または培養物(菌体、培養上清を含む)から抽出した酵素などをいう。菌体処理物としては、例えば、培養して得られた菌体を有機溶媒(アセトン、エタノール等)処理したもの、凍結乾燥処理したもの、もしくはアルカリ処理したもの、または、菌体を物理的もしくは酵素的に破砕したもの、または、これらのものから分離・抽出された粗酵素等を挙げることができる。
【0037】
具体的には、培養物から遠心分離等により細胞を集めた後、これを超音波処理、フレンチプレス処理等の物理的破砕法又は界面活性剤若しくはリゾチーム等の溶菌酵素を用いる化学的破砕法等によって破砕する。得られた破砕液から遠心分離、メンブレンフィルター濾過等により不純物を除去することにより無細胞抽出液を調製し、これを陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー等の分離精製方法を適宜用いて分画することによって、酵素などを精製することができる。
【0038】
クロマトグラフィーに使用する担体としては、例えば、カルボキシメチル(CM)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、フェニル基若しくはブチル基を導入したセルロース、デキストリン又はアガロース等の不溶性高分子担体が挙げられる。市販の担体充填済カラムを用いることもできる。菌体の破砕および酵素の抽出は、前記の方法の他に、当業者に公知の方法で行うこともできる。
【0039】
菌体、菌体処理物、またはそれらの固定化物をヘミアセタール水酸基を有する糖質に接触させる方法の例としては以下が挙げられる。
【0040】
菌体や菌体処理物を用いてヘミアセタール水酸基を有する糖質からカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を製造する方法としては、パントエア属の微生物の菌体をヘミアセタール水酸基を有する糖質を含む基質液に懸濁し、反応させる方法を例示することができる。菌体は、本発明のパントエア属の微生物を培養した後、遠心分離や膜濾過等を行なうことにより得ることができる。基質液中のヘミアセタール水酸基を有する糖質の濃度は0.01〜50重量%程度が好ましい。反応温度は、通常、10℃〜50℃、好ましくは20℃〜40℃である。反応液のpHは、通常、pH3.0〜9.0、好ましくはpH5.0〜pH7.0である。カルボン酸及び/又は糖カルボン酸の生成に伴い、培地のpHが低下する場合があるので、必要に応じて、培養中に炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などのアルカリを添加して、培地のpHをこれらの範囲内に調整する。
【0041】
菌体等の固定化物を用いてヘミアセタール水酸基を有する糖質からカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を製造する方法としては、細菌の菌体等の固定化物をカラムに充填し、ヘミアセタール水酸基を有する糖質を含む基質液を流通させる方法を例示することができる。細菌の菌体や菌体処理物は、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の産生細菌を培養した後、遠心分離等を行なうことにより得ることができる。
【0042】
菌体等を固定化する方法としては、ゲルにより包括固定化する手段、イオン交換体を担持させて固定化する手段などを例示することができる。使用するゲルとしては、例えば、カラギーナンゲル、寒天ゲル、マンナンゲル、ポリビニルアルコールゲル、ポリアクリルアミドゲル等を挙げることができる。ゲル球の大きさは、ゲルの種類により異なるが、直径1〜10mm程度が適当である。また、イオン交換体としては、例えば、セルロース系、スチレンジビニルベンゼン系、フェノールホルマリン系などのイオン交換体を挙げることができる。
【0043】
基質液中のヘミアセタール水酸基を有する糖質の濃度は0.01〜50重量%程度が好ましい。また、当該溶液中には、メルカプトエタノール、システイン、グルタチオンなどのSH化合物、亜硫酸塩などの還元剤、マグネシウムイオン、マンガンイオンなどの酵素活性化剤を添加することもできる。流通させる溶液の速度は、カラムの大きさ、固定化物の量により異なるが、溶液を処理する速度の指標である空間速度(ml/ml樹脂・hr)は、0.05〜10が適当である。
【0044】
カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の分離および精製は、従来公知の方法に準じて実施され得る。カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の分離、精製方法としては、例えば、溶媒抽出法、イオン交換クロマトグラフィー法、不溶化処理による分別沈殿法、結晶化による分別結晶法、逆浸透膜による膜分離法及び濃縮晶析法等などが挙げられる。
【0045】
具体的には、例えば、培養終了後の培養液をろ過または遠心分離により培養上清を得、当該培養上清にエタノールを添加して、目的産物を沈殿し回収する方法や、あるいは当該培養上清を必要により、酸処理やイオン交換樹脂による脱塩処理した後、活性炭等を用いて精製してもよい。しかしながら、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の分離および精製方法はそれらに限定されない。
【0046】
本発明を以下の実施例によって例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(カルボン酸及び糖カルボン酸の定量)
実施例において、培養液或いは反応液のカルボン酸や糖カルボン酸の定量は、Dionex社の糖分析システムDX500(パルスドアンペロメトリー検出器、CarboPac PA1カラム)を用い、溶出は35℃、1.0ml/min、水酸化ナトリウム濃度:100mM、酢酸ナトリウム濃度:0分−0mM、5分−0mM、10分−40mM、30分−50mMの条件で行った。
【実施例1】
【0048】
(マルトビオン酸カルシウムの発酵生産)
121℃で20分間殺菌した10%グルコース、1%ペプトン、1%酵母エキス(pH6.8)を含む培地5mLへ、表1記載の菌株を1白金耳接種し、30℃で一晩振とう培養(175rpm)を行った後、121℃で20分間殺菌した10%マルトース、1%ペプトン、1%酵母エキス、1%炭酸カルシウム(pH6.8)を含む培地100mLへ、前記培養液を菌体濃度がOD660nm=1になるよう接種し、30℃で3日間振とう培養(175rpm)を行った。培養液中へ蓄積したマルトビオン酸量を表1に示した。
【0049】
【表1】

【0050】
この結果から、ヘミアセタール水酸基を有する糖質を糖カルボン酸に変換するために、パントエア属に属する微生物が有効に利用できることがわかる。
【実施例2】
【0051】
(マルトビオン酸カルシウムの発酵生産)
121℃で20分間殺菌した10%グルコース、1%ペプトン、1%酵母エキス(pH6.8)を含む培地5mLへ、パントエア・アグロメランスJCM20219を1白金耳接種し、30℃で一晩振とう培養(175rpm)を行った後、121℃で20分間殺菌した10%マルトース、1%ペプトン、1%酵母エキス、1%炭酸カルシウム(pH6.8)を含む培地100mLへ、前記培養液を菌体濃度がOD660nm=1になるよう接種し、30℃で振とう培養(175rpm)を行った。培養液中へ蓄積したマルトビオン酸量の経時変化を図1に示した。
【0052】
この結果から、パントエア属に属する微生物により、効率的な糖カルボン酸の発酵生産が可能なことがわかる。
【実施例3】
【0053】
(ラクトビオン酸カルシウムの発酵生産)
121℃で20分間殺菌した10%ラクトース、1%ペプトン、1%酵母エキス(pH6.8)を含む培地5mLへ、パントエア・アグロメランスJCM20219を1白金耳接種し、30℃で一晩振とう培養(175rpm)を行った後、121℃で20分間殺菌した10%ラクトース、1%ペプトン、1%酵母エキス、1%炭酸カルシウム(pH6.8)を含む培地100mLへ、前記培養液を菌体濃度がOD660nm=1になるよう接種し、30℃で振とう培養(175rpm)を行った。培養液中へ蓄積したラクトビオン酸量の経時変化を図2に示した。
【0054】
この結果から、パントエア属に属する微生物により、効率的な糖カルボン酸の発酵生産が可能なことがわかる。
【実施例4】
【0055】
(菌体反応による各種カルボン酸又は糖カルボン酸生産)
121℃で20分間殺菌した10%グルコース、1%ペプトン、1%酵母エキス(pH6.8)を含む培地5mLへ、パントエア・アグロメランスJCM20219を1白金耳接種し、30℃で一晩振とう培養(175rpm)を行った後、前記培養液を菌体濃度がOD660nm=10になるよう接種し、30℃で3日間振とう培養(175rpm)を行った。この培養液を遠心し菌体を回収した。前記菌体を10%濃度の各々13種類の糖質(D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、L−アラビノース、マルトース、イソマルトース、ニゲロース、コージビオース、ラクトース、セロビオース、メリビオース、マルトトリオース)及び1%炭酸カルシウムを含む溶液1mLへ添加し、30℃で3日間とう培養(175rpm)を行った。反応液中の各種カルボン酸又は糖カルボン酸量を定量し、算出した変換率を表2に示した。
【0056】
【表2】

【0057】
この結果から、パントエア属に属する微生物により、ヘミアセタール水酸基を有する糖質をカルボン酸又は糖カルボン酸に効率的に変換できることがわかる。
【実施例5】
【0058】
(マルトビオン酸カルシウムの発酵生産)
121℃で20分間殺菌した10%マルトース、1%ペプトン、1%酵母エキス(pH6.8)を含む培地5mLへ、パントエア・ユウカリピィティMA93を1白金耳接種し、30℃で一晩振とう培養(175rpm)を行った後、121℃で20分間殺菌した10%マルトース、1%ペプトン、1%酵母エキス、1%炭酸カルシウム(pH6.8)を含む培地100mLへ、前記培養液を菌体濃度がOD660nm=1になるよう接種し、30℃で振とう培養(175rpm)を行った。培養液中へ蓄積したマルトビオン酸量の経時変化を図3に示した。
【0059】
この結果から、パントエア属に属する微生物により、効率的な糖カルボン酸の発酵生産が可能なことがわかる。
【実施例6】
【0060】
(菌体反応による各種カルボン酸又は糖カルボン酸生産)
121℃で20分間殺菌した10%グルコース、1%ペプトン、1%酵母エキス(pH6.8)を含む培地5mLへ、パントエア・ユウカリピィティMA93を1白金耳接種し、30℃で一晩振とう培養(175rpm)を行った後、前記培養液を菌体濃度がOD660nm=10になるよう接種し、30℃で3日間振とう培養(175rpm)を行った。この培養液を遠心し菌体を回収した。前記菌体を10%濃度の各々13種類の糖質(D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、L−アラビノース、マルトース、イソマルトース、ニゲロース、コージビオース、ラクトース、セロビオース、メリビオース、マルトトリオース)及び1%炭酸カルシウムを含む溶液1mLへ添加し、30℃で2日間とう培養(175rpm)を行った。反応液中の各種カルボン酸又は糖カルボン酸量の定量し、算出した変換率を表3に示した。
【0061】
【表3】

【0062】
この結果から、パントエア属に属する微生物により、ヘミアセタール水酸基を有する糖質をカルボン酸又は糖カルボン酸に効率的に変換できることがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特許第3910213号公報
【特許文献2】特開2001−245657号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パントエア属に属する微生物を使用することを特徴とする、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法。
【請求項2】
ヘミアセタール水酸基を有する糖質に、パントエア属に属する微生物あるいはその微生物の培養液又はその微生物が産生する酵素を作用させ、対応するカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法。
【請求項3】
ヘミアセタール水酸基を有する糖質を炭素源とした培地で培養することで生育させたパントエア属に属する微生物の菌体、菌体処理物、若しくは該菌体固定化物を、ヘミアセタール水酸基を有する糖質溶液に接触させることを特徴とする、カルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法。
【請求項4】
前記パントエア属に属する微生物が、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、パントエア・ユウカリプティ(Pantoea eucalypti)、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)、パントエア・アントフィラ(Pantoea anthophila)、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)、パントエア・デレイ(Pantoea deleyi)、パントエア・ディスペルサ(Panotea dispersa)、パントエア・パンクタータ(Pantoea punctata)、パントエア・ステワルティイ(Pantoea stewartii)、パントエア・テレア(Pantoea terrea)、またはパントエア・バガンス(Pantoea vagans)であることを特徴とする、請求項1から3の何れか一つに記載のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法。
【請求項5】
前記パントエア属に属する微生物が、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)NBRC102470(=JCM1236=ATCC27155=LMG1286)、NBRC12686、JCM20215、JCM20219からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から3の何れか一つに記載のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれら塩の製造方法。
【請求項6】
前記ヘミアセタール水酸基を有する糖質が、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、L−アラビノース、L−ラムノース、ラクトース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、メリビオース、ニゲロース、コージビオース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトヘキサオース、パノース、マルトオリゴ糖、水飴、粉飴、デキストリンからなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする、請求項2から5の何れか一つに記載のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法。
【請求項7】
前記カルボン酸又は前記糖カルボン酸が、グルコン酸、マンノン酸、ガラクトン酸、キシロン酸、アラボン酸、ラムノン酸、ラクトビオン酸、セロビオン酸、セロトリオン酸、セロテトラオン酸、メリビオン酸、ニゲロビオン酸、コージビオン酸、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、パノース酸化物、マルトオリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物、デキストリン酸化物からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1から6の何れか一つに記載のカルボン酸及び/又は糖カルボン酸及び/又はそれらの塩の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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