説明

パーシャルネットワーキング用改良型パターン検出のための装置及び方法

バスラインの配列によって互いに結合された複数のステーションを有するシステムバス用のバスノード用のパターン検出器を開示し、このバスノードは:少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中のサブパターンの分析用に構成された復号化回路と、これらのサブパターンの一連のデジタル相対長情報を特定するように構成された分析回路とを具え、この相対長情報は、上記少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中の、現在のサブパターンと先行するサブパターンとの比較によって生成される。これに対応する、バスシステム上のデジタルバスメッセージ情報を符号化する方法を開示し、このデジタルバスメッセージは、少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中で伝送されるサブパターンによる少なくとも1つの部分を含み、この方法は:一連のデジタル相対情報を、データストリーム中のサブパターンによって符号化するステップを含み、この相対情報は、バスメッセージ情報の1ビットを搬送する各サブパターンを、先行するサブパターンに対して適合させることによって生成される。対応するデジタルバスメッセージは、この方法に従って符号化することができ、これらのバスメッセージは、通信が任意の方法で行われるバスシステムにおいて特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスラインの配列によって互いに結合された複数のバスノードを有するバスシステムに関するものであり、各バスノードは、少なくともトランシーバ及びバスプロトコル・コントローラを具えている。
【0002】
さらに、本発明は、こうしたバスシステム上のデジタルバスメッセージを符号化及び/または復号化する方法に関するものであり、このデジタル・メッセージは、バス信号中のサブパターンによって符号化される少なくとも1つの部分を含む。特に、本発明は、こうしたバスシステムにおける改良型パターン検出に関するものであり、メッセージパターンは、この改良型検出に適合する。
【0003】
さらに、本発明は、こうしたバスシステム内で使用されるこうしたバスノードにも関するものであり、特に、こうしたバスノードは、トランシーバ、バスプロトコル・コントローラ、及びこうしたバスシステム上のデジタル・メッセージを復号化するためのパターン検出器を具えることができ、このデジタル・メッセージは、バス信号中のサブパターンによって符号化された少なくとも1つの部分を含む。
【背景技術】
【0004】
適切なメッセージを交換することによって、バスシステムのようなパーシャルネットワークの一部であるステーションのようなバスノードは、異なる動作状態間、特にスリープ(または休止モード)とノーマル(通常)モードとの間で変化することを、互いに要求し合うことができることが知られている。こうしたシステムは、例えばCAN(Controller Area Network:コントローラ・エリア・ネットワーク)プロトコルまたはLIN(Local Interconnect Network:ローカル・インターコネクト・ネットワーク)プロトコル、あるいは(公的に入手可能な文献及びFlexRayのインターネット・ウェブサイトに記載された既知の次世代車載ネットワークである)FlexRay(フレックスレイ)プロトコルに従い、自動車または自走車両において一般的に使用され、こうしたシステムでは、電気エネルギー消費の低減の要求が常に存在する。車両が駐車中であるか動いていない際にも、個々のステーションは、規則的間隔で、あるいは変則的なイベント(事象)時にウェイクアップして、個々の機能を果たさなければならない。スリープモードとノーマルモードとの間で変化を生じさせることができると共に、この変化を選択的に生じさせることができる、即ち、個々のステーションを独立して作動させることができることも望まれる。
【0005】
本明細書で説明する通信ネットワークの一例としての、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)またはCANバスは、マイクロコントローラが車両内で互いに通信し合うことを可能にするように設計された車両通信バス規格である。CANバスによって接続された(バス)プロトコル・コントローラは一般に、センサデータ、アクチュエータ・コマンド、サービスデータ、等を交換している。
【0006】
さらに、CANプロトコルはメッセージベースのプロトコルであり、特に自動車用途向けに設計されているが、異なる種類の車両、工業オートメーション、及び医療機器のような他の領域でも使用することができる。CANプロトコルはISO 11898-1 (2003)において標準化されている。
【0007】
各バスノードはメッセージを送信及び受信することができるが、同時ではない。CANバスメッセージは主に、ID及び8つまでのメッセージバイトから成り、IDは、メッセージの種類及び/または送信者を識別するように選定することができる。メッセージのビット列は、バス上で直列的に1ビットずつ伝送され、即ち、信号パターンが、このメッセージを例えば非ゼロ復帰(NRZ)の方法で符号化して、すべてのバスノードにおいて検出される。
【0008】
CANバスメッセージは、バスノードで直接、これらの(バス)プロトコル・コントローラに到達することがない。プロトコル・コントローラは常に、トランシーバを介してバスに接続されている。トランシーバは、システム・ベースチップ、ASIC、またはプロトコル・コントローラデバイス内に集積することができる。バスが空いていれば、あらゆるバスノードが送信を開始することができる。2つ以上のバスノードがバスメッセージを同時に送信し始めれば、より優位なID、例えば先行する優位ビット、即ちビット「0」から成るIDが、他のノードのより優位でないIDを上書きする。その結果、優位なIDを有するバスメッセージのみがバス上に残り、すべてのバスノードによって受信される。
【0009】
各バスノードは、ホストプロセッサとしてのマイクロコントローラ・ユニット(MCU:Microcontroller Unit)、(バス)プロトコル・コントローラ、及びトランシーバを必要とし、これらは同じ装置内にまとめて集積することができる。しかし、独立したMCUに結合された独立したトランシーバを有することもでき、(バス)プロトコル・コントローラは、独立した装置とするか、あるいはトランシーバまたはMCU内に集積することもできることは明らかである。
【0010】
(バス)プロトコル・コントローラは、同期クロック付きの単なるハードウェアとすることができ、受信及び送信用に構成することができる。受信では、(バス)プロトコル・コントローラは、バスから(1つずつ)受信したビットを、メッセージ全体が利用可能になるまで記憶し、次に、このメッセージは、例えば、(バス)プロトコル・コントローラが割込みをトリガした後に、MCUによってフェッチ(読出し)することができる。MCUは、受信したメッセージが意味すること、及び自分自身に送信したいメッセージを決定する。センサ、アクチュエータ、及び制御装置をMCUに接続することができる。送信では、MCUは、送信メッセージを(バス)プロトコル・コントローラに転送し、(バス)プロトコル・コントローラは、そのビットを符号化して直列的に、トランシーバを経由してバス上に送信する。送信では、トランシーバが、(バス)プロトコル・コントローラから受信したデジタル送信ビット信号を、バス上で送信されるアナログ信号に変換する。受信では、トランシーバが、バスからの信号レベルを、(バス)プロトコル・コントローラが予期するレベルに適合させ、トランシーバは、(バス)プロトコル・コントローラを保護する保護回路を有する。
【0011】
通信プロトコルのアプリケーション層内の、通常はソフトウェアで実現される機能を、ハードウェアを改良することによってハードウェアにマッピング(対応)させる傾向が存在する。こうすることの意図は、MCU上の負荷を軽減することにあり、この場合は、バスノードを必要としない際は、トランシーバを除いたバスノード全体をスイッチオフして、大量のエネルギーを節減し、従って、CO2も回避することができる。次に、ウェイクアップ検出を用いて、バスノードを再び必要とする時点を認識する。
【0012】
国際公開第01/20434号(特許文献1)は、CANのホストプロセッサにおける電流消費を低減する方法を記載し、ここでは、プロセッサの大部分をスリープモードに設定し、到着するCANバスメッセージを適切なハードウェアによって分析し、適切なウェイクアップ・バスメッセージを識別した場合に、プロセッサをウェイクアップさせる。1つの欠点は、個々のステーションを選択的にウェイクアップさせる場合に、ウェイクアップ・バスメッセージを復号化しなければならず、この目的のために、バスノードの、関連する時点でスタンバイ(待機)状態である部分が、正確なタイマーメカニズム(時計機構)を有しなければならないことにあり、このことはエネルギーを消費する。ステーションがスリープモードである際に、トランシーバが、バスライン上で伝送されるデータの受信と分析とを独立して行い、特に、トランシーバ自身のバスノードをウェイクアップさせなければならないか否かを判定することができることが、特に望まれる。
【0013】
国際公開第2006/003540号(特許文献2)は、CANシステムにおいてウェイクアップ・バスメッセージを検出する解決法を記載している。しかし、記載されたメッセージ検出器は未だに、目標のビットパター0ンと同様のビットパターンを有する多数のバスメッセージに反応し得る。このことは未だに、不所望なウェイクアップ・イベントをもたらし、このイベントは不要な電力を消費し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第01/20434号
【特許文献2】国際公開第2006/003540号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、バスメッセージのストリーム中の「ウェイクアップ・バスメッセージ」を検出するための、より信頼性のある方法を提供することにある。特に、1つの目的は、バスノードまたはバスノードの機能、例えばトランシーバまたは別個の装置が、バス上で伝送されるデータの受信と分析とを独立して行うことを可能にする方法を定めることにある。特に、1つの目的は、バスノードまたはサブネットワークが、所定のウェイクアップ・バスメッセージを用いて個別にウェイクアップされることを可能にすることにある。
【0016】
他の目的は、バスノード用の改良型ウェイクアップ・バスメッセージ検出器を提供することにある。特に、1つの目的は、バスノードの、ウェイクアップ・バスメッセージを検出する部分が、正確なタイマーを有さず、また、データがバス上で伝送されるビットレートの知識も有しない際にも、バスノードがウェイクアップ・バスメッセージを検出することを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、少なくとも1つの目的が、請求項1に記載の特徴を有するパターン検出器によって達成される。
【0018】
従って、バスラインの配列によって互いに結合された複数のステーションを有するシステムバス用のバスノードのパターン検出器が:
少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中のサブパターンの分析用に構成された復号化回路と、
これらのサブパターンの一連のデジタル相対長情報を特定するように構成された分析回路とを具え、この相対長情報は、上記少なくとも1つのバスライン上の上記データストリーム中の、現在のサブパターンと先行するサブパターンとの比較によって生成される。
【0019】
バスノード内でバスメッセージを分析する回路は、現在のサブパターンの長さを測定して記憶するように構成された測定回路と、上記現在の長さを、予め記憶している先行するサブパターンの長さと比較して、デジタル符号化した相対長情報を出力するように構成された比較回路とを具えることができる。特定の好適例では、測定した長さがサブパターンの時間長である。
【0020】
特定の好適例では、上記分析回路が、上記デジタル符号化した相対長情報を直後に記憶するシフトレジスタと、予め記憶しているビット列を含むレジスタと、シフトレジスタに記憶されているビット値と及びレジスタに記憶されているビット値とを比較する手段とを具えている。
【0021】
上記デジタル符号化した相対長情報は、「より短い長さ」、「等しい長さ」または「より大きい長さ」を表し、この相対長情報は、上記比較回路内で、上記デジタル符号化した相対長情報である「より短い長さ」、「等しい長さ」または「より大きい長さ」のうち2種類を、「等しいか等しくない」、「より長いかより長くない」または「より短いかより短くない」のうちいずれか1つに割り当てることによって、随意的に減らすことができる。
【0022】
本発明によれば、少なくとも1つの目的が、請求項5に記載の特徴を有する方法によって達成される。
【0023】
従って、バスシステム上のデジタルバスメッセージ情報を符号化する方法であって、このデジタルバスメッセージが、少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中で伝送されるサブパターンによる少なくとも1つの部分を含む方法が:
一連のデジタル相対情報を、データストリーム中のサブパターンによって符号化するステップを含み、この相対情報は、バスメッセージ情報の1ビットを搬送する各サブパターンを、先行するサブパターンに対して適合させることによって生成される。
【0024】
特定の好適例では、バスメッセージ情報の1つのビットの値を、サブパターンのそれぞれにおいて符号化し、これにより、バスメッセージ情報の1つの部分が、連続する優位及び劣位段階の長さによって表され、上記1つの部分は、ビットレートに依存しない方法で符号化することが好ましい。特に、ビットレートに依存しない方法で符号化することが好ましい上記部分では、優位または劣位のビットはそれぞれ、優位段階の長さが、後続の劣位段階の長さより長いか短いかによって表すことができる。
【0025】
バスメッセージ毎に、バスメッセージ情報の個々のビットを符号化するそれぞれのサブパターンの列を選択することができ、これにより、当該サブパターンの一連のデジタル相対情報を、上記少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中の、現在のサブパターンの長さと先行するサブパターンの長さとの比較によって生成することができる。ここでも、上述したように、特定の好適例では、測定した長さがサブパターンの時間長である。
【0026】
特定用途では、上記デジタルバスメッセージが、コントローラ・エリア・ネットワーク・プロトコルまたはローカル・インターコネクト・ネットワーク・プロトコルに従うバスメッセージである。バスメッセージの、ビットレートに依存しない方法で符号化することのできる部分は、コントローラ・エリア・ネットワーク・プロトコルのバスメッセージ、Flex-Rayのバスメッセージ、またはローカル・インターコネクト・ネットワーク・プロトコルのバスメッセージのデータブロック中に含むことができる。特に、バスメッセージの、ビットレートに依存しない方法で符号化することのできる部分は、ウェイクアップ・バスメッセージまたは設定データを含む。さらに、異なるバスメッセージの、ビットレートに依存しない方法で符号化することのできる部分は、ウェイクアップ・バスメッセージ、またはウェイクアップ・バスメッセージ及び少なくとも1つの確認バスメッセージを表し、この場合は、確認バスメッセージは規定時間内に到着しなければならない。
【0027】
本発明によれば、少なくとも1つの目的が、請求項12に記載の特徴により符号化したビットパターンを含むバスウェイクアップ・バスメッセージによって達成される。
【0028】
従って、特にバスシステム上で使用されるデジタルバスメッセージが、上述した方法により符号化される。
【0029】
こうしたパターン検出器は、スタンドアロン(独立型)のトランシーバ、バスプロトコル・コントローラ、あるいはシステム・ベースチップまたは他のASIC内に集積することができ、こうしたパターン検出器が、デジタル信号のビットレートに依存しない分析用の手段を具えていることにより、正確なビットレートを知らず、精密なタイマーが利用可能でない際にも、バスシステム上のデジタル信号を分析することができることが有利である。
【0030】
例えば特許文献2により、パターン検出器をウェイクアップ・バスメッセージデコーダとして構成して、受信したデータストリーム中の追加的情報を復号化することによって、この情報が所定値と一致する場合のみに、ウェイクアップを起動することができる。この追加的情報は、バスメッセージのビットパターン中の所定サブパターンの観測した長さによって編成することができる。換言すれば、こうした追加的情報をビットパターンから取り出すことによって、システム・ベースチップ回路の不所望なウェイクアップの確率をさらに低減することができる。このことはとりわけ、バスノードが少なくとも部分的にスタンバイまたはスリープ状態にある際に、電力を節約するので有利である。
【0031】
本発明の特定の好適例では、上記パターン検出器が、復号化する手段、例えば復号化装置を具え、この復号化する手段は、デジタルバス信号のビットレートに依存しない分析のために、分析するように構成されているか、あるいは、分析する手段、例えば分析装置を具えている。
【0032】
上記復号化する手段は、連続する劣位段階及び優位段階の長さを測定及び/または比較する装置を具えて、サブパターンを識別することができ、これらのサブパターンは、バス上のビットストリームの複数部分である。
【0033】
これらのサブパターンは、基本的に、所定値、例えばロー(LOW)から始まり、所定値、例えばハイ(HIGH)で終わることによって定めることができる。従って、各サブパターン内でローからハイへの遷移がちょうど1つ存在する際は、ローからハイへの比率を測定して、1ビットの情報に変換することができる。この符号化は一般に、ビットレートに依存しない方法で符号化する部分中で、優位または「0」(劣位または「1」)のビットを、優位段階の長さが後続する劣位段階の長さより長い(短い)ことにより表すことによって実現される。
【0034】
その結果、上記パターン検出器は、デジタルバスメッセージが、ビットレートに依存しない方法で符号化される少なくとも1つの部分を含むようなバス信号を分析することができ、バスメッセージの、ビットレートに依存しない方法で符号化される部分中のビット値は、連続する優位及び劣位段階の長さによって表される。情報は、サブパターンの一連の相対長情報を、バス上のビットストリーム中の現在のサブパターンの長さと先行するサブパターンの長さとの比較に基づいて決定することによって、取り出すことができる。上記相対長情報は、「より短い長さ」、「等しい長さ」または「より大きい長さ」のいずれかとして分類することができる。必要であれば、取り出し(て復号化し)た情報を、2種類の情報を1つに割り当てることによって(即ち、「等しいか等しくない」、「より長いかより長くない」または「より短いかより短くない」のいずれかとなる)、減らすことができる。
【0035】
特定の好適例では、デジタルバス信号のビットレートに依存しない分析のために、分析するように構成されているか、あるいは分析する手段、例えば分析装置を具えている復号化装置が、シフトレジスタ、予め記憶しているビット列を含むウェイクアップ・バスメッセージ・レジスタ、及びシフトレジスタに記憶されているビット値とウェイクアップ・バスメッセージ・レジスタに記憶されているビット値とを比較する手段を具えている。デジタルバス信号のビットレートに依存しない分析のために、分析するように構成されているか、あるいは分析する手段、例えば分析装置を具えている復号化装置はさらに、連続するサブパターンの相対長を測定する手段を具え、この手段は例えば、前回測定した時間を記憶するレジスタ、及び現在測定した時間を、記憶している時間と比較する比較器を有する応用可能なタイマーである。このタイマーは精密である必要はないが、測定期間全体にわたって十分に安定している必要があることは明らかであり、例えば、+/−30%の精度を有するRC発振器を使用することができる。
【0036】
その代わりに、サブパターンの長さを測定するために、例えば、2つのコンデンサを、抵抗器を通して交互に充電し、そして2つのコンデンサ内の電荷どうしを比較することができる。
【0037】
本明細書で提案する、後続または連続するビットパターン列の相対長の検出により、不所望なウェイクアップの量を大幅に低減することができる。従って、(a)所定のバスメッセージ情報ビットを検出し、また、(b)相対長情報ビットの連続または列が所定の連続に、全部一度に合致した際のみに、ウェイクアップ・イベントを起動することができる。
【0038】
これに加えて、相対長情報を特定するために使用するサブパターンは、異なるように定めることができ、例えば、その長さどうしを比較するサブパターンは、同じビット値が連続する一連のビット、即ち「0」の並びまたは「1」の並びとすることができ、この例では、サブパターン間の一連の逆ビット値は重要ではない。
【0039】
このようにして、バスライン上で伝送されるウェイクアップ・バスメッセージを、所定のバスメッセージ情報、例えば、このバスメッセージ情報を表す予め記憶しているビット列と比較することが可能になり、そして、2つのビットパターンが同一であれば、その後に、あるいは同時に、同時に観測された、複数のサブパターンについての一連の相対長情報を、予め記憶している一連の相対長情報と比較することが可能になる。次に、バスノードをウェイクアップさせることができ、及び/または、必要であれば、同じメカニズムを確認バスメッセージに適用することができる。
【0040】
上記パターン検出器によって受信されるバスメッセージ情報を符号化する方法は、バスメッセージの、ビットレートに依存しない方法で符号化される部分中のビット値が、サブパターン中に連続する優位及び劣位段階の長さによって表され、そして、バスメッセージ情報の復号化中に検出された、これらのサブパターンについての一連の相対長情報が、それぞれの所定の一連の情報に等しい、ということに基づく。
【0041】
従って、上記の技術的特徴を具えたパターン検出器は、こうしたバスメッセージ情報、即ちバスメッセージを、より信頼性のある方法で復号化することができる。特に、このパターン検出器は、符号化されたバスメッセージ信号のそれぞれを、予め記憶しているビット列と比較し、バスメッセージの復号化中に検出した上記サブパターンについての一連の相対長情報を、それぞれの所定の一連の情報と比較することができ、これら2つが同一であれば、バスノード、即ち、バスノードのスタンバイ状態またはスリープ状態にある部分、例えばマイクロコントローラ装置、バスプロトコル・コントローラ、さらにはトランシーバをウェイクアップさせることができる。
【0042】
その結果、この方法は、ビットパターンからさらなる情報を取り出すことによって、有用なウェイクアップ検出メカニズムを提供し、これにより、不所望なウェイクアップの確率をさらに低減することができる。
【0043】
本発明の好適例及びさらなる展開は、独立請求項に従属する請求項中に規定されている。本発明の装置及び方法は、同様及び/または同一の好適例及び利点を有することは明らかである。
【0044】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に図面を参照しながら説明する実施例より明らかになる。以下の図面では、各図は概略的に描いたものであり原寸に忠実ではなく、異なる図面中に同一の参照番号があれば、それらは対応する要素を参照することがある。本発明の、本発明の概念から逸脱することなしに、代案であるが等価な実施例が可能であり、本発明の範囲は特許請求の範囲のみによって限定されることは、当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】システム・ベースチップ用の選択的ウェイクアップ手段として動作する受信回路のブロック回路図である。
【図2】ウェイクアップ・バスメッセージ情報ビット及び検証情報を搬送する信号のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下では、例として、本明細書に開示する、特定のバスメッセージを符号化する方法及び改良型パターン検出器を、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)に関して説明する。しかし、本発明はこうしたネットワークに限定されず、ローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)またはFlexRayネットワーク、等にも適用することができることは明らかである。
【0047】
図1に、CANL及びCANH配線を有するCANバスライン10に接続され、かつパターン検出器100に結合されたトランシーバ12を示す。なお、トランシーバ12とパターン検出器100とは、組み合わせて単一のデバイスまたはチップにすることができ、そして、システム・ベースチップまたは他の適切に構成したASIC内に集積することができる。バスノードの残りの部分は、データ送信(TXD)ライン14及びデータ受信(RXD)ライン16によってCANトランシーバ12に接続されている。
【0048】
第1デコーダ(復号化器)32は電子回路18及び20を具え、これらはRXDライン16に接続され、それぞれ、バスライン・シンボルの連続する劣位段階(「1」段階)及び優位段階(「0」段階)を測定するように構成されている。これら2つの電子回路18及び20は交互に動作する。
【0049】
第1デコーダ32では、関連する段階の長さを測定するために、例えばコンデンサ(図示せず)を用いることができ、これらのコンデンサは、それぞれの抵抗器(図示せず)を介してRXDライン16に接続され、それぞれの抵抗器を介して充電される。2つの電子回路18及び20には電子回路22が接続され、電子回路22は、連続する優位及び劣位段階の長さどうしを比較するように構成されている。電子回路18及び20はコンデンサによって実現され、電子回路22は、これら2つのコンデンサ内の電荷を比較することができる。電子回路22はさらに、劣位段階の長さが優位段階の長さより長い/短い際に、劣位/優位信号を結果として出すことができる。この結果は、第1シフトレジスタ24に書き込まれる。
【0050】
第1パターンレジスタ26には、ウェイクアップ・バスメッセージに関連するビットパターンが記憶されている。このビットパターンは予め定めることができ、特に、システム内のそれぞれのバスノード、またはバスノードの所定グループに対して一意的である。第1電子比較回路28は、第1シフトレジスタ24に存在する個々のビット値と、記憶しているウェイクアップ・バスメッセージを含む第1パターンレジスタ26内に存在する個々のビット値とを連続して比較する。すべてのビット値が同一であれば、ウェイクアップ・バスメッセージが検出される。
【0051】
さらに、デジタルバス信号中のサブパターンから相対長情報を得るために、第2デコーダ52を用いる。
【0052】
第2デコーダ52は、例えばタイマー40で構成することができ、タイマー40は、前回測定したサブパターンの持続時間を記憶する中間記憶レジスタ42、及び現在測定した現在のサブパターンの持続時間を、中間記憶レジスタ42に記憶されている持続時間と比較する比較回路44を有するか、これらに接続されている。これにより得られる相対長情報は、単に2つのビットで符号化することができ、これらのビットは、3つの可能な結果、即ち「より短い長さ」、「等しい長さ」または「より大きい長さ」を表す結果を符号化することができる。図1の第2デコーダ32では、得られた相対長情報を、この情報のうち2種類を1つのクラス、即ち「等しいか等しくない」、「より長いかより長くない」または「より短いかより短くない」に割り当てる比較回路44の構成によって、1ビットに減らす。タイマー40はさらに、新たな測定を開始し、新たなサブパターンの先頭の検出時に、現在測定した時間を中間記憶レジスタ42に移動または転送するように構成されている。このタイマー装置は精密である必要はないが、それぞれの測定期間全体にわたって十分安定している必要があることは明らかであり、例えば、約+/−30%のような十分な精度を有するRC発振器を使用することができる。
【0053】
ここでも、第2デコーダ52の実現のために、タイマー装置40用のデジタルタイマーの代わりに、2つのコンデンサ(図示せず)を用いることができ、これらのコンデンサは、それぞれの抵抗器(図示せず)を介してRXDライン16に接続され、それぞれの抵抗器を介して充電される。次に、連続するサブパターンの相対長どうしを比較するために、比較装置44を、これらのコンデンサに接続され、2つのコンデンサ内の電荷どうしを比較するように構成された比較器によって実現することができる。この比較器はさらに、現在のサブパターンの長さが、先行するサブパターンの長さより長い/短い際に、例えば「1」/「0」を結果として出すように構成することができる。ここでも、この結果を、バスメッセージの連続するサブパターンの復号化中に得られた相対長情報の列を記憶する第2シフトレジスタ46に書き込む。
【0054】
第2パターンレジスタ48には、ウェイクアップ・バスメッセージに関連する、所定の相対長情報の列が記憶され、この情報列は、予め記憶している、対応するバスメッセージについてのビット列から導出することができる。第2電子比較回路50は、第2シフトレジスタ46に存在する個々のビット値と、所定の相対長情報の列を含む第2パターンレジスタ48に存在する個々のビット値とを連続して比較するように構成されている。すべてのビット値が同一であれば、検出したウェイクアップ・バスメッセージを、検出した相対長情報によって検証する。
【0055】
第1比較器28の出力及び第2比較器50の出力によって検出したウェイクアップ・バスメッセージの検証は、アンド(AND)ゲート56によって実現することができ、このアンドゲートに2つの比較結果が供給され、このアンドゲートは、論理積(アンド)関数に従って2つの結果を結合する。アンドゲート56の出力は、ウェイクアップ信号Swとして出力することができ、ウェイクアップ信号Swは、例えばバスノードのMCUのそれぞれのウェイクアップピンに接続するか、その代わりに、MCUの電源、例えば電圧レギュレータに接続することができる。
【0056】
図1に示す構成により、改良型パターン検出器100を具え、CANバスまたはLINバス、あるいはFlexRayバスのようなバスシステムに結合された個々のバスノードを、選択的にウェイクアップさせることが容易になる。この目的のために、即ち適用可能なウェイクアップ・バスメッセージを送信するために、同じバスに接続された他の特定のバスノードをウェイクアップさせたいバスノードは、送信するバスメッセージ情報を、特定スキーム(方式)に従うことによって符号化しなければならず、これにより、宛先の特定バスノードは、第1及び第2パターンレジスタ26、38に記憶されている情報を検出することができる。本発明は、本明細書に示す特定パターンに限定されず、個々のバスメッセージ情報ビットの符号化において重要なことは、バスライン上で伝送されるバスライン・シンボルの交互に連続する劣位段階と優位段階との比率であることは明らかである。
【0057】
例として、サブパターンを、先行する「ハイ(HIGH)」または「1」、即ち(1)によって開始され、後続する「ロー(LOW)」または「0」、即ち(0)によって終了するものと仮定する。例として、さらに、「0」は、「1」より多数の「0」から成るあらゆるビット列の送信時に、バスメッセージ情報ビットとして送信されるものと仮定する。即ち、次の形式のビット列は、送信されるバスメッセージ情報ビットが「0」であることを意味するために用いることができる:
(1)001(0)
(1)0001(0)
(1)00011(0)、等。
【0058】
同様に、送信されるバスメッセージ情報ビットとしての「1」は、次のように符号化することができる:
(1)011(0)
(1)0111(0)
(1)00111(0)、等。
【0059】
大幅に長い列も可能である。上述したように、所望のバスメッセージ情報ビットを符号化するためには、連続する優位段階と劣位段階との比率が決め手となる。即ち、1つのバスメッセージ情報ビットを符号化するサブパターン中の、バス上の情報ビットは、「ロー」または「0」で始まり、「ハイ」または「1」で終わり、換言すれば、開始ビット(1)と終了ビット(0)との間のビットである。さらに、各サブパターン内、即ち、先行する(1)のビットと終わりの(0)のビットとの間に、「ロー」から「ハイ」への遷移がちょうど1回存在する。従って、定義により、「ロー」から「ハイ」への比率を測定して、1ビットに符号化されたバスメッセージ情報に変換することができる。
【0060】
ここで図2を参照し、図2に、改良型ウェイクアップ検出メカニズムを例示し、このメカニズムは、さらなる情報、即ち、連続するサブパターンの相対長情報を取り出すことを含み、これにより、不所望なウェイクアップの確率を、さらに大幅に低減することができる。
【0061】
図2の1行目の値「0」及び値「1」は、CANバスのRXDライン16上の到着するビットストリームを示す(ここでも、他の種類のバスを使用することもできる)。値「0」と値「1」との特定の関係を指定する2行目は、図1のデコーダ装置32によって取り出した情報を示す。3行目(「より長い」、「等しい」または「より短い」)は、図1の相対長分析器52によって取り出した情報を示す。
【0062】
図2の左から右に見れば、持続時間T2を有するサブパターン「0111」は、持続時間T1を有する先行するサブパターン「00011」より短い。持続時間T3を有するサブパターン「0001」は、持続時間T2を有する先行するサブパターン「0111」と等しい長さを有する。持続時間T4を有するサブパターン「011111」は、持続時間T3を有する先行するサブパターン「0001」より大きい長さを有する。
【0063】
技術的実現では、「等しい」の意味は、差が量子化間隔以下であることとすることができる。これに加えて、実際上の理由で、あるいは他のやり方が望ましければ、2種類の情報を1つに割り当てることによって(即ち、サブパターン間の「等しいか等しくない」、「より長いかより長くない」または「より短いかより短くない」の関係となる)、検出した相対長情報を1ビットに減らすことができる。
【0064】
今日のパーシャルネットワークのウェイクアップ検出器では、所定の一連の情報を、例えば図1のデコーダ装置32のような適切なデコーダによって符号化した場合に、ウェイクアップが検出される。しかし、多種多様なビットストリームが、所定の一連の情報を搬送し、既存の技術を、不所望な偽のウェイクアップ・イベントに至らせる。
【0065】
本明細書で提案する、後続または連続するビットパターン列の相対長の検出により、不所望なウェイクアップの量を大幅に低減することができる。従って、ウェイクアップ・イベントは、(a)図1の第1デコーダ32が、所定の一連のバスメッセージ情報ビットを検出した際、かつ(b)図1の第2デコーダ52が、相対長情報ビットの連続または列を検出した際、即ち、所定の連続に、全部一度に合致した際のみに、起動することができる。
【0066】
これに加えて、相対長情報を特定するために使用するサブパターンは、異なるように定めることができ、例えば、その長さどうしを比較するサブパターンは、同じビット値が連続する一連のビット、即ち「0」の並びまたは「1」の並びとすることができ、この例では、サブパターン間の一連の逆ビット値は重要ではない。
【0067】
電子比較回路28及び50、及び第1パターンレジスタ26及び48の選択肢として、「ウェイクアップ・メッセージに関連するビットパターン」及び「所定の相対長情報の列」のそれぞれを、1つ以上の「ドントケア(don’t care)」位置で構成することができることは明らかである。
【0068】
なお、図1に示す構成はCANバスシステムに関するものであるが、本明細書に説明する方法及び関連する装置は、LIN(ローカル・インターコネクト・ネットワーク)またはFlexRayネットワークにも同等に用いることができる。また、図1の構成は、ウェイクアップ・メッセージに関連して用いたが、その動作に限定されない。しかし、バスノードに送信されるメッセージは、設定データまたは他のコマンドを同様に含むことができる。
【0069】
さらなる展開では、電子回路56がウェイクアップ・バスメッセージを良好に検出した場合に、図1に示さない他のタイマーを始動させることができる。次に、代案の方法として、確認のために、識別したばかりのウェイクアップ・バスメッセージを、所定のタイムスパン(期間)内に再度検出しなければならない。その代わりに、既に検出したウェイクアップ・バスメッセージとは異なる第2のバスメッセージを、上記所定のタイムスパン内に検出しなければならない。この場合に、使用したサブパターンの所定の相対長で偶然発生するウェイクアップ・バスメッセージと同一の、優位及び劣位段階の列の尤度は、第1のバスメッセージを、所定持続時間内に少なくとも1つのさらなるバスメッセージによって確認することによって、所望通りに低減することができる。
【0070】
従って、本明細書に開示する、バスシステム用のバスノード内のパターン検出器は、最初のウェイクアップ・バスメッセージ、及び確認バスメッセージも検索することができる。バスシステムから到来するデジタル信号は追加的に、ノイズフィルタ(図示せず)を通して、図1の、電子回路18、20及び22で構成される第1デコーダ32、及び電子回路40、42及び44で構成され、連続するサブパターンの相対長を分析する第2デコーダ52に渡すことができる。
【0071】
復号化したそれぞれのバスメッセージ・ビットは、図1の、第1中間記憶レジスタ24、第1パターンレジスタ26、及び第1電子比較回路28に相当する第1スキャナ34に渡される。検出したそれぞれの相対長情報ビットは、図1の、第2中間記憶レジスタ46、第2パターンレジスタ48、及び第2電子比較回路50に相当する第2スキャナ54に渡される。
【0072】
第1スキャナ34は、予め記憶しているバスメッセージ、例えばウェイクアップ・バスメッセージを検索する。例えば、最初のウェイクアップ・メッセージを受信すると、追加的タイマー(図示せず)を始動させる。第2スキャナ54は、連続して受信し復号化したサブパターンについての予め記憶している相対長情報の列を検索し、この情報は、予め記憶しているバスメッセージに関連する。
【0073】
例えば、最初のウェイクアップ・バスメッセージを受信すると、追加的タイマー(図示せず)を始動させることができる。第2の、確認バスメッセージを、所定の時間ウィンドウ内に受信すれば、さらなる肯定の結果をアンドゲート56に渡し、バスノードの残り部分をウェイクアップさせる。なお、最初のウェイクアップ・バスメッセージ並びに確認バスメッセージは共に、第1スキャナ34によって検出し、第2スキャナ54によって検証する必要がある。
【0074】
第1デコーダ32または第2デコーダ52では、測定した優位段階と劣位段階とが等しいか、これらの段階の一方が所定の時間尺度を超えていることの結果として、エラーが発生し得る。このイベントでは、いわゆる「デコードフェイル(DecodeFail:復号化失敗)」信号を、第1及び第2スキャナ34及び54に送信することができ、これらのスキャナは、それまでに受信したデータを無視する。
【0075】
第1及び第2スキャナ34及び54は、それぞれのシフトレジスタ24及び46の代わりに、1つ以上のビット列を認識することのできる状態マシンを具えることができる。
【0076】
本明細書に開示する解決法は、CANシステムにおいて特に適用可能であるが、こうした使用法に限定されない。開示するパターン検出器の使用は、あらゆるCANまたはFlexRayトランシーバ、システム・ベースチップ、及び/または、それぞれの自動車用ASIC、さらには他の種類のシステムにおいて可能である。
【0077】
なお、最後に、バスノードは、2つ以上のパターン検出器を有することができる。その結果、バスノードは、それぞれの第1パターンレジスタ(図1の26)に記憶している情報は異なるのに対し、第2パターンレジスタ(図1の48)に記憶している情報は等しいように有利に構成することができ、それ以後、第1デコーダ32、第2デコーダ52、及び第2スキャナ54は、ハードウェアで複数回設ける必要はない。
【0078】
要約すれば、バスラインの配列によって互いに結合された複数のステーションを有するシステムバス用のバスノードにおいて特に有用であるパターン検出器を開示してきた。このバスノードは:少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中のサブパターンの分析用に構成された復号化回路と、これらのサブパターンの一連のデジタル相対長情報を特定するように構成された分析回路とを具え、この相対長情報は、上記少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中の、現在のサブパターンと先行するサブパターンとの比較によって生成される。これに対応する、デジタルバスメッセージ情報を符号化する方法を開示しており、この方法は、このデジタルバスメッセージが、少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中で伝送されるサブパターンによる少なくとも1つの部分を含むバスシステムにおいて使用可能である。この方法は:一連のデジタル相対情報を、データストリーム中のサブパターンによって符号化するステップを含み、この相対情報は、バスメッセージ情報の1ビットを搬送する各サブパターンを、先行するサブパターンに対して適合させることによって生成される。対応するデジタルバスメッセージは、この方法に従って符号化することができ、これらのバスメッセージは、通信が任意の方法で行われるバスシステムにおいて特に有用である。
【0079】
図面及び以上の記載において、本発明を詳細に例示し説明してきたが、こうした例示及び説明は、限定的ではなく例示的または好適なものであると考えるべきであり、本発明は、開示する実施例に限定されない。当業者は、特許請求の範囲に係る発明を実施するに当たり、図面、開示、及び特許請求の範囲の検討から、開示する実施例に対する他の変形を理解し実行することができる。特許請求の範囲では、「具えている」等は、他の要素またはステップを排除するものではなく、各要素は複数存在し得る。単一の手段または他の装置が、請求項中に記載のいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。単に、特定の方策が互いに異なる従属請求項中に記載されていることは、これらの方策の組合せを有利に用いることができないことを示すものではない。特許請求の範囲中のあらゆる参照符号は、発明の範囲を限定するものとして考えるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスラインの配列によって互いに結合された複数のステーションを有するシステムバス用のバスノード用のパターン検出器であって、
少なくとも1つの前記バスライン上のデータストリーム中のサブパターンの分析用に構成された復号化回路と、
前記サブパターンの一連のデジタル相対長情報を特定するように構成された分析回路とを具え、
前記相対長情報は、前記少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中の、現在のサブパターンと先行するサブパターンとの比較によって生成されることを特徴とするパターン検出器。
【請求項2】
前記分析回路が、
前記現在のサブパターンの長さを測定して記憶するように構成された測定回路と、
前記現在のサブパターンの長さを、予め記憶している前記先行するサブパターンの長さと比較して、前記デジタル符号化した相対長情報を出力するように構成された比較回路と
を具えていることを特徴とする請求項1に記載のパターン検出器。
【請求項3】
前記デジタル符号化した相対長情報が、「より短い長さ」、「等しい長さ」または「より大きい長さ」のいずれかを表し、前記比較回路において、前記デジタル符号化した相対長情報である「より短い長さ」、「等しい長さ」または「より大きい長さ」のうち2種類を、「等しいか等しくない」、「より長いかより長くない」または「より短いかより短くない」のうちいずれか1つに割り当てることによって、前記デジタル符号化した相対長情報を、随意的に1ビット情報に減らすことを特徴とする請求項2に記載のパターン検出器。
【請求項4】
前記分析回路がさらに、
前記デジタル符号化した相対長情報を直後に記憶するシフトレジスタと、
予め記憶しているビット列を含むレジスタと、
前記シフトレジスタに記憶しているビット値と、前記レジスタに記憶しているビット値とを比較する比較手段と
を具えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパターン検出器。
【請求項5】
バスシステム上のデジタルバスメッセージ情報を符号化する方法であって、前記デジタルバスメッセージが、前記少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中で伝送されるサブパターンによる少なくとも1つの部分を含む方法において、
一連の相対情報を、前記データストリーム中の前記サブパターンによって符号化するステップを含み、
前記相対情報は、前記バスメッセージ情報の1ビットを搬送する前記サブパターンの各々を、先行する前記サブパターンに対して適合させることによって生成されることを特徴とする符号化方法。
【請求項6】
前記バスメッセージ情報の1つのビットの値を、前記サブパターンのそれぞれにおいて符号化し、これにより、前記バスメッセージ情報の1つの部分が、連続する優位及び劣位段階の長さによって表され、前記1つの部分は随意的に、ビットレートに依存しない方法で符号化され、
特に、前記随意的にビットレートに依存しない方法で符号化される部分では、優位及び劣位のビットがそれぞれ、優位段階の長さが、後続の劣位段階の長さより長いか短いかによって表されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バスメッセージ毎に、前記バスメッセージ情報の個々のビットを符号化するそれぞれのサブパターンの列を選択し、これにより、当該サブパターンの一連のデジタル相対情報を、前記少なくとも1つのバスライン上のデータストリーム中の、現在の前記サブパターンの長さと先行する前記サブパターンの長さとの比較によって生成することを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記デジタルバスメッセージが、コントローラ・エリア・ネットワーク・プロトコル、またはローカル・インターコネクト・ネットワーク・プロトコル、あるいはFlexRayに従うバスメッセージであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記バスメッセージの、前記ビットレートに依存しない方法で符号化される部分は、前記バスメッセージのデータブロック中に含まれることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バスメッセージの、前記随意的にビットレートに依存しない方法で符号化される部分は、ウェイクアップ・バスメッセージまたは設定データを含むことを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
異なる前記バスメッセージの、前記随意的にビットレートに依存しない方法で符号化される部分は、ウェイクアップ・バスメッセージ、またはウェイクアップ・バスメッセージ及び少なくとも1つの確認バスメッセージを表し、
前記確認バスメッセージは、規定時間内に2回送信されるか、前記確認バスメッセージは、前記ウェイクアップ・バスメッセージが送信された後の前記規定時間内に送信されることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
特にバスシステム上で使用されるデジタルバスメッセージであって、このデジタルバスメッセージ情報が、請求項5〜11のいずれかに記載の方法により符号化されることを特徴とするデジタルバスメッセージ。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれかに記載のパターン検出器を具えた集積システム・ベースチップ。
【請求項14】
1つ以上の装置と、
それぞれが前記1つ以上の装置に接続された1つ以上のトランシーバと、
前記1つ以上のトランシーバどうしを接続するデータバスとを具え、
前記トランシーバまたは前記装置の少なくとも1つが、請求項1〜4のいずれかに記載のパターン検出器を少なくとも1つ具えているか、請求項1〜4のいずれかに記載のパターン検出器の少なくとも1つに結合されていることを特徴とするネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−516137(P2013−516137A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546537(P2012−546537)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/IB2010/056029
【国際公開番号】WO2011/080677
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【氏名又は名称原語表記】NXP B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 60, NL−5656 AG Eindhoven, Netherlands
【Fターム(参考)】