説明

パーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具

【課題】ノート型パーソナルコンピュータの利点を損なうことなく、冷却が必要な場所を簡単な構造で確実に冷却することができる冷却具を提供できるようにする。
【解決手段】パーソナルコンピュータの筐体に取り付けて使用される冷却具であって、熱放散用の板状金属と、当該板状金属の一面に設けられた伝熱貼着体とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にパソコンといわれるパーソナルコンピュータ、特にノート型のパーソナルコンピュータにおける発熱部を冷却する冷却具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種のノート型パーソナルコンピュータでは、可搬性をよくするために小形化が要請されるとともに、種々の用途に迅速に対応できるように高性能化も要請されている。
こうした可搬性の要請によりパーソナルコンピュータの筐体の小型軽量化がはかられ、高性能化にともないCPU(中央演算処理回路)部分やグラフィックチップ等の高速化が図られている。
ところがこうしたCPU部分やグラフィックチップ等の高速化により使用時の発熱量が格段に増加し、その結果、フリーズを起こしたり、暴走したりする。
【0003】
そこで、パーソナルコンピュータの可動にともない発熱する上記CPU部分やグラフィックチップ等を冷却する装置として、筐体内のCPU部分やグラフィックチップ等の部分に冷却用液体を回転羽根等の循環手段で循環させることにより筐体内を均一にして冷却する液冷や式野冷却装置や、ヒートシンクを設けこのヒートシンクをファンで冷却する空冷式の冷却装置を設けるようにしたものが種々提案されている。
【特許文献1】特開2005−294519号公報
【特許文献2】特開2005−294665号公報
【特許文献1】特開2005−236163号公報
【特許文献1】特開2005−3928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように筐体内に冷却装置を組み込む場合、筐体自体が大型化してしまう上、重量も大幅に増加してしまうことから、ノート型パーソナルコンピュータが小型、軽量で可搬性に富むという点が損なわれてしまうという問題があった。
特に、画像処理を行なったりする場合にはCPU部分とともにグラフィックチップ等の部分も合わせて冷却しなくてはならず、上記問題は顕著なものとなる。
また、パーソナルコンピュータの筐体の外部に着脱可能に冷却装置を設けるようにすることも考えられるが、こうした場合には搬送時にパーソナルコンピュータのほかに冷却装置も合わせて持ち運ばなくてはならず、この点で可搬性が阻害されてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、ノート型パーソナルコンピュータの利点を損なうことなく、冷却が必要な場所を簡単な構造で確実に冷却することができる冷却具を提供できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明にかかるパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具は、パーソナルコンピュータの筐体に取り付けて使用される冷却具であって、熱放散用の板状金属と、当該板状金属の一面に設けられた伝熱貼着体とからなるものである。
【0007】
また、本発明にかかるパーソナルコンピュータの発熱部の冷却具では、熱放散用の板状金属が銅又はアルミニウムの板状部材からなることや、伝熱貼着体が自己接着性を有する軟質シリコン樹脂若しくは軟質アクリル樹脂に金属粉末又は/及び金属繊維を含有させて形成したことも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具は熱放散用の板状金属と、板状金属の一面に設けられた伝熱貼着体とを備えており、パーソナルコンピュータの使用時に、熱を帯びている筐体の部分に伝熱貼着体で熱放散用の板状金属を貼り付けると、筐体の熱は伝熱貼着体から熱放散用の板状金属に伝えられて放散される。
これにより、筐体を介してCPU部分やグラフィックチップ等の部分が確実に冷却され、パーソナルコンピュータのフリーズや暴走をなくすことができる。
【0009】
また、パーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具は熱放散用の板状金属と、板状金属の一面に設けられた伝熱貼着体とを備えてなる簡単な構造で、安価に製造できながらも嵩張ることがなく、軽量であることから特にノート型パーソナルコンピュータの利点である小型、軽量で可搬性に富むという点を損なうこともない。
【0010】
更に、筐体の熱を帯びている(発熱している)部分に必要なだけ本発明の冷却具を直接貼着するだけで済むうえ、用途に応じて着脱も容易に行なえるので取り扱いも簡単で、無駄がなく、経済的なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかるパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は本発明のパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具(以下単に冷却具という)の分解斜視図を示し、図中符号1は冷却具を全体的に示す。
この冷却具1は、熱放散用の板状金属2と、この熱放散用の板状金属2の一面(図示したものでは上面)に設けられた伝熱貼着体3とを備えてなり、熱放散用の板状金属2の下面及び伝熱貼着体3の上面のそれぞれは保護用の剥離紙4・5が貼着されている。
【0013】
上記板状金属2は熱伝導率の良いアルミニウム板もしくは銅板で矩形に形成されたものである。
上記伝熱貼着体3は、表面部分に接着性を有する軟質のシリコン樹脂若しくは軟質のアクリル樹脂等のエラストマー中に粒状フィラー(一般に75μm以下のアルミニウムや銅等の金属粉末)乃至アルミニウムや銅等の金属繊維からなる伝熱用部材6を分散含有させてなる伝熱シートであって、定常平行板法による熱伝導率が例えば0.5〜1.0W/m・K程度あり、UL94による難燃性レベルがV−2より良好であることが望ましい。
【0014】
因みに、粒状フィラー乃至アルミニウムや銅等の金属繊維からなる上記伝熱用部材6の含有率は5〜50%の範囲で用途に合わせて設定される。
上記粒状フィラー乃至アルミニウムや銅等の金属繊維からなる伝熱用部材6の含有率は、5%以下になると十分な熱伝導率が期待できず、含有率が50%を超えると伝熱貼着体の貼着力が低下するためである。
【0015】
上記のように形成された冷却具を使用する手順を次に説明する。
ノート型のパーソナルコンピュータ7の使用時、その使用環境により例えばCPU部分8やグラフィックチップ等の部分の筐体(底面の一部)9が熱くなる。
そこで、伝熱貼着体3の表面部分を保護している剥離紙5を取り除いて、図3に示すようにこの熱くなった部分(図示ではCPU部分8)に、冷却具1を貼着した後、熱放散用の板状金属2の下面の剥離紙4を取り除く。
斯くして筐体9の熱くなったCPU部分8に冷却具1が貼着されると、CPU部分8の熱は伝熱貼着体3を介して、熱放散用の板状金属2に伝えられ、この熱放散用の板状金属2から大気中に放散されるので、熱くなったCPU部分8の部分が冷却される。
【0016】
此処で、筐体9の熱くなった部分に冷却具1を貼着する上記伝熱貼着体3が、軟質のシリコン樹脂若しくは軟質のアクリル樹脂等のエラストマーで形成されていることから、筐体9の表面の微細な凹凸部分に密着し広い面積で多量の熱が伝えられる。
筐体9から伝熱貼着体に伝えられた熱は、伝熱貼着体3に分散含有された粒状フィラー乃至アルミニウムや銅等の金属繊維からなる伝熱用部材6が熱放散用の板状金属2に伝えて、熱放散用の板状金属2を略均一な温度にするので、多量の熱を強力に放散し冷却することができる。
【0017】
尚、上記実施の形態では冷却具1を図上1つ貼着するようにしてあるが、こうしたものに限られず、高温になっている面積が大きい場合には貼着する冷却具1の数を増やすことで簡単に対応することができる。
また、冷却具1の形状は四角なものに限られず、その他の多角形はもとより、円形や楕円形、さらには星形等のデザインにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】は本発明のパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具の分解斜視図である。
【図2】は本発明のパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具の縦断側面図である。
【図3】は本発明のパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具の使用状態の斜視図 である。
【符号の説明】
【0019】
1・・・冷却具
2・・・熱放散用の板状金属
3・・・伝熱貼着体
4・5・・・剥離紙
6・・・伝熱用部材
7・・・ノート型パーソナルコンピュータ
8・・・CPU部分
9・・・筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルコンピュータの筐体に取り付けて使用される冷却具であって、熱放散用の板状金属と、当該板状金属の一面に設けられた伝熱貼着体とからなるパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具。
【請求項2】
熱放散用の板状金属が銅又はアルミニウムの板状部材からなる請求項1に記載のパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具。
【請求項3】
伝熱貼着体が自己接着性を有する軟質シリコン樹脂若しくは軟質アクリル樹脂に金属粉末又は/及び金属繊維等の伝熱用部材を含有させて形成したことを特徴とする請求項1に記載のパーソナルコンピュータにおける発熱部の冷却具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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