説明

パーツフィーダ装置

【課題】ワークの割れや欠けを防止することが可能なパーツフィーダ装置を提供すること。
【解決手段】底面に形成された搬送開始位置からワークの選別開始位置まで延びる搬送路が周方向に沿って形成されたパーツフィーダと、パーツフィーダにワークの供給を行うワーク供給部と、ワーク供給部から供給されたワークをパーツフィーダに案内するガイド部材と、前記供給位置と前記選別開始位置との間に配置され、前記ワークが前記搬送路上に位置するか否かを検出するセンサとを有するパーツフィーダ装置であって、ガイド部材は、搬送路上の供給位置にワークを案内するように構成され、供給位置は、搬送開始位置から、搬送路の全長に対して60%以降の位置にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを供給しながらワークの整列が行われるパーツフィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーツフィーダ装置は、多数のワークを、ワークの種類やサイズに応じて一定の条件で自動整列させる。これにより、後の工程(たとえば加工、包装、検査等)に対し効果的にワークを供給することができる。パーツフィーダには、底面から連続してワークの搬送路が形成されており、振動を受けて、ワークが搬送路を移動するようになっており、搬送路の最後で、ワークが所望の姿勢を有しているか否かの選別が行われている。
【0003】
通常、パーツフィーダ装置では、パーツフィーダに形成された底面にワークの供給が行われる(特許文献1参照)。しかしながら、ワークがたとえばフェライト成形体等のように衝撃に弱い物質で構成される場合には、底面にワークを供給する際にワークが衝撃を受けて、ワークに割れ、欠けや汚れが発生する虞がある。また、底面および搬送路でワークが受ける振動の時間が長いと、そのことが原因でもワークに割れ、欠けや汚れが発生する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−187353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、ワークの割れ、欠けや汚れを防止することが可能なパーツフィーダ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るパーツフィーダ装置は、
底面に形成された搬送開始位置からワークの選別開始位置まで延びる搬送路が周方向に沿って形成されたパーツフィーダと、
前記パーツフィーダに前記ワークの供給を行うワーク供給部と、
前記ワーク供給部から供給された前記ワークを前記パーツフィーダに案内するガイド部材と、
前記供給位置と前記選別開始位置との間に配置され、前記ワークが前記搬送路上に位置するか否かを検出するセンサとを有するパーツフィーダ装置であって、
前記ガイド部材は、前記搬送路上の供給位置に前記ワークを案内するように構成され、
前記供給位置は、前記搬送開始位置から、前記搬送路の全長に対して60%以降の位置にあることを特徴とする。
【0007】
本発明では、従来のように新しいワークが底面に直接落下して供給されず、新しいワークが搬送路の途中に供給される。したがって、供給時にワークに加わる衝撃が小さい。しかも、本発明では、搬送路上に新しいワークの供給が行われる供給位置が、選別開始位置の近くになるように、ガイド部材が配置される。供給位置に供給された新しいワークは、搬送路上で移動を開始してすぐに、選別開始位置によって、ワークが所望の姿勢を有しているか否かの選別を受ける。選別開始位置でワークが所望の姿勢を有している場合には、ワークが選別開始位置で回収され、次の工程へ送られる。本発明では、供給位置が、搬送開始位置から、搬送路の全長に対して60%以降の位置にある。すなわち、新しいワークが搬送路を移動する距離は、搬送路の全長に対して40%以内と、短くて済む。
【0008】
一方で、選別開始位置でワークが所望の姿勢を有していないワークは、選別開始位置から先の選別部に形成された段差や切欠き、突起などによって、パーツフィーダの底面にふるい落とされるようになっている。底面にふるい落とされたワークは、底面に形成された搬送路の搬送開始位置から、搬送路の全長分を登っていく。
【0009】
従来では、パーツフィーダの底面に新しいワークが供給されていたので、全てのワークが搬送路の搬送開始位置から選別開始位置までを登る必要があり、ワークが最終的に選別開始位置で回収されるまでに要する時間が長かった。しかし本発明では、選別開始位置の近くに新しいワークが供給されるため、ほとんどのワークは、搬送路の全長分を登る必要がなく、一部のワークのみが底面に落下し、搬送路の全長分を登る。また、底面に落下したワークが、最終的に選別開始位置から先で回収されるまでに要する最大の回流数(搬送路を繰り返し回流する回数)も低減できる。したがって、ワークが最終的に選別開始位置で回収されるまでに要する時間を短くすることができ、ワークに伝わる振動を最小限に抑えることができる。そのため、ワークを整列させる際に、ワークの割れ、欠けや汚れが発生するおそれが少なくなる。
【0010】
センサが、搬送路上にワークが連続して来ないことを検出した場合には、新しいワークの供給を行うように、供給位置でのワーク供給量を制御する。また、搬送路上にワークが連続して来ていることを検出した場合には、新しいワークの供給を止めるように供給位置でのワーク供給量を制御する。
【0011】
前記センサが前記供給位置と前記選別開始位置との間に配置され、好ましくは、前記供給位置の直後に配置される。
【0012】
供給位置とセンサとの距離が離れている場合には、センサが、搬送路上の最後のワークを検出して、新しいワークの供給を行い続けたとしても、新たに供給されたワークがセンサの位置まで登ってくるまでに、長いタイムラグが生じることとなる。そのため、この間に、新しいワークが供給され続け、パーツフィーダにおけるワークの残存数が膨大になり、同じワークが何回も搬送路を回流することとなる。
【0013】
本発明では、前記供給位置と前記選別開始位置との間、特に好ましくは供給位置の直後にセンサを配置することで、搬送路上にワークが無くなってから、新しいワークが供給されるまでのタイムラグが短い。したがって、搬送路上に、絶え間なく新しいワークを少しずつ供給することが可能である。そのため、パーツフィーダにおけるワークの残存数を小さくでき、同じワークが搬送路を回流する回数を減らすことができる。そのため、ワークに振動が伝わっている時間を短くでき、ワークの割れ、欠けや汚れを防止できる。
【0014】
好ましくは、前記ガイド部材は、前記パーツフィーダの外側に張り出して配置され、前記ワークを、前記供給位置で、前記搬送路の外側から案内する。既存のパーツフィーダ(加振部)を利用することができ、汎用性が高い。
【0015】
好ましくは、前記ガイド部材は、扇形のガイド板を有し、前記パーツフィーダの前記搬送路の内側から前記ワークを案内するように配置され、前記ガイド板の外周縁が前記搬送路の一部形状と略一致している。上記のようにワークの供給が行えるので、既存のパーツフィーダ(加振部)を利用することができ、汎用性が高い。また、仮にワークが勢いよくガイド板を転がったとしても、供給された新しいワークがパーツフィーダの底面に落下するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るパーツフィーダ装置の外観斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すパーツフィーダ装置で整列させるワークの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すパーツフィーダ装置で整列させた状態のワークの模式図である。
【図4】図4は、図1に示すパーツフィーダ装置の搬送路を模式的に展開させて示した説明図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施形態に係るパーツフィーダ装置の外観斜視図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI断面図である。
【図7】図7は、図6を矢印VII方向から見た平面図である。
【図8】図8は、実施例および比較例におけるワークの欠け個数および欠け比率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1実施形態
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るパーツフィーダ装置1は、ボウル2と、振動部材4と、ホッパー(ワーク供給部)6と、ガイド部材8と、センサ10とを有している。
【0018】
ボウル2は、直径300mm程度の有底円筒状をしており、一端に開口21を有し、他端に形成してある底板22と、底板22から連続して形成される円筒側板23とによって構成されている。ボウル2は、非磁性材で構成されることが好ましく、例えばアルミニウムで構成されることが好ましく、しかもその表面が硬化されていることが好ましい。
【0019】
搬送路形成部材24は、底板22の内側表面の底面22aの一部から連続して形成され、円筒側板23の内周壁23aに沿って、らせん状に傾斜を有して開口21側に張り出してくるように形成されている。搬送路形成部材24は、開口21側を向く連続面が、ワーク3の搬送を行う搬送路25になっている。搬送路形成部材24は、ボウル2と同じ材料で一体に成形されることが好ましいが、別体に形成されて、ボウル2に一体化されても良い。
【0020】
搬送路25は、全長L=2829mmを有しており、内周壁23aに沿って、3周にわたって連続して形成されている。なお、搬送路25の全長L、横幅Wおよび周回数は、ワークの形状・材質や選別の目的に応じて、適宜変更される。搬送路25は、底面22aに連続する搬送開始位置T0から始まり、途中で、供給位置T1と、センサ位置T2とをこの順に経て、選別開始位置T3に至るように構成されている。これらの詳細は、後で述べる。搬送開始位置T0は、底面22aと搬送路25との境界として定義され、搬送路25は、底面22aに対して所定角度θ1(図4参照)で登り傾斜になっている。所定角度θ1については後述する。
【0021】
円筒側板23の上部には、選別開始位置T3に連続して選別部Sが形成されている。選別部Sは、たとえば切欠きS1、段差S2、転がり面S3、突起S4の少なくとも一つを有しており、ワーク3の姿勢を所望の向きに案内することが可能になっている。選別部Sは、さらに次工程案内路入口S5および底面戻り通路S6を有し、選別部Sを通ったワーク3は、次工程案内路入口S5と底面戻り通路S6のどちらか一方に転がり落ちるようになっている。次工程案内路入口S5に連続して、断面が四角筒形状の次工程案内路28が、円筒側板23の外周側にそれて、パーツフィーダ装置1の下方向に傾斜して形成されている。なお、次工程案内路28は、実際には図1で示すよりも長く形成されていても良い。
【0022】
ワーク3が選別部Sを通った結果、ワーク3が所望の姿勢を有している場合には、次工程案内路28に導かれるようになっている。なお、ワーク3が選別部Sを通っても、所望の姿勢にならない場合があり、この場合には、選別部Sに設けられた底面戻り通路S6をワーク3が転がり落ちることにより、底面22aに案内される。底面戻り通路S6は、搬送路25の下をくぐるように形成されていることが好ましい。これにより、底面22aに戻されたワークが、搬送路25の上を登っていくワーク3の移動を阻害することがない。なお、底面戻り通路S6は必ずしも搬送路25の下をくぐるように形成されていなくてもよい。
【0023】
ボウル2は、底板22の中央部において、ボルト26により振動部材4に対し固定されている。振動部材4は、その内部に電磁石と板バネとを有し、たとえば電磁石のON・OFFにより発生する力を板バネに増幅して振動を発生させ、ボウル2の全体に振動を伝えている。振動部材4は、複数の方向に振動の成分が発生するように、電磁石と板バネを複数組有していてもよい。この振動を受けて、ボウル2の底面22aおよび搬送路25上に存在しているワーク3は、搬送路25上を、搬送方向(搬送開始位置T0から選別開始位置T3に向かう方向)に登っていくことができる。搬送路25は、水平方向に対して、角度θ1だけ、傾きを有している。角度θ1は、2度である。
【0024】
センサ10は、選別開始位置T3と供給位置T1との間に配置されている。センサ10は、供給位置T1の近くにセンサ位置T2が位置するように配置されることが好ましい。センサ10は、たとえば光電センサで構成され、搬送路25上のセンサ位置T2にワーク3が存在しているか否かを検出している。
【0025】
ホッパー6は、ワーク保持面6aと、ワーク保持面6aから連続して形成されたホッパー側面6bとを有しており、多数のワーク3を貯留可能になっている。ワーク保持面6aの一辺は、ホッパー側面6bが形成されていない先端部6cを有している。ホッパー6のワーク保持面6aは、水平方向に対して傾きを変更可能になっており、センサ10からの出力信号を受け、たとえばホッパー6の傾きが調整されることにより、しかるべき量のワーク3を、先端部6cからガイド部材8へ供給可能になっている。すなわち、センサ10が、搬送路上24上のセンサ位置T2にワーク3が連続して来ないことを検出した場合には、新しいワーク3の供給を行うように、ホッパー6でのワーク供給量を制御する。また、センサ10が、搬送路25上のセンサ位置T2にワーク3が連続して来ていることを検出した場合には、新しいワーク3の供給を止めるように、ホッパー6でのワーク供給量を制御する。
【0026】
ガイド部材8は、ホッパー6から供給されたワーク3を、搬送路25上の供給位置T1に案内可能に、ボウル2の外周に張り出すように配置されている。ガイド部材8は、ボウル2と接する1側面が存在しない枡状容器であり、ワークスライド面8aとワーク飛出し防止側面8bとを有している。ワークスライド面8aは、ワーク3を供給位置T1で、搬送路25の外側から案内可能に、水平方向に対して0度〜10度だけ傾いていることが好ましい。これにより、ガイド部材8は、ホッパー6から供給されたワーク3の流れを阻害することなく、かつ、ホッパー6から供給されたワーク3を、自然な勢いで供給位置T1に案内することができる。
【0027】
ガイド部材8のワークスライド面8aが、搬送路25上の供給位置T1と接続する部分には、案内されたワーク3を搬送路25上の供給位置T1に移載するための段差t1が形成されている。段差t1は、0〜10mmであることが好ましい。供給位置T1は、このように新しく供給されたワーク3を搬送路25上に移載するための位置である。供給位置T1で供給されたワーク3の大部分は、搬送路25上を振動のエネルギーを受けて登り、選別開始位置T3(S1)に到達するようになっている。また、供給位置T1で供給されたワーク3の一部は、ボウル2の底面22aへ落下する。底面22aへ落下したワーク3aは、振動を受けて、搬送開始位置T0から搬送路25上を搬送方向へ向かって登っていく。
【0028】
ここで、搬送路25上を登り、選別部Sで姿勢の誘導を受けるワーク3について説明を行う。本実施形態のワーク3は、Mn−Znフェライト、パーマロイなどの軟磁性金属、金属圧粉などの磁性材料あるいはセラミックスで構成してあり、図2に示すように、直径d=0.7〜15mm、厚さt=0.2〜22mmの円柱形状をしている。ワーク3はたとえばプレス成形により形成される。
【0029】
このワーク3は、図1に示すパーツフィーダ装置1の選別部Sにより、所望の姿勢に誘導され、次工程案内路入口S5に払い出された後、次工程案内路28を案内されることにより、図3に示すように、次工程案内路28のワーク支持面28aに整列させられる。この後、ワーク3は不図示の研削装置に所定の向きで供給され、研削盤等により所望の面を研削する工程を経て、研削装置から排出される。研削されたワーク3は、たとえばコイル部品のフェライトコアなどに使われる。
【0030】
ここで、図1に示すパーツフィーダ装置1の搬送路25を模式的に展開させた図を、図4に示す。図4に示すように、ワーク3は、図1に示す振動部材4による振動を受けて、搬送路25上を、傾斜面の上に向かって登っていくことができる。
【0031】
上述したように、搬送路25は、搬送開始位置T0から始まり、供給位置T1、センサ位置T2、選別開始位置T3を、この順に有している。本実施形態では、搬送路25の全長をLで表した場合に、供給位置T1は、全長Lに対して60%以降の位置にある。好ましくは、搬送路25の全長をLで表した場合に、供給位置T1は、全長Lに対して80%〜99%の位置にある。供給位置T1が、全長Lに対して60%より小さい位置にあると、本発明の効果が小さく、あまりに選別開始位置T3に近すぎると、選別されずに底面22aに落下するワーク3の割合が多くなり、本発明の効果が小さくなる傾向にある。
【0032】
本実施形態では、従来のように新しいワーク3が底面22aに直接落下して供給されず、新しいワーク3が搬送路25の途中に供給される。したがって、供給時にワーク3に加わる衝撃が小さい。しかも、本実施形態では、搬送路25上に新しいワークの供給が行われる供給位置T1が、選別開始位置T3の近くになるように、ガイド部材8が配置される。供給位置T1に供給された新しいワーク3は、搬送路25上で移動を開始してすぐに、選別開始位置T3(選別部S)によって、ワーク3が所望の姿勢を有しているか否かの選別を受ける。選別部Sでワークが所望の姿勢を有している場合には、ワーク3が選別部Sで回収され、次工程案内路28から、次の工程へ送られる。本実施形態では、供給位置T1が、搬送開始位置T0から、搬送路25の全長Lに対して60%以降の位置にある。すなわち、新しいワーク3が搬送路25を移動する距離は、搬送路の全長Lに対して40%以内と、短くて済む。
【0033】
一方で、選別部Sでワークが所望の姿勢を有していないワーク3は、選別部Sに形成された段差S2や切欠きS1、突起S4などによって、ボウル2の底面22aまたは搬送路25にふるい落とされるようになっている。底面22aにふるい落とされたワーク3は、底面22aに形成された搬送路の搬送開始位置T0から、搬送路25の全長分を登っていく。
【0034】
従来では、ボウル2の底面22aに新しいワーク3が供給されていたので、全てのワーク3が搬送路25の搬送開始位置T0から選別開始位置T3までを登る必要があり、ワーク3が最終的に選別部Sで回収されるまでに要する時間が長かった。しかし本実施形態では、選別開始位置T3の近くに新しいワーク3が供給されるため、ほとんどのワーク3は搬送路25の全長分を登る必要がなく、一部のワーク3のみが底面22aに落下し、搬送路25の全長分を登る。しかも本実施形態では、底面22aに落下したワーク3が、最終的に選別部Sで回収されるまでに要する最大の回流数(搬送路25を繰り返し回流する回数)も低減できる。したがって、ワーク3が最終的に選別部Sで回収されるまでに要する時間を短くすることができ、ワーク3に伝わる振動を最小限に抑えることができる。そのため、ワーク3を整列させる際に、ワークの割れ、欠けや汚れが発生するおそれが少なくなる。
【0035】
また、本実施形態では、上述したように、センサ10が、搬送路25上のセンサ位置T2にワーク3が連続して来ないことを検出した場合には、新しいワーク3の供給を行うように、ホッパー6でのワーク供給量を制御する。また、センサ10が、搬送路25上のセンサ位置T2にワーク3が連続して来ていることを検出した場合には、新しいワーク3の供給を止めるようにホッパー6でのワーク供給量を制御する。
【0036】
供給位置T1とセンサ位置T2との距離が離れている場合には、センサ10が、搬送路上の最後のワーク3を検出して、新しいワーク3の供給を行い続けたとしても、新たに供給されたワーク3がセンサ10の位置まで登ってくるまでに、長いタイムラグが生じることとなる。そのため、この間に、新しいワークが供給され続け、ボウル2におけるワークの残存数が膨大になり、同じワークが何回も搬送路25を回流することとなる。
【0037】
本実施形態では、供給位置T1の直後にセンサ10が配置されるので、搬送路25上にワーク3が無くなってから、新しいワーク3が供給されるまでのタイムラグが短い。したがって、供給位置T1から選別開始位置T3までの搬送路25上に、絶え間なく新しいワーク3を少しずつ供給することが可能であり、搬送開始位置T0〜供給位置T1では、ワーク3の残存数を減らすことができる。そのため、ボウル2におけるワークのトータルでの残存数を小さくでき、同じワークが搬送路25を回流する回数を減らすことができる。そのため、ワーク3に振動が伝わっている時間を短くでき、ワーク3の割れ、欠けや汚れを防止できる。
【0038】
また、ボウル2におけるワークのトータルでの残存数を小さくできるため、ボウル2を小型化でき、搬送路25の全長Lも短くすることができる。この点においても、ワーク3への振動によるダメージを小さくすることができ、ワーク3の割れや欠けを防止できる。
【0039】
また、本実施形態では、既存のボウル2を利用することができ、汎用性が高い。
【0040】
本実施形態では、供給位置T1が搬送路25の最上段に位置するように説明を行ったが、これに限定されない。上から2段目に供給位置T1が形成されても良いし、それより下段に供給位置T1が形成されても良い。
【0041】
また、ワーク3は、上述した磁性材料で構成されたものに限定されず、振動に弱い物質で構成された様々な成形体を、本実施形態のパーツフィーダ装置1で整列させることができる。ワーク3の形状は、特に限定されない。直径dよりも厚さtの方が大きい細長形状でもよいし、直径dに比較して厚さtがかなり小さいコイン状でもよい。また、ワーク3は、円柱形状でなくてもよく、多角柱形状であってもよいし、板状であってもよい。
【0042】
第2実施形態
本実施形態は、以下に述べる以外は、上述した第1実施形態と同様であり、重複する説明を省略する。
本実施形態のガイド部材18は、搬送路25上の供給位置T1に案内可能に、搬送路25の内側からワーク3を案内するように配置してある。ガイド部材18は、扇形のガイド板18aと、扇形のガイド板18aの側縁18a1に一体成形された側板18bを有している。ガイド板18aは、上面がワークスライド面18a2になっており、側板18bの形成されていない外周縁18a3を有している。
【0043】
図5および図6に示すように、ガイド板18aは、扇形の中心位置18Pで、ボルト26aによってボウル2の底板22および振動部材4に対して固定されている。ガイド板18aの外周縁18a3は、搬送路25のらせん形状の一部と略一致しており、ガイド板18aは、中心位置P1から外周縁18a3に向かって高さが低くなるように、なだらかに傾きθ2を有している。この傾きθ2は、図6に示すように、中心位置18Pを通る断面で見て、水平方向に対して0度〜10度であることが好ましい。
【0044】
図5および図6に示すように、ホッパー16は、先端部16bがガイド板18aの中心位置18Pの方向を向くように配置されている。ホッパー16から供給されたワーク3は、ガイド板18aの上を、図7の矢印で示す方向に放射状にスライドまたは転がり、搬送路25上の供給位置T1に、自然な勢いで外周縁18a3から案内されるようになっている。本実施形態では、供給位置T1が搬送路25の最上段に位置するように説明を行ったが、これに限定されない。上から2段目に供給位置T1が形成されても良いし、それより下段に供給位置T1が形成されても良い。
【0045】
図6に示すように、ガイド板18aの外周縁18a3が、搬送路25上の供給位置T1と接続する部分には、案内されたワーク3を搬送路25上の供給位置T1に移載するための段差t1が形成されている。段差t1は、0〜25mmであることが好ましい。
【0046】
図7に示すように、扇形をしたガイド板18aの中心角θ3は、30度〜360度であることが好ましい。
【0047】
本実施形態では、既存のボルト位置を利用してガイド板18aを配置することができるので、既存のボウル2を利用することができ、汎用性が高い。さらに、ボルト26aを介して、振動部材4の振動をワーク3に伝え、ワーク3を搬送路25にふるい落とすことができる。また、ワーク3が供給位置T1に案内される際に、勢いよく転がったとしても、そのワーク3のほとんどは内周壁23aに当たり、供給位置T1で搬送路25に移載されるので、ボウル2の底面22aへ落下するワーク3の数を減らすことがでる。したがって、ボウル2におけるワークのトータルでの残存数を小さくでき、同じワークが搬送路25を回流する回数を減らすことができる。そのため、ワーク3に振動が伝わっている時間を短くでき、ワーク3の割れや欠けを防止できる。
【0048】
また、ボウル2におけるワークのトータルでの残存数を小さくできるため、ボウル2を小型化することができる。したがって、搬送路25の全長Lを短くすることができる。この点においても、ワーク3への振動によるダメージを小さくすることができ、ワーク3の割れや欠けを防止できる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
パーツフィーダ装置1の稼働開始時におけるワークの滞留量と、底面に落下したワークが搬送路を繰り返し回流する回数と、各回流時におけるワークの滞留量をシミュレーションした。その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
なお、表1の各数値は、以下の計算式により求めた。なお、搬送開始位置T0から供給位置T1までの距離が、搬送路25の全長Lに対して85%の位置であることを条件に計算を行った。以下の数式1によって、稼働開始時に搬送路25上に存在するべきワーク3の滞留量n(個)は、85個と計算した。
【0052】
n={L×(100−85)/100}/γ …数式1
【0053】
数式1において、Lは搬送路25の長さ=2829(mm)であり、γはワーク3の大きさ=5(mm)である。次に、1巡目以降のワーク3の滞留量を求めるために、以下の数式2を適用した。なお、aはワーク3の巡回数を示す。
【0054】
na=n×(1−δ/100) …数式2
【0055】
選別部Sで搬送路28に案内される選別確率をδとし、選別確率δ=50%として、1巡目以降のワーク3の滞留量を計算した。ワークの滞留量は、1巡目では42個であり、2巡目では21個・・・となり、8巡目で滞留量がゼロになった。
【0056】
比較例1
実施例1と同様のシミュレーションによって、供給位置T1が搬送開始位置T0と一致する場合の滞留量を求めた。結果を表1に示す。稼働開始時に搬送路25上に存在するべきワーク3の滞留量nは、566個であることが分かった。ワークの滞留量は、1巡目では283個であり、2巡目では141個・・・となり、11巡目で、滞留量がゼロになった。
【0057】
なお、上記と同じ条件において、一つのワーク3が搬送路25上を移動する走行距離を、シミュレーションによって求めた。結果を表2に示す。1巡目には、ワーク3は搬送路25の搬送開始位置T0から選別部Sまでの距離(2829mm)を走行することになり、2巡目以降には、巡回を重ねるごとに、搬送開始位置T0から選別部Sまでの距離が加算されていく様子を確認できた。
【0058】
【表2】

【0059】
評価1
表1に示すように、実施例1では、7巡目でワーク3の選別が終わるのに対して、比較例1では、11巡目以降でないとワーク3の選別が終わらない。表2に示す結果から、9,10,11巡目では、ワーク3は、25463mm,28292mm,31121mmもの距離を走行することとなり、ワーク3へのダメージが大きくなることが予想される。これに対して実施例1では、表1に示すように、8巡目、9巡目ではワーク3の滞留量がゼロになり、ワーク3が最終的に選別部Sで回収されるまでに要する回流数(時間)を短くできることが確認できた。
【0060】
実施例2〜6
実施例1のシミュレーションとは別に、以下に述べる実機(パーツフィーダ装置1)を準備した。有底円筒の直径を300mmとし、搬送路25の巻数が3周であり、搬送路25の全長L=2830mmを有するボウル2を準備した。次に、図1に示すように、ボウル2の底板22を、ボルト26で、振動部材4に対して固定した。次に、搬送路25上の供給開始位置T0から供給位置T1までの距離が、搬送路25の全長Lに対して60,80,90,95,99%の位置(投入位置)になるように、ガイド部材8を、搬送路25の外周側に接続した。
【0061】
搬送開始位置T0からセンサ位置T2までの距離が、搬送路25の全長Lに対して95%の位置にセンサ位置T2が位置するように、センサ10を配置した。
【0062】
このパーツフィーダ装置1を実際に稼働させ、500個のワーク3をパーツフィーダ装置1に通した。選別部Sでの選別が終わった時点で、ワーク3に欠けが生じた個数と、ワーク3の全体数に対する割合(%)を測定した。結果を表3および図8に示す。
【0063】
【表3】

【0064】
比較例2〜7
搬送路25上の搬送開始位置T0から供給位置T1までの距離が、搬送路25の全長Lに対して0,20,25,30,50,55%の位置(投入位置)になるように、ガイド部材8を、搬送路25の外周側に接続した以外は、上述した実施例2〜5と同様にして、パーツフィーダ装置1を実際に稼働させ、ワーク3に欠けが生じた個数と、ワーク3の全体数に対する割合(%)を測定した。結果を表3および図8に示す。
【0065】
評価2
表3および図8に示すように、実施例2〜6、特に実施例3〜6では、比較例2〜7と比較して、ワーク3に欠けが生じた割合は、低くなることが判明した。このことから、搬送路25の全長Lに対して60%以降の位置、特に80〜99%の位置に供給位置T1があるときに、ワーク3の欠けを低減できることが確認できた。
【符号の説明】
【0066】
1…パーツフィーダ装置
2…ボウル
22a…底面
25…搬送路
T0…搬送開始位置
T1…供給位置
T2…センサ位置
T3…選別開始位置
4…振動部材
6…ホッパー
8…ガイド部材
18a…ガイド板
18a3…外周縁
10…センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に形成された搬送開始位置からワークの選別開始位置まで延びる搬送路が周方向に沿って形成されたパーツフィーダと、
前記パーツフィーダに前記ワークの供給を行うワーク供給部と、
前記ワーク供給部から供給された前記ワークを前記パーツフィーダに案内するガイド部材と、
前記供給位置と前記選別開始位置との間に配置され、前記ワークが前記搬送路上に位置するか否かを検出するセンサとを有するパーツフィーダ装置であって、
前記ガイド部材は、前記搬送路上の供給位置に前記ワークを案内するように構成され、
前記供給位置は、前記搬送開始位置から、前記搬送路の全長に対して60%以降の位置にあることを特徴とするパーツフィーダ装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記パーツフィーダの外側に張り出して配置され、前記ワークを、前記供給位置で、前記搬送路の外側から案内することを特徴とする請求項1に記載のパーツフィーダ装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、扇形のガイド板を有し、前記パーツフィーダの前記搬送路の内側から前記ワークを案内するように配置され、
前記ガイド板の外周縁が前記搬送路の一部形状と略一致していることを特徴とする請求項1に記載のパーツフィーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−25560(P2012−25560A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167142(P2010−167142)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】