説明

パーマネントウエーブ用還元1剤

【課題】本発明により、ウエーブの強さ、ハリコシ、粘性、および浸透性がともに大きく、かつ毛髪へのダメージが少ないパーマネントウエーブ用還元1剤の提供を可能とする。
【解決手段】0.5〜3.0重量%のシステアミンと0.3〜2.5重量%のアニオン界面活性剤を含有し、かつpHが8.1〜9.5のパーマネントウエーブ用還元1剤、およびパーマネントウエーブ用還元1剤において、前記アニオン界面活性剤として0.5〜2.5重量%のアルキル硫酸塩を含有し、かつpHが8.3〜9.3であることを特徴とするパーマネントウエーブ用還元1剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマネントウエーブ用還元1剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チオグリコール酸やシスティンといった還元剤にアニオン界面活性剤を併用したパーマネントウエーブ用還元1剤は毛髪への浸透性が向上し、ウエーブ効率は向上すること(非特許文献1および2)が行われている。
また、パーマネントウエーブ用還元1剤として要求される重要な特性の一つに、該パーマネントウエーブ用還元1剤を毛髪に塗布した場合に毛髪から垂れ落ちない粘性を有することが挙げられるが(特許文献1および2)、このパーマネントウエーブ用還元1剤の垂れ落ちを防止するための手段として、従来は増粘効果を有する水溶性高分子物質を配合すること(特許文献3および4)、あるいは高級アルコールと親水性界面活性剤とからなる液晶領域を利用した増粘系を利用することが行われている(特許文献5および6)。
【0003】
【非特許文献1】J.Soc.Cosm.Chem.28,165−182(1977)
【非特許文献2】Cosmetics&Toiletries Vol.111,41−54(1996)
【0004】
【特許文献1】特許3478441号明細書
【特許文献2】特開2004−18509号公報
【0005】
【特許文献3】特開昭61−48806号公報
【特許文献4】特許3037481号明細書
【0006】
【特許文献5】特開平2−14322号公報
【特許文献6】特開平4−30368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のようにチオグリコール酸やシスティンといった還元剤にアニオン界面活性剤を併用したパーマネントウエーブ用還元1剤は毛髪への浸透性が改善されウエーブ効率は向上することは知られている(前記非特許文献1および2)。しかしながら、このような方法によると、ウエーブ効率は向上するが同時に毛髪へのダメージも大きくなってしまうという問題が生じる。本発明の解決しようとする第1の目的は前記の問題を解決することにある。
【0008】
また、前記のようにパーマネントウエーブ用還元1剤の垂れ落ちの問題を解決するために、該パーマネントウエーブ用還元1剤を通常使用されている増粘成分により増粘系とした場合、該パーマネントウエーブ用還元1剤をロッドに巻いて毛髪に塗布した場合、これら増粘系のパーマネントウエーブ用還元1剤には以下のような現象が生じ、施術後のウエーブは弱いものとなり、弾力性に乏しく保ちの悪いものとなってしまうという問題があった。
(1) パーマネントウエーブ用還元1剤の浸透が不十分。
(2) パーマネントウエーブ用還元1剤の浸透が不十分なために該薬剤の構成成分が毛髪表面に残存し、前記パーマネントウエーブ用還元1剤施術後に行われるリンス工程のリンスが不十分になり、またパーマネントウエーブ用酸化第2剤の毛髪への浸透を妨げてしまう。
(3) パーマネントウエーブ用還元1剤を毛髪に塗布してからロッドを巻く場合においても、前記増粘系の毛髪表面に残存した増粘成分を巻き込んで施術するので、その後に行われるリンス工程のリンスを不十分にし、またパーマネントウエーブ用酸化第2剤の毛髪への浸透を同様に妨げてしまう。
本発明の第2の目的はパーマネントウエーブ用還元1剤を増粘系とする場合の前記の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、0.5〜3.0重量%のシステアミンと0.3〜2.5重量%のアニオン界面活性剤を含有し、かつpHが8.1〜9.5のパーマネントウエーブ用還元1剤を提供することにより、前記課題を解決したパーマネントウエーブ用還元1剤を提供することができた。
すなわち、本発明者らはチオグリコール酸やシスティンといった還元剤に代えて還元剤としてシステアミンを使用し、該システアミンとアニオン界面活性剤を併用し、さらに前記のように各配合成分の配合量とpH値を特定範囲とした場合には毛髪へのダメージが少なく、しかも浸透性が高いので弾力とハリコシのあるウエーブが得られるという効果を奏するパーマネントウエーブ用還元1剤となることを見出し、本発明に到達することができた。
なお、本発明にパーマネントウエーブ用還元1剤の配合量は、該還元1剤全重量に対する重量%で表す。
【0010】
本発明者らはさらに驚くべきことに前記システアミンとアニオン界面活性剤とを含有するパーマネントウエーブ用還元1剤において、アニオン界面活性剤として特に0.5〜2.5重量%のアルキル硫酸塩を使用し、かつ特にそのpH値を8.3〜9.3とすると該還元1剤は毛髪へのダメージが少なく、しかも浸透性が高く弾力(ハリコシ)のあるウエーブが得られる、という前記の効果(以下、前者の効果ともいう)に加えて、該還元1剤はそれに増粘成分を別途に配合しなくても毛髪から垂れ落ちない粘性が得られるという効果(以下、後者の効果ともいう)が達成されることを見出し、この知見に基づいて前記課題をいっそう解決できるパーマネントウエーブ用還元1剤を得ることができた。
ただし、本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤は、前記後者の効果を達成できず、前者の効果しか奏し得ないものであっても従来のパーマネントウエーブ用還元1剤に比較して優れた特性を奏するものである。
【0011】
本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤でアルキル硫酸塩を使用する場合には、そのアルキル基の炭素数が12未満のものは安全性の点で問題が生じることがあり、また炭素数が16を超えるものは溶解性が悪くなる傾向があるのでその炭素数は12〜16が好ましいが、本発明で使用するアルキル硫酸塩は、前記後者の効果を奏するものであれば炭素数12〜16のものに限定されるものではない。また、前記アルキル硫酸塩の塩としては、生体許容性のあるものであれば特に制約されないが、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、ナトリウム塩等が特に好ましい。
【0012】
本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤は下記実施例および比較例の結果から8.1〜9.5、好ましくは8.3〜9.3に調整したものである。該pH調整は例えばアンモニア、モノエタノールアミンやジエタノールアミン等のアミノアルコール、アルギニン等の塩基性アミノ酸、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等の中性塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどによって行うことができる。ただし、本発明の毛髪処理剤のpH調整に使用されるアルカリ剤としては、化粧料製造上、許容されるものであれば特にその種類は制限されない。
前記のような特定のpH範囲で奏するシステアミンとアルキル硫酸塩を含有するパーマネントウエーブ用還元1剤の増粘現象のメカニズムは現段階では定かではないが、前記システアミンとアルキル硫酸塩は電気的に相互作用し水分子の自由度を下げることに起因しているのではないかと推測される。
【0013】
また、システアミンとアニオン界面活性剤を含有する前記本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤に従来から用いられている増粘成分、例えばヒドロキシエチルセルロースを配合して該還元1剤増粘させた場合には、該還元1剤の毛髪への浸透性は当然に低下するが、本発明者は、前記本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤を特定範囲のpHとし、かつアニオン界面活性剤として特定配合量のアルキル硫酸塩を使用したものに従来から用いられている増粘成分に代えてアミノ基もしくはアミド結合を持った化合物、例えば尿素、ピロリドンカルボン酸塩、アルギニンよりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物を添加した場合、これら化合物は増粘成分でないにもかかわらず前記のような浸透性の低下という問題を生じることなく、前記システアミンとアルキル硫酸塩を含有する還元1剤の増粘効果をより改善できること、特に前記システアミンとアルキル硫酸塩による増粘効果が低い場合、あるいは前記システアミンとアルキル硫酸塩による増粘効果が高い場合であっても、該増粘効果が何らかの原因、例えば表5に示すように香料の添加によって低下するような場合に前記アミノ基もしくはアミド結合を持った化合物を配合しておくと好ましい粘性を維持できるということ見出し、この知見に基づいて前記課題をより一層解決できるパーマネントウエーブ用還元1剤を得ることができた。
すなわち、本発明の第2は0.5〜3.0重量%のシステアミンと0.5〜2.5重量%のアルキル硫酸塩を含有し、かつpHが8.3〜9.3であるパーマネントウエーブ用還元1剤において、0.5〜5重量%の尿素、ピロリドンカルボン酸塩およびアルギニンよりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物をさらに配合したことを特徴とするパーマネントウエーブ用還元1剤を提供することにある。
【0014】
前記のような尿素、ピロリドンカルボン酸塩、アルギニンを配合することにより生じる増粘現象のメカニズムも現段階では定かではないが、前記尿素、ピロリドンカルボン酸塩、アルギニンは、これら化合物が有するアミノ基もしくはアミド結合が前記システアミンとアルキル硫酸塩の間に生じた電気的な相互作用を強化することに起因しているのではないかと推測される。また、前記アミノ基もしくはアミド結合を有する化合物を前記還元1剤に配合した場合、システアミンとアルキル硫酸塩の電気的な相互作用によりその増粘効果が十分に達成できている場合にはその機能はあまり発揮しないが、前記システアミンとアルキル硫酸塩の増粘効果が十分に達成できない状態、あるいは前記のように前記システアミンとアルキル硫酸塩の増粘効果が何らかの原因で低下した場合にはシステアミンとアルキル硫酸塩の粘性を補強して好ましい粘性を維持することを可能にしていることからみてシステアミンとアルキル硫酸塩の間の電気的な相互作用を補強する機能を有するのではないかと推測される。
本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤は、前記、アニオン界面活性剤およびアミノ基もしくはアミド結合を持った化合物以外に、必要に応じてパーマネントウエーブ用還元1剤で通常に使用されている成分を本発明の目的を阻害しない限り任意に用いることができる。
【0015】
本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤を毛髪変形(デザイン形成)剤として使用する場合、該毛髪処理剤をそのまま使用する1剤式、あるいは該毛髪処理剤と酸化2剤を構成成分とする2剤式が考えられる。また、本発明の毛髪処理剤の効果を損なわなければ、さらに他の剤と組合せて使用する3剤式、あるいは多剤式であってもよい。同様に本発明の毛髪処理剤の効果を損なわなければ、該毛髪処理剤、あるいは該毛髪処理剤と組合せて使用する酸化2剤が他
の剤と使用直前に混合する用時調整式であってもよい。
【0016】
本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤を使用してウエーブ、カールあるいはストレートの形成等の毛髪変形(デザイン形成)を行う際には、例えばロッド、高温整髪用アイロン、こて等のデザイン形成ツールを使用して行われるが、これらのデザイン形成ツールは必ずしも使用しなくてもよい。また、本発明の毛髪処理剤の剤型は特定のものに限定されるものではなく、例えばクリーム、ジェル、フォーム、スプレー、ミスト等の形状であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ウエーブの強さ、ハリコシ、粘性、および浸透性がともに大きく、かつ毛髪へのダメージが少ないパーマネントウエーブ用還元1剤、および該還元1剤の前記特性をなんら損なうことなく粘性を大きくすることができたパーマネントウエーブ用還元1剤を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の毛髪処理剤および該毛髪処理剤による処理結果を示す。
【0019】
実施例1〜23および比較例1〜12
これら実施例で採用した毛髪処理剤は、還元剤[システアミンを75重量%含むシステアミン塩酸塩水溶液]、金属封鎖剤[純分88重量%のジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム]、pH調整剤(アンモニア水)、アニオン界面活性剤としてラウリル硫酸Na(実施例1、実施例8〜23)、25%ラウリル硫酸アンモニウム(実施例2)、40%ラウリル硫酸トリエタノールアミン(TEA)(実施例3)、セチル硫酸Na(実施例4)、ミリスチル硫酸Na(実施例5)、25%POE(3)アルキル(12,13)エーテール硫酸Na(実施例6)、30%ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン塩(実施例7)およびイオン交換水を所定量配合で構成されたものである。
【0020】
また、比較例は、前記実施例のパーマネントウエーブ用還元1剤において、還元剤として前記実施例で使用したシステアミン塩酸塩水溶液の代わりに、60%チオグリコール酸アンモニウム(比較例1)、DL−システィン(比較例2)あるいは亜硫酸Na(比較例3)を所定量配合して構成されたもの、前記実施例のパーマネントウエーブ用還元1剤において、前記実施例で使用したアニオン界面活性剤の代わりカチオン界面活性剤である塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを所定量配合して構成されたもの(比較例4)
、前記ラウリル硫酸Naを使用する実施例のパーマネントウエーブ用還元1剤においてラウリル硫酸Naの配合量を0.2あるいは3.0重量%として構成されたもの(比較例5,6)、前記ラウリル硫酸Naを使用する実施例のパーマネントウエーブ用還元1剤においてpHを8.0あるいは9.6として構成されたもの(比較例7.8)、前記ラウリル硫酸Naを使用する実施例のパーマネントウエーブ用還元1剤において増粘成分としてヒドロキシエチルセルロースを配合して構成されたもの(比較例9、10)、前記ラウリル硫酸Naを使用する実施例のパーマネントウエーブ用還元1剤においてシステアミンの配合量を0.3あるいは3.5(比較例11、12)として構成されたものである。
【0021】
前記実施例および比較例のパーマネントウエーブ用還元1剤を使用して、そのウエーブの強さ、ハリコシ、粘性、毛髪へ浸透性とダメージについてテストを行った。
(1)ウエーブの強さの評価方法
汎用のパーマネントウエーブ形成方法で処理された毛髪を以下のカール形成効果の評価方法で評価し、その評価結果を◎(よくかかる)、○(かかる)、△(少しかかる)、×(ほとんどかからない)と区分して評価した。
カール形成効果の評価方法と評価結果
約20cmの未処理人毛を50本ずつ束にし、この毛束をスパイラルロッド(ロッド波長0.9cm)に巻きつけ、各実施例あるいは比較例で使用する毛髪変形剤5mlを均一に塗布した。容器に入れて密栓し、室温(約20・C)にて15分放置後、下記のパーマ2剤5mlを均一に塗布した。塗布7分後に、パーマ2剤5mlを再塗布し、7分間放置した後、水洗を行った。毛束をロッドから取り外し、ウエットの状態のままでカール形成力の評価を行った。
カール形成力が高いほど、立体感があり、しっかりとした弾力のあるカールが形成され、引っ張ってのばしてもすぐ元のカール状態に戻る。一方、カール形成力が低くなるにつれて弾力がなく、ゆるいカールになり、引っ張ってのばすと、さらにカール状態がゆるくなってしまう。さらにカール形成力が低くなるとカールは形成されなくなる。
【0022】
(2)ハリコシの評価方法
ハリコシは、◎(ハリコシがある)、○(ややハリコシがある)、△(ハリコシがあまりない)、×(ハリコシがない)と区分して評価した。
なお、前記ハリコシとは官能評価した際、パーマをかけた毛髪を触ったり、曲げたりした時に柔らかいと感じず、硬さを感じ、毛髪の弾性が維持され跳ね返ってくる感触が得られることをハリコシがあると評価した。
【0023】
(3) ダメージの評価方法
汎用のパーマネントウエーブ形成方法で処理された毛髪に対して、官能評価において毛髪を触ったときにざらざらしていたり、パサパサしていると感じること、また毛髪に対して指通りが悪く引っかかることをダメージの評価とした。その程度が少ないほどダメージが少ないと評価し、◎非常に少ない、○少ない、△多い、×非常に多い、と評価した。
【0024】
(4)浸透性の評価方法
同一人物から入手した長さ25cm、重さ2gの毛髪を通常のパーマ施術を行うようにロットに巻いた。該ロットに巻かれた毛髪にパーマネントウエーブ用還元1剤を塗布した時、目視評価により、その薬剤がロットに巻かれた毛髪に浸透しているか、浸透せずそのまま毛髪表面に残っていて浸透しないかを評価した。その浸透性の差を◎浸透が良い、○浸透が良くない、△浸透が悪い、×浸透し
ない、と評価した。
【0025】
(5)粘性の評価方法
同一人物から入手した長さ25cm、重さ2gの毛髪を通常のパーマ施術を行うようにロットに巻いた。該ロットに巻かれた毛髪にパーマネントウエーブ用還元1剤を塗布したとき、その薬剤がロットに巻かれた毛髪に浸透し、しかも毛髪との親和性が良く垂れおちない状態である場合をAとした。また、その塗布した薬剤がロットに巻かれた毛髪をすばやく通過してしまい垂れ落ちてしまう場合をBと評価した。
【0026】
前記評価方法に基づく、実施例1〜23および比較例1〜12の評価結果を表1〜6に示す。前記表1〜6における配合成分の配合量は重量%である。
表1、2、3、5および6においては、28%アンモニア水でpHは9に調整した。また、表4においては28%アンモニア水で所定のpHに調整した。
なお、各表中の実は実施例、また比は比較例を意味する。
【0027】
【表1】

前表1に示す実験結果から、還元剤としてチオグリコール酸アンモニウム(比較例1)、DL−システィン(比較例2)あるいは亜硫酸Na(比較例3)を使用する場合は、システアミンを使用する場合に比較してウエーブが弱く、しかも毛髪がダメージを受けることが理解される。
【0028】
【表2】

前表2に示す実験結果から、界面活性剤としてラウリル硫酸塩(実施例1〜3)、セチル硫酸塩(実施例4)、ミリスチル硫酸塩(実施例5)、アルキルエーテル硫酸塩(実施例6)、ラウロイルグルタミン酸塩(実施例7)等のアニオン界面活性剤を使用した場合には、ウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性の点で優れた効果を達成することできた。特に前記アルキル硫酸塩を使用した場合(実施例1〜5)には、ウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性、粘性の全ての点で優れた効果を達成することできた。これに対してカチオン界面活性剤である塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを使用した場合には、ハリコシの効果が十分に達成することができない。
【0029】
【表3】

前表3に示す実験結果から、アニオン界面活性剤の配合量を0.3〜2.5に調整したものは粘性を除くウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性の点で優れた効果を奏することができた(実施例8〜10)。また、アニオン界面活性剤の配合量を0.5〜2.5に調整したものはウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性、粘性の全ての点で優れた効果を達成することができた(実施例9〜10)。これに対してアニオン界面活性剤の配合量が0.2重量%(比較例5)および3.0重量%(比較例6)のものは、前者の場合にはハリコシ感が無くなり、ウエーブの強さも弱くなり、後者の場合には毛髪へのダメージが大きくなる。
【0030】
【表4】

前表4に示す実験結果から、本発明のパーマネントウエーブ用還元1剤はそのpHが8.1未満である8.0でウエーブの力が弱くなり(比較例7)、また、pHが9.5を超える9.6であると毛髪へのダメージが大きくなる(比較例8)。特に前記pHが8.3〜9.3でアニオン界面活性剤としてラウリル硫酸塩を使用したものは(実施例12および13)、ウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性、粘性の全ての点で優れた効果を達成することができた。
【0031】
【表5】

前表5の実施例15の還元第1剤において、該還元第1剤は香料を加える前のものはウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性、粘性の全ての点で優れた効果を達成することができるものであるが、香料を配合することによって前記粘性が評価Bとなったものである。これに対してアミノ基もしくはアミド結合を持った化合物である尿素、ピロリドンカルボン酸塩、あるいはアルギニンを配合したものはウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性の点で優れた効果を達成することができた(実施例16〜21)。特にアミノ基もしくはアミド結合を持った化合物である尿素、ピロリドンカルボン酸塩、あるいはアルギニンの配合量が0.5〜5.0重量%のものは(実施例16〜19)、前記ウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性、粘性の全ての点で優れた効果を達成することができた。これに対して前記尿素、ピロリドンカルボン酸塩、あるいはアルギニンに代えて、公知の増粘成分であるヒドロキシエチルセルロースを使用した場合には増粘効果の点で改善されるが、浸透性が悪くなり、かつその結果ウエーブが弱くなる等のウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性の点で多くの問題が生じる(比較例9および10)。
【0032】
【表6】

前表6に示す実験結果から、システアミンの配合量が0.5〜3.0に調整したものは前記ウエーブ、毛髪のダメージ、ハリコシ、浸透性、粘性の全ての点で優れた効果を達成することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5〜3.0重量%のシステアミンと0.3〜2.5重量%のアニオン界面活性剤を含有し、かつpHが8.1〜9.5のパーマネントウエーブ用還元1剤。
【請求項2】
アニオン界面活性剤として0.5〜2.5重量%のアルキル硫酸塩を含有し、かつpHが8.3〜9.3であることを特徴とする請求項1に記載のパーマネントウエーブ用還元1剤。
【請求項3】
0.5〜5重量%の尿素、ピロリドンカルボン酸塩およびアルギニンよりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物をさらに配合したことを特徴とする請求項2に記載のパーマネントウエーブ用還元1剤。

【公開番号】特開2007−1916(P2007−1916A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182863(P2005−182863)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(595082283)株式会社アリミノ (38)
【Fターム(参考)】