説明

ヒトエリスロポエチンの製造方法

ヒトエリスロポエチンの製造方法が開示されている。本方法によれば,細胞が無血清培地中で,反復的培地交換をしつつ培養され,培地交換が,生細胞密度が2×106〜4×106個/mLに達しているときに培養物の80〜95%を回収するか,生細胞の初期密度が1.5×105〜2.5×105個/mLとなるように交換される培地の量を調節することにより,行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ヒトエリスロポエチンの製造方法に関し,より詳しくは,本発明は,ヒトエリスロポエチン産生哺乳類細胞を所定の培地交換手順に従って反復培養することによるヒトエリスロポエチンの製造方法,及び,これにより培養上清中に得られたヒトエリスロポエチンから,そのまま医薬として使用できる高純度のヒトエリスロポエチンを,有機溶媒を使用せずに且つ高収率で製造するための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスロポエチン(「hEPO」)は,赤芽球前駆細胞に働いて赤血球へと分化させ赤血球の産生を促進する糖タンパク質である。このため,ヒトエリスロポエチンは,ヒトの貧血特に腎性貧血治療剤として,また手術に備えた自己血の貯蔵のために用いられている。ヒトエリスロポエチンは,これをコードする遺伝子により形質転換した哺乳動物細胞を用いて人工的な産生が行われており,その場合細胞の増殖を高めるために一般に牛胎仔血清を添加した培地で培養がなされる(非特許文献1参照)。しかしながらそこでは,細胞が血清含有培地で培養されるために,当該方法には,そのようにして得られるヒトエリスロポエチンが血清由来のウイルス及びプリオンに汚染されている危険性を回避できない,という問題がある。
【0003】
また,細胞を先ず血清含有培地で前培養して増殖させた後,血清不含の培地に交換してヒトエリスロポエチンを産生させ,次いで精製工程に付すという方法も報告されている(特許文献1及び2参照)。これらの方法によれば,血清の使用は前培養ステップに止まり,ヒトエリスロポエチンの産生段階では培地は既に無血清培地に切り替えられていることから,ウイルスやプリオンによる汚染の危険性は低下すると考えられる。しかし,それでもなお,エリスロポエチン産生段階で使用される無血清培地に微量の血清成分が混入し得るため,汚染の懸念を完全に払拭するまでには至らない。従って,可能であれば細胞の増殖のための前培養(すなわち,細胞を増殖させるためのステップ)も無血清培地で行うことが好ましいと考えられる。
【0004】
これに関し,無血清培地を用いてエリスロポエチンを製造する方法を記載した報告がある(特許文献3参照)。しかしながら,血清は,細胞の増殖を著しく活性化する成分を含んでおり,その不使用はヒトエリスロポエチン産生細胞の増殖には実際には極めて不利である。特に医療用にヒトエリスロポエチンの大量製造を試みる場合,そのために必要な培地交換を伴う長期間の反復的細胞培養において,血清の不使用は,それにより細胞の増殖速度の経時的減衰が起こることから,大量製造の設計自体を不可能若しくは非実用的なものにしてしまう。この理由から,血清を使用せずにしかも長期間のヒトエリスロポエチン産生細胞の実用的な長期の反復培養を提供する方法が必要である。
【0005】
他方,上記のとおり無血清培地を用いたエリスロポエチンの製造方法が報告されているが(特許文献3参照)。しかしながら,そこには無血清培地で産生されたエリスロポエチンの精製方法に関する記載は無い。
【0006】
ヒトエリスロポエチンを精製する「効率のよい」方法として,逆相クロマトグラフィーを使用する方法が知られている(特許文献1及び2)。後者には,無血清培地に交換して細胞を培養することにより産生させたエリスロポエチンを,CM−セファロースクロマトグラフィーと逆相クロマトグラフィーを用いて精製する方法が開示されている。しかしながら,そこでは逆相クロマトグラフィーからの溶出にアセトニトリルが使用されている。この場合におけるエリスロポエチンの収率は,精製前に200μg含まれたエリスロポエチンのうち15.5μgが回収されていることから,約7.8%であり。また,精製されたエリスロポエチンの純度は62%に止まっている。また,特許文献1では,培養上清が逆相クロマトグラフィーに付され,エタノールを用いてエリスロポエチンが精製されている。
【0007】
特許文献1及び2に記載されているように,エリスロポエチンの精製工程に逆相クロマトグラフィーが適用される限り,有機溶媒を使用するこが避けられない。しかしながら,有機溶媒の使用は,エリスロポエチンの立体構造に変化を与えるおそれがある。また,工業的製造を考慮すると,製造工程での有機溶媒の使用は,排水の処理に特別な設備を有することを必要とする。従って,有機溶媒を使用するのは,経済面からも環境面からも避けることが望ましい。
【0008】
また,無血清培地で培養した細胞の培養上清から,限外濾過,陽イオン交換クロマトグラフィー,逆相クロマトグラフィー及びゲルろ過クロマトグラフィーをこの順で行うことによる,エリスロポエチン精製方法が知られている(特許文献4)。この方法において,逆相クロマトグラフィーカラムからのエリスロポエチンの溶出には50〜80%のエタノール水溶液が使用されている。エタノールはタンパク質を変性させる得るため,エリスロポエチンの立体構造が当該工程で乱されるおそれがある。また本法により精製されたエリスロポエチンの収率は少なくとも50%である旨同文献には述べられているものの,純度に関する記載は無い。
【0009】
無血清培地で培養した細胞の培養上清から,色素アフィニティークロマトグラフィー,疎水性クロマトグラフィー,ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー,逆相クロマトグラフィー,陰イオン交換クロマトグラフィーを連続して行うことによって,エリスロポエチンを精製する方法が開示されている(特許文献5)。この方法により,エリスロポエチンが99%を超える純度で精製された。しかしながら,精製工程で,イソプロパノール,アセトニトリル等の有機溶媒が使用されたため,エリスロポエチンの立体構造が乱されるおそれがあった。その上,この方法は,工業的規模でのエリスロポエチンの製造のためには,経済面からも環境面からも好ましくない。
【0010】
エリスロポエチンを,有機溶媒を用いずに精製する方法も知られている(特許文献6)。その方法では,精製エリスロポエチンを得るために,無血清培地での細胞培養物の上清が,フェニルボロネートクロマトグラフィー,陰イオン交換クロマトグラフィー,限外ろ過,及びゲルろ過クロマトグラフィーに,連続して付された(特許文献6)。しかし,本精製方法により回収されたエリスロポエチンは純度が92%に留まっており,純度が低すぎ,医薬として使用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公平4−35159公報
【特許文献2】特公平1−44317公報
【特許文献3】特開平5−252942公報
【特許文献4】特公平6−98019公報
【特許文献5】特許第3061200号公報
【特許文献6】特表平11−503726号公報
【非特許文献1】Park JH., Biotechnol. Appl. Biochem. 32, 167-172, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って,本発明の一目的は,実質的に又は全く血清を含まない培地でヒトエリスロポエチンの大量生産を可能にする製造方法を提供することである。
本発明の更なる一目的は,そのようにして製造したヒトエリスロポエチンから出発して,精製工程において有機溶媒を使用することなく,そのまま医薬として使用できる十分に高い純度のヒトエリスロポエチンを高収率で製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は,ヒトエリスロポエチン産生細胞を培養するのに無血清培地を使用した場合であっても,反復的な培地交換を限られた特定の条件下に行なうことによって,細胞増殖速度を減衰させることなく,長期間にわたってほぼ一定の増殖速度でヒトエリスロポエチン産生細胞を連続的に増殖させることができることを見出した。更に本発明者は,こうして培養上清中に得られるヒトエリスロポエチンから出発して,色素アフィニティークロマトグラフィー,ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー,陽イオン交換クロマトグラフィー,及び,ゲルろ過カラムクロマトグラフィーの組み合わせを含む精製方法により,高度に精製されたヒトエリスロポエチンが得られることを見出した。本発明はこれらの発見に基づき更に検討を加えて完成させたものである。すなわち,本発明は以下を提供する。
【0014】
(1)ヒトエリスロポエチンの製造方法であって,ヒトエリスロポエチン産生哺乳類細胞を無血清培地中で反復的に培地交換しつつ培養することを含み,該培地交換が,培地中の生細胞密度が2×106〜4×106個/mLに達したときに培養物の80〜95%を回収してこれと同量の新鮮な培地と培養物の残部とを合わせることにより行なわれるものであり,且つ上記回収された培養物から該細胞を除去することにより,ヒトエリスロポエチンを含有する培養上清を調製することを含むものである,製造方法。
(2)ヒトエリスロポエチンの製造方法であって,ヒトエリスロポエチン産生哺乳類細胞を無血清培地中で反復的に培地交換しつつ培養することを含み,該培地交換が,培養物を部分的に回収してこれと同量の新鮮な培地を培養物の残部と混合することにより行われ,ここに,交換される培地の量が,得られる混合物中の当初の生細胞密度が1.5×105〜2.5×105個/mLとなるように調節されるものであり,且つ上記回収された培養物から該細胞を除去することにより,ヒトエリスロポエチンを含有する培養上清を調製することを含むものである,製造方法。
(3)該培地交換が,2〜8日に1回の頻度で行なわれるものである,上記(2)の製造方法。
(4)該培地交換が,培地中の生細胞密度が2×106〜4×106個/mLの時期において行なわれるものである,上記(2)又は(3)の製造方法。
(5)培地交換及びこれに続く培養が少なくとも4回繰り返されるものである,上記(1)ないし(4)の何れかの製造方法。
(6)該ヒトエリスロポエチン産生哺乳類細胞が,ヒトエリスロポエチンをコードするDNAを導入して形質転換したCHO細胞である,上記(1)ないし(5)の何れかの製造方法。
(7)ヒトエリスロポエチンの製造方法であって,
(a)上記(1)ないし(6)の何れかの製造方法によって得られた培養上清を色素アフィニティーカラムクロマトグラフィーに付してヒトエリスロポエチン活性を有する画分を回収するステップと,
(b)回収された該画分をハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーに付してヒトエリスロポエチン活性を有する画分を回収するステップと,
(c)上記ステップ(b)で回収された該画分を陽イオンクロマトグラフィーに付してヒトエリスロポエチン活性を有する画分を回収するステップと,そして
(d)上記ステップ(d)で回収された該画分をゲルろ過カラムクロマトグラフィーに付してヒトエリスロポエチン活性を有する画分を回収するステップと
をこの順で含んでなるものである,製造方法。
(8)該色素アフィニティーカラムクロマトグラフィーにおける色素がブルートリアジン色素である,上記(7)の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法によれば,血清を使用しない細胞培養でヒトエリスロポエチンの大量製造が可能になる。従って当該方法は,血清の使用に由来し得るものであるウイルスやプリオンによる汚染の危険を実質的に伴わずにヒトエリスロポエチンを安定的に供給することを可能にする。また,本発明の精製方法によるときは,精製工程で有機溶媒が使用されないため,溶媒によるヒトエリスロポエチンの変性のおそれが除かれる。更には,有機溶媒含有廃液に対処するための余分な設備が不要となるため,本発明は経済的に有利であり,環境面においても好ましい。更にはまた,ヒトエリスロポエチン産生のための培地のみならず,細胞増殖のための培地としても無血清培地を用いたときは,血清の使用に由来し得るウイルスやプリオンによる汚染の危険が,確実に払拭される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は,ヒトエリスロポエチンをコードするDNAを組み込むベクターpCI-neoを示す。
【図2】図2は,ヒトエリスロポエチンをコードするDNAを組み込んだ発現ベクターpCl-neo(hEPO)を示す。
【図3】図3は,本培養−1における生細胞密度の経時的変化を示すグラフである。
【図4】図4は,本培養−1における培養上清中のhEPO濃度の経時的変化を示すグラフである。
【図5】図5は,本培養−2における生細胞密度の経時的変化を示すグラフである。
【図6】図6は,本培養−2における培養上清中のhEPO濃度の経時的変化を示すグラフである。
【図7】図7は,本培養−3における生細胞密度の経時的変化を示すグラフ。
【図8】図8は,本培養−3における培養上清中のhEPO濃度の経時的変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明において使用するヒトエリスロポエチン産生細胞は,当業者に周知の方法によりヒトエリスロポエチン遺伝子を組み込んで形質転換した細胞(好ましくは,哺乳類細胞,例えばチャイニーズハムスター卵巣由来のCHO細胞)を用いて,実施例の部に記載したようにして作成することができる。
【0018】
本発明において,ヒトエリスロポエチン産生細胞の培養のための無血清培地の一例は,アミノ酸3〜700mg/L,ビタミン類0.001〜50mg/L,単糖類0.3〜10g/L,無機塩0.1〜10000mg/L,微量元素0.001〜0.1mg/L,ヌクレオシド0.1〜50mg/L,脂肪酸0.001〜10mg/L,ビオチン0.01〜1mg/L,ヒドロコルチゾン0.1〜20μg/L,インシュリン0.1〜20mg/L,ビタミンB120.1〜10mg/L,プトレッシン0.01〜1mg/L,ピルビン酸ナトリウム・・・10〜500mg/L,及び水溶性鉄化合物よりなるものである。当該培地に,慣用のpH指示薬および抗生物質を添加してもよい。
【0019】
無血清培地として,DMEM/F12培地(DMEMとF12の混合培地)を基本培地として用いてもよく,この培地は当業者に周知である。更にまた無血清培地として,炭酸水素ナトリウム,L−グルタミン,D−グルコース,インスリン,ナトリウムセレナイト,ジアミノブタン,ヒドロコルチゾン,硫酸鉄(II),アスパラギン,アスパラギン酸,セリン及びポリビニルアルコールよりなるものである,DMEM(HG)HAM改良型(R5)培地を使用してもよい。更には市販の無血清培地,例えば,CHO-S-SFM II(インビトロジェン社),IS CHO-V-GS(アーバイン・サイエンティフィック社),EX-CELL302(JRH社)等を基本培地として使用してもよい。
【0020】
本発明において,「培地交換」は,好ましくは,培地中の生細胞密度が2×106〜4×106個/mLに達しているときに,培養物の好ましくは80〜95%,より好ましくは85〜95%(例えば約90%)を回収しこれと同量の新鮮な培地と培養物の残部とを合わせることにより行なわれる。その結果,これに続く培養は,無血清培地中の生細胞密度が培地交換直前の5〜20%(より好ましくは5〜15%,例えば,10%)である状態から開始されるが,これは培地交換を反復して行なう場合に,細胞増殖速度の減衰が早期に起こるのを防止し,長期間の反復培養を可能にする。培養温度は,哺乳類細胞のための通常の培養温度であればよく,例えば約37℃である。培地交換の時期は,より好ましくは,生細胞密度が2.2×106〜4×106個/mLの時期に行なわれ,更に好ましくは,生細胞密度が2.5×106〜3.8×106個/mLの時期に行なわれる。
【0021】
代わりとして,培地交換は,培地交換直後の培養器内の生細胞密度(すなわち,回収されず残された生細胞が新鮮な培地の補充により元の培養体積まで希釈された状態での生細胞密度)が1.5×105〜2.5×105個/mL(例えば,2×105個/mL)となるように,新鮮な培地に交換すべき培地の量を定めることによってもよい。この場合,培地交換後の培養(約37℃)を,好ましくは2〜8日間,より好ましくは2〜6日間,更に好ましくは3〜5日間行なった後に次の培地交換を行うか,又は,培養物中の生細胞密度が好ましくは2×106〜4×106個/mL,より好ましくは2.2×106〜4×106個/mL,更に好ましくは2.5×106〜3.8×106個/mLとなるまで培養してから,次の培地交換を行なってよい。
【0022】
本発明による培地交換を伴った反復培養において培地交換は,好ましくは4回以上行なわれ,より好ましくは,6回以上,更に好ましくは10回以上,特に好ましくは15回以上行なわれる。本発明の方法によれば,培地交換を伴って多数回にわたって反復培養を続けても,細胞増殖速度の減退は見られない。
【0023】
本発明において,hEPO精製のための各クロマトグラフィーは,タンパク質の非特異的吸着を防止するため,非イオン性界面活性剤の存在下で行われる。好ましい非イオン性界面活性剤の例としては,ポリソルベート系界面活性剤が挙げられ,そのうちポリソルベート80が特に好ましいが,これに限定されない。非イオン性界面活性剤の濃度は,好ましくは0.01%(w/v)〜0.001%(w/v),より好ましくは0.005%(w/v)である。
【0024】
hEPO精製は,室温又は低温で行うことができるが,好ましくは低温で,特に1〜10℃で行われる。
【0025】
精製の第一ステップにおける,色素アフィニティークロマトグラフィーは,主にプロテアーゼを含む夾雑物を除去するためのものである。ブルートリアジン色素が好適に利用されるが,その他のトリアジン色素も適当である。固相として特に好ましい材料は,次の概略式に示すBlue Sepharose 6 FF (Fast Flow)であり,色素CibacronTM Blue F3GAを共有結合で固定してあるSepharose 6 Fast Flowマトリックスよりなるものである。
【0026】
【化1】


【0027】
中性付近で平衡化してある色素アフィニティークロマトグラフィーカラムにhEPOを負荷し,吸着させ,塩濃度を増加させて溶出させる。溶出に用いる塩の例としては,特に限定はないが,塩化ナトリウムが挙げられ,その濃度は好ましくは0.2〜1mol/L,更に好ましくは0.3〜0.4mol/Lである。
【0028】
精製の第二ステップにおいては,中性付近で平衡化してあるハイドロキシアパタイトカラムにhEPOを吸着させる。カラムを洗浄した後,リン酸緩衝液によりhEPOを溶出させる。この液のリン酸緩衝剤濃度は好ましくは10〜100mM,更に好ましくは20mMである。このステップにおいて,hEPOは精製の第一ステップで除去されなかった夾雑タンパク質から更に分離され,こうして高度に精製される。
【0029】
また,精製の第一ステップ及び第二ステップの後に,フェニル−セファロース等の疎水性樹脂を用いて疎水性クロマトグラフィーステップを追加することもできる。その場合,hEPO含有画分は,予めトリス−塩酸緩衝液でpH7.0〜8.0に調整し且つ塩化ナトリウムを1.5mol/L以上の濃度になるように添加しておくことが好ましい。
【0030】
精製の第三ステップにおける,陽イオン交換クロマトグラフィーは,主に色素を除去するためのものである。陽イオン交換樹脂の例としては,特に限定はないが,好ましくはイオン交換セルロース,より好ましくはSP−セファロース(SP-Sepharose)が挙げられる。hEPO含有画分は,陽イオン交換クロマトグラフィーに供するより前に,緩衝液でpHを好ましくは5以下,より好ましくはpH4.5〜5.0に調整しておく。このとき用いられる緩衝液の例としては,特に限定は無いが,酢酸緩衝液が挙げられる。同じ緩衝液でpHを4.5〜5.0に平衡化したカラムにhEPOを吸着させ,そして塩濃度の上昇により溶出させる。このために用いる塩の例としては,特に限定はないが,好ましくは塩化ナトリウムが挙げられ,その濃度は,好ましくは0.05〜0.5mol/L,より好ましくは0.1〜0.4mol/L,特に好ましくは約0.3mol/Lである。
【0031】
精製方法の第四ステップにおけるゲルろ過カラムクロマトグラフィーは,hEPOの多量体又は分解物を除去するためのものであり,これにより,実質的に純粋なhEPOが得られる。
【実施例】
【0032】
以下,実施例に基づいて本発明を説明する。しかしながら本発明がそれらの実施例に限定されることは意図しない。
【0033】
〔ヒトエリスロポエチン用発現ベクターの構築〕
次のプライマーのセットを用いて,ヒト胎児肝臓由来のcDNAライブラリー(Clontech社)からPCRでヒトエリスロポエチンのcDNAを増幅した。
5’-CCGAATTCATGGGGGTGCACGAATGTCC-3’(配列番号1),及び
5’-TCAAGCTTCTTAGATCTCAG AGTTGCTCTC-3’(配列番号2)。
【0034】
配列番号1の配列において,ヌクレオチド3〜8はEcoRI部位に対応し,ヌクレオチド9〜28はコード領域の最初の20個のヌクレオチドに対応する。
【0035】
配列番号2の配列において,そのヌクレオチド12〜17はBglII部位に対応し,ヌクレオチド18〜30はcDNAのヌクレオチド774〜762に対応する。
【0036】
PCR反応は,変性ステップを95℃で1分,アニールステップを60℃で1分,伸長ステップを72℃2分を1サイクルとして,30サイクル行った。増幅したcDNAをEcoRI及びHindIIIで切断した後,pBluescript(pBS: Stratagene社)ベクターのマルチクローニングサイトのEcoRIからHindIIIサイトの間へサブクローニングした。得られたベクターを制限酵素BglIIで切断した後,修飾酵素T4 DNAポリメラーゼで平滑末端化し,続いて,制限酵素EcoRI消化によりヒトhEPO遺伝子断片を切り出した。得られたヒトhEPO遺伝子の断片のヌクレオチド配列及びこれがコードするアミノ酸配列を,配列番号3及び配列番号4にそれぞれ示す。配列番号3において,塩基9〜587がアミノ酸をコードする領域に対応し,塩基3〜8はEcoRI切断部位,塩基775〜780はBglII切断部位に対応する。得られたヒトhEPO遺伝子の断片を,ベクターpCI-neo(Promega社)(図1)のEcoRI部位とSmaI部位の間へDNA ligation kit ver.2 (TAKARA社)を用いてライゲーションし,図2に示す得られた組換えベクターを,ヒトエリスロポエチン用発現ベクターとして用いたpCl-neo(hEPO)とした(図2)。
【0037】
〔組換えヒトエリスロポエチン発現用細胞の樹立〕
CHO細胞(CHO-K1)を理化学研究所より入手した。1X107個のCHO細胞を,Lipofectamine2000(Invitrogen社)を用い,上記ヒトエリスロポエチン発現ベクター20μgにより,慣用の方法で形質転換し,次いで,10%の牛胎仔血清(FBS)とG418(SIGMA社)を0.8mg/mL含むHam-F12培地(Invitrogen社)で選択培養して,ネオマイシンに耐性の安定した形質転換体を得た。次に,細胞を無血清培地に馴化させるために,L−グルタミンを4mM,ヒポキサンチンを10mg/L,チミジンを4mg/L,G418を120mg/L添加した市販の血清不含EX-CELL302培地(JRH社)中に細胞を移し,細胞の増殖が安定するまで連続的に培養した。得られた細胞を,10%のFBSと10%のDMSOを含むHam-F12培地に懸濁させ,液体窒素中に保存し,種細胞とした。
【0038】
〔組換えヒトエリスロポエチン発現細胞の前培養〕
前記種細胞を,2×105個/mLの濃度に希釈してL−グルタミンを4mM,ヒポキサンチンを10mg/L,チミジンを4mg/L,及びG418を0.12mg/mL添加したEX-CELL302培地(JRH社)中で,37℃で5%C02存在下に,225cm2の培養フラスコ中で培養した。細胞を3〜4日毎に連続的して継代培養し,細胞総数が5Lスケールの培養を開始するために必要な少なくとも1X109個に達するまで,3〜6回継代した。こうして得られた細胞を用いて,以下の3通りの異なったタイプの本培養を行なった。
【0039】
〔本培養−1:70%培地交換〕
前記の前培養で得られた細胞を,生細胞濃度が約2X105個/mLとなるように5Lのジャーファーメンター(Able社)に移し,前培養に用いたのと同じ培地中で,40rpmで攪拌しながら37℃で5%CO2存在下に培養した。3〜6日毎に培養物の70%部分を新鮮な培地に交換しながら継代培養を繰り返した。生細胞密度は経時的にモニターした(図3)。各回の培地交換直後の生細胞密度は,約0.7〜1.2×106個/mLであった。培養物の少量を経時的にサンプリングして遠心し,得られた培養上清中のhEPO濃度を,後述するELISA法により測定した(図4)。各培地交換において,回収された培養物を遠心して細胞を分離し,培養上清を得た。培養上清は凍結保存し,全培養スケジュールの終了時に全てを解凍し一つに合わせて,hEPOの精製に供した。
【0040】
培養中,培養上清中のhEPOの最高の濃度レベル(約37mg/L)には,5回目の継代において到達した。しかしながらそれ以降の継代では,培養物中の生細胞密度に全体として大きな変化がないにも拘わらず,hEPOの濃度は図4に見られるとおり急速に低下することが判明した。更に,各継代おけるhEPOの最高濃度のレベルは,全体を通して極めて不安定であった。5回目以降の継代におけるhEPO最高濃度のレベルの急速な低下の原因は明らかでないが,細胞のhEPO産生能の低下や,継代時に持ち越された酵素(プロテアーゼ等)hEPOの分解によるものかもしれない。
【0041】
〔本培養−2:90%培地交換〕
前記の前培養で得られた細胞を,生細胞濃度が約2.5X105個/mLとなるように5Lのジャーファーメンター(Able社)に移し,前培養に用いたのと同じ培地中で,40rpmで攪拌しながら37℃で5%CO2存在下に培養した。3〜6日毎に培養物の90%部分を新鮮な培地に交換しながら継代培養を繰り返した。生細胞密度は経時的にモニターした(図5)。各回の培地交換直後の生細胞密度は約2.5X105個/mL〜4.5X105個/mLであった。また培養物の少量を経時的にサンプリングして遠心し,得られた培養上清中のhEPO濃度をELISA法により測定した(図6)。各培地交換において,回収された培養物を遠心して細胞を分離し,培養上清を得た。培養上清は凍結保存し,全培養スケジュールの終了時に全て解凍して一つに合わせ,hEPOの精製に供した。
【0042】
図6に見られるように,各継代培養におけるhEPOの最高濃度のレベルは,継代を21回繰り返してもほぼ均一で,11mg/L〜17mg/Lの範囲を保持していた。継代を反復することによるhEPOの濃度低下等の,細胞のhEPOの産生能の低下や培地中のhEPOの分解亢進の兆候は,認められなかった。
【0043】
〔本培養−3:初期生細胞数固定〕
前記の前培養で得られた細胞を,生細胞濃度が約2.5X105個/mLとなるように5Lのジャーファーメンター(Able社)に移し,前培養に用いたのと同じ培地中で,40rpmで攪拌しながら,37℃で5%CO2存在下に培養した。3〜6日毎に培地交換して継代培養を繰り返した。生細胞密度は経時的にモニターした(図7)。各回の培地交換時に計測された生細胞密度に基づいて,各培地交換直後の培養器内の生細胞密度(すなわち,回収されず残された生細胞が新鮮な培地の補充により元の培養体積まで希釈された状態での生細胞密度)が約2.5X105個/mLとなるように,培養培地の交換量を調節した。培養物の少量を経時的にサンプリングして遠心し,得られた培養上清中のhEPO濃度を,下記のようにしてELISA法により測定した(図8)。各培地交換において,回収された培養培地を遠心して細胞を分離し,培養上清を得た。培養上清は凍結保存し,全培養スケジュールの終了時に全て解凍して一つに合わせ,hEPOの精製に供した。
【0044】
図8に見られるように,各継代培養における培地中のhEPOの最高濃度のレベルは,継代を15回繰り返してもほぼ均一で,15mg/Lないし19mg/Lの範囲を保持していた。継代を反復することによるhEPOの濃度低下等の,細胞のhEPOの産生能の低下や培地中のhEPOの分解亢進の兆候は認められなかった。
【0045】
〔ヒトエリスロポエチンの精製方法〕
培養上清のpHを約6.8に調整後,ポリソルベート80を0.005%(w/v)含む蒸留水を加え,導電率を13mS/cm以下に調整した。ポリソルベート80を0.005%(w/v)含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)で予め平衡化しておいたブルーセファロースFF(Blue-Sepharose FF)(16mmX75mm;15mL,Amersham社)に,前記培養上清約160mLを,流速120cm/時で適用しヒトエリスロポエチンを吸着させた。次に,カラムを75mLの前記緩衝液により洗浄した後,ポリソルベート80を0.005%(w/v),塩化ナトリウムを0.4M含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)でヒトエリスロポエチンを同じ流速で溶出し回収した。
【0046】
次いで前記Blue-Sepharose FFカラムクロマトグラフィー溶出画分に,塩化カルシウムを,終濃度が2mMとなるように加え,続いて,予めポリソルベート80を0.005%(w/v),塩化ナトリウムを1M,塩化カルシウムを2mM含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)で平衡化しておいたハイドロキシアパタイトカラム(HA ULTROGEL:26mmX56mm;30mL,バイオセラプ社)に,流速45mL/時で適用して,ヒトエリスロポエチンを樹脂に吸着させた。引き続き同じ流速でカラムを150mLの前記緩衝液により洗浄後,ポリソルベート80を0.005%(w/v)含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)でヒトエリスロポエチンを溶出し回収した。
【0047】
次に前記HA ULTROGELカラム溶出画分に,10分の1量の0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)を添加してpHを5以下に調整し,更にポリソルベート80を0.005%(w/v)含む蒸留水を加え,導電率を9mS/cm以下に調整した。この希釈された画分を,ポリソルベート80を0.005%(w/v)含む0.05M酢酸緩衝液(pH5.0)で平衡化しておいた陽イオン交換樹脂SP-Sepharose FFカラム(16mmX40mm;8mL,Amersham社)に流速40mL/時で適用し吸着させた。次いで,カラムを,ポリソルベート80を0.005%(w/v),塩化ナトリウムを0.05M含む0.05M酢酸緩衝液(pH5)により同じ流速で洗浄した後,ポリソルベート80を0.005%(w/v),塩化ナトリウムを0.3M含む0.05M酢酸緩衝液(pH5.0)でヒトエリスロポエチンを溶出し回収した。
【0048】
次に前記SP-Sepharose FFカラムクロマトグラフィー溶出画分を限外ろ過膜濃縮(排除限界分子量8,000)で1mlに濃縮した。この濃縮された画分を,ポリソルベート80を0.005%(w/v),塩化ナトリウムを0.2M含む0.05Mトリス緩衝液(pH7.5)で予め平衡化しておいたSuperdex 200pgXK16/60カラム(16mmX600mm;120mL,Amersham社)に適用して,流速30mL/時でゲルろ過し,ヒトエリスロポエチンを分離し,回収した。
【0049】
〔網状赤血球産生促進するhEPOの生物学的作用に基づくin vivo定量法〕
試験動物として,B6D2F1(BDF1)系マウス〔8週齢,雄性(チャールズリバー社)〕を用いた。これらの動物の背部皮下にヒトエリスロポエチン検体を投与した。投与後4日目に,試験動物の下大静脈より血液を200μL採取し,30分以内に自動網状赤血球測定装置R−500(Sysmex社)を用いて赤血球数(RBC,X104/μL),網状赤血球数(RET,X104/μL),及び網状赤血球比率(RET%,%)を計測した。ヒトエリスロポエチン標準品(European Pharmacopoeia)との比較で,ヒトエリスロポエチンのインビボ(in vivo)生物活性(U/mL)を算出した。
【0050】
〔ヒトエリスロポエチンのSE−HPLC法による純度試験〕
5mMリン酸二水素カリウム,8.1mMリン酸水素二ナトリウム,0.4M塩化ナトリウム(pH7.4)を含有する移動相でヒトエリスロポエチン検体を5倍量に希釈した。希釈された検体を,HPLCシステムLC−10A(島津製作所製)を用いて,TSK−gelG3000SW(7.5mmX600mm(東ソー社))に,流速0.5mL/分,室温で適用してゲルろ過し,214nmでの吸光度を測定した。
【0051】
〔ELISA法によるhEPOの定量方法〕
本発明者により製造されたhEPOで免疫したウサギの血液から,常法によりウサギ抗hEPO抗体溶液を調製した。ウサギ抗hEPO抗体溶液を96ウェルプレートの各ウェルに100μLずつ加え,4℃で1時間貯蔵して固定させた。液を捨てた後,0.075%Tween20を含む1%BSA/TBS−T液(Tris:0.005M,BSA:1%,NaCl:0.138M,KCl:0.0027M,pH8.0)を各ウェルに100μLずつ加え,4℃で1時間貯蔵してブロッキングした。液を捨てた後,各ウェルを0.075%Tween20を含むTBS−T液で3回洗浄し,適当な濃度に希釈した検体を各ウェルに100μLずつ加え,37℃で1時間貯蔵した。これと並行して,本発明により製造されローリー(Lowry)法により定量された上記hEPOを希釈して1〜16ng/mLの濃度とすることにより調製した標準溶液を,幾つかのウェルに加えた。液を捨て,プレートを前記と同様にして洗浄し,HRP標識したマウス抗hEPOモノクロナール抗体(R&D社製)を2次抗体として各ウェルに100μLずつ加え,37℃で1時間貯蔵した。各ウェルを前記と同様にして洗浄後,HRP基質(プロメガ社)を加え,37℃で15分間貯蔵した後,塩酸を加えて反応を停止させた。マイクロウエルプレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定して,標準溶液の吸光度との比較から検体中のhEPO濃度を算出した。
【0052】
〔逆相HPLC法によるヒトエリスロポエチンの純度試験〕
0.06%トリフルオロ酢酸(TFA)よりなるA液,0.06%TFA/80%アセトニトリルよりなるB液を用意した。HPLCシステムLC−10A(島津製作所製)を用いて,ヒトエリスロポエチン検体をブチルシリル化シリカゲル(Vydac214ATP54TM,Vydac社)に適用し,B液を50〜75%の割合で用いた濃度勾配で,25℃にて流速1.0mL/分で溶出させた。
【0053】
〔ヒトエリスロポエチンの分析結果〕
In vivo定量法の結果,前記方法により得られたヒトエリスロポエチンは,1.5×105U/mg以上の比活性を有することが見出され,また培養液中に含まれていたヒトエリスロポエチンの約45%が回収されたことが判明した。また,上記の本発明の方法により得られた精製ヒトエリスロポエチンは,ゲルろ過HPLC法,逆相HPLC法の何れによる純度試験でも単一のピークを示し,殆ど純度100%であることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は,全く血清を用いない方法によるヒトエリスロポエチンの大規模生産を可能にする。本方法は,従って,ウイルスやプリオンによる汚染の危険が実質的に無いヒトエリスロポエチンを安定的に供給することを可能にする。更に,本発明は,溶媒によるヒトエリスロポエチンの変性の危険を除くことができる。更には,本発明は,経済的な有利性を有しまた環境的視点からも望ましい。尚も更には,hEPO産生及び回収を開始に備えた細胞増殖のための培養における無血清培地の使用と組み合わせたときは,本発明は,ウイルス及びプリオンによる汚染の危険を完全に除去する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトエリスロポエチンの製造方法であって,ヒトエリスロポエチン産生哺乳類細胞を無血清培地中で反復的に培地交換しつつ培養することを含み,該培地交換が,培地中の生細胞密度が2×106〜4×106個/mLに達したときに培養物の80〜95%を回収してこれと同量の新鮮な培地と培養物の残部とを合わせることにより行なわれるものであり,且つ上記回収された培養物から該細胞を除去することにより,ヒトエリスロポエチンを含有する培養上清を調製することを含むものである,製造方法。
【請求項2】
ヒトエリスロポエチンの製造方法であって,ヒトエリスロポエチン産生哺乳類細胞を無血清培地中で反復的に培地交換しつつ培養することを含み,該培地交換が,培養物を部分的に回収してこれと同量の新鮮な培地を培養物の残部と混合することにより行われ,ここに,交換される培地の量が,得られる混合物中の当初の生細胞密度が1.5×105〜2.5×105個/mLとなるように調節されるものであり,且つ上記回収された培養物から該細胞を除去することにより,ヒトエリスロポエチンを含有する培養上清を調製することを含むものである,製造方法。
【請求項3】
該培地交換が,2〜8日に1回の頻度で行なわれるものである,請求項2の製造方法。
【請求項4】
該培地交換が,培地中の生細胞密度が2×106〜4×106個/mLの時期において行なわれるものである,請求項2又は3の製造方法。
【請求項5】
培地交換及びこれに続く培養が少なくとも4回繰り返されるものである,請求項1ないし4の何れかの製造方法。
【請求項6】
該ヒトエリスロポエチン産生哺乳類細胞が,ヒトエリスロポエチンをコードするDNAを導入して形質転換したCHO細胞である,請求項1ないし5の何れかの製造方法。
【請求項7】
ヒトエリスロポエチンの製造方法であって,
(a)請求項1ないし6の何れかの製造方法によって得られた培養上清を色素アフィニティーカラムクロマトグラフィーに付してヒトエリスロポエチン活性を有する画分を回収するステップと,
(b)回収された該画分をハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーに付してヒトエリスロポエチン活性を有する画分を回収するステップと,
(c)上記ステップ(b)で回収された該画分を陽イオンクロマトグラフィーに付してヒトエリスロポエチン活性を有する画分を回収するステップと,そして
(d)上記ステップ(d)で回収された該画分をゲルろ過カラムクロマトグラフィーに付してヒトエリスロポエチン活性を有する画分を回収するステップと
をこの順で含んでなるものである,製造方法。
【請求項8】
該色素アフィニティーカラムクロマトグラフィーにおける色素がブルートリアジン色素である,請求項7の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−511378(P2010−511378A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522471(P2009−522471)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/JP2006/325983
【国際公開番号】WO2008/068879
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000228545)日本ケミカルリサーチ株式会社 (27)
【Fターム(参考)】