説明

ヒトパルボウイルスB19核酸の検出のためのアッセイ

【課題】ヒト・パルボウイルスB19ゲノムDNAに特異的な核酸オリゴマーを開示する。生物学的標本中のヒト・パルボウイルスB19核酸を増幅しそして検出するための方法を提供する。
【解決手段】生物学的試料に存在するパルボウイルスB19核酸配列を増幅するためのプライマーおよび該配列を検出するためのプローブ。増幅された配列の部分に特異的にハイブリダイズする配列特異的プローブ。少なくとも2の別個の核酸増幅オリゴマーを含む、ヒト・パルボウイルスから核酸を増幅するための組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35U.S.C.119(e)に基づいて、米国仮出願第60/316,691号、2001年8月31日出願の優先権を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ヒト感染性病原体を検出するための診断法および組成物に関し、そして具体的には、in vitroでパルボウイルスB19の核酸を検出するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ヒト・パルボウイルスB19(時にエリスロウイルスとも呼ばれる)は、血液感染性のエンベロープ不含ウイルスであり、約5.5kbの一本鎖DNA(ssDNA)ゲノムを有する(Shadeら, 1986, J. Virol. 58(3):921−936、Brownら, 1997, Ann. Rev. Med. 48:59−67)。個々のウイルス粒子は、およそ同数に相当する、ゲノムのプラス鎖またはマイナス鎖いずれかを1コピー含有する。ssDNAゲノムは逆方向末端反復を有し、この反復配列が、ウイルス複製に必須の、約350ntの5’ヘアピンおよび3’ヘアピンを形成する。該ゲノムは、構造タンパク質(VP1およびVP2)および非構造タンパク質(NS1)をコードする、プラス鎖上の2つのオープンリーディングフレームを含む。
【0004】
パルボウイルスB19での感染は、呼吸器感染を介して、あるいは感染血液または血液製剤を通じて起こりうる。ウイルス血症は、接種後、約1週間で高レベル(例えば血液1mlあたり1011まで)に達しうるが、一般的に、感染後、約2週間以内で一掃される。感染個体は症状をまったく示さない可能性があるし、または穏やかなインフルエンザ様症状、発疹、および/または一時的な関節炎様の関節疼痛(関節症)を含む、伝染性紅斑症状を有する。小児は成人より発疹(「第五病」と呼ばれる)を発症しやすく、一方、関節症は成人で一般的な症状である。溶血性貧血患者における再生不良性発症、並びに免疫抑制患者における持続性のパルボウイルス感染および他の血液学的変化を含め、より深刻な問題が感受性患者で生じる。女性において、パルボウイルスB19感染は、胎児死亡による初期妊娠の約10%の喪失に関連付けられている。
【0005】
パルボウイルスB19は、例えば、血液、血清または血漿における感染性粒子を破壊するのに用いられる、化学薬品処理法または熱処理法によるウイルス不活性化に、比較的耐性である。また、試料中のウイルスが高濃度であると、試料からウイルス汚染を除去するのに用いられるウイルス枯渇法が圧倒される可能性がある。汚染された輸血または血液製剤を投与された、さらなる個体が、血液、血漿または血漿由来製剤中のパルボウイルスB19に感染する可能性がある。しばしば、献血された血液のプール(例えば個々の献血された血液の数千のプール)から、血漿製剤が作成され、献血された単一の汚染血液がプールおよびそれに由来する製剤を汚染させうるリスクが生じる。したがって、献血された血液または血漿などの生物学的試料において、ヒト・パルボウイルスB19の存在を検出して、さらなる感染を予防する必要がある。また、感染初期に、または希釈試料もしくはプール試料において起こる可能性があるように、低力価のウイルスの検出を可能にする感度で、パルボウイルスを検出するアッセイに関する必要性もある。適切なレベルで汚染を検出する、パルボウイルスB19核酸に関するアッセイは、感染した輸血単位を血液供給から除去するか、または使用前のプール血漿の汚染されたロットを除去するのを容易にすることが可能である。
【0006】
パルボウイルスB19で潜在的に汚染されている血液、血清または血漿を同定するのに、免疫診断法が使用されてきている。多くの方法は、個体の血清または血漿に存在する抗パルボウイルス抗体(IgMまたはIgG)を検出する(例えばWolfらによるPCT第WO 96/09391号およびHedmanらによる第WO 96/27799号を参照されたい)。しかし、免疫学的方法は、感染性病原体に対する体の反応の検出に頼るため、最近の感染または現在の感染を検出するのには制限がある。感染後には迅速にウイルス血症が発生するため、抗パルボウイルス抗体が検出可能になる前でも、個体の血液が高レベルのパルボウイルスB19を含有する可能性があり、これは偽陰性結果につながる。ウイルス血症は、しばしば、迅速に一掃されるため、感染性粒子が存在していない場合であっても、個体が抗体陽性のままである可能性もあり、これは偽陽性結果につながる。また、約90%までの成人がパルボウイルスB19に関して血清陽性であり、このため、最近の感染または現在の感染を正確に免疫学的方法で検出するのが困難である。他のアッセイは、精製細胞受容体に結合したウイルスまたは空のウイルスキャプシドを検出することによって、パルボウイルスB19の存在を検出する(Youngらに対する米国特許第5,449,608号)。
【0007】
ヒト・パルボウイルスB19を検出するのに、DNAハイブリダイゼーション法および増幅法が用いられてきた。Murtaghらに対する米国特許第5,688,669号は、PCRを用いることにより、パルボウイルスB19の284bp部分を増幅して、そしてその後、増幅されたdsDNAをエキソヌクレアーゼで消化し、ssDNAを作製することによる、パルボウイルスB19の検出を記載する。ssDNAを2つの別個のオリゴヌクレオチドプローブ、捕捉プローブおよび検出プローブにハイブリダイズさせ、そして例えばマイクロタイタープレート中の比色アッセイを用いることによって、固体支持体上でハイブリッドを検出した。Weimerらに対する米国特許第6,183,999号は、血漿タンパク質溶液において、高力価のパルボウイルスB19を検出する核酸増幅アッセイを開示する。最適でないアニーリング温度および伸長温度を用いて、NS1遺伝子中のDNAを増幅することによって、該アッセイを用いて、試料における例外的に大量の病原性ウイルスの存在を示す。WolfらによるPCT第WO 96/09391号は、PCR増幅された断片を連結することによる、NS−1タンパク質をコードする配列のクローニングを記載する。入れ子(nested)PCRおよび/またはドットブロットアッセイを用いて、患者血清中のパルボウイルスDNAを検出し、そして結果を症状およびNS−1タンパク質に対する体液性免疫反応と相関させた。NguyenらによるPCT第WO 99/28439号は、パルボウイルスB19のゲノム配列、並びに診断剤および免疫原剤として有用な断片を開示する。BarrettらによるPCT第WO 99/43362号は、PCR増幅に基づく定量的試験を開示して、病原体を除去するためのろ過後、血漿タンパク質がヒト・パルボウイルスB19を含まないことを立証した。LazoらによるPCT第WO 01/06019号は、ヒトおよびブタ・パルボウイルス配列にハイブリダイズ可能な、DNAオリゴヌクレオチド配列を開示する。これらのオリゴヌクレオチドは、PCR反応において、パルボウイルスDNAのNSおよびVP領域中の部分を増幅するプライマーとして、そして増幅された配列を検出するプローブとして、働くことが可能である。ヒト・パルボウイルスB19 DNAと同時精製され、そして同時増幅される内部対照として、ブタ・パルボウイルスが試料中に導入される。ZerlauthらによるPCT第WO 01/14593号は、あらかじめ決定した、異なる検出感度を有する、2つの核酸増幅プロセスを用いることによって、プールした生物学的試料中の、パルボウイルスB19などの汚染微生物を検出する方法であって、汚染試料を同定しそして除去するのに用いる前記方法を開示する。該アッセイはまず、核酸増幅を用いて、第一の検出限界で、微生物核酸の存在を検出することによって、多数の試料を合わせたアリコットで構成されるスクリーニングプールを試験する。次に、第一の検出限界に比較して、より感受性でない検出限界を有する第二の核酸増幅を用いることによって、陽性スクリーニングプール由来のサブプールを試験する。この方法の一例は、パルボウイルスB19 DNA断片のPCR増幅を用い、そして蛍光標識プローブを用いて検出することによって血漿を試験した。
【0008】
TijssenらによるPCT第WO 02/00924号は、ウイルス・ホスホリパーゼAタンパク質または関連ポリペプチドをコードする配列を含有する、ヒト・パルボウイルスを含む多様なパルボウイルスに由来する核酸配列を開示する。これらは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含めて、ウイルス・ホスホリパーゼA活性または発現を阻害可能な剤を同定するのに有用であり、または遺伝子療法用に改善された組換えベクターを作製するのに有用である。
【0009】
SugamuraらによるJP 04088985は、PCRを用いて、クローニングベクターに組み込まれたDNA断片を増幅することによってクローニングされた、ヒト・パルボウイルスB19タンパク質VP−1をコードする、クローニングされた遺伝子を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の概要
本発明の1つの側面は、少なくとも2つの別個の核酸オリゴマーの組み合わせであって、オリゴマーが:配列番号4、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む前記配列、配列番号6、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む前記配列、配列番号8、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む前記配列、配列番号10、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む前記配列、配列番号12、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む前記配列、配列番号24、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む前記配列、配列番号26、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む前記配列、配列番号13、その相補配列、またはRNA均等物、配列番号14、その相補配列、またはRNA均等物、配列番号15、その相補配列、またはRNA均等物、配列番号16、その相補配列、またはRNA均等物、配列番号17、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号18、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号27、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号28、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号30、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号31、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号32、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号34、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号36、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号37、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、配列番号1、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分、配列番号2、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分、配列番号20、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分、並びに配列番号21、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分からなる群より選択される、前記組み合わせである。1つの態様において、組み合わせは:配列番号13、その相補配列、またはRNA均等物、配列番号24、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む前記配列、配列番号27、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列、および配列番号28、その相補配列、またはRNA均等物であって、場合によって該配列につながれた検出可能標識を持つ前記配列からなる群より選択される。プロモーター配列がオリゴマー配列の5’末端につながれている態様において、好ましいプロモーター配列は配列番号19である。
【0011】
本発明の別の側面は、配列番号29に含有される標的特異的配列、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分からなる、核酸オリゴマーである。1つの態様において、該オリゴマーは、配列番号20の標的特異的配列、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分を含有する。別の態様において、該オリゴマーは、配列番号21の標的特異的配列、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分を含有する。さらに別の態様は、配列番号41の標的特異的配列、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分を含有する、オリゴマーである。
【0012】
本発明の1つの側面は、配列番号1に含有される、少なくとも25の隣接する塩基の標的特異的配列、その相補配列、またはRNA均等物、および場合によって、パルボウイルス標的配列に非特異的な3’テール部分からなる、核酸オリゴマーである。
【0013】
本発明の別の側面は、配列番号33に含有される配列、その相補配列、またはRNA均等物からなる、核酸オリゴマーである。1つの態様において、該オリゴマーは、配列番号40からなる配列、その相補配列、またはRNA均等物を含んでなる。別の態様は、配列番号32または配列番号28の配列、その相補配列、またはRNA均等物を含有する、オリゴマーである。1つの態様は、配列番号39からなる配列、その相補配列、またはRNA均等物を含んでなる、オリゴマーである。別の態様において、該オリゴマーは、配列番号30または配列番号31の配列、その相補配列、またはRNA均等物を含有する。いくつかの態様において、該オリゴマーは、少なくとも1つの2’−O−メトキシ連結を含む主鎖を有する。
【0014】
本発明の別の側面は、配列番号35に含有される配列、その相補配列、またはRNA均等物からなる、核酸オリゴマーである。態様には、配列番号17、配列番号27、もしくは配列番号34の配列、またはその相補配列、またはRNA均等物を含有するオリゴマーが含まれる。さらなる態様において、該オリゴマーは、少なくとも1つの2’−O−メトキシ連結を含む主鎖を有する。
【0015】
本発明の別の側面は、配列番号36、その相補配列、またはRNA均等物、および配列番号37、その相補配列、またはRNA均等物からなる群より選択される、核酸オリゴマーである。いくつかの態様において、該オリゴマーは、少なくとも1つの2’−O−メトキシ連結を含む主鎖を有する。
【0016】
本発明の1つの側面は、生物学的試料において、ヒト・パルボウイルスB19核酸を検出する方法であって、パルボウイルスB19核酸を含有する生物学的試料を提供し;少なくとも1つの核酸ポリメラーゼ活性、並びに配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号24、または配列番号26の第一の増幅オリゴマーであって、場合によって、各々、該配列の5’末端につながれたプロモーター配列を含む、前記の第一の増幅オリゴマー、および配列番号13、配列番号14、配列番号15、または配列番号16の第二の増幅オリゴマーからなる群より選択される、少なくとも1つの第一の増幅オリゴマーおよび1つの第二の増幅オリゴマーを用いることによって、パルボウイルスB19核酸の部分をin vitro増幅し;そしてパルボウイルスB19核酸の増幅された産物に特異的にハイブリダイズする、標識された検出プローブを用いることによって、増幅された該産物を検出し、それによって生物学的試料におけるパルボウイルスB19核酸の存在を示す工程を含んでなる、前記方法である。いくつかの態様において、増幅工程は、オリゴマー対の以下の群:5’末端につながれたプロモーター配列を含む配列番号4と、配列番号13、5’末端につながれたプロモーター配列を含む配列番号6と、配列番号13、5’末端につながれたプロモーター配列を含む配列番号24と、配列番号13、および5’末端につながれたプロモーター配列を含む配列番号26と、配列番号13より選択される、少なくとも2つのオリゴマーを用いる。態様には、実質的に等温の増幅反応を用いる、増幅工程が含まれる。いくつかの態様において、検出工程は、配列番号17、配列番号18、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号34、配列番号36、および配列番号37からなる群より選択される、標識された検出プローブを用いる。他の態様において、標識された検出プローブは、配列番号17、配列番号27、および配列番号28からなる群より選択される。いくつかの態様は、少なくとも1つの2’−O−メトキシ連結を含む主鎖を持つ、標識された検出プローブを用いる。検出工程の態様は、均質(homogeneous)反応において検出される標識を含む、標識された検出プローブを用いることが可能である。いくつかの態様において、標識された検出プローブには、リンカー化合物を介してオリゴマーに付着した化学発光標識が含まれる。本発明の方法の1つの態様には、パルボウイルスB19標的配列にハイブリダイズする標的特異的配列を含んでなる、少なくとも1つの捕捉オリゴマーと、生物学的試料を接触させ、こうして、捕捉オリゴマーおよびパルボウイルスB19核酸を含んでなる複合体を形成し;そして増幅工程前に、生物学的試料から該複合体を分離する工程がさらに含まれる。いくつかの態様において、該方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号20、もしくは配列番号21に含有される標的特異的配列の、少なくとも25の隣接する塩基、またはそのRNA均等物を含んでなる、捕捉オリゴマーを用いる。いくつかの態様において、捕捉オリゴマーの主鎖には、少なくとも1つの2’−O−メトキシ連結が含まれる。
【0017】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示のみであり、そして本発明を限定しないことを理解すべきである。詳細な説明および実施例は、本発明の多様な態様を例示し、そして本発明の原理を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の詳細な説明
本出願は、in vitro核酸増幅に含まれるアッセイを用いて、生物学的試料に存在するパルボウイルスB19核酸配列を増幅するためのプライマーおよび該配列を検出するためのプローブとして用いる、オリゴヌクレオチド配列を開示する。該方法の好ましい態様は、転写仲介核酸増幅(Kacianらに対する米国特許第5,399,491号および第5,554,516号に先に詳細に開示されるようなもの)を用いる。増幅された核酸を検出するのに好ましい方法には、増幅された配列の部分に特異的にハイブリダイズする配列特異的プローブを用いることが含まれる。好ましくは、該方法は、混合物において、増幅された核酸に結合する標識プローブを検出する、既知の均質検出工程いずれかを用いる(例えば、Arnoldら, Clin. Chem. 35:1588−1594(1989);Nelsonらに対する米国特許第5,658,737号、並びにLizardiらに対する米国特許第5,118,801号および第5,312,728号に開示されるようなもの)。本出願はまた、核酸ハイブリダイゼーション技術を用いることによって、パルボウイルスB19標的DNAを捕捉するのに有用なオリゴヌクレオチド配列も開示する。捕捉工程の1つの態様は、捕捉された標的を分離するのに磁気粒子を用いる(Weisburgらに対する米国特許第6,110,678号を参照されたい)。
【0019】
「生物学的試料」によって、パルボウイルス核酸を含有する可能性がある、生存しているヒトまたは死亡したヒト由来の組織または材料いずれかを意味し、これには、例えば、痰、末梢血、血漿、血清、リンパ節を含む生検組織、呼吸組織または滲出物、あるいは他の体液、組織または材料が含まれる。試料を処理して、物理的、化学的および/または機械的に組織または細胞構造を破壊し、こうして、細胞内構成要素を遊離させる。試料調製には、解析用試料を調製するのに用いる、緩衝剤、塩、界面活性剤等を含有する溶液を用いることが可能である。
【0020】
「核酸」によって、窒素性複素環塩基、または塩基類似体(analog)を有し、核酸主鎖連結(例えばホスホジエステル結合)によってともに連結されて、ポリヌクレオチドを形成する、ヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を含んでなる多量体化合物を意味する。用語「核酸」には、慣用的なRNAおよびDNAが含まれ、その類似体も含まれる。核酸の主鎖には、多様な連結、例えば、1以上の糖−ホスホジエステル連結、ペプチド−核酸結合(Hydig−HielsenらによるPCT第WO 95/32305号を参照されたい)、ホスホロチオエート連結またはメチルホスホネート連結、あるいは単一オリゴヌクレオチドにおける、こうした連結の混合物が含まれることが可能である。核酸の糖部分は、リボースまたはデオキシリボースいずれか、あるいは既知の置換、例えば2’メトキシ置換および2’ハロゲン化物置換を持つ類似の化合物(例えば2’−F)であることが可能である。慣用的な窒素性塩基(A、G、C、T、U)、既知の塩基類似体(例えばイノシン;The Biochemistry of the Nucleic Acids 5−36, Adamsら監修, 第11版, 1992を参照されたい)、プリンまたはピリミジン塩基類の誘導体(例えば、N−メチルデオキシグアノシン、デアザ−プリン類またはアザ−プリン類およびデアザ−ピリミジン類またはアザ−ピリミジン類、5位または6位に置換基を有するピリミジン類、2位、6位または8位に置換基を有するプリン塩基類、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−メチルグアニン、4−チオ−ピリミジン類、4−アミノ−ピリミジン類、4−ジメチルヒドラジン−ピリミジン類、およびO−アルキル−ピリミジン類(CookによるPCT第WO 93/13121号)および「無塩基性(abasic)」残基(すなわち、1以上の主鎖位に関して、窒素性塩基が含まれない)(Arnoldらに対する米国特許第5,585,481号)が用語、核酸に含まれる。すなわち、核酸は、RNAおよびDNAに見られる慣用的な糖、塩基および連結のみを含んでなることが可能であるし、あるいは慣用的な構成要素および置換両方(例えばメトキシ主鎖を介して連結される慣用的塩基および類似体、あるいはRNA主鎖またはDNA主鎖を介して連結される慣用的塩基および1以上の塩基類似体)を含むことが可能である。
【0021】
オリゴマーの主鎖は、ハイブリダイゼーション複合体(例えば、捕捉オリゴマーとその標的核酸の間に形成されるもの)の安定性に影響を与える可能性がある。こうした態様には、ペプチド連結、2’−O−メトキシ連結および糖−ホスホジエステル型連結が含まれる。ペプチド核酸は、RNAとハイブリダイゼーション複合体を形成するのに好適である。2’−メトキシ置換RNA基または2’−フルオロ置換RNAを有するオリゴマーは、標準的DNAまたはRNAに比較して増進したハイブリダイゼーション複合体安定性を有する可能性があり、そして相補的2’−OH RNAとハイブリダイゼーション複合体を形成するのに好ましい。2つの糖基をつなぐ連結は、総電荷または電荷密度に影響を与えることによって、あるいは静電相互作用に影響を与えることによって、ハイブリダイゼーション複合体安定性に影響を与える可能性がある(例えば大きな連結は、ハイブリダイゼーション複合体安定性を減少させる可能性がある)。複合体安定性に影響を与える、好ましい連結には、中性基(例えばメチルホスホネート類)または荷電基(例えばホスホロチオエート類)が含まれる。
【0022】
「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」によって、一般的に1,000残基未満を有する核酸を意味し、約5ヌクレオチド残基の下限および約500ヌクレオチド残基の上限を有するサイズ範囲にあるポリマーが含まれる。本発明のいくつかの態様のオリゴマーは、約5〜約15残基の下限および約50〜100残基の上限を有するサイズ範囲にある。オリゴマーの好ましい態様は、約10〜約25残基の下限および約25〜約60残基の上限を有するサイズ範囲にある。オリゴマーは、天然存在供給源から精製可能であるが、一般的には、周知の酵素的方法または化学的方法いずれかを用いることによって、in vitroで合成する。一般的に、2’−O−メトキシ主鎖を持つ本発明のオリゴマーをin vitroで合成する際には、糖−ホスホジエステル連結で合成されたオリゴマーにおいて、同一配列中、3’Tが標準的デオキシヌクレオチドであることを除き、チミン(T)塩基に占められる位で、ウラシル(U)塩基を用いる。すなわち、メトキシオリゴヌクレオチドは、リボース部分の2’位にメトキシ基を有し、そしてTがオリゴマーの3’端に存在する場合を除いて、標準的DNAオリゴヌクレオチドにおけるT残基の塩基位にUを有する。オリゴマーが「OMeT」残基を含有すると明記される場合、塩基位はT残基に占められ、そして主鎖は2’−O−メトキシ連結を含んでなる。オリゴマー塩基配列は、頻繁に、DNA配列と称される(すなわちT残基を含有する)が、当業者は、対応するRNA配列(すなわち、同一塩基配列であるが、Tの代わりにUを含有する配列)、あるいは相補DNAまたは相補RNA配列が、明記されるDNA配列の実質的に均等の態様であることを認識するであろう。実際、上述のように、2’−O−メトキシ主鎖を持つオリゴマーは、同一オリゴマー中にU塩基およびT塩基の混合物を含有することが可能である。
【0023】
「増幅オリゴヌクレオチド」または「増幅オリゴマー」によって、標的核酸またはその相補鎖にハイブリダイズし、そして核酸増幅に関与するオリゴヌクレオチドを意味する。例には、プライマーおよびプロモーター・プライマーが含まれる。好ましくは、増幅オリゴヌクレオチドは、標準的ハイブリダイゼーション条件下で、標的核酸配列(またはその相補鎖)のある領域に特異的にハイブリダイズする、少なくとも10の隣接塩基、そしてより好ましくは少なくとも約12の隣接塩基であるが、約65塩基未満である隣接塩基を含有する。標的配列にハイブリダイズする隣接塩基は、増幅オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列に、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは約100%相補的である。増幅オリゴヌクレオチドは、好ましくは、長さ約20〜約60nt(例えば21〜56nt)であり、そして場合によって、修飾ヌクレオチドを含むことが可能である。
【0024】
増幅オリゴマーは、「プライマー」または「プロモーター・プライマー」と称することが可能である。「プライマー」は、テンプレート核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを指し、そして既知の重合反応において、伸長可能な3’端を有する。プライマーの5’領域は、標的核酸に非相補的であることが可能であり、例えば5’非相補的領域は、プロモーター配列を含むことが可能であり、そして該オリゴマーは「プロモーター・プライマー」と称される。当業者は、プライマーとして機能可能なオリゴマー(すなわち、標的配列に特異的にハイブリダイズし、そしてポリメラーゼによって伸長可能な3’端を有する増幅オリゴヌクレオチド)がいずれも、5’プロモーター配列を含み、そしてしたがってプロモーター・プライマーとして機能するよう修飾可能であると認識するであろう。同様に、いかなるプロモーター・プライマーも、プロモーター配列を除去するか、またはプロモーター配列なしで合成することによって修飾して、そしてプライマーとして機能させることが可能である。
【0025】
「増幅」は、多コピーの標的核酸配列あるいはその相補体または断片を得るための既知の方法いずれかを指し、そして好ましい態様は、配列特異的な方法を用いることによって、標的を特異的に増幅する。既知の増幅法には、例えば、転写仲介増幅、レプリカーゼ仲介増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)増幅および鎖置換増幅(SDA)が含まれる。レプリカーゼ仲介増幅は、自己複製RNA分子、およびQB−レプリカーゼなどのレプリカーゼを用いる(例えば、Kramerらに対する米国特許第4,786,600号、およびPCT第WO90/14439号を参照されたい)。PCR増幅は周知であり、そしてDNAポリメラーゼ、配列特異的プライマー、および熱サイクリングを用いて、多コピーの2つの相補DNA鎖またはcDNA鎖を合成する(例えば、Mullisらに対する米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,800,159号、並びにMethods in Enzymology 1987, Vol.155:335−350)。LCR増幅は、少なくとも4つの別個のオリゴヌクレオチドを用いて、ハイブリダイゼーション、連結、および変性の多数の周期を用いることにより、標的およびその相補鎖を増幅する(EP特許第0 320 308号)。SDAは、標的配列が含まれる半修飾DNA二重鎖の一方の鎖にニックを形成する制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含有するプライマーを用い、その後、一連のプライマー伸長および鎖置換工程における増幅を続けることによって増幅する(Walkerらに対する米国特許第5,422,252号)。以下に例示するように、好ましい態様では、転写仲介増幅を用いる。当業者は、本発明の方法工程および増幅オリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ活性によるプライマー伸長に基づく、多様な核酸増幅法に容易に適応可能であることを理解するであろう。
【0026】
標的配列の「断片」または「部分」の増幅は、全標的領域核酸配列またはその相補体より短い配列を含有する、増幅された核酸の産生を指す。標的配列の部分を増幅することによって、例えば標的配列の内部位にハイブリダイズし、そして内部位から重合を開始する、増幅オリゴヌクレオチドを用いることによって、こうした断片を産生することが可能である。
【0027】
「転写仲介増幅」(TMA)または「転写関連増幅」によって、RNAポリメラーゼを用いて、核酸テンプレートから多数のRNA転写物を産生する、核酸増幅を意味する。転写仲介増幅は、一般的に、RNAポリメラーゼ活性およびDNAポリメラーゼ活性、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸、並びにプロモーター・プライマーを使用し、そして場合によって、「ヘルパー」オリゴマーを含む1以上の他の増幅オリゴヌクレオチドを含むことが可能である。転写関連増幅の変型が当該技術分野に周知であり、そして別の箇所に詳細に記載される(Kacianらに対する米国特許第5,399,491号および第5,554,516号、Burgらに対する米国特許第5,437,990号、Malekらに対する米国特許第5,130,238号、Urdeaらに対する米国特許第4,868,105号および第5,124,246号、KacianらによるPCT第WO 93/22461号、GingerasらによるPCT第WO 88/01302号および第WO 88/10315号、McDonoughらによるPCT第WO 94/03472号、並びにRyderらによるPCT第WO 95/03430号を参照されたい)。米国特許第5,399,491号および第5,554,516号の方法が、好ましい増幅態様である。
【0028】
「プローブ」によって、ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、核酸において、好ましくは増幅された核酸において、標的配列に特異的にハイブリダイズし、それによって、標的または増幅された核酸の検出を可能にする、核酸オリゴマーを意味する。検出は、直接(すなわち配列に直接ハイブリダイズしているプローブから生じる)であっても、または間接的(すなわちプローブを標的に連結する中間分子構造にハイブリダイズしているプローブから生じる)であってもいずれでもよい。プローブの「標的」は、一般的に、標準的水素結合形成(すなわち塩基対形成)によって、プローブオリゴマーの少なくとも一部に特異的にハイブリダイズする、増幅された核酸配列内の配列または該核酸配列のサブセットを指す。プローブは、標的特異的配列、およびプローブの三次元コンホメーションに寄与する他の配列を含んでなることが可能である(例えばLizardiらに対する米国特許第5,118,801号および第5,312,728号、並びにBeckerらに対する第6,361,945 B1号)。適切なハイブリダイゼーション条件下で、プローブの標的特異的配列に完全には相補的でない標的配列に、プローブオリゴマーが安定にハイブリダイゼーション可能である場合、配列は、「十分に相補的」である。
【0029】
「十分に相補的」によって、一連の相補塩基間の水素結合形成により、別の塩基配列とハイブリダイズ可能な、隣接核酸塩基配列を意味する。相補塩基配列は、標準的塩基対形成(例えばG:C、A:TまたはA:U)を用いることによって、オリゴマー配列中の各位で相補的であることが可能であるし、または相補的でない1以上の残基(無塩基性の位が含まれる)を含有することが可能であるが、この場合、適切なハイブリダイゼーション条件下で、相補塩基配列全体が別の塩基配列と特異的にハイブリダイズ可能である。隣接塩基は、オリゴマーがハイブリダイズすることが意図される配列に、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは100%相補的である。当業者は、適切なハイブリダイゼーション条件を容易に選択可能であり、該条件は、塩基配列組成に基づいて予測可能であるか、または日常的な試験を用いることによって決定可能である(例えば、Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 1989)§§1.90−1.91、7.37−7.57、9.47−9.51および11.47−11.57、特に§§9.50−9.51、11.12−11.13、11.45−11.47および11.55−11.57を参照されたい)。
【0030】
「捕捉オリゴヌクレオチド」または「捕捉オリゴマー」または「捕捉プローブ」によって、捕捉しようとする標的核酸に特異的にハイブリダイズし、そして標的を他の試料構成要素から単離しそして/または濃縮する手段を提供する、核酸オリゴマーを意味する。捕捉オリゴマーの態様には、2つの結合性領域:標的結合性領域および固定プローブ結合性領域が含まれ、これによって、捕捉オリゴマーはハイブリダイゼーション複合体を形成し、この複合体において、該捕捉オリゴマーの標的結合性領域が標的配列に結合し、そして固定プローブ結合性領域が固体支持体上に固定されたオリゴマーに結合する(Weisburgらに対する米国特許第6,110,678号および第6,280,952号を参照されたい)。標的結合性領域および固定プローブ結合性領域は、通常、同一捕捉オリゴマー上にあるが、2つの機能領域は、1以上のリンカーによってともにつながれた2つの異なるオリゴマー上に存在することが可能である。例えば、固定プローブ結合性領域が第一のオリゴマー上に存在し、標的結合性領域が第二のオリゴマー上に存在することが可能であり、そして2つのオリゴマーは、第一のオリゴマーおよび第二のオリゴマーの配列に特異的にハイブリダイズするリンカーである第三のオリゴマーと水素結合することによってつながれる。また、捕捉プローブの標的結合性領域を捕捉プローブの標的特異的部分と称することも可能であり、そして固定プローブ結合性領域をテール部分と称することも可能である。テール部分の態様には、ホモポリマー(例えばポリdTまたはポリdA)または非ホモポリマー(例えばT1−330)が含まれ、これらは好ましくは、オリゴマーの標的特異的部分の3’端に付着している。
【0031】
「固定プローブ」または「固定オリゴマー」によって、固定した支持体に捕捉オリゴマーを直接または間接的につなぐ核酸オリゴマーを意味する。固体支持体につながれた固定プローブは、結合した標的配列を試料中の未結合成分から分離するのを容易にする。溶液中のマトリックスおよび粒子、例えばニトロセルロース、ナイロン、ガラス、ポリアクリレート、混合ポリマー、ポリスチレン、シランポリプロピレンおよび金属粒子、好ましくは磁気誘引可能粒子など、いかなる既知の固体支持体も使用可能である。好ましい支持体は、固定プローブが直接(例えば直接共有結合、キレート化、またはイオン性相互作用を介して)、または間接的に(例えば1以上のリンカーを介して)つながれ、連結または相互作用が核酸ハイブリダイゼーション条件中、安定である、単分散常磁性球体(例えば、±5%でサイズが均一)である。
【0032】
「分離」または「精製」によって、生物学的試料の1以上の構成要素を、少なくとも1つの他の試料構成要素から取り除くことを意味する。試料構成要素は、一般的に、核酸、塩、タンパク質、炭水化物、および脂質の水性溶液を含む。核酸を分離する工程または核酸を精製する工程は、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約90%、そしてより好ましくは少なくとも約95%の他の試料構成要素を取り除く。
【0033】
「標識」によって、検出可能であるか、または検出可能シグナルを導くことが可能な分子部分または化合物を意味する。標識は、直接または間接的に、核酸プローブにつながれている。直接標識は、標識をプローブに連結する結合または相互作用を用い、これらには、水素結合、疎水性相互作用およびイオン性相互作用などの、共有結合または非共有相互作用が含まれ、あるいはキレートまたは配位複合体の形成を通じて直接標識する。間接標識は、標識およびプローブを連結する、架橋部分または「リンカー」(例えばオリゴヌクレオチドまたは抗体)を用いる。リンカーを用いて、検出可能シグナルを増幅することが可能である。標識は、既知の検出可能部分いずれか、例えば放射性核種、リガンド(例えばビオチン、アビジン)、酵素または酵素基質、反応性基、または発色団、例えば色素または検出可能粒子(例えばラテックスビーズまたは金属粒子)、発光化合物(例えば生物発光、燐光または化学発光標識)および蛍光化合物である。好ましくは、標識プローブ上の標識は、均質反応において検出可能である(すなわち、混合物において、結合した標識プローブが、未結合標識プローブに比較して、検出可能な変化、例えば安定性または異なる分解を示す)。均質アッセイに使用する標識の1つの態様は、化学発光化合物(例えばWoodheadらに対する米国特許第5,656,207号、Nelsonらに対する米国特許第5,658,737号、およびArnold, Jr.らに対する米国特許第5,639,604号に詳細に記載されるもの)である。好ましい化学発光標識はアクリジニウムエステル(AE)化合物、例えば標準的AEまたはその誘導体(例えば、ナフチル−AE、オルト−AE、1−または3−メチル−AE、2,7−ジメチル−AE、4,5−ジメチル−AE、オルト−ジブロモ−AE、オルト−ジメチル−AE、メタ−ジメチル−AE、オルト−メトキシ−AE、オルト−メトキシ(シンナミル)−AE、オルト−メチル−AE、オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−メタ−ジフルオロ−AE、および2−メチル−AE)である。合成、および核酸に標識を付着させ、そして標識を検出する方法は、当該技術分野に周知である(例えばSambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 1989), 第10章;Kourilskyらに対する米国特許第4,581,333号、Nelsonらに対する米国特許第5,658,737号、Woodheadらに対する米国特許第5,656,207号、Hoganらに対する米国特許第5,547,842号、Arnold, Jr.らに対する米国特許第5,283,174号;およびBeckerらによるEP特許公報第0747706号を参照されたい)。均質アッセイに使用する標識の別の態様は、プローブが標的にハイブリダイズしていない場合、蛍光標識に機能的に近接する消光剤化合物とともに、プローブに付着している蛍光化合物である(例えばLizardiらに対する米国特許第5,118,801号および第5,312,728号、並びにBeckerらに対する米国特許第6,361,945 B1号)。
【0034】
「均質検出可能標識」は、標識プローブが標的配列にハイブリダイズしているかどうかに基づいて、均質な方式で、その存在を検出可能な(すなわち、標識または標識プローブの非ハイブリダイズ型を物理的に取り除かなくても検出可能である)標識を指す。均質検出可能標識およびその検出法の態様が記載されている(Arnoldらに対する米国特許第5,283,174号、Woodheadらに対する米国特許第5,656,207号、Nelsonらに対する米国特許第5,658,737号、Lizardiらに対する米国特許第5,118,801号および第5,312,728号、並びにBeckerらに対する米国特許第6,361,945B1号)。
【0035】
「本質的にからなる」によって、本発明の基本的なそして新規の特性を実質的に変化させない、さらなる構成要素(単数または複数)、および方法工程(単数または複数)が含まれていてもよいことを意味する。こうした特性には、本明細書に記載し、請求する構成要素または方法工程であって、出発材料中、約100〜500コピーのパルボウイルスB19 DNAを検出する感度で、パルボウイルスB19 DNA由来の核酸増幅産物を含むパルボウイルスB19核酸配列を検出する、前記構成要素または方法工程に、実質的な影響を持たない、塩、緩衝剤、核酸オリゴマーおよび類似の生化学的試薬が含まれる。同様に、アッセイの基本的な性質に実質的な影響を持たない、さらなる方法工程を含むことが可能である。
【0036】
本発明のアッセイは、生物学的試料(例えば血液、血清、血漿、痰、気管支洗浄液)に存在するヒト・パルボウイルスを検出する。1つの態様において、アッセイは、プールまたは個々のドナー由来いずれかの血漿試料における、パルボウイルスB19 DNAを検出した。血漿標本を調製するため、標準法を用いて、全血試料を遠心分離し、そして試験する前に血漿を4℃または−20℃に保管した。標本中のウイルス粒子を溶解するため、界面活性剤を含有する溶解試薬を標本と混合して、ウイルス粒子からパルボウイルスB19 DNAを遊離させた。標本プロセシングは、溶解試薬中に捕捉オリゴマーおよび固定オリゴマーを含むことによって、ウイルス溶解とウイルス標的DNAの精製を組み合わせることが可能である。その後、該方法には、パルボウイルスB19 DNAを捕捉オリゴマーに特異的にハイブリダイズさせ、捕捉オリゴマーをその後、固定オリゴマーにハイブリダイズさせ、そして結合した複合体(すなわち固定オリゴマー、捕捉オリゴマー、およびウイルス標的DNA)を他の試料構成要素から実質的に分離する、標的捕捉工程が含まれる。結合したパルボウイルス含有複合体を含む固体支持体を洗浄することによって、残った試料構成要素を洗い流す。こうして、結合したパルボウイルスB19核酸を固体支持体から遊離させることなく、ウイルス標的DNAを他の試料構成要素から分離し、そして結合した複合体中で濃縮する。
【0037】
典型的な試料プロセシングは以下の工程を伴った(米国特許第6,110,678号に詳細に記載されるとおり)。体液(例えば血漿0.5ml)中のウイルス粒子を、標的捕捉試薬(790mM HEPES、680mM LiOH、10%ラウリル硫酸リチウム(LLS)、230mMスクシネート、7pm/mlの少なくとも1つの捕捉プローブ、および磁気粒子(SERADYNTM、インディアナ州インディアナポリス)に結合させたポリdT14 100μg/ml)と60℃で接触させて溶解した。捕捉オリゴマーは、パルボウイルスB19ゲノム配列の一部である標的配列に相補的であり、そして該標的配列に特異的にハイブリダイズする5’標的特異的配列(例えば配列番号1、2、20および21)、および固体支持体に付着した相補オリゴマー(例えばオリゴdT)にハイブリダイズする3’テール配列(例えばオリゴdA)で構成された。捕捉プローブの他の好ましい態様は、配列番号41を含む27〜33ヌクレオチドの標的相補配列を含有するオリゴマー、並びに配列番号22および配列番号29に示す標的配列に特異的に結合するオリゴマーである。混合物を第一の温度(60℃)でインキュベーションして、捕捉オリゴマーがパルボウイルスB19 DNA中の相補標的配列に特異的に結合するのを可能にすることによって、この反応混合物において、標的捕捉ハイブリダイゼーションが起こる。その後、混合物を40℃以下(例えば室温)に冷却して、捕捉オリゴマーの3’テールが粒子上の相補オリゴマーにハイブリダイズするのを可能にした。第二のハイブリダイゼーション後、例えば重力分離、遠心分離、または磁気分離を用いることによって、混合物を処理して、他の試料構成要素から、結合した核酸結合複合体を含む固体支持体を分離する。一般的に、分離には、結合した核酸複合体を含む磁気粒子を試験管側面に引き寄せる磁石を含有するラックを使用した。その後、磁気粒子を洗浄緩衝液(10mM HEPES、6.5mM NaOH、1mM EDTA、0.3%(v/v)無水エタノール、0.02%(w/v)メチルパラベン、0.01%(w/v)プロピルパラベン、150mM NaCl、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、pH7.5)に懸濁し、試験管側面に粒子を分離し、そして上清を除去することによって、上清を除去し、そして粒子上の結合した複合体を1mlの洗浄緩衝液で洗浄した。
【0038】
試料調製に続いて、in vitro酵素仲介核酸合成によって増幅される領域の5’端および3’端を定義する増幅オリゴマー対を用いることによって、パルボウイルスB19 DNA標的の増幅を達成した。1つの態様は、実質的に米国特許第5,399,491号および第5,554,516号に記載されるとおりであり、検出可能な多数の増幅産物(RNA転写物)を産生する、実質的な等温系である、転写仲介増幅(TMA)法を用いる。該方法の態様は、少なくとも1つのプロモーター・プライマーが配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号23、および配列番号25からなる群より選択され、このプロモーター・プライマーを、配列番号13、配列番号14、配列番号15、および配列番号16からなる群より選択される少なくとも1つのプライマーと組み合わせた、増幅オリゴマーの混合物を用いた。他の態様は、少なくとも1つのプロモーター・プライマーが配列番号3、配列番号5、および配列番号9からなる群より選択され、このプロモーター・プライマーを、配列番号13および配列番号16からなる群より選択される少なくとも1つのプライマーと組み合わせた、増幅オリゴマーの混合物を用いた。いくつかの態様は、少なくとも1つのプロモーター・プライマーが配列番号3、配列番号23、および配列番号25からなる群より選択され、このプロモーター・プライマーを、配列番号13からなるプライマーと組み合わせた、増幅オリゴマーの混合物を用いた。当業者は、プロモーター・プライマーの標的特異的部分からなるオリゴマーが、標的配列にハイブリダイズ可能であり、そしてそのプロモーター配列(配列番号19)と独立に、酵素仲介核酸増幅のプライマーとして機能する3’端を提供可能であることを認識するであろう。こうしたオリゴマーには、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号24、および配列番号26の配列が含まれる。
【0039】
転写仲介増幅によって標的核酸を増幅すると、単一コピーの標的核酸から多くの核酸鎖が生じ、したがって、増幅された配列にハイブリダイズするプローブを検出することによって、標的を検出することが可能である。一般的に、反応混合物は、溶液中に、標的核酸、および少なくとも1つのプロモーター・プライマーを含む2つのプライマー、逆転写酵素活性およびRNAポリメラーゼ活性、核酸合成基質(デオキシリボヌクレオシド三リン酸およびリボヌクレオチド三リン酸)、並びに適切な塩および緩衝剤を含み、核酸テンプレートから多数のRNA転写物を産生する。簡潔には、第一のプロモーター・プライマーが、標的配列部分に特異的にハイブリダイズし、そしてRNアーゼH活性を含む逆転写酵素が、プロモーター・プライマーの3’伸長によって、第一鎖cDNAを生成する。第一のプロモーター・プライマーより下流で、cDNAを第二のプライマーとハイブリダイズさせ、そして逆転写酵素を用いて第二のプライマーの3’端から新規DNA鎖を合成して、一端に、機能するプロモーター配列を有するdsDNAを生成する。RNAポリメラーゼは、プロモーター配列位でdsDNAに結合し、そして多数の転写物または「単位複製配列(amplicon)」を転写する。これらの単位複製配列を、増幅プロセスにおいてさらに新規複製周期のテンプレートとして利用して、最終的に、最初の標的配列から、多量の一本鎖増幅核酸を生成する(例えば単一テンプレートから100〜3,000コピーのRNAが合成される)。該プロセスは、実質的に一定の反応条件を用いる(すなわち実質的に等温である)。典型的には、100μl増幅反応は、75μlの増幅試薬混合物(11.6mM Tris塩基、15.0mM Tris−HCl、22.7mM MgCl、23.3mM KCl、3.33%グリセロール、0.05mM酢酸亜鉛(二水和物)、各0.665mMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP、各5.32mMのATP、CTP、GTP、およびUTP、pH7)および25μlの酵素試薬混合物(700UのT7 RNAポリメラーゼ、1400Uのモロニーネズミ白血病ウイルス由来の逆転写酵素(MMLV−RT)、16mM HEPES(遊離酸、二水和物)、70mM N−アセチル−L−システイン、3mM EDTA、0.05%(w/v)アジ化ナトリウム、20mM Tris塩基、50mM KCl、20%(v/v)無水グリセロール、10%(v/v)TRITON(登録商標)X−102、および150mMトレハロース(二水和物)、pH7)を用い、好ましくは、固体粒子上に保持される、捕捉された標的核酸とこれらを混合する。酵素活性に関しては、1UのT7 RNAポリメラーゼは、T7プロモーターを含有するDNAテンプレートを用いると、37℃、1時間で、1nmolのATPをRNAに取り込み、そして1UのMMLV−RTは、テンプレートとしてオリゴdTにプライミングされるポリ(A)200〜400μmolを用いると、37℃、10分間で、1nmolのdTTPをDNAに取り込む。
【0040】
増幅後、好ましくは、増幅された配列の一部に特異的にハイブリダイズする、少なくとも1つの標識核酸プローブとのハイブリダイゼーションによって、パルボウイルスB19標的DNAから生成した増幅配列を検出する。プローブ態様には、約80℃〜85℃の範囲のTを有するものが含まれる。いくつかのプローブ態様には、配列番号17、配列番号18、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号34、配列番号36、および配列番号37の配列を有するオリゴマーが含まれる。他の態様は、配列番号38、配列番号39、または配列番号40に含有される配列を含む20〜22ヌクレオチドのオリゴマーである。他のプローブ態様には、配列番号33に含有される少なくとも21の隣接ヌクレオチドのオリゴマー、および配列番号35に含有される20〜25の隣接ヌクレオチドのオリゴマーが含まれる。好ましくは、均質反応において検出可能な標識を検出することによって、標識プローブの検出を達成する。したがって、いくつかの態様には、均質検出を可能にする周知の方法を用いて、アクリジニウムエステル(AE)化合物で標識したプローブが含まれる(例えば標識および検出法は、Arnold, Jr.らに対する米国特許第5,283,174号、Woodheadらに対する米国特許第5,656,207号、およびNelsonらに対する米国特許第5,658,737号に詳細に記載される)。リンカー化合物を介して、化学発光AE化合物をプローブ配列に付着させる(実質的にArnold, Jr.らに対する米国特許第5,585,481号および第5,639,604号に記載されるとおり、例えば第10欄第6行から第11欄第3行、および実施例8を参照されたい)。いくつかの態様において、AE化合物標識を、配列番号17の7位および8位の間、または11位および12位の間に、そして配列番号18の11位および12位の間に連結した。標識プローブのさらなる態様を、実施例9に記載する。1つの態様において、標識プローブオリゴマーは、核酸主鎖中に少なくとも1つの2’−O−メトキシ連結を有する(例えば2’−O−メトキシ主鎖を含んで合成した配列番号18)。典型的な検出工程において、プローブ試薬は、100mMスクシネート、2%(w/v)LLS、230mM LiOH(一水和物)、15mM 2,2’−ジチオジピリジン(ALDRITHIOL−2)、1.2M LiCl、20mM EDTA、20mM EGTA、3%(v/v)無水エタノールを含み、これをLiOHで約pH4.7にし、そして未結合プローブ上の標識を加水分解するのに用いる選択試薬は、600mMホウ酸、182mM NaOH、1%(v/v)TRITON(登録商標)X−100を含んだ。照度計(例えばLEADERTM450HC+、Gen−Probe社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて、相対光単位(RLU)としてシグナルを検出した。
【0041】
捕捉オリゴマー、増幅オリゴマーおよび検出プローブとして使用するのに適したDNA配列を選択するため、同一配列または類似配列の領域をマッチングさせ、そして周知の分子生物学技術を用いて比較することによって、部分配列または相補配列を含む、公的にアクセス可能なデータベース(例えばGenBank)から入手可能な、既知のパルボウイルスB19 DNA配列を並列させた。アルゴリズムの使用によって、配列比較を容易にすることが可能であるが、当業者は、手で、そして視覚的に、容易にこうした比較を行うことが可能である。一般的に、本発明に使用するための合成オリゴマーを設計する基礎として、比較配列間で、相対的に少数の変動を含有する配列部分を選択した。オリゴマーを設計する際の他の検討材料には、周知の方法を用いることによって決定されるような、相対的GC含量(Tに影響を与える)および配列内の予測される二次構造(分子内ハイブリッドを形成する可能性がある)の相対的欠如が含まれた。
【0042】
1つの態様において、体液(例えば血漿)試料0.5〜1mlを用いて、単一試験管中でアッセイを行い、反応あたりの約100〜500コピー/mlの標的DNAを検出する感度で、標的パルボウイルスB19 DNAを検出する。他の態様において、該アッセイは、個々の試料をプールした試料であることが可能な試料において、より多数の標的パルボウイルスB19 DNAを検出した。
【0043】
別に定義しない限り、本明細書に用いるすべての科学的および技術的用語は、相当する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書で用いる用語の多くの一般的な定義は、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 第2版(Singletonら, 1994, John Wiley & Sons, ニューヨーク州ニューヨーク)、The Harper Collins Dictionary of Biology(Hale & Marham, 1991, Harper Perennial, ニューヨーク州ニューヨーク)、およびTaber’s Cyclopedic Medical Dictionary, 第17版(F.A. Davis Co., ペンシルバニア州フィラデルフィア, 1993)に提供される。別に言及しない限り、本明細書で使用するかまたは意図する技術は、一般の当業者に周知の標準的方法論である。以下の実施例は、本発明の好ましい態様をいくつか例示し、そして例示の目的のみで提供される。
【実施例】
【0044】
実施例1:パルボウイルスB19 DNAの標的捕捉
標準的in vitro DNA合成反応を用いて、どちらも3’ dA30テールを有する、配列番号1の配列を有する捕捉プローブおよび配列番号2の配列を有する捕捉プローブを合成した。上述の標的捕捉法を用いて、各々、既知のコピー数の生存パルボウイルスB19(2,000、1,000、500または陰性対照の0)を加えておいた(spiked)、未感染ドナーから得たヒト血漿試料と、捕捉オリゴマーを混合した。血漿試料(一般的に0.5ml)を、各々別個に捕捉プローブ(反応あたり3.5pm)を含有する、等量の標的捕捉試薬と混合することによって、ウイルス粒子を溶解した。約60℃で約20分間、そしてその後、18〜25℃で約10〜20分間ハイブリダイゼーションさせることによって捕捉した後、上述のように、付着したハイブリダイゼーション複合体とともに、磁気粒子を2回洗浄した。粒子上に保持される複合体中のパルボウイルス標的配列を、実質的に実施例2に記載するように行うTMA反応中で増幅し、そしてAE標識プローブ(配列番号17)とハイブリダイゼーションさせることによって、増幅した標的配列を検出した。結果(結合した検出プローブから検出されたRLU)を表1に示す。これらの結果(約1.5x10のRLU)は、どちらの捕捉プローブも、陰性対照(RLU約2x10)に比較して、パルボウイルスB19 DNAに特異的に結合し、そして該DNAを試料から有効に捕捉することを示す。
【0045】
表1:標的捕捉後、パルボウイルスB19 DNAに結合している標識プローブの検出(RLU)
【0046】
【表1】

【0047】
実施例2:パルボウイルスB19 DNAの増幅および単位複製配列の検出
配列番号3のプロモーター・プライマーおよび配列番号13のプライマー(各々7.5pmol)を含有する、上述のような試薬(反応あたり75μl)を用い、そして200μlの不活性シリコン油で覆って蒸発を防いだTMA反応において、既知の量のパルボウイルスB19標的核酸(反応試験管あたり、1000、500、250、100、50および0コピーの変性ssDNA)を増幅した。混合物を60℃で10分間、その後、42℃で10分間インキュベーションし、そしてその後、25μlの酵素試薬を添加して、そして試験管を手で混合し、そしてその後、42℃で60分間インキュベーションした。増幅後、60℃で試料をインキュベーションし、そして配列番号17のプローブを含有する100μlのプローブ試薬を添加した。混合物を60℃で20分間インキュベーションし、そしてその後、300μlの選択試薬を添加し、混合し、そして上述のようにシグナル(RLU)を検出する前に、60℃で10分間、そして室温で10分間インキュベーションした。
【0048】
こうした増幅工程および検出工程後、各条件に関して5つの複製試料から検出したシグナルの平均は以下のとおりであった:すべて、1.64x10RLUを生じた陰性対照(0コピー)と比較して、1,000コピーは6.78x10RLUを生じ、500コピーは5.56x10RLUを生じ、250コピーは4.42x10RLUを生じ、100コピーは1.06x10RLUを生じ、そして50コピーは2.03x10RLUを生じた。これらの結果は、増幅および検出アッセイの感度が、少なくとも標的100コピーであることを示す。
【0049】
実施例3:標的捕捉を用いる増幅アッセイにおける、パルボウイルスB19の検出
本実施例では、実質的に実施例1に記載するように行った標的捕捉アッセイを、実質的に実施例2に記載するように行った増幅工程および検出工程と組み合わせた。試験した各試料に関して、ウイルス粒子のコピー数が既知であった(500、250、100および陰性対照の0)。捕捉プローブは、実施例1におけるとおりであり、そして増幅オリゴマーの組み合わせは、配列番号3と配列番号13、および配列番号5と配列番号13であった。検出プローブは配列番号17であった。表2に示す結果は、試験した条件各々に関して5つの試料の平均である。これらの結果は、アッセイの感度が、試料中、約250コピーの標的パルボウイルスDNAを検出可能であるか、またはそれより優れている(すなわち試料あたり100コピーを検出可能である)ことを示す。配列番号3と配列番号13のプライマーセットは、血漿からの捕捉において、ウイルス250コピーより優れた感度を有するとともに、実施例2に記載するような増幅および検出アッセイにおいて、100コピーの感度で、安定で、再現可能なシグナルを有する。
【0050】
表2:標的捕捉に増幅アッセイを加えて、検出されたシグナル(RLU)
【0051】
【表2】

【0052】
実施例4:臨床的標本の試験
正常血液ドナー集団におけるアッセイ特異性およびパルボウイルスB19 DNAの出現率(prevalence)を決定するため、臨床的血漿試料および商業的に入手可能な血漿試料に対して、実質的に実施例3に記載するように、TMAに基づくアッセイを行った(配列番号3および配列番号13の増幅オリゴマーを用いる)。HIVおよびHCVの存在に関して陰性である468の無作為血液ドナー標本(大カンザスシティー地域血液センター、ミズーリ州カンザスシティーから得た)に対してアッセイを行った。468のうち3つの標本(0.6%)がパルボウイルスB19に関して陽性であった(すなわち陽性対照に比較した際、少なくとも100コピーの標的に関して検出されるものと均等のシグナルを提供した)。TMAに基づく同アッセイを用いて再試験した際、およびパルボウイルスB19の異なる標的配列を増幅するPCRに基づくアッセイを用いて試験した際、3つの陽性試料はすべて、陽性結果を提供した。
【0053】
このTMAに基づくアッセイの感度を、標準化されたパルボウイルスB19 DNA標本(米国赤十字から得られ、そして米国遺伝学研究所によって定量化されたもの)に基づいて評価した。アッセイにおいて、パルボウイルスB19標準を500コピー/mlおよび200コピー/ml含有する陽性試料の検出は、それぞれ、100%(10試験中10)および80%(10試験中8)であった。1,000ゲノム均等物/mlを含有する別の標準(米国生物学的標準および対照研究所、またはNIBSCから得た)もまた、このアッセイでの試験結果は陽性であった。これらの結果は、このアッセイが、血液スクリーニング環境において、ヒト・パルボウイルスB19を検出するのに必要な感度および特異性を有することを示す。
【0054】
このTMAに基づくアッセイを用いて、パルボウイルスB19に関して抗体陽性であるいくつかの標本もまた試験した。抗パルボウイルスIgMに関して陽性である4つの血漿試料(LM00PP751、05256−520、05254−520、および05259−520、SeraCare Life Sciences, Inc.、カリフォルニア州オーシャンサイド)は、TMAに基づくアッセイを用いて試験した際、陽性対照としてのNIBSC標準に比較して、パルボウイルスB19 DNAに関して、すべて陽性の結果を生じた。抗パルボウイルス抗体およびパルボウイルスB19 DNA(PCRに基づく試験に基づく)に関して陽性である6つの標本(Chiron Corp.、カリフォルニア州エメリービルから得た)を、陰性ヒト血漿中、1対10に希釈した。TMAに基づくアッセイを用いて、希釈した試料をアッセイし、そして6つの標本すべてがパルボウイルスB19に関して陽性の試験結果であったことから、アッセイ感度が高レベルであることが示された。抗パルボウイルスB19 IgMに関して陽性の試験結果であった6つの血漿標本(BioClinical Partners, Inc.、米国メリーランド州フランクリン)もまた、TMAに基づくアッセイを用いて試験した。6つの血漿すべてがパルボウイルスB19核酸に関して陰性の試験結果であり、これらの血漿に、パルボウイルスB19に対する抗体が残存していたものの、ウイルスがドナーから一掃されていたことが示された。
【0055】
実施例5:多様な標的捕捉オリゴマーを用いた試料調製
本実施例は、アッセイの最初の工程において、すなわち捕捉オリゴマーへのハイブリダイゼーションを用いることによる、試料からのパルボウイルスB19 DNAの捕捉において、多様なオリゴマーを単独で、または組み合わせて用いることが可能であることを示す。これらの実験において、配列番号1、配列番号20および配列番号21のオリゴマーを3’ポリ(A)テール部分を含むように合成し、そして実質的に先に記載されるような方法(米国特許第6,110,678号)を用いて、試料からパルボウイルスB19 DNAを捕捉するのに使用した。簡潔には、パルボウイルスB19を含有する血漿試料を、溶解試薬、および1以上の捕捉オリゴマーを含有する捕捉試薬と混合し、そして混合物をインキュベーションして(60℃、20分間)、捕捉オリゴマーがパルボウイルス標的DNAにハイブリダイズするのを可能にした。該混合物はまた、捕捉オリゴマーの3’テール部分に相補的であり、そして磁気粒子に付着しているホモポリマー・オリゴマーも含有した。これらのホモポリマー相補配列を、第二のハイブリダイゼーション反応(25℃、14〜20分間)においてハイブリダイズさせ、そして磁気粒子に付着したハイブリダイゼーション複合体を残りの試料から分離し、そして増幅に進む前に洗浄した(例えばハイブリダイゼーション複合体を粒子上に保持する緩衝液1mlで2回)。これらの実験において、反応あたり3.5pmolの各捕捉オリゴマーを以下のように試験した:反応は、配列番号1、20および21を各々、個々に、そして多様なありうる組み合わせで(配列番号1および20、配列番号1および21、配列番号20および21、並びに配列番号1、20および21)含んだ。試料を捕捉試薬で処理した後、反応あたり各15pmolの配列番号23のプロモーター・プライマーおよび配列番号13のプライマー、並びに1時間のTMA反応に適切な塩、ヌクレオチドおよび酵素(実質的に、米国特許第5,399,491号および第5,554,516号に先に詳細に記載されるようなもの)を含有する増幅混合物中、付着したハイブリダイゼーション複合体を含む磁気粒子をインキュベーションした。nt7およびnt8の間で2−メチル−AE標識した配列番号17の検出プローブを添加し(反応あたり0.1pmol)、そして増幅産物とインキュベーションして(60℃、20分間)ハイブリダイゼーションを可能にし、そして先に詳細に記載されるように(米国特許第5,283,174号、第5,656,207号、および第5,658,737号)、化学発光シグナルを検出した(RLU)。
【0056】
実験の最初の一組において、試験したヒト血漿試料は、パルボウイルスB19をまったく含有しない(陰性試料)か、または反応あたり1,000コピーのパルボウイルスB19を含有し(陽性試料)、この試料は、標準化試料(NIBSC由来)との比較によって力価測定した(titrated)、感染血漿のストック試料(米国赤十字由来)から希釈することによって調製された。条件各々に関して、10の複製試料を試験した。検出した結果(RLU平均±標準偏差)を以下の表に示す。
【0057】
表3:異なる捕捉オリゴマーを用いて行ったアッセイの結果
【0058】
【表3】

【0059】
実験の第二の組において、血漿試料は、パルボウイルスB19をまったく含有しない(陰性試料)か、または多様な量のパルボウイルスB19(反応あたり、1,000、500、250、100および50コピー)を含有し、この試料は、上述のストック試料からの希釈によって調製された。各条件に関して、パルボウイルスB19を1,000および0コピー含有するものに関しては、5つの複製試料を試験し、そして他のすべてに関しては、10の複製試料を試験した。検出した結果(RLU平均±標準偏差)を以下に示す。陰性対照(反応あたり0コピー)のすべてに関して、検出されたバックグラウンドは、2,277±215〜4,724±3,889RLUの範囲であった。
【0060】
表4:異なる捕捉オリゴマーを用いて行ったアッセイの感度
【0061】
【表4】

【0062】
これらの実験結果は、3つの捕捉オリゴマーいずれかを単独でまたは混合物中で用いてアッセイを行った場合、各形式が、パルボウイルスB19の存在を検出したことを示す。該アッセイによって、250〜1,000コピー/mlを含有するすべての試料で陽性シグナルが生じ、100コピー/mlを含有する試料の80〜90%で陽性シグナルが生じ、そして50コピー/mlを含有する試料の50〜70%で陽性シグナルが生じた。
【0063】
実施例6:異なる増幅オリゴマーを用いた、パルボウイルスB19配列の増幅
本実施例は、プライマーとして働く増幅オリゴマーの異なる組み合わせが、パルボウイルスB19 DNA中の標的配列を効率的に増幅可能であることを示す。配列番号24(AGTACCGGGTAGTTGTACGCTAACT)または配列番号26(CTAGGTTCTGCATGACTGCTACTGGA)および配列番号13(CCCCTAGAAAACCCATCCTCT)のパルボウイルス特異的部分を有するプライマーの組み合わせを用いることによって、標的配列を増幅した。
【0064】
パルボウイルスを含有しないヒト血漿(陰性対照)とパルボウイルスB19のアリコットを混合して、1mlあたり10,000、5,000、1,000、500、250、100、50、および25コピーのパルボウイルスB19を含有する試料を産生することによって、試料を調製した。陽性対照として、1mlあたり1,000コピーのパルボウイルスB19を含有する標準試料もまたアッセイした。実質的に先に記載されるように(米国特許第6,110,678号)、試料をオリゴマー(配列番号1)と混合し、これをパルボウイルスB19 DNAとハイブリダイズさせ、そしてその後、パルボウイルスB19 DNAを含有するハイブリダイゼーション複合体を、磁気ビーズに付着したオリゴマーとハイブリダイズさせることによって、試料から分離した。
【0065】
各15pmolの配列番号23のプロモーター・プライマーおよび配列番号13、または配列番号25のプロモーター・プライマーおよび配列番号13を用いて、実質的に上述のように、TMA系を用いて、増幅アッセイを行った。1時間の増幅反応後、nt7およびnt8の間で化学発光化合物標識した配列番号17の検出プローブと混合物をハイブリダイズさせ(反応あたり5.5x10RLUを用いる)、そして上述のように相対光単位(RLU)シグナルを検出した。陽性対照および陰性対照に関しては、5つの複製試料を試験した。実験試料に関しては、各条件あたり10の複製を試験した。これらのアッセイの結果(RLU平均±標準偏差)を以下の表に示す。
【0066】
表5:異なる増幅オリゴマーを用いて得たアッセイ結果
【0067】
【表5】

【0068】
結果は、プライマーとして用いたオリゴマーのどちらの組み合わせも、パルボウイルスB19配列を増幅するアッセイにおいて、実質的に同等に働いたことを示す。どちらのアッセイ形式でも、250コピー以上のパルボウイルスB19を含有する試料すべてに関して、陽性シグナルが検出され、そして100コピーを含有する試料の70〜80%に関して、陽性シグナルが検出された。
【0069】
同様の実験において、プライマーの他の組み合わせ:配列番号3のプロモーター・プライマーおよび配列番号13、または配列番号23のプロモーター・プライマーおよび配列番号13を用いてアッセイを行った。これらのプロモーター・プライマーのパルボウイルスB19特異的部分は、それぞれ、配列番号4(CTAGGTTCTGCATGACTGCTACTGGA)および配列番号24(上記を参照されたい)である。試験した試料は、パルボウイルスB19をまったく含有しない(陰性試料)か、または反応あたり1,000コピーのパルボウイルスB19を含有するか、いずれかであった。各条件に関して、10の複製試料を試験した。配列番号3および配列番号13のプライマーの組み合わせに関して、該アッセイは、陽性試料に関して、2,678,709±507,209の平均RLUシグナルを、そして陰性対照に関して、1,841±128の平均RLUシグナルを生じた。配列番号23および配列番号13のプライマーの組み合わせに関して、該アッセイは、陽性試料に関して、4,074,989±123,420の平均RLUシグナルを、そして陰性対照に関して、3,462±2,936の平均RLUシグナルを生じた。したがって、増幅オリゴマーのさらなる組み合わせを用いて、試料において、パルボウイルスB19 DNAの存在を検出するアッセイを行うことが可能である。
【0070】
実施例7:異なる検出プローブを用いて行う、パルボウイルスB19検出アッセイ
本実施例において、実質的に実施例5に記載する方法を用いることによって、パルボウイルスB19をアッセイした。簡潔には、パルボウイルスをまったく含有しないヒト血漿(陰性対照)に、既知の量のパルボウイルスB19(1mlあたり10,000、5,000、1,000、500、250、100、50、および25コピーの最終濃度を達成する量)を添加して用い、試料を調製した。これらに加え、試験中に、陽性対照として、1mlあたり1,000コピーのパルボウイルスB19を含有する、先に試験した既知の試料を含んだ。実質的に先に記載されるような方法を用いて(米国特許第6,110,678号)、まず、相補オリゴマー(配列番号1)へのハイブリダイゼーションによって、1ml試料からパルボウイルスB19 DNAを捕捉し、これをその後、3’ポリ(A)テールを介して、磁気ビーズに付着させた相補ポリ(T)オリゴマーにハイブリダイズさせることによって試料をアッセイした。その後、配列番号23のプロモーター・プライマー(配列番号24の標的特異的配列および配列番号19のT7 RNAポリメラーゼプロモーター配列を含んでなる)および配列番号13のプライマーを含む、1時間のTMA反応において、パルボウイルスB19ゲノム配列の標的位を増幅した。先に詳細に記載されるように(米国特許第5,585,481号および第5,639,604号)、反応中、2−メチル−AEで標識した検出プローブを用いて、相対光単位(RLU)を検出することによって、増幅産物を検出した。標準的な化学的方法を用いて、2’−O−メトキシ主鎖を持ち、そして配列番号17(nt7および8の間で標識)、配列番号27(nt5および6の間で標識)、および配列番号28(nt9および10の間で標識)のヌクレオチド配列を有するオリゴマーを産生することによって、検出プローブを合成した。2つの別個の組のアッセイ、配列番号17および27を用いることによって検出結果を得る一方のアッセイ、および配列番号17および28を用いることによって検出結果を得るもう1つのアッセイを行った(どちらの組のアッセイでも、反応あたり1x10RLUを用いた)。各実験条件に関して、10の複製試料をアッセイし、そして陽性(1,000コピー)対照および陰性(0コピー)対照、並びにNIBSC標準(1,000ゲノム均等物/ml)に関しては、5つの複製試料をアッセイした。これらの試験の結果(検出したRLU平均±標準偏差)を以下の表に示す。
【0071】
表6:異なる検出プローブを用いた、増幅されたパルボウイルスB19標的配列の検出
【0072】
【表6】

【0073】
結果は、異なる検出プローブを用いた3つのアッセイ形式が、反応性および感度において、実質的に均等であることを示した。すなわち、検出したRLUが30,000以上である場合が陽性シグナルであることを踏まえて、3つの形式はすべて、試料1mlあたり、100コピー以上のパルボウイルスB19を検出し、そしてより少ないコピー数のパルボウイルスB19(25および/または50コピー/ml)を頻繁に検出した。
【0074】
実施例8:異なる検出プローブを用いた、増幅されたパルボウイルスB19配列の検出
本実施例は、個々の検出プローブまたは2つの異なる検出プローブの混合物を用いて、アッセイの感度を試験した。検出プローブの混合物は、等量の配列番号27および配列番号28のプローブを含有した。アッセイは、検出プローブ混合物を、いずれかの検出プローブ単独の使用に比較した。実質的に実施例5に記載するように、しかしパルボウイルスB19をまったく含有しないヒト血漿(陰性対照)、あるいは1mlあたり500、250、100、50、または25コピーのパルボウイルスB19を含有する血漿試料を用いて、アッセイを行った;陽性対照は、1,000コピー/mlを含有した。上述のように、まず、3’ポリAテールとともに配列番号1を有するオリゴマーを用いることにより、磁気粒子上のハイブリダイゼーション複合体中の、パルボウイルスB19 DNAを捕捉することによって、試料(1ml)をアッセイした。その後、配列番号23のプロモーター・プライマーおよび配列番号13のプライマーを含む、1時間のTMA反応を用いることによって、パルボウイルスB19標的配列を増幅した。配列番号27または配列番号28いずれかの検出プローブを個々に、あるいは配列番号27および配列番号28のプローブ混合物を用いることによって、増幅産物を検出した。プローブを2−メチル−AEで標識し(配列番号27のnt5および6の間、並びに配列番号28のnt9/10)、そして各プローブに関して、反応あたり1x10RLUの活性で用いた。陽性対照および陰性対照に関して、5つの複製試料を試験し、一方、他の実験条件各々に関して、20の複製試料を試験した。結果(RLU平均±標準偏差)を以下に示す。
【0075】
表7:標識プローブを単独で用いた、または標識プローブ混合物を用いた、検出結果
【0076】
【表7】

【0077】
結果は、単独のプローブおよび混合物中のプローブが、どちらも、行ったすべてのアッセイにおいて、500コピー/mlのパルボウイルスB19を検出したことを示す。より少ないコピー数のパルボウイルスB19を含有する試料もまた検出された(250コピー/mlに関しては90〜100%、100コピー/mlに関しては75〜85%、そして50コピー/mlに関しては30〜50%)。3つのアッセイ形式の感度は、実質的に均等であった。
【0078】
実施例9:異なる検出プローブを用いた、パルボウイルスB19検出
本実施例において、実質的に実施例8に記載するような方法を用いて産生した、増幅された産物を、多様な検出プローブオリゴマーを用いて検出した。検出プローブオリゴマーは、ヌクレオチド配列が互いに異なるか、または同一ヌクレオチド配列を持つプローブオリゴマーに関しては、オリゴマーに付着する標識の位置が異なる。標準的な化学的方法を用い、すべてのプローブをin vitroで合成して、2’−O−メトキシ主鎖を持つ、明記した配列のオリゴマーを産生した。先に記載されるように(米国特許第5,585,481号および第5,639,604号)、標識化合物をオリゴマーに付着させるリンカー化合物を用いて、2−メチル−AEでオリゴマーを標識し、そして反応あたり1x10RLUの活性で用いた。オリゴマー上の標識位は、隣接するヌクレオチド位によって言及され、例えば「12/13」は、リンカーおよび付着した標識が、オリゴマーのnt12およびnt13の間に位置することを意味する。これらの実験で試験した検出プローブオリゴマーを以下に要約する。
【0079】
表8:標識プローブ
【0080】
【表8】

【0081】
検出された平均RLUとして報告される、これらの検出プローブを用いたアッセイの結果を以下に示す。パルボウイルスB19 DNAをまったく含有しないヒト血漿試料(陰性試料)、および1,000コピー/mlのパルボウイルスB19を含有する血漿(陽性試料)の5つの複製アッセイにおいて、各プローブを試験した。各プローブに関して、平均RLU結果を用い、陰性試料中で検出されるRLUに対する、陽性試料中で検出されるRLUの比(検出比)を決定した。
【0082】
表9:異なる標識プローブを用いることによって得た結果
【0083】
【表9A】

【0084】
【表9B】

【0085】
試験したプローブすべてが、陰性対照の少なくとも4倍多いシグナルを生じたため、結果によって、多様な異なる検出プローブを用いて、増幅産物中のパルボウイルスB19配列を検出可能であることが示された。好ましい態様は、一般的に、10以上の検出比を有する。より好ましくは、検出比は100以上であり、そして最も好ましくは、300〜950の範囲である。これらの結果によってまた、同一ヌクレオチド配列に関して、オリゴマー上の標識の位が、産生される検出シグナルに影響を与える可能性があることも示された。
【0086】
本発明を、特定の実施例および好ましい態様の背景で記載してきた。当業者は、請求項に定義される他の態様が本発明に含まれることを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2の別個の核酸増幅オリゴマーを含む、ヒト・パルボウイルスから核酸を増幅するための組成物であって、前記増幅オリゴマーが:(a)配列番号13、その相補配列、またはそのRNA均等物;(b)配列番号14、その相補配列、またはそのRNA均等物;(c)配列番号15、その相補配列、またはそのRNA均等物;(d)配列番号16、その相補配列、またはそのRNA均等物;及び(e)配列番号24、その相補配列、またはそのRNA均等物;からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチドである、前記組成物。
【請求項2】
少なくとも2の別個の核酸増幅オリゴマーが、第1の増幅オリゴマーのヌクレオチド配列として配列番号13又は配列番号16を、かつ、第2の増幅オリゴマーのヌクレオチド配列として配列番号24を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも2の別個の核酸増幅オリゴマーが、配列番号13及び配列番号24で示されるヌクレオチド配列を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも2の増幅オリゴマーの1つが、増幅オリゴマーのヌクレオチド配列の5’末端につながれたヌクレオチド配列を含むプロモーターを含む、請求項1〜3いずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
プロモーターのヌクレオチド配列が配列番号19で示される配列である、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
配列番号24には、増幅オリゴマーのヌクレオチド配列の5’末端につながれたプロモーターのヌクレオチド配列が含まれる、請求項4記載の組成物。
【請求項7】
さらに、検出プローブオリゴマー及び標的捕捉オリゴマーからなる群から選択される追加のオリゴマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
検出プローブオリゴマーが、配列番号35に含有される、20〜25の隣接したヌクレオチドである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
標的捕捉オリゴマーが、配列番号1、2、20及び21からなる群から選択されるヌクレオチド配列を1又はそれ以上含む、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
ヒト・パルボウイルス核酸を検出する方法であって以下の:
ヒト・パルボウイルス核酸を含む生物学的試料を提供する工程;
少なくとも1の核酸ポリメラーゼ活性及び請求項1記載の少なくとも2の別個の核酸増幅オリゴマーを用いて、パルボウイルスB19核酸の部分をインビトロで増幅する工程;及び
前記試料中のヒト・パルボウイルス核酸の増幅産物を検出する工程;
を含む、前記方法。
【請求項11】
少なくとも2の別個の核酸増幅オリゴマーが、第1の増幅オリゴマーのヌクレオチド配列として配列番号13又は配列番号16を、かつ、第2の増幅オリゴマーのヌクレオチド配列として配列番号24を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2の別個の核酸増幅オリゴマーが、配列番号13及び配列番号24で示されるヌクレオチド配列を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2の増幅オリゴマーの1つが、増幅オリゴマーのヌクレオチド配列の5’末端につながれたヌクレオチド配列を含むプロモーターを含む、請求項10〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
プロモーターのヌクレオチド配列が配列番号19で示される配列である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
配列番号24には、増幅オリゴマーのヌクレオチド配列の5’末端につながれたプロモーターのヌクレオチド配列が含まれる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
増幅する工程で実質的に等温である増幅反応を用いる、請求項10記載の方法。
【請求項17】
検出する工程で、核酸検出プローブを用いる、請求項10記載の方法。
【請求項18】
検出プローブオリゴマーが、配列番号35に含有される、20〜25の隣接したヌクレオチドである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
試料中のヒト・パルボウイルス核酸を標的捕捉オリゴマーと接触させる、標的を捕捉する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項20】
標的捕捉オリゴマーが、配列番号1、2、20及び21からなる群から選択されるヌクレオチド配列を1又はそれ以上含む、請求項19記載の方法。

【公開番号】特開2009−261404(P2009−261404A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149908(P2009−149908)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【分割の表示】特願2003−525012(P2003−525012)の分割
【原出願日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【出願人】(500169900)ジェン−プローブ・インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】