説明

ヒト臍帯血由来の非制限体幹細胞(USSC)

【課題】血管疾患、心臓もしくは平滑筋の疾患、肝臓疾患、タイプ1の糖尿病、神経疾患、パーキンソン病疾患、または血液疾患を治療するために有用であり、間葉細胞、神経細胞、血液細胞、または内皮細胞のような、異なる前駆細胞へ分化し得る幹細胞の提供。
【解決手段】間葉細胞、神経細胞、血液細胞、または内皮細胞のような、異なる前駆細胞へ分化し得る幹細胞として、下記(i)〜(iv)の性質を有する非制限体幹細胞。(i)CD45およびCD14表面抗原に対して陰性であり;(ii)CD13、CD29、CD44およびCD49e抗原に対して陽性であり;(iii)YB1、AML−1、RUNX−1、およびフィブリン−2を発現し;および(iv)ヒアルロナンシンターゼ、フィブロモジュリン、およびINFLSを発現しない。該非制限体幹細胞として、ヒト臍帯血および胎盤血から単離されたものが特に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体幹細胞(somatic stem cell)、複数の幹細胞、本発明の幹細胞を含む薬剤、ならびに、本発明の幹細胞の精製、単離、および珍しい分化の可能性(unique differentiation-potential)のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幹細胞は、永続的に自己置換する(self-replacing)が、それらは、一般にゆっくり繰り返している。一般に、これら細胞は、分化される細胞の数を増加させるための限定された自己再生能力を有する、一時的な増幅細胞群を生じさせると考えられている。これまで、大人のヒトにおける幹細胞の位置を突き止めるための挑戦があり、そのため、多数の代理マーカー(例えば、造血系統(hematopoietic lineage)のためのコロニー形成試験)を使用する文献があった。
【0003】
多数の米国特許、例えば、US 5,486,359; 5,591,625; 5,736,396; 5,811,094; 5,827,740; 5,837,539; 5,908,782; 5,908,784; 5,942,225; 5,965,436; 6,010,696; 6,022,540; 6,087,113; 5,858,390; 5,804,446; 5,846,796; 5,654,186; 6,054,121; 5,827,735; 5,906,934は、数種の前駆細胞、例えば、筋肉前駆細胞、結合組織細胞前駆体、または卵細胞、へ分化し得る間葉幹細胞(MSC)を扱っている。筋肉前駆細胞は、心筋細胞、骨格筋細胞、ならびに平滑筋細胞へ更に分化しているのに対し、結合組織細胞前駆体は、骨、軟骨、ならびに脂肪へ分化し得る。卵細胞は、肝臓または膵臓の細胞へ分化し得る(グロンペ(Grompe)ら、2001)。
【0004】
へその緒の臍帯血内の非造血性幹細胞の存在が、依然として議論されている(マヤニ(Mayani)ら、2000、マレシ(Mareschi)ら、2001)。ドイツ特許出願DE 198 03 267 A1は、骨芽細胞前駆体およびヒト臍帯血からの骨形成を記載した最初のものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術のこれら間葉前駆細胞の使用は、器官または組織を生み出すために有用なツールになるためには、それらの開発は不十分なので(they are too far developed)、しばしば制限される。換言すれば、それらは、機能再生器官または組織を得るために、既にかなり拘束され(committed)、かつ特殊化されているようである。
【0006】
そこで、本発明の目的は、間葉細胞、神経細胞、血液細胞、または内皮細胞のような、異なる前駆細胞へ分化し得る幹細胞を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、胚(embryonic)幹細胞の欠点を有さない幹細胞を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
新たに同定された幹細胞が、上記目的を解決し得ることがわかった。本発明の体幹細胞は、ヒトのへその緒の臍帯血、胎盤血、および/または、生まれたばかりの子供の血液から得られ、前記体幹細胞は、間葉幹もしくは前駆細胞、造血系統幹もしくは前駆細胞、神経幹もしくは前駆細胞または内皮幹もしくは肝臓前駆細胞とは異なっているが、それらへ分化することができる。これら細胞は、造血系統、間葉幹細胞ならびに神経幹細胞の前駆体を提示する。この珍しい多機能(multifunctional capacity)、および、体幹細胞または異なる分化プロトコルの下で拘束された細胞のいずれかのようなこれらの臍帯血(CB)由来の非制限体幹細胞(cord blood (CB) derived unrestricted somatic stem cells)(USSC)を増やすための技術により、再生医療において幹細胞治療を生み出して実施するための、明確な特徴付け、標準化および利用が可能になる。
【0009】
図1は、低密度で平板培養された初期USSC培養細胞の顕微鏡写真を示す。
【0010】
図2は、融合性USSC培養物の顕微鏡写真を示す。
【0011】
図3は、インビトロ培養の間のCD45抗原に関するFACS分析を示す。
【0012】
図4は、SSEA4胚マーカーに関するFACS分析を示す。
【0013】
図5は、HLA−クラスI(A,B,C)、HLA DRおよびCD14に関するFACS分析を示す。
【0014】
図6は、CD34表面マーカーに関するFACS運動性(kinetic)を示す。
【0015】
図7は、ニューロン誘発後のUSSC細胞の顕微鏡写真を示す。
【0016】
図8は、本発明のUSSC類が、抗ネスチン免疫染色を行う神経幹細胞マーカーネスチンを発現することを示す。
【0017】
図9は、ニューロン系統の細胞を生み出すUSSC類を示す。
【0018】
図10は、神経膠系統の細胞を生み出すUSSC類を示す。
【0019】
図11は、骨形成誘発後およびアリザリンレッドによる染色後(B)の鉱化された小節形成を示す。
【0020】
図12は、USSC由来のペレット培養物のアルシアンブルー(Alcian Blue)染色を示す。
【0021】
図13は、軟骨形成(chondrogenic)分化後のUSSC培養物のコラーゲンタイプII染色(緑)を示す。
【0022】
図14は、オイルレッド染色によって示されるUSSC培養物の脂肪形成(adipogenic)分化を示す。
【0023】
図15は、筋形成分化前後のUSSC培養物の顕微鏡写真を示す。
【0024】
図16は、アザシチジン処理後のゆっくり作用する(low-acting)ミオシンに関する免疫細胞化学を示す。
【0025】
図17は、USSC誘導体の卵細胞表現型を示す。
【0026】
図18は、SCIDマウスの肝臓柔組織への注入後のUSSC培養物の生存および統合(integration)を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の体幹細胞は、実施例1に記載するように、濃度勾配単離、粘着細胞の培養、および成長因子を適用する継代培養を含む数種の方法によって単離および精製され得る。融合性細胞層が設けられた後、本発明の細胞を得るための単離工程が、形態(線維芽球様細胞(fibroblastoid)の形態)、ならびに、CD13(陽性)、CD14(陰性)、CD45(陰性)、およびCD29(陽性;実施例2参照)表面抗原に対する抗体を使用する表現型分析によって普通に制御される。
【0028】
本発明の体幹細胞は、CD45のような造血系統に対して特異的なマーカーと陰性に反応しており、そのため、胎盤の臍帯血からも単離され得る造血幹細胞とは異なっている。CD14は、USSC類において検出され得ない別の表面抗原である。更に、本発明の幹細胞は、CD13、CD29、CD44およびCD49eのような、細胞表面に存在する一連の抗原を特徴とする。USSC調製物は、表皮成長因子レセプター (EGF-R)、小板(platelet)由来成長因子レセプターアルファ(PDGF-RA)、およびインシュリン成長因子レセプター(IGF-R)のような、所定のレセプター分子に対するmRNA転写物の存在を、更に特徴とする。これらの細胞はまた、RT−PCRによって検出される、YB1(Y−ボックス転移因子1)、Runx1(小動物(runt)関連転移因子1)およびAML1C(急性骨髄性白血病1転移因子)のような転移因子を典型的に発現している。しかし、USSC調製物は、軟骨形成転移因子Cart−1に対する転写物ならびに神経フィラメント、シナプトフィジン(synaptophysin)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)および神経膠繊維性酸性蛋白質(glial fibrillary acidic protein)(GFAP)のような神経マーカーに対して、典型的には陰性である。
【0029】
【表1】

【0030】
USSC調製物のRNA発現物および骨髄由来MSC類(カプラン(Caplan)、1991)は、定量的アフィメトリックスジーンチップ(商標)マイクロアレイ(quantitative Affymetrix GeneChipTM microarrays)を用いることによって直接比較された。フィブリン(Fibulin)−2遺伝子(遺伝子バンク番号X82494)の転写物は、高発現レベルでUSSC類において検出されたが、MSC類では検出されなかった。フィブリン−2生成は、線維母細胞において以前は行われていた(パン(Pan)ら、1993)。様々なヒト組織からのmRNAのノーザンブロット分析により、心臓、胎盤、および卵巣組織中には4.5−kb転写物が豊富であることが明らかになる(ツァン(Zhang)ら、1994)。ポリクローナル抗体を使用して、妊娠4−10週のヒト胎児において、光学顕微鏡レベルで蛋白質が局在化された。フィブリン−2は、ニューロピテリウム(neuropithelium)、脊髄神経節(spinal ganglia)、および末梢神経内で主に検出された(ミオスゲ(Miosge)ら、1996)。
【0031】
ラット動物モデルでは、ラットの肝臓筋線維母細胞(myofibroblast)(rMF)は、フィブリン−2内に一緒に局在化している(colocalized)。これらの細胞は、門脈場(portal field)、中心静脈の壁に、そして、ほんの時たま柔組織に位置していた。線維症の初期段階では、rMFは、進行中の(developing)傷内で検出された。線維症の進行した段階では、rMFは、傷内に位置する細胞の大部分を占めていた(ニッテル(Knittel)ら、1999)。別の動物モデルでは、マウスのフィブリン−2蛋白質は、胚(embryonic)心臓発達中の心内膜床マトリックスにおける上皮−間葉形質転換中に発現される。フィブリン−2はまた、神経堤細胞および心外膜細胞にそれぞれ由来する、発達中の大動脈弓型血管(arch vessels)の平滑筋前駆細胞および冠状動脈内皮細胞によって合成される(ツダ(Tsuda)ら、2001)。
【0032】
ヒアルロナンシンターゼ遺伝子(D84424)、フィブロモジュリン(Fibromodulin)遺伝子(U05291)の転写物、および転写物1NFLS(W03846)は、USSC類では検出されなかったが、MSC類では高レベルで検出された。ノーザンブロット分析は、ヒアルロナンシンターゼが、ヒト組織において偏在的に発現されることを示した(イタノ(Itano)およびキマタ(Kimata)、1996)。この酵素、ヒアルロナンの生成物は、空間の充填 (space filling)、関節の潤滑、および、それを通って細胞が移動し得るマトリックスの提供、を含む、様々な機能を果たす(ホール(Hall)ら、1995)。フィブロモジュリンは、小細胞間プロテオグリカンの群のメンバーである。蛋白質は、広範な組織分布を示し、関節の軟骨、腱、および靭帯において最も多量に観察される(スツトロビクス(Sztrolovics)ら、1994)。転写物1NFLSは、ヒト胎児の肝臓からクローニングされた。
【0033】
CD24遺伝子(L333930)は、MSC類中での発現レベルと比べて非常に低レベルで、USSC類において発現される。CD24は、多くのB−系統細胞中で、および、成熟顆粒球において、発現される(ファン・デル・スコート(Van der Schoot)ら、1989)。
【0034】
MSC類と比べた場合、本発明の体細胞は、それらがそこから単離される組織供給源に基づいて、はっきり識別され得る。更に、USSC類は、ヒトの白血球抗原クラスI(HLA−クラスI)の発現がないことを特徴とする。本発明の体幹細胞とは対照的に、骨髄および筋組織から単離された、先に記載されたMSC類は、きわめて高レベルのHLA−クラスI抗原を、それらの細胞表面において発現する。本発明の細胞は、段階に特異的な初期抗原4(stage specific early antigen 4)(SSEA4)も発現する(図4参照)。
【0035】
典型的には、本発明の体幹細胞は、線維芽球様細胞形状を示し、かつ、粘着状態で増殖する。
【0036】
本発明の好ましい態様において、本発明の体幹細胞(USSC)は、他の体幹細胞、例えば、好ましくは、AC133およびCD34を発現する造血系統、の前駆体、間葉前駆体幹細胞、ニューロン前駆体幹細胞、またはそれらの組み合わせ、を提示する、複数または混合物中に存在する。この態様は、他の異なる体幹細胞へ分化する能力、または、本発明の好ましい態様のような、そのような体幹細胞の存在に基づいて、高い再生の可能性を含むため、有利である。好ましくは、間葉前駆体幹細胞またはニューロン前駆体幹細胞は、本発明の幹細胞からの分化によって生成される。
【0037】
本発明によれば、本発明の体幹細胞ならびに本発明による体幹細胞の複数または混合物を含む薬剤(再生治療用)が提供される。その薬剤は、医学的および薬理的に許容され得るキャリアー物質または補助物質を更に含み得る。本発明はまた、遺伝子治療、器官置換、製剤の試験、血管のインビトロ成長、血管、骨、肝臓、膵臓、および神経の疾患の治療において、USSCまたは本発明の幹細胞の複数もしくは混合物を使用する方法に関する。
【0038】
例えば、本発明のUSSC類は、必要な部位に、例えば、バイオマテリアルとともに、またはバイオマテリアルなしで、局所的に適用され得る。
【0039】
疾患の種類によって、USSC類の局所および/または全身投与が適している。USSC類は、直接適用され得るか、または薬学的に許容され得るキャリアーもしくはアジュバントと共に適用され得る。疾患の治療を促進する更なる物質を添加することが有利であり得る。例えば、整形外科的適用では、骨生成を向上させる物質が、USSC類と共に適用され得る。
【0040】
基本的に、USSC類を適用する場合は、MSC類の適用のために知られている方法が、同様に(in analogous manner)適用され得る。更に、幹細胞の適用は、例えば、B. E.ストラウアー(Strauer)ら、M.“Intrakoronare, humane autologe Stammzelltransplantation zur Myokardregeneration nach Herzinfarkt”、Dtsch med Wochenschr 2001; 126:932-938; クアルト(Quarto) R.ら、“自己由来骨髄基質細胞の使用による大きな骨損傷の修復(Repair of Large Bone Defects with the Use of Autologous Bone Marrow Stromal Cells)”、N Engl J Med 2001; 344:385-386; バカンティ(Vacanti) C. A.、“簡単な報告:組織工学的な骨による剥離した節骨の置換(Brief Report:Replacement of an Avulsed Phalanx with Tissue-Engineered Bone)” N Engl J Med 2001; 344:1511-1514、5月17日、2001; ヘンツ(Hentz) V. R.、“親指の再構築のための組織工学(Tissue Engineering for Reconstruction of the Thumb)”、N Engl J Med 2001; 344:1547-1548; ブリットバーグ(Brittberg) M.、“自己由来軟骨細胞移植によるひざの重症軟骨損傷の治療(Treatment of Deep Cartilage Defects in the Knee with Autologous Chondrocyte Transplantation)”、N Engl J Med 1994; 331:889-895, 10月6日、1994; フリード(Freed) C. R.、“重症パーキンソン病のための胚ドーパミンニューロンの移植(Transplantation of Embryonic Dopamine Neurons for Severe Parkinson's Disease)”,N Engl J Med 2001; 344:710-719; シン’オカ(Shin'oka) T.、“組織工学的肺動脈の移植(Transplantation of a Tissue-Engineered Pulmonary Artery)”、N Engl J Med 2001; 344:532-533. シャピロ(Shapiro) A.M. J.、グルココルチコイドを含まない免疫抑制投薬計画を使用するタイプ1の糖尿病を有する7人の患者における島の移植(Islet Transplantation in Seven Patients with Type 1 Diabetes Mellitus Using a Glucocorticoid-Free Immunosuppressive Regimen) N Engl J Med 2000; 343:230-238、に記載されている。これらの参考文献は、開示として援用される。
【0041】
本発明の幹細胞を、更に、より詳細に説明する。
本発明の幹細胞は、トリプシンEDTA−処理および適当な培養条件下(実施例1)での再播種後に得られる、線維芽球様細胞形状および2つまたは3つの核小体(図1参照)を有する粘着細胞であり、長く伸びた形態の融合体(confluence)に迅速に広がる(図2)。図1は、初期USSC培養物の顕微鏡写真を示す。低密度で平板培養された細胞は、USSC類の線維芽球様細胞形態を示す。これらの細胞は、14培養継代より長期にわたって容易に成長させることができる。図2は、融合性USSC培養物の顕微鏡写真を示す。ほとんどの融合性細胞USSC層は、細胞の平行配置を示す。
【0042】
その後の継代において、初期粘着細胞層の表面マーカー表現型ならびにそのすべての誘導体は、CD45マーカーに対して陰性のままである。図3は、インビトロ培養の間のCD45抗原に関するFACS分析を示す。CD45、造血細胞に特徴的なマーカー抗原、は、以後の継代からのUSSC類では、ほとんど検出することができない(図3、48、54、82日)。
【0043】
方法Aを使用するインビトロ培養後(実施例1)、USSC調製物は、段階に特異的な初期抗原4(SSEA4)に対して陽性になり、この胚マーカーの均質発現を示す。図4は、SSEA4胚マーカーに関するFACS分析を示す。方法A(実施例1)によって増加された細胞は、段階に特異的な初期抗原4(SSEA4)の発現を強く示す。同時に、USSC培養物は、HLA−クラスI表面抗原発現に対して陰性である。(図5A)、HLA−DR抗原発現(図5B)ならびにCD14陰性(図5C)。図5は、HLA−クラスI(A、B、C)、HLA DRおよびCD14に関するFACS分析を示す。インビトロでの発現後の本発明のUSSC培養物は、HLA−クラスI抗原に対して陰性である(パネルA)。これらの細胞は、抗原提示細胞(HLA−DR)および単球(CD14)に特徴的な、HLA−DR(パネルB)およびCD14(パネルC)表面抗原に対しても陰性である。
【0044】
図6は、CD34表面マーカーに関するFACS運動性を示す。USSC類は、10継代にわたってH5100/PEIにおいて成長した。この培養期間中、CD34抗原発現の顕著な増加が観察された。造血幹細胞マーカーCD34に関して、図6により、継代3において、54日目まで、CD34陽性細胞が何ら検出され得ないことが明らかになる。それに対して、第7継代において、82日目に、新規CD34陽性小集団が現れている。一方、そのようなCD34または/およびFIK1陽性前駆体が、造血分化に特異的な、サイトカインで調整された(cytokine conditioned)培地によって培養された場合、赤血球前駆体および白血球前駆体のための、典型的な混合または造血コロニー(CFU−GMおよびBFU−E)が、CD45+造血前駆細胞に匹敵するほど発達した(実施例9)。
【0045】
一方、CD14のために使い果たされた(depleted)臍帯血単核細胞を、高グルコース含有培地において培養すると、それらは、神経幹細胞の典型的な特徴を示す。図7は、ニューロン誘発後のUSSC細胞の顕微鏡写真を示す。高グルコースのダルベッコ改質イーグル培地(Dulbecco's modified eagle medium)(DMEM)中で培養された本発明のUSSC類は、星状膠状形態を示す。図7は、培養の13日後に得られた、神経膠形態を示す、そのような培養細胞の例を示す(実施例6)。PEIによって増加された後、USSC類は、神経幹細胞マーカーネスチンを発現する。最初の観察により、ネスチン染色が、レチノイド酸(RA)、塩基性線維母細胞成長因子bFGF、および神経成長因子β(NGF−β)のような神経誘発剤(neural inducing agents)によって刺激された後はあまり現されない(less pronounced)ことが示される(マッカイ(McKay)、1997)。
【0046】
詳細には、図8は、神経幹細胞マーカーネスチンを発現する、本発明のUSSC類を示す。(A)USSC類は、H5100/PEI培地中で7日間インキュベートされ、そして、標準抗ネスチン免疫組織化学に付された。(B)細胞は、H5100/PEI中で7日間インキュベートされた後、RA、bFGF、およびNGFによって、H5100中で9日間誘発された。但し、(A)の条件下で成長した細胞と比べて、ネスチン染色は低減される。
【0047】
これらの細胞の更なる分析により、γ−アミノ酪酸(GABA、図9B)、チロシンヒドロキシラーゼ(図9B)、シナプトフィジン(図9D)、神経フィラメント(図9F)のような神経細胞、または、ガラクトセレブロシド(GalC、図10B)のような典型的な神経膠抗原に特徴的な蛋白質、および神経膠酸性蛋白質(GFAP、図10D)の発現も明らかになる。図9は、ニューロン系統の細胞を生み出す、本発明のUSSC類を示す。本発明のUSSC類を、H5100/PEI中で7日間成長させ、そして、RA、bFGF、およびNGFを含むH5100上に27日間保持させた。標準固定プロトコル後、ニューロン特異的抗体を適用した。(A、C、D)段階を対比する(Phase-contrast)写真、(B、D、F)A、C、Dと同じ調製物の蛍光写真。DNA染色剤DAPI(青)は、細胞の核を染色するために使用される。(B)抗GABA(赤)および抗チロシンヒドロキシラーゼ(TH、緑)を使用する二重免疫蛍光写真。(D)抗シナプトフィジン染色(緑)。(F)ニューロン特異的抗神経フィラメント染色を示す(赤)。神経フィラメントの異なるサブタイプに対する抗体のカクテルを使用した。図10は、神経膠系統の細胞を生み出す、本発明のUSSC類を示す。細胞を、図9に示したものと同じ細胞培養条件に付した。DAPIは青である。(A、C)段階を対比する写真の提示。(B)抗GalC免疫染色(赤)に付された、(A)で見られるものと同じ細胞。(D)抗神経膠微小細胞酸性蛋白質(anti-glial fibrillary acid protein)(GFAP、赤)によって染色された(C)と同じ細胞。
【0048】
しかし、仮に、上記の一般的な幹細胞が、いずれかの発現継代から採取されてDAG(デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロールホスフェート)含有培養条件またはフィブロネクチン含有培地において誘発されるならば、骨形成系統における(along the osteogenic lineage)分化が誘発される(実施例3)。表2に示すように、骨に特異的なマーカー遺伝子(アルカリホスファターゼ、オステオカルシン、コラーゲンタイプI)は、容易に誘発されてRT−PCRによって検出され得る。
【0049】
【表2】

【0050】
骨形成分化の3つのマーカー遺伝子すべてが、DAG誘発の7日目で、mRNA発現の増加を示す。β−アクチンは、ポジティブコントロールとして役立つ。
【0051】
図11は、骨形成誘発後およびアリザリンレッドによる染色後(B)の鉱化された小節形成を示す。ほぼ融合性のUSSC層の骨形成分化が、培養培地H5100へのデキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロールホスフェートの添加によって誘発された。刺激の10日目に、特徴的な骨小節が現れる(11A)。これらの小節の鉱物沈殿が、アリザリンレッド染色によって示され得る(11B)。これらの骨形成誘発条件下で、本発明の細胞では、アリザリンレッドによって染色され得る(図11B)、異なる小節中の鉱化された骨の蓄積によって示されるような(図11A)、完全な骨形成分化が起こる。または、細胞培養物中のヒドロキシアパタイトの蓄積が、フォン・コッサ(von Kossa)染色によって6日後に検出され得る。
【0052】
これらの結果から、臍帯血が、これまで検出されなかった、多量に増加され得る非常に初期の幹細胞を含むことは明らかである。また、図11Aに既に示したように、この細胞は、誘発されてMSC類へ分化し、そしてそこから骨芽細胞へ分化し得る。DAGによる完全な誘発後、アリザリンレッド染色による、図11Bに示すような、鉱化骨小節への更なる分化が得られ得る。
【0053】
本発明の細胞の多様性(versatily)は、デキサメタゾン、プロリン、ピルビン酸ナトリウム、ITS+プレミックス(Premix)、およびTGF−β1を含む、高グルコースのDMEM中での培養後、軟骨形成分化によって示されるように、更に重要である(ジョーンストーン(Johnstone)ら、1998)。これらの分化実験の0日目および14日目に、細胞を採取し、RT−PCRによって分析した(表3、実施例4)。
【0054】
【表3】

【0055】
軟骨形成刺激の14日目に、軟骨形成中の(on going chondrogenesis)3つの特徴的なマーカー遺伝子が発現される。
【0056】
これらの研究の結果は、軟骨形成刺激の14日後に、Cart−1、特異的軟骨形成転移因子の上方制御(upregulation)を明らかに示す。更に、2つの典型的な軟骨細胞外蛋白質(コラーゲンタイプIIおよびコンドロアドヘリン)に対するmRNA転写物も、上方制御された。更に、本発明の細胞は、アルシアンブルー染色によって示されるように、軟骨細胞(chondrocytic)分化に典型的な細胞外プロテオグリカン分子を明らかに生成した。図12は、USSC由来ペレット培養物のアルシアンブルー染色を示す。USSC類を、沈降培養(sedimentation culture)下で、軟骨形成分化培地中で成長させた。誘発培地中で6日後、軟骨形成分化の特徴的なマーカーとしての多量のプロテオグリカン(PG)を、アルシアンブルー染色によって検出することはできない(パネルA)。それに対して、PG類は、青色/緑色によって示されるように、容易に検出され得る(パネルB)。
【0057】
更に、軟骨特異的コラーゲンタイプIIの存在を、蛋白質レベルで示すことができた。図13:軟骨形成分化後のUSSC培養物のコラーゲンタイプII染色(緑)。
【0058】
USSC類を、軟骨形成分化培地中で培養した。14日目の細胞外マトリックス蛋白質コラーゲンタイプIIの発現を、抗コラーゲンタイプII第一抗体およびFITC抗マウス第二抗体を使用して、蛍光顕微鏡によって示した(図13B)。
【0059】
ここで、非制限幹細胞の更なる多様性を、PEIプロトコルの下での、より高濃度のデキサメタゾンによる、そのような先に増加させた培養物の脂肪細胞への分化によって示す(実施例5)。
【0060】
図14は、オイルレッド(シグマ(Sigma))によって特異的に染色され得る脂肪細胞を示す。脂肪細胞は、多量の細胞内小嚢およびオイルレッドによる特異的赤色染色を特徴とする。
【0061】
更に、10μMの5’−アザシチジンおよび次に100ng/mlのbFGFを含むH5100中で24時間培養した場合、USSC類は、筋肉分化の確固たる証拠を示す。細胞の形態の変化は、ゆっくり作用するミオシンの発現と同時に起こる(図15および16)。
【0062】
また、典型的な卵細胞の出現および増殖は、PEIによって誘発されたUSSC類が、図6に示された(実施例8)、CD34+小集団からサブクローニングされる場合、後の継代において定期的に観察される(図17)。これらの細胞は、酵素ジペプチジルペプチダーゼIVを様々な程度で(to variable degrees)発現し、このことは、そのような卵細胞が、肝臓の細胞へ更に分化し得ることを意味する。
【0063】
インビトロで増加したUSSCは、50%の部分的な肝切除を伴うSCIDマウスの再生肝臓内ならびに肝切除されていない肝臓内への注入後に生存し、そして存続するのに対し、臍帯血由来の単核細胞は、25倍多い数の細胞が移植されるとしても検出され得ない。図18は、SCIDマウスの肝臓柔組織内への注入後のUSSC培養物の生存および統合を示す。図18A:移植7日後の赤色蛍光は、本発明のヒトPKH26−ラベルUSSC類の生存およびマウス肝臓組織への統合を示す(肝切除なし)。それに対し、臍帯血由来の単核細胞(MNC類)の移植後、ヒトMNC類の統合を示す赤色蛍光は検出され得なかった。図18B:Aに対応するマウス肝臓組織の凍結切除:統合されたヒトUSSC類を含むマウス肝臓組織の透過光顕微鏡写真。
【0064】
肝臓および膵臓β島細胞のための前駆体は同じであるので、そのようなCB由来卵細胞も、それらを、糖尿病の患者または肝不全の患者における細胞治療のための有用なツールにする、インシュリン生成β−島細胞へ分化され得る。
【0065】
これらの明らかな臨床的適用の他に、いずれかの良好に特徴付けされ、そして標準化条件下で増やされた幹細胞成分およびそれらの子孫(progeny)を、新たに開発された薬剤の作用ならびに分子および細胞効果を観察して規定することにより、所定の動物に基づく実験の代わりにもするために使用することができる。
【0066】
従って、ここで記載した、これらの良好に特徴付けされた幹細胞およびヒトの臍帯血培養物から得られた分化された細胞は、薬学およびバイオマテリアル産業のための価値あるテスト試薬として使用される。
適当な培養条件下において、USSC調製物は、異なる造血系統の多数のコロニーを形成し、これらの細胞が、造血を生じさせ得るという証拠を示した。
【0067】
所定の濃度のVEGF、Flt 3L、SCGF(幹細胞成長因子)を含む、適当に調整された培養培地の下で、および、メチルセルロース中で、そのような細胞は、FLK1+およびAC133+、Tie1およびTie2マーカーに対しても陽性の細胞を含む混合コロニーを形成する。更なる分化において、AC133ネガティブ、CD31+、CD54+、VWF+、VE−カテリン(Catherin)+を含む、内皮細胞に特徴的なマーカープロファイルが発達した。
【0068】
血管疾患の治療のための自己由来および同種異系血管のインビトロ成長のための、そのような内皮細胞の明らかな有用性を、ここに記載する。
【0069】
同時に、これらのインビトロ生成され、そして均質に増やされた前駆体およびそれれらの分化された細胞のすべては−クローンレベルで−細胞生物学および細胞または分子によって媒介される治療に基づくその後のすべての医学的適用における、特異的遺伝子およびそれらの生成物の役割の規定のためのきわめて重要なツールとして役立つ。
【0070】
医学的に適用され得る再生細胞型の生成のために、多数の粘着して成長する(adherently growing)本発明のUSSC類およびより多くの分化された間葉幹細胞を生み出すためには、この珍しい細胞型は、少数だけで十分である。
【0071】
この知識の1つのまったく新しい見解は、そのような前駆体が、2つ以上のはっきりと分化している細胞型へ、非対照的に進化し得る点である。これにより、インビトロでも生じる、機能的に方向付けられた(functionally oriented)細胞再生における、共存成分制御の新たな生物学的原則が明らかになる。
【0072】
本発明の結論は、幹細胞に基づく治療法は、この原則に従って設計されなければならず、そして、1つのクローン細胞型のみからなるものではいけないということである。本発明を、以下の非限定的な実施例において更に説明する。
【実施例1】
【0073】
臍帯血の回収(CB)
母親にインフォームドコンセントを行って、産科において臍帯血の回収を行った。まだ子宮中での胎盤による赤ん坊の輸送後に、へその緒を、二重に締めて、へそから7−10cm離れたところで横に切開した(transsected)。へその緒の消毒後、臍静脈に穴を開けて、抗凝血剤として、サイトレートホスフェートデキストロース(CPD)を含む回収バッグ内へ、CBを回収した。
【0074】
臍帯血からの単核細胞の単離
へその緒の臍帯血を、フィコール(Ficoll)溶液上へ注意深く載せた(密度1.077g/cm3)。濃度勾配遠心分離を行った(450g、室温、25分)。中間期の単核細胞(MNC)を回収し、pH7,3のリン酸塩バッファー生理食塩水(PBS)中で2回洗浄した。
【0075】
線維芽球様細胞形態の粘着層の生成
単核細胞を、T25培養フラスコ(ヌンクロン(Nunclon))中で、約5×103細胞/cm2の密度で平板培養した[A.)、B.)、C.)]。4つの異なる培養法を使用して、粘着幹細胞の成長を開始させた:
A.)10-7Mのデキサメタゾンを含むミエロコルト(Myelocult)H5100培地(ステムセルテクノロジーズ(StemCell Technologies)、バンクーバー/カナダ)中で、CB由来のMNC類を最初に培養した。
B.)10-7Mのデキサメタゾンを含むメセンコルト(Mesencult)(ステムセルテクノロジーズ(StemCell Technologies)、バンクーバー/カナダ)中で、CB由来のMNC類を最初に培養した。
C.)10-7Mのデキサメタゾンを含む30%のFCSを含む低グルコースのDMEM(バイオ−ホワイタッカー(Bio-Whittaker))中で、B由来のMNC類を最初に培養した。
D.)デキサメタゾンなしで、50mlの培養フラスコ(ヌンクロン(Nunclon))内の10mlのミエロコルト(Myelocult)H5100培地(ステムセルテクノロジーズ(StemCell Technologies)、バンクーバー、カナダ)中で、5×106/mlの密度で、CB由来のMNC類を平板培養した。
【0076】
すべての培養物を、完全な湿潤雰囲気中で、5%CO2中、37℃でインキュベートし、非粘着細胞を含む完全培地を除去して10mlの新鮮な培地を添加することにより、週に1回供給した。いくつかの時点の後に、粘着性の紡錘状細胞を、0.05%のトリプシンおよび0.53mMのEDTAによる2分間の処理によって除去し、50%の血清含有培地によってすすぎ洗いし、遠心分離によって780g回収し、そして、フローサイトメトリーまたはRT−PCRによって分析した。2〜3週後、線維芽球様細胞形態の粘着細胞が、全細胞培養物の約30%に現れる。
【0077】
本発明のUSSC類の増加のための培養条件
本発明のUSSC類を、10ng/mlのIGF I(インシュリン状成長因子−I)、10ng/mlのPDGF−BB(小板由来の成長因子−BB)、および10ng/mlのrh−ヒトEGF(組み換え型ヒト表皮成長因子)を含むH5100培地(PEI培地)中で、1×104〜1×105細胞/mlの密度で増加させることができる(増加方法A)。代わりに、USSC調製物を、初期成長培地A、B、およびC中で増加させることができる。
【実施例2】
【0078】
細胞蛍光計(cytofluorometry)による細胞の免疫表現型のタイピング(immonophenotyping)
USSC類の免疫表現型を決定するために、FITC結合抗CD45(ベクトン・ディケンソン(Becton Dickinson)、コールター(Coulter))、PE結合抗CD14(ファーミンゲン(PharMingen)、コールター(Coulter))、ヤギF(ab`)2抗マウスIgG+IgM(H+L)−FITCによってラベルされた抗SSEA−4(MC−813−70)(コールター(Coulter))、抗CD10−PE(CALLA、ファーミンゲン(PharMingen))、ヤギF(ab`)2抗マウスIgG+IgM (H+L)−FITCによってラベルされた抗HLA−クラスI(コールター(Coulter))、抗CD13−PE(ベクトン・ディケンソン(Becton Dickinson)、コールター(Coulter));抗CD29(コールター(Coulter))、抗CD44(コールター(Coulter))、抗CD49e(コールター(Coulter))、抗CD90(コールター(Coulter))、抗HLA−クラスII−FITC(コールター(Coulter))によって、細胞を染色した。EPICS XL(コールター(Coulter))またはFACS分析器(ベクトン・ディケンソン(Becton Dickinson)を用いて、細胞を分析した。
【実施例3】
【0079】
USSC類の骨形成分化の可能性の立証
実施例1に記載したように得られたUSSC類を、それらが70%の融合度(confluency)に達するまで、標準培地中で培養した。10-7Mのデキサメタゾン、50μg/mlのアスコルビン酸、および10mMのβ−グリセロホスフェートを添加することによって、これらの細胞の骨形成分化を誘発した(ブルーダー(Bruder)ら、1994、ジャイスワル(Jaiswal)ら、1997)。刺激の10日目に、細胞は、カルシウムホスフェート沈殿を示し、それにより、骨小節が得られた。鉱化した骨小節を、アリザリンレッドによる染色によって、以下のように検出した:培養物中の粘着細胞を、pH7.3のPBSによって2回洗浄し、室温で1時間、5mlの0.1%アリザリンレッド溶液によって、次いで、0.1%の酢酸および無水得エタノールならびにPBSによって染色した。
【0080】
カルシウムのアリザリンレッドおよびフォン・コッサ染色は、これらの細胞の鉱化の可能性を示す(スタンフォード(Stanford)ら、1995、ルングバイ(Rungby)ら、1993)。骨に特異的な分化マーカーオステオカルシン(OC)、オステオポンチン(osteopontin)(OP)、骨に特異的なアルカリホスファターゼ(AP)、骨シアロ蛋白質 (BSP)、小板由来成長因子レセプターアルファ(PDGF-Ra)、表皮成長因子レセプター(EGFR)、およびコラーゲンタイプIを用いて、RT−PCRによっても、骨形成分化が示された。
【実施例4】
【0081】
USSC類の軟骨形成分化の可能性の立証
軟骨形成分化のために、2×105個の粘着幹細胞を、15mlのポリプロピレンチューブ中の沈降培養物中に置いた。デキサメタゾン、プロリン、ピルビン酸ナトリウム、ITS+プレミックス、およびTGF−β1を含む高グルコースのDMEMを、細胞培養培地として使用した(ジョーンストーン(Johnstone)ら、1998、ヨー(Yoo)ら、1998)。7、14、および21日目に、Cart−1、コラーゲンタイプIIおよびコンドロアドヘリンをコードする軟骨に特異的な遺伝子産物について、RT−PCRによって細胞画分を分析した。また、USSC類を、沈降培養物中で使用した。2週間後に、デワックス(Dewax)セクションを、室温で15分間、4%パラホルムアルデヒドによって固定し、エタノール中で洗浄した。セクションを、1%アルシアンブルー/3%酢酸、pH2,5によって5分間染色し、蒸留水中で洗浄した。それらは、アルシアンブルー染色によって示されるように、特異的なプロテオグリカンの陽性染色を明らかに示す(チャオ(Chao)ら、1993)。14日の軟骨形成誘発期の後に、細胞を、標準プロトコルに従って固定し、蛍光顕微鏡によって分析したところ(ロゼンバウム(Rosenbaum)ら、1998)、コラーゲンタイプIIに特異的な細胞外マトリックスの存在が示された(図13B)。
【実施例5】
【0082】
USSC類の脂肪形成分化の可能性の立証
10-6Mのデキサメタゾン、50μg/mlのアスコルビン酸、および10mMのβ−グリセロホスフェートを含むH5100中で、USSCを培養したところ、オイルレッド染色によって示されるように、脂肪細胞へのUSSC類の部分的な分化が得られた(ラミレズ−ザカリアス(Ramirez-Zacarias)ら、1992)。
【実施例6】
【0083】
USSC類の神経形成(neurogenic)分化の可能性の立証
神経膠細胞のための細胞単離および培養条件
製造者(ミルテニイ・バイオテク(Miltenyi Biotec)、バーギシュ・グラドバッハ(Bergisch Gladbach))の指示に従って、VS+分離カラムを使用して、CD14/磁気活性化細胞選別(magnetic Activated Cell Sorting)(MACS)によって、CD14+細胞のために、記載したように得られた単核臍帯血細胞を使い果たした。CD14に使い果たされた単核細胞を、T25培養フラスコ(ヌンクロン(Nunclon))内の10mlの高グルコース培地(4500G/Lのグルコースを含むダルベッコ(Dulbecco´s)MEM)中で、2×106/mlの密度で培養し、完全湿潤雰囲気中で、5%CO2中、37℃でインキュベートした。10−15日後に、培養物中で、神経膠状細胞が検出された。
【0084】
神経細胞への分化
A)H5100のみの中で、または40pg/mlのPDGFB、10pg/mlのEGF、10pg/mlのIGF−Iの存在下のいずれかで、細胞を7日間増やした。細胞をトリプシン化し、ポリD−リジン(PDL)およびラミニン(laminin)(PDL/lam)によって被覆されたカバースリップ上の24ウェル培養皿において、約3,5×103細胞/cm2の密度で平板培養した。次いで、オールトランスレチノイド酸(10-5M)、bFGF(20ng/ml)、およびNGF−β(50ng/ml)のような誘発剤を変化することにより、ニューロン分化を開始した。
【0085】
蛍光顕微鏡
誘発期間(27日)後、細胞を、標準プロトコルに従って固定して、神経特異的抗原に対する抗体によって染色した。蛍光および透過光顕微鏡を用いて、標本を分析した。
【実施例7】
【0086】
ミオサイト(myocytic)系統における分化の可能性の立証
10ng/ml PDGFBB、10ng/ml EGF、10ng/ml IGFを補充したH5100培地(ステムセル・テクノロジー(StemCell Technology))において、37℃、5%CO2で、1×104個のUSSC類を、それらの融合度が70%に達するまで培養した。その後、細胞を、10μMの5’−アザシチジン(シグマ(Sigma))と共に24時間インキュベートし、PBSによって2回洗浄し、そして、100ng/mlのbFGF(シグマ(Sigma))を補充したH5100培地中で培養した。分化培地において1週間後、細胞の形態が変化した(図15)。10日後、細胞を、トリプシン化し、免疫染色のために、フィブロネクチンによって被覆したガラスチャンバースライドへ移した。
【0087】
免疫組織化学
細胞を、5%ホルムアルデヒド/PBSによって15分間固定し、pH7.3のPBS中で2回洗浄した。標準プロトコルを使用して、抗骨格(anti-skeletal)ミオシン(遅い)特異的第一抗体(クローンNOQ7.5.4D、1:400)(緑で示す)と共に、そして、抗CD13第一抗体(赤で示す)またはモノクローナル抗骨格ミオシン第一抗体(クローンMY−32、1:4000)と共に、細胞をインキュベートした。上記培養条件下で培養されたUSSC類について、染色は陽性であった(図16)。
【実施例8】
【0088】
ヒトのUSSC細胞ならびに臍帯血由来の単核細胞(MNC)を、PKH26 レッド・フルオレセント・セル・リンカー・キット(RED Fluorescent Cell Linker Kit)(シグマ(Sigma)、PKH26-GL)によってラベルした。2×105個のUSSC類および5×106個のMNC類を、50%の肝切除あり、およびなしのSCIDマウスの肝臓柔組織内へ注入した。移植の7日後、肝切除された動物について、完全な肝臓再生が達成された。赤色ラベルされたヒト細胞の存在について、肝臓組織の凍結断片を、蛍光顕微鏡によって分析した(図18)。
【実施例9】
【0089】
USSCの造血系統への分化の可能性の立証
長期間(継代5〜8)、適当な増加培地(expansion medium)中で成長する3つの異なるUSSC類の調製物(30%のFCSを含むDME培地中のUSSCKCB55、デキサメタゾンを含むH5100培地中のUSSCKCB12、デキサメタゾンを含むメセンカルト(MesenCult)培地中のUSSCKCB13、およびPEIを含むH5100培地中のUSSCGK12)を、造血特異培養培地(メトカルト(Methocult)4434)中で24ウェルプレートにおいて、250μl(2×104−2×105細胞)の細胞懸濁液中へ3回(in triplicate)接種した。50個を超える細胞のコロニーを数えて、確立された規準に従って、顆粒細胞/マクロファージ(CFU−GM)、初期赤血球(BFU−E)前駆細胞または多能性(CFU-GEMM)前駆細胞由来のように分類した。分化条件下で、異なる培養物中のコロニー形成が、観察の1週間から始まり、3週間まで続くことが明らかになった。USSC調製物が、異なる系統の多数のコロニーに進化し、これにより、これらの細胞が、造血を引き起こし得ることが証明された。
【実施例10】
【0090】
非制限体幹細胞およびそれらの連続分化産物の分析のための分子的方法
オステオカルシン、オステオポンチン、骨シアロ蛋白質、アルカリホスファターゼ、PDGFRαおよびEGFレセプターからの特異的cDNA配列の増幅のためのPCRプライマーを、それらを、それらのそれぞれ生み出されるDNAフラグメントの大きさで区別し得るために、異なる各エクソンから選択した。
【0091】
pCRL1ベクター(インビトロゲン(Invitrogen)/米国)へのクローニングおよび大腸菌株TOP 10Fへの連続した形質転換により、各特異的cDNAクローンを得て、自動シーケンサー(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))におけるサイクルシーケンシングによって特徴付けした。
【0092】
2段階の工程で、RT-PCR反応を行った。1時間、50℃で、20μl容量の10UのAMV逆転写酵素(プロメガ(Promega)、マンハイム(Mannheim))、1.5pmolの3’−遺伝子特異的プライマー、1mMのdNTP類、および補充されたバッファー(プロメガ(Promega)、マンハイム(Mannheim))によって、細胞の全RNA200ngを最初に逆転写した。1UのHotStarTaq DNAポリメラーゼ、バッファーおよびQ−溶液(キアゲン(Qiagen)、ヒルデン(Hilden))、1.5mMのdNTP類、ならびに20pmolの3’−および5’−遺伝子特異的プライマーを含む2μlのcDNAを用いて、PCR反応を行った。95℃での15分間の開始段階、94℃で30秒、56℃で30秒、68℃で1分の37サイクル、および68℃での5分間の最終重合段階によって、PCR反応を行った。
【0093】
【表4】

【0094】
参考文献
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【0095】
略語
DAG デキサメタゾン、アスコルビン酸、およびβ−グリセロホスフェートを含む骨形成分化培地
HLA ヒト白血球抗原
MSC 間葉幹細胞
PEI PDGF−BB、EGFおよびIGFを含む培地
SSEA4 段階に特異的な初期抗原4
USSC 非制限体幹細胞
PG プロテオグリカン
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、低密度で平板培養された初期USSC培養細胞の顕微鏡写真を示す。
【図2】図2は、融合性USSC培養物の顕微鏡写真を示す。
【図3】図3は、インビトロ培養の間のCD45抗原に関するFACS分析を示す。
【図4】図4は、SSEA4胚マーカーに関するFACS分析を示す。
【図5】図5は、HLA−クラスI(A,B,C)、HLA DRおよびCD14に関するFACS分析を示す。
【図6】図6は、CD34表面マーカーに関するFACS運動性(kinetic)を示す。
【図7】図7は、ニューロン誘発後のUSSC細胞の顕微鏡写真を示す。
【図8】図8は、本発明のUSSC類が、抗ネスチン免疫染色を行う神経幹細胞マーカーネスチンを発現することを示す。
【図9】図9は、ニューロン系統の細胞を生み出すUSSC類を示す。
【図10】図10は、神経膠系統の細胞を生み出すUSSC類を示す。
【図11】図11は、骨形成誘発後およびアリザリンレッドによる染色後(B)の鉱化された小節形成を示す。
【図12】図12は、USSC由来のペレット培養物のアルシアンブルー染色を示す。
【図13】図13は、軟骨形成分化後のUSSC培養物のコラーゲンタイプII染色(緑)を示す。
【図14】図14は、オイルレッド染色によって示されるUSSC培養物の脂肪形成分化を示す。
【図15】図15は、筋形成分化前後のUSSC培養物の顕微鏡写真を示す。
【図16】図16は、アザシチジン処理後のゆっくり作用するミオシンに関する免疫細胞化学を示す。
【図17】図17は、USSC誘導体の卵細胞表現型を示す。
【図18】図18は、SCIDマウスの肝臓柔組織への注入後のUSSC培養物の生存および統合を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管疾患、心臓もしくは平滑筋の疾患、肝臓疾患、タイプ1の糖尿病、神経疾患、パーキンソン病疾患、または血液疾患を治療するための薬剤の製造における、下記(i)〜(iv)の性質を有する非制限体幹細胞(USSCs)の使用方法。
(i)CD45およびCD14表面抗原に対して陰性であり;
(ii)CD13、CD29、CD44およびCD49e抗原に対して陽性であり;
(iii)YB1、AML−1、RUNX−1、およびフィブリン−2を発現し;および
(iv)ヒアルロナンシンターゼ、フィブロモジュリン、およびINFLSを発現しない。
【請求項2】
前記薬剤が前記非制限体幹細胞をインビトロで分化せしめた子孫をさらに含む請求項1の使用方法。
【請求項3】
前記薬剤が血管疾患の治療における使用のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項4】
前記薬剤が心臓疾患を治療における使用のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項5】
前記薬剤が平滑筋疾患を治療における使用のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項6】
前記薬剤が肝臓疾患を治療における使用のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項7】
前記薬剤がタイプ1の糖尿病を治療における使用のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項8】
前記薬剤が神経疾患を治療における使用のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項9】
前記薬剤がパーキンソン病疾患を治療における使用のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項10】
前記薬剤が血液疾患を治療における使用のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。
【請求項11】
非制限体幹細胞が、へその緒の臍帯血または胎盤血から単離されたものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−179642(P2008−179642A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16859(P2008−16859)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【分割の表示】特願2002−539497(P2002−539497)の分割
【原出願日】平成13年11月3日(2001.11.3)
【出願人】(503163365)クーリオン テラポイティクス アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】