説明

ヒトCD38に特異的な完全ヒトHuCALGOLD由来の治療抗体の生成とプロファイリング

【課題】CD38に特異的な又はCD38に対して高親和性を有する抗体、該抗体を用いた治療法並びに検出方法の提供。
【解決手段】CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が特定の配列を含み、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片と、前記医薬組成物用の薬学的に受容可能な担体又は賦形剤とを含む医薬組成物が必要な対象に投与されることを特徴とする使用。これらの抗体並びにそれらの抗体を用いる方法を用いて、例えば、多発性骨髄腫のような血液学的悪性疾患を治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の概要
本発明は、CD38に特異的である分離した抗原結合部位であって、(i)配列番号16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106に示されるH−CDR3部位、又は(ii)配列番号16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106に示されるH−CDR3部位と少なくとも60パーセント同一性があるH−CDR3部位を、具える抗原結合部位に関する。
【0002】
本発明は更に、CD38に特異的である分離した抗体又はその機能的フラグメントであって、(i)配列番号16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106に示される可変重鎖、又は(ii)配列番号16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106に示される可変重鎖と少なくとも60パーセント同一性がある可変重鎖を、具える抗体又はその機能的なフラグメントに関する。
【0003】
更に本発明は、CD38に特異的である分離した抗原結合部位であって、(i)配列番号46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、109又は110に示されるL−CDR3部位、又は(ii)配列番号46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、109又は110に示されるL−CDR3部位と少なくとも60パーセント同一性があるL−CDR3部位を、具える抗原結合部位に関する。
【0004】
また、本発明は、CD38に特異的である分離した抗体又はその機能的フラグメントであって、(i)配列番号46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、109又は110に示される可変軽鎖、又は(ii)配列番号46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、109又は110に示される可変軽鎖と少なくとも60パーセント同一性がある可変軽鎖を、具える前記抗体又はそれについての機能的フラグメントに関する。
【0005】
本発明は更に、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90又は91を具える核酸配列、又は(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90又は91の相補的な鎖と高緊縮条件下でハイブリッド形成する核酸配列によりコード化した、分離した抗原結合部位の可変軽鎖であって、前記抗体結合部位がCD38に特異的である可変重鎖に関する。
【0006】
本発明は更に、(i)配列番号31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、107又は108を具える核酸配列、又は(ii)配列番号31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、107又は108の相補的鎖と高緊縮条件下でハイブリッド形成する核酸配列によりコード化した、分離した抗原結合部位の可変軽鎖であって、前記抗体又はその機能的なフラグメントがCD38に特異的である可変軽鎖に関する。
【0007】
更に本発明は、CD38に特異的であるヒトの抗体又はその機能的フラグメントの抗原結合部位をコード化する分離した核酸配列に関する。
【0008】
更に本発明は、分離した抗体結合部位の可変重鎖をコード化する核酸配列であって、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90及び91からなる群から選択される配列、又は(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90又は91の相補的鎖と高緊縮条件下でハイブリッド形成する核酸配列を具え、前記抗原結合部位がCD38に特異的である、核酸配列に関する。
【0009】
本発明はまた、分離した抗原結合部位の可変軽鎖をコード化する核酸配列であって、(i)配列番号31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、107及び108からなる群から選択される配列、又は(ii)配列番号31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、107又は108の相補的鎖と高緊縮条件下でハイブリッド形成する核酸配列を具え、前記抗原結合部位がCD38に特異的である核酸配列に関する。
【0010】
本発明は更にCD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を誘発する方法であって、前記特異的死滅がCD38の架橋結合によって生じる方法において、十分な量の分離したヒトあるいはヒト化抗CD38抗体又はその機能的フラグメントの存在下で、前記細胞をインキュベートするステップを具え、前記ヒト又はヒト化抗CD38抗体は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90又は91に示される重鎖をコード化する核酸配列、又は(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90又は91の相補的鎖と高緊縮条件下でハイブリッド形成する核酸配列を具え、前記抗体又はその機能的フラグメントがCD38に特異的である方法に関する。
【0011】
更に本発明は、CD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を誘発する方法であって、前記特異的死滅がCD38の架橋結合によって生じる方法において、十分な量の分離したヒトあるいはヒト化抗CD38抗体又はその機能的フラグメントの存在下で、前記細胞をインキュベートするステップを具え、前記ヒト又はヒト化抗CD38抗体は、(i)配列番号31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、107又は108に示される軽鎖をコード化する核酸配列、又は(ii)配列番号31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、107又は108の相補的な鎖と高緊縮条件下でハイブリッド形成する核酸配列を具え、前記抗体又はその機能的フラグメントがCD38に特異的である方法に関する。
【0012】
また、本発明は、CD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を誘発する方法であって、前記特異的死滅がCD38の架橋結合によって生じる方法において、十分な量の分離したヒトあるいはヒト化抗CD38抗体又はその機能的フラグメントの存在下で、前記細胞をインキュベートするステップを具え、前記ヒト又はヒト化抗CD38抗体又はその機能的フラグメントが、(i)配列番号16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106に示される重鎖アミノ酸配列、又は(ii)配列番号16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105又は106に示される可変重鎖と少なくとも60パーセント同一性がある可変重鎖を具える方法に関する。
【0013】
また、本発明は、CD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を誘発する方法であって、前記特異的死滅がCD38の架橋結合によって生じる方法において、十分な量の分離したヒトあるいはヒト化抗CD38抗体又はその機能的フラグメントの存在下で、前記細胞をインキュベートするステップを具え、前記ヒト又はヒト化抗CD38抗体は、(i)配列番号46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、109又は110に示される軽鎖アミノ酸配列、又は(ii)配列番号46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、109又は110に示される可変軽鎖と少なくとも60パーセント同一性がある可変軽鎖を具える方法に関する。
【0014】
更に本発明は、CD38架橋結合により、CD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を検出する方法において:
(i)有効量のヒト又はヒト化した抗CD38抗体あるいはその機能的フラグメントを、その必要に応じて対象に投与するステップと、
(ii)前記ヒト又はヒト化した抗CD38抗体あるいはその機能的フラグメントの前記特異的死滅活性を検出するステップと、
を具える方法に関する。
【0015】
また本発明は、ミニブタ起源の組織又は細胞内のCD38の存在を検出する方法において:
(i)ヒト又はヒト化した抗CD38抗体あるいはその機能的フラグメントを、前記CD38と接触させるステップと;
(ii)前記ヒト又はヒト化した抗CD38抗体あるいはその機能的フラグメントの前記CD38ミニブタ細胞への特異的結合を検出するステップであって、前記抗体又はその機能的フラグメントが、ヒト起源のCD38へ特異的に結合することもできるステップと;
を具える方法に関する。
【0016】
更に本発明は、CD38発現赤血球中のCD38を検出する方法において:
(i)ヒト又はヒト化した抗CD38抗体あるいはその機能的フラグメントを、前記CD38発現赤血球と接触させるステップと;
(ii)前記ヒトの、ヒト化した抗CD38抗体あるいはその機能的フラグメントの前記CD38発現赤血球への特異的結合を検出するステップにおいて、前記抗体又はその機能的フラグメントが、ヒト赤血球以外の細胞又は組織のヒトCD38へ特異的に結合することもできるステップと;
を具える方法に関する。
【0017】
本発明は、本発明によって分離した抗体又はその機能的フラグメントであって、(i)配列番号21又は22に示されるH−CDR3部位、あるいは(ii)それに対して少なくとも60パーセントの同一性があるH−CDR3部位を具え、ヒトCD38及びマーモセットCD38に特異的である前記抗体又はその機能的フラグメントに関する。
【0018】
本発明の詳細な説明
本発明は、新しい抗体と、CD38に特異的な又はCD38に対して高親和性を有する抗体を用いた新しい方法の発見に基づいて、実験対象に対し治療的な利点を与えることができる。ヒト又はヒト化抗体はたくさんのコンテキストで用いることができ、ここにも十分に述べられている。本発明において用いるのに適した抗体は、米国仮特許出願第60/614,471号において開示されており、この結果は引用として参照されている。
【0019】
「ヒト」抗体又は機能的ヒト化抗体フラグメントは、ここで、キメラではなく(例えば「ヒト化」ではなく)、非ヒト種の(全体、又は部分のいずれかにおいて)由来ではないものとして定義する。ヒト抗体あるいは機能的抗体フラグメントはヒト由来にすることができ、合成ヒト抗体にすることができる。「合成ヒト抗体」は、全体又は一部において、既知のヒト抗体配列分析に基づいた合成配列のインシリコに由来する配列を有する抗体として定義される。ヒト抗体配列あるいはそのフラグメントのインシリコ設計は、例えば、ヒト抗体データベース又は抗体フラグメント配列を分析し、そこから得られるデータを利用するポリペプチド配列を考案することによって実行できる。ヒト担体又は機能的抗体フラグメントの別の例は、ヒト起源の抗体配列ライブラリ(すなわち、ヒトの天然原料から取得された抗体に基づくそういったライブラリ)から分離した核酸によってコード化されたものである。
【0020】
「ヒト化抗体」あるいは機能的ヒト化抗体フラグメントは、ここでは(i)非ヒトの原料(例えば、異種の免疫系を有する遺伝子導入マウス)由来であり、抗体がヒト生殖細胞の配列に基づいているもの、又は(ii)キメラであるものにおいて、可変ドメインが非ヒト起源由来であり、定常ドメインがヒト起源由来であるもの、又は(iii)CDR移植されたものにおいて、1又はそれ以上の可変ドメインのフレームワークがヒト起源であり、定常ドメインが(もしあれば)ヒト起源である一方で、可変ドメインのCDRが非ヒト起源であるものとして定義されている。
【0021】
ここで用いられるように、結合特異性が絶対的ではなく相対的な特性であるので、抗体が、抗原(ここではCD38)と「特異的に結合」し、抗原「に対して/にとって特異的」であり、あるいは、抗原を「特異的に認識」するのは、こういった抗体が、こういった抗原と1又はそれ以上の参照抗原とを識別することができる場合である。最も一般的な形では(及び、定義された参照なく述べられている場合)、「特異的な結合」は、例えば次の方法のうちの1つによって決定されるような、対象の抗原と無関係の抗原とを識別する抗体の能力である。このような方法は、ウェスタンブロット、ELISAテスト、RIAテスト、ECLテスト、IRMAテスト、FACS、IHC及びペプチドスキャンを具えるが限定はされない。例えば、標準的なELISAアッセイを実行できる。例えば、スコアリングは標準的な発色(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼを有する第2の抗体、及び過酸化水素を有するテトラメチルベンジジン)によって実行することができる。あるウェル内の反応は、光学密度で、例えば450nmとスコア化される。典型的なバックグラウンド(=負の反応)は0.1 ODにすることができ、典型的な正の反応は1 ODにすることができる。このことは正/負の違いを10倍以上にすることができることを意味している。典型的に結合特異性の決定は、単一の参照抗原ではなく、約3乃至5の粉乳、BSA、トランスフェリン等のような無関係の抗原のセットによって行われる。抗体が、2又はそれ以上の細胞/組織、及び/又は2又はそれ以上の種の抗原「に対して特異的」又は「にとって特異的」であることが可能であるのは、例えば、抗体がこのような細胞/組織及び種の各々に対する結合判断基準に合致する場合である。よって、抗体は、様々な細胞型及び/又は組織、例えば、赤血球、末梢血から分離したリンパ球、脾臓、リンパ節上のターゲット抗原CD38に特異的に結合することができる。更に抗体はある種のCD38と別種のCD38に特異的であることができる。
【0022】
「特異的な結合」は、ターゲット抗原と1又はそれ以上の密接に関連する抗原とを識別する抗体の能力にも関連し、例えばCD38とCD157の間のような基準点として使用する。更に「特異的な結合」は、ターゲット抗原の異なる部分、例えばCD38のN末端又はC末端部位内のエピトープのような、CD38の異なるドメイン及び部位、又は1又はそれ以上の鍵アミノ酸残基、又はCD38のアミノ酸残基の進展を識別する抗体の能力に関連することもできる。
【0023】
また、ここで用いられるように、ここでの「イムノグロブリン」(Ig)はクラスIgG、IgM、IgE、IgA又はIgD(又はそれらのサブクラス)に属するタンパク質と定義され、全ての公知の抗体及びその機能的フラグメントを含有する。ここでの抗体/イムノグロブリンの「機能的フラグメント」は、抗原結合部位を保持する抗体/イムノグロブリン(例えば、IgGの変異部位)のフラグメントと定義される。抗体の「抗原結合部位」は、一般的には1又はそれ以上の抗体の高頻度可変部位、すなわち、CDR−1、CDR−2、及び/又はCDR−3部位において見られるが、可変「フレームワーク」部位が、例えばCDR用の骨格を提供すること等により、抗原結合の重要な役割を果たすこともできる。好ましくは、「抗原結合部位」は少なくとも可変軽(VL)鎖について4乃至103及び、可変重(VH)鎖について5乃至109、より好ましくは、VLについて3乃至107及びVHについて4乃至111のアミノ酸残基を具え、完全なVL鎖及びVH鎖(VLについて1乃至109及びVHについて1乃至113のアミノ酸配置;WO97/08320による計数)が特に好ましい。本発明における使用に好ましいイムノグロブリンのクラスは、IgGである。本発明の「機能的フラグメント」は、F(ab’)フラグメント、Fabフラグメント、scFvのドメインを含有している。F(ab’)あるいはFabを操作し、CH1ドメインとCドメインの間に生じる分子内ジスルフィド相互作用を最小化又は完全に除去することができる。
【0024】
本発明と関連して用いられる用語である「親結合剤」は、最適化プロセスを受けたことのない、いずれかの結合剤を意味する。最適化プロセスは本明細書中の他の場所で述べる。
【0025】
本発明と関連して用いられる用語である「結合剤」は、「イムノグロブリン」又は「抗体」という用語と同義の方法で用いることができる。
【0026】
本発明において用いる抗体は、インシリコで設計され、合成的に生成された核酸によりコード化されてきたアミノ酸配列に基づいた組換え型抗体ライブラリ由来にすることができる。抗体配列のインシリコ設計は、例えばヒト配列のデータベースを分析すること、及びそこから取得されるデータを利用するポリペプチド配列を考案することにより実行される。インシスコ生成の配列を設計し、取得する方法は、例えば、Knappikら.,J.Mol.Biol.(2000)296:57;Krebsら.,J.Immunol.Methods.(2001)254:67;及びKnappikら出願の米国特許第6,300,064号に述べられており、これら全体を引用によりここに参照する。
【0027】
本発明において用いる抗体
本文書を通して、参照は本発明において用いる次の代表的な抗体に対して生成される:「抗体番号」又は「LACS」又は「MOR」3076又は03076、3078又は03078、3081又は03081、3085又は03085、3086又は03086、3087又は03087、3088又は03088、3089又は03089、3101又は03101、3102又は03102、3127又は03127、3128又は03128、3129又は03129、3130又は03130、3131又は03131、6183又は06183、6184又は06184、6185又は06185、6186又は06186、6187又は06187、6188又は06188、6189又は06189、6190又は06190、6192又は06192、6195又は06195、6197又は06197、6200又は06200、6201又は06201、6204又は06204、6214又は06214、6278又は06278、6279又は06279。LAC3076は、配列番号1(DNA)/配列番号16(タンパク質)に対応する可変重領域(variable heavy region)と配列番号31(DNA)/配列番号46(タンパク質)に対応する可変軽領域(variable light region)を有する抗体を表す。LAC3078は、配列番号2(DNA)/配列番号17(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号32(DNA)/配列番号47(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3081は、配列番号3(DNA)/配列番号18(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号33(DNA)/配列番号48(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3085は、配列番号4(DNA)/配列番号19(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号34(DNA)/配列番号49(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3086は、配列番号5(DNA)/配列番号20(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号35(DNA)/配列番号50(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3087は、配列番号6(DNA)/配列番号21(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号36(DNA)/配列番号51(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3088は、配列番号7(DNA)/配列番号22(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号37(DNA)/配列番号52(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3089は、配列番号8(DNA)/配列番号23(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号38(DNA)/配列番号53(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3101は、配列番号9(DNA)/配列番号24(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号39(DNA)/配列番号54(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3102は、配列番号10(DNA)/配列番号25(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号40(DNA)/配列番号55(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3127は、配列番号11(DNA)/配列番号26(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号41(DNA)/配列番号56(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3128は、配列番号12(DNA)/配列番号27(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号42(DNA)/配列番号57(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3129は、配列番号13(DNA)/配列番号28(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号43(DNA)/配列番号58(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3130は、配列番号14(DNA)/配列番号29(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号44(DNA)/配列番号59(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。LAC3131は、配列番号15(DNA)/配列番号30(タンパク質)に対応する可変重領域と配列番号45(DNA)/配列番号60(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。更に、親結合剤MOR03087及びMOR03088に由来した最適化クローンは、以下のものを具える:MOR06183は、配列番号77(DNA)/配列番号92(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06184は、配列番号78(DNA)/配列番号93(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06185は、配列番号79(DNA)/配列番号94(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06186は、配列番号80(DNA)/配列番号95(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06187は、配列番号81(DNA)/配列番号96(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06188は、配列番号82(DNA)/配列番号97(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06189は、配列番号83(DNA)/配列番号98(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06190は、配列番号84(DNA)/配列番号99(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06192は、配列番号85(DNA)/配列番号100(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06195は、配列番号86(DNA)/配列番号101(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06197は、配列番号87(DNA)/配列番号102(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06200は、配列番号88(DNA)/配列番号103(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06201は、配列番号89(DNA)/配列番号104(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06204は、配列番号90(DNA)/配列番号105(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06214は、配列番号91(DNA)/配列番号106(タンパク質)に対応する可変重領域を有する抗体を表す。MOR06278は、配列番号107(DNA)/配列番号109(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。MOR06279は、配列番号108(DNA)/配列番号110(タンパク質)に対応する可変軽領域を有する抗体を表す。
【0028】
本発明の抗体は、Fab及び/又はIgGフォーマットにおいて特性づけられており、最適化結合剤及び親結合剤の軽鎖及び重鎖の様々な組合せを具える。図10は、本発明と関連して用いることができるいくつかの限定されない組合せを示している。
【0029】
ある態様では、本発明はCD38の1又はそれ以上の部位に特異的に結合でき、また、1又はそれ以上の部位と高親和性を有する抗原結合部位を有する抗体を用いた方法を提供し、そのアミノ酸配列は配列番号71に示されている。親和性測定値が少なくとも100nM(Fabフラグメントの一価の親和性)である場合、抗体は抗原に対して「高親和性」を有すると言われる。本発明において用いる抗体又は抗原結合部位は、約600nM未満の親和性を有するCD38に結合できることが好ましい。本発明において用いる抗体又は抗原結合部位は、好ましくは約100nM未満、より好ましくは60nM未満、更により好ましくは30nM未満の親和性を有するCD38に結合できる。10nM未満、より好ましくは3nM未満の親和性を有するCD38へ結合する抗体の使用が更に好ましい。例えば、CD38に対する本発明で用いる抗体の親和性は、約10.0nM又は2.4nM(Fabフラグメントの一価の親和性)にすることができる。
【0030】
表1は、表面プラズモン共鳴(Biacore)及びFACSスキャッチャード分析により決定されるような、代表的な抗体の親和性の概略を提供する:
【表1】

a:Fabフォーマット;ヒトCD38FC融合aa45−300
b:IgG1フォーマット;ラージ細胞での分析
c:標準偏差(n=3)
d:標準偏差(n=4)
n.d.:検出せず
【0031】
表1を参照して、LACの親和性はヒトCD38−Fc融合での表面プラズモン共鳴(Biacore)により、及びCD38発現のヒトラージ株細胞を利用するフローサイトメトリ手順により計測された。Biacoreの研究は直接的に固定化抗原(CD38−Fc融合タンパク質)上で行われた。LACのFabフォーマットは、固定化CD38−Fc融合タンパク質上で約30乃至596の間の一価の親和性範囲で阻害される。
【0032】
IgG1フォーマットは、細胞ベースの親和性決定に(FACSスキャッチャード)用いた。表1の右の列はこのフォーマットにおけるLACSの結合強度を表示している。
【0033】
本発明において用いる好ましい抗体の好ましい特徴は、CD38のN末端部位内の領域に対する特異性である。例えば、本発明のLACはCD38のN末端部位へ特異的に結合することができる。
【0034】
本発明の最適化抗体は、表2と3に示すように更に特徴づけられた。表面プラズモン共鳴(Biacore)及びFACSスキャッチャード分析によって決定されるような親和力の概略が提供されている。更に、ヒト赤血球へのFACS結合と研究対象をCD38−Fc融合タンパク質へ結合するELISAも決定される。その評価は、いくつかの最適化結合剤が、ヒト赤血球への結合減少及び親クローンと比較したときにより高いELISA信号を示すことで与えられる。更に、MOR03088の派生体は、FACSスキャッチャード及び親和性決定によって示されるような改善された親和性を有している。
【0035】
【表2】

【表3】

【0036】
本発明において用いる抗体が結合するエピトープの型は、線形(すなわち、アミノ酸の連続した進展)又は立体構造的(すなわち、アミノ酸の複数の伸展)である。特定の抗体のエピトープが線形か立体構造的かどうかを決定するために、当業者はCD38の異なるドメインを覆うオーバラップペプチド(例えば、11のアミノ酸の重複を伴う13merのペプチド)への抗体の結合を分析することができる。LACSはCD38のN末端部位において、不連続又は線形エピトープを認識できる。ここで提供された知識と組合せると、当該技術分野の当業者は、1又はそれ以上の分離したCD38のエピトープの使い方を知り、前記エピトープに対して特異的な抗原結合部位を有する抗体を生成できるであろう(例えば、合成したCD38のエピトープペプチド又はCD38のエピトープを発現した細胞を用いて)。
【0037】
本発明において用いる抗体は、ヒト種及び少なくとも1のその他の非ヒト種が有する交差反応種であることが好ましい。非ヒト種は非ヒト霊長類、例えば、アカゲザル、ヒヒ及び/又はカニクイザルにすることができる。その他の非ヒト種は、ミニブタ、ウサギ、ネズミ、ラット及び/又はハムスターであってもよい。ヒトと並んで少なくとも1のその他の種と交差反応する抗体は、同一抗体を有する複数種におけるインビボ研究を行う目的で、既知の抗CD38抗体以上に大きな可動性と利益を提供できる。例えば、ミニブタ及び/又はウサギと交差反応する抗体は、毒物学及び安全な研究用の候補にすることができる。
【0038】
好ましくは、本発明において用いる抗体は、CD38へ結合することができるだけではなく、CD38発現細胞の死滅を媒介することができる。より特異的には、本発明において用いる抗体は、抗体エフェクタ機能を介してCD38陽性(例えば、悪性)細胞を枯渇させることによって、治療的効果を媒介することができる。これらの機能は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)を含有している。
【0039】
しかし、CD38発現は、骨髄(例えば、単球、顆粒球)とリンパ系列(例えば、活性B細胞及びT細胞;形質細胞)内の免疫細胞上に見られるだけではなく、それぞれの前駆細胞上にも見られる。それらの細胞は、抗体媒介の悪性細胞の死滅によって影響を及ぼされないことが重要であるので、本発明の抗体は、前駆細胞に対して細胞傷害性がないことが好ましい。
【0040】
サイクリックADPリボースシクラーゼ及びヒドロラーゼのような触媒活性に加えて、CD38は生物学的関係性の信号伝達能力を発揮する(Hoshinoら,1997;Ausielloら,2000)。それらの機能は、例えばレセプタ−リガンド相互作用によって、又は、アゴニストの抗CD38抗体と架橋結合し、例えばカルシウム動員、リンパ球増殖及びサイトカインの放出を導くことによって、インビボで誘発することができる。好ましくは、本発明の抗体はアゴニスト抗体ではないものである。
【0041】
ペプチド変異体
本発明において用いる抗体は、ここに提供される特異的なペプチド配列に限定されない。むしろ、本発明は、これらのポリペプチド変異体の使用も具体化している。CD38+標的細胞の死滅を媒介する能力を有する変異体が本発明の範囲の中に含まれてるととき、本開示と従来の利用可能技術及び引用を参照して、当業者はここに開示された抗体の機能的な変異体を準備し、試験し、利用することができる一方、CD38+標的細胞の死滅を媒介する能力を有する変異体が本発明の範囲の中に含まれている。このコンテキストに用いられるように、「CD38+標的細胞の死滅を媒介する能力」は本発明において用いられる抗CD38抗体に帰する機能的特徴を意味している。従って、CD38+標的細胞の死滅を媒介する能力は、例えば、ADCC及び/又はCDCによる、あるいは本発明において用いる抗体に抱合した毒素構造によるCD38+標的細胞の死滅を媒介する能力を含有している。
【0042】
例えば変異体は、ここに開示されたペプチド配列と相対する、少なくとも1の変化する相補性決定領域(CDR)(高頻度可変性の)及び/又はフレームワーク(FR)(可変性の)ドメイン/状態を有する抗体を含むことができる。この概念をより良く示すように、抗体構造の簡潔な記載が後に続く。
【0043】
抗体は、それぞれが1の(軽鎖)又は3の(重鎖)定常ドメインと可変部位(VL、VH)を含んでいる、2つのペプチド鎖からなり、後者は各々のケースで4つのFR部位と3つの間の空いたCDRで構成される。抗原結合部位は、1又はそれ以上のCDRによって形成され、更にFR部位はCDR用の構造フレームワーク(structural framework)を提供し、それ故、抗原結合における重要な役割を果たす。CDR部位又はFR部位における1又はそれ以上のアミノ酸残基を変えることによって、当業者は常に突然変異した又は多様化した抗体配列を生成することができ、例えば新しい、又は改善した特性を求めて、抗原に対してスクリーニングすることができる。
【0044】
図14a(VH)及び14b(VL)は、本発明において用いるある抗体用のCDR及びFR部位を描写し、既知の位置でのアミノ酸を、お互いと、及び対応するコンセンサス配列又は「主要な遺伝子」配列と比較している(米国特許第6,300,064号に記載のように)。
【0045】
当業者は、ペプチド変異体を設計することができ、その使用は、本発明の範囲内にある。変異体は、1又はそれ以上のCDR部位内にあるアミノ酸を変えることにより、構築されることが好ましく、ある変異体は1又はそれ以上の変質したフレームワーク部位も有してもよい。変質はまた、フレームワーク部位において作ることができる。例えば、ペプチドFRドメインは生殖系列配列と比較した残基のずれがある場所で変質させることができる。
【0046】
更に、変異体は、LAC中の1又はそれ以上のアミノ酸残基、好ましくは1又はそれ以上のCDR内のアミノ酸残基を多様化することによる、及び、改善した特性を有する変異体用の抗体変異体の結果としての収集物をスクリーニングすることによる最適化の出発点としてLACを用いることによって取得することができる。VLのCDR−3、VHのCDR−3、VLのCDR−1、及び/又はVHのCDR−2中にある1又はそれ以上のアミノ酸残基の多様化が特に好ましい。多様化はトリヌクレオチドの突然変異誘発(TRIM)技術を用いたDNA分子の収集物を合成することによりすることができる(Virnecas,B.,Ge,L.,Pluckthum,A.,Schneider,K.C.,Wellnhofer,G.及びMoroney S.E.(1994)Trinucleotide phosphoramidites:ideal reagents for the synthesis of mixed oligonucleotides for random mutagenesis.,Nucl.Acids Res.22,5600)。
【0047】
保存されたアミノ酸変異体
ここに述べた抗体ペプチド配列の全体分子構造を保存するアミノ酸変異体を作ることができる。個々のアミノ酸の特性を与えられると、いくつかの合理的な置換が当業者によって認知される。アミノ酸の置換、すなわち「保存された置換」は、例えば、極性、変化、溶解度、親水性、及び/又は関与する残基の両親媒性の性質の類似性に基づいて作られる。
【0048】
例えば、(a)非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンを含有し、(b)極性天然アミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンを含有し、(c)正電荷(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リシン、及びヒスチジンを含有し、(d)負電荷(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含有している。置換は一般的に群(a)−(d)内で作ることができる。加えて、グリシン及びプロリンは、αへリックスを分裂する能力に基づき互いを置換することができる。同様に、アラニン、システイン、ロイシン、メチオニン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン及びリシンのような特定のアミノ酸は、αへリックス中にはより共通して見つけられる一方で、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン及びスレオニンはβプリーツシート中により共通して見つけられる。グリシン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、及びプロリンは、次々と見つけられる。いくつかの好ましい置換は、以下の群の間で作ることができる:(i)SとT;(ii)PとG;(iii)A、V、L及びI。既知の遺伝コードと組換え及び合成DNA技術が与えられると、当業者の科学者たちは、保存されたアミノ酸変異体をコード化したDNAを容易に構築することができる。ある特定の例においては、配列番号5、6、7、及び/又は8中のアミノ酸位置3はQからEへ変更することができる。
【0049】
ここで用いられているように、2つのポリペプチドの「配列同一性」は、配列間で同一であるアミノ酸の割合で示す。「配列類似性」は、同一であるか、保存されたアミノ酸置換を表すかのいずれかのアミノ酸の割合を示す。本発明の好ましいポリペプチド配列は、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のCDR部位における配列同一性を有している。好ましい抗体はまた、少なくとも80%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%のCDR部位における配列類似性を有している。本発明の好ましいポリペプチド配列は、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の可変部位における配列同一性を有している。好ましい抗体はまた、少なくとも80%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%の可変部位における配列類似性を有している。
【0050】
本発明のDNA分子
本発明は、本発明において用いられる抗体をコード化するDNA分子の使用にも関する。これらの配列は図1a及び2aに示したDNA分子を含むが、限定はされない。
【0051】
本発明のDNA分子は、ここに開示した配列に限定されないだけではなく、それらの変異体も含んでいる。本発明内にあるDNA変異体は、ハイブリダイゼーションにおける物理的特性を参照することにより、説明することができる。当業者は、DNAを用いて、その補体、及び、DNAが二本鎖であることから、その等価物又は相同体を同定することができることを認識し、核酸ハイブリダイゼーション技術を用いている。ハイブリダイゼーションが100%以下の相補性で生じることも認識されている。しかし、適切な条件選択を与えられれば、ハイブリダイゼーション技術を用いて、特定のプローブとの構造関連性に基づいてDNA配列を区別することができる。このような条件に関連するガイダンスとして、Sambrookら、1989(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.(1989)Molecular Cloning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,USA)と、Ausubelら、1995(Ausubel,F.M.,Brent,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D.,Sedman,J.G.,Smith,J.A.,&Struhl,K.eds.(1995).Current Protocol in Molecular Biology.New York:John Wiley and Sons)参照。
【0052】
2つのポリヌクレオチド間の構造類似性は、2つの配列が互いとハイブリッド形成する条件下で「厳密性」のある機能として表現することができる。ここに用いられるように、「厳密性」という用語は、条件がハイブリダイゼーションを嫌う範囲のことである。厳密な条件は、ハイブリダイゼーションを強く嫌い、最も厳密に関連する分子のみが、このような条件の下、互いにハイブリッド形成することができる。逆に言えば、厳密でない条件は、わずかな程度の構造関連性を表示する分子のハイブリダイゼーションを好む。従って、ハイブリダイゼーションの厳密性は、2つの核酸配列の構造上の関係に直接的に対応している。以下の関係は、ハイブリダイゼーション及び関連性との相関において有用である(ここで、Tは核酸二本鎖の融解温度である):
a.T=69.3+0.41(G+C)%
b.二本鎖DNAのTは、不適正塩基対の数1%の増加ごとに1℃減少する。
c.(Tμ2−(Tμ1=18.5log10μ2/μ1
ここでμ1とμ2は、2つの溶液中のイオン強度である。
【0053】
ハイブリダイゼーション厳密性は多くのファクタの関数であり、全体のDNA濃度、イオン強度、温度、プローブサイズ及び水素結合を分裂させる薬剤の存在を含んでいる。ハイブリダイゼーションを促進するファクタは、高DNA濃度、高イオン強度、低温度、より長いプローブサイズ及び水素結合を分裂させる薬剤の存在を含んでいる。ハイブリダイゼーションは一般的には、「結合」段階と「洗浄」段階の2段階で行われる。
【0054】
第1に、結合段階においては、プローブはハイブリダイゼーションの好む条件下で、ターゲットに結合する。厳密性は通常、温度を変えることによってこの段階で制御される。高厳密度のためには、短い(<20nt)オリゴヌクレオチドプローブを用いていない場合は、温度は通常、65℃と70℃の間にある。代表的なハイブリダイゼーション溶液は、6倍濃度のSSC、0.5%のSDS、5倍濃度のデンハート液、及び非特異的なキャリアDNA100μgを具える。Ausubelら、section2.9、supplement27(1994)参照。もちろん、多くの異なる、更に機能的に等価なバッファ条件は既知である。関連性の程度がより低い場合、より低い温度が選択できる。低厳密度での結合温度は約25℃と40℃の間である。中厳密度では、少なくとも約40℃乃至約65℃未満の間である。高厳密度は少なくとも65℃である。
【0055】
第2に、洗浄により余分なプローブが除去される。より厳密な条件が通常適用されるのはこの段階である。それ故に、ハイブリダイゼーションを介した関連性を決定するのに最も重要なのがこの「洗浄」段階である。洗浄溶液は一般的に低濃度の塩を含んでいる。一例の中厳密度の溶液は、2倍濃度のSSCと0.1%のSDSを含んでいる。高厳密度での洗浄溶液は、約0.2倍濃度未満のSSCの等価物(イオン強度において)を含んでおり、好ましい厳密度での溶液は約0.1倍濃度のSSCを含んでいる。様々な厳密度に関連する温度は、「結合」用の上述と同じである。洗浄液はまた、一般的に洗浄中に多数回取り替えられる。例えば、典型的な高厳密度での洗浄条件は、55℃で30分間に2回、及び60℃で15分間に3回洗浄するステップを具える。
【0056】
よって本発明は、高厳密度での結合及び洗浄条件下での、図1a及び2aに示す分子をハイブリッド形成する核酸分子の使用を含んでおり、このような核酸分子はここに述べるように使用する抗体又はその機能的フラグメントをコード化する。好ましい分子(mRNAの展望から)は、少なくとも75%又は80%(好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%及び最も好ましくは少なくとも95%)の相同性又はここに述べたDNA分子のうちの1つと配列同一性を有している。
【0057】
機能的に等価な変異体
更に、本発明の範囲内で用いる別種類のDNA変異体は、コード化した生成物を参照して説明することができる(図1b及び2bにおいて収載したペプチドを参照)。これらの機能的に等価な遺伝子は、遺伝子コードの変質が原因の図1b及び2bに見られる同一のペプチド配列をコード化する事実によって特徴付けられる。
【0058】
ここに提供されるDNA分子の変異体は、いくつかの異なる方法で構築することができることは認識されている。例えば、完全な合成DNAとして構築することができる。20乃至150個のヌクレオチドの範囲において、オリゴヌクレオチドを効率的に合成する方法は広く利用可能である。Ausubelら、section2.11、Supplement21(1993)参照。重なるオリゴヌクレオチドは、Khoranaら、J.Mol.Biol.72:209−217(1971)によって最初に報告された様式において、合成し構築することができる;Ausubelら、supra、Section8.2も参照。合成DNAは、好ましくは適切なベクタ内へのクローニングを促進するために、遺伝子の5’末端及び3’末端に設計された従来の制限酵素部位を伴い設計される。
【0059】
示したように、変異体を生成する方法は、ここに開示したDNAの1つで開始し、次いで部分特異的突然変異誘発を導くことである。Ausubelら、supra、chapter8、Supplement37(1997)参照。典型的な方法では、ターゲットDNAは、単鎖DNAバクテリオファージの媒体中にクローン化される。単鎖DNAは、所望のヌクレオチド変質を含んでいるオリゴヌクレオチドで分離し、ハイブリッド形成する。相補性鎖は合成され、二本鎖ファージは宿主内に導入される。結果としての子孫のいくつかは、所望の突然変異体を含有し、DNA配列決定を用いて確認することができる。更に、子孫ファージが所望の突然変異体である確率を増やす様々な方法が利用可能である。これらの方法は、当該技術分野の当業者には公知であり、キットはこのような突然変異体を生成するのに商業的に利用可能である。
【0060】
組換え型DNA構造及び発現
本発明は更に、1又はそれ以上の本発明のヌクレオチド配列を具える組換え型DNA構造の使用に具える。組換え型構造は、プラスミド又はウイルスベクタといった、本発明において用いる抗体をコード化するDNA分子が挿入されるベクタと関連して用いられている。
【0061】
コード化する遺伝子は、Sambrookら、1989及びAusubelら、1989において述べられている技術によって、生成することができる。代替的に、DNA配列は、例えばシンセサイザを用いて化学的に合成しても良い。例えば、全体においてここに引用によって参照されるOLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS(1984,Gait,ed.,IRL Press,Oxford)参照。本発明の組換え型構造を、RNAを発現することが可能な発現ベクタ及び/又はコード化DNAのタンパク質生成物と共に具えている。ベクタは更に制御配列を具え、オープンリーディングフレーム(ORF)へ実施可能に連結されたプロモータを含んでいる。ベクタは更に選択可能なマーカ配列を具えることができる。特異的な開始及び細菌性分泌信号を、挿入されたターゲット遺伝子コード配列の効果的な翻訳のために要求することもできる。
【0062】
本発明は更に、ここに開示された少なくともDNAのうちの1つを含む宿主細胞の使用のために提供することができる。宿主細胞は実質的には、発現ベクタが利用可能などんな細胞であってもよい。例えば、哺乳類細胞のような高等真核細胞、酵母細胞のような下等真核細胞等でも良いが、バクテリア細胞のような原核細胞が好ましい。組換え構造の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムの形質移入、DEAE、デキストラン媒介の形質移入、電気穿孔法、又はファージの形質移入によって果たすことができる。
【0063】
細菌性発現
細菌使用に有用な発現ベクタは、機能的なプロモータを有する実施可能な読み取り段階において、適した翻訳開始及び終了信号と一緒に、所望のタンパク質をコード化する構造的なDNA配列を挿入することによって構築される。ベクタは、ベクタの維持を保証し、望ましくは、宿主内での増幅を提供するために、1又はそれ以上の表現型の選択可能マーカと、複製の起点を具える。形質転換に適した原核生物の宿主は、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌及びシュードモナス属、ストレプトマイセス、及びブドウ球菌内の様々な種を含んでいる。
【0064】
細菌ベクタは、例えば、バクテリオファージベース、プラスミドベース又はファージミドベースにすることができる。これらのベクタは、公知のクローニングベクタpBR322(ATCC37017)の要素を典型的に含む商業的に利用可能なプラスミドに由来する選択可能マーカと細菌の複製開始点を含有することができる。適した宿主鎖(host strand)の形質転換及び適切な細胞密度への宿主鎖の成長に続き、選択されたプロモータを、適切な手段によって(例えば、温度変化又は化学的誘導)抑制解除/誘導し、細胞は付加期間に培養される。細胞は一般的には遠心分離により収集され、物理的又は化学的手段によって破壊し、結果として生じた未精製抽出物は更なる精製のために保持される。
【0065】
細菌系において、多数の発現ベクタは、発現されるタンパク質に意図された使用に依存して、有利に選択することができる。例えば、大量のこのようなタンパク質が、抗体の生成のために生成できる、又は、ペプチドライブラリをスクリーニングできる場合、例えば、容易に精製される高レベルの融合タンパク質生成物の発現を指示するベクタを所望することができる。
【0066】
治療的手段
治療的手段は、本発明により熟考された治療に効果的な抗体の量を、治療を必要とする対象に投与することが必要である。「治療に効果的な」量は、ここでは対象の治療領域におけるCD38陽性細胞を枯渇するために十分な量の抗体量と定義され、単一投与としてか複数の投与計画か、単独か他の薬剤との組合せでかのいずれかで、有害状態の軽減に導き、更にその量は毒物学的に許容できる。対象は、ヒト又はヒトではない動物(例えば、ウサギ、ラット、ネズミ、サル及びその他の低次霊長類(lower−order primate))であってもよい
【0067】
本発明において用いる抗体は、既知の薬物と一緒に共同投与することができ、いくつかの場合には抗体そのものを修飾することができる。例えば、抗体は、更に強力に有効性を増すために、イムノトキシン又は放射性同位元素と接合することができる。
【0068】
抗体で治療するのに特に適した障害及び状態は、多発性骨髄腫(MM)及び、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)のようなその他の血液病である。抗体を用いて、関節リウマチ(RA)又は全身性エリテマトーデス(SLE)のような炎症性疾患を治療することもできる。
【0069】
前述の障害のいずれかを治療するために本発明により用いる医薬組成物は、1又はそれ以上の生理学的に受容可能な担体又は賦形剤を用いて、従来の方法において処方することができる。本発明において用いる抗体は、いずれかの適した手段によって投与することができ、治療される障害の型によって変えることができる。可能な投与経路は、非経口(例えば、筋内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下など)、肺内、鼻腔内、及び局所免疫抑制治療が所望される場合、病巣内投与を含有する。更に、本発明で用いる抗体は、例えば、抗体の投薬量を減少しながら、脈点滴によって投与することもできる。好ましくは、投薬は注射、最も好ましくは静脈内又は皮下注射で与えられ、投与が手短か慢性かどうかに部分的に依存している。投与量は、臨床症状、個々の重量、その他の薬物が投与されているかどうか、のような多様なファクタに依存している。当業者は、投与の経路が、治療される障害又は状態によって変化することを認識するであろう。
【0070】
本発明によると、新規ポリペプチドの治療に効果的な量を決定することは、特定の患者の特徴、投与の経路、及び治療される障害の性質に大いに依存している。一般的なガイダンスは例えば、ハーモナイゼーション国際会議の出版物において、及びREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,chapter27及び28,pp484−528,(18th ed.,Alfonso R.,Gennaro,Ed.,Easton,Pa.:Mark Pub.Co.,1990)において、知ることができる。より特異的には、治療に効果的な量を決定することは、薬物の毒性及び効力のようなファクタに依存している。毒性は当該技術分野に公知の方法を用いて決定し、前述の引用において知ることができる。効用は、例において下記に述べる方法と組み合わせて同一のガイダンスを利用して決定することができる。
【0071】
診断方法
CD38は、特定の悪性疾患における血液細胞上に高く発現しており、従って、本発明において用いる抗CD38抗体は、患者における悪性細胞の蓄積可能な部位を映すか可視化するために、使用することができる。これに関しては、抗体は、放射性同位元素の使用、親和標識(ビオチン、アビジン等のような)、蛍光標識、常磁性原子等を通じて、検出可能な程度に標識することができる。このような標識を成し遂げるための手順は、当該技術分野において公知である。画像診断における抗体の臨床応用は、Grossman,H.B.,Urol.Clin.North Amer.13:465−474(1986)、Unger,E.C.ら,Invest.Radiol.20:693−700(1985)、及びKhaw,B.A.ら,Science209:295−297(1980)によって見ることができる。診断化合物として用いる本発明の好ましい抗体又は抗原結合部位は、配列番号16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、及び106からなる群から選択される可変重鎖配列、及び/又は配列番号46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、109及び110からなる群から選択される可変軽鎖配列を具えている。
【0072】
検出可能な程度に標識された抗体の病巣の検出は、例えば、腫瘍の発生部位を示すこともできる。1の実施形態において、この試験は、組織又は血液のサンプルを除去し、検出可能な程度に標識された抗体の存在下でこれらのサンプルをインキュベーションすることによりなされる。好ましい実施形態においては、この技術は磁気画像、蛍光光度分析等の使用を通じて、非侵襲性の方法でなされる。このような診断テストは、病気の治療の成功をモニタリングする際に使用することができ、CD38陽性細胞の存在及び非存在は、関連指標となる。本発明は、生体外設定における診断用にここに述べたように、抗CD38抗体の使用も熟考している。
【0073】
治療及び診断成分
本発明において用いる抗体は薬学的に有用な成分を調整するために、既知の方法によって処方することができ、本発明において用いる抗体(そのいずれかの機能的なフラグメントも含む)は、混合物中で薬学的に受容可能な担体媒体と結合する。適した担体及びその製剤は、例えばREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(18th Ed.,Easton,Pa.:Mack Pub.Co.,1990)において述べられている。効率的な投与に適する薬学的に受容可能な成分を形成するために、このような成分は適量の担体媒体と一緒に、本発明において用いる1又はそれ以上の抗体の有効量を含有している。診断化合物として用いる本発明の好ましい抗体又は抗原結合部位は、配列番号16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、及び106からなる群から選択される可変重鎖配列、及び/又は配列番号46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、109及び110からなる群から選択される可変軽鎖配列を具えている。
【0074】
製剤は適切に処方し、活性化合物の徐放性を与えることができる。徐放性製剤は、抗CD38抗体を合成し、又は吸収するポリマの使用を通じ、成し遂げられる。被制御の送達は、適切な高分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又は硫酸プロタミン)及び高分子濃度、並びに放出を制御するための取り込み方法を選択することによって実行することができる。別の徐放性製剤による持続動作を制御できる方法は、抗CD38抗体を、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ乳酸又はエチレンビニルアセテート共重合体のような重合体物質の粒子に取り込むことである。代替的に、これらの薬を重合体物質の中に取り込む代わりに、これらの物質を例えば、コアセルべーション技術により、又は、例えばそれぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリメチルメタクリレートマイクロカプセルなどのメチル界面重合により、又は例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセルといったコロイド性の薬物送達系において、又はマクロエマルジョンにおいて作成されたマイクロカプセルに捕捉することが可能である。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical sciences(1980)に開示されている。
【0075】
化合物は、注射によって、例えば、ボーラス投与又は持続点滴によって非経口投与で処方することができる。注射用の製剤は、単位剤形の中に、例えばアンプル中に、又はマルチ投与容器中に、付加した保存剤と共存することができる。成分は、油性溶媒又は水性溶媒中で懸濁液、溶液、乳濁液のような形態を取ることができ、懸濁剤、安定化剤、分散剤のような処方薬を含むことができる。代替的に、活性成分は例えば無菌の発熱状態にない水などの適した溶媒を伴う構成では、使用前に粉末形態であっても良い。
【0076】
成分は、所望された場合、パック又は調剤装置内にあってもよく、活性成分を含む1又はそれ以上の単位剤形を含有することができる。パックは、例えばブリスタ包装のような金属あるいはプラスチック箔を具えることができる。パック又は調剤装置は投薬指示を伴うことができる。
【0077】
本発明は、以下の作用例を参照することによって更に理解されるが、説明を意図したものであり、故に発明を限定するものではない。
【0078】

株細胞
下記の株細胞は、European Collection of Cell Cultures(ECACC)、German Collection of Microorganisms(DSMZ)又はAmerican Type Culture collection(ATCC)から取得した:CD38マウスIgG1モノクローナル抗体OKT10を生成するハイブリドーマ株細胞(ECACC、品番87021903)、ジャーカット細胞(DSMZ、ACC282)、LP−1(DSMZ、ACC41)、RPMI8226(ATCC、CCL−155)、HEK293(ATCC、CRL−1573)、CHO−K1(ATCC、CRL−61)、ラージ(ATCC、CCL−86)、及びOPM2(DSMZ、ACC50)。
【0079】
細胞及び培養条件
全ての細胞は加湿インキュベータ内で、37℃及び5%のCOでの標準化条件下で培養した。株細胞LP−1、RPMI8226、ジャーカット及びラージは、10%のFCS(PAN biotech GmbH、品番P30−3302)、50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン(Gibco、品番15140−122)及び2mMのグルタミン(Gibco、品番25030−024)を追加したRPMI1640(Pan biotech GmbH、品番P04−16500)において培養され、ジャーカット及びラージ細胞の場合は、更に10mMのペペス(Pan biotech GmbH、品番P05−01100)及び1mMのピルビン酸ナトリウム(Pan biotech GmbH、品番P04−43100)を添加しなければならなかった。
【0080】
CHO−K1及びHEK293は2mMのグルタミンと10%のFCSを追加したDMEN(Gibco、品番10938−025)において成長した。安定なCD38のCHO−K1形質移入体は、G418(PAA GmbH、P11−012)の存在下で維持し、一方、HEK293用に、1mMのピルビン酸ナトリウム追加が不可欠であった。HEK293の一過性形質移入後に、10%のFCSをUltra low IgG FCS(Invitrogen、品番16250−078)に置換した。株細胞OKT10は、IDMEM(Gibco、品番31980−022)において培養し、2mMのグルタミンと20%のFCSを追加した。
【0081】
末梢血からの単一細胞懸濁液の準備
全ての血液サンプルはインフォームドコンセントの後に受け取った。末梢血単核球(PBMC)は、健常ドナーから製造業者の指示によってHistopaque(登録商標)−1077(Sigma)により分離した。赤血球は、RT又は市販の誘導体(Bioscience、品番00−4333)で5分間、ACK Lysis Buffer(0.15M NH4Cl、10mM KHCO、0.1M EDTA)におけるインキュベーションにより、これらの細胞懸濁液から枯渇させた。細胞はPBSで2回洗浄し、次いで、更にフローサイトメトリ又はADCC(下記参照)用に処理された。
【0082】
フローサイトメトリ(「FACS」)
全ての染色は、穴につき2×10の細胞を有する96穴丸底培養プレート(Nalge Nunc)内で行われた。細胞は4℃で40分間、50μlのFACSバッファ(PBS、3%FCS、0.02%NaN)内で指示濃度のFab又はIgG抗体と共に細インキュベーションした。細胞は2回洗浄し、次いで4℃で30分間、R−フィコエリトリン(PE)抱合型ヤギ抗ヒト又はヤギ抗マウスIgG(H+L)F(ab’)(Jackson Immuno Research)と共にインキュベーションし、FCAバッファで1:200に希釈した。細胞は再び洗浄し、0.3mlのFACSバッファで再懸濁し、次いで、FACSCalibur(Becton Dickinson、San Diego、CA)において、フローサイトメトリによって分析した。
【0083】
スキャッチャード分析に基づくFACSと共に、RPMI8226細胞は、12.5μg/ml(IgG)最終濃度で開始する12個の異なる希釈(1:2)で染色した。少なくとも2つの個々の測定を各濃度で用い、K値はChamowら(1994)に従って中央値の蛍光強度から推定した。
【0084】
表面プラズモン共鳴
動力学定数Kon及びKoffは、BIAcore3000装置(Biacore、Uppsala、Sweden)を用いて共有結合的な固定化CD38−Fc融合タンパク質に結合したそれぞれのFabの希釈系列で決定した。共有結合的な抗原固定化のために、標準的なEDC−NHSアミノ共役の化学的性質を用いた。CD38−Fc融合タンパクの直接的な共役のために、CM5センサチップ(Biacore)は、pH4.5の10mMアセテートバッファにおいて、〜600−700RUでコーティングされる。基準のフローセルのために、それぞれのHSA(ヒト血清アルブミン)量を用いた。動力学測定は、1.5−500nMのFab濃度範囲を用いて20μl/minの流速で、PBS(136mM NaCl、2.7mM KCl、10mM NaHPO、1.76mM KHPO、pH7.4)内でなされた。各濃度の注入時間は、1分間であり、その後、2分間の解離段階が続いた。5μlの再生のために、10mMのHClを用いた。全てのセンサグラム(sensogram)は、BIA evaluation software3.1(Biacore)を用いて局所的に適合させた。
【0085】
例1:HuCALライブラリからの抗体生成
CD38に対抗する治療抗体を生成するために、MorphoSys HuCAL GOLD(登録商標)ファージディスプレイライブラリを有する選択を実行した。HuCAL GOLD(登録商標)は、HuCAL(登録商標)の概念(Knappikら、2000;Krebsら、2001)に基づいたFabライブラリであり、6つのCDR全てが多様化され、ファージ表面へFabフラグメントを連結するCysDisplayTM技術を使用している(Lohning、2001)。
【0086】
A.ファージミドレスキュ、ファージ増幅及び精製
HuCAL GOLD(登録商標)ファージミドライブラリは、34μg/mlのクロラムフェニコールと1%のグルコース(2倍濃度のTY−CG)を含む2倍濃度のTY培地において増幅する。0.5のOD600でのヘルパファージ感染(VCSM13)の後に(振盪なしで37℃で30分;250rpmで振盪して37℃で30分)、細胞は遠心沈殿し(4120g、5分、4℃)、2倍濃度のTY、又は34μg/mlのクロラムフェニコール、又は50μg/mlのカナマイシンにおいて再懸濁し、22℃で一晩成長させた。ファージは上澄みからPEG沈殿させ、PBS/20%グリセロールで再懸濁し、−80℃で保管した。2つのパンニングラウンド間のファージ増幅は、下記のように行われた:対数期の中間部のTG1細胞は溶出ファージに感染させ、1%のグルコースと34μg/mlのクロラムフェニコール(LB−CG)に追加されるLB−ager上に蒔いて培養する。30℃での一晩のインキュベーション後に、コロニが削られ、0.5のOD600に調整され、ヘルパファージは上述のように添加される。
【0087】
B.HuCAL GOLD(登録商標)を伴うパンニング
選択のために、HuCAL GOLD(登録商標)抗体ファージは、異なるVHの主要な遺伝子に対応する3つのプールに分割した(プール1:VH1/5λκ、プール2:VH3 λκ、プール3:VH2/4/6 λκ)。これらのプールはCD38発現CHO−K1細胞上にパンニングする3ラウンドの細胞全体に個別に供し、その後に、不適切な抗体ファージの枯渇のために、CD38陰性CHO−K1細胞上のpH溶出及び吸収後ステップが続く。最終的に、残りの抗体ファージは大腸菌TG1細胞を感染させるのに用いた。遠心分離の後に、細菌ペレットは2倍濃度のTY培地において、再懸濁され、寒天プレートの上に蒔いて培養され、30℃で一晩インキュベーションされる。選択されたクローンはその後プレートから削られ、ファージは救出され、増幅された。第2及び第3の選択ラウンドは、初期のものと同様に行われた。
【0088】
選択されたHuCAL GOLD(登録商標)ファージの挿入断片をコード化したFabは、可溶Fabの迅速な発現を促進するために、発現ベクタpMORPH(登録商標)x9_Fab_FS(Rauchenbergerら、2003)内へサブクローニングした。選択されたクローンのDNAは、挿入断片(ompA−VLCL及びphoA−Fd)をコード化したFabを切り離したことによるXbaI及びEcoRIと共に消化し、Xbal/EcoRI切断ベクタのpMORPH(登録商標)x9_Fab_FS内へクローニングした。このベクタで発現したFabは、検出及び精製用の2つのC−末端標識(FLAGTM及びStrep−tag(登録商標)II)を保有している。
【0089】
例2:生理学アッセイ
抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害は下記のように、フローサイトメトリ分析(Naundorfら、2002)に基づき公表されたプロトコルに従って計測した:
ADCC:
ADCC計測のために、標的細胞(T)は、2.0E+05 cells/mlに調整し、室温で2分間、RPMI1640培地(Pan biotech GmbH)内で100ng/mlのカルセインAM(Molecular Probes、C−3099)を用いて標識した。残留したカルセインは、RPMI1640培地において3回の洗浄ステップにより除去された。平行して、PMBCは(自然死滅)エフェクタ細胞(E)の源として準備し、1.0E+07へ調整し、アッセイの状態によって、50:1又はそれ以下の最終的なE:Tの比率を与えるために、標識した標的細胞と混合した。細胞は一度洗浄し、細胞混合物は、それぞれの抗体を含む200μlのRPMI1640培地において、異なる希釈で再懸濁される。プレートは加湿インキュベータにおいて、37℃、5%COの標準化条件下で、4時間インキュベーションした。FACS分析より前に、細胞はヨウ化プロピジウム(PI)で標識し、フローサイトメトリ(Becton−Dickinson)によって分析した。50,000と150,000の間の事象が、各アッセイで計数された。
【0090】
下記の式で、死滅活性が起こった[%]:

ここで、ED=事象の死滅細胞(カルセイン+PI染色細胞)、及び
EL=事象の生存細胞(カルセイン染色細胞)である。
【0091】
CDC:
CDC測定のために、5.0E+04のCD38 CHO−K1形質移入は、1:4希釈のヒト血清(Sigma、品番S−1764)とそれぞれの抗体とを一緒にマイクロタイタウェルプレート(Nunc)へ添加した。全ての試薬及び細胞は、10%のFCSを追加したRPMI1640培地(Pan Biotech GmbH)において希釈した。反応混合物は、加湿インキュベータにおいて、37℃、5%COの標準化条件下で、2時間インキュベーションした。熱不活性化補体又は、抗体無しのCD38形質移入体は、負のコントロールとして役立った。細胞はPIで標識し、FACS分析に供した。
【0092】
全部で5000の事象が計数され、異なる抗体濃度での死滅細胞の数は、EC50の値の決定に用いられた。下記の式で、死滅活性が起こった[%]:

ここで、ED=事象の死滅細胞(PI染色細胞)、及び
EL=事象の生存細胞(染色されない)である。
【0093】
3組中の12の異なる抗体希釈(1:2)全体の細胞毒性値は、標準分析ソフトウェア(PRISM(登録商標)、Graph Pad Software)を用いたEC−50値を得るために、ADCC、及び、各抗体に対するCDCのうちの2組において用いられた。
【0094】
例3:安定したCD38形質移入体及びCD38−Fc融合タンパク質の生成
パンニング及びスクリーニングでCD38タンパク質を生成するために、2つの異なる発現系を構築しなければならなかった。第1のストラテジは、CD38−Fc融合タンパク質の生成を含み、HK293細胞の一過性の形質移入の後に上澄みから精製された。第2の戦略は、高いCD38の表面発現を全ての細胞パンニングを介して抗体ファージの選択に用いるための安定したCHO−K1株細胞の生成を含んでいた。
【0095】
初期段階として、ジャーカット細胞(DSMZ ACC282)をcDNA(Introgen)の生成のために用い、続いて、全体のCD38コード配列の増幅に、それぞれ(プライマMTE001&MTE002rev;表4)CD38の最初の7及び最後の9コドンと相補的なプライマを用いた。CD38挿入の配列分析は、Nataらによって述べられているように(1990)、チロシンの代わりにグルタミンを示す位置49を除き、Jacksonらによって公表されたアミノ酸配列(1990)で確認した。制限エンドヌクレアーゼ部位の導入と、発現ベクタpcDNA3.1(Strategene)の異なる誘導体内へのクローニングのために、精製PCR生成物は、全体の遺伝子(プライマMTE006&MTE007rev、表4)又はその部分(プライマMTE004&MTE009rev)の再増幅用の鋳型として役に立った。後者の場合、細胞外領域(45乃至300)をコード化するフラグメントは、ヒトVκリーダ配列とヒトFc−λ1配列の間にあるフレーム内で増幅し、クローン化した。このベクタは、可溶性のCD38−Fc融合タンパク質の生成用の発現ベクタとして役に立った。別のリーダ配列のないpcDNA3.1誘導体は、CD38全長遺伝子の挿入のために用いた。この場合において、Fcコーディング領域の直前の終止コドン及び誤ったリーダ配列が、CD38表面の発現を起こした。HEK293細胞は、可溶性のCD38−Fc融合タンパク質の生成用のFc融合タンパク質ベクタで一過性に形質移入され、全長誘導体の場合、CHO−K1細胞は、安定したCD38発現の株細胞の生成のために形質移入した。
【0096】
【表4】

【0097】
例4:HuCAL(登録商標)IgG1のクローニング、発現及び精製
全長IgGを発現するために、重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変ドメインフラグメントは、Fab発現ベクタから適切なpMORPH(登録商標)_hIgベクタへサブクローンされた(図7乃至9参照)。制限エンドヌクレアーゼの組合せBlpI/Mfel(挿入製剤)及びBlpI/EcoRI(ベクタ製剤)は、pMORPH(登録商標)_hIgG1へのVHドメインフラグメントのサブクローニングに用いた。酵素の組合せEcoRV/HpaI(λ挿入)及びEcoRV/BsiWI(κ挿入)は、それぞれpMORPH(登録商標)_hIgκ_1又はpMORPH(登録商標)_h_Igλ_1ベクタへのVLドメインフラグメントのサブクローニングに用いた。結果として生じたIgG構造物は、標準的なリン酸カルシウム−DNA共沈技術を用いた一過性の形質移入によって、HEK293細胞(ATCC CRL−1573)において発現した。
【0098】
IgGは、プロテインAセファロースカラムを介して、アフィニティクロマトグラフィによって細胞培養上澄みから精製した。更に、ダウンストリームプロセシングは、精製IgGのゲル濾過及び無菌濾過によるバッファ交換を含んでいた。品質管理は、SDS−PAGEを減ずることによって、90%より高純度を、及び、分析用サイズ排除クロマトグラフィにより決定されるような90%より多い単一IgGを示した。物質の内毒素含量は、カイネティックLALに基づくアッセイ(Cambrex European Endotoxin Testing Service、Belgium)によって決定した。
【0099】
例5:キメラOKT10(chOKT10;配列番号72及び73)の発生及び生成
chOKT10構築のためにマウスVH及びVL部位は、マウスOKT10ハイブリドーマ株細胞(ECACC、品番87021903)から用意されたcDNAを用いたPCRによって増幅した。公表されているようにプライマのセットは用いた(Dattamajumdarら、1996;Zhouら、1994)。PCR生成物はTopoクローニング(Invitrogen;pCRII−vector)、及び2つの異なるκ軽鎖配列と1つの重鎖配列を示す配列分析(M13逆プライマ)に供される単一コロニ用に用いられた。配列アライメント(EMBLヌクレオチド配列データベース)及び文献(Krebberら、1997)に従って、κ配列のうちの1つは腫瘍細胞の融合パートナX63Ag8.653の内因性レパートリに属し、故にOKT10抗体には属さない。従って、新しいκ配列及び単一のVHフラグメントのみが、更なるクローニングに用いられた。双方のフラグメントは、制限エンドヌクレアーゼ部位の添加で再増幅し、後にそれぞれのpMORPH(登録商標)IgG1発現ベクタへのクローニングが続いた。重鎖(配列番号72)及び軽鎖(配列番号73)の配列は、図6に与えた。HEK293細胞は一過性で形質移入し、上澄みはCD38過剰発現ラージ株細胞(ATCC)へ結合したキメラOKT10抗体用のFACSで分析した。
【0100】
例6:FACSによる交差反応性分析(MOR03087及びMOR03088)
1.材料と方法
図11及び12は、リンパ球と赤血球のFACS分析を示す:EDTA処理した血液サンプルは、健常なヒト(インフォームドコンセントを得た後で)から、及び非ヒト霊長類(アカゲザル、カニクイザル及びマーモセット)から取得し、補助説明書に従い、Histopaque細胞分離システム(Sigma)を用いた密度勾配遠心法に供した。FACS分析のために、間期(PBMC部分)又はペレット(赤血球部分)からの細胞は、異なるフォーマットの抗CD38HuCAL(登録商標)抗体と共にインキュベーションした。
【0101】
異なる抗CD38抗体の交差反応特性の概要は図13に示す。
【0102】
2.要旨及び結論
結果は、全てのCD38抗体間で、MOR03087及びMOR03088のみがマーモセットPBMCへの交差反応性を呈したことを示している。驚くべきことに、マーモセット赤血球上のCD38発現は、カニクイザル及びアカゲザルの赤血球上の強い発現と比較すると、ほとんど検出できない。従って、マーモセットの赤血球及びPBMC上のCD38発現は、ヒトの状態をより反映しており、CD38発現は赤血球上で低く、PBMC上で中程度乃至高くなる。従って、マーモセットはCD38に結合する分子の毒性を研究するモデルとして適すると見なされる。
【0103】
上記の研究に基づき、本明細書に別記し、例えば「本発明において用いる抗体」に関する段落に示すように、更に結合剤MOR03087及びMOR03088を最適化するように決定した。当該技術分野の当業者は、親の派生抗体が比較可能な交差反応特性をも示すことは予想するであろう。
【0104】
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【非特許文献21】Mehta,K.,Ocanas,L.,Malavasi,f.,Marks;J.W.,Rosenblum,M.G(2004).Retinoic acid−induced CD38 antigen as a target for immunotoxin−mediated killing of leukemia cells.Mol.Cancer Ther.3,345−352
【非特許文献22】Namba,M.,Otsuki,T.,Mori,M.,Togawa,A.,Wada,H.,Sugihara,T.,Yawata,Y.,Kimoto,T.(1989).Establishment of five human myeloma cell lines.In Vitro Cell Dev.Biol.25:723.
【非特許文献23】Nata K.,Takamura T.,Karasawa T.,Kumagai T.,Hashioka W.,Tohgo A.,Yonekura H.,Takasawa S.,Nakamura S.,Okamoto H.(1997).Human gene encoding CD38(ADP−ribosyl cyclase/cyclic ADP−ribose hydrolase):organization,nucleotide sequence and alternative splicing.Gene 186(2):285−92.
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【非特許文献26】Rauchenberger R.,Borges E.,Thomassen−Wolf E.,Rom E.,Adar R.,Yaniv Y.,Malka M.,Chumakov I,Kotzer S.,Resnitzky D.,Knappik A.,Reiffert S.,Prassler J.,Jury K.,Waldherr D.,Bauer S.,Kretzschmar T.,Yayon A.,Rothe C.(2003).Human combinatorial Fab library yielding specific and functional antibodies against the human fibroblast growth factor receptor 3.J Biol Chem. 278(40):38194−205.
【非特許文献27】Reff,M.E.,Carner,K.,Chambers,K.S.,Chinn,P.C.,Leonard,J.E.,Raab,R.,Newman,R.A.,Hanna,N.,Anderson,D.R.(1994).Depletion of B cells in vivo by a chimeric mouse human monoclonal antibody to CD20.Blood 83:435−445
【非特許文献28】Santin,A.D.,Bellone,S.,Gokden,M.,Palmieri,M.,Dunn,D.,Agha,J.,Roman,J.J.,Hutchins,L.,Pecorelli,S.,O’Brian,T.,Cannon,M.J.,Parham,G.P.(2002).Overexpression of HER−2/Neu in Uterine serous papillary cancer.Cl.Cancer Res.8:1271−1279.
【非特許文献29】Shinkawa,T.,Nakamura,K.,Yamane,N.,Shoji−Hosaka,E.,Kanda,Y.,Sakurada,M.,Uchida,K.,Anazawa,H.,Satoh,M.,Yamasaki,M.,Hanai,N.,Shitara,K.(2003).The absence of fucose but Not the presence of galactose or bisectin N−Acteylglucosamine of human IgG1 complex−type oligoscaccharides shows the critical role of enhancing antibody−dependent cellular cytotoxicity.J.Biol.Chem.278,3466−3473.
【非特許文献30】Zhou,H.,Fisher,R.J.,Papas,T.S.(1994).Optimization of primer sequences for mouse scFv repertoire display library construction.Nucleic Acids Res.22:888−889.
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1a−1】図1aは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位の核酸配列を提供している。
【図1a−2】図1aは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位の核酸配列を提供している。
【図1a−3】図1aは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位の核酸配列を提供している。
【図1a−4】図1aは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位の核酸配列を提供している。
【図1a−5】図1aは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位の核酸配列を提供している。
【図1a−6】図1aは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位の核酸配列を提供している。
【図1b−1】図1bは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位のアミノ酸配列を提供している。CDR部位のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はN−末端乃至C−末端までの間にボールドフェースで示している。
【図1b−2】図1bは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位のアミノ酸配列を提供している。CDR部位のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はN−末端乃至C−末端までの間にボールドフェースで示している。
【図1b−3】図1bは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位のアミノ酸配列を提供している。CDR部位のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はN−末端乃至C−末端までの間にボールドフェースで示している。
【図1b−4】図1bは、本発明において用いる様々な抗体の可変重鎖部位のアミノ酸配列を提供している。CDR部位のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はN−末端乃至C−末端までの間にボールドフェースで示している。
【図2a−1】図2aは、本発明において用いる様々な抗体の可変軽鎖部位の核酸配列を提供している。
【図2a−2】図2aは、本発明において用いる様々な抗体の可変軽鎖部位の核酸配列を提供している。
【図2a−3】図2aは、本発明において用いる様々な抗体の可変軽鎖部位の核酸配列を提供している。
【図2a−4】図2aは、本発明において用いる様々な抗体の可変軽鎖部位の核酸配列を提供している。
【図2b−1】図2bは、本発明において用いる様々な抗体の可変軽鎖部位のアミノ酸配列を提供している。CDR部位のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はN−末端乃至C−末端までの間にボールドフェースで示している。
【図2b−2】図2bは、本発明において用いる様々な抗体の可変軽鎖部位のアミノ酸配列を提供している。CDR部位のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はN−末端乃至C−末端までの間にボールドフェースで示している。
【図3】図3は、様々なコンセンサスに基づくHuCAL抗体の主要な遺伝子配列の可変重鎖部位のアミノ酸配列を提供している。CDR部位のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はN−末端乃至C−末端までの間にボールドフェースで示している。
【図4】図4は、様々なコンセンサスに基づくHuCAL抗体の主要な遺伝子配列の可変軽鎖部位のアミノ酸配列を提供している。CDR部位のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はN−末端乃至C−末端までの間にボールドフェースで示している。
【図5】図5は、CD38(SWISS−PROT一次受入れ番号P28907)のアミノ酸配列を提供している。
【図6−1】図6は、キメラOKT10の重鎖及び軽鎖ヌクレオチド配列を提供している。
【図6−2】図6は、キメラOKT10の重鎖及び軽鎖ヌクレオチド配列を提供している。
【図7−1】図7は、pMORPH(登録商標)_h_IgG1_1(塩基対601−2100)(配列番号74)のDNA配列を提供し、ベクタはpcDNA3.1+ベクタ(Invitrogen社)に基づいている。VH領域(VH−stuffer)配列のアミノ酸配列を太字で示し、VHリーダ配列の最終解読フレームと定常部遺伝子は非太字で示している。制限酵素部位は配列の上方に示される。配列プライマのプライミング部位は下線で示す。
【図7−2】図7は、pMORPH(登録商標)_h_IgG1_1(塩基対601−2100)(配列番号74)のDNA配列を提供し、ベクタはpcDNA3.1+ベクタ(Invitrogen社)に基づいている。VH領域(VH−stuffer)配列のアミノ酸配列を太字で示し、VHリーダ配列の最終解読フレームと定常部遺伝子は非太字で示している。制限酵素部位は配列の上方に示される。配列プライマのプライミング部位は下線で示す。
【図7−3】図7は、pMORPH(登録商標)_h_IgG1_1(塩基対601−2100)(配列番号74)のDNA配列を提供し、ベクタはpcDNA3.1+ベクタ(Invitrogen社)に基づいている。VH領域(VH−stuffer)配列のアミノ酸配列を太字で示し、VHリーダ配列の最終解読フレームと定常部遺伝子は非太字で示している。制限酵素部位は配列の上方に示される。配列プライマのプライミング部位は下線で示す。
【図8−1】図8は、Igκ軽鎖発現ベクタpMORPH(登録商標)_h_Igκ_1(塩基対601−1400)(配列番号75)のDNA配列を提供し、ベクタはpcDNA3.1+ベクタ(Invitrogen社)に基づいている。Vκ領域(Vκ−stuffer)配列のアミノ酸配列を太字で示し、Vκリーダ配列の、及び定常部遺伝子の最終解読フレームは非太字で示している。制限酵素部位は配列の上方に示される。配列プライマのプライミング部位は下線で示す。
【図8−2】図8は、Igκ軽鎖発現ベクタpMORPH(登録商標)_h_Igκ_1(塩基対601−1400)(配列番号75)のDNA配列を提供し、ベクタはpcDNA3.1+ベクタ(Invitrogen社)に基づいている。Vκ領域(Vκ−stuffer)配列のアミノ酸配列を太字で示し、Vκリーダ配列の、及び定常部遺伝子の最終解読フレームは非太字で示している。制限酵素部位は配列の上方に示される。配列プライマのプライミング部位は下線で示す。
【図9−1】図9は、Igλ軽鎖ベクタpMORPH(登録商標)_h_Igλ_1(塩基対601−1400)(配列番号76)のDNA配列を提供し、Vλ領域(Vλ−stuffer)配列のアミノ酸配列を太字で示し、Vλリーダ配列の、及び定常部遺伝子の最終解読フレームは非太字で示している。制限酵素部位は配列の上方に示される。配列プライマのプライミング部位は下線で示す。
【図9−2】図9は、Igλ軽鎖ベクタpMORPH(登録商標)_h_Igλ_1(塩基対601−1400)(配列番号76)のDNA配列を提供し、Vλ領域(Vλ−stuffer)配列のアミノ酸配列を太字で示し、Vλリーダ配列の、及び定常部遺伝子の最終解読フレームは非太字で示している。制限酵素部位は配列の上方に示される。配列プライマのプライミング部位は下線で示す。
【図10】図10は、本発明で用いるFab/IgGフォーマットにおける重鎖及び軽鎖の種々の組み合わせを提供している。
【図11】図11は、FACSによって得られるリンパ球と赤血球のCD38発現分析を提供している。PBMC及び赤血球は、密度勾配遠心分離によりカニクイザル、アカゲザル及びマーモセットの血液全体から分離した後に、抗CD38Fab抗体のMOR03087(A、右のヒストグラム;白矢印)及びMOR03088(B、右のヒストグラム;白矢印)を用いてFACS分析した。不適切なFab抗体(A&B、左のヒストグラム;黒矢印)は、負のコントロールとして用いた。
【図12】図12は、FACSによって得られるリンパ球と赤血球のCD38発現分析を提供している。PBMC及び赤血球は、密度勾配遠心分離によりヒト、カニクイザル及びマーモセットの血液全体から分離した後に、抗CD38IgG1のMOR03087(右のヒストグラム;白矢印)を用いてFACS分析した。不適切なIgG1抗体(A&B、左のヒストグラム;黒矢印)は、負のコントロールとして用いた。
【図13】図13は、種々の抗CD38抗体の交差反応性について比較した概要を提供している。
【図14a−1】図14aは、本発明で用いるある抗体に対するCDR及びFR部位を示し、既知配置のアミノ酸をお互いと、及び対応するコンセンサス配列と比較している。
【図14a−2】図14aは、本発明で用いるある抗体に対するCDR及びFR部位を示し、既知配置のアミノ酸をお互いと、及び対応するコンセンサス配列と比較している。
【図14b−1】図14bは、本発明で用いるある抗体に対するCDR及びFR部位を示し、既知配置のアミノ酸をお互いと、及び対応するコンセンサス配列と比較している。
【図14b−2】図14bは、本発明で用いるある抗体に対するCDR及びFR部位を示し、既知配置のアミノ酸をお互いと、及び対応するコンセンサス配列と比較している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望されないCD38陽性細胞の存在に関連する障害及び状態を治療するための薬剤を製造するためのCD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号21、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、又は104で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号51で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含むか;あるいは
(b)配列番号22、105、又は106で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号52で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含み;
前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片と、前記医薬組成物用の薬学的に受容可能な担体又は賦形剤とを含む医薬組成物が必要な対象に投与されることを特徴とする使用。
【請求項2】
所望されないCD38陽性細胞の存在に関連する障害及び状態を治療するための薬剤を製造するためのCD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号6、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、又は89を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号36を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含むか;あるいは、
(b)配列番号7、90、又は91を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号37を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含み;
前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片と、前記医薬組成物用の薬学的に受容可能な担体又は賦形剤とを含む医薬組成物が必要な対象に投与されることを特徴とする使用。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の使用において、前記障害又は状態が血液病であることを特徴とする使用。
【請求項4】
請求項3に記載の使用において、前記血液病が多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病からなる項目から生じることを特徴とする使用。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の使用において、前記障害又は状態が炎症性疾患であることを特徴とする使用。
【請求項6】
請求項5に記載の使用において、前記炎症性疾患が、関節リウマチ及び全身性エリテマトーデスからなる項目から生じることを特徴とする使用。
【請求項7】
CD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を誘発する薬剤の製造における、CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号21、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、又は104で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号51で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含むか;あるいは
(b)配列番号22、105、又は106で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号52で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含み;
前記特異的死滅がCD38の架橋結合によって生じることを特徴とする使用。
【請求項8】
CD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を誘発する薬剤の製造における、CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号6、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、又は89を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号36を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含むか;あるいは、
(b)配列番号7、90、又は91を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号37を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含み;
前記特異的死滅がCD38の架橋結合によって生じることを特徴とする使用。
【請求項9】
対象においてCD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を検出する薬剤の製造における、CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号21、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、又は104で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号51で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含むか;あるいは
(b)配列番号22、105、又は106で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号52で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含み;
前記特異的死滅がCD38の架橋結合によって生じることを特徴とする使用。
【請求項10】
対象においてCD38を発現する腫瘍細胞の特異的死滅を検出する薬剤の製造における、CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号6、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、又は89を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号36を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含むか;あるいは、
(b)配列番号7、90、又は91を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号37を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含み;
前記特異的死滅がCD38の架橋結合によって生じることを特徴とする使用。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の使用において、前記腫瘍細胞が、ヒト、ミニブタ及びウサギ起源であることを特徴とする使用。
【請求項12】
ミニブタ起源の組織又は細胞においてCD38の存在を検出するための薬剤の製造における、CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号21、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、又は104で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号51で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含むか;あるいは
(b)配列番号22、105、又は106で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号52で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含む;
ことを特徴とする使用。
【請求項13】
ミニブタ起源の組織又は細胞においてCD38の存在を検出するための薬剤の製造における、CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号6、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、又は89を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号36を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含むか;あるいは、
(b)配列番号7、90、又は91を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号37を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含む;
ことを特徴とする使用。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の使用において、前記ミニブタ起源のCD38が、末梢血単球、赤血球、リンパ球、胸腺細胞、筋細胞、小脳細胞、膵臓細胞、リンパ節細胞、扁桃腺細胞、脾臓細胞、前立腺細胞、皮膚細胞、及び網膜細胞からなる群から選択される分離した細胞型内に含まれることを特徴とする使用。
【請求項15】
CD38を発現する赤血球においてCD38を検出するための薬剤の製造における、CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号21、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、又は104で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号51で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含むか;あるいは
(b)配列番号22、105、又は106で表されるH−CDR1部位、H−CDR2部位、及びH−CDR3部位と;
配列番号52で表されるL−CDR1部位、L−CDR2部位、及びL−CDR3と;
を含む;
ことを特徴とする使用。
【請求項16】
CD38を発現する赤血球においてCD38を検出するための薬剤の製造における、CD38に特異的な、分離した抗体又は該抗体の機能的な断片の使用であって、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:
(a)配列番号6、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、又は89を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号36を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含むか;あるいは、
(b)配列番号7、90、又は91を含有する核酸配列によってコードされた可変長鎖部位と;
配列番号37を含有する核酸配列によってコードされた可変軽鎖部位と;
を含む;
ことを特徴とする使用。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の使用において、前記抗体又は該抗体の機能的な断片が更に、ヒトリンパ球である細胞由来のヒトCD38へ特異的に結合できることを特徴とする使用。
【請求項18】
請求項1、7、9、12、又は15のいずれか1項に記載の使用において、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:配列番号21、22、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、又は106で表される可変重鎖を含むことを特徴とする使用。
【請求項19】
請求項1、7、9、12、15、又は18のいずれか1項に記載の使用において、前記分離した抗体又は該抗体の機能的な断片が:配列番号51、52、109、又は110で表される可変軽鎖を含むことを特徴とする使用。

【図1a−1】
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【図1a−2】
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【図1a−3】
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【図1a−4】
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【図1a−5】
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【図1a−6】
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【図1b−1】
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【図1b−2】
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【図1b−3】
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【図1b−4】
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【図2a−1】
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【図2a−2】
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【図2a−3】
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【図2a−4】
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【図2b−1】
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【図2b−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a−1】
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【図14a−2】
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【図14b−1】
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【図14b−2】
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【公開番号】特開2013−79238(P2013−79238A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−246686(P2012−246686)
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2008−534940(P2008−534940)の分割
【原出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(504315886)モルフォシス アーゲー (4)
【Fターム(参考)】