説明

ヒドロキシアパタイト標的化ポリ(エチレングリコール)および関連重合体

【課題】単離可能なヒドロキシアパタイト標的化重合体構造を提供すること
【解決手段】単離可能なヒドロキシアパタイト標的化重合体構造およびそれらの生物学的活性結合体が提供されている。この重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格(例えば、PEG骨格)を含み、この重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標的化部分(例えば、ビスホスホネート)に共有結合されており、そして第二末端は、化学的反応性基に共有結合されており、ここで、この化学的反応性基は、保護されているかまたは保護されていない。ヒドロキシアパタイト標的化重合体構造およびそれらの生物学的活性結合体を調製し使用する方法もまた、提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ポリ(エチレングリコール)および関連する親水性重合体の誘導体、それらの合成方法、およびそれらの重合体により修飾された表面および分子に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
親水性重合体であるポリ(エチレングリコール)(略してPEGであり、これは、ポリ(エチレンオキシド)、略してPEOとしても知られている)の分子および表面への共有結合は、生物工学および医学において、非常に有用である。最も一般的な形態では、PEGは、各末端が水酸基で終わっている直鎖重合体である:
HO−CHCHO−(CHCHO)n−CHCH−OH
上記重合体であるα,ω−ジヒドロキシポリ(エチレングリコール)は、−HO−PEG−OHの省略形で表わすことができ、この場合、−PEG−との記号は、以下の構造を表わすことが理解されている:
−CHCHO−(CHCHO)n−CHCH
ここで、nは、典型的には、約3〜約4000の範囲である。
【0003】
PEGは、通例、メトキシ−PEG−OH(略してmPEG)として使用され、ここで、1端は、比較的不活性なメトキシ基であるのに対して、他端は、即座に化学修飾を受ける水酸基である。mPEGの構造を、以下で示す。
CHO−(CHCHO)−CHCH−OH
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの共重合体は、その化学的性質の点で、PEGに密接に関連しており、それらは、多くの用途において、PEGの代わりに使用できる。
HO−CHCHRO(CHCHRO)CHCH−OH
ここで、R=Hまたはアルキル(例えば、CH)である。
【0004】
PEGは、水および多くの有機溶媒中での溶解性、無毒性、および無免疫原性という性質を有する重合体である。PEGの1用途には、この重合体を不溶分子に共有結合して得られるPEG−分子「結合体」を可溶性にすることがある。例えば、水不溶性薬剤であるパクリタキセルは、PEGと結合すると、水溶性となることが明らかとなっている。Greenwaldら、J.Org.Chem.,60:331〜336(1995)。
【0005】
PEGを分子(例えば、タンパク質)と結合するためには、しばしば、その末端に官能基を有するPEGの誘導体を調製するために、そのPEGを「活性化」する必要がある。この官能基は、このタンパク質上の特定部分(例えば、アミノ基)と反応でき、それにより、PEG−タンパク質結合体を形成する。PEGの多くの活性化誘導体が記述されている。このような活性化誘導体の一例には、スクシンイミジルスクシネート「活性エステル」がある。
【0006】
【化2】

以下、このスクシンイミジル活性エステル部分は、−CO−NSと表わす。
【0007】
PEGの化学的性質の応用が洗練されるにつれて、ヘテロ官能性PEG、すなわち、異なる末端基を有するPEGがますます必要とされている:
X−PEG−Y
ここで、XおよびYは、異なる基である。適当な官能基を有するこのようなヘテロ二官能性PEGは、PEGを表面または生物学的活性分子に結合するのに使用され得、その他端は、例えば、生物学的活性分子、リポソームまたはバイオセンサに結合するのに使用され得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Greenwaldら、J.Org.Chem.,60:331〜336(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
生物工学分野では、1種またはそれ以上の種々の物質(他の重合体、ペプチド、タンパク質、炭水化物、オリゴヌクレオチド、脂質、リポソーム、細胞、薬物、表面、および他の生物学的活性部分を含めて)と結合体化するのに適した活性化重合体を継続的に開発することが望まれている。さらに、標的化または長時間放出処方に使用できる活性化重合体を開発できれば、有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、体内での寿命を持続させて生物学的活性剤を送達するために、ヒドロキシアパタイト表面(例えば、骨)を利用する。ポリエチレングリコールは、しばしば、生物学的活性分子と共有結合されて、その循環半減期を長くするが、いくつかの結合体の滞留時間は、最適以下のままである。以下でさらに詳細に記述される本発明により提供される、体内での滞留時間の延長およびヒドロキシアパタイト表面(例えば、骨)の標的化から利益を得る多くの生物学的活性剤(ポリペプチドおよび小薬剤分子の両方)が存在する。
【0011】
本発明は、単離可能な活性化ヒドロキシアパタイト標的化重合体構造を提供し、該重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標的化部分に共有結合されており、そして第二末端は、化学的反応性基または保護された化学的反応性基に共有結合されている。例えば、前記ヒドロキシアパタイト標的化部分は、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸およびアミノリン糖からなる群から選択できる。前記化学的反応性基または保護された化学的反応性基は、好ましくは、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、活性エステル、活性カーボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、保護アミン、ヒドラジド、保護ヒドラジド、チオール、保護チオール、カルボン酸、保護カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレートおよびトレシレートからなる群から選択される。前記重合体骨格は、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィン性アルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、およびそれらの共重合体、三元共重合体、誘導体および混合物を含有し得る。
【0012】
前記化学的反応性基を生物学的活性剤と反応させることにより、本発明のヒドロキシアパタイト標的化重合体は、生物学的活性剤を表面(例えば、骨表面)につなぎ留めるのに使用できる。該ヒドロキシアパタイト標的化重合体およびそれらの生物学的活性剤共役物の調製方法もまた、提供されている。
【0013】
1実施態様では、本発明は、放出可能生物学的活性剤用のレザバとして骨を有する生物(例えば、哺乳動物)中の骨表面を利用する方法を提供する。該方法は、ヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体構造を提供する工程を包含し、該重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標的部分に共有結合されており、そして第二末端は、リンカーを介して、生物学的活性剤に共有結合されており、ここで、該重合体骨格および該リンカーの少なくとも1個は、加水分解性または酵素分解性結合を含む。治療有効量の該重合体構造が骨を有する生物に投与され、該重合体構造の少なくとも一部が該ヒドロキシアパタイト標的化部分により骨表面に結合される。好ましくは、前記加水分解または酵素分解性結合は、カーボネート、カルボン酸エステル、ホスホエステル、オルトエステル、アセタール、カーバメート、ジスルフィドおよびペプチドからなる群から選択される。前記放出可能生物学的活性剤を備えたヒドロキシアパタイト標的重合体構造は、最初は、前記生物内の骨または骨髄表面を標的にし、それにより、該骨表面は、レザバまたはデポーとして使用する。該生物学的活性剤は、その分解性結合が分解するにつれて、長時間にわたって、該生物から放出される。
【発明の効果】
【0014】
それゆえ、本発明により、生物学的活性剤は、インビボでヒドロキシアパタイト表面に係留でき、そして病気を治療するために、長時間にわたって、前記生物の他の部分に送達できるようになる。このようにして、前記生物学的活性剤の滞留時間は、延ばすことができ、その治療の効能が改善できる。それに加えて、本発明の活性化重合体誘導体は単離可能であり、その結果、その重合体が生物学的活性剤に結合する前に分離され精製でき、それにより、該生物学的活性重合体の収率および純度が高められる
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
「官能基」、「活性部分」、「活性化基」、「反応性部位」、「化学的反応性基」および「化学的反応性部分」との用語は、当該技術分野で使用され、本明細書中では、ある分子の別個の定義できる部分または単位を意味する。これらの用語は、化学分野において、ある程度、同義であり、本明細書中では、ある機能または活性を発揮し、他の分子と反応性である分子部分を意味するように使用される。
【0016】
「結合」または「リンカー」との用語は、本明細書中にて、通常、化学反応の結果として形成される基または結合であって、典型的には、共有結合された基または結合を意味するように使用される。加水分解に安定な結合とは、それらの結合が、水中で実質的に安定であり、例えば、有用なpHで、生理学的条件下にて、長時間(好ましくは、永久に)、水と反応しないことを意味する。加水分解に不安定または分解性の結合とは、その結合が、水中または水溶液(例えば、血液を含めて)中で分解性であることを意味する。酵素不安定性または分解性結合とは、その結合が、1種またはそれ以上の酵素で分解できることを意味する。
【0017】
本明細書中で使用する「化合物」との用語は、固相、液相または気相にあろうと、粗混合物中であろうと精製され単離されていようと、化学物質を意味すると解釈される。「アルキル」、「アルケン」および「アルコキシ」との用語は、それぞれ、直鎖および分枝のアルキル、アルケンおよびアルコキシを含む。「低級アルキル」との用語は、C1〜C6アルキルを意味する。「アルコキシ」との用語は、例えば、式−ORまたは−RORの酸素置換アルキルを意味し、ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、選択したアルキルである。「置換アルキル」および「置換アルケン」との用語は、それぞれ、1個またはそれ以上の非妨害置換基(例えば、C3〜C6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチルなど);アセチレン;シアノ;アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど);低級アルカノイルオキシ(例えば、アセトキシ);ヒドロキシ;カルボキシ;アミノ;低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ);ケトン;ハロ(例えば、クロロまたはブロモ);フェニル;置換フェニルなど)で置換されたアルキルおよびアルケンを意味する。「ハロゲン」との用語は、フッ素、塩素、ヨウ素および臭素を含む。
【0018】
「アリール」とは、1個またはそれ以上の芳香環を意味し、これらは、それぞれ、5個または6個の炭素原子を有する。複数のアリール環は、ナフチルのように縮合され得、またはビフェニルのように非縮合であり得る。アリール環はまた、1個またはそれ以上の環状炭化水素環、ヘテロアリール環または複素環で縮合され得るか、非縮合であり得る。
【0019】
「置換アリール」とは、置換基として1個またはそれ以上の非妨害基を有するアリールである。
【0020】
「非妨害置換基」とは、安定な化合物を生じる基である。適当な非妨害置換基またはラジカルには、ハロ、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10アルコキシ、C〜C12アラルキル、C〜C12アルカリール、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルケニル、フェニル、置換フェニル、トルオイル、キシレニル、ビフェニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12アルコキシアリール、C〜C12アリールオキシアルキル、C〜C12オキシアリール、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜C10アルキルスルホニル、−(CH−O−(C〜C10アルキル)(ここで、mは、1〜8である)、アリール、置換アリール、置換アルコキシ、フルオロアルキル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ニトロアルキル、−NO、−CN、−NRC(O)−(C−C10アルキル)、−C(O)−(C−C10アルキル)、C−C10チオアルキル、−C(O)O−(C−C10アルキル)、−OH、−SO、=S、−COOH、−NR、カルボニル、−C(O)−(C−C10アルキル)−CF、−C(O)−CF、−C(O)NR、−(C−C10アルキル)−S−(C−C12アリール)、−C(O)−(C−C12アリール)、−(CH−O−(CH−O−(C−C10アルキル)(ここで、各mは、1〜8である)、−C(O)NR、−C(S)NR、−SONR、−NRC(O)NR、−NRC(S)NR、それらの塩などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で使用する各Rは、H、アルキルまたは置換アルキル、アリールまたは置換アリール、アラルキルまたはアルカリールである。
【0021】
「アミノ酸」との用語は、全ての必須アミノ酸および非必須アミノ酸を含む。本明細書中では、当該技術分野で公知の標準的なアミノ酸の略語が使用されている。
【0022】
「生物学的活性分子」、「生物学的活性部分」または「生物学的活性剤」との用語は、本明細書中で使用するとき、生物生物(ウイルス、細菌、真菌、植物、動物およびヒトが挙げられるが、これらに限定されない)のいずれかの物理的特性または生化学的特性に影響を与えることができる任意の物質を意味する。特に、本明細書中で使用する生物学的活性分子には、ヒトまたは他の動物における病気の診断、治療改善、治療または予防を目的としている任意の物質であるか、そうでなければ、ヒトまたは動物の物理的または精神的健康を高める任意の物質を含む。生物学的活性分子の例には、ペプチド、タンパク質、酵素、小分子薬剤、染料、脂質、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、細胞、ウイルス、リポソーム、微粒子およびミセルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用するのに適当な生物学的活性剤のクラスには、抗生物質、殺真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、心血管剤、抗不安剤、ホルモン、成長因子、ステロイド剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「単離可能」との用語は、これらの活性化重合体が、生物学的活性剤と結合する前に、他の化合物から単離または分離できることを意味すると解釈される。許容できる単離または精製レベルは、種々の要因(例えば、精製の難易度、存在している汚染化合物の種類など)に依存している。このヒドロキシアパタイト標的化活性化重合体を生物学的活性剤に結合する前に単離または分離することにより、良好な収率および純度が達成される。それに加えて、この生物学的活性剤を取り込む前に、これらの重合体誘導体を単離すると、その重合体の定量分析および定性分析が可能となり、これは、次いで、この生物学的活性生成物の全体的な性質を高める。単離可能なヒドロキシアパタイト標的化活性化重合体を生物学的活性剤に結合するのに利用できるようにすると、組成の明確な結合体が得られ、この組成は、調節機関に簡単に伝達できる。下記の実施例で例示しているように、これらの活性化重合体誘導体は、一般に、沈殿に続いて溶媒抽出および/またはクロマトグラフィー技術(例えば、イオン交換クロマトグラフィー)により、単離され精製される。
【0024】
本発明は、単離可能ヒドロキシアパタイト標的化重合体構造を提供し、該重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標的化部分に共有結合されており、そして第二末端は、化学的反応性基に共有結合されており、ここで、該化学的反応性基は、保護されているかまたは保護されていない。
【0025】
この重合体骨格は、実質的に非免疫原性の重合体(例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG))である。しかしながら、本発明を実施するのに使用するために、他の関連した重合体もまた適当であること、そしてPEGまたはポリ(エチレングリコール)との用語の使用が、この点で、包括的であり限定的ではないことが理解できるはずである。好ましくは、この重合体骨格は、2〜約300個の末端を有する。
【0026】
PEGは、典型的には、透明で、無色無臭で、水溶性で、熱に安定であり、多くの化学試薬に不活性であり、加水分解または劣化せず、一般に、非毒性である。ポリ(エチレングリコール)は、生体適合性であると考えられており、すなわち、PEGは、害を及ぼすことなく、生体組織または生物と共存できる。さらに具体的には、PEGは、非免疫原性である、すなわち、PEGは、体内で免疫応答を生じる傾向がない。PEGは、体内である種の望ましい機能を有する分子(例えば、生物学的活性剤)と結合すると、その活性剤を遮蔽する傾向があり、生物が活性剤の存在に耐えることができるように、何らかの免疫応答をなくすか少なくできる。PEG結合体は、実質的な免疫応答を生じないか凝固または他の望ましくない効果を引き起こさない傾向にある。PEGは、式−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−(ここで、nは、約3〜約4000、好ましくは、約3〜約2000である)を有し、本発明を実施する際に有用な1重合体である。好ましくは、この重合体骨格として、約200Da〜約100,000Daの分子量を有するPEGが使用される。
【0027】
この重合体骨格は、直鎖または分枝であり得る。分枝重合体骨格は、一般に、当該技術分野で公知である。典型的には、分枝重合体は、中心分枝コア部分と、その中心分枝コアに結合された複数の直鎖重合体鎖とを有する。PEGは、通例、分枝形状で使用され、これは、エチレンオキシドを種々のポリオール(例えば、グリセロール、ペンタエリスリトールおよびソルビトール)に付加することにより、調製できる。この中心コア部分はまた、数種のアミノ酸(例えば、リジン)から誘導できる。この分枝ポリエチレングリコールは、一般式R(−PEG−OH)で表わすことができ、ここで、Rは、このコア部分(例えば、グリセロールまたはペンタエリスリトール)を表わし、そしてmは、アームの数を表わす。
【0028】
本発明では、他の多くの重合体もまた適当である。これらの重合体は、直鎖形状または分枝形状のいずれかであり、これらには、他のポリ(アルキレングリコール)(例えば、ポリ(プロピレン)グリコール(「PPG」)、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体など)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィン性アルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、およびそれらの共重合体、三元重合体、誘導体および混合物が挙げられるが、これらに限定されない。この重合体骨格の各鎖の分子量は、変化し得るが、典型的には、約100Da〜約100,000Da、好ましくは、約6,000Da〜約80,000Daの範囲である。
【0029】
当業者は、実質的に水溶性で非免疫原性の重合体骨格についての前述のリストが、決して、全てを網羅するものではなく、単に例示であること、また、上記性質を有する全ての重合体材料が考慮されることを認識している。
【0030】
このヒドロキシアパタイト標的化部分は、ヒドロキシアパタイト表面(すなわち、リン酸カルシウム)(例えば、骨)に結合できるかそれに対して化学親和性を示し得る任意の部分を含み得る。このヒドロキシアパタイト標的化部分は、好ましくは、任意のヒドロキシアパタイトまたはリン酸カルシウム表面に結合し得る。1実施態様では、このヒドロキシアパタイト標的化部分は、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸およびアミノリン糖からなる群から選択される。特に好ましい実施態様では、このヒドロキシアパタイト標的化部分は、ビスホスホネートである。
【0031】
本発明で使用するのに適当なビスホスホネートの一例を、以下に示す。
【0032】
【化3】

ここで、YおよびZは、別個に、水素、−OH、ハロゲン、アリール、置換アリール、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾニル、C1〜C30アルキル、C1〜C30置換アルキル、NH、NHR’、NR’、SHおよびSR’からなる群から選択され、ここで、R’は、C1〜C30アルキル、C1〜C10アルコキシ、アリールまたは置換アリールであり、そしてWは、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、NaおよびKからなる群から選択される。好ましくは、Yは、−NH(CH−であり、pは、約2〜約6であり、Zは、−OHであり、そして各Wは、水素である。特に好ましいビスホスホネートは、3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−二リン酸である。
【0033】
ビスホスホネートは、2個の炭素−リン含有結合により特徴付けられ、ピロリン酸塩のP−O−P(リン−酸素−リン)結合において、酸素が炭素で置き換えられ、そのP−C−P結合は、化学的および酵素的な加水分解に対して耐性を与える。この炭素原子上の異なる置換基は、いくつかの異なるビスホスホネートを作り出し、各々は、その独自の薬理学的特性を有する。エチドロン酸は、その炭素原子上に水酸基およびメチル基という置換基を含み、治療で使用するビスホスホネートのうち、骨内で90日を超える半減期を有する最初のビスホスホネートであった。引き続いて、他のさらに強力なビスホスホネート(例えば、アレンドロネート)が開発され、これは、その炭素原子上に、アルキルアミンおよび水酸基という置換基を有する。
【0034】
ビスホスホネートは、ヒドロキシアパタイト結晶に対して強力な親和性を有し、また、かなり高い用量で、物理化学的機構により、インビボでの骨の石灰化を阻害する。ビスホスホネートは、代謝されず、吸収され、排泄され、変化せずに保存されるようである。しかしながら、ビスホスホネートのある種のアナログの側鎖は、修飾され得る。吸収された画分の20〜60%が骨格に急速に吸収されるので、血漿クリアランスは、急速である(2時間程度の半減期)。その残りは、尿から排泄される。骨内での半減期は、非常に長く、ビスホスホネートの放出は、これらの化合物を吸収する骨の再吸収後にのみ生じる。
【0035】
骨に対するビスホスホネートおよび他のヒドロキシアパタイト標的化部分の強力な親和性により、本発明の重合体は、生物学的活性剤のためのヒドロキシアパタイト標的化送達システムとして、使用することが可能となる。好ましくは、これらの単離可能な活性化ヒドロキシアパタイト標的化重合体は、単一工程で、この生物学的活性剤に効率的に結合できる。
【0036】
上記のように、本発明のヒドロキシアパタイト標的化重合体構造は、保護または未保護化学的反応性基に結合した少なくとも1個の末端を有する。この化学的反応性基は、好ましくは、生物学的活性剤の官能基に結合するのに適当である。適当な化学的反応性基の例には、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、活性エステル、活性カーボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、保護アミン、ヒドラジド、保護ヒドラジド、チオール、保護チオール、カルボン酸、保護カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレートおよびトレシレートが挙げられる。
【0037】
当該技術分野で理解されているように、「保護」との用語は、特定反応条件下にて、化学的反応性基の反応を阻止する保護基または部分の存在を意味する。この保護基は、保護する化学的反応性基の種類に依存して変化し得る。例えば、もし、この化学的反応性基がアミンまたはヒドラジドであるなら、その保護基は、好ましくは、第三級ブチルオキシカルボニル(t−Boc)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)からなる群から選択される。もし、この化学的反応性基がチオールであるなら、その保護基は、好ましくは、オルトピリジルジスルフィドである。もし、この化学的反応性基がカルボン酸(例えば、ブタン酸またはプロピオン酸)または水酸基であるなら、その保護基は、好ましくは、ベンジルである。当該技術分野で公知の他の保護基もまた、本発明で使用され得る。
【0038】
1実施態様では、この化学的反応性基は、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、アミン、保護アミン、カルボン酸、保護カルボン酸、マレイミド、活性カーボネート(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートおよび1−ベンゾトリアゾールカーボネート)および活性エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよび1−ベンゾトリアゾリルエステル)からなる群から選択される。
【0039】
1つの有用なヒドロキシアパタイト標的化重合体は、以下の一般式を有する。Q−POLY−L−T
ここで、POLYは、水溶性非ペプチド重合体であり、Qは、保護または非保護化学的反応性基であり、Lは、リンカーであり、そしてTは、ヒドロキシアパタイト標的化部分である。好ましくは、POLYは、ポリ(アルキレングリコール)(例えば、ポリ(エチレングリコール))であり、これは、約200Da〜約100,000Daの平均分子量を有し、そしてTは、ビスホスホネートである。リンカーLは、このヒドロキシアパタイト標的化部分を重合体骨格に結合するのに使用される官能基の残基である。例えば、リンカーLは、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、アミン結合、尿素結合またはカーバメート結合からなる群から選択される加水分解に安定な結合であり得る。リンカーLはまた、以下でさらに詳細に記述するように、分解性結合であり得る。
【0040】
別の実施態様では、このヒドロキシアパタイト標的化重合体は、以下の一般構造を有する。
Q−PEG−L−T
ここで、PEGは、約200Da〜約100,000Daの平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)であり、Qは、保護または非保護化学的反応性基であり、Lは、リンカーであり、そしてTは、ビスホスホネートである。有利には、PEGは、−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−であり、ここで、nは、約3〜約2000である。
【0041】
第三実施態様では、このヒドロキシアパタイト標的化重合体は、以下の一般式を有する。
T−L−POLY−R(−POLY−X)
ここで、POLYおよびPOLYは、水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、同一または異なり得る;
各Xは、別個に、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、活性エステル、活性カーボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、保護アミン、ヒドラジド、保護ヒドラジド、チオール、保護チオール、カルボン酸、保護カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、トレシレートおよび−L−Tからなる群から選択されるが、但し、少なくとも1個のXは、−L−Tではない;
Rは、中心コア分子(例えば、アミノ酸またはポリオール)である;
Lは、リンカーである;
Tは、ヒドロキシアパタイト標的化部分である;そして
qは、2〜約300の整数である。
【0042】
好ましくは、POLYおよびPOLYは、共に、ポリ(エチレングリコール)であり、そしてRは、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、リジンおよびジ−リジンからなる群から選択される。
【0043】
本発明のヒドロキシアパタイト標的重合体の好ましい実施態様の一部の例は、以下のように提示される。
【0044】
PEG(2,000)−α−アミン−ω−AHPDP、
PEG(2,000)−α−N−マレイミド−ω−AHPDP、
PEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸、
PEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
PEG(2,000)−α−AHPDP−ω−タンパク質、
PEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDP、および
PEG(10,000)−(α−AHPDP)
ここで、−AHPDPは、3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−二リン酸を表わす。
【0045】
本発明はまた、本発明のヒドロキシアパタイト標的化重合体と生物学的活性剤との共役物を包含する。例えば、本発明は、以下の一般式のヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体を提供する。
D−L’−POLY−L−T
ここで、POLYは、水溶性非ペプチド重合体であり、Dは、生物学的活性剤であり、LおよびL’は、リンカーであり、該リンカーは、同一または異なり得、そしてTは、ヒドロキシアパタイト標的部分である。
【0046】
別の実施態様では、本発明は、以下の一般式のヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体を提供する。
D−L’−PEG−L−T
ここで、PEGは、約200Da〜約100,000Daの平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)であり、Dは、生物学的活性剤であり、LおよびL’は、リンカーであり、該リンカーは、同一または異なり得、そしてTは、ビスホスホネートである。
【0047】
さらに、本発明は、以下の一般式のヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体を包含する。
T−L−POLY−R(−POLY−L’−A)
ここで、POLYおよびPOLYは、水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、同一または異なり得る;
各Aは、別個に、ヒドロキシアパタイト標的化部分および生物学的活性剤からなる群から選択されるが、但し、少なくとも1個のAは、生物学的活性剤である;
Rは、中心コア分子である(アミノ酸またはポリオール);
LおよびL’は、リンカーであり、該リンカーは、同一または異なり得る;
Tは、ヒドロキシアパタイト標的化部分である;
qは、2〜約300の整数である。
【0048】
本発明により、放出可能生物学的活性剤用のレザバとしてヒドロキシアパタイト表面(例えば、骨表面)を利用する方法もまた提供される。該方法は、ヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体構造を提供する工程を包含し、該重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標的化部分に共有結合されており、そして第二末端は、リンカーを介して、生物学的活性剤に共有結合されており、ここで、該重合体骨格および該リンカーの少なくとも1個は、加水分解性または酵素分解性結合を含む。例えば、これらの生物学的活性剤について上で示した構造のいずれかにおいて、L、L’、POLYまたはPEG部分は、その中に、加水分解性または酵素分解性結合を含み得る。例えば、PEGは、この重合体骨格内にて、加水分解を受けるエステル結合により調製できる。この加水分解により、この重合体は、以下で示すように、低分子量断片に開裂される。
【0049】
【化4】

好ましくは、この加水分解性または酵素分解性結合は、イミン、カーボネート、カルボン酸エステル、ホスホエステル、オルトエステル、アセタール、式
【0050】
【化5】

のカルバメート結合(ここで、Arは、アリール基である)、ジスルフィドおよびペプチドからなる群から選択される。しかしながら、当該技術分野で公知の他の分解性結合は、使用され得る。
【0051】
治療有効量の該重合体構造は、例えば、骨含有哺乳動物に重合体構造の少なくとも一部が、ヒドロキシアパタイト標的化部分により骨表面に結合されるように投与される。放出可能生物学的活性剤が結合されたヒドロキシアパタイト標的化重合体構造は、最初は、生物内の骨または骨髄表面を標的化し、それにより、骨表面は、レザバまたはデポーとして使用する。その重合体骨格またはリンカーのいずれかに分解性結合が存在しているので、生物学的活性剤は、その結合が分解するにつれて、長時間にわたって、生物中に放出される。この様式において、この生物学的活性剤は、病気または他の病態を処置する生物の他の部分に送達される。放出された生物学的活性剤は、この分解性結合の配置に依存して、ネイティブな形状であり得るか、またはリンカーに結合され得るか、またはリンカーと重合体骨格断片とに結合され得る。この生物学的活性剤を骨につなぎ留めるか係留することにより、その生物学的活性剤の滞留時間は、長くでき、これにより、高い処置効能を得ることができる。
【0052】
「治療有効量」は、多数の要因に依存しており、これには、処置する病態または疾患の性質および重症度、使用する生物学的活性剤の種類、被験体のサイズ、年齢および一般的な健康状態、ならびに他の要因が挙げられる。
【0053】
この重合体構造は、種々の経路により投与され得、これには、経口、肺、静脈内、皮下、筋肉内、舌下、鼻内、眼内および直腸が挙げられる。この重合体構造はまた、1種またはそれ以上の薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤と共に投与され得る。
【0054】
本発明のヒドロキシアパタイト標的化重合体はまた、他のリン酸カルシウム表面または被覆に結合するのに使用でき、これには、ヒドロキシアパタイト被覆補綴物装置およびリン酸カルシウム粒子が挙げられる。例えば、本発明のヒドロキシアパタイト標的化重合体は、タンパク質および細胞の補綴物装置への吸着を防止するために、または生物学的活性剤用の合成的に製造した送達装置の一部分として、使用できる。
【0055】
本発明はまた、上記のヒドロキシアパタイト標的化重合体およびその生物学的活性剤共役物を調製する方法を包含する。好ましい実施態様では、これらの活性化重合体は、重合体構造を提供することにより調製され、重合体構造は、直鎖または分枝鎖の水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、第一保護化学的反応性基に共有結合されており、そして第二末端は、第二化学的反応性基に共有結合されており、この第二化学的反応性基は、活性カーボネートおよび活性エステルからなる群から選択される。適当な活性カーボネートおよび活性エステルの例には、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、1−ベンゾトリアゾリルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートおよび1−ベンゾトリアゾリルカーボネートが挙げられる。第二化学的反応性基は、ヒドロキシアパタイト標的化部分と反応して、ヒドロキシアパタイト標的化重合体構造が形成される。第一保護化学的反応性基は、好ましくは、保護ヒドロキシル、保護アミン、保護カルボン酸、保護ヒドラジンおよび保護チオールからなる群から選択される。このようにして、この重合体の少なくとも1個の末端は、そのヒドロキシアパタイト標的化部分がそこに結合されないように、保護されている。これにより、少なくとも1個の末端が生物学的活性剤との引き続いた反応に利用できることを保証する。1実施態様では、このヒドロキシアパタイト標的化部分と反応させるために、以下の重合体構造が使用される:
【0056】
【化6】

ここで、Xは、活性カーボネートまたは活性エステルであり、Y’は、ベンジルであり、そしてnは、約3〜約2000である、この方法は、さらに、化学的反応性基が、例えば、生物学的活性剤との反応に利用できるように、第一保護化学的反応性基を脱保護する工程を包含する。
【0057】
生物学的活性ヒドロキシアパタイト標的化重合体を製造する方法は、好ましくは、重合体構造を提供する工程を包含し、この重合体構造は、直鎖または分枝鎖の水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標識部分に共有結合されており、そして第二末端は、化学的反応性基に共有結合されている。この化学的反応性基は、生物学的活性剤が重合体構造の第二末端に結合して、生物学的活性ヒドロキシアパタイト標的化重合体構造を形成するように、生物学的活性剤と反応される。当業者に理解されるように、化学的反応性基の選択は、この生物学的活性剤で利用できる官能基に依存している。例えば、もし、この生物学的活性剤が、アミン、ヒドロキシルまたはチオール官能基を含有するなら、この化学的反応性基として、活性カーボネートまたは活性エステルが使用され得る。生物学的活性部分と反応するのに有用な特に好ましい化学的反応性基には、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、マレイミド、活性カーボネートおよび活性エステルが挙げられる。この生物学的活性剤は、好ましくは、ペプチド、タンパク質、酵素、低分子薬剤、染料、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、脂質、リン脂質、細胞、ウイルス、リポソーム、微粒子またはミセルを含有する。1実施態様では、この生物学的活性剤は、少なくとも1個の水酸基を有する(例えば、キニジン、カンプトセシンおよびパクリタキセル)。
【0058】
以下の実施例は、本発明を説明するために示されており、本発明の限定と見なされるべきではない。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
(PEG(2,000)−α−N−CBZ−アミン−ω−プロピオン酸)
PEG(2,000)−α−アミン−ω−プロピオン酸(5.0g、0.0025モル)(Shearwater Polymers)の無水塩化メチレン(50ml)溶液に、N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(0.80g、0.0032モル)およびトリエチルアミン(1.0ml)を添加し、その反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、この反応混合物をリン酸緩衝液20ml(4%、pH=3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして冷ジエチルエーテル400mlに添加した。沈殿した生成物を濾過により除き、そして減圧下にて乾燥した。収量4.3g。
【0060】
【化7】

(実施例2)
(PEG(2,000)−α−N−CBZ−アミン−ω−プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)
PEG(2,000)−α−N−CBZ−アミン−ω−プロピオン酸(4.30g、0.00183モル)の無水塩化メチレン(50ml)溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.22g、0.00192モル)を添加し、続いて、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(塩化メチレン中の1.0M溶液、1.92ml、0.00192モル)を添加した。この反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、この混合物を濾過し、乾燥状態まで溶媒をエバポレートした。その粗生成物を塩化メチレンに溶解し、そしてイソプロピルアルコールで沈殿させた。その湿潤生成物を、減圧下にて乾燥した。収量3.5g。
【0061】
【化8】

(実施例3)
(PEG(2,000)−α−アミン−ω−AHPDP)
PEG(2,000)−α−N−CBZ−アミン−ω−プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(3.0g、0.00046モル)のアセトニトリル(20ml)溶液に、AHPDP−2BuN(0.93g)およびトリエチルアミン(0.25ml)を添加し、その反応混合物を、室温で、減圧下にて、一晩攪拌した。次に、乾燥状態まで、溶媒をエバポレートした。その粗生成物をDI水(50ml)に溶解し、そしてAmberlite IR 120(プラス)カラム(50ml)で濾過した。この溶液のpHを、0.5M水酸化ナトリウムで6.5まで調節し、そして活性炭上パラジウム(10%)(0.6g)を添加した。その混合物を、室温で、40psiの水素下にて、一晩水素化した。次に、この混合物を濾過し、そして減圧下にて、水を留去した。その湿潤生成物を塩化メチレン(50ml)に溶解し、次いで、溶媒を留去した。最後に、その生成物を、減圧下にて、乾燥した。収量2.3g。
【0062】
【化9】

(実施例4)
(PEG(2,000)−α−N−マレイミド−ω−AHPDP)
PEG(2,000)−α−アミン−ω−AHPDP(2.0g、0.00046モル)のアセトニトリル(20ml)溶液に、β−マレイミドプロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(0.93g)およびトリエチルアミン(0.25ml)を添加し、その反応混合物を、室温で、アルゴン下にて、一晩攪拌した。次に、乾燥状態まで、溶媒をエバポレートした。その粗生成物を塩化メチレンに溶解し、そしてイソプロピルアルコールで沈殿させた。その湿潤生成物を、減圧下にて、乾燥した。収量1.8g。
【0063】
【化10】

(実施例5)
(PEG(2,000)−α−ヒドロキシ−ω−プロピオン酸のベンジルエステル)
PEG(2,000)−α−ヒドロキシ−ω−プロピオン酸(10g、0.0050モル)(Shearwater Polymers)の無水塩化メチレン(100ml)溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.30g)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(1.0g)、ベンジルアルコール(10.8g、0.100モル)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(塩化メチレン中の1.0M溶液、7.5ml、0.0075モル)を添加した。この反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、この混合物を約50mlまで濃縮し、濾過し、そして冷ジエチルエーテル800mlに添加した。沈殿した生成物を濾過により除き、そして減圧下にて、乾燥した。収量8.2g。
【0064】
【化11】

(実施例6)
(PEG(2,000)−α−ベンゾトリアゾールカーボネート−ω−プロピオン酸のベンジルエステル)
PEG(2,000)−α−ヒドロキシ−ω−プロピオン酸のベンジルエステル(8.2g、0.0025モル)のアセトニトリル(82ml)溶液に、ピリジン(0.98ml)およびジ(1−ベンゾトリアゾリル)カーボネート(1.48g)を添加し、その反応混合物を、室温で、アルゴン下にて、一晩攪拌した。次に、この混合物を濾過し、そして乾燥状態まで、溶媒をエバポレートした。その粗生成物を塩化メチレンに溶解し、そしてイソプロピルアルコールで沈殿させた。その湿潤生成物を、減圧下にて、乾燥した。収量6.8g。
【0065】
【化12】

(実施例7)
(PEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸)
PEG(2,000)−α−ベンゾトリアゾールカーボネート−ω−プロピオン酸のベンジルエステル(5.7g、0.0025モル)のアセトニトリル(40ml)溶液に、3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−二ホスホン酸のジテトラブチルアンモニウム塩(AHPDP−2BuN)(1.92g)およびトリエチルアミン(0.60ml)を添加し、その反応混合物を、室温で、アルゴン下にて、一晩攪拌した。次に、乾燥状態まで、溶媒をエバポレートした。その粗生成物をDI水(100ml)に溶解し、そしてAmberlite IR 120(プラス)カラム(50ml)で濾過した。この溶液のpHを、0.5M水酸化ナトリウムで7.2まで調節し、そして活性炭上パラジウム(10%)(0.6g)を添加した。その混合物を、室温で、45psiの水素下にて、一晩水素化した。次に、この混合物を濾過し、そして減圧下にて、水を留去した。その湿潤生成物を塩化メチレン(150ml)に溶解し、次いで、溶媒を留去した。最後に、その生成物を、減圧下にて、乾燥した。収量4.7g。
【0066】
【化13】

(実施例8)
(PEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)
PEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸(4.7g、0.0020当量)の無水塩化メチレン(100ml)溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.70g、0.0024モル)を添加し、続いて、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(塩化メチレン中の1.0M溶液、2.4ml、0.0024モル)を添加した。この反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、この混合物を濾過し、乾燥状態まで溶媒をエバポレートした。その粗生成物を塩化メチレンに溶解し、そしてイソプロピルアルコールで沈殿させた。最後に、その生成物を、減圧下にて乾燥した。収量3.6g。
【0067】
【化14】

(実施例9)
(PEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルのタンパク質へのカップリング)
モデルタンパク質として、リゾチームを使用したが、その位置では、任意のタンパク質で置換できる。リゾチーム(鶏卵白、MW=14,300Da、4mg、2.8E−7モル)を、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)2mlに溶解した。低い程度のPEG化を行うために、このリゾチーム溶液に、約1.1mg(5.6E−7モル)のPEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを添加し、そして室温で、5時間混合した。高い程度のPEG化を行うために、このリゾチーム溶液に、約5.6mg(2.8E−6モル)のPEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを添加し、そして室温で、5時間混合した。各PEG−リゾチーム多量体(1−PEGマー、2−PEGマー、3−PEGマー)を、Superdex 75サイズ排除カラム(Amersham Pharmacia Biotech)(その溶離緩衝液として、5mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)を使う)で分離した。これらの多量体の純度の分析は、ゲルおよび毛細管電気泳動で決定した。各精製した多量体を使用して、ヒドロキシアパタイトへの共役結合の効率を決定した。
【0068】
(実施例10)
(インビトロでのヒドロキシアパタイトへのPEG(2,000)−α−AHPDP−ω−タンパク質の結合)
ヒドロキシアパタイト(Fast Flow,Fluka、120mg)を、37℃で、24時間にわたって、5mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)1mlで平衡化した。このヒドロキシアパタイト懸濁液に、1:1の容量比で、ネイティブなリゾチームまたはPEG−リゾチーム共役物を混合し、そして37℃で攪拌した。種々の時点で、この混合物から、試料を取り出し、そしてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、未結合タンパク質またはPEG−タンパク質共役物の割合について分析した。ネイティブなリゾチームは、ヒドロキシアパタイトに吸着しなかったのに対して、1・1/2(1.5)時間のインキュベーションにより、この3−PEGマーおよび2−PEGマーの100%が吸着した。この1−PEGマー共役物は、1・1/2時間のインキュベーション後、吸着が限定されていた。全ての試料は、類似のタンパク質濃度を有していた。
【0069】
(実施例11)
(PEG(2,000)−α−メトキシ−ω−−チロシン)
PEG(2,000)−α−メトキシ−ω−アミン(2.0g、0.0010モル)(Shearwater Polymers)の無水アセトニトリル(30ml)溶液に、N−CBZ−−チロシンp−ニトロフェニルエステル(0.42g、0.0010モル)およびトリエチルアミン(0.3ml)を添加し、その反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、減圧下にて、溶媒を留去した。その残渣をDI水200mlに溶解し、得られた溶液をアニオン交換樹脂で濾過して(p−ニトロフェノールを除去し)、そして活性炭上パラジウム(10%)(0.3g)を添加した。この混合物を、室温で、40psi水素下にて、一晩水素化した。次に、この混合物を濾過し、その生成物を塩化メチレンで抽出した。その抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下にて、溶媒を留去した。その湿潤生成物を、減圧下にて乾燥した。収量1.25g。
【0070】
【化15】

(実施例12)
(PEG(2,000)−α−N−CBZ−−ω−プロピオン酸)
PEG(2,000)−α−アミノ−ω−プロピオン酸(2.50g、0.0012モル)(Shearwater Polymers)の無水アセトニトリル(30ml)溶液に、N−CBZ−−チロシンp−ニトロフェニルエステル(0.54g、0.0012モル)およびトリエチルアミン(0.5ml)を添加し、その反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、減圧下にて、溶媒を留去した。その残渣をDI水220mlに溶解し、得られた溶液をアニオン交換樹脂で濾過してp−ニトロフェノールを除去した。NaCl(20g)を添加し、その溶液のpHを、5%リン酸で3.0に調節した。その生成物を塩化メチレンで抽出した。その抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下にて、溶媒を留去した。その湿潤生成物を、減圧下にて乾燥した。収量1.75g。
【0071】
【化16】

(実施例13)
(PEG(2,000)−α−N−CBZ−−チロシン−ω−プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)
PEG(2,000)−α−N−CBZ−−チロシン−ω−プロピオン酸(1.66g、0.00070モル)の無水塩化メチレン(20ml)溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.089g、0.00077モル)を添加し、続いて、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(塩化メチレン中の1.0M溶液、0.77ml、0.00077モル)を添加した。その反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、この混合物を濾過し、乾燥状態まで、溶媒をエバポレートした。その粗生成物を塩化メチレンに溶解し、そしてイソプロピルアルコールで沈殿させた。その湿潤生成物を、減圧下にて乾燥した。収量1.26g。
【0072】
【化17】

(実施例14)
(PEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDP)
PEG(2,000)−α−N−CBZ−−チロシン−ω−プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(1.15g、0.00046モル)のアセトニトリル(15ml)溶液に、AHPDP−2BuN(0.36g)およびトリエチルアミン(0.10ml)を添加し、その反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、乾燥状態まで、溶媒をエバポレートした。その粗生成物をDI水(50ml)に溶解し、そしてAmberlite IR 120(プラス)カラム(20ml)で濾過した。この溶液のpHを、0.5M水酸化ナトリウムで6.5まで調節し、そして活性炭上パラジウム(10%)(0.3g)を添加した。この混合物を、室温で、40psiの水素下にて、一晩水素化した。次に、この混合物を濾過し、そして減圧下にて、水を留去した。湿潤生成物を塩化メチレン(50ml)に溶解し、次いで、溶媒を留去した。最後に、この生成物を、減圧下にて、乾燥した。収量0.65g。
【0073】
【化18】

(実施例15)
(インビトロでのヒドロキシアパタイトへのPEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDPおよび他のPEG−AHPDP誘導体の結合)
ヒドロキシアパタイト(Fast Flow,Fluka、12mg)を、37℃で、24時間にわたって、5mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)1mlで平衡化した。このヒドロキシアパタイト懸濁液に、1:1の容量比で、AHPDP、PEG(2,000)−α−メトキシ−ω−ヒドロキシ、PEG(2,000)−α−メトキシ−ω−−チロシン、PEG(5,000)−α−アミン−ω−AHPDP、およびPEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDP誘導体を、5mMリン酸ナトリウム緩衝液中(pH7.2)にて、0.1mg/ml〜1.0mg/mlの範囲の濃度で、個々に混合し、そして37℃で攪拌した。種々の時点で、各混合物から、試料を取り出し、そしてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、未結合PEGまたはPEG−AHPDP誘導体の割合について分析した。PEG(2,000)−α−メトキシ−ω−ヒドロキシおよびPEG(2,000)−α−メトキシ−ω−−チロシンは、ヒドロキシアパタイトに全く吸着を示さなかったのに対して、このPEG−AHPDP誘導体は、8時間のインキュベーションにより100%が吸着を示した。AHPDPは、1分程度の吸着半減期を有していたのに対して、PEG(5,000)−α−アミン−ω−AHPDPおよびPEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDP誘導体は、それぞれ、45分および19分の吸着半減期を有していた。
【0074】
(実施例16)
(マウスでのPEG(2,000)−α−−チロシンI125−ω−AHPDPの排泄研究)
PEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDPおよびmPEG(2,000)−α−−チロシンを、標準クロラミン−T手順(Bolton,Methods Enzymol.124:18〜29,1986)を使用して、ヨウ素化した。要約すると、PEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDPまたはmPEG(2,000)−α−−チロシン(2μg/μLの全重量)の15μLアリコートを、50mMリン酸緩衝液50μLと混合した。これに、NaI125(1mCi)およびクロラミン−T(1μg/μL)10μLを添加した。この混合物を、30秒間にわたって、指で渦流にし、続いて、L−Cys(2μg/μL)100μLを添加し、続いて、さらに30秒間にわたって、指で渦流にした。その精製は、逆相クロマトグラフィーにより実行した。それらの試料を、37℃で、1.5ml/分で、30分間にわたって、0.1%水性TFAに対するアセトニトリル(19〜63%)中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)の曲線勾配を使用して、溶出した。
【0075】
オスICRマウス(20〜25g)に、尾静脈注射(100μL;i.v.)によって、PEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDPまたはmPEG(2,000)−α−−チロシンのいずれか(2μCi)を投与した。このマウスを代謝ケージに配置し、以下の時点で、尿および糞を集めた(注射の1、2、3、4、6および8時間後)(n=6)。これらの試料をガンマカウンタで数え、そのカウント数を、注射した全カウント数の割合に変換した。mPEG(2,000)−α−−チロシンは、47.5%の平均捕獲[125I]%を有しており、放射標識化合物の95%以上が尿に排泄された。PEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDPは、8時間の過程中、mPEG(2,000)−α−−チロシンよりも著しく低い割合(5分の1)の捕獲[125I](7.7%)を有しており、再度、放射標識化合物の約95%が尿に排泄された。これらの2種の化合物は、PEG(2,000)−α−−チロシン−ω−AHPDPが体内での著しく高い[125I]保持割合を生じたこと以外は、8時間にわたって、類似の排出プロフィールを生じた。
【0076】
(実施例17)
(PEG(10,000)−(α−AHPDP)
PEG(10,000)−(α−ベンゾトリアゾールカーボネート)(Shearwater Polymers)(4.2g、0.00042モル)のアセトニトリル(40ml)溶液に、3−アミノ−1−ヒドロキシプロパン−1,1−二ホスホン酸のジテトラブチルアンモニウム塩(AHPDP−2BuN)(1.32g)およびトリエチルアミン(0.4ml)を添加し、その反応混合物を、室温で、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、乾燥状態まで、溶媒をエバポレートした。その粗生成物をDI水(100ml)に溶解し、そしてAmberlite IR 120(プラス)カラム(50ml)で濾過した。次に、この水を、減圧下にて留去した。その湿潤生成物を塩化メチレン(150ml)に溶解し、次いで、溶媒を留去した。最後に、その生成物を、減圧下にて乾燥した。収量3.1g。
【0077】
【化19】

(実施例18)
(PEG(3,400)−α−CBZ−アミン−ω−プロピオン酸のキニジンエステル)
【0078】
【化20】

PEG(3,400)−α−CBZ−アミン−ω−プロピオン酸(Shearwater Corporation)(3.40g、約1.00mmol)、キニジン(0.49g、約1.50mmol)、HOBT(触媒量)およびDMAP(0.15g、約1.23mmol)を、CHCl(100ml)に溶解した。この溶液をDCC(0.31g、約1.50mmol)(これは、CHCl(3ml)に溶解した)で処理し、そして室温で、アルゴン下にて、一晩(約8時間)攪拌させた。その溶媒を真空下にて除去し、その残渣のシロップをトルエン(25ml)に溶解し、そしてセライト(celite)のプラグで濾過した。そのトルエンを真空下にて除去し、そのシロップをCHCl(5ml)に溶解した。ジエチルエーテルに添加して、白色沈殿物として、生成物が得られ、これを、濾過により集め、そして真空下にて乾燥した(収量2.77g、約81%)。
【0079】
(実施例19)
(PEG(3,400)−α−アミン−ω−プロピオン酸のキニジンエステル)
PEG(3,400)−α−CBZ−アミン−ω−プロピオン酸のキニジンエステル(2.50g)をエチルアルコールに溶解し、そして活性炭上パラジウム(10%)(0.5g)を添加した。その混合物を、室温で、40psiの水素下にて、一晩水素化した。次に、この混合物を濾過し、そして減圧下にて、エタノールを留去した。収量2.1g。その生成物のNMRスペクトルにより、PEG骨格に結合したアミン基が完全に脱保護されていることが示された。
【0080】
(実施例20)
(PEG(5,400)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸のキニジンエステル)
PEG(2,000)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸のNHSエステル(1.22g、0.00050モル)の無水塩化メチレン(100ml)溶液に、PEG(3,400)−α−アミン−ω−プロピオン酸のキニジンエステル(1.89g、0.00050モル)を添加し、続いて、トリエチルアミン(0.10ml)を添加した。この混合物を、アルゴン雰囲気下にて、一晩攪拌した。次に、この反応生成物をエチルエーテルで沈殿し、そして減圧下にて乾燥した。収量3.01g。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、分子量5,700Daの生成物が形成されたことが示された(98%)。
【0081】
緩衝液(pH7.3)中でのPEG(5,400)−α−AHPDP−ω−プロピオン酸のキニジンエステルにおけるエステルの加水分解半減期は、239時間(22℃で)および46時間(37℃で)であり、キニジンの放出を引き起こした。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下の化合物(重合体構造)などが提供される。
(項1) 単離可能なヒドロキシアパタイト標的化重合体構造であって、該重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標的化部分に共有結合されており、そして第二末端は、化学的反応性基に共有結合されており、ここで、該化学的反応性基は、保護されているかまたは保護されていない、
重合体構造。
(項2) 前記ヒドロキシアパタイト標的化部分が、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸およびアミノリン糖からなる群から選択される、上記項1に記載の重合体構造。
(項3) 前記ヒドロキシアパタイト標的化部分が、ビスホスホネートである、上記項1に記載の重合体構造。
(項4) 前記ビスホスホネートが、以下の構造を有する、上記項3に記載の重合体構造:
【化1】

ここで、YおよびZは、独立して、水素、−OH、ハロゲン、アリール、置換アリール、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾニル、C1〜C30アルキル、C1〜C30置換アルキル、NH、NHR’、NR’、SHおよびSR’からなる群から選択され、ここで、R’は、C1〜C30アルキル、C1〜C10アルコキシ、アリールまたは置換アリールであり、そしてWは、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、NaおよびKからなる群から選択される、
重合体構造。
(項5) Yが、−NH(CH−であり、pが、約2〜約6であり、Zが、−OHであり、そして各Wが、水素である、上記項4に記載の重合体構造。
(項6) 前記化学的反応性基が、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、活性エステル、活性カーボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、保護アミン、ヒドラジン、保護ヒドラジン、チオール、保護チオール、カルボン酸、保護カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレートおよびトレシレートからなる群から選択される、上記項1に記載の重合体構造。
(項7) 前記化学的反応性基が、保護アミンまたは保護ヒドラジンであり、ここで、該保護基が、t−BocおよびFmocからなる群から選択される、上記項1に記載の重合体構造。
(項8) 前記化学的反応性基が、保護チオールであり、ここで、該保護基が、オルトピリジルジスルフィドである、上記項1に記載の重合体構造。
(項9) 前記化学的反応性基が、保護カルボン酸または保護ヒドロキシルであり、ここで、該保護基が、ベンジルである、上記項1に記載の重合体構造。
(項10) 前記化学的反応性基が、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、アミン、保護アミン、カルボン酸、保護カルボン酸、マレイミド、活性カーボネートおよび活性エステルからなる群から選択される、上記項1に記載の重合体構造。
(項11) 前記重合体骨格が、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィン性アルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、およびそれらの共重合体、三元共重合体、誘導体および混合物からなる群から選択される、上記項1に記載の重合体構造。
(項12) 前記重合体骨格が、ポリ(アルキレングリコール)である、上記項1に記載の重合体構造。
(項13) 前記重合体骨格が、ポリ(エチレングリコール)である、上記項12に記載の重合体構造。
(項14) 前記ポリ(アルキレングリコール)骨格が、加水分解性または酵素分解性結合を含む、上記項12に記載の重合体構造。
(項15) 前記分解性結合が、イミン、カーボネート、カルボン酸エステル、ホスホエステル、オルトエステル、アセタール、カーバメート、ジスルフィドおよびペプチドからなる群から選択される、上記項14に記載の重合体構造。
(項16) 前記重合体骨格が、2個〜約300個の末端を有する、上記項1に記載の重合体構造。
(項17) 前記重合体骨格が、以下の構造を有する、上記項1に記載の重合体構造:
Q−POLY−L−T
ここで、POLYは、水溶性非ペプチド重合体であり、Qは、保護または非保護化学的反応性基であり、Lは、リンカーであり、そしてTは、ヒドロキシアパタイト標的化部分である、
重合体構造。
(項18) POLYが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィン性アルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、およびそれらの共重合体、三元共重合体、誘導体および混合物からなる群から選択される、上記項17に記載の重合体構造。
(項19) Lが、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、アミン結合、尿素結合およびカーバメート結合からなる群から選択される、上記項17に記載の重合体構造。
(項20) POLYが、約200Da〜約100,000Daの平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)である、上記項17に記載の重合体構造。
(項21) Tが、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸およびアミノリン糖からなる群から選択される、上記項17に記載の重合体構造。
(項22) Tが、ビスホスホネートである、上記項17に記載の重合体構造。
(項23) Qが、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、活性エステル、活性カーボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、保護アミン、ヒドラジン、保護ヒドラジン、チオール、保護チオール、カルボン酸、保護カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレートおよびトレシレートからなる群から選択される、上記項17に記載の重合体構造。
(項24) Qが、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、アミン、保護アミン、カルボン酸、保護カルボン酸、マレイミド、活性カーボネートおよび活性エステルからなる群から選択される、上記項17に記載の重合体構造。
(項25) 以下の構造を有する、上記項1に記載の重合体構造:
Q−PEG−L−T
ここで、PEGは、約200Da〜約100,000Daの平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)であり、Qは、保護または非保護化学的反応性基であり、該化学的反応性基は、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、活性エステル、活性カーボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、保護アミン、ヒドラジン、保護ヒドラジン、チオール、保護チオール、カルボン酸、保護カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレートおよびトレシレートからなる群から選択され、Lは、リンカーであり、そしてTは、ビスホスホネートである、
重合体構造。
(項26) Lが、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、アミン結合、尿素結合およびカーバメート結合からなる群から選択される、上記項25に記載の重合体構造。
(項27) 以下の構造を有する、上記項1に記載の重合体構造:
T−L−POLY−R(−POLY−X)
ここで、POLYおよびPOLYは、水溶性非ペプチド重合体骨格であり、該重合体骨格は、同一でも異なってもよい;
各Xは、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、活性エステル、活性カーボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、保護アミン、ヒドラジン、保護ヒドラジン、チオール、保護チオール、カルボン酸、保護カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、トレシレートおよびL−Tからなる群から選択されるが、但し、少なくとも1個のXは、ヒドロキシアパタイト標的化部分ではない;
Rは、中心コア分子である;
Lは、リンカーである;
Tは、該ヒドロキシアパタイト標的化部分である;そして
qは、2〜約300の整数である、
重合体構造。
(項28) POLYおよびPOLYが、ポリ(エチレングリコール)である、上記項27に記載の重合体構造。
(項29) Rが、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、リシンおよびジ−リシンからなる群から選択される、上記項27に記載の重合体構造。
(項30) Lが、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、アミン結合、尿素結合およびカーバメート結合からなる群から選択される、上記項27に記載の重合体構造。
(項31) ヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体構造であって、該重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標的化部分に共有結合されており、そして第二末端は、リンカーを介して、生物学的活性剤に共有結合されており、ここで、該重合体骨格および該リンカーの少なくとも1個は、加水分解性または酵素分解性結合を含む、
重合体構造。
(項32) 前記分解性結合が、イミン、カーボネート、カルボン酸エステル、ホスホエステル、オルトエステル、アセタール、カーバメート、ジスルフィドおよびペプチドからなる群から選択される、上記項31に記載の重合体構造。
(項33) 以下の構造を有する、上記項31に記載の重合体構造:
D−L’−POLY−L−T
ここで、POLYは、水溶性非ペプチド重合体であり、Dは、生物学的活性剤であり、LおよびL’は、リンカーであり、該リンカーは、同一でも異なってもよく、そしてTは、ヒドロキシアパタイト標的化部分であり、ここで、POLY、LおよびL’の少なくとも1個は、加水分解性または酵素分解性結合を含む、重合体構造。
(項34) Tが、ビスホスホネートである、上記項33に記載の重合体構造。
(項35) 以下の構造を有する、上記項31に記載の重合体構造:
T−L−POLY−R(−POLY−L’−A)
ここで、POLYおよびPOLYは、水溶性非ペプチド重合体骨格であり、該重合体骨格は、同一でも異なってもよい;
各Aは、独立して、ヒドロキシアパタイト標的化部分および生物学的活性剤からなる群から選択されるが、但し、少なくとも1個のAは、生物学的活性剤である;
Rは、中心コア分子である;
LおよびL’は、リンカーであり、該リンカーは、同一でも異なってもよい;
Tは、ヒドロキシアパタイト標的化部分である;
qは、2〜約300の整数である;ここで、POLY、POLY、LおよびL’の少なくとも1個は、加水分解性または酵素分解性結合を含む、
重合体構造。
(項36) POLYおよびPOLYが、ポリ(エチレングリコール)である、上記項35に記載の重合体構造。
(項37) 以下の構造を有する、上記項31に記載の重合体構造:
D−L’−POLY−L−T
ここで、POLYは、ポリ(エチレングリコール)であり、Dは、少なくとも1個の水酸基を有する生物学的活性剤であり、Lは、加水分解安定結合であり、L’は、加水分解性結合であり、そしてTは、ビスホスホネート部分である、
重合体構造。
(項38) L’が、エステル、カーバメート、カーボネートおよびアセタールからなる群から選択される、上記項37に記載の重合体構造。
(項39) Lが、エーテル、チオ−エーテル、アミドおよびカーバメートからなる群から選択される、上記項37に記載の重合体構造。
(項40) 単離可能なヒドロキシアパタイト標的化重合体構造を調製する方法であって、該方法は、以下の工程:
該重合体構造を提供する工程であって、該重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、第一保護化学的反応性基に共有結合されており、そして第二末端は、第二化学的反応性基に共有結合されており、ここで、該第二化学的反応性基は、活性カーボネートおよび活性エステルからなる群から選択される、工程;ならびに
該第二化学的反応性基をヒドロキシアパタイト標的化部分と反応させて、ヒドロキシアパタイト標的化重合体構造を形成する工程、
を包含する、方法。
(項41) 前記第一保護化学的反応性基が、保護ヒドロキシル、保護アミン、保護カルボン酸、保護ヒドラジンおよび保護チオールからなる群から選択される、上記項40に記載の方法。
(項42) 前記重合体骨格が、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィン性アルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ならびにそれらの共重合体、三元共重合体、誘導体および混合物からなる群から選択される、上記項40に記載の方法。
(項43) 前記第二化学的反応性基が、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、1−ベンゾトリアゾリルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートおよび1−ベンゾトリアゾリルカーボネートからなる群から選択される、上記項40に記載の方法。
(項44) 前記提供する工程が、以下の構造を有する重合体構造を提供する工程を包含する、上記項40に記載の方法:
X−O−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−COY’
ここで、Xは、活性カーボネートまたは活性エステルであり、Y’は、ベンジルであり、そしてnは、約3〜約2000である、
方法。
(項45) 前記ヒドロキシアパタイト標的化部分が、テトラサイクリン、カルセイン、ビスホスホネート、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸およびアミノリン糖からなる群から選択される、上記項40に記載の方法。
(項46) さらに、以下の工程:
前記第一化学的反応性基を脱保護する工程;
該脱保護第一化学的反応性基を活性カーボネートまたは活性エステルに変換する工程;
該活性カーボネートまたは活性エステルを生物学的活性剤と反応させて、該生物学的活性剤が前記重合体構造に結合するようにする工程、
を包含する、上記項40に記載の方法。
(項47) 前記生物学的活性剤が、ペプチド、タンパク質、酵素、低分子薬物、色素、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、脂質、リン脂質、細胞、ウイルス、リポソーム、微粒子およびミセルからなる群から選択される、上記項46に記載の方法。
(項48) 放出可能な生物学的活性剤用のレザバとして生物中の骨表面を利用する方法であって、該方法は、以下の工程:
ヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体構造を提供する工程であって、該重合体構造は、直鎖または分枝水溶性非ペプチド重合体骨格を含み、該重合体骨格は、少なくとも2個の末端を有し、第一末端は、ヒドロキシアパタイト標的化部分に共有結合されており、そして第二末端は、リンカーを介して、生物学的活性剤に共有結合されており、ここで、該重合体骨格および該リンカーの少なくとも1個は、加水分解性または酵素分解性結合を含む、方法;ならびに
治療有効量の該重合体構造を骨含有生物に投与して、該重合体構造の少なくとも一部が該ヒドロキシアパタイト標的化部分により骨表面に結合されるようにする工程、
を包含する、方法。
(項49) 前記分解性結合が、イミン、カーボネート、カルボン酸エステル、ホスホエステル、オルトエステル、アセタール、カーバメート、ジスルフィドおよびペプチドからなる群から選択される、上記項48に記載の方法。
(項50) 前記ヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体構造が、以下の構造を有する、上記項48に記載の方法:
D−L’−POLY−L−T
ここで、POLYは、水溶性非ペプチド重合体であり、Dは、生物学的活性剤であり、LおよびL’は、リンカーであり、該リンカーは、同一でも異なってもよく、そしてTは、ヒドロキシアパタイト標的化部分であり、ここで、POLY、LおよびL’の少なくとも1個は、加水分解性または酵素分解性結合を含む、方法。
(項51) POLYが、約200Da〜約100,000Daの平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)である、上記項50に記載の方法。
(項52) Tが、ビスホスホネートである、上記項50に記載の方法。
(項53) 前記ヒドロキシアパタイト標的化生物学的活性重合体構造が、以下の構造を有する、上記項48に記載の方法:
T−L−POLY−R(−POLY−L’−A)
ここで、POLYおよびPOLYは、水溶性非ペプチド重合体骨格であり、該重合体骨格は、同一でも異なってもよい;
各Aは、独立して、ヒドロキシアパタイト標的化部分および生物学的活性剤からなる群から選択されるが、但し、少なくとも1個のAは、生物学的活性剤である;
Rは、中心コア分子である;
LおよびL’は、リンカーであり、該リンカーは、同一でも異なってもよい;
Tは、ヒドロキシアパタイト標的化部分である;そして
qは、2〜約300の整数である;ここで、POLY、POLY、LおよびL’の少なくとも1個は、加水分解性または酵素分解性結合を含む、
方法。
(項54) POLYおよびPOLYが、ポリ(エチレングリコール)である、上記項53に記載の方法。
(項55) 前記投与する工程が、経口、肺、静脈内、皮下、筋肉内、舌下、鼻内、眼内および直腸からなる群から選択される経路により、前記重合体構造を投与する工程を包含する、上記項48に記載の方法。
(項56) 前記投与する工程が、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤と共に前記重合体構造を投与する工程を包含する、上記項48に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明

【公開番号】特開2009−197023(P2009−197023A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129718(P2009−129718)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【分割の表示】特願2002−542430(P2002−542430)の分割
【原出願日】平成13年10月18日(2001.10.18)
【出願人】(500321438)ネクター セラピューティックス エイエル,コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】