説明

ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法

【課題】電子写真装置(複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置)の高画質化および高安定化を実現するためのヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で示されるガリウムフタロシアニン化合物を加水分解することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写用感光材料、光電変換素子用材料、有機半導体素子用材料、光記録用材料として有用なヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
フタロシアニン化合物は塗料や電子材料として広範に用いられている有用な材料であり、特に近年では電子写真用感光材料、光記録用材料および光電変換素子用材料として広く検討がなされている。電子写真用感光材料については半導体レーザーが有する近赤外波長領域に感光性を有するフタロシアニン化合物がこれまでに数多く提案されており、電子写真感光体の感度向上および使用経時における安定性向上を両立するべく、フタロシアニン化合物の結晶型に関する検討が重点的になされてきた。
【0003】
一般にフタロシアニン化合物は製造方法、処理方法の違いより多数の結晶型を示すことが知られており、この結晶型の違いがフタロシアニン化合物の光電変化効率や繰り返しの安定性に大きな影響を及ぼすことが知られている。フタロシアニン化合物の結晶型については、例えば銅フタロシアニンについてみると、安定系のβ型以外にα、π、χ、ρ、γ、δ等の結晶型が知られており、これらの結晶型は機械的外力、硫酸処理、有機溶剤処理、熱処理などにより相互に転移が可能であることが知られている。ガリウムフタロシアニン化合物については特許文献1の特開平5−98181号公報、特許文献2の特開平5−263007号公報、特許文献3の特開平7−53892号公報、特許文献4の特開2009−62475号公報、特許文献5の特開2001−323183号公報に記載されている。
【0004】
しかしながら、これらに記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物は一般に有機溶剤に対する溶解性が極めて低く、精製は有機溶剤による洗浄に限られており、不純物を充分に除去しきれていない可能性がある。このために、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造条件に関する提案(特許文献6の特開平7−292269号公報、特許文献7の特許第3060199号公報)が知られ、また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの合成に際して、アシッドペーストすなわち濃硫酸に溶解し、水等に再沈殿させる工程に関する提案(特許文献8の特開2003−201414号公報、特許文献9の特許第4109865号公報)等が知られている。
【0005】
しかし、これらの製造方法においても十分に満足できるヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物は実現できておらず、特にアシッドペーストの際に用いる硫酸のような強酸を多量に用いることは製造上の取り扱いに難がある。また特許文献10の特開平9−241525号公報に記載されているように硫酸によるアシッドペーストの工程の分解物が電子写真用感光体の電気特性に対して悪影響を与える場合もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、電子写真装置(複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置)の高画質化および高安定化を実現するためのヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の(1)から(8)に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。
(1)下記一般式(I)で示されるガリウムフタロシアニン化合物を加水分解することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【0008】
【化1】

[但し、式(I)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1から3の整数である。]
(2)一般式(I)、
【0009】
【化2】

[但し、式(I)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1から3の整数である。]

で示されるガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理をした後、加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
(3)一般式(I)、
【0010】
【化3】

[但し、式(I)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1から3の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤で再結晶処理をした後、加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
(4)一般式(I)、
【0011】
【化4】

[但し、式(I)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1から3の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を、塩基性化合物の存在下で加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
(5)下記一般式(II)で示されるガリウムフタロシアニン化合物を加水分解することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【0012】
【化5】

【0013】
[但し、式(II)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1あるいは2の整数である。]
(6)下記一般式(II)、
【0014】
【化6】

[但し、式(II)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1あるいは2の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理をした後、加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
(7)下記一般式(II)、
【0015】
【化7】

[但し、式(II)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1あるいは2の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤で再結晶処理をした後、加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
(8)下記一般式(II)、
【0016】
【化8】

[但し、式(II)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1あるいは2の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を、塩基性化合物の存在下で加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の前記一般式(I)で示されるガリウムフタロシアニン化合物、及び、一般式(II)で示されるガリウムフタロシアニン化合物は、有機溶剤に対する溶解度が大きいことから、再結晶あるいはシリカゲル、アルミナなどを用いたカラムクロマトグラムといった吸着処理により精製処理を行うことが可能となり、不純物量を低減したヒドロキシガリウムフタロシアニンを容易に得ることができる。また硫酸等の強酸を用いたアシッドペースト処理を行うことなくヒドロキシガリウムフタロシアニンを得ることが可能であるので、製造工程における酸性の廃棄物が少なく環境に対して負荷が少ないとともに、アシッドペースト工程で生成する不純物がなく、やはり高純度なヒドロキシガリウムフタロシアニンを製造することが可能となる。つまり本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニンは電子写真用感光体に用いられる電荷発生材料として極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のつぎの一般式(I)及び、一般式(II)で表される出発原料のガリウムフタロシアニン化合物は、以下のようにして合成することができる。
【0019】
【化9】

[但し、式(I)中、X、R1〜R16、nは、それぞれ前記意味を表わす。]
【0020】
【化10】

[但し、式(II)中、X、R1〜R16、nは、それぞれ前記意味を表わす。]
【0021】
すなわち、本発明の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物は、ガリウムフタロシアニン化合物はハロゲン化ガリウムフタロシアニンまたはヒドロキシガリウムフタロシアニンとカルボン酸誘導体を有機溶剤中で反応させることで合成することができる。
また、一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物は、ハロゲン化ガリウムフタロシアニンまたはヒドロキシガリウムフタロシアニンとスルフォン酸誘導体を、同様に有機溶剤中で反応させることで合成することができる。
ハロゲン化ガリウムフタロシアニンとしてはクロロガリウムフタロシアニン、ブロモガリウムフタロシアニン、ヨウ素ガリウムフタロシアニン等が挙げることができ、これらは公知の方法によって合成することができる。例えば、クロロガリウムフタロシアニンは非特許文献1のD.C.Acad.Sci.,(1965)、242,1026に記載の三塩化ガリウムとジイミノイソインドリンを反応させる方法により合成することができる。ブロモガリウムフタロシアニンは特許文献11の特開昭59−133551号公報に記載の三臭化ガリウムとフタロニトリルを反応させる方法により合成することができる。ヨウ素ガリウムフタロシアニンは特許文献12の特開昭60−59354号公報に記載の三ヨウ化ガリウムとフタロニトリルを反応させる方法により合成することができる。
またヒドロキシガリウムフタロシアニンは上述のハロゲン化ガリウムフタロシアニンを加水分解することで得ることができる。加水分解は酸加水分解でもよいし、アルカリ加水分解でもよい。酸加水分解については例えば、非特許文献2のBull.Soc.Chim.France,23(1962)に記載のクロロガリウムフタロシアニンを硫酸を用いて加水分解する方法により得ることができる。またアルカリ加水分解については非特許文献3のInrog.Chem.(19),3131,(1980)に記載のアンモニアを用いて加水分解す分解する方法により得ることができる。
【0022】
[一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物の使用]
次いで得られたハロゲン化ガリウムフタロシアニンまたはヒドロキシガリウムフタロシアニンとカルボン酸化合物を反応させることで本発明の出発原料のガリウムフタロシアニン化合物を合成できるが、用いる原料のガリウムフタロシアニンとしてはハロゲン化ガリウムフタロシアニンの方が好ましく用いることができる。これは前述した通り、その製造法によるところであり、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法においては酸やアルカリを用いた加水分解処理を行う際に分解物の生成が免れない。これに対してハロゲン化ガリウムフタロシアニンについては加水分解の工程を設けないで製造することが可能であることから、本発明においても合成原料としては分解物の生成がない、また、製造工程の少ないハロゲン化ガリウムフタロシアニンを良好に用いることができる。
【0023】
本発明のカルボン酸化合物としては、一般に知られている有機カルボン酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等、分子構造中にカルボキシル基を含む化合物であれば使用することができる。例えば、ペンタフルオロベンゾイックアシッド、テトラフルオロベンゾイックアシッド、シクロヘキサンカルボキシリックアシッド、シクロペンチルアセティックアシッド、シクロペンタンカルボキシリックアシッド、シクロヘキシルアセティックアシッド、シクロペンチルマロニックアシッド、シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシリックアシッド、3−シクロヘキセン−1−カルボキシリックアシッド、1,4−シクロヘキサンジカルボキシリックアシッド、1,2−シクロヘキサンジカルボキシリックアシッド、3−トリフルオロメチルベンゾイックアシッド、3,5−ビストリフルオロメチルベンゾイックアシッド、4−メチルベンゾイックアシッド、3−メチルベンゾイックアシッド、4−メトキシベンゾイックアシッド、4−ニトロベンゾイックアシッド、4−シアノベンゾイックアシッド、ピコリニックアシッド、ニコチニックアシッド、イソニコチニックアシッド、2,3−ピリジンジカルボキシリックアシッド、ノナデカフルオロデカノイックアシッド、ヘキサデカフルオロセバシックアシッド、ヘキサフルオログルタリックアシッド、クロロジフルオロアセティックアシッド、トリクロロアセティックアシッド、トリブロモアセティックアシッド、トリフルオロアセティックアシッド、ジフルオロアセティックアシッド、フルオロアセティックアシッド、ジクロロアセティックアシッド、アクリル酸、メタクリル酸、ピバリックアシッド、ノナフルオロバレリックアシッド、n−バレリックアシッド、ペンタフルオロプロピオニックアシッド、ヘプタフルオロブチリックアシッド、ウンデカフルオロヘキサノイックアシッド、tert−ブチルアセティックアシッド、2,2−ジメチルブチリックアシッド、トリデカフルオロヘプタノイックアシッド、ペンタデカフルオロオクタノイックアシッド、ヘプタデカフルオロノナノイックアシッド、1,2,3−プロパントリカルボキシリックアシッド、トリメシックアシッド、1,9−ノナンジカルボキシリックアシッド、アジピックアシッド、アゼライックアシッド、ドデカンジオイックアシッド、エイコサンジオイックアシッド、グルタリックアシッド、ヘプタデカンジオイックアシッド、ヘキサデカンジオイックアシッド、マロニックアシッド、ノナデカンジオイックアシッド、オクタデカンジオイックアシッド、ペンタデカンジオイックアシッド、ピメリックアシッド、セバシックアシッド、スベリックアシッド、スシニックアシッド、テトラデカンジオイックアシッド、トリデカンジオイックアシッド等が挙げられる。
【0024】
ハロゲン化ガリウムフタロシアニンまたはヒドロキシガリウムフタロシアニンとカルボン酸誘導体との量比は、一般式(I)のnが2のときはカルボン酸誘導体は二分の一モルまた、nが3のときはカルボン酸誘導体は三分の一モル程度が適している。一般式(I)のnが1のとき、カルボン酸誘導体は等モル以上が適しており、用いるカルボン酸誘導体の反応性などにより異なるが、1.1倍モルから500倍モルが適している。また、反応させる温度で液体の場合は溶剤として用いても良い。
【0025】
ここで用いられる有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、ニトロベンゼン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等が挙げられる。
【0026】
反応温度は、0℃から200℃好ましくは20℃から150℃の温度で30分から50時間反応させて合成できる。
一般式(I)で示される出発原料のガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理または再結晶処理をした後、加水分解することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法について説明する。
【0027】
ここで用いる有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、またはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤またN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ニトロベンゼン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等及びこれらの混合溶剤が挙げられる。吸着処理の具体的方法としては、カラムクロマトグラフィー、室温または加熱時に吸着剤を加え濾過する方法がある。再結晶処理はこれらの溶剤を用い加熱したのちに冷却し、生成した化合物を濾取すればよい。また、吸着処理と再結晶とを組み合わせることによりさらに効率的に高純度の出発原料のガリウムフタロシアニン化合物が製造できる。
【0028】
このようにして得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物を加水分解する方法について述べる。
加水分解は塩基性加水分解、酸性加水分解でもよい。また、無溶媒でも有機溶剤を用いてもよい。本発明の本来の目的である高純度なヒドロキシガリウムフタロシアニンを製造するには有機溶剤を用いた塩基性加水分解が適している。
適切な有機溶剤は、例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、またはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤またアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等が挙げられる。
【0029】
触媒として適切な塩基は、例えばアルカリ金属:ナトリウム、カリウムなど、ならびにそれらの水酸化物及び炭酸塩、またはアルカリ金属アミド類であり、ナトリウムアミド、カリウムアミド類であり、また水素化アルカリ金属類たとえば水素化リチウムなどがある。またアンモニアも有用である。有機脂肪族、芳香族またはヘテロ環式N−塩基類としては、ジアザビシクロオクテン、ジアザビシクロウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン、ジメチルピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アリルアミンなどが使用できる。
【0030】
本発明においては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの粒径を小径化および均一化することを目的として、反応の際に分散用メディアを混合する方法や微小な空間で反応を行うマイクロリアクターを用いることが有効である。
【0031】
[一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の使用]
この場合も同様に、前記得られたハロゲン化ガリウムフタロシアニンまたはヒドロキシガリウムフタロシアニンと、スルフォン酸誘導体を反応させることで本発明の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物を合成できるが、用いる原料のガリウムフタロシアニンとしてはハロゲン化ガリウムフタロシアニンの方が好ましく用いることができる。これは前述したとおり、その製造法によるところ大であり、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法においては酸やアルカリを用いた加水分解処理を行う際に分解物の生成が免れない。これに対してハロゲン化ガリウムフタロシアニンについては加水分解の工程を設けないで製造することが可能であることから、本発明においても合成原料としては分解物の生成がない、また、製造工程の少ないハロゲン化ガリウムフタロシアニンを良好に用いることができる。
【0032】
本発明に用いるスルフォン酸化合物としては、例えば、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、ブタンスルフォン酸、ペンタンスルフォン酸、ヘキサンスルフォン酸、ヘプタンスルフォン酸、オクタンスルフォン酸、ヘキサデカンスルフォン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、ノナフルオロ−1−ブタンスルフォン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルフォン酸、2−クロロエタンスルフォン酸、2−ブロモエタンスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸、p−クロロベンゼンスルフォン酸、ニトロベンゼンスルフォン酸、ピリジンスルフォン酸、1−ナフタレンスルフォン酸、4−アミノナフタレン−1−スルフォン酸、アントラキノン−2−スルフォン酸、1,3−ベンゼンジスルフォン酸、1,5−ナフタレンジスルフォン酸、1,3−プロパンジスルフォン酸、1,4−ブタンジスルフォン酸等が挙げられる。
【0033】
ハロゲン化ガリウムフタロシアニンまたはヒドロキシガリウムフタロシアニンとスルフォン酸誘導体との量比は、一般式(I)のnが2のときはスルフォン酸誘導体は、二分の一モル程度が適している。
一般式(I)のnが1のとき(つぎの一般式(III)のとき)はスルフォン酸誘導体は、等モル以上が適しており、用いるスルフォン酸誘導体の反応性などにより異なるが、1.1倍モルから500倍モルが、適している。また、反応させる温度で液体の場合は、溶剤として用いても良い。
【0034】
【化11】

[但し、式(III)中、X、R1〜R16は、それぞれ前記意味を表わす。]
【0035】
ここで用いられる有機溶剤としては、同様に例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、ニトロベンゼン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等が挙げられる。
反応温度は、0℃から200℃好ましくは20℃から150℃の温度で30分から50時間反応させて合成できる。
【0036】
一般式(II)で示される出発原料のガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理または再結晶処理をした後、加水分解することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法について説明する。
ここで用いる有機溶剤としては、同様に例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、またはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤またN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ニトロベンゼン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等及びこれらの混合溶剤が挙げられる。吸着処理の具体的方法としては、カラムクロマトグラフィー、室温または加熱時に吸着剤を加え濾過する方法がある。再結晶処理はこれらの溶剤を用い加熱したのちに冷却し、生成した化合物を濾取すればよい。また、吸着処理と再結晶とを組み合わせることによりさらに効率的に高純度の出発原料のガリウムフタロシアニン化合物が製造できる。
【0037】
このようにして得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物を加水分解する方法について述べる。
加水分解は塩基性加水分解、酸性加水分解でもよい。また、無溶媒でも有機溶剤を用いてもよい。本発明の本来の目的である高純度なヒドロキシガリウムフタロシアニンを製造するには有機溶剤を用いた塩基性加水分解が適している。
適切な有機溶剤は、例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、またはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤またアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ピリジン、ピコリンまたはキノリン等が挙げられる。
触媒として適切な塩基は、例えばアルカリ金属:ナトリウム、カリウムなど、ならびにそれらの水酸化物及び炭酸塩、またはアルカリ金属アミド類であり、ナトリウムアミド、カリウムアミド類であり、また水素化アルカリ金属類たとえば水素化リチウムなどがある。またアンモニアも有用である。有機脂肪族、芳香族またはヘテロ環式N−塩基類としては、ジアザビシクロオクテン、ジアザビシクロウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン、ジメチルピリジン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アリルアミンなどが使用できる。また、反応させる温度で液体の場合は、溶剤として用いても良い。
【0038】
本発明においては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの粒径を小径化および均一化することを目的として、反応の際に分散用メディアを混合する方法や微小な空間で反応を行うマイクロリアクターを用いることが有効である。
【実施例】
【0039】
以下に本発明を実施例および応用例によって説明する。なお、以下の記載において「部」は「重量部」を意味する。
[原料合成例(1);クロロガリウムフタロシアニンの合成例]
脱水ジメチルスルホキシド200mlに1,3−ジイミノイソインドリン30部、三塩化ガリウム8部を加え、Ar気流下にて150℃、12時間反応させた後、生成したクロロガリウムフタロシアニンを濾別した。このウェットケーキをメチルエチルケトンおよびN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した後、乾燥することで22部(70.3%)のクロロガリウムフタロシアニン結晶を得た。
【0040】
[原料合成例(2);ヒドロキシガリウムフタロシアニンの合成]
上述のクロロガリウムフタロシアニン5部を氷冷した濃硫酸150部に溶解し、この硫酸溶液を氷冷したイオン交換水500mlに徐々に滴下することでヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶を析出させた。結晶を濾別した後、ウェットケーキを2wt%のアンモニア水500mlで洗浄し、その後、イオン交換水で十分に洗浄を行った。乾燥することで4.6部のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。
【0041】
[[一般式(I)の原料ガリウムフタロシアニン化合物を用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の製造例]]
つぎに、一般式(I)の原料ガリウムフタロシアニン化合物を用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の製造例を具体的に説明する。
【実施例1】
【0042】
(下記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物の合成例)
【0043】
【化12】

【0044】
クロロベンゼン100mlにクロロガリウムフタロシアニン0.62部、トリフルオロ酢酸23部を加え、90℃に加温し5時間反応させた。冷却後蒸留水約10mlを加え、室温で1時間攪拌した。得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.64部(93%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が認められた。さらにMALDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:694.04(理論値は694.06:C3416GaNとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0045】
【表1】

【0046】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.39部、4−ジメチルアミノピリジン1.0部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド150部に加え、100℃に加温し8時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.04部(87%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
【0047】
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例2】
【0048】
実施例1で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.39部、アンモニア水0.45部をN,N−ジメチルホルムアミド150部に加え、100℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.16部(97%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例3】
【0049】
実施例1で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.39部、4−ジメチルアミノピリジン1.0部、イオン交換水0.1部をジメチルスルホキシド100部に加え、100℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.14部(95%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例4】
【0050】
実施例1で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.39部、アンモニア水0.45部をテトラヒドロフラン150部に加え、65℃に加温し5時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.12部(93%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例5】
【0051】
(下記構造式の出発原料のガリウムフタロシアニン化合物の合成例)
【0052】
【化13】

【0053】
ジメチルスルホキシド300mlにクロロガリウムフタロシアニン2.47部、ペンタデカフルオロオクタノイックアシッド・水和物25.2部を加え、110℃に加温し22時間反応させた。室温に冷却後、カラムクロマトグラフ用シリカゲル(ワコーゲルC300、和光純薬製)50部を加え室温で3時間撹拌し吸着処理を行なった。シリカゲルをろ過で除き、得られた濾液に、冷却下に蒸留水50mlを加え、室温で2時間攪拌した。生成した結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで2.67部(67%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。この一部をさらに、ジメチルスルホキシドで再結晶精製を行い下記の分析を行った。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が認められた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC401615GaNとして。)
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0054】
【表2】

【0055】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.00部、4−ジメチルアミノピリジン1.0部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド100部に加え、100℃に加温し6時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.55部(92%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例6】
【0056】
実施例5で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物2.00部、アンモニア水0.45部をN,N−ジメチルホルムアミド130部に加え、80℃に加温し5時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.14部(95%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例7】
【0057】
実施例5で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物2.00部、ピリジン5.0部、イオン交換水0.1部をジメチルスルホキシド100部に加え、100℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.03部(86%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1732cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例8】
【0058】
(下記構造式の出発原料のガリウムフタロシアニン化合物の合成例)
【0059】
【化14】

【0060】
クロロベンゼン100mlにクロロガリウムフタロシアニン1.24部、ヘプタフルオロブチリックアシッド17.1部を加え、90℃に加温し12時間反応させた。冷却後蒸留水約50mlを加え、室温で1時間攪拌した。得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで2.82部(89%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。この一部を、フロリジル(クロマト用、キシダ化学製)/ジメチルスルホキシドでカラム精製を行い下記の分析を行った。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1730cm−1の吸収が認められた。
さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC3716GaNとして。)これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0061】
【表3】

【0062】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物0.80部、4−ピコリン4.0部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド80部に加え、90℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.55部(92%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1730cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例9】
【0063】
(下記構造式の出発原料のガリウムフタロシアニン化合物の合成例)
【0064】
【化15】

【0065】
メチルエチルケトン100mlにヒドロキシガリウムフタロシアニン0.60部、ピバリック酸2.0部を加え、6時間還流下に反応を行った。得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.60部(88%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失し、C=O伸縮振動に基づく1655cm−1の吸収が認められた。さらにMALDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:682.25(理論値は682.14:C3725GaNとして。)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0066】
【表4】

【0067】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物0.68部、4−ピコリン4.0部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド80部に加え、90℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.54部(90%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1655cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3480cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例10】
【0068】
(下記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物の合成例)
【0069】
【化16】

【0070】
キシレン100mlにクロロガリウムフタロシアニン0.62部、ペンタフルオロプロピオニックアシッド16部を加え、100℃に加温し15時間反応させた。冷却後蒸留水約10mlを加え、室温で1時間攪拌した。
得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.61部(82%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。この一部を、N,N−ジメチルホルムアミドで再結晶精製を行い下記の分析を行った。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、C=O伸縮振動に基づく1724cm−1の吸収が認められた。さらにMALDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:744.17(理論値は744.06:C3516GaNとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0071】
【表5】

【0072】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.49部、アンモニア水0.45部をN,N−ジメチルホルムアミド150部に加え、100℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.16部(97%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1724cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例11】
【0073】
(下記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物の合成例)
【0074】
【化17】

【0075】
メチルエチルケトン100mlにヒドロキシガリウムフタロシアニン0.60部、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイックアシッド1.3部を加え、8時間還流下に反応を行った。得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.73部(87%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失し、C=O伸縮振動に基づく1670cm−1の吸収が認められた。さらにMALDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:838.01(理論値は838.08:C4119GaNとして。)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0076】
【表6】

【0077】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物0.84部、4−ジメチルアミノピリジン5.0部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド100部に加え、100℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.54部(90%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1670cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3480cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例12】
【0078】
(下記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物の合成例)
【0079】
【化18】

【0080】
メチルエチルケトン100mlにヒドロキシガリウムフタロシアニン0.60部、トリクロロアセティクアシッド1.6部を加え、7時間還流下に反応を行った。得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.68部(91%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失し、C=O伸縮振動に基づく1714cm−1の吸収が認められた。
さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC3416l3GaNとして。)
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0081】
【表7】

【0082】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.89部、アンモニア水0.65部を酢酸エチル130部に加え、80℃に加温し5時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.11部(93%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1714cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3480cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例13】
【0083】
(下記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物の合成例
【0084】
【化19】

【0085】
メチルエチルケトン100mlにヒドロキシガリウムフタロシアニン0.60部、トリブロモアセティクアシッド2.9部を加え、7時間還流下に反応を行った。得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.64部(73%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失し、C=O伸縮振動に基づく1680cm−1の吸収が認められた。
さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC3416BrGaNとして。)
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0086】
【表8】

【0087】
上記でで得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.76部、イオン交換水0.1部、トリエチルアミン10部をN,N−ジメチルホルムアミド130部に加え、100℃に加温し10時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.14部(95%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1680cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3480cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例14】
【0088】
(下記構造式の出発原料のガリウムフタロシアニン化合物の合成例)
【0089】
【化20】

【0090】
メチルエチルケトン100mlにヒドロキシガリウムフタロシアニン0.60部、ヘキサフルオログルタリィクアシッド0.12部を加え、9.5時間還流下に反応を行った。得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.31部(44%)のガリウムフタロシアニン化合物結晶を得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失し、C=O伸縮振動に基づく1720cm−1の吸収が認められた。
さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC6932Ga16として)
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(I)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0091】
【表9】

【0092】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.40部、アンモニア水0.65部をN,N−ジメチルホルムアミド130部に加え、90℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.03部(86%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、出発原料に認められたC=O伸縮振動に基づく1720cm−1の吸収が消失し、水酸基に基づく3480cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【0093】
[[一般式(II)の原料ガリウムフタロシアニン化合物を用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の製造例]]
つぎに、一般式(II)の原料ガリウムフタロシアニン化合物を用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の製造例を[実施例15]以降の例として具体的に説明する。
【実施例15】
【0094】
(下記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の合成)
【0095】
【化21】

【0096】
ジメチルスルホキシド100mlにクロロガリウムフタロシアニン1.24部、メタンスルフォン酸3.8部を加え、110℃に加温し9時間反応させた。室温まで冷却後微量の不溶部を濾過して除いた。得られた溶液にイオン交換水約150mlを加え、室温で3時間攪拌した。生成した結晶を濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥することで1.25部(92%)のガリウムフタロシアニン化合物を得た。ここで得られた一部をN,N−ジメチルホルムアミドで再結晶し、以下の分析を行った。
MALDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:676.19(理論値は676.06:C3319GaNSとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0097】
【表10】

【0098】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.36部、4−ジメチルアミノピリジン0.98部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド100部に加え、100℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.16部(97%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基づく3500cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例16】
【0099】
実施例15で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.36部、アンモニア水0.45部をN,N−ジメチルホルムアミド100部に加え、室温で2時間さらに、50℃に加温し3時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.11部(93%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基m−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例17】
【0100】
実施例15で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.36部、ピリジン0.63部、イオン交換水0.1部をジメチルスルホキシド100部に加え、100℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.00部(83%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果水酸基に基づく3500cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例18】
【0101】
実施例15で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.36部、アンモニア水0.45部をテトラヒドロフラン100部に加え、60℃に加温し6時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.12部(94%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基づく3480cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例19】
【0102】
(下記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の合成)
【0103】
【化22】

【0104】
ジメチルスルホキシド100mlにクロロガリウムフタロシアニン1.24部、トリフルオロメタンスルフォン酸6.0部を加え、110℃に加温し7時間反応させた。室温まで冷却後微量の不溶部を濾過して除いた。得られた溶液にイオン交換水約100mlを加え、室温で3時間攪拌した。生成した結晶を濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥することで1.43部(98%)のガリウムフタロシアニン化合物を得た。ここで得られた一部をN,N−ジメチルホルムアミドで再結晶し、以下の分析を行った。
MALDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:730.07(理論値は730.03:C3316GaNSとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0105】
【表11】

【0106】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.24部、4−ジメチルアミノピリジン0.51部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド50部に加え、100℃に加温し5時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.94部(92%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例20】
【0107】
実施例19で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.46部、アンモニア水0.45部をN,N−ジメチルホルムアミド100部に加え、室温で2時間さらに、50℃に加温し3時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.17部(98%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例21】
【0108】
実施例19で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.46部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド100部に加え、還流下に10時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.03部(86%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例22】
【0109】
(下記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の合成)
【0110】
【化23】

【0111】
ジメチルスルホキシド150mlにクロロガリウムフタロシアニン2.47部、エタンスルフォン酸17.6部を加え、110℃に加温し8時間反応させた。室温まで冷却後、イオン交換水約100mlを加え、室温で4時間攪拌した。生成した結晶を濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥することで2.54部(92%)のガリウムフタロシアニン化合物を得た。
この化合物について、以下の分析を行った。
MALDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:690.18(理論値は690.07:C3421GaNSとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0112】
【表12】

【0113】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物0.69部、4−ピコリン4.0部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド50部に加え、90℃に加温し6時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.50部(84%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例23】
【0114】
(下記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の合成)
【0115】
【化24】

【0116】
ジメチルスルホキシド100mlにクロロガリウムフタロシアニン1.24部、ノナフルオロ−1−ブタンスルフォン酸6.0部を加え、110℃に加温し7時間反応させた。室温まで冷却後微量の不溶部を濾過して除いた。得られた溶液にイオン交換水約100mlを加え、室温で4時間攪拌した。生成した結晶を濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥することで1.67部(95%)のガリウムフタロシアニン化合物を得た。
ここで得られた一部を、ジメチルスルホキシドに溶解し、シリカゲルで吸着処理を行なった。シリカゲルを、濾別し得られたジメチルスルホキシドにほぼ等量のイオン交換水を加えて、結晶を析出させた。これを濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥し、精製処理を行なった。
この化合物について、以下の分析を行った。
MALDI−TOFMS(ポジティブ)により、m/z:879.97(理論値は880.02:C3616GaNSとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0117】
【表13】

【0118】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.76部、アンモニア水0.45部をテトラヒドロフラン100部に加え、60℃に加温し6時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.13部(94%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例24】
【0119】
(下記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の合成)
【0120】
【化25】

【0121】
ジメチルスルホキシド100mlにクロロガリウムフタロシアニン1.24部、ヘプタデカフルオロオクタンスルフォン酸20.0部を加え、110℃に加温し7時間反応させた。室温まで冷却後微量の不溶部を濾過して除いた。得られた溶液にイオン交換水約150mlを加え、室温で6時間攪拌した。生成した結晶を濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥することで1.94部(90%)のガリウムフタロシアニン化合物を得た。
この化合物について、以下の分析を行った。
MALDI−TOFMS(ポジティブ)により、m/z:1079.92(理論値は1080.01:C401617GaNSとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0122】
【表14】

【0123】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.08部、アンモニア水0.45部をN,N−ジメチルホルムアミド70部に加え、80℃に加温し6時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.55部(91%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例25】
【0124】
(下記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の合成)
【0125】
【化26】

【0126】
ジメチルスルホキシド100mlにクロロガリウムフタロシアニン1.24部、p−クロロベンゼンスルフォン酸水和物23部を加え、110℃に加温し9時間反応させた。室温まで冷却後微量の不溶部を濾過して除いた。得られた溶液にイオン交換水約150mlを加え、室温で6時間攪拌した。生成した結晶を濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥することで1.45部(94%)のガリウムフタロシアニン化合物を得た。
この化合物について、以下の分析を行った。
MALDI−TOFMS(ネガティブ)により、m/z:772.06(理論値は772.03:C3820ClGaNSとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0127】
【表15】

【0128】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.55部、4−ジメチルアミノピリジン5.0部、イオン交換水0.1部をN,N−ジメチルホルムアミド100部に加え、100℃に加温し9時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.96部(89%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基づく3500cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例26】
【0129】
(下記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の合成)
【0130】
【化27】

【0131】
トルエン100mlにヒドロキシガリウムフタロシアニン0.48部、p−トルエンスルフォン酸・1水和物2.8部を加え、80℃に加温し6時間反応させた。室温まで冷却後、生成した結晶を濾過し、2−ブタノン次いで,イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥することで0.53部(88%)のガリウムフタロシアニン化合物を得た。
この化合物について、以下の分析を行った。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失したことを認めた。
MALDI−TOFMS(ネガティブ)(ポジティブ)により、m/z:752.05(理論値は752.09:C3923GaNSとして)を認めた。さらに元素分析を行った結果を下表に示す。
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0132】
【表16】

【0133】
上記で得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物0.34部、4−ジメチルアミノピリジン0.24部、イオン交換水0.05部をN,N−ジメチルホルムアミド50部に加え、100℃に加温し7時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで0.27部(90%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【実施例27】
【0134】
(下記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物の合成)
【0135】
【化28】

【0136】
ジメチルスルホキシド100mlにヒドロキシガリウムフタロシアニン0.60部、1,3−プロパンジスルフォン酸(50〜60%水溶液)0.20部を加え、100℃に加温し7時間反応させた。室温まで冷却後微量の不溶部を濾過して除いた。得られた溶液にイオン交換水約150mlを加え、室温で6時間攪拌した。生成した結晶を濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥することで0.58部(85%)のガリウムフタロシアニン化合物を得た。
この化合物について、以下の分析を行った。
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果、OH基に由来する約3480cm−1の吸収が消失したことを認めた。
さらに元素分析を行った結果を下表に示す。(計算値はC6738GaN1として。)
これらの結果より、上記構造式の出発原料の一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0137】
【表17】

【0138】
上記でで得られた出発原料のガリウムフタロシアニン化合物1.37部、イオン交換水0.1部、トリエチルアミン20部をN,N−ジメチルホルムアミド150部に加え、120℃に加温し10時間反応させた。冷却後、得られた結晶をメチルエチルケトンおよびイオン交換水で洗浄した後、乾燥することで1.04部(87%)のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
上記生成物の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)による分析の結果水酸基に基づく3490cm−1付近の吸収が認められた。
この結果より、ヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを確認した。
【0139】
[応用例(1)]
長さ346mm、φ40mmアルミニウムシリンダー上に下記組成の中間層用塗工液を用いて塗布後、130℃/20分間乾燥を行ない、約3.5μmの中間層を形成した。続いて下記組成の電荷発生層用塗工液をφ5mmのジルコニアボールとともにボールミル分散を2時間行い、この塗工液を用いて塗布後、90℃/10分間乾燥を行ない、約0.3μmの電荷発生層を形成した。さらに、下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて塗布後、130℃/20分間乾燥を行ない、約25μmの電荷輸送層を形成して電子写真感光体を作製した。塗布はいずれも浸漬塗工法を用いた。
【0140】
(中間層用塗工液)
酸化チタンCR−EL(石原産業社製):50部
アルキッド樹脂 ベッコライトM6401−50(大日本インキ化学工業社製):15部
メラミン樹脂 L−145−60(大日本インキ化学工業社製):8部
2−ブタノン:120部
【0141】
(電荷発生層用塗工液)
実施例5のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
【0142】
(電荷輸送層用塗工液)
Z型ポリカーボネート パンライトTS−2050(帝人化成社製):10部
下記構造式で示される電荷輸送性化合物:7部
テトラヒドロフラン:80部
シリコーンオイル(KF50−100cs、信越化学工業社製):0.002部
【0143】
【化29】

【0144】
このように作製した電子写真感光体を書込みLD波長が780nmとなるように改造したリコー製デジタルフルカラー複合機 imagioMPC5000に搭載した。試験時のプロセス条件としては未露光部の帯電電位が−700Vとなるように帯電部材への印可電圧を設定した。現像バイアスは−500Vに設定した。通紙条件としては書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い1万枚印刷を行なった。試験環境は常温常湿度環境下で行なった。
この際、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。それぞれの評価方法は以下の通りである。結果を下表に示す。
【0145】
暗部電位:帯電後、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位を測定した。帯電器の印可電圧は画像印刷前の感光体が−700Vとなるように調製し、その後は試験終了後まで一定の印可電圧とした。
明部電位:帯電後、全面露光され、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位を測定した。
画像品質:1万枚の画像印刷前後において、ISO/JIS−SCID画像N1(ポートレート)を出力して、カラー色の再現性について評価した。尚、色再現性評価は3段階にて行ない、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。
【0146】
【表18】

【0147】
[応用例(2)]
一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物から合成されたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の電子写真特性を評価するため、応用例(1)において、電荷発生層用塗工液をつぎの処方のものに変更した以外は、応用例(1)と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
実施例20のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
【0148】
このようにして作製された電子写真感光体について、応用例(1)と同様、1万枚印刷を行ない、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。結果を下表に示す。
【0149】
【表19】

【0150】
[応用例(3)]
一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物から合成されたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の電子写真特性を評価するため、応用例(1)において、電荷発生層用塗工液をつぎの処方のものに変更した以外は、応用例(1)と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
実施例1のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
このようにして作製された電子写真感光体について、応用例(1)と同様、1万枚印刷を行ない、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。結果を下表に示す。
【0151】
【表20】

【0152】
[応用例(4)]
一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物から合成されたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の電子写真特性を評価するため、応用例(1)において、電荷発生層用塗工液をつぎの処方のものに変更した以外は、応用例(1)と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
実施例12のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
このようにして作製された電子写真感光体について、応用例(1)と同様、1万枚印刷を行ない、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。結果を下表に示す。
【0153】
【表21】

【0154】
[応用例5]
一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物から合成されたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の電子写真特性を評価するため、応用例(1)において、電荷発生層用塗工液をつぎの処方のものに変更した以外は、応用例(1)と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
実施例14のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
このようにして作製された電子写真感光体について、応用例(1)と同様、1万枚印刷を行ない、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。結果を下表に示す。
【0155】
【表22】

【0156】
[応用例(6)]
一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物から合成されたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の電子写真特性を評価するため、応用例(1)において、電荷発生層用塗工液をつぎの処方のものに変更した以外は、応用例(1)と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
実施例17のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
このようにして作製された電子写真感光体について、応用例(1)と同様、1万枚印刷を行ない、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。結果を下表に示す。
【0157】
【表23】

【0158】
[応用例(7)]
一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物から合成されたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の電子写真特性を評価するため、応用例(1)において、電荷発生層用塗工液をつぎの処方のものに変更した以外は、応用例(1)と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
実施例21のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
このようにして作製された電子写真感光体について、応用例(1)と同様、1万枚印刷を行ない、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。結果を下表に示す。
【0159】
【表24】

【0160】
[応用例(8)]
一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物から合成されたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の電子写真特性を評価するため、応用例(1)において、電荷発生層用塗工液をつぎの処方のものに変更した以外は、応用例(1)と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
実施例25のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
このようにして作製された電子写真感光体について、応用例(1)と同様、1万枚印刷を行ない、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。結果を下表に示す。
【0161】
【表25】

【0162】
[応用例(9)]
一般式(II)のガリウムフタロシアニン化合物から合成されたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の電子写真特性を評価するため、応用例(1)において、電荷発生層用塗工液をつぎの処方のものに変更した以外は、応用例(1)と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷発生層用塗工液)
実施例27のガリウムフタロシアニン化合物:3部
ポリビニルブチラール XYHL(UCC製):2部
メチルエチルケトン:160部
このようにして作製された電子写真感光体について、応用例(1)と同様、1万枚印刷を行ない、初期および1万枚印刷後の暗部電位、明部電位および画像品質について評価を行った。結果を下表に示す。
【0163】
【表26】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0164】
【特許文献1】特開平5−98181号公報
【特許文献2】特開平5−263007号公報
【特許文献3】特開平7−53892号公報
【特許文献4】特開2009−62475号公報
【特許文献5】特開2001−323183号公報
【特許文献6】特開平7−292269号公報
【特許文献7】特許第3060199号公報
【特許文献8】特開2003−201414号公報
【特許文献9】特許第4109865号公報
【特許文献10】特開平9−241525号公報
【特許文献11】特開昭59−133551号公報
【特許文献12】特開昭60−59354号公報
【非特許文献】
【0165】
【非特許文献1】D.C.Acad.Sci.,(1965)、242,1026
【非特許文献2】Bull.Soc.Chim.France,23(1962)
【非特許文献3】Inrog.Chem.(19),3131,(1980)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示されるガリウムフタロシアニン化合物を加水分解することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【化1】

[但し、式(I)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、挙げられる。nは1から3の整数である。]
【請求項2】
一般式(I)、
【化2】

[但し、式(I)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1から3の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理をした後、加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【請求項3】
一般式(I)、
【化3】

[但し、式(I)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1から3の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤で再結晶処理をした後、加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【請求項4】
一般式(I)、
【化4】

[但し、式(I)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1から3の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を、塩基性化合物の存在下で加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【請求項5】
下記一般式(II)で示されるガリウムフタロシアニン化合物を加水分解することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【化5】

[但し、式(II)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1あるいは2の整数である。]
【請求項6】
下記一般式(II)、
【化6】

[但し、式(II)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1あるいは2の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤に溶解し、その溶液をシリカゲル、アルミナ、フロリジル、活性炭素、活性白土、珪藻土、またはパーライトで吸着処理をした後、加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【請求項7】
下記一般式(II)、
【化7】

[但し、式(II)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1あるいは2の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を有機溶剤で再結晶処理をした後、加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。
【請求項8】
下記一般式(II)、
【化8】

[但し、式(II)中、Xは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表わす。置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アリール基、カルボキシ基、シアノ基、があげられる。R1〜R16はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アリール基、が挙げられる。nは1あるいは2の整数である。]
で示されるガリウムフタロシアニン化合物を、塩基性化合物の存在下で加水分解することを特徴とする、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造法。

【公開番号】特開2011−184335(P2011−184335A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49676(P2010−49676)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】