説明

ヒドロフルオロカーボン組成物

1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)と、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)とを60:40〜75:25の質量比HFC-365mfc/HFC-245faで含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)と1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)との組成物に関し、これは、ポリマーフォームの発泡剤として有用である。
HFC-365mfcとHFC-245faとの混合物は、特にポリウレタンフォーム及びポリイソシアヌレートフォームのような変性ポリウレタンフォームの製造に好適である。米国特許6,080,799号明細書は、特にHFC-365mfc/HFC-245faの発泡剤混合物を開示する。
ポリオール及びHFC-365mfcとHFC-245faとの混合物を含むポリウレタン用の特定の配合系において、引火点は、ポリオール及びHFC-365mfc及びHFC-245faの混合物のそれぞれの不燃性特性にもかかわらず観測され得る。
十分に配合された系に使用される場合、引火点を示さず、また広い温度範囲で良好な絶縁特性を示すフォームの製造を可能にする発泡剤組成物を見い出すことが望ましかった。
従って、本発明は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)と1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を質量比HFC-365mfc/HFC-245faが、60:40〜75:25で含む組成物に関する。
驚くことには、本発明の組成物は、引火点を持たない十分に配合された系を有する(変性)ポリウレタンフォームの安全な製造を可能とし、一方、得られた独立気泡フォームが低温熱絶縁に特に気泡ガスの濃縮が、実質的に避けられ得るので、好適であることが分かった。
【0002】
ポリウレタンは、ポリオールとイソシアネートとの反応から実質的に得られるポリマーを意味すると理解される。これらのポリマーは、典型的に、100〜180のイソシアネート数を示す配合から典型的に得られる。変性ポリウレタンは、ポリオールとイソシアネートとの反応から得られるポリマーであって、ウレタン官能基の他に他の型の官能基、特にイソシアネートの三量体形成によって形成されるトリイソシアヌル環(triisocyanuric ring)を含むポリマーを意味すると理解される。これらの変性したポリウレタンは、ポリイソシアヌレートとして標準的に公知である。これらのポリマーは、典型的に180〜550のイソシアネート数を示す配合物から得られる。
本発明の組成物において、質量比HFC-365mfc/HFC-245faは、60:40以上である。多くの場合、質量比HFC-365mfc/HFC-245faは、65:35以上である。好ましくは、質量比HFC-365mfc/HFC-245faは、67:33以上である。約70:30の質量比HFC-365mfc/HFC-245faが、特に好ましい。
本発明の組成物において、質量比HFC-365mfc/HFC-245faは、75:25以下である。多くの場合、質量比HFC-365mfc/HFC-245faは、73:27以下である。好ましくは、質量比HFC-365mfc/HFC-245faは、72:28以下である。
実質的にHFC-365mfcとHFC-245faからなる本発明の組成物は、特に好ましい。
さらに本発明は、ポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームの調製に企図されるプレミックスであって、以下の成分、
a)少なくとも1種のポリオール、
b)イソシアネートとポリオールとの反応用の触媒、
c)本発明の組成物
を含むプレミックスに関する。
【0003】
本発明の目的として、プレミックスは、少なくとも1種のポリオール、少なくとも1種の発泡剤及び少なくとも1種の触媒を含む組成物を意味するために理解される。
驚くべきことに、本発明の組成物は、プレミックスとして化学的に安定である。従って、プレミックスは、本発明の組成物の起こり得る分解(potential degradation)に対する安定化剤なしで任意に配合され得る。
本発明の目的に対して、ポリオールは、イソシアネートと反応する少なくとも2種の官能基を含む化合物を意味することが理解される。これらの官能基は、Zerewittinoff反応によって定義されるように、少なくとも1つの活性水素原子を含む。活性水素原子は、一般的に、酸素、窒素又は硫黄原子に結合した水素原子である。ポリウレタンフォームを調製するために従来から使用されているいかなるポリオールも、本発明のプレミックスに使用され得る。特にポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを挙げられることができる。
本発明のプレミックスの触媒は、ポリオールとイソシアネートとの反応による-NH-CO-O-ウレタン結合の形成を触媒し、又は、イソシアネートと水との反応を活性化するものであり、例えば、第三アミン及び有機スズ、鉄、水銀又は鉛化合物が挙げられる。第三アミンとしては、特にトリエチルアミンや、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N-メチルモルフォリン(NMM)、N-エチルモルフォリン、ジメチルエタノールアミン、ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)及びN,N-ジメチルベンジルアミン(DB)のような置換ベンジルアミンを挙げることができる。有機スズ又は鉛化合物としては、特に、ジブチルスズジラウレートや、オクタン酸第一錫及び鉛オクタノエートを挙げることができる。
【0004】
本発明のプレミックスの触媒は、特に、プレミックスが、変性ポリウレタン(ポリイソシアヌレート)フォームの製造に企図されている場合、イソシアネートのトリイソシアヌレートへの三量化を触媒する化合物を含む。本発明のプレミックスに使用され得るイソシアネートの三量化を触媒する化合物は、特にトリアジンである。
ポリオールの他に、本発明の組成物及び触媒、本発明のプレミックスは、ポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームを調製するために従来から使用される種々の添加剤、例えば特に水、表面活性剤、抗酸化剤、難燃剤及び/又は顔料を更に含み得る。本発明のさらに特に好適なプレミックスは、少なくとも1種のポリオール、本発明の組成物、ポリオール/イソシアネート反応を促進する少なくとも1種の触媒及び上記少なくとも1種の通常の添加剤から実質的になる。
ポリオール、触媒、本発明の組成物及び本発明のプレミックス中の任意の添加剤の比率は、用途、調製されるフォームのタイプ、ポリオールの性質及び触媒の性質に従って特に変わる。
実際、一般的に使用される触媒の量は、ポリオール100質量部に対して、約0.05〜10質量部である。一般的に、本発明の組成物の量は、ポリオール100質量部に対して、1〜80質量部である。好ましくは、ポリオール100質量部に対して、10〜60質量部である。水、表面活性化剤、可塑剤及び/又は難燃性剤の量は、ポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームを調製するために従来から使用されるものである。
本発明は、また、ポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームの調製方法であって、本発明の組成物、少なくとも1種の触媒及び任意に、他の通常の添加剤の存在下において、少なくとも1種のイソシアネートを、少なくとも1種のポリオールと反応させることを特徴とする方法に関する。
【0005】
そのようなフォームの製造に従来から使用されるいかなるイソシアネートも、本発明の方法に使用され得る。例として、脂肪族イソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び芳香族イソシアネート、例えばトリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートを挙げることができる。
一般的に、本発明の方法は、水の存在下実施される。この場合、使用される水の量は、ポリオール100部に対して好ましくは、1質量部以上である。より好ましくは、使用される水の量は、100部のポリオールあたり1.5質量部以上である。
この場合において、使用される水の量は、好ましくは、100部のポリオールにつき、2.5質量部以下である。より好ましくは、使用される水の量は、100部のポリオールに対して、2質量部以下である。
本発明の方法において、本発明の組成物は、本発明のプレミックスの形態で反応に供給され得る。本発明の組成物は、また、イソシアネートと組成物との混合物の形態で反応に提供され得る。
【0006】
本発明は、また、本発明の方法に従って得られ得るポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームに関する。本発明のポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームは、好ましくは、硬質独立気泡フォームである。ポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームは、また、可撓性又は半-可撓性フォーム、インテグラルスキンフォーム又は単成分フォームから選択され得る。
また、本発明は、熱絶縁材料に関し、これは、本発明のポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームを含む。
本発明の熱絶縁材料の特定の例は、絶縁パネル、管絶縁チューブ、サンドイッチパネル、ラミネート及びブロックフォームを含む。
本発明の熱絶縁材料は、10℃以下の温度を有する雰囲気と接触して使用される場合、一般的に実質的にその絶縁特性を維持する。しばしば、使用される温度は、5℃以下となり得る。この温度は、実質的な凝縮なく、0℃以下とさえなり得る。本発明の熱絶縁材料は、-10℃以上の温度を有する大気との接触して使用される場合、特に好適である。
以下の例は、非制限的な様式で、本発明の説明に企図される。
【実施例1】
【0007】
HFC-365mfcとHFC-245faの70:30組成物を有するPUR製品
70:30の比率のHFC-365mfc/HFC-245faの調製物は、27℃で沸騰を開始する。芳香族ポリエステルポリオールと芳香族ポリエテロリオールの、OH数が450の100gのポリオール組成物及び難燃剤として15gのトリス-クロロイソ-プロピルホスフェート、触媒として2gのミメチルシクロヘキシルアミン(mimethylcyclohexylamine)及び安定剤として1.5gのシロキサンポリアルケンオキシド-コポリマー、2gの水及び70:30の比率のHFC-365mfc/HFC-245faを20gをブレンドし、次いで、130gの4,4-ジイソシアネートジフェニルメタンと混合した。35kg/m3の密度を有する硬質フォームを得た。
【実施例2】
【0008】
HFC-365mfc/HFC-245faの75:25組成物でのPURの製造
28℃で沸点開始する、比75:25のHFC-365mfc/HFC-245fa、20gで実施例1を繰り返した。密度は、実施例1と同一であった。
【実施例3】
【0009】
発泡剤組成物を、浸漬管を使用して別々に、添加し、即ち、先ず14gのHFC-365mfcを添加、次いで6gのHFC-245faを添加して、実施例1を繰り返した。35kg/m3の密度の硬質フォームが、得られた。
この組成物は、ポリオールとともにプレミックスを使用する場合、いかなる引火点を示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)と1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を質量比HFC-365mfc/HFC-245faが、60:40〜75:25で含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
質量比HFC-365mfc/HFC-245fcが、65:35〜73:27である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
質量比HFC-365mfc/HFC-245fcが、67:33〜72:28である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
質量比HFC-365mfc/HFC-245fcが、約70:30である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
本質的にHFC-365mfc及びHFC-245faからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームの調製に企図されたプレミックスであって、以下の成分、
a)少なくとも1種のポリオール、
b)イソシアネートとポリオールとの反応用触媒、及び
c)請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物、
を含むことを特徴とするプレミックス。
【請求項7】
ポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームの製造方法であって、少なくとも1種の触媒の存在下、及び請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物の存在下、少なくとも1種のイソシアネートを、少なくとも1種のポリオールと反応させることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法で得られるポリウレタン又は変性ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
硬い独立気泡フォームである、請求項8に記載のポリウレタン又は変性ポリウレタンフォーム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のポリウレタン又は変性ポリウレタンフォームを含むことを特徴とする熱絶縁材料。

【公表番号】特表2007−524716(P2007−524716A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504688(P2006−504688)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002656
【国際公開番号】WO2004/081092
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】