説明

ヒバ材を用いた芳香器

【課題】芳香性を長く維持するのに効果的で嫌な臭いを消し、リラックス効果も高いヒバ材を用いた芳香器の提供を目的とする。
【解決手段】少なくとも部分的にヒバ材を用いて製作された容器に、ヒバを水蒸気蒸留して得られた、ヒバ精油又は/及びヒバ水を注入、あるいは、前記ヒバ精油又は/及びヒバ水を吸収させた膨潤材を収容したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒバ材を用いた芳香器に関し、特にヒバ材と、ヒバ水はヒバ精油を組み合せた芳香器に係る。
【背景技術】
【0002】
ヒノキやヒバにはヒノキチオールと称される成分を含有し、除菌効果、防カビ効果、防虫効果及び芳香性に起因して嫌な臭いの消臭効果、リラックス効果等がある。
例えば、青森県産の青森ヒバや石川県の能登地方産の能登ヒバ等が産地として知られている。
これらの産地では多く発生する間伐材やオガクズ(大鋸屑)の利用方法が検討されていて、近年、水蒸気蒸留にて精油の抽出生産も行われている。
水蒸気蒸留は蒸気圧の高い高沸点の化合物を沸点以下の温度で蒸留する方法であり、流出する加熱蒸気を冷却するとヒバ精油と、ヒバの精油成分がわずかに溶けているヒバ水(ヒバ蒸留水)とが得られる。
ヒバ精油はエッセンシャルオイルとして販売され、消臭剤、芳香剤、入浴剤、抗菌剤、防虫・防アリ剤等して使用されている。
また、ヒバ精油よりも数倍多く生産されるヒバ水は少量のヒバ成分が含まれているので、そのままスプレー芳香剤、抗菌・防カビ剤、あるいは化粧水として使用されている。
しかし、ヒバの香りは嫌な臭いを消し、リラックス効果があるものの、これまで市販されているものは長期間使用できるものではなかった。
【0003】
特許文献1には、ヒノキやヒバを用いて木製の容器を製作し芳香成分が減少すると、研磨具で研磨する技術を開示する。
しかし、研磨作用そのものがわずらわしく、また研磨にて回復する芳香性にも限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−065947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、芳香性を長く維持するのに効果的で嫌な臭いを消し、リラックス効果も高いヒバ材を用いた芳香器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る芳香器は、少なくとも部分的にヒバ材を用いて製作された容器に、ヒバを水蒸気蒸留して得られた、ヒバ精油又は/及びヒバ水を注入、あるいは、前記ヒバ精油又は/及びヒバ水を吸収させた膨潤材を収容したことを特徴とする。
【0007】
ここで、前記容器は蓋体を有し、当該蓋体は通気性材で製作されているのが好ましく、さらには前記蓋体は通気性材で製作した中空部にチップ状又は粉状のヒバ材を充填してあってもよい。
【0008】
本発明は、容器が蓋付きでなくてもよいが、蓋体を有すると中身の入れ替えが容易である。
容器は全体をヒバの板材等で製作してもよいが、中身の減量や変化等が外部から見えるように容器の側壁等の一部を透明体で製作するのが好ましい。
本発明にてヒバ水とはヒバを用いて水蒸気蒸留した際に発生する蒸留水をいう。
また、膨潤材とは吸水性が高い高分子体等をいい、ヒバ水を吸収して体積が膨張し、ヒバ水が蒸発すると体積が縮小する。
ボール形状のものやシート状のものがあり、色も各種存在する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る芳香器は、ヒバ材で製作した容器の中にヒバ水等を入れたのでヒバ水等が容器の内側から容器を構成するヒバ材に浸透し、ヒバ材に補給されるのでヒバの香りが長期間にわたって持続する。
ヒバ材として間伐材を用い、蓋体の充填にヒバのオガクズを用いると廃棄物の低減に役立ち、リサイクル効果も生じる。
容器の一部を透明体で形成すると内部の変化や減量が外部から見えてよい。
また、蓋体に通気材を用い、さらにはその中にチップ状、粉状のヒバ材を充填すると芳香作用が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る芳香器の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る芳香器は容器全体を全てヒバ材で製作する必要はなく、容器内に入れたヒバ水が浸透する側壁等の少なくとも一部がヒバ材であればよく、また容器にヒバ水又は/及びヒバ精油が注入できれば蓋体も必ずしも必須ではない。
以下、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示した実施例はマス状の容器10に蓋体20を設けた例である。
容器の構造及び形状に限定はない。
容器10はヒバ材からなる板材とアクリル板の透明体を組み合せたもので、側壁11a,11b,11cと底板13はヒバ材を用い、正面の側壁を透明体12にした。
側壁の一部を透明体12にすると、内部に注入したヒバ水30の減量が外部から見えるのでよい。
また、本実施例は容器10にヒバ水を入れた例になっているが、カラーボールのような膨潤材にヒバ水を吸収させて容器内に入れると、ボールの大きさの変化で減量を確認することができる。
容器10自体がヒバ材で製作されているので芳香性に優れ、さらに中身のヒバ水が蒸発あるいは側壁に浸透し、外部に蒸発するので長期間にわたって芳香性を有する。
従って、容器の側壁は一面のみを透明体にし、出来るだけ広い範囲をヒバ材で製作するのがよい。
また、板厚も5〜20mmと薄くてよい。
【0013】
蓋体20はヒバ材で枠21(21a,21b,21c,21d)を製作し、中にヒバのオガクズ40を充填し、上面と底面を通気材22,23にて塞いだ例になっている。
通気材22,23は通気性があり、メッシュ材、布材、不織布材等、中のオガクズ40が外部に落ちないものがよい。
ヒバ材のオガクズ40はチップ状や粉状であり、表面積が大きいので芳香効果が高い。
また、下からヒバ水が蒸発し、吸湿するのでさらに芳香性が向上する。
従って、本発明に係る芳香器は長期にわたって芳香性が高く、除菌効果があり、心身のリラックス効果も期待される。
なお、ヒバ水とヒバ精油を組み合わせても良く、他の芳香成分と組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0014】
10 容器
20 蓋体
21 枠
22 通気材
23 通気材
30 ヒバ水
40 オガクズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にヒバ材を用いて製作された容器に、ヒバを水蒸気蒸留して得られた、ヒバ精油又は/及びヒバ水を注入、あるいは、前記ヒバ精油又は/及びヒバ水を吸収させた膨潤材を収容したことを特徴とする芳香器。
【請求項2】
前記容器は蓋体を有し、当該蓋体は通気性材で製作されていることを特徴とする請求項1記載の芳香器。
【請求項3】
前記蓋体は通気性材で製作した中空部にチップ状又は粉状のヒバ材を充填してあることを特徴とする請求項2記載の芳香器。

【図1】
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【公開番号】特開2012−85817(P2012−85817A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234959(P2010−234959)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(599079399)株式会社光伸製作所 (3)
【Fターム(参考)】