説明

ヒューズエレメント

【課題】ヒューズエレメントを支持する端子部材を必要とせず、小型で遮断性能に優れるとともに大きな電流を流すことができるヒューズエレメントを提供すること。
【解決手段】過電流が流れたときに自己発熱して溶断する、以下の要件を備えることを特徴とするヒューズエレメント。
(イ)上記ヒューズエレメント1は所定間隔をおいて設けられた複数の放熱部2と、該放熱部間に配置された複数の狭小部3とで構成されていること
(ロ)上記放熱部2の板厚L1は上記狭小部3の板厚L2よりも大きくにしたこと

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズエレメント、詳しくは放熱部を狭小部よりも肉厚にした、ヒューズエレメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒューズエレメントとして狭小部と狭小部よりも幅広の放熱部を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1)。このヒューズエレメントは、チップ型の回路保護素子として提案されているもので、狭小部と放熱部の板厚は同じ厚さに形成されているものである。
【特許文献1】特開2001−76611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、このヒューズエレメントは、板厚が一定であるため電流容量を増やすには、狭小部の数を増やすか、ヒューズエレメント自体の枚数を増やす必要があり、それらを収めるためにヒューズが大きくなる問題があり、両端の電極も狭小部と同じ厚さであるため、電流容量の大きなヒューズエレメントの場合はヒューズを支持するために両端の電極部に板厚の厚い端子板を接続しなければならない点であった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、ヒューズを支持する端子部材を必要とせず、小型で遮断性能に優れるとともに大きな電流を流すことができるヒューズエレメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係るヒューズエレメントは、過電流が流れたときに自己発熱して溶断する、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記ヒューズエレメントは所定間隔をおいて設けられた複数の放熱部と、該放熱部間に配置された複数の狭小部とで構成されていること
(ロ))上記放熱部の板厚は上記狭小部の板厚よりも大きくしたこと
【0006】
なお、前記ヒューズエレメントの両端部は、前記放熱部と同じ厚さに形成し、端子部を構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、放熱部を肉厚にしたことによりヒューズエレメントの抵抗値を低く抑えることができとともに、狭小部で発生した熱の熱引きを大きくし、放熱量を大きくできるので、放熱部と狭小部の板厚が同じ従来のヒューズより、大きな電流を流すことができるヒューズエレメントを実現することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、狭小部以外の板厚が厚いため、ヒューズエレメントに端子部材を接続することなく、両端部をそのまま端子として使用することができ、ヒューズエレメントと端子部材とを接続するための工程や部材を必要とせず、製造工程の簡素化を図ることができるヒューズエレメントを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明に係るヒューズエレメントを適用したヒューズAの一例を示し、このヒューズAは、図2(a)に示すように、筒体5の内部に消弧材6とともにヒューズエレメント1を収容し、キャップ7で固定して両端から端子部8を突出させたものである。
【0010】
上記ヒューズAに使用されるヒューズエレメント1は、図2(a)の平面側要部断面図に示すように、両端にヒューズAをネジ止めするための端子部8を形成し、端子部8間には所定間隔をおいて狭小部3で発生した熱を放熱する放熱部2が形成され、放熱部2と放熱部2との間には複数の狭小部3が形成されているもので過電流が流れたとき狭小部3が溶断して回路を遮断するようになっているものである。
【0011】
ところで、上記放熱部2の板厚L1は、図2(b)の正面側要部断面図に示すように、狭小部3の板厚L2に対し肉厚に形成され、図3(a)(b)に示すように、両側に位置する放熱部2は端子部8と一体に形成され、端子部8の板厚も放熱部2の板厚と同じ厚さに形成されている。
【0012】
上記構成のヒューズエレメント1によれば、放熱部2の板厚を厚くしていることで、エレメントの抵抗値を低く抑えることができとともに、狭小部3で発生した熱の熱引きを大きくし、放熱量を大きくすることができる。このことは、抵抗値を低く抑え、放熱をよくすることで、狭小部3の断面積は小さいまま、今までの板エレメントを使用したヒューズより、大きな電流を流すことができる(定格電流を大きくすることができる)。
【0013】
そして、狭小部3で発生する熱は容量の大きくなった放熱部2で吸収されるので狭小部3の断面積を小さくすることができ、今までのヒューズエレメントを使用したヒューズより、同じ電流定格において、遮断のエネルギーを小さくすることができる。
【0014】
また、ヒューズエレメントがコンパクトになり、遮断のエネルギーが小さくなることで、今までのヒューズエレメントを使用したヒューズより、同じ電流定格において、ヒューズを小さくすることができる。
【0015】
さらに、狭小部3以外の板厚が厚いため、ヒューズエレメント1の両端を端子部8とすることができ、従来のヒューズエレメントのように、ヒューズエレメントの両端に端子部材を接続する必要がなくなり、そのための部材や工程が必要なくなり、部材の管理や製造工程の効率化を図ることができるヒューズエレメントを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のヒューズエレメントを適用したヒューズの一例を示す斜視図
【図2】(a)(b)は上記ヒューズの平面側要部断面図及び正面側要部断面図
【図3】(a)(b)は上記ヒューズエレメントの平面側斜視図及び底面側斜視図
【符号の説明】
【0017】
1 ヒューズエレメント
2 放熱部
3 狭小部
8 端子部
L1 放熱部の板厚
L2 狭小部の板厚
A ヒューズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過電流が流れたときに自己発熱して溶断する、以下の要件を備えることを特徴とするヒューズエレメント。
(イ)上記ヒューズエレメントは所定間隔をおいて設けられた複数の放熱部と、該放熱部間に配置された複数の狭小部とで構成されていること
(ロ)上記放熱部の板厚は上記狭小部の板厚よりも大きくしたこと
【請求項2】
前記ヒューズエレメントの両端部の板厚は、前記放熱部の板厚と同じ厚さに形成し、端子部を構成した、請求項1記載のヒューズエレメント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−272184(P2009−272184A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122662(P2008−122662)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(592157733)株式会社日之出電機製作所 (4)
【Fターム(参考)】