説明

ヒューズ

【課題】部品個数が増えるばかりか、組立に要する作業負担が多くなる。
【解決手段】ヒューズ素体2と、このヒューズ素体の両端に接続するリード端子3と、ヒューズ素体を収容する、絶縁部材からなる外筒体4と、両リード端子を固定保持する口金5とを有するヒューズ1であって、前記口金を、前記外筒体を延在して被覆収容したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器等の保護のために、特定温度で溶融して電気回路を遮断するヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
図3は従来のヒューズの概略構成を示す説明図である。
【0003】
図3に示すヒューズ20は、ヒューズ素体21と、このヒューズ素体21の両端に接続するリード端子22と、ガラス材等の絶縁部材で構成し、ヒューズ素体21を収容する外筒体23と、リード端子22毎に配置され、同リード端子22を固定保持する口金24とを有し、口金24は、外筒体23の両端から露出する構造となっている。
【0004】
尚、同ヒューズ20を電子機器に実装する場合、例えば電子機器内の隣接する電子部品(又はケース)とヒューズ20との間で、絶縁距離として所定の空間距離を確保する必要がある。同ヒューズ20が200V用のヒューズの場合、3.2mm以上の絶縁距離を確保する必要がある。
【0005】
しかしながら、このようなヒューズ20によれば、リード端子22は口径が小さいことから、リード端子22の部位及び電子部品30間の空間距離X1は所定の絶縁距離を確保することができるものの、外筒体23から露出する口金24は口径が大きく、導電体であることから、口金24の部位及び電子部品30間の空間距離X2は所定の絶縁距離を確保するためには、同ヒューズ20を電子部品30から離す必要があり、このため、同ヒューズ20を実装する電子機器自体が大型化してしまうといった事態が考えられる。
【0006】
そこで、このような事態に対処すべく、口金(ソケット)24の部位を絶縁すべく、口金(ソケット)24の部位を、例えばチューブ等の絶縁カバーで被覆することで、口金(ソケット)24の部位の絶縁距離を考慮することなく、リード端子22の部位のみの絶縁距離を確保することで、電子機器自体の小型化を確保することができる技術が広く知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−340094号公報(図1及び要約書参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のヒューズによれば、外筒体23の両端部に配置した口金(ソケット)24の部位を別体構成のチューブ等の絶縁カバーで被覆するようにしたので、リード端子22の部位の絶縁距離のみを考慮するだけで済むことから、同ヒューズ20を実装する電子機器自体の小型化を図ることができるが、被覆カバー等の部品個数が増えるばかりか、そのヒューズ組立に要する作業において、口金24の部位に絶縁カバーを被覆する作業負担が多くなってしまう。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品個数を増やすことなく、組立作業を簡易化しながら、同ヒューズを実装する電子機器の小型化を図ることができるヒューズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のヒューズは、ヒューズ素体と、このヒューズ素体の両端に接続する外部接続用端子と、前記ヒューズ素体を収容する、絶縁部材からなる外筒体と、前記両外部接続用端子を夫々固定保持する口金とを有するヒューズであって、前記口金を、前記外筒体を延在して被覆収容したものである。
【0010】
かかる構成により、本発明のヒューズによれば、前記口金を、前記外筒体を延在して被覆収容したので、同ヒューズを電子機器内に実装したとしても、前記口金の部分を前記外筒体で絶縁することで、前記口金部位の絶縁距離を考慮することなく、前記外部接続用端子部位の絶縁距離のみを考慮するだけで済むことから、同電子機器自体の小型化を図ることができると共に、絶縁カバー等の部品を別途要することなく、同絶縁カバーによる被覆作業もなくなることから、同ヒューズ組立作業を著しく良好にすることができる。
【0011】
また、本発明のヒューズは、前記外筒体と前記口金とは、互いに加締めにより固定したものである。
【0012】
かかる構成により、本発明のヒューズによれば、前記外筒体と前記口金とを互いに加締めにより固定するようにしたので、その組立作業が容易になる。
【0013】
また、本発明のヒューズは、前記外筒体と前記口金とは、互いに接着剤を用いて固定したものである。
【0014】
かかる構成により、本発明のヒューズによれば、前記外筒体と前記口金とを互いに接着剤を用いて固定するようにしたので、その組立作業が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成された本発明のヒューズによれば、前記口金を、前記外筒体を延在して被覆収容したので、同ヒューズを電子機器内に実装したとしても、前記口金の部分を前記外筒体で絶縁することで、前記口金部位の絶縁距離を考慮することなく、前記外部接続用端子部位の絶縁距離のみを考慮するだけで済むことから、同電子機器自体の小型化を図ることができると共に、絶縁カバー等の部品を別途要することなく、同絶縁カバーによる被覆作業もなくなることから、同ヒューズ組立作業を著しく良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を示すヒューズについて説明する。図1は本実施の形態を示すヒューズ内部の概略構成を示す断面図である。
【0017】
図1に示すヒューズ1は、ヒューズ素体2と、このヒューズ素体2の両端に接続する外部接続用端子であるリード端子3と、ヒューズ素体2を収容する、絶縁部材からなる外筒体4と、両リード端子3を夫々固定保持する口金5とを有し、口金5を、外筒体4を延在して被覆収容したものである。
【0018】
外筒体4は、例えばガラスやセラミック等の絶縁部材で中空状の筒体で構成し、その長手方向の寸法は、筒体を延在してヒューズ素体2及び口金5を収納可能にする寸法としている。
【0019】
さらに口金5の口径は、外筒体4の内径よりも若干小さく、同外筒体4内部の収容配置箇所に同口金5の外周面5Aが加締め固定できる程度の大きさである。また、口金5は、リード端子3を挿通する挿通孔5Bを備え、同挿通孔5Bの穴径は、例えばリード端子3の口径がφ0.8mmとした場合、φ1mm程度とすることが望ましい。
【0020】
次に本実施の形態を示すヒューズ1の組立工程について説明する。図2は本実施の形態を示すヒューズ1の組立工程を示す説明図である。
【0021】
まず、ヒューズ素体2は、図2(a)に示すように、その両端部にリード端子3を半田付け又は溶接で接続する。
【0022】
さらに、図2(b)に示すように、ヒューズ素体2の両端部に接続したリード端子3を口金5の挿通孔5Bに夫々挿通させる。
【0023】
次に図2(c)に示すように、外筒体4内部にヒューズ素体2及び口金5を収容し、同外筒体4内部の収容配置箇所に口金5をセットして、図2(d)に示すように、同収容配置箇所の外筒体4の部位を加締めることで、各口金5を外筒体4内部の収容配置箇所に固定する。その結果、図1に示すように、口金5を、外筒体4を延在して被覆収容したヒューズ1が完成したことになる。
【0024】
このように完成したヒューズ1は、電子機器に実装する場合、例えば電子機器内の隣接する電子部品30とヒューズ1との間で、所定の絶縁距離として空間距離を確保する必要があるが、口金5の部位は絶縁部材で構成する外筒体4で覆われているため、口金5の部位及び電子部品30間の絶縁距離を考慮する必要はなく、リード端子3の部位及び電子部品30間の空間距離X1のみを考慮するだけで済むことになる。
【0025】
従って、本実施の形態によれば、口金5を、外筒体4を延在して被覆収容したので、同ヒューズ1を電子機器内に実装したとしても、口金5の部分を外筒体4で絶縁することで、口金5の部位の絶縁距離を考慮することなく、リード端子3の部位と電子部品との間の絶縁距離X1のみを考慮するだけで済むことから、同電子機器自体の小型化を図ることができると共に、絶縁カバー等の部品を別途要することなく、同絶縁カバーによる被覆作業もなくなることから、同ヒューズ組立作業を著しく良好にすることができ、さらには、組立作業が単純化することから自動組立も可能になる。
【0026】
また、本実施の形態によれば、外筒体4と口金5とを互いに加締めにより固定したので、その組立作業も容易になる。
【0027】
尚、上記実施の形態においては、外筒体4と口金5とを互いに加締めにより固定したが、例えば接着剤で固定するようにしても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上記のように構成された本発明のヒューズによれば、口金を、外筒体を延在して被覆収容したので、同ヒューズを電子機器内に実装したとしても、前記口金の部分を前記外筒体で絶縁することで、前記口金部位の絶縁距離を考慮することなく、外部接続用端子部位の絶縁距離のみを考慮するだけで済むことから、同電子機器自体の小型化を図ることができると共に、絶縁カバー等の部品を別途要することなく、同絶縁カバーによる被覆作業もなくなることから、同ヒューズ組立作業を著しく良好にすることができるため、電子機器等に実装するヒューズに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態を示すヒューズ内部の概略構成を示す断面図である。
【図2】本実施の形態を示すヒューズの組立工程を示す説明図である。
【図3】従来のヒューズ内部の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ヒューズ
2 ヒューズ素体
3 リード端子(外部接続用端子)
4 外筒体
5 口金



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズ素体と、このヒューズ素体の両端に接続する外部接続用端子と、前記ヒューズ素体を収容する、絶縁部材からなる外筒体と、前記両外部接続用端子を夫々固定保持する口金とを有するヒューズであって、
前記口金を、前記外筒体を延在して被覆収容したことを特徴とするヒューズ。
【請求項2】
前記外筒体と前記口金とは、互いに加締めにより固定したことを特徴とする請求項1に記載のヒューズ。
【請求項3】
前記外筒体と前記口金とは、互いに接着剤を用いて固定したことを特徴とする請求項1に記載のヒューズ。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate