説明

ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器

【課題】簡易構造により軸部品と連結部品との固定強度を著しく向上して秀れた耐久性を発揮するヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器を提供すること。
【解決手段】第二連結部4若しくは第一連結部3の重合部8を枢着軸6の接合面部7に重合固定し、第二連結部4若しくは第一連結部3に、重合部8と略直交状態にして補強用連結部11を設けて、重合部8が枢着軸6の接合面部7に重合した際にこの補強用連結部11を枢着軸6の軸方向と相対する方向に配設し得るように構成し、この補強用連結部11と相対する枢着軸6の端部に係合突起12を突設すると共に、この係合突起12を挿通係合する挿通部13を補強用連結部11に設けて、この挿通部13に係合突起12を挿通係合することで補強用連結部11を枢着軸6に固定する構成としたヒンジ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコンや折り畳み式携帯電話などの電子機器の軸部に用いるヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ノート型パソコンは、操作部を有する本体部とディスプレイ部を有する開閉部とを、軸受部と枢着軸とを軸着して成るヒンジ装置を介して回動自在に枢着する構成となっている。
【0003】
このヒンジ装置としては、従来、例えば本体部などの第一部材に連結する第一連結部20に軸受部21を設け、開閉部などの第二部材に連結する第二連結部22に枢着軸23を設け、この枢着軸23を軸受部21に軸着することで第一連結部20に対して第二連結部22を回動自在に設けた軸着構造としているものがある。
【0004】
また、この種ヒンジ装置は、組み付けの都合上、枢着軸23と第二連結部22とが別部品とされていて、本体部に第一連結部20を介して組み付けられている軸受部21に軸着した枢着軸23と、開閉部に組み付けられた第二連結部22とを最終的に連結固定できるように構成されているものが多い。
【0005】
一方、近年のノート型パソコンは、筐体の薄型化,小型化が望まれる傾向にあり、これに伴ってヒンジ装置も薄型化,小型化が要求されているが、特にディスプレイ部は薄型化が比較的容易なことから、ディスプレイ部(開閉部)に連結する第二連結部22を薄い板材で構成することでディスプレイ部を薄型化させているものが増えてきている。
【0006】
また、このような小型のヒンジ装置における第二連結部22と枢着軸23との連結固定構造は、第二連結部22の薄さを生かすためにも複雑な構造を採用することは好ましくなく、例えば図6に示すように、第二連結部22の枢着軸23への固定側板部に貫通孔24を形成する一方、枢着軸23の周面部に接合用の平坦面25を凹設してこの接合用平坦面25にネジ孔26を形成し、この貫通孔24とネジ孔26の位置を合わせて第二連結部22の固定側板部を枢着軸23の接合用平坦面25に当接した上で、貫通孔24から通したネジ27をネジ孔26に螺着することで枢着軸23に第二連結部22を固定するようなシンプルな固定構造が採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このような連結部品(例えば上記従来例においては第二連結部22)が薄い板材で構成されるヒンジ装置にあっては、そもそもこの連結部品22(薄板)自体が高強度を具備するものではない上、開閉部の開閉作動時に連結部品22の貫通孔24部分に応力が集中するために、長期間の使用で開閉部の開閉動作が幾度となく繰り返されていると、この貫通孔24から亀裂が生じて連結部品22が破損してしまう懸念があった。
【0008】
本発明は、このような小型のヒンジ装置に生じる懸念を払拭しようとするもので、簡易構造により軸部品と連結部品との固定強度を著しく向上して秀れた耐久性を発揮する画期的なヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器を提供することが技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
第一部材1と第二部材2を枢着するヒンジ装置Hであって、前記第一部材1に連結する第一連結部3若しくは前記第二部材2に連結する第二連結部4に軸受部5を設け、この軸受部5に回動自在に軸着する枢着軸6に接合面部7を設け、この接合面部7に重合する重合部8を、前記第二部材2に連結する第二連結部4若しくは前記第一部材1に連結する第一連結部3に設けると共に、この重合部8に止着孔9を形成し、この止着孔9を介して止着具10を枢着軸6に止着することにより前記重合部8を前記接合面部7に重合状態で接合固定して、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3に枢着軸6を設けたヒンジ装置Hにおいて、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3に、前記重合部8と略直交状態にして補強用連結部11を設けて、前記重合部8が前記枢着軸6の接合面部7に重合した際にこの補強用連結部11を枢着軸6の軸方向と相対する方向に配設し得るように構成し、この補強用連結部11と相対する前記枢着軸6の端部に係合突起12を突設すると共に、この係合突起12を挿通係合する挿通部13を補強用連結部11に設けて、この挿通部13に係合突起12を挿通係合することで補強用連結部11を枢着軸6に固定する構成としたことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0011】
また、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3の、前記枢着軸6への固定側部を板状に構成し、この板状の固定側部を略直角に折曲形成してこの折曲部14を境にした一側板部を前記重合部8とすると共に他側板部を前記補強用連結部11として、重合部8と補強用連結部11とを略直交状態に設けたことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置に係るものである。
【0012】
また、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3は板金製とし、この第二連結部4若しくは第一連結部3の、前記枢着軸6への固定側板部を略直角に折曲形成してこの折曲部14を境にした一側板部を前記重合部8とすると共に他側板部を前記補強用連結部11として、重合部8と補強用連結部11とを略直交状態に設け、この補強用連結部11に貫通孔13を形成してこの貫通孔13を前記挿通部13とし、この挿通部13に挿通させた前記枢着軸6端部の前記係合突起12の突出先端部を圧潰することで、補強用連結部11を枢着軸6にカシメ止めする構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0013】
また、前記枢着軸6は、周面部にこの枢着軸6の軸方向と略平行な平坦面7を形成してこの平坦面7を前記重合部8が面接重合する前記接合面部7とし、この接合面部7と略直交方向に面方向を有する枢着軸6の基端面に、前記係合突起12を一体に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0014】
また、前記第一部材1を操作部15を有する本体部1とし、前記第二部材2をこの本体部1に重合するディスプレイ部16を有する開閉部2とし、この本体部1と開閉部2とを重合した閉塞状態から伏面が露出する開放方向に起伏回動自在に枢着するヒンジ装置Hに前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒンジ装置Hを用いた構成としたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、第二連結部若しくは第一連結部を、重合部と補強連結部とで枢着軸に対し略直交する二方向から固定するので、第二連結部若しくは第一連結部と枢着軸とが従来例の構成よりも強固に連結固定されてガタつき,グラつきが低減することになり、また、第一部材と第二部材の開閉作動時には、第二連結部若しくは第一連結部が、枢着軸の回転力を略直交する二方向で支持することになるので、止着具を通した止着孔部位と係合突起を挿通係合した挿通部部位とに応力が効果的に分散し、これにより亀裂の発生や破損を効果的に防止できて高い耐久性を発揮することになり、しかも本発明は、従来例の構造に対して、第二連結部若しくは第一連結部に、重合部と略直交状態にして挿通部を有する補強用連結部を設けると共に、枢着軸の端部に係合突起を突設して、挿通部に係合突起を挿通係合する構成を加えるだけで構成可能であるので、容易に設計実現可能で量産性にも秀れるなど、極めて実用性に秀れた画期的なヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器となる。
【0016】
また、請求項2,3記載の発明においては、従来例と比べて第二連結部若しくは第一連結部の部品点数を何ら増やすことなく、且つ著しい量産性の低下も招くことなく本発明の第二連結部若しくは第一連結部を構成可能となる秀れた構成のヒンジ装置となり、更に請求項3記載の発明においては、小型化が容易で薄型・小型の電子機器用に適したヒンジ装置となると共に、挿通部を容易に構成可能で量産性に秀れるなど、一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0017】
また、請求項4記載の発明においては、接合面部に第二連結部若しくは第一連結部の重合部を強固に接合できる枢着軸構造となり、しかも、従来例と比べてこの枢着軸の部品点数を何ら増やすことなく、且つ著しい量産性の低下も招くことなく係合突起を具備する本発明の枢着軸を構成可能となるなど、一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
本発明のヒンジ装置Hは、第一部材1に連結する第一連結部3若しくは前記第二部材2に連結する第二連結部4に軸受部5を設け、第二部材2に連結する第二連結部4若しくは前記第一部材1に連結する第一連結部3に前記軸受部5に軸着する枢着軸6を設けた構成であり、また、第二連結部4若しくは第一連結部3と枢着軸6とは別部品とされて、枢着軸6に設けた接合面部7に第二連結部4若しくは第一連結部3に設けた重合部8を重合し、この重合部8に形成した止着孔9を介して止着具10を枢着軸6に止着することで重合部8を前記接合面部7に重合状態で接合固定しているが、この接合面部7と重合部8の固定に加えて、第二連結部4若しくは第一連結部3に設けた補強用連結部11を枢着軸6の軸方向と相対する方向に配設し、この補強用連結部11と相対する枢着軸6端部に突設した係合突起12を補強用連結部11に設けた挿通部13に挿通係合することで、この補強用連結部11も枢着軸6に固定している。
【0020】
即ち、本発明では、第二連結部4若しくは第一連結部3を、略直交する重合部8と補強連結部11とで枢着軸6に対し略直交する二方向から固定することでこの第二連結部4若しくは第一連結部3に枢着軸6を設けているので、単に連結部品22の固定側板部を枢着軸23の接合用平坦面25に重合してこの固定側板部の一面(一方向)だけを接合用平坦面25にネジ27で接合固定する前記従来例の構成に比べて著しく連結固定強度が向上し、枢着軸6に対する第二連結部4若しくは第一連結部3のガタつきやグラつきが低減することになる。
【0021】
また、従来例のように、連結部品22の固定側板部の一面だけを枢着軸23の接合用平坦面25にネジ27で接合固定する構成であると、本体部と開閉部の開閉作動時に枢着軸23の回転力を連結部品22が一方向だけで支持することとなるために、連結部品のネジ通し用貫通孔24部分に応力が集中して経年使用によりこの貫通孔24から亀裂が生じてしまう懸念があったが、第二連結部4若しくは第一連結部3の重合部8を、枢着軸6の接合面部7に止着具10で固定することに加えて、この重合部8と略直交状態に設けられた補強用連結部11も、その挿通部13に枢着軸6の係合突起12を挿通係合することで枢着軸6に固定する本発明では、開閉作動時の枢着軸6の回転力を略直交する二方向で支持することになり、この回転力を一方向だけで支持していた従来例に比べて、止着具10を通した止着孔9部位と係合突起12を挿通係合した挿通部13部位とに応力が効果的に分散して亀裂の発生や破損を防止でき、秀れた耐久性を発揮することになる。
【0022】
しかも本発明は、従来例の構造に対して、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3に、前記重合部8と略直交状態にして挿通部13を有する補強用連結部11を設けると共に、前記枢着軸6の端部に係合突起12を突設して、挿通部13に係合突起12を挿通係合する構成を加えることで構成可能であるので、この構成は簡易構造であり、容易に設計実現可能で量産性にも秀れる。
【0023】
また、例えば、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3の、前記枢着軸6への固定側部を板状に構成し、この板状の固定側部を略直角に折曲形成してこの折曲部14を境にした一側板部を前記重合部8とすると共に他側板部を前記補強用連結部11として、重合部8と補強用連結部11とを略直交状態に設ければ、単に第二連結部4若しくは第一連結部3の板状部を略直角に折曲するだけで重合部8と補強用連結部11とを略直交状態にして設けることができるので、従来例と比べて第二連結部4若しくは第一連結部3の部品点数を何ら増やすことなく、且つ著しい量産性の低下も招くことなく本発明の第二連結部4若しくは第一連結部3を容易に構成可能となる。
【0024】
また、例えば、前記第二連結部4若しくは前記第一連結部3は板金製とし、この第二連結部4若しくは第一連結部3の、前記枢着軸6への固定側板部を略直角に折曲形成してこの折曲部14を境にした一側板部を前記重合部8とすると共に他側板部を前記補強用連結部11として、重合部8と補強用連結部11とを略直交状態に設け、この補強用連結部11に貫通孔13を形成してこの貫通孔13を前記挿通部13とし、この挿通部13に挿通させた前記枢着軸6端部の前記係合突起12の突出先端部を圧潰することで補強用連結部11を枢着軸6にカシメ止めする構成とすれば、略直交状態の重合部8と補強用連結部11とを具備する第二連結部4若しくは第一連結部3を簡易に設計実現可能であると共に、第二連結部4若しくは第一連結部3が板金であるため小型化が容易で薄型,小型の電子機器用に適したヒンジ装置Hとなり、しかも、板金製の補強用連結部11に孔を貫通形成するだけで挿通部13を構成可能であるため、従来例と比べて部品点数を何ら増やすことなく製作容易で量産性にも秀れることとなる。
【0025】
また、例えば、前記枢着軸6は、周面部にこの枢着軸6の軸方向と略平行な平坦面7を形成してこの平坦面7を前記重合部8が面接重合する前記接合面部7とし、この接合面部7と略直交方向に面方向を有する枢着軸6の基端面に、前記係合突起12を一体に形成すれば、接合面部7に第二連結部4若しくは第一連結部3の重合部8を面接重合して強固に接合できる枢着軸6構造となり、しかも、係合突起12を枢着軸6に一体的に形成しているので、この構成は簡易に設計実現可能な構成であると共に、従来例と比べてこの枢着軸6の部品点数を何ら増やすことなく、且つ著しい量産性の低下も招くことなく本発明の枢着軸6を構成可能となる。
【実施例】
【0026】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、図1に示すようなノート型パソコン用に適用した場合を示している。
【0028】
具体的には、操作部15を備えた本体部1を第一部材1とし、ディスプレイ部16を備えた開閉部2を第二部材2とし、この本体部1と開閉部2とが重合した閉塞状態から伏面が露出する開放方向に開閉部2を開放回動自在に枢着するヒンジ装置Hを備えている。
【0029】
本実施例のヒンジ装置Hは、図2に示すように、前記第二部材2に連結する第二連結部4に回り止め状態にして枢着軸6を設け、前記第一部材1に連結する第一連結部3に、前記枢着軸6を回転自在に軸着する軸受部5を設けている。
【0030】
また、本実施例では、第二連結部4と枢着軸6とは別部品とし、この二部品を連結固定した構成としている。
【0031】
この第二連結部4と枢着軸6との連結固定構造について説明すると、本実施例の枢着軸6は、中程から先端部にかけての部分が前記軸受部5に挿入されて通軸着される軸構造とし、この枢着軸6の中程から基端部にかけての部分は平板状に形成し、この平板状部分の平坦板面(枢着軸6周面の平坦面7)を、枢着軸6の軸方向と略平行な接合面部7とすると共に、この接合面部7に枢着軸6の軸方向と直交する方向に孔長を有する連通孔17を貫通形成している。
【0032】
一方、本実施例の第二連結部4は、この第二連結部4の、前記枢着軸6への固定側端部に、前記接合面部7に重合する重合部8を設けると共に、この重合部8に止着孔9を貫通形成した構成としている。
【0033】
そして、この止着孔9を介して止着具10を枢着軸6の前記連通孔17に通して止着することにより、前記重合部8を前記接合面部7に重合状態で接合固定して、第二連結部4に枢着軸6を連結固定する構成としている。
【0034】
また、図面では、止着具10としてリベット10を採用した場合を示しており、連通させた止着孔9とにこのリベット10を挿通して挿通先端を圧潰することで、重合部8を接合面部7に重合状態で接合固定(カシメ止め)している。
【0035】
また、本実施例では、前記第二連結部4に、前記重合部8と略直交状態にして補強用連結部11を設けて、前記枢着軸6の接合面部7に重合部8を重合した際、この補強用連結部11を枢着軸6の軸方向と相対する方向に配設して、この補強用連結部11が枢着軸6基端部の軸延長方向に立ち塞がるように配置する構成としている。更に詳しくは、重合部8を接合面部7に重合した際に、接合面部7と略直交方向に面方向を有する枢着軸6の基端面に補強用連結部11を重合し得るように構成している。
【0036】
一方、この補強用連結部11と相対する枢着軸6の基端部には、係合突起12を一体的に突設し、この係合突起12を挿通係合する挿通部13を前記補強用連結部11に設けて、この挿通部13に前記係合突起12を挿通係合することで補強用連結部11を枢着軸6に固定する構成としている。
【0037】
具体的には、第二連結部4は板金製とし、この第二連結部4の、前記枢着軸6への固定側板部(端部)を略直角に折曲形成してこの折曲部14を境にした一側板部(図2,図3における右側の板部分)を前記重合部8とすると共に、他側板部を前記補強用連結部11として、重合部8と補強用連結部11とを略直交状態に設けている。
【0038】
また、枢着軸6の基端面には、この枢着軸6外径より小径な断面角形状の係合突起12をこの枢着軸6と一体成形によって外方へ突出状態に形成し、この係合突起12の断面形状に略合致する形状の貫通孔13を前記補強用連結部11に形成してこの貫通孔13を前記挿通部13としている。
【0039】
従って、図4に示すように、挿通部13に係合突起12を挿通すると、枢着軸6に対して補強用連結部11が回り止め状態となるように構成して、係合突起12と挿通部13との連結強度を高めている。尚、この係合突起12と挿通部13との回り止め構造は、係合突起12の断面形状と挿通部13の孔形状を、略合致する楕円形状に形成する構造でも良い。
【0040】
また、本実施例では、前記枢着軸6の前記接合面部7に、前記第二連結部4の重合部8を重合し、前記連通孔17と前記止着孔9とを連通して前記止着具10を挿通止着する連通孔を形成した際に、前記挿通部13に前記係合突起12が挿通して前記補強用連結部11が前記枢着軸6の基端面に重合した状態となるようにこの連通孔17と止着孔9の形成位置並びに係合突起12と挿通部13の形成位置を設定構成している(図5参照。)。
【0041】
そして、挿通部13に回り止め状態で挿通した係合突起12の突出先端部を圧潰することでこの突出先端部の外径を挿通部13の孔径よりも大きくすると共に、この突出先端部を補強用連結部11に圧着して(カシメ止めして)、補強用連結部11を枢着軸6に固定する構成としている。
【0042】
即ち、本実施例では、第二連結部4を、略直交する重合部8と補強連結部11とで枢着軸6に対し略直交する二方向から固定することで、この第二連結部4に枢着軸6を設けた構成としている。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施例のヒンジ装置の使用状態を示す説明斜視図である。
【図2】本実施例のヒンジ装置を示す説明拡大斜視図である。
【図3】本実施例のヒンジ装置における第二連結部と枢着軸との説明拡大分解斜視図である。
【図4】図3の状態から、枢着軸の係合突起を補強用連結部の挿通部に挿通した状態を示す説明拡大斜視図である。
【図5】本実施例のヒンジ装置を示す説明拡大平断面図である。
【図6】従来例のヒンジ装置の連結部品と軸部品との連結構造を示す説明拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 第一部材(本体部)
2 第二部材(開閉部)
3 第一連結部
4 第二連結部
5 軸受部
6 枢着軸
7 接合面部(平坦面)
8 重合部
9 止着孔
10 止着具
11 補強用連結部
12 係合突起
13 挿通部(貫通孔)
14 折曲部
15 操作部
16 ディスプレイ部
H ヒンジ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と第二部材を枢着するヒンジ装置であって、前記第一部材に連結する第一連結部若しくは前記第二部材に連結する第二連結部に軸受部を設け、この軸受部に回動自在に軸着する枢着軸に接合面部を設け、この接合面部に重合する重合部を、前記第二部材に連結する第二連結部若しくは前記第一部材に連結する第一連結部に設けると共に、この重合部に止着孔を形成し、この止着孔を介して止着具を枢着軸に止着することにより前記重合部を前記接合面部に重合状態で接合固定して、前記第二連結部若しくは前記第一連結部に枢着軸を設けたヒンジ装置において、前記第二連結部若しくは前記第一連結部に、前記重合部と略直交状態にして補強用連結部を設けて、前記重合部が前記枢着軸の接合面部に重合した際にこの補強用連結部を枢着軸の軸方向と相対する方向に配設し得るように構成し、この補強用連結部と相対する前記枢着軸の端部に係合突起を突設すると共に、この係合突起を挿通係合する挿通部を補強用連結部に設けて、この挿通部に係合突起を挿通係合することで補強用連結部を枢着軸に固定する構成としたことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記第二連結部若しくは前記第一連結部の、前記枢着軸への固定側部を板状に構成し、この板状の固定側部を略直角に折曲形成してこの折曲部を境にした一側板部を前記重合部とすると共に他側板部を前記補強用連結部として、重合部と補強用連結部とを略直交状態に設けたことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記第二連結部若しくは前記第一連結部は板金製とし、この第二連結部若しくは第一連結部の、前記枢着軸への固定側板部を略直角に折曲形成してこの折曲部を境にした一側板部を前記重合部とすると共に他側板部を前記補強用連結部として、重合部と補強用連結部とを略直交状態に設け、この補強用連結部に貫通孔を形成してこの貫通孔を前記挿通部とし、この挿通部に挿通させた前記枢着軸端部の前記係合突起の突出先端部を圧潰することで、補強用連結部を枢着軸にカシメ止めする構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記枢着軸は、周面部にこの枢着軸の軸方向と略平行な平坦面を形成してこの平坦面を前記重合部が面接重合する前記接合面部とし、この接合面部と略直交方向に面方向を有する枢着軸の基端面に、前記係合突起を一体に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項5】
前記第一部材を操作部を有する本体部とし、前記第二部材をこの本体部に重合するディスプレイ部を有する開閉部とし、この本体部と開閉部とを重合した閉塞状態から伏面が露出する開放方向に起伏回動自在に枢着するヒンジ装置に前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒンジ装置を用いた構成としたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−84851(P2010−84851A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254853(P2008−254853)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】