説明

ヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロック及びその製造方法

【課題】従来浄水場での浄水発生土は、一部農園芸用、道路埋め戻し材や、セメント原料に利用されるが、大部分は産業廃棄物として処分場で処理され処理費用と環境に負荷がかかっている。またヒートアイランド防止対策には、例えば歩道の舗装工事ではインターロッキングブロックを施行後に、施行現場で遮熱塗料を塗布していた。この方法では塗布量、皮膜厚等の塗布品質管理が難しく、かつ工期が長くなり歩行者の利便性を損なう、塗料の臭気が発生して周囲の住人への迷惑になるなどの問題があった。
【解決手段】本発明の解決手段のインターロッキングブロックは乾燥した浄水発生土に、砕石廃土、砂等の原料と骨材に水を加えて混合し、成形後硬化させた固化体の表面に遮熱塗料を塗布し乾燥定着することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水発生土を一定の含水率のパウダー状態に加工し活性カルシウム源と、活性アルカリ源他の原料を添加混合した後、一定の大きさに成形し、成形体を水熱合成し形成する固化体及び、浄水発生土を乾燥させて含水率を下げ、砂と混合し、これにポルトランドセメントと、ノニオン系界面活性剤及び顔料の添加剤とを混合し、形成する固化体の表面に遮熱塗料を塗布し乾燥定着することにより、舗装材等の建設材料として利用可能なヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロック及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各地の浄水場では、河川流水から飲料水にする過程で沈降した土砂と分離した土、即ち浄水発生土が多量に発生する。この浄水発生土は、従来、一部は農園芸用の倍土や、道路埋め戻し材、セメント原料に利用されるが、多くは産業用廃棄物として埋め立て処理されている。
【先行技術文献】
【0003】
そこで、これらの浄水発生土を再利用する試みがなされるようになり、例えば、特許文献1には、浄水発生土を乾燥して粉体化、造粒し、これに加水硬化材料として硫酸カルシウム1/2水和物を加えて混合し、透水性簡易舗装材料とする技術が提案されている。
【特許文献1】特開2005−12707
【0004】
また、特許文献2には、浄水発生土と山砂とを約6:4〜4:6の割合で混合した土粒子と、総重量割合で5〜15%としたポルトランドセメントと、ノニオン系界面活性剤及び顔料等の添加剤とから成ることを特徴とする浄水発生土を利用したブロックが提案されている。
【特許文献2】特開2007−320825
【0005】
一方、ヒートアイランド防止対策用には、遮熱塗料の塗布が有効な手段として採用されている。例えば特許文献3には、高い断熱性を有し、太陽光の赤外線を反射、放射することによって、熱吸収が少なく、かつアスファルト舗装、コンクリート舗装等への熱伝導を抑える塗膜を得ることができる舗装面用遮熱塗料が提案されている。
【特許文献3】特開2005−23277
【0006】
また、特許文献4には、アスファルトおよびエチレン酢酸ビニル共重合体を含むアスファルト系バインダーと、ゴムチップおよび/またはゴム粉末と、骨材とを含有する弾性舗装層上に、遮熱塗料からなる塗膜層を有することを特徴とする弾性舗装体が提案されている。
【特許文献4】特開2007−191892
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1と2は、浄水発生土の利用に主眼を置いた発明考案であり、特許文献3と4は遮熱塗料に主眼を置いた発明考案である。そのため、浄水発生土を用いたインターロッキングブロックを用いて舗装し、ヒートアイランド防止対策を施す場合は、現地で舗装工事完了後に塗布作業を行うことが不可避である。その結果工事期間の長期化と、塗料による異臭発生に加えて、天候や外気温により遮熱塗料の塗膜厚等の品質管理が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決するため、遮熱塗料塗布済みの、浄水発生土を利用したヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロック及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記従来の問題点を解決するため、乾燥した浄水発生土と、砕石廃土、砂等の原料と骨材に水を加えて混合し、成形後硬化させた固化体の製造工程の直後に遮熱塗料塗布工程と乾燥定着工程を加えた一貫製造工程により、舗装材等の建設材料として利用可能なヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロックを製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のインターロッキングブロック及びその製造方法の第一の効果は、浄水場発生土の有効再利用が図れ、本発明の環境対策効果および工業的価値は極めて大であることである。
【0011】
本発明のインターロッキングブロック及びその製造方法の第二の効果は、浄水場発生土から高強度で有害成分の溶出の問題が殆どなく、舗装材等の建設材料等として有用な固化体を容易かつ効率的に製造することができることである。
【0012】
本発明のインターロッキングブロック及びその製造方法の第三の効果は、透水性と保水性を備えていることである。透水性は、舗装した歩道等の排水機能を高め、保水性は、舗装した歩道等の冷却効果を発揮する。
【0013】
本発明のインターロッキングブロック及びその製造方法の第四の効果は、遮熱塗料の塗布作業をその製造工程に含ませることにより、現地の塗布作業が排除でき、工事期間の短縮と、塗料による異臭発生を防止することができることである。
【0014】
本発明のインターロッキングブロック及びその製造方法の第五の効果は、天候や外気温によらず遮熱塗料の塗膜厚等の品質管理ができるという利点があることであることである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を説明する。
【0017】
本発明で処理する浄水発生土としては特に制限はなく、どの浄水場から発生する浄水発生土でもよい。
【0018】
本発明においては、これらの浄水発生土を一定の含水率のパウダー状態に加工し、活性カルシウム源と、活性アルカリ源他の原料を添加混合した後、一定の大きさに成形し、成形体を水熱合成し固化体を製造する形態と、浄水発生土を乾燥させて含水率を下げ、砂と混合し、これにポルトランドセメントと、ノニオン系界面活性剤及び顔料の添加剤とを混合し、固化体を製造する形態により実施したことを特徴とする。
【0019】
水熱合成した固化体に、太陽光の近赤外線反射用の粒子と、着色用の顔料と、すべり抵抗性保持用の硬質骨材と、これらを結合する樹脂と水とを混合した遮熱塗料を塗布し、乾燥定着する。
【0020】
以上記述した方法により、本発明のヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロックを製造する。
【実施例1】
以下に実施例により本発明を詳細に説明する。
【0021】
本実施例では浄水発生土を一定の含水率20%〜30%のパウダー状態に加工し、活性カルシウム源と、酸化物換算の活性アルカリ源他の原料を添加混合した後、100mm幅、200mm長、60mm厚に成形し、成形体を水熱合成し固化体を製造する。
【0022】
ここで、本実施例の活性カルシウム源とは、消石灰(Ca(OH)2)である。また、活性アルカリ源とは、例えば、NaOH,KOH,Na2CO3及びK2CO3よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であるが、本発明では、これらを酸化物、即ち、Na2O及び/又はK2Oで換算し、それとSiO2とのモル比で(酸化物換算の活性アルカリ源)/SiO2(即ち、Na2O/SiO2,K2O/SiO2又は(Na2O+K2O)/SiO2)モル比で調整する。
【0023】
本実施例において、混合物中の(活性カルシウム源)/SiO2モル比が0.05未満であると十分な強度発現が得られず、1.0を超えると未反応の活性カルシウム源が残存するためそれ以上の添加効果が期待できない。従って、混合物中の(活性カルシウム源)/SiO2モル比は0.05〜1.0、好ましくは0.1〜0.5とする。
【0024】
また、混合物中の(酸化物換算の活性アルカリ源)/SiO2モル比が0.01未満であるとゼオライト系鉱物が生成せず、1.0を超えると未反応の活性アルカリ源が残存するため、それ以上の添加効果が期待できないばかりかアルカリ金属の溶出が顕著となる。従って、混合物中の(酸化物換算の活性アルカリ源)/SiO2モル比は0.01〜1.0、好ましくは0.05〜0.5とする。
【0025】
なお、本発明では、得られる混合物中の(活性カルシウム源)/SiO2モル比及び(酸化物換算の活性アルカリ源)/SiO2モル比を上記範囲に調整するために、処理する浄水発生土中にこの活性カルシウム源や活性アルカリ源が含有されている場合には、この浄水発生土由来の活性カルシウム源や活性アルカリ源を上記モル比の調整に考慮して、その分、活性カルシウム源や活性アルカリ源の添加量を減らす必要がある。
【0026】
この混合物を成形する方法としては、一軸加圧成形等の加圧成形や押出成形等の各種成形方法を採用することができ、例えば、加圧成形の場合、成形圧力は10〜40MPa程度であることが好ましく、図1の1に示すように外形が100mm幅、200mm長、60mm厚の成形体とする
【0027】
成形体の水熱合成は、通常の場合、オートクレーブ中にて行われ、水熱合成条件は、処理する浄水発生土によっても異なるが、飽和水蒸気圧下、温度110〜200℃、時間0.5〜168時間、特に2〜24時間が好ましい。
【0028】
得られた成形体をオートクレーブ中に入れ、飽和水蒸気圧下、200℃で8時間水熱合成した後、80℃で48時間乾燥し固化体を形成する。
【0029】
得られた固化体に、太陽光の近赤外線反射用の微小中空粒子と、太陽光の近赤外線反射および着色用の顔料と、すべり抵抗性保持用の硬質骨材と、これらを結合する樹脂と水を混合した遮熱塗料を図1の2に示すように塗装ロボットにより塗布する。
【0030】
遮熱塗料を塗布した固化体を6時間自然乾燥させ、定着させ製品とする。
【実施例2】
【0031】
本発明の他の実施例では、浄水発生土を乾燥させて含水率を10%以下とし、砂と7:3の割合で混合し、これに総重量比で20%〜25%としたポルトランドセメントと、ノニオン系界面活性剤及び顔料の添加剤とを混合し、固体化させたことを特徴とする。
更に本実施例の詳細を説明する。
【0032】
浄水発生土は、まず天日乾燥させた後、乾燥粉砕機にかけて含水率を約40%程度とし、同時に、粒径を50mm程度とする。
【0033】
次に、上記脱水処理した発生土をキルンにかけ強制乾燥し、含水率を20%以下とし、同時に粒径を10mm程度とする。
【0034】
次に、粉砕機にかけて浄水発生土を粉粒体とし、その含水率を10%以下とする。
【0035】
次に、上記発生土を砂と7:3の容積比で混合し、これに総重量比で20%〜25%のポルトランドセメントと、ノニオン系界面活性剤及び顔料の添加剤とを混合し、水を加えながら撹拌機で撹拌し、6時間放置し図1の1に示すように外形が190mm幅、390mm長、100mm厚の固化体を形成する。
【0036】
得られた固化体に、太陽光の近赤外線反射用の微小中空粒子と、太陽光の近赤外線反射および着色用の顔料と、すべり抵抗性保持用の硬質骨材と、これらを結合する樹脂と水を混合した遮熱塗料を図1の2に示すように塗装ロボットにより塗布する。
【0037】
遮熱塗料を塗布した固化体を6時間自然乾燥させ、定着させ製品とする。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロックは、大きな荷重の加わる車道には適さないが、一般歩道、公園、街路樹周囲、浄水場等清浄エリアを確保するためのスペース、イベント会場の広場等に広く応用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 固化体
2 遮熱塗料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥させた浄水発生土と、砕石廃土、珪砂、消石灰及びまたは藁すさを原料としミキサーにより混合し、得られた混合物に活性カルシウム源と活性アルカリ源とを添加して混合し、成形後水熱合成して硬化させ、得られた固化体の表面に遮熱塗料を塗布し乾燥定着することを特徴とするヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロック及びその製造方法。
【請求項2】
乾燥させた浄水発生土と、石灰岩及びまたは粘土を粉砕・混合・焼成し石膏を添加して作るセメントと、砂及びまたは砂利及びまたは砕石及びまたは高炉スラグによりなる骨材に水を加えて混合し成形後硬化させ、得られた固化体の表面に遮熱塗料を塗布し乾燥定着することを特徴とするヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロック及びその製造方法。
【請求項3】
遮熱塗料は、太陽光の近赤外線反射用の微小中空粒子と、太陽光の近赤外線反射および着色用の顔料と、すべり抵抗性保持用の硬質骨材と、これらを結合する樹脂およびまたは水を混合して得られることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒートアイランド防止対策用インターロッキングブロック及びその製造方法。

【図1】
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