説明

ヒートポンプ式中温空調システム

【課題】簡単なシステムで冷暖同時運転でき、設備費、運転費が安く、快適な空調が行えるヒートポンプ式中温空調システムを得る。
【解決手段】 第1空気熱源ヒートポンプ21を介して空気で空調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第1熱源装置20と、空調用第1冷温水コイル46と空調用第1水熱源ヒートポンプ41の一方又は両方を選択的に介して空調用熱源水で被空調空間Sの還気を熱交換して給気する第1水HP式空調機40と、第1水HP式空調機40から給気される調和空気で被空調空間Sの空気を誘引混合して分流拡散し層流状に被空調空間Sへ放出すると共にこの誘引混合空気の熱を蓄熱して被空調空間Sへ熱放射する空気式輻射層流ユニット1と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中温の熱源水を用いて空調を行うシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷温水熱源の輻射パネルなどを用いた輻射式の空調システムや、冷温水熱源のファンコイルユニットなどを用いた強制対流式の空調システムがある。
【0003】
【特許文献1】特開平7−19533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この輻射パネルはファンコイルユニットよりも空調に必要な熱エネルギーが少ない、パネル結露防止などの理由で両者の使用する熱源水温が大きく異なるため、輻射式と強制対流式を併用する空調システムを構築する場合、熱源水の温度調整をするためのボイラーや冷却塔などの装置が多種類必要で、水温調整などの制御機構も複雑となり、設備費、運転費及び保守費がかさみ、熱源装置のために広い設置スペースが必要となる。
【0005】
しかも、大中規模ビルやホテル客室など多数の被空調空間で冷房運転・暖房運転が混在する環境に対応するには、冷水と温水の2種類の熱源水を同時に流す4管式の熱源水回路が必要となり、単一の熱源装置のみでの高、低温域運転はムリ、ムダを生じ、一層の設備費、運転費及び保守費のアップとなる。
【0006】
また、輻射パネルは熱放射による熱移動のみのため空調効率が低く、断熱が悪い所や熱負荷が大きな所、空気の出入りが大きな所など空調に不向きな空間が多く利用範囲が限定され、結露対策なども必要でコスト高となる問題がある。さらに、マルチエアコンやファンコイルユニットなどの強制対流式の室内空調機は、冷風又は暖風の風速が速くてドラフト感を与え、温度ムラを生じる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、第1空気熱源ヒートポンプを介して空気で空調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第1熱源装置と、空調用第1冷温水コイルと空調用第1水熱源ヒートポンプの一方又は両方を選択的に介して前記空調用熱源水で被空調空間の還気を熱交換して給気する第1水HP式の空調機と、前記第1水HP式空調機から給気される調和空気で前記被空調空間の空気を誘引混合して分流拡散し層流状に前記被空調空間へ放出すると共にこの誘引混合空気の熱を蓄熱して前記被空調空間へ熱放射する空気式輻射層流ユニットと、を備えことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1〜7の発明によれば、
(1)ボイラーや冷却塔など多種類の熱源装置が1種類の熱源装置だけで済み、2管式で冷房運転・暖房運転が混在する空調システムを構築でき、設備費、運転費、保守費及びCO2の削減と省スペース化を図れる。
(2)熱源水を中温に温度調整すればよいので、結露や放熱ロスを防げ、制御機構が簡略化されて保守が楽となる。
(3)冷房運転・暖房運転の混在が多いところは、熱源水の相互熱回収により熱源装置を間欠運転または停止状態にできて大幅省エネとなる。
(4)熱源装置の最大能力を超えても空調機側及び/又は外調機側のヒートポンプで能力不足分をカバーし安定した空調運転ができる。
(5)誘引混合輻射ケース及び蓄熱輻射分流器からの熱放射と誘引混合空気の熱伝達でドラフトや温度ムラのない快適空調が行える。
【0009】
請求項1、2、4、5の発明によれば、
(1)中間期など空調負荷が少ない場合、空調用第1水熱源ヒートポンプの運転を停止し、空調用第1冷温水コイルのみで空調可能となり、省エネを図ることができる。
【0010】
請求項2、4の発明によれば、
(1)外調用と空調用の2系統に分けて熱源水の温度調整を行うことができるので水温制御が容易となり、空調用系統において冷房運転・暖房運転が混在する場合や中間期など空調負荷が少ない場合、熱源水の相互熱回収により空調用の第1熱源装置のみを間欠運転または停止状態にでき省エネを図り得る。
(2)外調用と空調用の2系統を連結し同一の熱源水で運転すれば、空調系統で冷房運転し、外調系統で暖房運転する場合、熱源水の相互熱回収により省エネとなる。
【0011】
請求項2、3、4の発明によれば、
(1)外調用第1冷温水コイルで外気又は外気及び還気の混気を予め冷却又は加熱することで、外調用第1水熱源ヒートポンプの負荷を軽減することができ、加湿効率が良好となって、第1水HP式外調機の温湿度制御幅が広がる。
【0012】
請求項3の発明によれば、
(1)空気HP式空調機の熱回収効果で空調負荷を軽減することができるので、省エネとなり、空調用の第1熱源装置を小型化できる。
【0013】
請求項4の発明によれば、
(1)空気HP式空調機の熱回収効果で空調負荷を軽減することができるので、省エネとなり、空調用の第1熱源装置及び/又は外調用の第2熱源装置を小型化できる。
【0014】
請求項5の発明によれば、
(1)空調機の冷房運転・暖房運転の混在時に熱源水の相互熱回収により熱源装置が間欠運転または停止状態となるはずが、常時定風量給気が必要な外気処理を水熱源式の外調機で行った場合、熱源装置を止めることができず無駄が多いが、空気HP式外調機は水熱源を使わずに空気熱源で外気処理を行うので、熱源装置を間欠運転または停止状態にできて省エネとなり、CO2の削減を図れる。
(2)空気HP式外調機の熱回収効果で空調負荷を軽減することができるので、省エネとなり、空調用の第1熱源装置も小型化できる。
【0015】
請求項8の発明によれば、
(1)従来の輻射パネルではパネル面からの熱放射のみであるが、本発明では誘引混合輻射ケースからの熱放射に加えて、開口部を介して蓄熱輻射分流器からも被空調空間へ熱放射するので、輻射(放射)エネルギーを高比率で遠距離まで到達させることができる。この遠距離輻射作用と、誘引混合空気が天井近くに滞留しないように被空調空間との温度差を少なくして層流状に放出することで生じる遠距離かつ広範囲な熱伝達作用と、被空調空間空気の誘引により生じるサーキュレーター作用と、による相乗効果で、被空調空間空気温度分布が均一化され、高効率、高能力でドラフトや温度ムラのない快適空調が行える。そのため、熱放射のみの空調と比べて空調に不向きな空間が少なく利用範囲が広い。
(2)従来の輻射パネルは熱放射のために熱源水を用いているが、本発明では調和空気を放射熱源としているので水漏れ事故の心配がなくて設備が簡略化でき、送風動力無しでサーキュレーター効果を得られ、運転コストを低減できる。
(3)調和空気と被空調空間の空気を混合させるので露点制御が可能で、結露対策のためのドレン処理設備が不要となってコストダウンを図れ、調和空気の風量当たりの冷房能力又は暖房能力を大きく(給気温度を通常より低温化又は高温化)して給気風量を少なくすることで、送風動力削減とダクト等の設備の小型化によりコストダウンを図れる。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明のヒートポンプ式中温空調システムの第1の実施例を示しており、このヒートポンプ式中温空調システムは、第1空気熱源ヒートポンプ21を介して空気で空調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第1熱源装置20と、空調用第1冷温水コイル46と空調用第1水熱源ヒートポンプ41の一方又は両方を選択的に介して空調用熱源水で被空調空間Sの還気を熱交換して給気する第1水HP式の空調機40と、第2空気熱源ヒートポンプ81を介して空気で外調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第2熱源装置80と、外調用第1冷温水コイル56と外調用第1水熱源ヒートポンプ51の一方又は両方を選択的に介して外調用熱源水で外気及び還気の混気を熱交換して給気する第1水HP式の外調機50と、第1水HP式空調機40又は第1水HP式外調機50から給気される調和空気で被空調空間Sの空気を誘引混合して分流拡散し層流状に被空調空間Sへ放出すると共にこの誘引混合空気の熱を蓄熱して被空調空間Sへ熱放射する空気式輻射層流ユニット1と、第1熱源装置20と第1水HP式空調機40との間で空調用熱源水を循環させる第1熱源水回路27と、第2熱源装置80と第1水HP式外調機50との間で外調用熱源水を循環させる第2熱源水回路87と、を備えている。なお、各図において、空気の流れは太い黒矢印で示し、熱源水の流れは白抜き矢印で示す。空気式輻射層流ユニット1と第1水HP式外調機50、被空調空間Sと第1水HP式外調機50、空気式輻射層流ユニット1と第1水HP式空調機40、被空調空間Sと第1水HP式空調機40は、それぞれ図示省略のダクト等の送風路を介して連通連結される。
【0017】
第1熱源水回路27は第1送水ポンプ28を備え、第1熱源装置20の第1水熱交換器22と、第1水HP式空調機40の空調用第1水熱交換器42と、が通水自在に接続され、空調用熱源水は、第1熱源水回路27の配管を介して、第1水HP式空調機40を流れて第1熱源装置20との間を循環する。第2熱源水回路87は第2送水ポンプ88を備え、第2熱源装置80の第2水熱交換器82と、第1水HP式外調機50の外調用第1水熱交換器52と、外調用第1冷温水コイル56と、が通水自在に接続され、外調用熱源水は、第2熱源水回路87の配管を介して、第1水HP式外調機50を流れて第2熱源装置80との間を循環する。第1水HP式空調機40及び第1水HP式外調機50の熱源水流量はバルブ等にて制御する。
【0018】
図2に示すように、第1熱源装置20は、ケーシング内に、第1空気熱源ヒートポンプ21と、空気熱交換器用第1ファン25と、を備えている。第1空気熱源ヒートポンプ21は、循環冷媒に対して蒸発・圧縮・凝縮・膨張の工程順を繰返し、この循環冷媒と熱交換する空気や熱源水などに対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うもので、循環冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を行う第1空気熱交換器23及び第1水熱交換器22と、循環冷媒を圧縮する第1圧縮機24と、循環冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構と、第1空気熱交換器23及び第1水熱交換器22の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。この第1空気熱交換器23にて外気などの通風空気と循環冷媒が熱交換され、その循環冷媒と空調用熱源水が第1水熱交換器22にて熱交換されて、第1熱源装置20の空調用熱源水出口温度が所定水温範囲になるように、図示省略の制御手段によって制御される。
【0019】
第2熱源装置80は第1熱源装置20と同じ構成なので図2を流用して説明する。第2熱源装置80は、ケーシング内に、第2空気熱源ヒートポンプ81と、空気熱交換器用第2ファン85と、を備えている。第1空気熱源ヒートポンプ81は、循環冷媒に対して蒸発・圧縮・凝縮・膨張の工程順を繰返し、この循環冷媒と熱交換する空気や熱源水などに対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うもので、循環冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を行う第2空気熱交換器83及び第2水熱交換器82と、循環冷媒を圧縮する第2圧縮機84と、循環冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構と、第2空気熱交換器83及び第2水熱交換器82の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。この第2空気熱交換器83にて外気などの通風空気と循環冷媒が熱交換され、その循環冷媒と外調用熱源水が第2水熱交換器82にて熱交換されて、第2熱源装置80の外調用熱源水出口温度が所定水温範囲になるように、図示省略の制御手段によって制御される。
【0020】
この空調用熱源水及び外調用熱源水の前記出口水温範囲は13℃〜40℃の中温に設定し、例えば冷房運転時13〜18℃で暖房運転時35〜40℃が適温であるが変更は自由である。なお、13℃〜40℃の範囲外では第1・第2熱源水回路27、87の配管の断熱処理が必要な分高くつき保守が面倒となったり、各々のヒートポンプの圧縮比とCOPが低下したりする。第1水熱交換器22と第2水熱交換器82は密閉式とするのが望ましく、熱源水の蒸発ロスがなく水質保持ができ保守が容易となるが、他方式でもよい。
【0021】
図3に示すように、第1水HP式空調機40は、ケーシング内に、空調用第1冷温水コイル46と、空調用第1水熱源ヒートポンプ41と、空調用第1給気ファン45と、を備えている。空調用第1水熱源ヒートポンプ41は、循環冷媒に対して蒸発・圧縮・凝縮・膨張の工程順を繰返し、この循環冷媒と熱交換する空気や熱源水などに対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うもので、循環冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を行う空調用第1空気熱交換器43及び空調用第1水熱交換器42と、循環冷媒を圧縮する空調用第1圧縮機44と、循環冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構と、空調用第1空気熱交換器43及び空調用第1水熱交換器42の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。第1水HP式空調機40には、空調用第1冷温水コイル46への熱源水の一部又は全部をバイパスさせて空調用第1冷温水コイル46の熱源水流量を制御する空調用流量制御機構49を、設ける。図例では空調用流量制御機構49は、三方弁やバイパス流路などにて構成しているが構成の変更は自由である。
【0022】
第1水HP式空調機40は、予め設定された給気温度となるように、図示省略の制御手段によって、空調用第1冷温水コイル46と空調用第1空気熱交換器43の一方又は両方で還気を冷却又は加熱し、冷房運転と暖房運転を切換自在として空気式輻射層流ユニット1に調和空気を給気する。なお、第1水HP式空調機40において空調用第1水熱源ヒートポンプ41の冷房・暖房運転の混在が多いところでは冷排水と温排水の混合による相互熱回収運転となって、第1熱源装置20を運転せずに空調用熱源水の循環のみで空調ができる。
【0023】
図4に示すように、第1水HP式外調機50は、ケーシング内に、外調用第1冷温水コイル56と、外調用第1水熱源ヒートポンプ51と、外調用第1給気ファン55と、外調用第1加湿器57と、を備えている。外調用第1水熱源ヒートポンプ51は、循環冷媒に対して蒸発・圧縮・凝縮・膨張の工程順を繰返し、この循環冷媒と熱交換する空気や熱源水などに対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うもので、循環冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を行う外調用第1空気熱交換器53及び外調用第1水熱交換器52と、循環冷媒を圧縮する外調用第1圧縮機54と、循環冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構と、外調用第1空気熱交換器53及び外調用第1水熱交換器52の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構と、外調用第1圧縮機54からのホットガスを再熱媒体に用いた冷媒−空気熱交換用の再熱器58と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。第1水HP式外調機50には、外調用第1冷温水コイル56への熱源水の一部又は全部をバイパスさせて外調用第1冷温水コイル56の熱源水流量を制御する外調用流量制御機構59を、設ける。図例では外調用流量制御機構59は、三方弁やバイパス流路などにて構成しているが構成の変更は自由である。
【0024】
第1水HP式外調機50は、予め設定された給気温湿度となるように、図示省略の制御手段によって、外調用第1冷温水コイル56と外調用第1空気熱交換器53の一方又は両方で外気と還気の混合空気を冷却・再熱又は加熱・加湿し、冷房運転と暖房運転を切換自在として空気式輻射層流ユニット1に調和空気を給気する。被空調空間Sの温湿度は図示省略の検出器で検出し、前記制御手段で設定値と比較演算し、第1水HP式外調機50と第1水HP式空調機40の運転を制御する。
【0025】
図5〜図11に示すように、空気式輻射層流ユニット1は、天井C内に埋設されると共に空調機から給気される調和空気を送り出す送気部材11と、被空調空間Sに露出させて天井C内に埋設されると共に送気部材11の調和空気が上面の誘引口10に吹き込まれることで被空調空間Sの空気を誘引混合して下面の多数の開孔部9から被空調空間Sへ向かって下方へ放出する誘引混合輻射ケース16と、下方が開口する箱形で上下に扁平な矩形状のフード13と、保守点検用パネル17と、を備えている。調和空気は空調機及び外調機からダクト等の送風路(図示省略)を介して給気される。
【0026】
誘引混合輻射ケース16の内部には、誘引混合空気を横並びに分流させて層流状にして開孔部9を介して被空調空間Sへ案内すると共に誘引混合空気の熱を蓄熱して誘引混合輻射ケース16に熱伝導させて被空調空間Sへ熱放射させかつ開孔部9を通して被空調空間Sへ熱放射させる蓄熱輻射分流器2を、設ける。蓄熱輻射分流器2は、全体が上下に扁平な矩形状で誘引混合輻射ケース16の少なくとも底面と熱伝導自在に接触させる。
【0027】
蓄熱輻射分流器2は、蓄熱自在で熱伝導及び熱放射率の高いアルミ等の材質であって横長帯状の多数の伝熱板8…を所定ピッチで面対向させて横並びに設けると共に誘引混合空気が分流して伝熱板8、8の隙間を熱伝達しながら上から下へ層流状に通過するように構成する。各伝熱板8…には、法線方向から複数の楕円状直管99を間隔をあけて挿着し、この楕円状直管99の楕円長軸を上下(重力)方向に向くようにする。この楕円状直管99にて蓄熱輻射分流器2の反りや撓みなどの変形を防止し補強できて安全性が高く、低圧損で誘引混合空気をスムーズに放出させることができる。
【0028】
誘引混合空気は、蓄熱輻射分流器2及び誘引混合輻射ケース16の部材抵抗により分流拡散しながら風速を落として伝熱板8、8の隙間を通過しながら層流状となり、誘引混合空気の熱を蓄熱輻射分流器2全域に均一に熱伝達する。開孔部9は、誘引混合輻射ケース16の下面の略全域に互いに間隔をあけて形成する。このように伝熱板8にて誘引混合空気の熱を効率良く確実に蓄熱輻射分流器2全域に熱伝達させて蓄熱し、誘引混合輻射ケース16に均一に熱伝導させることができ、常時安定した熱放射が行える。さらに、伝熱板8にて誘引混合空気を層流状に放出でき、空調空気温度分布の均等化を図れる。図例では開孔部9は長孔状となっているが、丸や他の形状とするも自由である。被空調空間Sへの蓄熱輻射分流器2及び誘引混合輻射ケース16の熱放射作用及び誘引混合空気放出による熱伝達作用を最大限に引き出すために、誘引混合輻射ケース16の下面全体に対する開孔部9全体の総面積比は3割以上に設定するのが好ましいが変更は自由である。
【0029】
また、誘引混合空気の分流拡散作用と層流通過作用と熱伝達作用を最適に機能させるために蓄熱輻射分流器2の空気入口側に対して空気出口側の風速が半分以下、好ましくは20%〜30%にダウンするように伝熱板8や開孔部9の形状や数、ピッチ等を設定構成する。図例では直管99は楕円状となっているが真円状としたり、伝熱板8の直管99を挿着していない部分の穴を省略してもよく、蓄熱輻射分流器2の形状、構造等の変更は自由である。
【0030】
フード13は、これの下方開口部14を被空調空間Sに露出させて天井C内に埋設する。フード13の内部には上下に扁平な矩形状の誘引混合輻射ケース16を、これの周側面のうちのすくなくとも対向する二側面から上面全体の範囲とフード13の内面との間に誘引空気路用の間隔部15を設けて、設置する。誘引混合輻射ケース16はフード13に対して開閉又は着脱自在に構成する。図例では、誘引混合輻射ケース16の長辺(長手)方向の両横から上面に回り込むように間隔部15を設けているが、短辺方向の両横からも上面に回り込むようにし、四側面(全周)全部に間隔部を設けるなど変更は自由である。
【0031】
フード13の下面側には、誘引混合輻射ケース16の一端側に隣接する保守点検用パネル17を開閉又は着脱自在に設けると共に、フード13の上面側には、点検口19を設け、それをカバーで開閉又は着脱自在に蓋をする。送気部材11の空気入口18は点検口19の近傍に設ける。これにより、輻射層流ユニット1全体を天井Cから取外したり、天井Cに別個に点検口19を設けることなく、パネル17から簡単にメンテナンスができ、しかも、送気部材11の空気入口18が点検口19の傍にあるので、パネル17と点検口19から調和空気の送風ダクト(図示省略)の施工や保守ができ作業性が良好となる。なお、パネル17と点検口19を省略するも自由である。
【0032】
誘引混合輻射ケース16の上面であって間隔部15を形成する対向二側面の中間の中央線L沿いに、送気部材11の調和空気を吹込むライン状の誘引口10を形成し、横長筒状の送気部材11の長手方向に、誘引口10に沿って調和空気を吹出すライン状の吹出口12を、形成する。送気部材11の内部空間は、吹出口12の長辺方向の風上側から風下側へ向かって縮径させ、送気部材11に風向を調整する整流機構Gを設ける。図例では、送気部材11の内部を傾斜板11aで仕切って内部空間を縮径させているが、送気部材11自体を縮径させたり、その他の方法で縮径させてもよい。また、空気入口18の真下には調和空気を送気部材11の長手方向へ案内する仕切板7aを設ける。仕切板7aは送気部材11の内部幅よりも狭くして両脇から下へ調和空気の一部が流れるようにする。なお、空気入口18の下に吹出口12が位置しないように構成することで仕切板7aを省略してもよく、また、送気部材11を上部を広く下部を細く絞った漏斗形断面に形成しているが、形状、構造等の変更は自由である。
【0033】
このように誘引混合空気を、誘引混合輻射ケース16の中央線L沿いに下へ送り、蓄熱輻射分流器2を通して被空調空間Sへ出すので、蓄熱輻射分流器2全域に誘引混合空気を、偏在やバイパスなしに確実に分流拡散して層流状に流しかつ輻射カバー7全域に均一に熱伝導させることができ、ユニット当りの有効空調範囲が広く空調効率の向上を図れる。また、上下に扁平状なので狭い天井内にも空気式輻射層流ユニット1を容易に設置できる。さらに、送気部材11の吹出口12が一つで済み、構造を簡素化でき製作が容易である。そして、送気部材11の内部空間を吹出口12の長辺方向の風上側から風下側へ向かって縮径させてあるので、吹出口12の長辺方向全域で風速を均一化できてバラツキを生じない。そのため、誘引ムラが無くてサーキュレーター効果が高く、均等に誘引空気を混合できて、誘引混合輻射ケースから放出される空気の温度ムラがなく、安定した快適空調が行える。
【0034】
整流機構Gは、調和空気の気流方向と交わる方向に伸びる複数の小壁条部7を間隔をあけて設けて成る。整流機構Gがない場合、調和空気が斜め下に流れるが、整流機構Gの抵抗により真下に風向きを調整することができる。この小壁条部7の幅と高さは変更自由であるが、小壁条部7が低すぎると風向きを調整できず、高すぎると調和空気が図8の点線の太矢印のように小壁条部7の風下部に回りきらず、点線太矢印と実線太矢印の間の空間に、空気の流れのない部分が断続的に発生する。この気流の途切れを防止して温度ムラを無くすためには、小壁条部7の高さを、送気部材11の内部空間の最大断面積の10〜30%に設定するのが好ましい。
【0035】
図10に示すように、ライン状の吹出口12の短辺側の間隙幅HAを調整して吹出風速を変更自在な吹出幅調整機構A、及び、ライン状の誘引口10の短辺側の間隙幅HBを調整して誘引風速を調整自在な誘引幅調整機構Bを、設ける。吹出幅調整機構Aは、吹出口12の短辺側の間隙幅HAを増減させる吹出口幅調整部材3と、吹出口幅調整部材3を着脱又はスライド自在に取付ける固定手段4と、を備え、誘引幅調整機構Bは、誘引口10の短辺側の間隙幅HBを増減させる誘引口幅調整部材5と、誘引口幅調整部材5を着脱又はスライド自在に取付ける固定手段6と、を備える。固定手段4、6は、一点鎖線で略して示すネジ等の公知の螺着部材等にて成る。図例では吹出口幅調整部材3と誘引口幅調整部材5は一対の折曲片を用いて構成しているが、形状、構造等の変更は自由である。空調に最適な誘引空気混合比の例をあげると、調和空気吹出風量:誘引風量が約6:4であるが、設定変更は自由である。このように吹出風速及び/又は誘引風速を任意に変更でき、空調に最適な誘引空気混合比を選択でき、空調効率の向上をさらに図れる。なお、吹出幅調整機構Aと誘引幅調整機構Bの一方又は両方を省略するも自由である。
【0036】
図9に示すように、調和空気は、実線の太矢印のように送気部材11から吹出されて誘引混合輻射ケース16内に入ると吹出口12と誘引口10の間隙部が負圧となって、短い点線の太矢印のように被空調空間Sの空気を間隔部15を介して誘引し、長い点線の太矢印のように誘引混合輻射ケース16内で混合しながら分流拡散して被空調空間Sへ層流状に放出される。これらを繰り返して被空調空間Sと空気式輻射層流ユニット1との間で空気が対流循環し撹拌される。冷房時は被空調空間よりも温度が低い誘引混合空気と冷熱放射により空調し、暖房時は被空調空間よりも温度が高い誘引混合空気と温熱放射により空調する。調和空気は、例えば結露防止や空調効率化のために、誘引混合された時点で被空調空間の露点温度より高温で絶対湿度が低くなるように設定するが、変更は自由である。
【0037】
なお、図1の第1実施例において、第1水HP式外調機50で外気のみを熱交換して調和空気を給気するも自由である。また、図例では外気処理及び循環空調のシステムに構成しているが、第2熱源装置80、第1水HP式外調機50及び第2熱源水回路87を省略して、循環空調のみのシステムに構成するも自由である。
【0038】
図12は、第1実施例に、空調用空気熱源ヒートポンプ61で被空調空間Sの空気から熱回収しながら還気を熱交換して給気する空気HP式の空調機60を、設けた第2実施例である。図13に示すように、空気HP式空調機60は、ケーシング内に、空調用空気熱源ヒートポンプ61と、空調用給気ファン65と、空調用排気ファン66と、空調用加湿器67と、を備えている。空調用空気熱源ヒートポンプ61は、循環冷媒に対して蒸発・圧縮・凝縮・膨張の工程順を繰返し、この循環冷媒と熱交換する空気に対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うもので、循環冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を行う空調用給気側空気熱交換器62及び空調用排気側空気熱交換器63と、循環冷媒を圧縮する空調用圧縮機64と、循環冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構と、空調用給気側空気熱交換器62及び空調用排気側空気熱交換器63の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構と、空調用圧縮機64からのホットガスを再熱媒体に用いた冷媒−空気熱交換用の再熱器68と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。
【0039】
空気式輻射層流ユニット1と空気HP式空調機60と被空調空間Sは、それぞれ図示省略のダクト等の送風路を介して連通連結される。空気HP式空調機60は、空調用排気側空気熱交換器63で被空調空間Sの空気から熱回収しながら屋外などに排気すると共に、予め設定された給気温湿度となるように、図示省略の制御手段によって、空調用給気側空気熱交換器62で還気を冷却・再熱又は加熱・加湿し、冷房運転と暖房運転を切換自在として空気式輻射層流ユニット1に調和空気を給気する。被空調空間Sの温湿度は図示省略の検出器で検出し、前記制御手段で設定値と比較演算し、空気HP式空調機60の運転を制御する。その他の構成は同様なので説明は省略する。なお、第2実施例において第1熱源装置20、第1水HP式空調機40及び第1熱源水回路27を省略したシステムに構成するも自由である。
【0040】
図14は、第1実施例において、第1水HP式外調機50に替えて空気HP式外調機70を設けた第3実施例である。図15に示すように、空気HP式外調機70は、ケーシング内に、外調用空気熱源ヒートポンプ71と、外調用給気ファン75と、外調用排気ファン76と、外調用加湿器77と、を備えている。外調用空気熱源ヒートポンプ71は、循環冷媒に対して蒸発・圧縮・凝縮・膨張の工程順を繰返し、この循環冷媒と熱交換する空気に対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うもので、循環冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を行う外調用給気側空気熱交換器72及び外調用排気側空気熱交換器73と、循環冷媒を圧縮する外調用圧縮機74と、循環冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構と、外調用給気側空気熱交換器72及び外調用排気側空気熱交換器73の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構と、外調用圧縮機74からのホットガスを再熱媒体に用いた冷媒−空気熱交換用の再熱器78と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。
【0041】
空気式輻射層流ユニット1と空気HP式外調機70と被空調空間Sは、それぞれ図示省略のダクト等の送風路を介して連通連結される。空気HP式外調機70は、外調用排気側空気熱交換器73で被空調空間Sの空気から熱回収しながら屋外などに排気すると共に、予め設定された給気温湿度となるように、図示省略の制御手段によって、外調用給気側空気熱交換器72で外気を冷却・再熱又は加熱・加湿し、冷房運転と暖房運転を切換自在として空気式輻射層流ユニット1に調和空気を給気する。被空調空間Sの温湿度は図示省略の検出器で検出し、前記制御手段で設定値と比較演算し、空気HP式外調機70の運転を制御する。その他の構成は同様なので説明は省略する。空気HP式外調機70は熱源水を使わずに空気の熱エネルギーで外気処理をするため、第1熱源装置20を無駄に運転する必要がない。例えば、第1水HP式空調機40の冷房・暖房運転の混在が多いところでは冷排水と温排水の混合による相互熱回収運転となって、第1熱源装置20を運転せずに熱源水の循環のみで空調ができる。
【0042】
図16は、空調用第2水熱源ヒートポンプ91を介して空調用熱源水で還気を熱交換して給気する第2水HP式の空調機90で、図3の第1水HP式空調機40において空調用第1冷温水コイル46と空調用流量制御機構49を省略したものと同様構成である。この第2水HP式空調機90は、ケーシング内に、空調用第2水熱源ヒートポンプ91と、空調用第2給気ファン95と、を備えている。空調用第2水熱源ヒートポンプ91は、循環冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を行う空調用第2空気熱交換器93及び空調用第2水熱交換器92と、循環冷媒を圧縮する空調用第2圧縮機94と、循環冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構と、空調用第2空気熱交換器93及び空調用第2水熱交換器92の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。
【0043】
図17は、外調用第2水熱源ヒートポンプ31を介して外調用熱源水で外気のみ又は外気及び還気の混気を熱交換して給気する第2水HP式の外調機30であって、図4の第1水HP式外調機50において外調用第1冷温水コイル56と外調用流量制御機構59を省略したものと同様構成である。この第2水HP式外調機30は、ケーシング内に、外調用第2水熱源ヒートポンプ31と、外調用第2給気ファン35と、外調用第2加湿器36と、を備えている。外調用第2水熱源ヒートポンプ31は、循環冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を行う外調用第2空気熱交換器33及び外調用第2水熱交換器32と、循環冷媒を圧縮する外調用第2圧縮機34と、循環冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構と、外調用第2空気熱交換器33及び外調用第2水熱交換器32の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構と、外調用第2圧縮機34からのホットガスを再熱媒体に用いた冷媒−空気熱交換用の再熱器37と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。
【0044】
以後図示省略するが、前記各実施例において、第1水HP式空調機40に替えて第2水HP式空調機90を設けたり、第1水HP式外調機50に替えて第2水HP式外調機30を設けてシステムを構成するも自由である。さらに、第1熱源装置20、第2熱源装置80、空気式輻射層流ユニット1、第1水HP式空調機40、第2水HP式空調機90、第1水HP式外調機50、第2水HP式外調機30、空気HP式空調機60及び空気HP式外調機70の数の増減は自由である。あるいは、図1の第1実施例と図12の第2実施例において第1熱源水回路27と第2熱源水回路87を連通連結して同一の熱源水を、第1熱源装置20と第2熱源装置80の両方、一方のみ、又は、一方を省略して他方のみ、にて温度調整するも自由で、冬でも冷房するような被空調空間において空調機で冷房運転、外調機で暖房運転すると熱源水の相互熱回収により省エネとなる。また、第1・第2熱源水回路27、87はダイレクトレターン方式、リバースレターン方式やこれらの併用方式など各種の方式に変更自由である。さらに、各ヒートポンプ21、81、41、91、51、31は電気駆動式とするのが好ましく、深夜電力で活用することにより運転コストを大幅削減でき、CO2の削減を図ることが可能となるが、他駆動方式でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施例の全体簡略説明図である。
【図2】熱源装置の簡略説明図である。
【図3】第1水HP式空調機の簡略説明図である。
【図4】第1水HP式外調機の簡略説明図である。
【図5】空気式輻射層流ユニットの底面側から見た斜視図である。
【図6】空気式輻射層流ユニットの平面図である。
【図7】誘引混合輻射ケースの上面の一部を破断させた平面図である。
【図8】送気部材と誘引混合輻射ケースの側面断面図である。
【図9】図6のE方向から見た全体の断面図である。
【図10】図8のF方向から見た送気部材と誘引混合輻射ケースの要部断面図である。
【図11】送気部材の上面の一部を破断させた斜視図である。
【図12】本発明の第2実施例の全体簡略説明図である。
【図13】空気HP式空調機の簡略説明図である。
【図14】本発明の第3実施例の全体簡略説明図である。
【図15】空気HP式外調機の簡略説明図である。
【図16】第2水HP式空調機の簡略説明図である。
【図17】第2水HP式外調機の簡略説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 空気式輻射層流ユニット
2 蓄熱輻射分流器
9 開孔部
10 誘引口
11 送気部材
16 誘引混合輻射ケース
20 第1熱源装置
21 第1空気熱源ヒートポンプ
30 第2水HP式外調機
31 外調用第2水熱源ヒートポンプ
40 第1水HP式空調機
41 空調用第1水熱源ヒートポンプ
46 空調用第1冷温水コイル
50 第1水HP式外調機
51 外調用第1水熱源ヒートポンプ
56 外調用第1冷温水コイル
60 空気HP式空調機
61 空調用空気熱源ヒートポンプ
70 空気HP式外調機
71 外調用空気熱源ヒートポンプ
80 第2熱源装置
81 第2空気熱源ヒートポンプ
90 第2水HP式空調機
91 空調用第2水熱源ヒートポンプ
C 天井
S 被空調空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空気熱源ヒートポンプ(21)を介して空気で空調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第1熱源装置(20)と、空調用第1冷温水コイル(46)と空調用第1水熱源ヒートポンプ(41)の一方又は両方を選択的に介して前記空調用熱源水で被空調空間(S)の還気を熱交換して給気する第1水HP式の空調機(40)と、前記第1水HP式空調機(40)から給気される調和空気で前記被空調空間(S)の空気を誘引混合して分流拡散し層流状に前記被空調空間(S)へ放出すると共にこの誘引混合空気の熱を蓄熱して前記被空調空間(S)へ熱放射する空気式輻射層流ユニット(1)と、を備えたことを特徴とするヒートポンプ式中温空調システム。
【請求項2】
第1空気熱源ヒートポンプ(21)を介して空気で空調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第1熱源装置(20)と、空調用第1冷温水コイル(46)と空調用第1水熱源ヒートポンプ(41)の一方又は両方を選択的に介して前記空調用熱源水で被空調空間(S)の還気を熱交換して給気する第1水HP式の空調機(40)と、第2空気熱源ヒートポンプ(81)を介して空気で外調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第2熱源装置(80)と、外調用第1冷温水コイル(56)と外調用第1水熱源ヒートポンプ(51)の一方又は両方を選択的に介して前記外調用熱源水で外気のみ又は外気及び還気の混気を熱交換して給気する第1水HP式の外調機(50)と、前記第1水HP式空調機(40)又は前記第1水HP式外調機(50)から給気される調和空気で前記被空調空間(S)の空気を誘引混合して分流拡散し層流状に前記被空調空間(S)へ放出すると共にこの誘引混合空気の熱を蓄熱して前記被空調空間(S)へ熱放射する空気式輻射層流ユニット(1)と、を備えたことを特徴とするヒートポンプ式中温空調システム。
【請求項3】
第2空気熱源ヒートポンプ(81)を介して空気で外調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第2熱源装置(80)と、外調用第1冷温水コイル(56)と外調用第1水熱源ヒートポンプ(51)の一方又は両方を選択的に介して前記外調用熱源水で外気のみ又は外気及び還気の混気を熱交換して給気する第1水HP式の外調機(50)と、空調用空気熱源ヒートポンプ(61)で被空調空間(S)の空気から熱回収しながら還気を熱交換して給気する空気HP式の空調機(60)と、前記第1水HP式外調機(50)又は前記空気HP式空調機(60)から給気される調和空気で前記被空調空間(S)の空気を誘引混合して分流拡散し層流状に前記被空調空間(S)へ放出すると共にこの誘引混合空気の熱を蓄熱して前記被空調空間(S)へ熱放射する空気式輻射層流ユニット(1)と、を備えたことを特徴とするヒートポンプ式中温空調システム。
【請求項4】
第1空気熱源ヒートポンプ(21)を介して空気で空調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第1熱源装置(20)と、空調用第1冷温水コイル(46)と空調用第1水熱源ヒートポンプ(41)の一方又は両方を選択的に介して前記空調用熱源水で被空調空間(S)の還気を熱交換して給気する第1水HP式の空調機(40)と、第2空気熱源ヒートポンプ(81)を介して空気で外調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第2熱源装置(80)と、外調用第1冷温水コイル(56)と外調用第1水熱源ヒートポンプ(51)の一方又は両方を選択的に介して前記外調用熱源水で外気のみ又は外気及び還気の混気を熱交換して給気する第1水HP式の外調機(50)と、空調用空気熱源ヒートポンプ(61)で前記被空調空間(S)の空気から熱回収しながら還気を熱交換して給気する空気HP式の空調機(60)と、前記第1水HP式空調機(40)又は前記第1水HP式外調機(50)又は前記空気HP式空調機(60)から給気される調和空気で前記被空調空間(S)の空気を誘引混合して分流拡散し層流状に前記被空調空間(S)へ放出すると共にこの誘引混合空気の熱を蓄熱して前記被空調空間(S)へ熱放射する空気式輻射層流ユニット(1)と、を備えたことを特徴とするヒートポンプ式中温空調システム。
【請求項5】
第1空気熱源ヒートポンプ(21)を介して空気で空調用熱源水を熱交換して中温に温度調整する第1熱源装置(20)と、空調用第1冷温水コイル(46)と空調用第1水熱源ヒートポンプ(41)の一方又は両方を選択的に介して前記空調用熱源水で被空調空間(S)の還気を熱交換して給気する第1水HP式の空調機(40)と、外調用空気熱源ヒートポンプ(71)で前記被空調空間(S)の空気から熱回収しながら外気を熱交換して給気する空気HP式の外調機(70)と、前記第1水HP式空調機(40)又は前記空気HP式外調機(70)から給気される調和空気で前記被空調空間(S)の空気を誘引混合して分流拡散し層流状に前記被空調空間(S)へ放出すると共にこの誘引混合空気の熱を蓄熱して前記被空調空間(S)へ熱放射する空気式輻射層流ユニット(1)と、を備えたことを特徴とするヒートポンプ式中温空調システム。
【請求項6】
第1水HP式空調機(40)に替えて、空調用第2水熱源ヒートポンプ(91)を介して空調用熱源水で還気を熱交換して給気する第2水HP式の空調機(90)を、備えた請求項1、2、4又は5記載のヒートポンプ式中温空調システム。
【請求項7】
第1水HP式外調機(50)に替えて、外調用第2水熱源ヒートポンプ(31)を介して外調用熱源水で外気のみ又は外気及び還気の混気を熱交換して給気する第2水HP式の外調機(30)を、備えた請求項2、3又は4記載のヒートポンプ式中温空調システム。
【請求項8】
空気式輻射層流ユニット(1)は、天井(C)内に埋設されると共に空調機から給気される調和空気を送り出す送気部材(11)と、被空調空間(S)に露出させて前記天井(C)内に埋設されると共に前記送気部材(11)の調和空気が上面の誘引口(10)に吹き込まれることで前記被空調空間(S)の空気を誘引混合して下面の多数の開孔部(9)から前記被空調空間(S)へ向かって下方へ放出する誘引混合輻射ケース(16)と、を備え、この誘引混合輻射ケース(16)の内部に、前記誘引混合空気を横並びに分流させて層流状にして前記開孔部(9)を介して前記被空調空間(S)へ案内すると共に前記誘引混合空気の熱を蓄熱して前記誘引混合輻射ケース(16)に熱伝導させて前記被空調空間(S)へ熱放射させかつ前記開孔部(9)を通して前記被空調空間(S)へ熱放射させる蓄熱輻射分流器(2)を、設けた請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のヒートポンプ式中温空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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