説明

ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体製造法及びその安定法

【課題】ウミホタルの発光系を活用したウミホタルルシフェラーゼの標識と標識ルシフェラーゼを安定化するための技術を提供する。
【解決手段】ウミホタルルシフェラーゼにポリアルキレングリコール構造をスペーサーに含む-ビオチン試薬を反応させることを特徴とする親水性ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼの製造法。並びに、ウミホタルルシフェラーゼの糖鎖にビオチンを導入したビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ、該標識ルシフェラーゼとアビジン、ストレプトアビジンなどとの複合体、その安定化方法およびそれらの酵素免疫測定法、組織などの免疫染色、DNAプローブ法、レセプター測定法などの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、酵素免疫測定の高感度検出系として化学発光が注目されている。一方、ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応といった生物発光の発光量子収率は化学発光反応に比べて断然高く、酵素免疫測定などの微量分析に適していると考えられている。特に、ウミホタル発光系の量子収率は高く、且つ酵素の回転数はホタルルシフェラーゼなどに比べて、10倍以上であることから、酵素免疫測定への応用研究が行われてきた。一方、これまで組み換えウミホタルルシフェラーゼの大量調製方法やウミホタルなどのルシフェラーゼのビオチン標識方法が既に特許文献1において開示されている。しかし、特許文献1−4を含むビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼを用いた酵素免疫測定例は見当たらない上、特許文献1に記載された方法に従い、作製したビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼは修飾前に比べて、約1.6 %しか活性がなかった。このことから、特許文献1に開示されたウミホタルルシフェラーゼのビオチン標識方法は酵素免疫測定用レベルまでには至らなかったことは明らかである。一方、特許文献1-3において、ウミホタルルシフェラーゼのマレイミド化方法も開示されているが、マレイミドヒンジ法で作製されたウミホタルルシフェラーゼの活性は修飾前の1/10以下まで低下し(特許文献4の従来技術で説明されている)、且つアビジンビオチン複合体(Avidin -Biotin Complex ABC法)によるシグナルの増幅の効果が得られない。一方、特許文献4で開示されたウミホタルルシフェラーゼを認識するモノクローナル抗体を利用するウミホタルルシフェラーゼの酵素免疫測定法はそのコストが高く、その実用化も出来ていない。よって、酵素免疫測定に適した安価且つ有効なウミホタルルシフェラーゼ修飾法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-64583号公報
【特許文献2】特開平5-113443号公報
【特許文献3】特開平7-98316号公報
【特許文献4】特開平8-262021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はウミホタルの発光系を活用したウミホタルルシフェラーゼの標識と標識ルシフェラーゼを安定化するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を提供するものである。
1. ウミホタルルシフェラーゼにポリアルキレングリコール構造をスペーサーに含む-ビオチン試薬を反応させることを特徴とするビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼの製造法。
2. ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである項1に記載の製造法。
3. 配列番号1のウミホタルルシフェラーゼのリジン残基K180及び/又はK203に対応する位置がビオチン化されている、項1に記載の製造法。
4. 糖鎖を有するウミホタルルシフェラーゼを過ヨウ素酸塩で処理して糖鎖部分にアルデヒド基を導入する工程と、次いでアルデヒド基と選択的に反応するビオチン化試薬と糖鎖を有するウミホタルルシフェラーゼのアルデヒド基を反応させる工程を含む、糖鎖部分をビオチン標識したウミホタルルシフェラーゼの製造法。
5. ビオチン化ウミホタルルシフェラーゼであって、以下のいずれかの構造を有するビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ:
(i)ウミホタルルシフェラーゼとビオチンをポリアルキレングリコール部分(moiety)を含むスペーサーを介して連結した構造;
(ii) 糖鎖を有するウミホタルルシフェラーゼとビオチンを糖鎖を介して連結した構造。
6. ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである項5に記載のルシフェラーゼ。
7. 配列番号1のウミホタルルシフェラーゼのリジン残基K180及び/又はK203に対応する位置がビオチン化されている、項5に記載のルシフェラーゼ。
8. ポリエチレングリコール構造が、下記式
-(CHCHO)-
(式中、nは2〜500の整数を示す)
で表される項6に記載のビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ。
9. nが2〜100である項8に記載のビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ。
10. 項5〜9のいずれかに記載のビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼと、多価アビジン物質との複合体。
11. 多価アビジン物質が標識されている項10に記載の複合体。
12. 項10に記載の複合体と界面活性剤およびアルブミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の安定剤を含む前記複合体の安定化組成物。
13. 緩衝溶液の形態である、項12に記載の組成物。
14. 項10に記載の複合体と、界面活性剤およびアルブミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の安定剤を緩衝溶液に溶解することを特徴とする、前記複合体の安定化方法。
15. 界面活性剤を0.1%-1%程度配合することを特徴とする、項14に記載の方法。
16. 項10に記載の複合体と界面活性剤およびアルブミンからなる群から選ばれる安定剤を含む緩衝溶液を包含する免疫測定用キット。
17. ELISA測定用である項16に記載のキット。
18.ウミホタルルシフェラーゼのC末あるいはN末にリジン含有タグペプチドを連結し、該タグペプチドに含まれるリジンをBiotin-protein ligase (EC 6.3.4.15)によってビオチン化する、ビオチン標識されたタグ化ウミホタルルシフェラーゼの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ウミホタルルシフェラーゼの活性をできるだけ保持しつつビオチン標識することが可能である。また、得られたビオチン標識されたウミホタルルシフェラーゼとアビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンなどの多価アビジン物質との複合体は、十分な程度に安定化することができ、免疫測定法(特に直接法、間接法、サンドイッチELISA、ELISPOT法などの酵素免疫測定法)、DNAプローブ法、あるいは受容体、リガンド、糖鎖などの各種アッセイ、特に蛋白質、DNAを定量するためのアッセイに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ビオチン化試薬。
【図2】各種組成液中におけるビオチン化ルシフェラーゼの半減期。(1)100mMリン酸ナトリウム/150 mM NaCl溶液pH7.2、(2)0.1%BSA100mMリン酸ナトリウム/150 mM NaCl溶液pH7.2、(3)0.1%Tween20、100mMリン酸ナトリウム/150 mM NaCl溶液pH7.4
【図3】ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体を用いたIFNのELISAの定量性
【図4】ビオチン化ウミホタルルシフェラーゼ消化物のMS/MSの解析結果。
【図5】PGE2の競合反応ELISAの結果。
【図6】糖鎖にビオチン標識したウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体を用いたIFNのELISAの定量性。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で使用されているウミホタルルシフェラーゼは公知である。本明細書および特許請求の範囲において、「ウミホタルルシフェラーゼ」とは、野生型ウミホタルルシフェラーゼあるいは任意のその改変体を広く包含する。野生型ウミホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列はAAB86460, AAA30332, BAD08210などに記載されている。 ウミホタルルシフェラーゼ改変体は、1または複数個、好ましくは1または数個のアミノ酸が置換、付加、欠失、挿入されていてもよく、ウミホタルルシフェリンを基質として発光させる活性を有している限り任意の改変体を包含する。
【0009】
本発明において、ビオチンはウミホタルルシフェラーゼのアミノ基(N末端またはLys由来のアミノ基)、グアニジノ基(Arg)、チオール基(Cys)のいずれを介して結合してもよいが、好ましくはアミノ基を介してウミホタルルシフェラーゼに結合する。
【0010】
ビオチンが結合する好ましいアミノ酸残基は、AAB86460のアミノ酸配列のK180及び/又はK203であり、他のウミホタルルシフェラーゼの場合には、これらに対応する位置のLysのアミノ基がビオチン化される。
【0011】
ウミホタルルシフェラーゼの配列(配列番号1)を以下に示す(K180及び/又はK203は下線を引いてある):
MRFPSIFTAVLFAASSALAALVNTTTEDETAQIPAEAVIGYSDLEGDFDVAVLPFSNSTNNGLLFINTTIASIAAKEEGVSLEKREAEAQDCPYEPDPPNTVPTSCEAKEGECIDSSCGTCTRDILSDGLCENKPGKTCCRMCQYVIECRVEAAGWFRTFYGKRFQFQEPGTYVLGQGTKGGDWKVSITLENLDGTKGAVLTKTRLEVAGDIIDIAQATENPITVNGGADPIIANPYTIGEVTIAVVEMPGFNITVIEFFKLIVIDILGGRSVRIAPDTANKGMISGLCGDLKMMEDTDFTSDPEQLAIQPKINQEFDGCPLYGNPDDVAYCKGLLEPYKDSCRNPINFYYYTISCAFARCMGGDERASHVLLDYRETCAAPETRGTCVLSGHTFYDTFDKARYQFQGPCKEILMAADCFWNTWDVKVSHRNVDSYTEVEKVRIRKQSTVVELIVDGKQILVGGEAVSVPYSSQNTSIYWQDGDILTTAILPEALVVKFNFKQLLVVHIRDPFDGKTCGICGNYNQDFSDDSFDAEGACDLTPNPPGCTEEQKPEAERLCNSLFAGQSDLDQKCNVCHKPDRVERCMYEYCLRGQQGFCDHAWEFKKECYIKHGDTLEVPDECKGSGSGSHHHHHH
【0012】
本発明で使用する多価アビジン物質は、ビオチン化ウミホタルルシフェラーゼとビオチン化抗体、ビオチン化抗原などの他のビオチン含有化合物を連結できるものであればよく、ストレプトアビジンが好ましく例示されるが、それ以外にもニュートラアビジン(NeutrAvidin)やアビジンが複数個結合した融合蛋白質などの、複数のビオチンと結合可能な多価アビジン物質は広く包含される。
【0013】
I. ウミホタルルシフェラーゼへのビオチンの結合
ウミホタルルシフェラーゼとビオチン残基は、ポリアルキレングリコール構造を有するスペーサーを介して結合される。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレングリコール(PBG)、(PEG)-(PPG)-(PEG)ブロック共重合体、(PPG)-(PEG)-(PPG)ブロック共重合体、(PEG)-(PBG)-(PEG)ブロック共重合体、(PBG)-(PEG)-(PBG)ブロック共重合体などがあげられ、好ましくは、PEG、PPG、(PEG)-(PPG)-(PEG)ブロック共重合体、(PPG)-(PEG)-(PPG)ブロック共重合体、より好ましくはPEGがあげられる。好ましいPEG構造は、下記式で表される:
-(CHCHO)-
(式中、nは2〜500、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、さらに好ましくは4〜10の整数を示す。)
本発明のスペーサーはポリアルキレングリコール構造を有する。該ポリアルキレングリコール構造は、エステル、アミドまたはチオエーテル結合を介して、好ましくはアミド結合を介してビオチンおよびウミホタルルシフェラーゼと各々結合するのが好ましい。
【0014】
ビオチン標識試薬としては、たとえば下記の構造のものが使用できる:
X1-Y-(CH2)m1-(OCH2CH2)m2-NH-(ビオチニル)、
(式中、X1はスルホコハク酸イミドオキシカルボニル基、コハク酸イミドオキシカルボニル基、テトラフルオロフェノキシカルボニル、シアノメチルオキシカルボニル、p-ニトロフェニルオキシカルボニル、I, Br, Clなどのアミノ基と反応してアミド(NHCO)またはアミノアルキル基を形成可能な活性エステル残基、ハロゲン原子あるいはマレイミド基を表す。YはCH2CONH,CH2CH2CONHなどの任意の連結基あるいは単結合を示す。m1は2,3または4を表し、m2は2〜500、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、さらに好ましくは4〜10の整数を示す。)
ポリアルキレングリコール基を導入可能なビオチン標識試薬としては、たとえばPierce製のEZ-Link NHS-PEO4 Biotinylation kitやEZ-Link TFP-PEO Biotinylation kitなどの各種ビオチン標識試薬が例示される。
【0015】
ビオチン標識反応は、上記のようなビオチン標識試薬とウミホタルルシフェラーゼを1〜37℃、好ましくは室温で反応させればよい。本発明の親水性ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼは、ウミホタルルシフェラーゼあたりビオチン残基が1〜10個、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜3個結合している。ビオチン残基が多く結合しすぎると、ウミホタルルシフェラーゼが失活しやすくなり、ビオチン1個あたりのウミホタルルシフェラーゼの比率が低下する。
【0016】
ウミホタルルシフェラーゼは一分子あたり約30のリジン残基を有している。ウミホタルルシフェラーゼのリジン残基とN−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)エステルとの反応を利用して、ビオチンの導入は可能である。しかし、この際に、ルシフェラーゼの失活を避ける条件を確立しなければならない。特に、リジン基は親水性残基であるが、化学修飾後のたんぱく質の表面に疎水性の部分が生成される。その疎水性の部分は酵素の3次元構造への影響があるので、親水性のスペーサーを解してビオチンを導入するのが有効である。親水性のスペーサーは、-(CH2CH2)n-で表されるアルキレン残基の炭素数が4以下、好ましくは3以下、特に2または3のものが挙げられる。アルキレン残基は、O、NH,CONH、NHCOなどのヘテロ原子を含む任意の基(特に極性の基)で連結され得る。
【0017】
II. タグ化ウミホタルルシフェラーゼのへのビオチンの結合
上記の化学修飾法によるリジン残基をビオチン化する方法以外に、タグ(ペプチド)を利用する方法が知られている。ウミホタルルシフェラーゼのC末あるいはN末に、タグを付加し、そのタグに含まれるリジンをビオチンリガーゼにより、特異的にビオチン化する。市販されているこのようなタグはgenecopoeia社Avi-tagTM(LERAPGGLNDIFEAQKIEWHE またはGLNDIFEAQKIEWHE)とInvitrogen社のBioEase TagTM(肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)オキサロ酢酸脱炭酸酵素のαサブユニットのC末端配列の一部である72残基(アミノ酸残基524-595)のペプチド)が良く知られているが、これらに限定されない。
【0018】
III. 糖鎖を介したウミホタルルシフェラーゼのビオチン化
分泌型糖タンパク質であるウミホタルルシフェラーゼを酵母、動物細胞(昆虫、哺乳類など)などで発現させると、糖鎖が結合したウミホタルルシフェラーゼが得られる。この糖鎖にNaIO4などの過ヨウ素酸塩を反応させると、糖鎖中のジオール基が酸化されて糖鎖部分にアルデヒド基が導入される。アルデヒド基と選択的に反応する基(例えばヒドラジド基(CONHNH2))を有するビオチン化試薬と反応させることにより、ウミホタルルシフェラーゼのLysの側鎖アミノ基とは反応せず、糖鎖に選択的にビオチンが導入される。アルデヒド基はビオチン化試薬のアミノ基と反応させてイミンとし、これをNaBH3CNで還元して、ビオチンを結合することもできる。
【0019】
糖鎖にビオチンを導入することで、ウミホタルルシフェラーゼの活性を保持しつつビオチン化できるので好ましい。過ヨウ素酸塩としては、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸リチウムなどが挙げられる。
【0020】
糖鎖含有ウミホタルルシフェラーゼ1gあたり100-10000当量のNaIO4などの過ヨウ素酸塩で酸化し、糖鎖に含まれるジオール基を酸化開裂する。得られたアルデヒドを利用してウミホタルルシフェラーゼの糖鎖を選択的にビオチン化することができる。糖鎖へのビオチンの導入は、例えば以下のスキーム1に従い行なうことができる。
<スキーム1>
【0021】
【化1】

【0022】
(式中、Rは糖鎖由来の基を表し、Cypridina luciferaseは、糖鎖の一部を有する)
なお、上記のビオチン化試薬のほかに、PIERCEから以下2種類ものが市販されている。
【0023】
【化2】

【0024】
上記のビオチン化試薬は単なる例示であり、ビオチンとアルデヒド基と選択的に反応する基を有する限り、どのような試薬を使用してもよい。
【0025】
本発明の親水性ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼは、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンなどと複合体を形成させ、該複合体にさらにビオチンが結合された抗体、抗原、DNA、タンパク質(たとえば受容体、アミロイド、シヌクレイン、マトリックス分解酵素、ホルモン、サイトカインなどの生体材料を認識可能なタンパク質) 、糖鎖(たとえばシアリルルイスXなど)、細胞または受容体を認識可能なリガンドなどの物質(たとえばホルモン、サイトカイン、リンホカイン、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、コルチコステロン、プロラクチン、エンドセリン、インスリンなど)とさらに結合させ、ビオチンが結合されたこれら物質を用いて免疫アッセイを含む種々のアッセイ系で使用することができる。
【0026】
本発明の親水性ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼは、ストレプトアビジンなどの多価アビジン物質と複合体を形成させ、この状態(特に緩衝溶液)で保存することができる。緩衝溶液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液、グッド緩衝液などの緩衝液(pH4.0〜8.0)中で保存することができる。親水性ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼと多価アビジン物質の複合体は、安定剤を添加することで、4℃で7〜28日程度十分に安定に保存することができる。安定剤としては、界面活性剤、アルブミン(BSA,HSAなど)、アミノ酸(グリシン、メチオニン、アルギニンなど)、糖類(ガラクトース、ラクトース、シュクロース、グルコース、フルクトース)、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリオール、ポリグリセリン、ゼラチン、コラーゲン、デキストランなどが挙げられる。
【0027】
界面活性剤としては、Tween 20(Poly(Oxyethylene)sorbitan monolaurate)、Tween 40(Poly(Oxyethylene)sorbitan monopalmitate)、Tween60(Poly(Oxyethylene)sorbitan monostearate)、Tween 80(Poly(Oxyethylene)sorbitan monooleate)などのTween類、N-Bis(3-D-gluconamidopropyl)cholamide[BIGCHAP]、N,N-Bis(3-D-gluconamidopropyl)deoxycholamide[Deoxy-BIGCHAP]、Polyoxyethylene(9)Lauryl Ether、Octanoyl-N-methylglucamide[MEGA-8]、Nonanoyl-N-methylglucamide [MEGA-9]、Decanoyl-N-methylglucamide [MEGA-10]、Polyoxyethylene(8)Octylphenyl Ether[Triton X-114]、Polyoxyethylene(9)Octylphenyl Ether[NP-40]、Polyoxyethylene(10)Octylphenyl Ether[Triton X-100]、Polyoxyethylene(20)Sorbitan Trioleate 、Polyoxyethylene(23)Lauryl Ether [Brij35]、Polyoxyethylene(20)Cethyl Ether [Brij58]、n-Dodecyl-β-D-maltopyranoside 、n-Heptyl-β-D-thioglucopyranoside 、n-Octyl-β-D-glucopyranoside、n-Octyl-β-D-thioglucopyranosideなどが挙げられる。
【0028】
前記複合体安定剤の緩衝液中の配合量は、安定剤の種類により変動するが、通常0.01〜5%程度、より好ましくは0.1〜1%程度が挙げられる。
親水性ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体の作成により、ウミホタルルシフェラーゼの発光を増感させることができる。すなわち、ストレプトアビジンの1分子あたりに、4つのビオチン分子が結合できるので、ストレプトアビジンとビオチン標識ルシフェラーゼを反応させることにより、大きな複合体を作製することができる。この複合体に複数のルシフェラーゼが含まれているので、光増感することが可能である。ストレプトアビジンとビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼとの反応は、4:1から1:4(モル比)程度で室温で15分から30分程度室温の溶液中で行われる。
【0029】
本発明の親水性ビオチン標識ルシフェラーゼまたはその複合体は、たとえば二次抗体などの種々の抗体の標識に使用することができ、従来使用されているホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識二次抗体、アルカリホスファターゼ(AP)標識二次抗体などの二次抗体に代えてそのまま使用でき、HRPまたはAPで標識された抗体を含む各種の免疫測定キットにそのまま使用することができる。
【0030】
本発明で使用する複合体の安定剤は、酵素免疫測定への影響が小さく、複合体と安定剤を含む溶液(特に緩衝液)を酵素免疫測定などのアッセイ系に用いられることができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
三種類のビオチン試薬による標識ルシフェラーゼの作製
【0032】
実施例1
PIERCE社で購入したNHS-PEG4-Biotin試薬を純水で溶かし、終濃度を1%の溶液にした。100mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl 溶液0.018ml の溶液に、1%のNHS-PEG4-Biotin溶液0.002 mlを添加した。次に、0.1mgの精製されたルシフェラーゼ(相対総発光活性3.6X108カウント)にNHS-PEG4-Biotinリン酸溶液(0.01ml)を添加し、4度で8時間ゆっくり攪拌した。反応液をGE Health社PD-10カラムに載せ、100mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl 溶液で溶出し、活性分画のみ回収し(約2mL)、未反応のNHS-PEG4-Biotinを除去した。1000倍希釈した溶出液0.01mlと、0.05mlの0.001mMルシフェリンと混合し、ルシフェラーゼの活性を測定し、相対総発光活性5.7X107カウントが得られた。
【0033】
次に、特許文献1で報告された方法に従い、PIERCE社で購入したNHS-LC-Biotin試薬を用いて、0.1mgの精製されたルシフェラーゼと4℃で8時間で反応させた。反応液をGE Health社PD-10カラムに載せ、100mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl 溶液で溶出し、活性分画のみ回収し(約2mL)、未反応のNHS-LC-Biotinを除去した。1000倍希釈した溶出液0.01mlと、0.05mlの0.001mMルシフェリンと混合し、ルシフェラーゼの活性を測定し、相対総発光活性5.8X106カウントが得られた。この活性は修飾前のルシフェラーゼの約1.6%であった。
【0034】
さらに、 PIERCE社で購入したTFP-PEO-Biotin試薬を1mg/0.85mlになるように100mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl 溶液で溶かした。次に、0.1mgの精製されたルシフェラーゼにTFP-PEO-Biotin溶液0.01mlを加え、4度で8時間で反応させた。反応液をGE Health社PD-10カラムに載せ、溶出し、活性分画のみ回収し(約2mL)、未反応のTFP-PEO-Biotinを除去した。1000倍希釈した溶出液0.01mlと、0.05mlの0.001mMルシフェリンと混合し、ルシフェラーゼの活性を測定し、相対総発光活性1.0X108 カウントが得られた。この結果、今回のルシフェラーゼのビオチン化法は特許文献1で報告された方法に比べて、凡そ17倍の活性の向上が見られた。また、標識法では精製ルシフェラーゼの約28%の発光活性が保持されている。
【0035】
実施例2:ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体の作製と保存
実施例1で作製したビオチン標識ルシフェラーゼと修飾前ルシフェラーゼの分子量を質量分析計で分析したところ、分子量は約1000マス以上のシフトが見られた。このことから、ウミホタルルシフェラーゼ1分子に当たり、平均で約2-3分子のビオチンが修飾していることがわかった。そこで、ビオチン標識ルシフェラーゼ(0.05mg/ml)0.001mlを取り、0.099mlの100mMリン酸ナトリウム/150 mM NaCl 溶液と混合した。PIERCE社のストレプトアビジン(1mg/ml)を100 mMリン酸ナトリウム/150 mM NaCl 溶液で1250倍希釈したのち、ビオチン標識ルシフェラーゼ溶液(0.1ml)に0.1mlを添加し、15分放置した。反応液0.04mlを取り、(1)0.36mlの100mMリン酸ナトリウム/150 mM NaCl溶液pH7.2、(2)0.1%BSAの100mMリン酸ナトリウム/150 mM NaCl溶液pH7.2 、(3) 0.1%Tween20の100mMリン酸ナトリウム/150 mM NaCl溶液pH7.4それぞれ三つの溶液に添加し、4度で保存し、その半減期を調べた。その結果、(1)の溶液の場合、半減期は一日に対して、そのほかの溶液の半減期は28日以上であることがわかった。(図2)
【0036】
実施例3:ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体を用いたIFNのELISA法
GEHealthのIFNのELISA assayキットに含まれる抗ヒトIFN抗体固相化96ウエルマイクロプレート、IFN標品、ビオチン標識抗ヒトIFN抗体を使用し、ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体を用いたIFNの検出を行った。IFN標品の0.5mlの0、7.8、15.6、31.2、62.5、125、250、500pg/mlのIFN溶液を作製し、4列の抗ヒトIFN抗体固相化96ウエルマイクロプレートに0.1mlを加える。1時間軽く振盪したのち、培養液を捨てた。0.15mlの20mM Tris-HCl pH 7.8,0.9% NaCl, 0.1%Tweenの液をマイクロプレートに加えて、プレートを4回洗浄した。ビオチン標識抗ヒトIFN抗体を各ウエルに0.1mlを加え、1時間軽く振盪したのち、培養液を捨てた。0.15mlの20mM Tris-HCl pH 7.8,0.9% NaCl, 0.1%Tweenの液をマイクロプレートに加えて、プレートを4回洗浄した。各ウエルに実施例3で作製した2液(0.1ml/well)を加え、30分軽く振盪した。培養液を捨て、0.15mlの20mM Tris-HCl pH 7.8,0.9% NaCl, 0.1%Tweenの液をマイクロプレートに加えて、プレートを4回洗浄した。96ウエルマイクロプレートに500nMのウミホタルルシフェリン液0.1mlを加え、発光測定を行った。その結果、IFNの希薄濃度(7.8-500 pg/ml)においても、直線性が得られた(図3)。一方、IFNのELISAassayキットに含まれる西洋ワサビペルオキシダーゼ・ストレプトアビジンの検出系は、25-1000pg/ml範囲の直線性であるので、今回作製したビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体の方がより高感度に測定できることが明らかとなった。
【0037】
実施例4
ビオチン化したウミホタルルシフェラーゼをSDS−PAGEで泳動させ、SYPRO Rubyで染色した。ビオチン化したウミホタルルシフェラーゼのバンドを切り出し、ヨードアセチルアミドでシステインを保護したのちに、トリプシンで37℃で酵素消化を行った。得られたサンプルをLC-MSおよび、MS/MSで解析した結果、以下のリジン残基(下線)が修飾を受けていることが確認された(図4)。
1.FQFQEPGTYVLGQGTKGGDWK
2.GAVLTKTR
【0038】
実施例5.ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼを用いたPGE2のELISA実験
ステップ1、PGE2のアビジン化
PGE2(分子量352.46)をEtOAcで溶かし(1mg/ml)、その溶液 0.186mlをエッペンチューブに入れた。アルゴン雰囲気下でEtOAcを揮発除去し、DMF 0.05mlを加えた。その溶液に、N-ヒドロキシサクシニミド(分子量 115.09)の10mM DMF溶液0.05mlを加えた。同様に1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボイミドHCl(分子量191.70)の10mM DMF溶液 0.05mlを加え、アルミホイルで覆って遮光し、室温で18.5時間静置した。得られたPGE2活性エステル0.004mlをエッペンチューブにとり、真空ポンプでDMFを揮発除去した。20mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5) 0.02mlを加えてよく混合した後、streptavidin溶液(1mg/1ml 100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.2)0.1mlを加え、室温で30分間反応させた。ゲル濾過用のカラムにてPGE2のアビジン複合体を精製した。
ステップ2、PGE2の競合反応ELISA
0.05mlの各PGE2標準液(10、20、40、78、156、313、625、1250pg/ml)、0.05mlの抗PGE2抗体、0.05ml のPGE2アビジン複合体をイムノプレートに分注した。遮光して4℃で一晩靜置した。翌日、反応液を捨て、それぞれのウエルに20mM Tris-HCl pH 7.8,0.9% NaCl, 0.1%Tweenの液を加え、5回洗浄した。そこに1mg/ml BSAを含む20mM Tris-HCl緩衝液pH7.8で500倍に希釈したビオチン化ルシフェラーゼ溶液を1つの穴に0.05mlずつ加え、室温で30分間静置した。30分後、反応液を捨てて、先ほどと同じように5回洗浄した。そしてのルミネッセンサーJNR(ATT社)で、イムノプレートの1つの穴につき0.001 mMルシフェリン溶液(100mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4)、300mM L-アスコルビン酸ナトリウム、20mM亜硫酸ナトリウム含む)0.1mlと反応させ、その20秒間の発光積算量(RLU)を測定した。その結果、IC50が 48pg/mlであることがわかった(図5)。
【0039】
実施例6、ウミホタルルシフェラーゼの糖鎖にビオチン化
0.1mgの精製されたルシフェラーゼ(相対総発光活性3.6X108カウント)を0.05mlの0.1M acetate buffer (pH5.2)に溶解し、同量の20mM NaIO4の0.1M acetate buffer (pH5.2)溶液と混合し、4℃で0.5時間ゆっくり攪拌した。反応液をGE Health社PD-10カラムに載せ、100mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl 溶液で溶出し、活性分画のみ回収し(約2mL)した。ミリポア社のBiomax100kで2mL液を約0.02mlまで濃縮した。10mM biocytin hydrazide (Pierce)0.1Macetate buffer pH5.2溶液0.02mlと混合し、室温で2時間反応させた。反応液をGE Health社PD-10カラムに載せ、100mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl 溶液で溶出し、活性分画のみ回収し(約2mL)した。1000倍希釈した溶出液0.01mlと、0.05mlの0.001mMルシフェリンと混合し、ルシフェラーゼの活性を測定し、相対総発光活性6.6X107カウントが得られた。
【0040】
実施例7:糖鎖がビオチン化されたウミホタルルシフェラーゼによるIFNαのELISA assay
GEHealthのIFNのELISA assayキットに含まれる抗ヒトIFN抗体固相化96ウエルマイクロプレート、IFN標品、ビオチン標識抗ヒトIFN抗体を使用し、ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体を用いたIFNの検出を行った。IFN標品の0.5mlの0、7.8、15.6、31.2、62.5、125、250 pg/mlのIFN溶液を作製し、4列の抗ヒトIFN抗体固相化96ウエルマイクロプレートに0.1mlを加える。1時間軽く振盪したのち、培養液を捨てた。0.15mlの20mM Tris-HCl (pH 7.8), 0.9% NaCl, 0.1% Tweenの液をマイクロプレートに加えて、プレートを4回洗浄した。ビオチン標識抗ヒトIFN抗体を各ウエルに0.1mlを加え、1時間軽く振盪したのち、培養液を捨てた。0.15mlの20mM Tris-HCl (pH 7.8), 0.9% NaCl, 0.1%Tweenの液をマイクロプレートに加えて、プレートを4回洗浄した。
【0041】
ウミホタルルシフェラーゼ(50ng/ml)とストレプトアビジン(30ng/ml)を同量で混合し、0.1M Tris-HCl pH 7.4 /0.1 M NaCl/0.5%BSA溶液で10倍希釈した。各ウエルに0.1mLの該希釈液を加え、室温で30分軽く振盪した。培養液を捨て、0.15mlの20mM Tris-HCl (pH 7.8), 0.9% NaCl, 0.1% Tweenの液をマイクロプレートに加えて、プレートを4回洗浄した。96ウエルマイクロプレートに1mMのウミホタルルシフェリン液0.1mlを加え、発光測定を行った。その結果、IFNの希薄濃度(7.8-250 pg/ml)においても、直線性が得られた(図6)。
【産業上の利用可能性】
【0042】
ビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼならびにビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼとストレプトアビジン複合体の安価且つ有効な製造法を確立し、安定性が優れているビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ・ストレプトアビジン複合体は酵素免疫測定領域に適用でき、ウミホタルルシフェラーゼの高感度である特徴を発揮できる道を開くことができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖鎖を有するウミホタルルシフェラーゼを過ヨウ素酸塩で処理して糖鎖部分にアルデヒド基を導入する工程と、次いでアルデヒド基と選択的に反応するビオチン化試薬と糖鎖を有するウミホタルルシフェラーゼのアルデヒド基を反応させる工程を含む、糖鎖部分をビオチン標識したウミホタルルシフェラーゼの製造法。
【請求項2】
ビオチン化ウミホタルルシフェラーゼであって、糖鎖を有するウミホタルルシフェラーゼとビオチンを糖鎖を介して連結した構造を有するビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼ。
【請求項3】
請求項2に記載のビオチン標識ウミホタルルシフェラーゼと、多価アビジン物質との複合体。
【請求項4】
多価アビジン物質が標識されている請求項3に記載の複合体。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の複合体と界面活性剤およびアルブミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の安定剤を含む前記複合体の安定化組成物。
【請求項6】
緩衝溶液の形態である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項3又は4に記載の複合体と、界面活性剤およびアルブミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の安定剤を緩衝溶液に溶解することを特徴とする、前記複合体の安定化方法。
【請求項8】
界面活性剤を0.1%-1%程度配合することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項3又は4に記載の複合体と界面活性剤およびアルブミンからなる群から選ばれる安定剤を含む緩衝溶液を包含する免疫測定用キット。
【請求項10】
ELISA測定用である請求項9に記載のキット。
【請求項11】
ウミホタルルシフェラーゼのC末あるいはN末にリジン含有タグペプチドを連結し、該タグペプチドに含まれるリジンをBiotin-protein ligase (EC 6.3.4.15)によってビオチン化する、ビオチン標識されたタグ化ウミホタルルシフェラーゼの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−85647(P2012−85647A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267682(P2011−267682)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2007−187738(P2007−187738)の分割
【原出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】