説明

ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物、青色蛍光色素および有機EL素子

【課題】発光輝度が高く、堅牢で、且つ、溶解性の良好な青色蛍光性色素を与える新規化合物の提供、並びに該青色蛍光色素を用いる有機EL素子の提供。
【解決手段】一般式(1):


で表される新規なビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物、該化合物からなる青色蛍光色素、該化合物を含んでなる有機EL素子。本発明のEL素子は、表示用照明、表示装置などに利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物、該化合物からなる青色蛍光色素、および該化合物を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子(以後、「有機EL素子」と称する。)に関する。
本発明の化合物は機能性色素、特に青色蛍光性色素として有用である。
本発明の有機EL素子は、表示用照明、表示装置などに利用できる。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は携帯電話やデジタルカメラ等の小型ディスプレイとして実用化され、将来のフレキシブルディスプレイ実現に向けて大きな期待が寄せられている。有機EL素子では本来絶縁体である有機層に高電場を印加することによって高密度の電荷が有機薄膜中に注入されて動作する。外部から注入された電子とホールは薄膜中を移動し、蛍光やりん光性有機分子上で、ある確率で再結合し、この再結合のエネルギーが有機分子を励起させ、光エネルギーを放出する。この光エネルギー放出は蛍光やりん光現象と同じであり、エレクトロルミネッセンス(EL)色は蛍光やりん光(フォトルミネッセンス、PL)の色と一致する。
この有機EL素子中には高密度の電荷と励起子とが共存した状態となり、従来の有機材料を用いた素子では考えられない非常に過酷な条件で使用される。そのため、有機EL素子に利用される材料には化学的・電気的耐久性が求められる。現在、実用化されている有機EL素子は、キャリア輸送層や発光層を蒸着法によって積層して製膜されることから、使用されるキャリア輸送材や発光材料には、優れたキャリア輸送能や発光効率の他に、製膜するための昇華性も必要となる。さらに、大画面の有機EL素子を実用化するためには、高価な大型の真空蒸着装置が必要となり、有機EL素子大画面の実用化の大きな妨げとなっている。
【0003】
一方、容易に大面積の薄膜形成が可能な色素分散型高分子有機EL素子に関する研究は、使用できる発光色素が限られていたことから、報告例は少ない。高分子系有機EL素子は、低分子系に比べて物理的強度が高く、塗布によって簡便に素子を製膜できる利点もあり、製造コストの低減化が期待できる。とくに、色素分散型高分子有機EL素子は発光色素を均一分散したものであり低分子系キャリア輸送材料やドーパントなどを用いることができるのも一つの特徴である。また、発光色に関しても分散する色素の自由度が高いため、青から赤までの各色および白色まで実現できる。さらに、蒸着法により製膜される低分子型EL素子では耐久性に悪影響を与えるとされる結晶化の問題や、高精細大型パネルの製造プロセスの難しさなどは、高分子分散溶液を用いたインクジェット法、ロールツーロール法等の印刷プロセスを採用することによって克服できる利点がある。
【0004】
色素分散型高分子有機EL素子の課題として、高輝度高効率の白色有機EL素子の開発が挙げられる。白色系有機EL素子は、モノカラー表示、バックライトなどの照明としての用途の他、カラーフィルタを表示装置に装着し、カラー表示もできる。
白色系の有機EL素子として、例えば米国特許第5503910号明細書には、発光層を青色発光層と緑色発光層の積層体とし、これに赤色計蛍光性化合物を添加し素子が開示され、米国特許第5683828号明細書には、青緑発光層に赤色系蛍光性化合物であるホウ素系錯体を添加した発光媒体を有する素子が開示され特開平10−308278号公報には、青緑色発光層に赤色系蛍光性化合物であるベンゾチオキサンテン誘導体を添加した発光媒体を保有する素子が開示されている。また、特許第4255610号公報には、スチリル誘導体又はアントラセン誘導体からなる青色系発光材料を含有する青色系発光層と少なくとも1つのフルオランテン骨格又はペンタセン骨格を含有する黄色系蛍光性化合物を含有する層とを含む白色系有機EL素子が開示されている。しかしながら、これらの素子は、発光効率及び寿命ともに実用性を十分満たすものではない。
【0005】
一方、優れた性能の白色発光素子を得るための1つのポイントは、発光効率、輝度、及び寿命共に優れた性能を有する青色系発光色素の開発にある。他の色の発光色素に比べて、これら色素の基本性能が青色系発光色素では劣っていた。青色系発光色素は、その補色の黄色系発光色素と組み合わせて白色発光素子とする二色系白色発光素子、あるいは、青色発光色素と緑色発光色素と赤色発光色素とを組み合わせて白色発光素子とするRGB三色系白色発光素子として用いることが可能である。有機EL素子用の青色蛍光色素としては、例えば、WO2005/033087号は、ヘテロ環置換フェニルアセチレン系化合物を開示しているが、その有機EL素子としての発光効率、輝度、及び寿命等については、更なる改良が待たれている。
また、スピンコート法によれば、容易に大面積の発光面を得ることができるが、高輝度、高発光効率を得るためには、青色蛍光色素の溶媒分散性の改良も問題点の1つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5503910号
【特許文献2】米国特許第5683828号
【特許文献3】特開平10−308278号公報
【特許文献4】特許第4255610号
【特許文献5】WO2005/033087号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点を改良することにあり、発光輝度が高く、堅牢で、且つ、溶解性の良好な青色蛍光性色素を与える新規化合物の提供、並びに該青色蛍光色素を用いる有機EL素子の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
一般式(1):
【0009】
【化1】

[式中、R〜R20のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、炭素数1〜10のアルキル基を有する1級または2級アミノ基であり、Lは、2価の有機基であって、一般式(TFD−000〜TFD−004):
【0010】
【化2】

[式中、R20〜R40のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基であり、R41およびR42のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]である。]
で表されるビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物を提供する。
【0011】
本発明は、前記ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物からなる有機EL用蛍光色素としての青色蛍光性色素を提供する。
また、本発明は、一対の電極と、該電極間に存在する発光性材料を含む発光層とを有する有機EL素子であって、該発光性材料が前記ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物を含む、有機EL素子を提供する。
また、本発明は、ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物を発光性材料に用いて溶液塗布法により発光層を形成することを特徴とする、有機EL素子の製造方法を提供する。
【0012】
更に、本発明は、前記ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と、補色関係にある発光色素とからなる、二色系白色発光性材料を提供する。即ち、青色蛍光色素としての(アミノビフェニルエチニル)系化合物と、補色関係にある黄色発光色素とからなる、二色系白色発光性材料を提供する。白色発光は、CIE色度座標におけるx値及びy値が共に0.31付近にあることが理想的であるが、ある程度の幅は許容され得る。白色発光を得るための青色蛍光色素と黄色蛍光色素との適切な混合比率は、EL素子の発光層の構成(正孔輸送ホスト材料や電子輸送材料の種類など)に依存して変化し得るが、補色関係にある二色混合蛍光色素の発光色座標は青色発光色素と黄色発光色素の色度座標を結ぶ線上を移動するので、発光色座標がx=0.26〜0.38、y=0.26〜0.38になるように色素の混合比率を決定する。
【0013】
また、本発明は、前記ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と緑色発光色素と赤色発光色素とからなる、三色系白色発光性材料を提供する。即ち、青色蛍光色素としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と緑色発光色素と赤色発光色素とからなる、三色系白色発光性材料を提供する。三色系白色発光の場合も上記の二色系白色発光と同様に、青、緑、赤、各蛍光色素の適切な混合比率は、EL素子の発光層の構成(正孔輸送ホスト材料や電子輸送材料の種類など)に依存して変化し得るが、三色系の場合は蛍光スペクトルと吸収スペクトルが重なる部分があり、青色から緑色、緑から赤色へエネルギー移動が生じるのでエネルギー移動を考慮して色素組成を決める。例えば、前記ビス(アミノビフェニルエチニル)系の三色混合の場合は青色:緑色:赤色=1:0.002〜0.10:0.002〜0.10、好ましくは、1:0.01〜0.04:0.01〜0.04の範囲である。
【0014】
そして、本発明は、一対の電極と、該電極間に存在する発光性材料を含む発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光性材料は前記二色系もしくは三色系の白色発光性材料を含む、有機EL素子を提供する。
【0015】
また、本発明は前記白色発光性材料を用いて溶液塗布法により発光層を形成することを特徴とする、白色発光有機EL素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、高輝度で青色発光(蛍光)し、更に堅牢性、溶解性などに優れている。本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、蛍光量子収率が高い。本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、溶媒に溶解し易いので、スピンコートなどによって容易に薄膜を形成することができる。本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、高分子材料からなるホスト(例えば、ポリビニルカルバゾール)に分散することができる。ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は低濃度でも、高発光である。
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、青色蛍光色素として、一対の電極と該電極間に存在する発光層を形成する発光性材料として用いることにより、高輝度、高堅牢性を有する青色発光有機EL素子を提供する。
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物を青色蛍光色素とし、補色の黄色発光色素と組合わせることによって二色系白色発光材料として、あるいは、緑色発光色素および赤色発光色素と組合わせることによって三色系白色発光性材料として、それらを一対の電極間に存在する発光層を形成する発光性材料として用いることにより、高輝度、高堅牢性を有する白色発光有機EL素子を提供する。
【0017】
有機EL素子では、正極および負極からそれぞれ注入された正孔と電子が有機発光層で再結合し、その電荷再結合エネルギーによって励起された発光性有機化合物が基底状態へ失活する際に放出するエネルギーを発光として取り出す。発光材料をEL素子に応用する場合、発光量子収率は極めて高く、1に近いものが望ましい。本願での発光色素はいずれも0.8を超える高い発光量子収率を有しており、有機EL用発光材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例7で製造した有機EL素子の構造を示す概略図である。
【図2】図2は、実施例7および参考例1で製造した単色系有機EL素子の色度座標を表す。
【図3】図3は、実施例8で製造した二色系有機EL素子の白色発光(EL)スペクトルを表す。
【図4】図4は、表6の二色系および三色系有機EL素子の白色発光(EL)スペクトルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、一般式(1):
【0020】
【化3】

で表される。
式中、Lは、2価の有機基であって、両サイドのアミノビフェニルエチニル基を連結するリンカーの役目を果たし、R〜R20のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、炭素数1〜10のアルキル基を有する1級または2級アミノ基である。
炭素数1〜10のアルキル基は、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換されてもよい。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基およびデシル基等の直鎖もしくは分岐のアルキル基、ならびに、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子に置換されたフルオロアルキル基が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基が挙げられ、より好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素が挙げられるが、好ましくは、フッ素、塩素、より好ましくは、フッ素が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキルオキシ基としては、上記アルキル基からのアルキルオキシ基が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基を有する1級または2級アミノ基としては、例えば、上記アルキル基で1または2置換した1級または2級アミノ基が挙げられる。その際、置換アルキル基は同一でも異なっても良い。1級または2級アミノ基として、好ましくは、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、より好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が挙げられる。
【0021】
上記R〜R20は、好ましくは水素原子、アルキル基、アルキルオキシ基である。即ち、本発明は、好ましくは、
一般式(1):
【0022】
【化4】

[式中、R〜R20のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基であり、式中、Lは前記と同義である。]
で表される化合物であってよい。
【0023】
Lは、2価の有機基であって、両サイドのアミノビフェニルエチニル基を連結するリンカーの役目を果たし、一般式(TFD−000〜TFD−004):
【0024】
【化5】

で表される芳香族炭化水素基であり、式中、R21〜R40のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基であり、R41およびR42のそれぞれは、同一または異なって、直鎖または分岐の炭素数1〜12のアルキル基である。
【0025】
炭素数1〜12のアルキル基は、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換されてもよい。炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基およびドデシル基等の直鎖もしくは分岐のアルキル基、ならびにアルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子に置換されたフルオロアルキル基が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基およびトリフルオロエチル基が挙げられ、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリフルオロメチル基およびトリフルオロエチル基が挙げられる。
炭素数1〜12のアルキルオキシ基としては、上記アルキル基からのアルキルオキシ基が挙げられる。
【0026】
ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物の具体例はとしては、
一般式(1−1):
【0027】
【化6】

[式中、Lは前記と同義である。]
で表される化合物が挙げられる。
【0028】
具体的には、例えば、
一般式(1−2):
【0029】
【化7】

[式中、R43およびR44のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]
で表される化合物、もしくは
一般式(1−3):
【0030】
【化8】

[式中、R45およびR46のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]
で表される化合物、もしくは
一般式(1−4):
【0031】
【化9】

[式中、R47およびR48のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]、もしくは
一般式(1−5):
【0032】
【化10】

[式中、R48(1)およびR48(2)のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]
で表される化合物が挙げられる。
【0033】
ここで、R43〜R48ならびにR48(1)およびR48(2)は炭素数1〜12のアルキル基を表す。炭素数1〜12のアルキル基は、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換されてもよい。炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の、直鎖または分岐のアルキル基およびアルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子に置換されたフルオロアルキル基が挙げられるが、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、トリフルオロメチル基およびトリフルオロエチル基が挙げられる。
【0034】
より具体的には、例えば、
式(TFD−052):
【0035】
【化11】

もしくは
式(TFD−070):
【0036】
【化12】

もしくは
式(TFD−072):
【0037】
【化13】

もしくは
式(TFD−068):
【0038】
【化14】

もしくは
式(TFD−095):
【0039】
【化15】

で表されるビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物が挙げられる。
上記例示化合物中のLに相当するリンカー部に置換しているメトキシ基(-OCH3)、トリフルオロメチル基、ブトキシ基(−OCH2CH2CH2CH3)およびn-C8H17基は、ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物の溶媒溶解性ないしは分散性を高めていると推察される。
【0040】
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、通常の方法により製造することができる。例えば、リンカー部に相当する芳香族炭化水素の両末端(又は、パラ位)にビスエチニル基ないしはビスヨード基を有する化合物と、エチニル基置換ないしヨード置換アミノビフェニル基との間の、例えば、パラジウム触媒によるカップリング反応によって合成することが出来る。以下に、反応式を例示する:
【0041】
【化16】

【0042】
【化17】

【0043】
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、蛍光発光波長がλem=420〜470nmの範囲にあり、青色蛍光を発する。
【0044】
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、色素、特に青色蛍光色素として使用できる。
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、溶媒、特に有機溶媒に容易に溶解するので、溶液塗布(特に、スピンコート)できる。ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物の溶液を塗布(特に、スピンコート)した後に溶媒を除去することによってビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物層を得ることができる。
【0045】
前述のとおり、本発明は、一対の電極と、該電極間に存在する発光性材料を含む発光層とを有する有機EL素子であって、該発光性材料はビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。また、本発明は、前記有機EL素子の製造方法であって、本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物を発光性材料に用いて溶液塗布法(特に、スピンコート法)により発光層を形成することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供する。
【0046】
本発明はまた、本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と、補色関係にある発光色素とからなる、二色系白色発光性材料を提供する。具体的には、例えば、
式(TFD−052):
【0047】
【化18】

もしくは
式(TFD−070):
【0048】
【化19】

もしくは
式(TFD−072):
【0049】
【化20】

もしくは
式(TFD−068):
【0050】
【化21】

もしくは
式(TFD−095):
【0051】
【化22】

で表される青色発光(蛍光)色素としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と、補色関係にある発光色素とからなる白色発光性材料が挙げられる。
【0052】
本発明の上記ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物は、蛍光発光波長がλem=420〜470nm付近にある青色蛍光色素であるので、それと補色関係にある発光色素は、発光波長がλem=560〜590nm付近にある黄色発光色素が適切である。
【0053】
具体的な補色関係にある組合せから成る白色発光性材料組合せを例示すれば、
青色発光(蛍光)色素としての
式(TFD−052):
【0054】
【化23】

もしくは
式(TFD−070):
【0055】
【化24】

もしくは
式(TFD−072):
【0056】
【化25】

もしくは
式(TFD−068):
【0057】
【化26】

もしくは
式(TFD−095):
【0058】
【化27】

で表される化合物と、
黄色色素としての式(TFD−064):
【0059】
【化28】

で表される蛍光発光色素とからなる白色発光性材料が挙げられる。
これらの中でより好ましい組合せを例示すれば:
式(TFD−052):
【0060】
【化29】

で表される青色蛍光色素のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物(λem=457nm)と、
式(TFD−064):
【0061】
【化30】

で表される黄色蛍光色素(λem=573nm)とからなる二色系白色発光性材料が挙げられる。
また、式(TFD−072):
【0062】
【化31】

で表される青色蛍光色素のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物(λem=447nm)と、
式(TFD−064):
【0063】
【化32】

で表される黄色蛍光色素(λem=573nm)とからなる二色系白色発光性材料が挙げられる。
【0064】
更なる具体的な補色関係にある組合せから成る白色発光性材料組合せを例示すれば、
青色発光色素としての
式(TFD−052):
【0065】
【化33】

もしくは
式(TFD−070):
【0066】
【化34】

もしくは
式(TFD−072):
【0067】
【化35】

もしくは
式(TFD−068):
【0068】
【化36】

もしくは
式(TFD−095):
【0069】
【化37】

で表される化合物と、
黄色発光色素としての
式(TFD−079):
【0070】
【化38】

で表される蛍光色素とから成る白色発光性材料が挙げられる。
【0071】
本発明はまた、本発明の青色蛍光色素(λem=420〜470nm付近)としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と緑色蛍光色素(λem=500〜565nm付近)と赤色蛍光色素(λem=590〜740nm付近)とからなる、三色系白色発光性材料を提供する。
具体的には、例えば、青色発光色素としての
式(TFD−052):
【0072】
【化39】

もしくは
式(TFD−070):
【0073】
【化40】

もしくは
式(TFD−072):
【0074】
【化41】

もしくは
式(TFD−068):
【0075】
【化42】

式(TFD−095):
【0076】
【化43】

で表されるビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と、緑色発光色素と赤色発光色素とからなる三色系白色発光性材料が挙げられる。
【0077】
具体的には、青色発光色素化合物としての
式(TFD−052):
【0078】
【化44】

もしくは
式(TFD−070):
【0079】
【化45】

もしくは
式(TFD−072):
【0080】
【化46】

もしくは
式(TFD−068):
【0081】
【化47】

もしくは
式(TFD−095):
【0082】
【化48】

で表される化合物と、一般式(2):
【0083】
【化49】

[式中、R49は、水素原子、または置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基である。]
で表される緑色発光色素と、一般式(3):
【0084】
【化50】

[式中、R50およびR51のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、または置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基である。]
で表される赤色発光色素とから成る白色発光性材料が挙げられる。
【0085】
ここで、一般式(2)および(3)中の置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基は、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換されてもよく、メチレン鎖の一部が酸素原子で置換されてもよい。炭素数1〜16のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基およびヘキサデシル基等の直鎖もしくは分岐のアルキル基、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子に置換されたフルオロアルキル基、ならびに、メチレン鎖の一部が酸素原子で置換されたエーテル結合含有アルキル基が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基およびドデシル基が挙げられ、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基およびドデシル基が挙げられる。
【0086】
より具体的には、例えば、
式(TFD−072):
【0087】
【化51】

で表される青色蛍光色素としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物(λem=447nm)と、
式(TFD−005):
【0088】
【化52】

で表される緑色蛍光色素(λem=512nm)と、
式(TFD−006):
【0089】
【化53】

で表される赤色蛍光色素(λem=605nm)とからなる三色系白色発光性材料が挙げられる。
また、式(TFD−072):
【0090】
【化54】

で表される青色蛍光色素としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物(λem=447nm)と、
式(TFD−082):
【0091】
【化55】

で表される緑色蛍光色素(λem=509nm)と、
式(TFD−080):
【0092】
【化56】

で表される赤色蛍光色素(λem=607nm)とからなる三色系白色発光性材料が挙げられる。
また、式(TFD−070):
【0093】
【化57】

で表される青色蛍光色素としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物(λem=449nm)と、
式(TFD−082):
【0094】
【化58】

で表される緑色蛍光色素(λem=509nm)と、
式(TFD−080):
【0095】
【化59】

で表される赤色蛍光色素(λem=607nm)とからなる三色系白色発光性材料が挙げられる。
【0096】
本発明の更なる三色系白色発光性材料としては、
本願発明の一般式(1):
【0097】
【化60】

[式中、R〜R20のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基であり、式中、Lは前記と同義である。]
で表される青色発光色素化合物と、一般式(2):
【0098】
【化61】

[式中、R49は、水素原子、または置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基である。]
で表される緑色発光色素と、
赤色りん光色素とからなる三色系白色発光性材料が挙げられる。
【0099】
本発明の更なる三色系白色発光性材料としては、
本願発明の一般式(1):
【0100】
【化62】

[式中、R〜R20のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基であり、式中、Lは前記と同義である。]
で表される青色発光色素化合物
と、一般式(2):
【0101】
【化63】

[式中、R49は、水素原子、または置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基である。]
で表される緑色発光色素と、
式(Ir−1):
【0102】
【化64】

もしくは
式(Ir−2):
【0103】
【化65】

もしくは
式(Ir−3):
【0104】
【化66】

で表される赤色りん光色素との組合せからなる白色発光性材料が挙げられる。
【0105】
具体的な組合せ例を挙げると:
式(TFD−052):
【0106】
【化67】

もしくは
式(TFD−070):
【0107】
【化68】

もしくは
式(TFD−072):
【0108】
【化69】

もしくは
式(TFD−068):
【0109】
【化70】

もしくは
式(TFD−095):
【0110】
【化71】

で表される青色蛍光化合物と、
式(TFD−082):
【0111】
【化72】

で表される緑色蛍光色素(λem=509nm)と、
式(Ir−1):
【0112】
【化73】

もしくは
式(Ir−2):
【0113】
【化74】

もしくは
式(Ir−3):
【0114】
【化75】

で表される赤色りん光色素との組合せから成る白色発光性材料が挙げられる。
【0115】
ここで、一般式(2)中の置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基は、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換されてもよく、メチレン鎖の一部が酸素原子で置換されてもよい。炭素数1〜16のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基およびヘキサデシル基等の直鎖もしくは分岐のアルキル基、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子に置換されたフルオロアルキル基、ならびに、メチレン鎖の一部が酸素原子で置換されたエーテル結合含有アルキル基が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基およびドデシル基が挙げられ、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基およびドデシル基が挙げられる。
【0116】
これら二色系または三色系白色発光性材料において、所望の白色発光を得るためには、青色蛍光色素と黄色発光色素または青色蛍光色素、緑色発光色素および赤色発光色素との混合比を適宜、調節する必要がある。その様にして調製された混合溶液を基板上に塗布(または、キャスト)後、溶媒を乾燥して塗膜を得る。直流電圧を印加して塗膜からのEL発光を分析する。白色発光は、CIE色度座標のx値及びy値が共に0.31付近にあることが理想的であるが、実用上はある程度の幅は許容され得る。
【0117】
二色系白色発光材料を得るための適切な混合比の例を挙げるならば、例えば、青色蛍光色素としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物が式TFD−052であって、黄色蛍光色素が式TFD−064の場合、EL素子の発光層の構成が正孔輸送ホスト材料としてのポリ(9−ビニルカルバゾール:PVCz)が1に対して電子輸送材料としての2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)が0.4の比率の素子構成において、TFD−052の配合比率は0.02〜0.08で発光効率が高く、TFD−052の配合比率が0.05の場合のTFD−064の配合比率は0.001〜0.01、好ましくは0.003〜0.08、より好ましくは0.004〜0.006が良好な白色発光を得ることができ、例えば、TFD−052が0.05、TFD−064が0.004の配合比率の場合に、CIE色度座標で(x,y)値が(0.28、0.32)となり、白色発光を得ることができる。
【0118】
同様に、二色系で、例えば、青色蛍光色素としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物が式TFD−072であって、黄色蛍光色素が式TFD−064の場合、TFD−072の配合比率は0.1〜0.18が適しており、TFD−072が0.12の場合の、TFD−064配合比率は0.003〜0.0010が好ましく、より好ましくは0.005〜0.008が良好な白色発光を得ることができ、TFD−072が0.12、TFD−064が0.06の配合比率の場合に、CIE色度座標(x,y)値が(0.29、0.32)となり、白色発光を得ることができる。
【0119】
同様に、三色系で、例えば、青色蛍光色素としてのビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物が式TFD−072であり、緑色蛍光色素が式TFD−005であって、赤色蛍光色素がTFD−006である場合、TFD−072が0.12、TFD−005が0.003、TFD−006が0.004の混合比率の場合に、CIE色度座標(x,y)値が(0.36、0.36)、平均演色評価数(Ra)が92となり、演色性に優れた白色発光を得ることができる。
【0120】
本発明の有機EL素子の作成における発光層の作成は、好ましくは、発色材料を溶媒に溶解させて基板上に塗布、キャストする方法、より好ましくは、スピンコート法による。
溶媒の例としては、脂肪族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン;脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン;石油系溶媒、例えば石油エーテル、石油ベンジン;ハロゲン化炭化水素、例えば四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン;エーテル、例えばエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン;ケトン、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソフォロン;エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル;アミド、例えばジメチルフォルムアミド;アセトニトリル;ジメチルスルフォキシド;ハロゲン化ベンゼン、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン;アルコール、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノールが挙げられる。
【0121】
スピンコートによって、有機EL素子の有機層(例えば、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)を形成することができる。例えば、陰極、陽極、ホール(電子)輸送層、ホール(電子)注入層などの基材の上に有機層をスピンコートする。スピンコート操作において、100〜10000rpm、例えば500〜4000rpmで0.1〜30分間、例えば0.5〜3分間、基材を回転させることが好ましい。スピンコートする際に、溶液における固体(ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料)の濃度は、0.0001〜10重量%、例えば、0.001〜1重量%であることが好ましい。スピンコートによって、厚さ5〜500nm、例えば25〜250nm(乾燥後の膜厚)の膜を形成する。スピンコートは、真空蒸着などに比較して、物質が蒸着時に飛散するという物質の無駄が生じることがなく、複雑な工程を必要とせず、製造コストが低く、簡便に行えるという利点がある。
溶媒の除去は、0.00001〜1気圧で温度10〜200℃で溶媒を乾燥することによって行える。
【0122】
対向する陽極と陰極の間に有機層を有する有機EL素子において、該有機層がビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料を含有する。
有機層の例は、発光層、ホール輸送層、電子輸送層、ホールブロック層、電子ブロック層、ホール注入層、電子注入層である。ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料を含有する有機層は、発光層であることが好ましい。
本発明において、有機EL素子は、有機層に加えて、基板、陽極、陰極を有する。
【0123】
EL素子の代表的な層構成を以下に例示する。
(i)陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ii)陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(iii)陽極/ホール注入輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/ホール注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(v)陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/陰極
(vi)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vii)陽極/ホール注入輸送層/発光層/陰極
(viii)陽極/発光層/電子注入輸送層/陰極
(ix)陽極/発光層/陰極
層構成において、ホールブロック層または電子ブロック層またはこれら両方が陽極と陰極との間に存在してよい。
【0124】
基板の上に陽極を形成してもよいし、あるいは基板の上に陰極を形成してもよい。
基板は、特に限定されないが、ジルコニア安定化イットリウム、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子材料であってよい。基板は、これらの2種以上の材料を組み合わせた複合シートであってもよい。さらに、基板に、例えば、カラーフィルタ膜、色変換膜、誘電体反射膜を組み合わせて、発光色をコントロールすることもできる。青色あるいは青緑色の発光素子に青色カラーフィルタと緑色と赤色の色変換膜を組み合わせることによって赤・緑・青の三原色フルカラー表示を実現できる。三色系の白色発光基盤は発光スペクトルが赤・緑・青の三原色成分を含むので液晶ディスプレイのバックライトに使用することができる。
【0125】
陽極に使用する物質としては、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの2種以上が挙げられる。具体例としては金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)、ポリチオフェン、ポリピロール等が挙げられる。陽極に使用する物質は、単独で使用しても良く、あるいは2種以上併用しても良い。陽極に使用する物質は、隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。
【0126】
陽極は、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の方法により、基板の上に形成することができる。また、陽極は一層構造であっても良く、あるいは多層構造であっても良い。陽極のシート電気抵抗は、数百Ω/□以下、より好ましくは、1〜50Ω/□程度であることが好ましい。陽極の厚さは、一般に、5〜1000nm程度、より好ましくは、10〜500nm程度である。
【0127】
陰極に使用する物質としては金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの2種以上が挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)又はフッ化アルカリ金属、ナフトール等の有機塩、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)又はフッ化アルカリ土類金属、金、銀、白金、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、又はそれらの2種以上を併用する合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属が挙げられる。陰極に使用する物質は、電子注入輸送の機能を有する層、陰極と隣接する層との密着性や、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。
【0128】
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法等の方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、2種以上の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能である。また、あらかじめ調製した合金を蒸着させても良い。陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下がより好ましい。
陰極の厚さは、使用する物質により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、さらに好ましくは100nm〜1μmである。
【0129】
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料を、有機層、特に、ホール注入/ホール輸送/発光/電子輸送/電子注入の少なくとも1つの機能を有する層において使用する。
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料は、ホール注入輸送機能、発光機能および電子注入輸送機能のいずれか1つを有する。
【0130】
ホール注入輸送機能を持つ化合物を、ホール注入層、ホール輸送層、ホール注入輸送層等のホール注入輸送機能を有する層において使用する。
ホール注入輸送機能を有する層において、本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料のみ、他の化合物のみ、あるいはビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料と他の化合物との組合せを使用する。
ホール注入輸送機能を有する他の化合物の具体例としては、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。ホール注入輸送機能を有する他の化合物は、単独で使用しても良く、あるいは2種以上併用しても良い。
【0131】
発光機能を有する化合物を、発光層において使用する。発光層において、本発明の青色蛍光色素であるビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と黄色発光性材料あるいはビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と緑色発光材料および赤色発光材料もしくは他の化合物との組合せを使用する。
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくはビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と黄色発光あるいは緑色発光と赤色発光を組み合わせた白色発光性材料以外の発光機能を有する化合物としては、例えば、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、多環芳香族化合物、トリアリールアミン誘導体、エナミン構造を有する化合物、有機金属錯体、スチルベン誘導体、ピラン誘導体、オキサゾン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピラジン誘導体、ケイ皮酸エステル誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフェニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリビフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリターフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリナフチレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等が挙げられる。これら発光機能を有する化合物は単独で使用しても良く、あるいは2種以上併用しても良い。
【0132】
上記の多環芳香族化合物としては、例えば、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカシクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,4−ビス(9'−エチニルアントラセニル)ベンゼン、4,4’−ビス(9"−エチニルアントラセニル)ビフェニル等が挙げられる。
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくはビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と黄色発光材料あるいは緑色発光材料と赤色発光材料を組み合わせた白色発光性材料を含有している有機層は、発光層であることが好ましい。
【0133】
電子注入輸送機能を有する化合物を、電子注入層、電子輸送層、電子注入輸送層等の電子注入輸送機能を有する層において使用する。
電子注入輸送機能を有する層において、本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料のみ、他の化合物のみ、あるいはビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくはビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と黄色蛍光発光材料あるいは緑色発光材料と赤色発光材料を組み合わせた白色発光性材料と他の化合物との組合せを使用する。
電子注入輸送機能を有する他の化合物としては、例えば、有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体等が挙げられる。
【0134】
本発明の有機EL素子においては、有機層がビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料を含有している。他の化合物(例えば、発光機能またはホール(電子)注入輸送機能を有する他の化合物)を併用する場合、有機層中に占めるビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料の割合は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.1〜99.9重量%、例えば0.1〜99重量%、特に0.2〜30重量%、特別に0.5〜20重量%である。
有機層においては、本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくは白色発光性材料以外の、上記のような(発光機能またはホール(電子)注入輸送機能を有する)他の化合物を使用してよい。他の化合物の量は、有機層に対して、0.01〜99.9重量%、例えば0.1〜99.9重量%、特に1〜99.9重量%であってよい。
【0135】
溶液塗布法により有機層(特に、発光層)を形成する場合、発光機能またはホール(電子)注入輸送機能を有する化合物のみ、あるいはこれら化合物とバインダーポリマーとを溶媒に溶解又は分散させて塗布液とする。バインダーポリマーとしては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルフォン、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリフェニレンエチニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等の高分子化合物が挙げられる。バインダーポリマーは、単独で使用しても良く、あるいは2種以上併用しても良い。バインダーポリマーの量は、有機層の1〜99重量%、例えば10〜80重量%であってよい。
【0136】
有機層(例えば、ホール注入輸送機能を有する層、発光層、電子注入輸送機能を有する層)の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロゼット法、インクジェット法等)により薄膜を形成することにより作製することができる。本発明においては、有機層の形成は、スピンコート法を用いることが好ましい。
本発明のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物もしくはビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と黄色発光材料あるいは緑色発光材料と赤色発光材料を組み合わせた白色発光性材料は、溶剤に対して高い溶解性を有しており、均一な分散状態で溶剤に良好に溶解するので、溶液塗布(特に、スピンコート)により、良好な有機薄膜層が得られる。
各有機層の厚さは、好ましくは5〜500nm、例えば25〜250nm、特に50〜150nmであってよい。
【0137】
有機EL素子において、保護液、保護層(封止層)を設けても良い。これにより、有機EL素子が酸素や水分等と接触することが防止される。保護液は、例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコーンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油等の不活性液体であってよい。保護層は、例えば、有機高分子材料(例えば、光硬化性樹脂)、無機材料であってよい。
有機EL素子に印加する電圧は、例えば、0.1〜50Vである。
【0138】
本発明の有機EL素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
【実施例】
【0139】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に制約されるものではない。
【0140】
合成例1
[前駆体の合成]
【0141】
【化76】

【0142】
N−(4’-ヨード−4−ビフェニル)−N−(3−トリル)フェニルアミン(以下、「ヨウ素体」と略す。)2.2g、トリメチルシリルアセチレン0.56g、ヨウ化銅0.07g、触媒のPdCl(PPhを0.14gおよびトリエチルアミン25mlを混合し、窒素雰囲気下、室温で4時間撹拌して反応した。反応液の分液処理を行ったのち、粗生成物をカラムクロマトグラフィ精製して、反応生成物2.5gを得た。得られた反応生成物2.5g、炭酸カリウム1gおよびメタノール35mlを混合し、室温で7時間撹拌した。反応液を分液処理したのち、カラムクロマトグラフィ精製してN−(4’-エチニル−4−ビフェニル)−N−(3−トリル)フェニルアミン(以下、「アセチレン体」と略す。)を得た。IR、1H−NMRおよび13C−NMR分析により、アセチレン体の生成を確認した。
【0143】
実施例1
[化合物TFD−070の合成]
【0144】
【化77】

合成例1で製造したアセチレン体とジヨード化合物とを用い、次式:
【0145】
【化78】

に従ってカップリング反応を以下の様に行い、化合物TFD−070を合成した。
【0146】
アセチレン体0.16g、1,4−ジヨード−2,5−ジオクチルベンゼン0.12g、触媒のヨウ化銅4mg、触媒のPdCl(PPhを8mgおよびトリエチルアミン5mlを混合し、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌して反応した。反応液を水に排出しクロロホルムで抽出した。濃縮して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ精製してTFD−070を0.17g得た。下記の分析データより、得られた生成物はTFD−070であることを確認した。
分析データの説明:プロトンNMR(H−NMR)は、JEOL社製λ-300核磁気共鳴装置を用い、重水素化p−ジオキサン(C4D8O2)溶媒中、300MHzで測定した。質量分析は、島津製作所社製AXIMA型MALDI−TOFMS分析装置、または、島津製作所社製LCMS-2010EV液体クロマトグラフ質量分析計(LC−Mass)を用いて測定した。IRは、島津製作所社製IR-Prestage-21型赤外分光計を用いて測定した。紫外・可視光(UV/Vis)電子吸収スペクトルは、日本分光社製のV−560型電子分光計を用い、クロロホルム溶媒中で測定した。
TFD−070:1H-NMR (300 MHz, C4D8O2) δ: 0.87 (t, 6H), 1.25-1.51 (m, 20H), 1.70-1.82 (m, 4H), 2.25 (s, 6H), 2.87 (t, 4H), 6.85-7.68 (m, 36H) ; TOF-MS (m/z) 1016 (M+);IR: νmax /cm-1 3032, 2922, 1585. ; UV/Vis(CHCl3): λmax(ε) 378nm(101000).
【0147】
実施例2
[化合物TFD−072の合成]
【0148】
【化79】

合成例1で製造したアセチレン体とジヨード化合物とを用い、次式:
【0149】
【化80】

に従ってカップリング反応を以下の様に行い、化合物TFD−072を合成した。
アセチレン体0.16g、2,7−ジヨード−9,9−ジオクチルフルオレン0.14g、触媒のヨウ化銅4mg、触媒のPdCl(PPhを8mgおよびトリエチルアミン5mlを混合し、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌して反応した。反応液を水に排出しクロロホルムで抽出した。濃縮して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフ精製して化合物TFD−072を0.19g得た。下記の分析データより、得られた生成物はTFD−072であることを確認した。
分析データ:TFD−072: 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 0.55-0.70 (m, 4H), 0.77-0.86 (m, 6H), 1.04-1.30 (m, 20H), 1.95-2.04 (m, 4H), 2.28 (s, 6H), 6.85-7.70 (m, 40H); TOF-MS (m/z) 1106 (M+) ; νmax/cm-1 3032, 2924, 1593. ; UV/Vis(CHCl3) :λmax(ε) 381nm(123000).
【0150】
実施例3
[化合物TFD−052の合成]
【0151】
【化81】

次の反応式:
【0152】
【化82】

TFD−052
に従い、ヨウ素体とジアセチレン誘導体のカップリング反応によって、化合物TFD−052を合成した。
【0153】
ヨウ素体1.0g、2,5−ジエチニル−1,4−ジメトキシベンゼン(「ジアセチレン誘導体」)0.16g、ヨウ化銅0.022g、触媒のPdCl(PPhを0.037g、トリエチルアミン15mlを混合し、窒素雰囲気下、40℃で30時間撹拌して反応した。反応液をろ過し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィ精製して目的物を0.43g得た。H−NMR、−MS、IRおよびUV/Vis分析により、TFD−052の生成を確認した。
分析データ:TFD−052:1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.28 (s, 6H), 3.93 (s, 6H), 6.86-7.30 (m, 24H), 7.48-7.63 (m, 12H); LC-MS (m/z) 853 (M+) ; νmax/ cm-1 3034, 2953, 2853, 2201. ; UV/Vis (CHCl3) :λmax (ε) 390nm (80400). λem 457 nm (λex 390nm)
【0154】
実施例4
[化合物TFD−095の合成]
【0155】
【化83】

次の反応式:
【0156】
【化84】

に従い、合成例1で製造したアセチレン体とジヨード化合物とを用いてカップリング反応を行い、化合物TFD−095を合成した。
【0157】
アセチレン体0.10g、4,4'−ジヨード−3,3'−ビストリフルオロメチルビフェニル75mg、触媒のヨウ化銅2mg、触媒のPdCl(PPhを4mgおよびトリエチルアミン2mlを混合し、窒素雰囲気下、室温で6時間撹拌して反応した。反応液を水に排出しクロロホルムで抽出した。濃縮して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフ精製して化合物TFD−095を0.10g得た。下記の分析データより、得られた生成物はTFD−095であることを確認した。
分析データ:TFD−095: 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 2.29 (s, 6H), 6.87-7.94 (m, 40H); LC-MS (m/z) 1004 (M+) ; νmax/cm-1 3034, 2920, 1593. ; UV/Vis(CHCl3) :λmax(ε) 368nm(86500).
【0158】
実施例5
[化合物TFD−068の合成]
【0159】
【化85】

【0160】
実施例3における2,5−ジエチニル−1,4−ジメトキシベンゼンの代わりに2,5−ジエチニル−1,4−ジブトキシベンゼンを用いる以外は実施例3と同様にして、化合物TFD−068を合成した。
【0161】
合成例2
[化合物TFD−064の合成]
【0162】
【化86】

次の反応式:
【0163】
【化87】

に従い、以下の様にして化合物TFD−064を合成した。
【0164】
ベンゾオキサジン誘導体0.66gを無水酢酸5mlに溶かし、4−トリフルオロベンズアルデヒド0.45gを加えて、100℃で16時間撹拌して反応した。室温に戻し、クロロホルムと水の混合溶媒中に排出してアルカリ中和後、クロロホルム抽出した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィ精製して、化合物TFD−064を0.13g得た。下記の分析データより、得られた生成物はTFD−064であることを確認した。
分析データ:TFD-064 : 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 1.94-2.03 (m, 4H), 2.77-2.87 (m, 4H), 3.28-3.34 (m, 4H), 7.13 (s, 1H), 7.47 (d, J=6.3Hz 1H), 7.60 (d, J=8.3Hz 2H), 7.68 (d, J=8.3Hz 2H), 7.87 (d, J=6.3Hz 1H); LCMS (m/z) 413 (MH+) ; ν: max/cm-1 2943, 2851, 1724, 1626. ; UV/Vis(Toluene) :λmax(ε) 499nm(55000).
【0165】
実施例6
実施例1〜3で得られたビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物TFD−052、TFD−070およびTFD−072の蛍光発光特性を、クロロホルム溶液中と、発光材料を溶解させた溶液を石英基板上にスピンコートした薄膜状態において測定した。測定は、堀場製作所社製のFluoraMax-4P型分光光度計にて行った。得られた結果を表1に示す。
表1 ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物の蛍光発光特性
【0166】
【表1】

表中の各表記は以下の通りである:
Dye:ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物
λmax:分子吸光スペクトルの極大吸収波長(nm)
ε:分子吸光係数
λem:蛍光発光極大波長(nm)
λex:励起波長(nm)
【0167】
実施例7
[ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物を用いた単色系有機EL素子の作製]
図1に示す構造を有する有機EL素子を以下の方法で作製した。
有機EL素子構成は、ITO(陽極)/PEDOT:PSS(正孔注入層)/PVCz:PBD:Dye(発光層)/CsF(電子注入層)/Al(陰極)とした。
ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(三容真空社製;シート抵抗10Ω、20mm(ヨコ)×25mm(タテ)×0.7mm(ガラス膜厚))を通常のフォトリソグラフィ技術と亜鉛-塩酸エッチングを用いて5mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。亜鉛-塩酸で洗浄後、パターン形成したITO基板を、クロロホルムによる超音波洗浄、中性洗剤による洗浄、純水による水洗、エタノールとアセトンによる超音波洗浄、イソプロピルアルコールによるソックスレー洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させた。最後にオゾン処理による表面親水化を行った後、スピンコーター内に設置した。
その上に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレン・スルフォン酸)(PEDOT:PSS)をスピンコートした(厚さ30nm)。スピンコートは、25℃下、1500回転/分で2秒、次いで3000回転/分で60秒の条件で行った。
以下に、PEDOT:PSSの構造式を示す。
【0168】
【化88】

PEDOT:PSS
【0169】
次に、ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD、東京化成株式会社)をポリビニルカルバゾ-ル(PVCz、シグマ−アルドリッチ株式会社)に分散させたトルエン溶液をマイクロフィルターによりろ過後、スピンコートして色素薄膜を作製した(120nm)。スピンコートは、25℃下、1000回転/分で3秒、次いで3000回転/分で30秒の条件で行った。以下に、PVCz、PBD、ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物の構造式の一例を示す。
【0170】
【化89】

PVCz
【0171】
【化90】

PBD
【0172】
【化91】

【0173】
【化92】

【0174】
【化93】

【0175】
【化94】

【0176】
【化95】

【0177】
ここで、スピンコートを行った素子を、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプと直交するように素子に密着させて、真空蒸着装置内に設置して装置内の真空度が1×10−6 Torr以下になるまで排気した。続いて、フッ化セシウムを、タングステンボートを用いて膜厚1.0nmとなるように蒸着し、電子注入層を作製した。さらに、アルミニウムを、タングステンボートを用いて膜厚200nmとなるようにして蒸着し、陰極を作製した。蒸着時の真空度は4×10−6 Torrであった。陰極蒸着時の基板温度は室温に保持した。以上の様にして、5mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機EL素子が得られた。得られた有機EL素子の概略を図1に示す。
【0178】
図1において、有機EL素子は、基板11、ITO陽極12、ポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレン・スルフォン酸)(PEDOT:PSS)の層13、ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物とPBDをPVCzに分散させた層14、電子注入層(CsF)15、陰極(アルミニウム)16を有する。層13はホール注入輸送層として働き、層14は発光層として働く。
この有機EL素子の輝度を測定した。得られた結果を表2に、色度座標を図2に示す。有機EL素子の最大輝度は、発光材料がTFD−072の場合、12.5Vにおいて9534cd/m、TFD−070の場合、12Vにおいて9258cd/m、TFD−052の場合、11.5Vにおいて6348cd/mであった。
表2 単色での有機EL発光素子特性
【0179】
【表2】

素子構成は、ITO(陽極)/PEDOT:PSS(正孔注入層)/PVCz:PBD:Dye(発光層)/CsF(電子注入層)/Al(陰極)である。
表中の各表記は以下の通りである:
Blue、Green、Yellow、Red:用いた蛍光色素の蛍光色
Dye:ビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物(青色蛍光色素)番号または他の蛍光色素番号
x:PVCz=1に対する蛍光色素の含有比率(重量比)
電圧:印加電圧(V)
色度座標:(x、y)値
EL波長:発光極大波長(nm)
【0180】
参考例1
[黄色蛍光染料、緑色蛍光染料または赤色蛍光染料を用いた単色系有機EL素子の特性]
本発明の青色蛍光発光性のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物と組み合わせて、二色系白色発光性材料を与える補色関係にある黄色発光材料、三色系白色発光性材料を与える緑色発光材料または赤色発光材料の各々について、単色系での有機EL特性を実施例7に準じて測定した。得られた結果を、実施例5の結果と併せて表2に示した。
また、表2の各蛍光染料の色度座標の位置を図2中に示す。
【0181】
実施例7および参考例1で用いた発光材料の構造式を以下に示す:
【0182】
【化96】

【0183】
実施例8
[青色蛍光色素としてTFD−052を用い、それと補色関係にある黄色蛍光色素としてTFD−064を用いた二色系白色発光素子特性]
表2および図2の色度座標を基礎にして、青色蛍光色素としてTFD−052を用い、それと補色関係にある黄色蛍光色素としてTFD−064を選択し、実施例5に準じて白色発光EL素子を構成し、ポリビニルカルバゾールに対する分散量の検討を行った。素子構成は実施例7の単色で検討した構成と同様にITO(陽極)/PEDOT:PSS(正孔注入層)/PVCz:PBD:Dye(発光層)/CsF(電子注入層)/Al(陰極)とした。青色蛍光色素TFD−052の分散量を単独での最適分散量0.05に固定し、さらに黄色蛍光色素TFD−064の分散量を変化させることにより白色発光する構成を検討した。その結果を表3に示す。
表3 二色系白色発光素子特性(1)
【0184】
【表3】

表中の表記は以下の通りである:
x:PVCz=1に対する青色蛍光色素TFD−052の含有比率(重量比)
y:PVCz=1に対する黄色蛍光色素TFD−064の含有比率(重量比)
電圧:印加電圧(V)
色度座標:(x、y)値
EL波長:発光極大波長(nm)
【0185】
二色系白色発光素子として検討した際のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを図3に示す。黄色成分の分散量(y)が多くなるにつれてELスペクトルにおける黄色発光部分の強度が強くなっており、白色を作製する場合、ポリビニルカルバゾールに対する分散量が重要であることが分かる。表3中の色度座標(x,y)値およびELスペクトルの双方の結果から、白色発光素子として特性が良いのはEntry 3および4の配合比であることが判る。
【0186】
実施例9
[青色蛍光色素としてTFD−072を用い、それと補色関係にある黄色蛍光色素としてTFD−064を用いた二色系白色発光素子特性]
EL素子構成は実施例8と同様とし、青色発光色素TFD−072の分散量を単独での最適分散量0.12に固定し、さらに黄色発光色素TFD−064の分散量を変化させることにより白色発光する構成を検討した。検討結果を表4に示す。
表4 二色系白色発光素子特性(2)
【0187】
【表4】

表中の表記は
x:PVCz=1に対する青色蛍光色素TFD−072の含有比率(重量比)
である他は、表3と同義である。
【0188】
青色蛍光色素としてTFD−072を用いた場合でも同様に最適分散量が存在することが判明し、例えば、Entry 4では、11Vの印加電圧で17060cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0189】
実施例10
二色系白色発光素子において、青色発光材料としてTFD−070、黄色発光材料としてTFD−079を使用する他は、実施例9と同様の手法と用い白色発光する構成を検討した。これらについて通電試験を行ったところ、13Vの印加電圧で12490cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0190】
実施例11
二色系白色発光素子において、青色発光材料としてTFD−072、黄色発光材料としてTFD−079を使用する他は、実施例9と同様の手法と用い白色発光する構成を検討した。これらについて通電試験を行ったところ、12Vの印加電圧で16520cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0191】
実施例12
[青色蛍光色素としてTFD−072を用い、緑色蛍光色素としてTFD−005および赤色蛍光色素としてTFD−006を用いた三色系白色発光素子特性]
EL素子構成は実施例5と同様に、ITO(陽極)/PEDOT:PSS(正孔注入層)/PVCz:PBD:Dye(発光層)/CsF(電子注入層)/Al(陰極)とした。青色蛍光色素としてTFD−072を用い、緑色蛍光色素としてTFD−005および赤色蛍光色素としてTFD−006を選択して、三色系各色素の分散量の最適化を検討した。検討の進め方は、まず、青色蛍光色素と緑色蛍光色素の二色を混合することにより白色を作り出す上で最適な分散量を検討し(Entry 1および2)、そこに更に赤色を加え分散濃度を検討する(Entry 3および4)手法を採用した。得られた結果を表5に示す。
表5 青色蛍光色素(TFD−072)、緑色蛍光色素(TFD−005)および
赤色蛍光色素(TFD−006)を用いた三色系白色発光素子特性
【0192】
【表5】

表中の表記は、
x:PVCz=1に対する青色蛍光色素TFD−072の含有比率(重量比)
y:PVCz=1に対する緑色蛍光色素TFD−005の含有比率(重量比)
z:PVCz=1に対する赤色蛍光色素TFD−006の含有比率(重量比)
である他は、表3と同義である。
【0193】
色度座標において(0.36、0.36)とほぼ白色発光を取り出すことに成功した。従って、三色系白色発光素子として最適なのはEntry 4である。第1ステップとして青色蛍光色素と緑色蛍光色素との混合分散素子においては、目的の色度座標付近の発光で25000cd/mを超える素子が得られたのに対し(Entry 1)、その素子構成に赤色蛍光色素を加えることにより、目的の白色発光スペクトルが得られたものの、輝度が14780cd/mとやや低下した(Entry 4)。単色系でのEL特性として、青色蛍光色素や緑色蛍光色素に比べて、用いた赤色蛍光色素TFD−006の輝度(2922cd/m)が低いことが主たる原因と考えられる。この実施例に限っていえば、三色系白色発光素子の特性改良のためには赤色蛍光色素の選択が重要であることを示唆する。
【0194】
実施例13
三色系白色発光素子において、青色発光材料としてTFD−072、緑色発光材料としてTFD−082、赤色発光材料としてTFD−006を使用する他は、実施例12と同様の手法と用い白色発光する構成を検討した。これらについて通電試験を行ったところ、13Vの印加電圧で21300cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0195】
実施例14
三色系白色発光素子において、青色発光材料としてTFD−072、緑色発光材料としてTFD−082、赤色発光材料としてTFD−080を使用する他は、実施例12と同様の手法と用い白色発光する構成を検討した。これらについて通電試験を行ったところ、12.5Vの印加電圧で17570cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0196】
実施例15
三色系白色発光素子において、青色発光材料としてTFD−070、緑色発光材料としてTFD−082、赤色発光材料としてTFD−080を使用する他は、実施例12と同様の手法と用い白色発光する構成を検討した。これらについて通電試験を行ったところ、14Vの印加電圧で12000cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0197】
実施例16
三色系白色発光素子において、青色発光材料としてTFD−072、緑色発光材料としてTFD−082、赤色発光材料としてIr−1を使用する他は、実施例12と同様の手法と用い白色発光する構成を検討した。これらについて通電試験を行ったところ、13.5Vの印加電圧で14330cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0198】
【化97】

【0199】
実施例17
三色系白色発光素子において、青色発光材料としてTFD−072、緑色発光材料としてTFD−082、赤色発光材料としてIr−2を使用する他は、実施例12と同様の手法と用い白色発光する構成を検討した。これらについて通電試験を行ったところ、14.5Vの印加電圧で19120cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0200】
【化98】

【0201】
実施例18
三色系白色発光素子において、青色発光材料としてTFD−072、緑色発光材料としてTFD−082、赤色発光材料としてIr−3を使用する他は、実施例12と同様の手法と用い白色発光する構成を検討した。これらについて通電試験を行ったところ、13.5Vの印加電圧で17090cd/mの輝度を有する白色発光素子が得られた。
【0202】
【化99】

【0203】
以上の、二色系および三色系の白色発光素子特性をまとめた結果を表6に、ならびに、TFD−52/TFD−064混合系、TFD−072/TFD−064混合系およびTFD−072/TFD−005/TFD−006混合系のELスペクトルを図4に示す。
表6 二色系および三色系白色発光素子特性のまとめ
【0204】
【表6】

表中の表記の内、Raは平均演色評価数を表し、他の表記は前記と同義である。
ここで、平均演色評価数とは、試料光源が基準光と比較して試験色R1〜R8をどれだけ正確に色再現をしているかを表した指数であり、Ra=100が基準光と同じで、Ra=100に近いほど演色性が良い光源である。計算式は以下の通りである:
Ra=Σ(i=1〜8)Ri×1/8
Ri=100−4.6×ΔEi
ΔEiはCIE1964均等色空間における色差
【0205】
表6より、二色系、三色系共に12000cd/mを超える白色発光を取り出すことに成功し、駆動電圧(印加電圧)の低減化も実現できた。二色系と三色系で輝度、色度座標を考慮するとそれほど変わらないが、平均演色評価数(Ra)は大きく異なっており、三色系白色発光素子ですべての組成でRaが90を超える高い演色性を得た。三色系白色発光素子については赤色発光材料を分散しているため、長波長領域の発光が存在し二色系に比べて幅広いELスペクトルとなっており、より広い波長領域で発光することが演色性に好影響していると考えられる。白色発光素子としては、三色系で構成する方が望ましい結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明の発光輝度が高く堅牢で、且つ、溶解性の良好な青色蛍光性色素を与える新規化合物は、該青色蛍光色素を用いる高機能白色有機EL素子を提供し、携帯電話やデジタルカメラ等の小型ディスプレイとして利用され得る。更に将来的には、フレキシブルディスプレイにも利用され得る。
【符号の説明】
【0207】
図1のEL素子における符号の説明は以下の通りである:
11 基板、 12 陽極、 13 PEDOT:PSSの層、 14 発光層、 15 電子注入層、 16 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】

[式中、R〜R20のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、炭素数1〜10のアルキル基を有する1級または2級アミノ基であり、
Lは、2価の有機基であって、一般式(TFD−000〜TFD−004):
【化2】

[式中、R21〜R40のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基であり、R41およびR42のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]
で表されるビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物。
【請求項2】
一般式(1)に於けるR〜R20のそれぞれが、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物が、一般式(1−1):
【化3】

[式中、Lは前記と同義である。]
で表されるものである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
化合物が、一般式(1−2):
【化4】

[式中、R43およびR44のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]
で表されるものである、請求項1から3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
化合物が、一般式(1−3):
【化5】

[式中、R45およびR46のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]
で表されるものである、請求項1から3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
化合物が、一般式(1−4):
【化6】

[式中、R47およびR48のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]
で表されるものである、請求項1から3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
化合物が、一般式(1−5):
【化7】

[式中、R48(1)およびR48(2)のそれぞれは、同一または異なって、炭素数1〜12のアルキル基である。]
で表されるものである、請求項1から3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
化合物が、式(TFD−052):
【化8】

もしくは
式(TFD−070):
【化9】

もしくは
式(TFD−072):
【化10】

もしくは
式(TFD−068):
【化11】

もしくは
式(TFD−095):
【化12】

で表されるものである、請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
化合物が、青色蛍光色素である、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
化合物が、有機エレクトロルミネッセンス用蛍光色素である、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
一対の電極と、該電極間に存在する発光性材料を含む発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光性材料は請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
一対の電極と、該電極間に存在する発光性材料を含む発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、請求項1〜8のいずれか1つに記載のビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物を発光性材料に用いて溶液塗布法により発光層を形成することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物と、その補色関係にある発光色素とからなる、二色系白色発光性材料。
【請求項14】
請求項8に記載の少なくとも1つの化合物とその補色関係にある発光色素とからなる、二色系白色発光性材料。
【請求項15】
請求項8に記載の少なくとも1つの化合物と、その補色関係にある
式(TFD−064):
【化13】

で表される蛍光色素とからなる、請求項13または14に記載の二色系白色発光性材料。
【請求項16】
請求項8に記載の少なくとも1つの化合物と、その補色関係にある
式(TFD−079):
【化14】

で表される蛍光色素とからなる、請求項13または14に記載の二色系白色発光性材料。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物と緑色発光色素と赤色発光色素とからなる、三色系白色発光性材料。
【請求項18】
請求項8に記載の少なくとも1つの化合物と緑色発光色素と赤色発光色素とからなる、三色系白色発光性材料。
【請求項19】
請求項8に記載の少なくとも1つの化合物と、一般式(2):
【化15】

[式中、R49は、水素原子、または置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基である。]
で表される緑色発光色素と、一般式(3):
【化16】

[式中、R50およびR51のそれぞれは、同一または異なって、水素原子、または置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基である。]
で表される赤色発光色素とからなる、請求項17または18に記載の三色系白色発光性材料。
【請求項20】
式(TFD−072):
【化17】

で表される化合物と、
式(TFD−005):
【化18】

で表される緑色蛍光色素と、
式(TFD−006):
【化19】

で表される赤色蛍光色素とからなる、請求項17〜19のいずれか1つに記載の三色系白色発光性材料。
【請求項21】
式(TFD−072):
【化20】

で表される化合物と、
式(TFD−082):
【化21】

で表される緑色蛍光色素と、
式(TFD−080):
【化22】

で表される赤色蛍光色素とからなる、請求項17〜19のいずれか1つに記載の三色系白色発光性材料。
【請求項22】
式(TFD−070):
【化23】

で表される化合物と、
式(TFD−082):
【化24】

で表される緑色蛍光色素と、
式(TFD−080):
【化25】


で表される赤色蛍光色素とからなる、請求項17〜19に記載のいずれか1つに記載の三色系白色発光性材料。
【請求項23】
請求項1から7のいずれか1つに記載の化合物と、一般式(2):
【化26】

[式中、R49は、水素原子、または置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基である。]
で表される緑色発光色素と、赤色りん光色素とからなる、請求項18または19に記載の三色系白色発光性材料。
【請求項24】
請求項1から8のいずれか1つに記載の化合物と、一般式(2):
【化27】

[式中、R49は、水素原子、または置換基を有してよい炭素数1〜16のアルキル基である。]
で表される緑色発光色素と、
式(Ir−1):
【化28】

もしくは
式(Ir−2):
【化29】

もしくは
式(Ir−3):
【化30】

で表される赤色りん光色素とからなる、請求項17、18および23のいずれか1つに記載の三色系白色発光性材料。
【請求項25】
一対の電極と、該電極間に存在する発光性材料を含む発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該発光性材料は請求項13〜24のいずれか1つに記載の白色発光性材料を含む、白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項26】
一対の電極と、該電極間に存在する発光性材料を含む発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、請求項13〜24のいずれか1つに記載の白色発光性材料を用いて溶液塗布法により発光層を形成することを特徴とする、白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−77069(P2012−77069A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189242(P2011−189242)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年(2010年)3月19日、公立大学法人大阪府立大学および社団法人近畿化学協会機能性色素部会主催の「機能性色素に関する公開シンポジウム 〜戦略的基盤技術高度化支援事業成果発表会〜(3/19)」において文書をもって発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人中小企業基盤整備機構の委託に係る戦略的基盤技術高度化支援事業「機能性材料に対応した高機能化学合成技術の開発」委託研究で、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(000179306)山田化学工業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】