説明

ビデオサーバシステム

【課題】相手系の障害であるかの状態監視をすばやく、正確に実行可能で、切替え後も制御動作を引き継ぐことが可能なビデオサーバシステムを提供する。
【解決手段】収録コントローラ等のコントローラをそれぞれ2台のコントローラで二重化し、両方を稼動しておき、どちらか片方が本番系となり、もう片方が待機系となる。本番系が障害になった場合は、待機系が本番系となって動作し、システム稼動には影響しない。また一方の系が、他方の系を相手系のハートビート途絶で監視し、途絶した場合、相手系の障害と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオサーバシステムに関わり、特に、制御コントローラの障害によって、システム全体の動作が阻害されてしまうことが無いように、冗長性を高めるために、コントローラを二重化している場合の、コントローラの相互監視と状態同期制御と切替えに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビデオサーバシステムにおいて、収録コントローラ、送出制御装置等の制御コントローラの冗長性を確保するために、それぞれ2台のコントローラで二重化していた。そして、2台のコントローラの両方を起動(稼動)しておき、どちらか片方のコントローラが本番系となり、もう片方のコントローラが待機系となる。
従来は、専用の監視装置が、本番系と待機系の両方それぞれを監視し、それぞれの状態により本番系と待機系を切替えていた。
しかし、この専用の監視装置が動作していない場合や、専用の監視装置との通信異常により、切替え動作が正常に行われない可能性があった。
また、一度、専用の監視装置の判断を通して指示されるため、瞬時の判断が必要なコントローラでは制御の遅延が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−094052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のビデオサーバシステムでは、上述の本番系と待機系の2台のコントローラを監視するための専用の監視装置が動作していない場合や、これらの間での通信異常により、切替え動作が正常に行われない可能性があった。
また、一度、専用の監視装置の判断を通して指示されるため、瞬時の判断が必要なコントローラでは制御の遅延が発生していた。
本発明の目的は、相手系の障害であるかの状態監視をすばやく、正確に実行可能で、切替え後も制御動作を引き継ぐことが可能なビデオサーバシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
あらかじめ登録された収録スケジュールに基づいて収録する収録素材の情報を通知する情報管理サーバと、複数の系統の収録素材が同時に入力され、入力された前記複数の収録素材の中から選択された収録素材を複数系統出力するスイッチャと、前記スイッチャから出力された複数系統の収録素材を保存するサーバと、前記通知された情報に従って前記スイッチャを制御する収録系統部と、前記情報管理サーバを操作する収録端末装置とを備えたビデオサーバシステムにおいて、前記収録系統部は、常に稼働する少なくとも本番系と待機系の2つの系の収録コントローラ、16分割制御装置、およびMTXコントローラを有し、一方の系の収録コントローラ、16分割制御装置、およびMTXコントローラが本番系として収録系統部の制御を行い、他方の系を待機系とし、前記本番系の前記収録コントローラ、前記16分割制御装置、又は前記MTXコントローラの1つに障害を発生した時には、待機系の当該コントローラが本番系に切替えられて、収録系統部の動作が停止しないように切替えられる。
【0006】
上記発明のビデオサーバにおいて、前記待機系の前記収録コントローラ、前記16分割制御装置、および前記MTXコントローラの各々が、前記本番系の前記収録コントローラ、前記16分割制御装置、および前記MTXコントローラで障害が発生しているか否か、若しくは、前記本番系の前記収録コントローラ、前記16分割制御装置、および前記MTXコントローラの各々が、前記待機系の前記収録コントローラ、前記16分割制御装置、および前記MTXコントローラで障害が発生していないかを監視することを特徴とする。
【0007】
上記発明のビデオサーバにおいて、前記本番系および前記待機系のそれぞれの前記収録コントローラ、前記16分割制御装置、および前記MTXコントローラは、相互にハートビート途絶を監視し、途絶した場合、相手系に障害が発生したと判定することを特徴とする。
【0008】
上記発明のビデオサーバにおいて、前記収録コントローラ、前記16分割制御装置、および前記MTXコントローラの状態を確認する照明光式の切替えパネルを有し、自動と手動を切替えるかのうであって、自動の場合には障害に応じて自動的に他方の系に切替え、手動の場合には、スイッチの押下に応じて切替え可能であることを特徴とするビデオサーバシステム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御コントローラでに障害に対して、二重化した各系の相互監視が適切に制御されることによって、システム制御に影響なく切替を行うことができる。また、同期制御によって、切替後も切替前の処理を引き継ぎ、システム制御に影響なく切替を行うことができる。この結果、制御コントローラの冗長性が高まり、信頼性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のビデオサーバシステムの一実施例における収録機器に関わる機器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のビデオサーバシステムの一実施例における収録用16分割制御装置の切替パネルの全体を示す図である。
【図3】本発明のビデオサーバシステムの一実施例における収録用16分割制御装置の切替パネルを個別に示す図である。
【図4】本発明のビデオサーバシステムにおける、本番系が停止した場合の切替動作を説明するための模式図である。
【図5】本発明のビデオサーバシステムの切替制御の一実施例の状態一覧を示す図である。
【図6】本発明のビデオサーバシステムの切替制御の一実施例の状態遷移を示す図である。
【図7】本発明のビデオサーバシステムの相互監視の電文通知の一実施例を示す図である。
【図8】本発明のビデオサーバシステムの一実施例の同期処理を説明するための模式図である。
【図9】本発明のビデオサーバシステムの一実施例を説明するための略構成図である。
【図10】本発明のビデオサーバシステムの同期監視処理動作の一実施例の手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の一実施形態について、図面等を用いて説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
なお、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避け、説明を省略した。
【0012】
図1を用いて、本発明のビデオサーバシステムの一実施例について説明する。図1は、本発明のビデオサーバシステムの一実施例の機器構成を示すブロック図である。100は収録系統部、151は報道情報システム、152はあらかじめ登録されたスケジュールに基づいて収録する収録素材の情報を通知する情報管理サーバ、153は再生収録端末、154は収録端末、161は収録素材の管理を行う素材管理サーバ、162はプロキシ管理サーバ、171は素材サーバ、172はプロキシサーバ、181は素材A群を入力して選択出力するマトリックススイッチ(MTX)、182は素材B群を入力して選択出力するMTXである。また収録系統部100において、101は本番系の収録コントローラ、102は収録制御切替器、103は本番系の16分割制御装置、104は16分割合成装置、105は本番系のマトリックス(MTX)コントローラ、106はRS422切替器、107は2:1切替器、108は高解像度/低解像度エンコーダ、109は収録転送装置である。また、101−2は待機系の収録コントローラ、103−2は待機系の16分割制御装置、105−2は待機系のマトリックス(MTX)コントローラである。なお、RS422切替器は、他のインタフェース(例えば、RS485、RS232C、USB、等)が用いられれば、他のインタフェースの切替器が採用される。
【0013】
収録系統部100は、収録システム内の情報管理サーバ152から入力される収録スケジュール、または、再生収録端末153若しくは収録端末154からの収録操作により本番系のMTXコントローラ105や高解像度/低解像度エンコーダ108を制御し、素材サーバ171及びプロキシサーバ172へ収録素材を収録するための収録処理を行う。即ち、再生収録端末153、収録端末154、若しくは、報道情報システム151等の上位機器を介して割当て、あらかじめ登録された収録スケジュールの中の収録素材の収録時間が現在時刻の2日前(以内)になった場合(スタンバイ時間を含む)に、情報管理サーバ152は、当該収録素材の情報を本番系の収録コントローラ101に通知する。本番系の収録コントローラ101は、通知された収録素材の情報に基づいて、各機器を制御し、当該収録素材の収録処理を実行する。
【0014】
MTX181及びMTX182は、それぞれ、RS422切替器106を介して本番系のMTXコントローラ105の制御を受ける。MTX181及びMTX182は、それぞれ、同時に複数の系統(例えば、1000ch)の収録素材(映像データやプロキシデータ)を入力可能で、情報管理サーバ152から入力される収録スケジュール、または、再生収録端末153若しくは収録端末154からの収録操作に基づいて、必要な系統から収録素材を入力し、入力された収録素材を16分割合成装置104、2:1切替器107及び高解像度/低解像度エンコーダ108に出力する。なお、MTX181に入力される収録素材と、MTX181に入力される収録素材とは、例えば、データの通信方式やデータのフォーマット形式が異なる。
なお、本実施例では、MTX181は、同時に最大70系統の収録素材の入力が可能で、MTX182は、同時に最大10系統の収録素材の入力が可能である。
【0015】
2:1切替器107は、本番系のMTXコントローラ105に制御に基づいて、MTX181またはMTX182から入力された収録素材に切替えて、高解像度/低解像度エンコーダ108に出力する。高解像度/低解像度エンコーダ108は、同時に複数系統(例えば、最大70ch)のエンコード処理が可能で、収録コントローラ101の制御に基づいて、入力される収録素材をエンコードして収録転送装置109に出力する。収録転送装置109は、入力された収録素材の管理情報を、素材管理サーバ161若しくはプロキシ管理サーバ162に転送する。また、収録転送装置109は、入力された収録素材を、素材サーバ171若しくはプロキシサーバ172に転送する。それぞれのサーバ161、162、171、及び172は、入力された収録素材を記録する。
【0016】
なお、図1において、収録系統部100の各コントローラは、冗長構成となっている。1系と2系の2つの系からなり、常に両方の系が稼働し、一方の系が本番系として収録系統部の制御を行い、他方の系を待機系とする。そして、本番系が障害を発生した時には、待機系が本番系に切替えられて、収録系統部の動作が停止しないように切替えられる。例えば、本番系の収録コントローラ101と待機系の収録コントローラ101−2、本番系の16分割制御装置103と待機系の16分割制御装置103−2、及び本番系のMTXコントローラ105と待機系のMTXコントローラ105−2というように、本番系と待機系でそれぞれ1台ずつ、計2台備える。図1の収録系東部100は、例えば、収録コントローラ、16分割制御装置、およびMTXコントローラを、本番系と待機系でそれぞれ1台ずつ、計2台備える。
情報管理サーバ152、再生収録端末153、若しくは収録端末154から入力される、収録系統部100の収録コントローラへの制御指示は、本番系と待機系の両方(収録コントローラ101および101−2)に行われ、本番系のみが、指示に対する制御結果の応答を返す。即ち、本番系は、制御結果の応答を、上記制御指示を出力した機器に出力する。
好ましくは、本番系は、制御結果の上記応答を、上位の端末すべて、即ち、情報管理サーバ152、再生収録端末153、及び収録端末154全てに出力する。
また、好ましくは、特定の上位の端末がなくても、収録状況を共有可能とするため、収録用の本番系の16分割制御装置103は、収録用の16分割合成装置104を制御し、16分割合成装置104が収録映像を表示するように制御する。
【0017】
本発明の収録システムにおいて、収録する素材(収録素材)は、データの通信方式やフォーマット形式が異なる素材A群と素材B群に分けている。それらを収録する系統は、本システムでは、素材A群が同時に最大70系統入力可能で、素材B群が同時に10系統入力可能である。
一般的な収録システムでは、素材B群の収録素材を収録中には、平行作業として、同時に、素材A群のすべての入力系統を使用しない。本発明の収録システムは、素材B群の収録素材を収録中に、同時に素材A群の収録素材をすべての系統で入力しないことを利用して、収録システムの一部の系統を共通に使用できるようにした。
【0018】
即ち、本システムの収録処理にかかわる機器についての図1の説明のように、本発明のビデオサーバシステムは、ビデオサーバシステム内の情報管理サーバ152からの収録スケジュール、および、再生収録端末153若しくは収録端末154からの収録操作により、MTXコントローラ105(又は105−2)や高解像度/低解像度エンコーダ108を制御し、素材サーバ17やプロキシサーバ172への収録処理を行う。
【0019】
また、収録系統部の各コントローラは、冗長構成となっている。本番系と待機系の2台からなり、制御は、本番系が行う。収録コントローラへの制御指示は、本番系と待機系の両方に行い、指示に対する制御結果の応答は本番系のみが返す。
【0020】
また、特定の端末がなくても、収録状況を共有可能とするため、本番系の収録用16分割制御装置103又は待機系の収録用16分割制御装置103−2で収録用16分割合成装置104を制御し、収録映像を表示する。
さらに、後述するよう図2のように、切替え状態をLED(Light Emitting Diode)で表示し、自動/手動を切替え可能なパネルを有している。
【0021】
図2および図3は、本発明のビデオサーバシステムの一実施例における、本番系の収録用16分割制御装置103又は待機系の収録用16分割制御装置103−2の切替パネルを前面から見た状態を示す図である。図2は切替パネル全体を示す実施例であり、図3は、切替パネル内の個別の自動/手動切替パネルを示す図である。200は切替パネル、201はMTXコントローラの切替パネル、203は収録コントローラの切替パネル、205は再生コントローラの切替パネル、207は16分割制御(収録用)の切替パネル、209は16分割制御(再生用)の切替パネルである。
図2において、各パネル部の詳細は省略し、省略部分を図3に示した。
【0022】
また、MTXコントローラの切替パネル201を示す図3(a)において、210は自動と手動を切替える自動/手動切替ボタン、自動/手動切替ボタン210のうち、211は自動/手動切替ボタンの自動切替(AUTO)ボタンで212は自動/手動切替ボタンの手動切替(MANU)ボタンである。さらに、220は1系と2系を切替える本番系/待機系切替ボタン、本番系/待機系切替ボタン220のうち、221は1系に切替える1系切替ボタンで222は2系に切替える1系切替ボタンである。なお、例えば、上下に配置されたボタンのうち、点灯しているボタンが本番系で、消灯しているボタンが待機系である。また、21−1は1系のアラーム(ALM)ランプ、21−2は2系のアラームランプである。
【0023】
また、収録コントローラの切替パネル203を示す図3(b)において、230は自動と手動を切替える自動/手動切替ボタン、自動/手動切替ボタン230のうち、231は自動/手動切替ボタンの自動切替ボタンで232は自動/手動切替ボタンの手動切替ボタンである。さらに、240は1系と2系を切替える本番系/待機系切替ボタン、本番系/待機系切替ボタン240のうち、241は1系に切替える1系切替ボタンで242は2系に切替える1系切替ボタンである。なお、例えば、上下に配置されたボタンのうち、点灯しているボタンが本番系で、消灯しているボタンが待機系である。また、23−1は1系のアラームランプ、23−2は2系のアラームランプである。
【0024】
また、再生コントローラの切替パネル205を示す図3(c)において、250は自動と手動を切替える自動/手動切替ボタン、自動/手動切替ボタン250のうち、251は自動/手動切替ボタンの自動切替ボタンで252は自動/手動切替ボタンの手動切替ボタンである。さらに、260は1系と2系を切替える本番系/待機系切替ボタン、本番系/待機系切替ボタン260のうち、261は1系に切替える1系切替ボタンで262は2系に切替える1系切替ボタンである。なお、例えば、上下に配置されたボタンのうち、点灯しているボタンが本番系で、消灯しているボタンが待機系である。また、25−1は1系のアラームランプ、25−2は2系のアラームランプである。
【0025】
また、16分割制御(収録)の切替パネル207を示す図3(d)において、270は自動と手動を切替える自動/手動切替ボタン、自動/手動切替ボタン270のうち、271は自動/手動切替ボタンの自動切替ボタンで272は自動/手動切替ボタンの手動切替ボタンである。さらに、280は1系と2系を切替える本番系/待機系切替ボタン、本番系/待機系切替ボタン280のうち、281は1系に切替える1系切替ボタンで282は2系に切替える1系切替ボタンである。なお、例えば、上下に配置されたボタンのうち、点灯しているボタンが本番系で、消灯しているボタンが待機系である。また、27−1は1系のアラームランプ、27−2は2系のアラームランプである。
【0026】
また、16分割制御(送出)の切替パネル209を示す図3(e)において、290は自動と手動を切替える自動/手動切替ボタン、自動/手動切替ボタン290のうち、291は自動/手動切替ボタンの自動切替ボタンで292は自動/手動切替ボタンの手動切替ボタンである。さらに、2100は1系と2系を切替える本番系/待機系切替ボタン、本番系/待機系切替ボタン2100のうち、2101は1系に切替える1系切替ボタンで2102は2系に切替える1系切替ボタンである。なお、例えば、上下に配置されたボタンのうち、点灯しているボタンが本番系で、消灯しているボタンが待機系である。また、29−1は1系のアラームランプ、29−2は2系のアラームランプである。
【0027】
自動切替(AUTO)ボタン211、231、251、271、および、291、手動切替(MANU)ボタン212、232、252、272、および、292は、1系切替ボタン221、241、261、281、および、2101、並びに、2系切替ボタン222、242、262、282、および、2102は、例えば、スイッチオンの時に、LEDが点灯し、スイッチオフの時にLEDが消灯する、照明式押しボタンスイッチである。
また、自動切替(AUTO)ボタン211、231、251、271、および、291は、例えば、緑色に点灯し、手動切替(MANU)ボタン212、232、252、272、および、292は、赤色に点灯する。また例えば、1系切替ボタン221、241、261、281、および、2101、並びに、2系切替ボタン222、242、262、282、および、2102は、橙色に点灯する。
【0028】
図2および図3において、自動/手動切替ボタン210、230、250、270、および290において、ビデオサーバシステムが自動の状態のときには、自動切替(AUTO)ボタン211、231、251、271、および、291が点灯している。またビデオサーバシステムが手動の状態のときには、手動切替(MANU)ボタン212、232、252、272、および、292が点灯している。
切替パネル200には、誤操作できないようにフタがしてあり、手動操作時には、フタを上に開け、該当するボタンを押下する。ボタン押下毎に、切替え動作する。
また、AUTO(自動)時には、フタがされたままでも自動的にボタン表示が切替わる。手動時(MANU点灯時)には、本番系/待機系切替ボタンを押下毎に1系/2系と切替わる。
なお、本発明のビデオサーバシステムでは、図1で示した構成の他に、編集部、送出部、および時差部がある。さらに、編集部は、再生コントローラを備え、送出部は、送出制御装置と送出用16分割制御装置を備える。図2および図3に示す切替パネルは、この再生コントローラと送出用16分割制御装置を合わせたパネルとなっているが、別々のパネルにしても良い。
【0029】
次に、図4によって、本発明のビデオサーバシステムにおいて、本番系が停止した場合の切替動作の概要を説明する。図4は、本発明のビデオサーバシステムにおける、本番系が停止した場合の切替動作を説明するための模式図である。なお、コントローラの切替概要としては、図2〜図3におけるMTXコントローラ、収録コントローラ、再生コントローラ、16分割制御装置(収録)、および16分割制御装置(送出)、それぞれにおけるコントローラ1(1系:本番系)とコントローラ2(2系:待機系)の切替概要を説明する。401は本番系のコントローラ(コントローラ1)、402は待機系のコントローラ(コントローラ2)、403は制御切替パネル、404は監視LAN(Local Area Network)、405は1系制御LAN、406は2系制御LAN、411と412はRAS(Remote Access Service)接点出力、412と422はメモリ、413と423は1系タリー、414と424は2系タリー、415と425はAUTO制御信号、416と426はMANUAL制御信号、417と427は自系アラームレベル信号、418と428は自系への切替パルス信号、441はハートビート(Heart Beat:相互信号)、442はメモリ同期信号、443は全トランザクション要求信号、444は同期状態通知信号である。なお、監視LAN404は、本説明の構成や制御には関与していない。また、メモリ412と422は、例えば、HDDである。また、ここで、トランザクションとは、通知すべき状態や電文を通知順に行うやりとりを意味する。
【0030】
図4において、本番系のコントローラ401が障害で停止した場合の切替概要を説明する。本番系(1系)のコントローラ401は、LAN405を介して、所定の周期で待機系(2系)のコントローラ402にハートビートを送信している。同様に、待機系(2系)のコントローラ402は、LAN406を介して、所定の周期で本番系(1系)のコントローラ401にハートビートを送信している。
ここで、1系のコントローラ401は障害停止によって、ハートビートを送信できない状態について説明する。
【0031】
1系のコントローラ401は、障害停止の状態のため、ハートビートを送信することができない。従って、2系のコントローラ402は、所定の期間内に1系のコントローラ401からのハートビートを受信することができない。この場合、2系のコントローラ402は、途絶検知と判定し、1系コントローラ401が障害停止したと判定する。そして、2系のコントローラ402は、自系への切替パルスをオンにする(即ち、2系のコントローラ402は、自系への切替パルス信号428を制御切替器403に出力する。)。
次に制御切換器403は、両コントローラ401および402の2系タリー414および424をON(オン)にし、同時に、1系タリー413および423をOFF(オフ)にする。
なお、1系が停止状態の間は、1系のコントローラ401は、コントローラ自体のRAS接点出力信号412を制御切換器403に出力することにより、アラームランプ(例えば、MTXコントローラのアラームランプ21−1)を点灯する。
さらに、ハートビートは、上述のように、電文で通信され、複数の経路があり、それらどれか1つでもハートビートが認められれば稼動していると判定する。
【0032】
図5によって、本発明のビデオサーバシステムの一実施例の切替制御の状態について説明する。図5は、本発明のビデオサーバシステムの切替制御の一実施例の状態一覧を示す。
(1)状態名称が「停止状態」の場合は、略称記号D(Deactivate State)で、コントローラプロセス停止状態で、OSレベルのみ動作する状態である。プログラムの入れ替えや停止を前提とした保守作業を想定している(ソフトウェア的には状態を定義せず)。
(2)状態名称が「オフライン状態」の場合は、略称記号OF(Offline State)で、コントローラプロセスは起動するが、制御は行わない状態である。環境パラメータの変更を想定している。
(3)状態名称が「本番系として同期待ち」の場合は、略称記号PR(Primary Recovery State)で、本番系タリーが入っている(オン状態である)コントローラが、制御するために必要な情報をメモリに展開中の状態である。基本的には情報管理部へ全スケジュール要求を出す。情報管理部からスケジュールが届きだしたら、同期中へ移行し制御を開始する。情報管理部と接続できない場合はメモリ(例えば、HDD)にあるスケジュールを使用する。なお、コントローラと通信する情報サーバ、およびアラーム監視サーバを含んだものが、情報管理部である。
(4)状態名称が「本番系として同期中」の場合は、略称記号PM(Primary Mode State)で、本番系として制御状態であり、情報管理部からのスケジュールを受信(同期)し、待機系へ通知(同期)する。制御による状態の変更やトランザクションの状態も通知(同期)する。
(5)状態名称が「待機系として同期待ち」の場合は、略称記号SR(Secondary Recovery State)で、立ち上がり時待機系である場合、本番系に全同期要求を送信すし、同期状態通知(=全同期完了)を受信するまでの間、同期待ちである。本番系は一瞬でも同期要求データが無くなれば、同期完了連絡が通知されるものとする。
(6)状態名称が「待機系として同期中」の場合は、略称記号SM(Secondary Mode State)で、全同期が完了する都度同期中の状態である。ハートビートが途切れると、自系へ切替パルスを出す。自系のタリーが来る(オンである)と本番系(PM)として即時に切替われる状態である。
【0033】
また図6によって、本発明のビデオサーバシステムの切替制御の一実施例の状態遷移を説明する。図6は、本発明のビデオサーバシステムの切替制御の一実施例の状態遷移を示す図である。601は停止状態(D)、602はオフライン状態(OF)、603はオンライン状態全体、604は本番系としての同期待ち状態(PR)、605は本番系としての同期中状態(PM)、606は待機系としての同期待ち状態(PS)、607は待機系としての同期中状態(SM)である。
【0034】
停止状態(D)601において、コントローラソフトを起動すると、オフライン状態(OF)602に移行する。
オフライン状態(OF)602において、所定の時間を経過後に、オンライン状態603に移行する。
本番系として同期待ちの状態(PR)604および待機系として同期待ちの状態(SR)606に移行するかは、それぞれのコントローラに入力される1系と2系のタリーの状態(オンかオフか)による。即ち、タリーのオンオフ信号が入力されることによって、それぞれのコントローラ1および2は、1系が本番系であるか2系が本番系であるかを知ることができる。例えば、1系タリー413と423がオンならば1系が本番系(2系タリー414と424がオフ)であり、2系タリー414と424がオンならば2系が本番系(1系タリー413と423がオフ)である。
本番系として同期待ちの状態(PR)604においては、情報管理部へ全スケジュール要求が受け付けられ、スケジュール受信開始となる(情報管理なしの場合には、HDD情報となる)。情報管理部からスケジュールが届きだしたら、完了していなくても所定時間経過後処理を開始し、本番系として同期中(PM)605に移行する。
本番系として同期中(PM)605において、本番系に障害があった場合には、ハートビートを停止する。しかし、タリーが自系側オンの状態にあった場合には、本番系として同期中(PM)であり続ける。
【0035】
本番系として同期中(PM)605において、本番系で重大障害となった場合には、本番系はハートビートを停止する。その後、待機系があれば待機系のパルスによりタリーが切替わる。その結果、待機系としての同期待ち状態(SR)606に移行する。ただし、重大障害が回復するまで、本番系のハートビートは停止のままである。
また、本番系として同期中(PM)605において、手動切替ボタン(MANU)が押された場合には、タリーに従い、本番系から待機系との切替同期中(SM)に移607に移行する。ここで、コンソールからのSWAP要求コマンド「monswap」では、AUTO(自動切替)の操作となり、本番系の切替制御状態が「本番系として同期中(PM)」から、「待機中として同期待ち(SR)」を経由して、「待機系として同期中(SM)」に移行する。なお、コンソールはコントローラが搭載されるラック毎に1台設けられるコントローラ画面を表示するモニタやキーボード等を備えた入出力装置である。
【0036】
待機系として同期待ちの状態(SR)606においては、本番系とのメモリ同期状態が一瞬でも一致(完了)した場合(本番系から完了通知を受信)には、待機系として同期中(SM)607に移行する。
待機系として同期中(SM)607において、待機系に障害があった場合には、ハートビート出力を停止する。しかし、タリーが自系側オンの状態にあった場合には、本番系として同期中(PM)604に移行する。
【0037】
ここで、図6の本番系として同期待ち(PR)604と待機系として同期待ち(SR)606間では、手動切替ボタン(MANU)が押されて場合に、本番系と待機系との切替が実行される。
なお、図6において、各状態で、停止コマンドを受けると、停止状態に移行する(図中では省略)。また、各状態で、重大障害が発生すると、アプリケーションが生きていればハートビートを停止することで切替が行われ、待機系として同期待ちに移行する。しかし、ハングアップ状態では、停止状態とみなす(図中では省略)。さらに、外部装置から、データ再取得が不要なコントローラは、本番系として同期待ちは無く、本番系同期中へ遷移する。
【0038】
次に、ハートビートについて、若干説明する。図1におけるコントローラ(収録コントローラ、16分割制御装置およびMTXコントローラ(図3、図4参照))は、お互いに相手が正常に動作しているかを相互に監視している。ハートビートは、LAN通信のUDP(User Datagram Protocol)電文で行い、その電文には、自コントローラの制御状態を入れて送信している。図7は、本発明のビデオサーバシステムの相互監視の電文通知の一実施例を示す図である。
監視には、2つのネットワークを利用している。一方では二重化されボンディング制御で冗長された制御ネットワークLANを使用し、もう片方では監視ネットワークLANを使用して行う。なお、ボンディング(チャネル結合)された2つの制御ネットワークLANへの接続は別々のLANボードに設定し、また監視ネットワークLANとは別にしている。
図7の実施例では、監視は、双方から一定周期(1秒)毎に送信した電文に対して、相手側が途絶(2.5秒)を監視し、両方のルートが途絶している場合に、系切替えが必要な障害(NG)が発生したと判定している。
【0039】
なお、複数経路が全て切断状態では、両方が本番系になろうとし、切替えが連続してしまう。それを回避するため、切替え済み状態(ラッチ)を設けて切替えが発生したあとは、一度正常に通信できない限り自動切替え動作を行わないようにしている。この結果、切替えが連続して発生する(バタツキ)ことを防止している。
【0040】
次に、本発明のビデオサーバシステムにおける同期処理の一実施例を図8によって説明する。同期処理は、2本の制御ネットワークLANを使用して行う。図8は、本発明のビデオサーバシステムの一実施例の同期処理を説明するための模式図である。
図1における本番系と待機系のコントローラ(収録コントローラ、16分割制御装置およびMTXコントローラ(図3、図4参照))は、それぞれ、業務処理毎の状態(ステータス)を共有領域で管理する。なお、801は本番系の制御装置(コントローラ)、802は待機系の制御装置(コントローラ)である。
【0041】
図8の同期処理において、共有領域の変更があると、本番系のコントローラ801から待機系のコントローラ802に状態通知を行い、常に同期しておく。コントローラ802は、メモリ同期カウンタ異常を検知する(1)と、全トランザクション要求をコントローラ802に要求する(2)。これに対して、コントローラ801は、同期監視プロセス部が、全トランザクション要求をUP制御部に出力し(4)、UP(User Application)制御部はメモリ(共有領域)からデータを取得してまとめ(5)、全トランザクション通知を同期監視プロセス部に出力する(6)。
次に、コントローラ801は、コントローラ2に、全トランザクション応答をコントローラ802に出力し(3)、さらに、全トランザクション通知を出力し(7)、さらに同期状態通知を出力する(11)。
コントローラ802は、同期監視部が全トランザクション通知をUP制御部に出力し、UP制御部は、メモリ(共有領域)にデータを展開する(9)。
このように、起動時の同期待ちの同期処理は、同期監視プロセスから、メモリ同期が必要な各プロセスに全トランザクション要求を通知する。通知を受けた各プログラムが全トランザクションデータとしてまとめて同期監視プロセスへ通知する。変更順序が入れ替わってはいけないデータはまとめることとする。最後に同期の状態を連絡する同期状態通知を送信する。
【0042】
図9によって、さらに本発明のビデオサーバシステムを説明する。図9は、本発明のビデオサーバシステムの一実施例を説明するための略構成図である。説明に不要な部分は図示していない。152は情報管理サーバ、101は本番系の収録コントローラ、101−2は待機系の収録コントローラ、902は本番系の収録コントローラ101に接続される他の機器で、本番系のMTXコントローラ105と本番系の高解像度/低解像度エンコーダ108の他の機器は省略している。901は本番系の収録コントローラ101の内部の状態共有領域、901−2は待機系の収録コントローラ101−2の内部の状態共有領域である。
図9に示すように、上位のサーバ(情報管理サーバ152)からコントローラへ入力された指示を取りこぼしてはいけないので、本番系の内部の状態共有領域901に取り込んでおくだけではなく、待機系であっても、一旦、内部の状態共有領域901−2に取り込んでおく。
図9において、上位機種である情報管理サーバ152から、指示電文が入力されると、本番系の収録コントローラ101は、その指示電文の内容を状態共有領域901に保存すると共に、受信されたことを示す応答を情報管理サーバ152に出力し、かつ、待機系の収録コントローラ101−2の状態共有領域901にメモリ同期電文を出力する。待機系の収録コントローラ101−2では、情報管理サーバ152から入力された指示電文の内容を状態共有領域901−2に保存するが、その後、本番系の収録コントローラ101から入力された指示電文の内容(メモリ同期電文)で上書き保存する。
【0043】
これは、待機系の16分割制御装置103−2や待機系のMTXコントローラ105−2でも同様で、上位から入力された指示を、待機系であっても、一旦、内部の状態共有領域等の記録領域に取り込んでおく。
【0044】
図10によって、図8で説明した本発明のビデオサーバシステムの同期監視処理動作を、フローを使って説明する。図10は、本発明のビデオサーバシステムの同期監視処理動作の一実施例の手順を説明するための図である。
図10において、ステップ1001では、制御LANのハートビートが正常であるか否かを判定する。正常(YES)であればステップ1005に進み、異常(NO)であればステップ1002に進む。
ステップ1002では、監視LANのハートビートが正常であるか否かを判定する。正常(YES)であればステップ1005に進み、異常(NO)であればステップ1003に進む。
ステップ1003では、待機系が異常であるか否かを判定する。異常(NO)であれば、処理を終了し、正常(YES)であればステップ1004に進む。
ステップ1004では、自系への切替パルスを出力し、処理を終了する。
またステップ1005では、ステータスは正常であるとして、本番系と待機系をそれぞれ維持し、処理を終了する。
【0045】
上述の実施例のように、本番系がシステム稼動の制御をしているが、待機系へいつでも切替えられるように、制御状態を通知している。このデータの通知をデータの同期処理という。お互いに、それら同期の状態を認識する必要があり、ハートビートにその状態を、入れて通知している。
【0046】
上記図1〜図10の実施例によれば、制御コントローラでに障害に対して、二重化した各系の相互監視が適切に制御されることによって、システム制御に影響なく切替を行うことができる。また、同期制御によって、切替後も切替前の処理を引き継ぎ、システム制御に影響なく切替を行うことができる。この結果、制御コントローラの冗長性が高まり、信頼性が向上した。
【符号の説明】
【0047】
100:収録系統部、 101:本番系の収録コントローラ、 101−2:待機系の収録コントローラ、 102:収録制御切替器、 103:本番系の16分割制御装置、 103−2:待機系の16分割制御装置、 104:16分割合成装置、 105:本番系のマトリックス(MTX)コントローラ、 105−2:待機系のマトリックス(MTX)コントローラ、 106:RS422切替器、 107:2:1切替器、 108:高解像度/低解像度エンコーダ、 109:収録転送装置、 151:報道情報システム、 152:情報管理サーバ、 153:再生収録端末、 154:収録端末、 161:素材管理サーバ、 162:プロキシ管理サーバ、 171:素材サーバ、 172:プロキシサーバ、 181、182:マトリックススイッチ(MTX)、 401:本番系のコントローラ(コントローラ1)、 402:待機系のコントローラ(コントローラ2)、 403:制御切替パネル、 404:監視LAN、 405:1系制御LAN、 406:2系制御LAN、 411、412:RAS接点出力信号、 412、422:メモリ、 413、423:1系タリー、 414、424:2系タリー、 415、425:AUTO制御信号、 416、426:MANUAL制御信号、 417、427:自系アラームレベル信号、 418、428:自系への切替パルス信号、 441:ハートビート、 442:メモリ同期信号、 443:全トランザクション要求信号、 444:同期状態通知信号、 901、901−2:状態共有領域、 902:本番系の収録コントローラ101に接続される他の機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ登録された収録スケジュールに基づいて収録する収録素材の情報を通知する情報管理サーバと、複数の系統の収録素材が同時に入力され、入力された前記複数の収録素材の中から選択された収録素材を複数系統出力するスイッチャと、前記スイッチャから出力された複数系統の収録素材を保存するサーバと、前記通知された情報に従って前記スイッチャを制御する収録系統部と、前記情報管理サーバを操作する収録端末装置とを備えたビデオサーバシステムにおいて、
前記収録系統部は、常に稼働する少なくとも本番系と待機系の2つの系の収録コントローラ、16分割制御装置、およびMTXコントローラを有し、一方の系の収録コントローラ、16分割制御装置、およびMTXコントローラが本番系として収録系統部の制御を行い、他方の系を待機系とし、前記本番系の前記収録コントローラ、前記16分割制御装置、又は前記MTXコントローラの1つに障害を発生した時には、待機系の当該コントローラが本番系に切替えられて、収録系統部の動作が停止しないように切替えられることを特徴とするビデオサーバシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−147364(P2012−147364A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5740(P2011−5740)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】