説明

ビデオサーバ及び送出スタンバイ方法

【課題】放送直前のコンテンツの変更を安全に実施できるようにすること。
【解決手段】本実施形態に係るビデオサーバは、通常時に送出する通常コンテンツC1が収録される通常コンテンツ記憶部52と、非常時に送出する救済コンテンツが予め収録される救済コンテンツ記憶部53と、APCからのスタンバイ指示に従って前記通常コンテンツ記憶部52から前記通常コンテンツC1の事前読出しを行う第1スタンバイを実行し、前記第1スタンバイの状態下で前記第1コンテンツを変更するために削除するときは、前記救済コンテンツ記憶部53から前記救済コンテンツの事前読出しを行う第2スタンバイを実行し、前記第2スタンバイが完了した場合は前記通常コンテンツC1を削除し、前記第2スタンバイが完了しなかった場合は前記通常コンテンツC1の削除を行わないように制御する制御部51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放送番組を送出するビデオサーバ及び送出スタンバイ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局向けビデオサーバは、地上放送、BS(放送衛星)放送、CS(通信衛星)放送へとコンテンツが大容量化、多チャネル化してきた。その結果、コンテンツの大容量化はビデオサーバへのコンテンツの収録や削除などの操作時間の増加を招き、ビデオサーバへのコンテンツに対する操作を放送直前まで実施する必要が発生した。また、多チャンネル化により、ビデオサーバへの制御数が増加し、ビデオサーバは複数の制御ポートを持ち複数の制御に対応する必要が発生した。
【0003】
一方、ビデオサーバは、放送開始時に確実にコンテンツを再生できるように、現在再生中のコンテンツの次の素材を2つないし3つ程度のコンテンツの放送開始位置を事前にデコードして放送開始に備えている(スタンバイ)機能があり、放送直前のコンテンツの変更に支障をきたす場合があるという問題がある。
【0004】
また、複数の制御が同時にビデオサーバに対して行われた場合、ある制御ポートで放送予定のコンテンツを、別の制御ポートでは削除して、放送に支障を来す場合があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−171361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビデオサーバは、放送開始時に確実にコンテンツを再生できるように、現在再生中のコンテンツの次のコンテンツを2つないし3つ程度の放送開始位置を事前にデコードして放送開始に備えている(スタンバイ)機能がある。放送直前のコンテンツの変更を行う場合、放送の安全性を考慮して事前にスタンバイしたコンテンツを停止するため、コンテンツ変更後にスタンバイが遅れた場合、またはスタンバイ自体が失敗した場合、放送に支障をきたす場合があるという問題がある。
【0007】
本実施形態の目的は、放送直前のコンテンツの変更を安全に実施できるようにするビデオサーバ及び送出スタンバイ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係るビデオサーバは、通常時に送出する第1コンテンツが収録される第1記憶部と、非常時に送出する第2コンテンツが予め収録される第2記憶部と、上位装置からのスタンバイ指示に従って前記第1記憶部から前記第1コンテンツの事前読出しを行う第1スタンバイを実行し、前記第1スタンバイの状態下で前記第1コンテンツを変更するために削除するときは、前記第2記憶部から前記第2コンテンツの事前読出しを行う第2スタンバイを実行し、前記第2スタンバイが完了した場合は前記第1コンテンツを削除し、前記第2スタンバイが完了しなかった場合は前記第1コンテンツの削除を行わないように制御する制御手段とを具備する。
【0009】
本実施形態に係る送出スタンバイ方法は、通常時に送出する第1コンテンツが収録される第1記憶部と、非常時に送出する第2コンテンツが予め収録される第2記憶部とを具備するビデオサーバに用いられる方法であって、上位装置からのスタンバイ指示に従って前記第1記憶部から前記第1コンテンツの事前読出しを行う第1スタンバイを実行し、前記第1スタンバイの状態下で前記第1コンテンツを変更するために削除するときは、前記第2記憶部から前記第2コンテンツの事前読出しを行う第2スタンバイを実行し、前記第2スタンバイが完了した場合は前記第1コンテンツを削除し、前記第2スタンバイが完了しなかった場合は前記第1コンテンツの削除を行わないように制御するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るビデオサーバを含むシステム全体図である。
【図2】スタンバイ状態のコンテンツを削除した場合の動作を示す図。
【図3】コンテンツが再収録された場合の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係るビデオサーバ及び送出スタンバイ方法を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るビデオサーバを含むシステム全体図である。ビデオサーバ5は、ビデオカメラ1や、映像記録メディア2を再生する再生デッキ3などからの映像信号を入力し、あるいはノンリニア編集機4から映像ファイルを受信し、ビデオサーバ内の記憶部にコンテンツとして収録する。また、ビデオサーバ5は、収録したコンテンツを再生し、放送設備7や映像確認用モニタ8へ映像信号として送出する。これらの収録動作、再生送出動作は操作端末6からの制御によって実行される。
【0013】
次に、本実施形態に係るビデオサーバ5の動作について各実施例に従って説明する。
【0014】
(実施例1)
図2は、ビデオサーバ5においてスタンバイ状態のコンテンツを削除した場合の動作を示す図である。ビデオサーバ5は、コンテンツの収録やスタンバイ制御を行う制御部51と、通常時に送出する通常コンテンツ(コンテンツC1)が収録される通常コンテンツ記憶部52と、非常時に送出する救済コンテンツが予め収録される救済コンテンツ記憶部53とを備える。なお、スタンバイ状態とは、コンテンツの放送開始位置を事前にデコードして放送開始に備えている状態をいう。
【0015】
ビデオサーバ5の制御部51は、自動番組送出設備(APC)等の放送システムから放送予定のコンテンツC1のスタンバイ指示を受けると(ステップS11)、通常コンテンツ記憶部52からコンテンツC1の放送開始位置の映像を事前に読み出して放送開始に備えるスタンバイ状態に遷移する(ステップS12)。
【0016】
例えば、このスタンバイ状態のコンテンツC1をユーザが変更する場合、コンテンツ管理システムからビデオサーバ5に対して通常コンテンツC1の削除を指示する(ステップS13)。制御部51は、コンテンツC1が既にスタンバイ状態であれば、救済コンテンツをスタンバイする(ステップS14)。救済コンテンツのスタンバイが完了した場合は、制御部51は、削除要求があったコンテンツC1の削除を実施する(ステップS15)。一方、救済コンテンツのスタンバイが完了しなかった場合は、コンテンツC1の削除は実施しない。
【0017】
(実施例2)
図3は、ビデオサーバ5において救済コンテンツのスタンバイ中に、コンテンツが再収録された場合の動作を示す図である。
【0018】
ビデオサーバ5の制御部51は、APC等の放送システムからコンテンツC1のスタンバイの指示を受けたときにコンテンツC1が未収録でスタンバイに失敗して救済コンテンツがスタンバイしている場合、または、上記実施例1のように救済コンテンツがスタンバイしている状態において、コンテンツ管理システムからビデオサーバ5にコンテンツC1の再度の収録指示を行う(ステップS21)。制御部51は、コンテンツC1の再収録を実施する(ステップS22)。制御部51は、コンテンツC1の再収録がスタンバイする予定であった位置まで収録が完了した場合は、救済コンテンツのスタンバイを解除して(ステップS23)、収録中のコンテンツC1を再度スタンバイしなおす(ステップS24)。
【0019】
以上述べたように本実施形態に係るビデオサーバでは、すでにスタンバイ状態のコンテンツを削除した場合でも、削除したコンテンツの再収録に失敗して放送が途切れさせないように、予め収録済みの救済コンテンツを自動的にスタンバイするようにする。さらに、スタンバイ状態のコンテンツを削除して再度収録を行ない、スタンバイ位置まで収録をすると自動的に再度スタンバイを行なうようにしている。
【0020】
したがって、本実施形態に係るビデオサーバによれば、放送直前のコンテンツの変更を放送に支障をきたすことなく安全に実施することが可能となる。
【0021】
なお、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0022】
1…ビデオカメラ、2…映像記録メディア、3…再生デッキ、4…ノンリニア編集機、5…ビデオサーバ、6…操作端末、7…放送設備、8…映像確認用モニタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常時に送出する第1コンテンツが収録される第1記憶部と、
非常時に送出する第2コンテンツが予め収録される第2記憶部と、
上位装置からのスタンバイ指示に従って前記第1記憶部から前記第1コンテンツの事前読出しを行う第1スタンバイを実行し、前記第1スタンバイの状態下で前記第1コンテンツを変更するために削除するときは、前記第2記憶部から前記第2コンテンツの事前読出しを行う第2スタンバイを実行し、前記第2スタンバイが完了した場合は前記第1コンテンツを削除し、前記第2スタンバイが完了しなかった場合は前記第1コンテンツの削除を行わないように制御する制御手段と
を具備することを特徴とするビデオサーバ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2スタンバイの状態下で前記第1コンテンツの再収録がスタンバイ位置まで完了した場合は、前記第2スタンバイを解除して前記第1スタンバイを再実行することを特徴とする請求項1に記載のビデオサーバ。
【請求項3】
通常時に送出する第1コンテンツが収録される第1記憶部と、
非常時に送出する第2コンテンツが予め収録される第2記憶部とを具備するビデオサーバに用いられる方法であって、
上位装置からのスタンバイ指示に従って前記第1記憶部から前記第1コンテンツの事前読出しを行う第1スタンバイを実行し、
前記第1スタンバイの状態下で前記第1コンテンツを変更するために削除するときは、前記第2記憶部から前記第2コンテンツの事前読出しを行う第2スタンバイを実行し、
前記第2スタンバイが完了した場合は前記第1コンテンツを削除し、前記第2スタンバイが完了しなかった場合は前記第1コンテンツの削除を行わないように制御することを特徴とする送出スタンバイ方法。
【請求項4】
前記制御することは、前記第2スタンバイの状態下で前記第1コンテンツの再収録がスタンバイ位置まで完了した場合は、前記第2スタンバイを解除して前記第1スタンバイを再実行することを特徴とする請求項3に記載の送出スタンバイ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−227754(P2012−227754A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93898(P2011−93898)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】