説明

ビデオデータの再生を管理するためのデータ構造を有する記録媒体、上記データ構造の再生と記録のための装置及び方法

【課題】タイトル、チャプター及び/または多重再生パスを基盤にしてビデオデータの再生を管理できるようにするファイルまたはデータ構造を有する記録媒体、及び前記データ構造を記録再生する装置と方法を提供する。
【解決手段】データ構造には一般情報ファイルを格納する一般情報ファイル領域がある。一般情報ファイルには、記録媒体に記録されるビデオデータのタイトルを形成する再生リストファイルを識別する再生リスト識別子とビデオデータの再生をタイトル単位で管理するタイトル管理情報が含まれる。再生リストディレクトリ領域には少なくとも1つ以上の再生リストディレクトリがあり、各再生リストディレクトリには一般情報ファイルにある再生リスト識別子により識別された再生リストファイルが少なくとも1つ以上ある。各再生リストファイルは1つ以上の再生アイテムを識別して、各再生アイテムはビデオデータのクリップを識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多重再生パスを有するビデオデータの再生を管理するためのデータ構造を有する記録媒体、上記データ構造の再生と記録のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、高画質のビデオデータと高音質のオーディオデータを高容量記録できる新しい高密度再生専用または再記録可能光ディスクに対する規格化作業が急速に展開され、再記録可能ブルーレイディスク(BD−RE:Blue-ray Disc Rewritable)のような新しい光ディスクと関連した製品がまもなく商用化されることが期待されている。
【0003】
図1は、再記録可能ブルーレイディスク(BD−RE)のファイル構造を示したものである。ファイル構造またはデータ構造は、BD−REに記録されるビデオ・オーディオデータの再生を管理するようになっている。図1に示したように、データ構造は少なくとも1つ以上の‘BDAV’ディレクトリを有するルートディレクトリを含む。「BDAV」ディレクトリには「info.bdav」、「menu.tidx」、「mark.tidx」を含み、さらに「*.rpls」、「*.vpls」のような再生リストファイルが格納されるPLAYLISTサブディレクトリ、「*.clpi」のようなクリップ情報ファイルが格納されるCLIPINFサブディレクトリ、クリップ情報ファイルに対応するMPEG−2フォーマットのA/Vストリームクリップファイルが格納されるSTREAMサブディレクトリが含まれる。図1は、ディスクのデータ構造だけでなくディスクの領域をも示している。例えば、「info.bdav」のような一般情報ファイルはディスクの一般情報領域に格納される。
【0004】
図1に示したBD−REのデータ構造とディスクフォーマットは広く知られていて容易に利用できるので、ファイル構造に対しては簡単に説明する。
【0005】
前述したように、STREAMのディレクトリにはクリップと呼ばれるMPEG−2フォーマットのA/Vストリームファイルが含まれている。また、ブリッジ−クリップA/Vストリームファイル(Bridge-clip A/V stream file)という特別な形態のクリップも含まれことがある。ブリッジ−クリップはクリップの中から選択された二つ以上の再生区間をシームレスに連結するために使用され、通常、クリップに比べてデータサイズが小さい。
【0006】
CLIPINFのディレクトリには各A/Vストリームファイルに関連したクリップ情報ファイルが含まれる。クリップ情報ファイルは、関連するA/Vストリームの類型、関連するA/Vストリームにあるソースパケットの数、さらには、到着時間(ATC)及び/またはシステム時間(STC)を基準にした、関連するA/Vストリームにあるソースパケットに対する時間情報を示す。
【0007】
SLAYLISTのディレクトリには1つ以上の再生リストファイルがある。再生リストは再生のためのクリップを容易に編集したり組み合わせるために導入された概念である。再生リストファイルはクリップにある再生区間の集合であって、各再生区間は再生アイテム「Playitem」と呼ばれる。再生リストファイルは再生リストを形成している各再生アイテムを識別する。各再生アイテムは、例えば、ATCまたはSTC基準でクリップの時間軸上の位置を指すIN−pointとOUT−pointの対である。換言すれば、再生リストファイルは再生アイテムを識別し、各再生アイテムは1つのクリップまたはその一部を示して、そのクリップと関連するクリップ情報ファイルを識別する。
【0008】
SLAYLISTのディレクトリには実再生リスト「*.rpls」と仮想再生リスト「*.vpls」が含まれる。実再生リストはクリップだけを用いてブリッジ−クリップは用いることができない。すなわち、実再生リストはクリップの一部を参照することであって、概念的にディスク上でクリップの一部を参照することと同等と見られている。仮想再生リストはクリップとブリッジ−クリップの双方を用いることができるので、実再生リストの概念は仮想再生リストと並存しない。
【0009】
「info.bdav」ファイルは光ディスクに記録されるA/Vストリームの再生を管理する一般的な情報を提供する一般情報ファイルであって、さらに詳細には同じBDAVディレクトリのSLAYLISTのディレクトリにある再生リストのファイル名を識別する再生リストテーブルを含む。
【0010】
「menu.tidx」、「menu.tdt1」、「menu.tdt2」ファイルはメニューサムネイルと関連した情報を格納する。「mark.tidx」、「mark.tdt1」、「mark.tdt2」ファイルはマークサムネイルと関連した情報を格納する。このようなファイルは本発明と直接的な関連がないので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0011】
最近ではブルーレイロム(BD−ROM:Blu-ray ROM)のような高密度再生専用光ディスクに対する規格化作業も進んでいる。しかし、BD−ROMのような高密度再生専用光ディスクに記録されるビデオ・オーディオデータの再生を管理するデータ構造に対する効率的な解決方案がまだ用意されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は前記のような実情を勘案して創作されたものであって、本発明の目的は、タイトル、チャプター(Chapter)、及び/または多重再生パス(Multiple reproduction path)を基盤にしてビデオデータの再生を管理できるようにするファイルまたはデータ構造を有する記録媒体を提供することであって、かつ前記のようなデータ構造を記録し、再生する装置と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるデータ構造では、一般情報ファイルが記録媒体の一般情報ファイル領域に記録される。その一般情報は記録媒体に記録される再生リストを識別して、再生リストが指示するビデオデータの再生をタイトルによって管理するタイトル管理情報を含んでいる。本発明による一実施態様では、タイトル管理情報は、どの再生リストファイルがどのタイトルに属しているかを示し、タイトルと再生リスト間に1対1の対応関係を作る。
【0014】
本発明によるデータ構造に、再生リストがタイトルの再生をチャプターによって管理するチャプター管理情報をも含めても良い。本発明による一実施態様では、チャプター管理情報には再生リストにある各再生アイテムと関連するチャプターエントリーフラグが含まれており、そのチャプターエントリーフラグはその再生アイテムがチャプターの開始か否かを示す。他の実施態様では、チャプター管理情報にはチャプターの個数と各チャプターが始まるビデオデータにおける時間を示す情報フィールドが含まれる。
【0015】
本発明によるデータ構造では、多重再生パスビデオデータの再生を管理するパス管理情報が再生リストに含まれている。本発明による一実施態様では、各再生アイテムには再生アイテムが属するパスを識別する情報が含まれる。
【0016】
本発明はさらに、上記発明にしたがってデータ構造を記録し再生する装置と方法をも提供する。
【0017】
本発明は、タイトル、チャプター及び/又は多重再生パスに基づいてビデオデータの再生を管理できるファイルとデータ構造を持つ記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0018】
したがって、前記のように構成される本発明は、タイトル、チャプター、多重再生パスをベースにしてビデオデータの再生を管理できるので、ユーザーの嗜好や便宜に合せてビデオデータを再生できる柔軟性を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に対する望ましい実施形態に対して、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
本発明による高密度光ディスク、例えばBD−ROMは、図2に示したように、ビデオ・オーディオデータの再生を管理するファイルまたはデータ構造を有する。図2のような本発明によるデータ構造は様々な面で図1に図示したBD−REのデータ構造と同様である。したがって、同様の部分は詳細な説明を省略する。
【0021】
図2に示したように、ルートディレクトリには少なくとも1つ以上のDVPディレクトリがある。DVPディレクトリには一般情報ファイル「info.dvp」、実再生リストファイル「*.rpls」と仮想再生リストファイル「*.vpls」が格納されるSLAYLISTディレクトリ、クリップ情報ファイル「*.clpi」が格納されるCLIPINFディレクトリ、さらにクリップ情報ファイルに対応するMPEG−2フォーマットのA/Vストリームクリップファイル「*.m2ts」が格納されるSTREAMディレクトリが含まれている。
【0022】
STREAMディレクトリにはクリップと呼ばれるMPEG−2フォーマットのA/Vストリームファイルが含まれており、また、ブリッジ−クリップA/Vストリームファイルと呼ばれる特別な形態のクリップも含まれている。ブリッジ−クリップはクリップのうちから選択された二つ以上の再生区間をシームレスに連結するために使われ、一般にクリップに比べてデータサイズが小さい。
【0023】
CLIPINFディレクトリには各A/Vストリームファイルに関連するクリップ情報ファイルが含まれる。そのクリップ情報ファイルは関連するA/Vストリームの類型、関連するA/Vストリームにあるソースパケットの数、そして到着時間ATC及び/またはシステム時間STCを基準にして、関連するA/Vストリームにあるソースパケットに対する時間情報を示す。
【0024】
SLAYLISTディレクトリは1つ以上の再生リストファイルを含む。再生リストは再生のためにクリップを編集したり組み合わせたりするのを容易にするために導入された概念である。再生リストファイルはクリップにある再生区間の集合であって、各再生区間は再生アイテムと呼ばれる。再生リストファイルは再生リストを形成している各再生アイテムを識別する。各再生アイテムは、例えば、ATCまたはSTCを基準にして、クリップの時間軸上の位置を示すIN−pointとOUT−pointの対である。換言すれば、再生リストファイルは1つのクリップまたはその一部を指示する再生アイテムを識別し、そのクリップに関連するクリップ情報ファイルを識別する。
【0025】
SLAYLISTディレクトリには実再生リスト「*.rpls」と仮想再生リスト「*.vpls」が含まれる。実再生リストはクリップだけを用いてブリッジ−クリップは用いることができない。すなわち、実再生リストはクリップの一部を参照することとされるので、概念的にディスク上でクリップの一部を参照することと同等と見なされる。仮想再生リストはクリップとブリッジ−クリップをすべて用いることができるので、実再生リストの概念は仮想再生リストと並存しない。
【0026】
「info.dvp」ファイルは光ディスクに記録されるA/Vストリームの再生を管理する一般的な情報を提供する一般情報ファイルであって、さらに詳細には同じ DVPディレクトリのSLAYLISTディレクトリにある再生リストのファイル名を識別する再生リストテーブルを含む。「info.dvp」ファイルに対しては本発明の実施形態と関連して次にさらに詳細に説明する。
【0027】
図2は、本発明の実施形態によって記録媒体のデータ構造を示しているだけでなく、記録媒体の領域をも示している。例えば、一般情報ファイルは1つ以上の一般情報領域に記録され、再生リストディレクトリは1つ以上の再生リストディレクトリ領域に記録され、再生リストディレクトリ内の各再生リストは記録媒体の1つ以上の再生リスト領域に記録される。図3のデータ構造を有する記録媒体を例示している図10に示したように、記録媒体にはファイルシステム情報領域、データベース領域、そしてA/Vストリーム領域が含まれている。データベース領域には一般情報ファイルと再生リスト情報が記録される領域とクリップ情報領域とが含まれている。一般情報ファイルと再生リスト情報が記録される領域には、一般情報ファイル領域に一般情報ファイルが記録され、再生リスト情報領域にSLAYLISTディレクトリと再生リストファイルが記録される。クリップ情報領域には、CLIPINFディレクトリと、関連クリップ情報ファイルが記録される。A/Vストリーム領域には多様なタイトルのA/Vストリームが記録される。
【0028】
ビデオ・オーディオデータは一般に個別タイトルで編成されている。例えば、ビデオ・オーディオデータにより表現される異なる映画はそれぞれ異なるタイトルで編成される。また、タイトルは、本がチャプター(章)として編成されるように様々な独立のチャプターに編成されている。
【0029】
図3ないし図5を参照して以下に詳細に記述するが、図2に示したように、一般情報ファイル「info.dvp」にはビデオ・オーディオデータの再生をタイトルによって管理するタイトル管理情報が含まれ、再生リストにはタイトルの再生をチャプターによって管理するチャプター管理情報が含まれる。
【0030】
BD−ROMのような新しい高密度記録媒体は格納容量が非常に大きいため、タイトルの様々なバージョンを記録でき、また1タイトルの一部を格納することができ、それらを媒体から再生することができる。例えば、異なるカメラ角度のビデオデータを記録媒体に記録することができたり、1タイトルの成人バージョン、青年バージョン、そして父母が制限できる子供バージョンなどバージョンすなわちタイトルの部分を前記記録媒体に記録することができる。各バージョンは異なる再生パスを有し、この例ようなビデオデータは多重再生パスビデオデータと呼ばれる。異なるカメラ角度バージョンと両親による制限バージョンについて言及しているが、本発明は多重再生パスビデオデータのあらゆる類型またはそれらの組合せに適用することができる。図2ないし図5を参照してさらに詳細に説明するが、本発明の実施形態では記録媒体に記録される多重再生パスビデオデータの再生を管理するためのパス管理情報が各再生リストファイルに含まれる。
【0031】
図2に示したように、本発明の最初の実施形態によれば、各タイトルはSLAYLISTディレクトリの単一の再生リストに関連させられており、タイトル内の各チャプターは再生リストに含まれた少なくとも1つ以上の再生アイテムと関連している。
【0032】
図2の例で、PlayList1(再生リスト1)にあるPlayItem(再生アイテム)1と2はチャプター1であって、PlayItem(再生アイテム)3ないし6はチャプター2であって、PlayItem(再生アイテム)7と8はチャプター3である。また、再生パス1はPlayItem(再生アイテム)1、3、5、7、再生パス2はPlayItem(再生アイテム)2、4、6、8で構成される。これは単に例示であるだけであって、本発明により許されるパス構造はこれに限られない。
【0033】
図3では本発明の実施形態による一般情報ファイル「info.dvp」の一部を詳細に例示している。一般情報ファイルには「TableOfPlaylists」という情報フィールドがあるが、この再生リストテーブル「TableOfPlaylists」には情報フィールドの長さとDVPディレクトリにある再生リストの数が記録される。そして、各再生リストごとに、この再生リストテーブルに再生リストのファイル名「PlayList_file_name」と再生リストと関連するタイトル管理情報が記録される。特に、タイトル管理情報は、再生リストがタイトルの開始かどうかを示すタイトルエントリーフラグ「Title_entry_flag」である。各タイトルが1つの再生リストに関連する図2のような実施形態においては、タイトルエントリーフラグは各再生リストごとに設定される。
【0034】
また、タイトル管理情報には、図4に図示するように、一般情報ファイル「info.dvp」の一部を構成するタイトルエントリーテーブル「TitleEntryTable」が含まれる。タイトルエントリーテーブルには、情報フィールドの長さ、タイトルの個数「number_of_Titles」が含まれ、各タイトルごとにタイトルと関連する最初の再生リストのファイル名「Entry_PlayList_file_name」が含まれる。他の実施形態では、タイトルエントリーテーブルを一般情報ファイル「info.dvp」と異なるファイルに記録することもできる。
【0035】
各タイトルのチャプターを選択的に照会するために使われるチャプター管理情報は図5に示したように構成された対応する再生リストファイル内に記録される。図5はタイトルの多重再生パスビデオデータの再生を管理するために使われるパス管理情報を再生リストファイルに記録した一例を示している。
【0036】
図5に示したように、各再生リストファイルにはファイルの長さと再生リストを形成する再生アイテムの個数「number_of_PlayItems」が含まれ、各再生アイテムに対して、再生アイテム情報フィールドが設けられている。各再生アイテムは再生アイテムの番号により識別される。再生アイテム情報フィールドにはフィールドの長さ、チャプターエントリーフラグ「Chapter_entry_flag」、そしてパス番号「Path_nuber」が記録される。チャプターエントリーフラグは関連する再生アイテムがチャプターの開始なのか否かを示すチャプター管理情報であって、パス番号は関連する再生アイテムが属するパスを示す。
【0037】
図6は、本発明による光ディスク記録及び再生装置に対する構成を示したものである。A/Vエンコーダ9は、オーディオビデオデータの入力を受けてエンコードして、そのエンコードされた情報をコーディング情報とストリーム属性情報と共にマルチプレクサ8に出力する。マルチプレクサ8は、例えば、入力されたエンコードされた情報とストリーム属性情報に基づいてそのエンコードされたオーディオビデオデータを多重化してMPEG−2伝送ストリームを生成する。ソース・パケッタイザ7はマルチプレクサから入力された伝送パケットを光ディスクのオーディオビデオフォーマットにしたがってソースパケットにパケット化する。図6に示したA/Vエンコーダ9、マルチプレクサ8、ソース・パケッタイザ7の動作はコントローラ10により制御される。コントローラ10がユーザーから記録命令を受信して、A/Vエンコーダ9、マルチプレクサ8、ソース・パケッタイザ7に制御情報を送る。例えば、コントローラ10は、A/Vエンコーダ9に実行すべきエンコード類型を指示し、マルチプレクサ8に生成する伝送ストリームを指示し、そしてソース・パケッタイザ7にソースパケットのフォーマットを指示する。また、コントローラ10はソース・パケッタイザ7の出力を光ディスクに記録するようにドライブ3を制御する。
【0038】
また、前記コントローラ10は光ディスクに記録されているオーディオビデオデータの再生を管理するためのナビゲーション管理情報を生成する。例えば、ユーザーとのインターフェース(ディスクに格納されていたりイントラネットまたはインターネットを介して提供する命令語)を介して受けた情報に基づいて、前記コントローラ10は前記光ディスクに図2ないし図5のデータ構造を記録するように前記ドライブ3を制御する。
【0039】
コントローラ10はさらに光ディスクに記録されるオーディオ・ビデオデータの再生を管理するためのナビゲーション情報と管理情報を生成する。例えば、ユーザインタフェース(例えばディスクに格納された、あるいはコンピュータシステムによってイントラネットやインターネットから提供された命令セット)を介して受信した情報に基づいて、コントローラ10は図2ないし図5のデータ構造を光ディスクに記録するようにドライブ3を制御する。
【0040】
再生するときには、コントローラ10はデータ構造を再生するようにドライブ3を制御する。すなわち、ディスクに含まれた情報とユーザーインターフェース(記録及び再生装置の操作ボタンまたはそれらの装置と関連した遠隔操作)を介して受けたユーザー入力に基づいて、コントローラ10は光ディスクからオーディオ・ビデオソースパケットを再生するようにドライブ3を制御する。例えば、ユーザー入力は再生するタイトル、チャプター及び/またはパスを指定できる。このようなユーザー入力を、例えば、コントローラ10にあらかじめプログラムされたGUI(Graphical User Interface)ベースのメニューを介して指定できる。ユーザー入力と光ディスクから読み出されたタイトル管理情報、チャプター管理情報、及び/またはパス管理情報を利用して、コントローラ10はその指定されたタイトル、チャプター、及び/またはパスの再生を制御する。
【0041】
例えば、特定のタイトルを選択するためには、コントローラ10はタイトルエントリーテーブルからタイトルの個数を確認して、その確認されたタイトル個数のうちから1つをユーザーが選択できるようにする。一般情報ファイルにはタイトル名前のような意味のある情報が含まれているので、ユーザーはタイトルを容易に選択することができる。一旦タイトルが選択されれば、タイトルエントリーテーブルから選択されたタイトルに対する再生リストファイル名を確認して、その確認された再生リストによって再生させることができる。
【0042】
特定のチャプターを選択するために、コントローラ10は各再生アイテムのチャプターエントリーフラグを調べてチャプターの個数を確認し、再生するチャプターをユーザーが選択できるようにする。タイトル選択と同じく、チャプター管理情報にはチャプターと関連して意味ある情報が含まれている。特定のチャプターを選択することは関連する再生アイテムの中から再生を始める再生アイテムを選択することである。
【0043】
特定のパスを選択するために、コントローラ10は各再生アイテムに対するパス番号を調べて再生パスの個数を確認し、ユーザーが再生するパスを選択できるようにする。タイトルやチャプターの選択と同じく、パス管理情報には再生する再生パスに関連した意味ある情報が含まれている。パスが選択されると、選択されたパス番号を有する再生アイテムだけが再生される。
【0044】
ソース・デパケッタイザ4は再生されたソースパケットの入力を受けてそれをMPEG−2伝送パケットストリームのようなデータストリームに変換する。デマルチプレクサ5はデータストリームをエンコードされたビデオ・オーディオデータに逆多重化する。A/Vデコーダー6はそのエンコードされたビデオ・オーディオデータをデコードして元来のビデオ・オーディオデータとする。再生するときの、ソース・デパケッタイザ4、デマルチプレクサ5、そしてA/Vデコーダー6の動作はコントローラ10により制御される。コントローラ10がユーザーから再生命令を受信すると、ソース・デパケッタイザ4、デマルチプレクサ5、A/Vデコーダー6に制御情報を送る。例えば、コントローラ10は、ソース・デパケッタイザ4にソースパケットのフォーマットを指示し、デマルチプレクサ5に逆多重化する伝送ストリームを指示し、そしてA/Vデコーダー6に実行するデコード類型を指示する。
【0045】
図6には記録と再生装置に関して図示しているが、図6の構成要素の一部だけで記録動作または再生作動だけを提供する専用記録装置または専用再生装置も可能である。
【0046】
図7ないし図9は、本発明によるデータ構造の2番目の実施形態を示したものである。図7に示したように、2番目の実施形態のデータ構造は、チャプター管理情報を除いては、最初の実施形態のデータ構造と同一である。図7では、チャプターマークを用いてチャプターを示すチャプター管理情報を示している。図2でのように図7においても記録媒体の領域をも示し、図10にはこのような領域を含んだ記録媒体の例を示している。
【0047】
この実施形態において、チャプター管理情報は再生リストファイルに含まれる。図8には、本実施形態によってチャプター管理情報が含まれた再生リストファイルの一部が示されている。各再生リストファイルには再生リストマーク「PlayListsMark」情報フィールドがあり、その再生リストマーク情報フィールドにはフィールドの長さと再生リストにある再生リストマークの個数「number_of_PlayList_marks」が含まれている。各再生リストマークに対する再生リストマーク情報フィールドにはマーク類型「mark_type」、マーク名前の長さ「mark_name_length」、マークID「mark_ID」、マークが置かれた再生アイテムに対するインジケータ「ref_to_PalyItem_id」、そしてタイムスタンプ「mark_time_stamp」が含まれている。
【0048】
マーク類型「mark_type」はチャプターの開始を示すマークをチャプターマークで識別し、マークID「mark_ID」はマークの作成者を識別し、再生アイテムインジケータ「ref_to_PalyItem_id」はマークが置かれた再生アイテムに対する再生アイテムID「Playitem_id」を示す。そして、タイムスタンプ「mark_time_stamp」はマークが置かれた位置、言い換えるとマークが置かれたA/Vストリームクリップの時間軸上の位置(ATC及び/またはSTCを基準にして)を指し、持続時間「duration」はタイムスタンプから始まるマークの長さを示す。
【0049】
再生リストマーク情報フィールドにチャプター管理情報があるので、最初の実施形態でのチャプターエントリーフラグ「Chapter_entry_flag」は要らなくなる。図9には、再生アイテムにチャプターエントリーフラグが含まれていない2番目の実施形態の再生リストの一部を示している。しかし、チャプターエントリーフラグを設けるようにしてもよい。
【0050】
図6の記録及び再生装置は、図7ないし図9の実施形態に対して、図2ないし図5で述べたのと同じように作動する。しかし、図7ないし図9の実施形態に対しては、特定チャプターから再生を選択的に始めるように、再生されるときに、図8のチャプター管理情報が記録されて使用される。コントローラ10は、チャプターマークで識別された再生リストマークの数に基づいてタイトル内のチャプターの個数を確認し、ユーザーがチャプターを選択できるようにする。そして、選択されたチャプターのチャプターマークと関連するタイムスタンプにより指示される位置からビデオ・オーディオデータの再生を始める。
【0051】
したがって、前記のように構成される本発明は、タイトル、チャプター、多重再生パスをベースにしてビデオデータの再生を管理できるので、ユーザーの嗜好や便宜に合せてビデオデータを再生できる柔軟性を提供する。
【0052】
以上、前述した本発明の望ましい実施形態は例示の目的のために開示されたものであって、BD−ROM以外の他の光ディスクにも拡大適用が可能であり、また当業者ならば以下添付された特許請求範囲に開示された本発明の技術的思想とその技術的範囲内において、多様な他の実施形態を改良、変更、代替または付加などが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】再記録可能ブルーレイディスク(BD−RE)の規格による再記録可能光ディスクのファイルまたはデータ構造を示した図である。
【図2】ビデオデータの再生を管理するためのデータまたはファイル構造を有する記録媒体に対する本発明の最初の実施形態を示した図である。
【図3】ビデオデータの再生を管理するためのデータまたはファイル構造を有する記録媒体に対する本発明の最初の実施形態を示した図である。
【図4】ビデオデータの再生を管理するためのデータまたはファイル構造を有する記録媒体に対する本発明の最初の実施形態を示した図である。
【図5】ビデオデータの再生を管理するためのデータまたはファイル構造を有する記録媒体に対する本発明の最初の実施形態を示した図である。
【図6】本発明による光ディスク記録及び再生装置の構成を示した図である。
【図7】ビデオデータの再生を管理するためのデータまたはファイル構造を有する記録媒体に対する本発明の2番目の実施形態を示した図である。
【図8】ビデオデータの再生を管理するためのデータまたはファイル構造を有する記録媒体に対する本発明の2番目の実施形態を示した図である。
【図9】ビデオデータの再生を管理するためのデータまたはファイル構造を有する記録媒体に対する本発明の2番目の実施形態を示した図である。
【図10】図3のデータ構造を有する記録媒体に対する実施形態を示した図である。
【符号の説明】
【0054】
1…光ディスク、2…光ピックアップ、3…ドライブ、4…ソースデパケッタイザ、5…デマルチプレクサ、6…AVデコーダ、7…ソースパケッタイザ、8…マルチプレクサ、9…AVエンコーダ、10…コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録される多重再生パスを有するビデオデータの再生を管理するデータ構造を具備する記録媒体において、
前記ビデオデータの再生を管理する再生リストファイルを識別する識別子を含む一般情報ファイルが格納される一般情報ファイル領域と、
再生リストディレクトリが格納される再生リストディレクトリ領域
を含み、
前記再生リストディレクトリは前記識別子により識別される前記再生リストファイルを含み、前記再生リストファイルは再生アイテムを有し、前記再生アイテムは前記ビデオデータのクリップにある再生区間を識別し、前記再生アイテムは前記ビデオデータの前記再生パスを管理するパス管理情報を有し、
前記再生リストファイルはチャプターによってタイトルの再生を管理するチャプター管理情報を提供する再生リストマークを有し、
前記再生リストマークは前記再生アイテムによって識別された再生区間内に前記マークが配置するポイントを示すタイムスタンプを有することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記パス管理情報は前記再生アイテムにより識別される再生パスを示すことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記再生リストマークはチャプターの始まりを示すことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項4】
前記再生リストマークは複数の再生アイテムを含み、前記再生リストマークは前記複数の再生アイテムの中で一番目再生アイテムによって識別された再生区間の始まりを示すことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項5】
多重再生パスを有するビデオデータの再生を管理するためのデータ構造を記録する方法において、
前記ビデオデータの再生を管理し、かつチャプターによってタイトルの再生を管理するチャプター管理情報を提供する再生リストマークを有する再生リストファイルを識別する識別子を含む一般情報ファイルを記録媒体の一般情報ファイル領域に記録するステップと、
前記記録媒体の再生リストディレクトリ領域に、前記識別子により識別され、かつ前記ビデオデータの再生パスを管理するパス管理情報を有し前記ビデオデータのクリップにある再生区間を識別する再生アイテムを含む前記再生リストファイルを有する再生リストディレクトリを記録するステップ
を含み、
前記再生リストマークは前記再生アイテムによって識別された再生区間内に前記マークが配置するポイントを示すタイムスタンプを有することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記再生リストマークは、チャプタの始まりを示すことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記パス管理情報は、前記再生アイテムにより識別される再生パスを示すことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記再生リストマークは複数の再生アイテムを含み、 前記再生リストマークは前記複数の再生アイテムの中で一番目再生アイテムによって識別された再生区間の始まりを示すことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】
多重再生パスを有するビデオデータの再生を管理するためのデータ構造を再生する方法において、
前記ビデオデータの再生を管理し、かつチャプターによってタイトルの再生を管理するチャプター管理情報を提供する再生リストマークを有する再生リストファイルを識別する識別子を含む一般情報ファイルを記録媒体の一般情報ファイル領域から再生するステップと、
前記識別子により識別され、かつ前記ビデオデータの再生パスを管理するパス管理情報を有し前記ビデオデータのクリップにある再生区間を識別する再生アイテムを含む前記再生リストファイルを有する再生リストディレクトリを前記記録媒体の再生リストディレクトリ領域から再生するステップ
を含み、
前記再生リストマークは前記再生アイテムによって識別された再生区間内に前記マークが配置するポイントを示すタイムスタンプを有することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記再生リストマークは、チャプターの始まりを示すことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記パス管理情報は、前記再生アイテムにより識別される再生パスを示すことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記再生リストマークは複数の再生アイテムを含み、 前記再生リストマークは前記複数の再生アイテムの中で一番目再生アイテムによって識別された再生区間の始まりを示すことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項13】
多重再生パスを有するビデオデータの再生を管理するためのデータ構造を記録する装置において、
記録媒体にデータを記録する記録装置と、
前記ビデオデータの再生を管理し、かつチャプターによってタイトルの再生を管理するチャプター管理情報を提供する再生リストマークを有する再生リストファイルを識別する識別子を含む一般情報ファイルを前記記録媒体の一般情報ファイル領域に記録するように前記記録装置を制御し、さらに、前記記録媒体の再生リストディレクトリ領域に、前記識別子により識別され、かつ前記ビデオデータの再生パスを管理するパス管理情報を有し前記ビデオデータのクリップにある再生区間を識別する再生アイテムを含む前記再生リストファイルを有する再生リストディレクトリを記録するように前記記録装置を制御するコントローラと
を含み、
前記再生リストマークは前記再生アイテムによって識別された再生区間内に前記マークが配置するポイントを示すタイムスタンプを有することを特徴とする装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記再生リストマークがチャプターの始まり示すように、前記再生リストマークを記録する前記記録装置をさらに制御することを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記パス管理情報は、前記再生アイテムにより識別される再生パスを示すことを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記再生リストマークは複数の再生アイテムを含み、 前記再生リストマークは前記複数の再生アイテムの中で一番目再生アイテムによって識別された再生区間の始まりを示すことを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項17】
多重再生パスを有する少なくともビデオデータの再生を管理するためのデータ構造を再生する装置において、
記録媒体に記録されたデータを再生する再生装置と、
前記ビデオデータの再生を管理し、かつチャプターによってタイトルの再生を管理するチャプター管理情報を提供する再生リストマークを有する再生リストファイルを識別する識別子を含む一般情報ファイルの少なくとも一部を前記記録媒体の一般情報ファイル領域から再生するように前記再生装置を制御し、さらに、前記識別子により識別され、かつ前記ビデオデータの再生パスを管理するパス管理情報を有し前記ビデオデータのクリップにある再生区間を識別する再生アイテムを含む前記再生リストファイルを前記記録媒体の再生リストディレクトリ領域から再生するように前記再生装置を制御するコントローラと
を含み、
前記再生リストマークは前記再生アイテムによって識別された再生区間内に前記マークが配置するポイントを示すタイムスタンプを有することを特徴とする装置。
【請求項18】
前記コントローラは、前記再生リストマークがチャプターの始まりを指示するように、前記再生リストマークを再生する再生装置をさらに制御することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記再生リストマークは複数の再生アイテムを含み、 前記再生リストマークは前記複数の再生アイテムの中で一番目再生アイテムによって識別された再生区間の始まりを示すことを特徴とする請求項17記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−117029(P2009−117029A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322028(P2008−322028)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【分割の表示】特願2004−515198(P2004−515198)の分割
【原出願日】平成15年5月23日(2003.5.23)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】