ビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤
【課題】ビフィズス菌および乳酸菌の増殖を促進して菌濃度を高め、発酵時間を短縮でき、調製または入手が容易で安価な増殖促進剤を提供すること。
【解決手段】ビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤の有効成分としてさつまいも焼酎粕を用い、該増殖促進剤を飲食品や培地に含有させる。
【解決手段】ビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤の有効成分としてさつまいも焼酎粕を用い、該増殖促進剤を飲食品や培地に含有させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤、ならびにそれを含有する飲食品および培地に関する。
【背景技術】
【0002】
ビフィズス菌は主としてヒトや動物の腸管に生息しており、ヒトでは腸内菌叢の中の優勢菌の一つである。ビフィズス菌を含む食品を摂取することにより、有害菌が抑制され腸内細菌叢が改善され、有害菌によって生成する腸内腐敗産物が減少し、整腸効果や感染防御の効果を示す。さらに重要な作用としては免疫調節作用がある。これはビフィズス菌が人体最大の免疫器官である腸管を刺激し、免疫力を高めるためであり、感染防御、発ガン抑制、アレルギー症状の改善(花粉症など)など様々な効果に通じる。
【0003】
このようなビフィズス菌の保健機能は、腸内細菌叢の改善を介して発揮されると考えられている。そのため、食生活を含む生活スタイルの変化が原因とされる生活習慣病の増加が危惧されている現在、良好な腸内細菌叢を保つことが重要である。そこで、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を積極的に摂取することの重要性が叫ばれている。腸内のビフィズス菌は便と共に排出されてしまうことに加え、加齢と共に減少していき、日常のストレスによっても少なくなるので、毎日ヨーグルトやビフィズス菌入りの食品で補うことが必要である。さらに食品による腸内細菌叢の改善を期待する場合、その中の生きたビフィズス菌および乳酸菌の菌濃度を高めることが考えられる。しかしながら、ビフィズス菌は乳酸菌と異なり、増殖促進物質を添加しない牛乳培地中では増殖しにくく、また、酸素の存在が生残率に影響を与えることもあって、乳製品へ応用を行うには技術的な工夫が必要である。したがって、ビフィズス菌を用いて原料を発酵させる際、ビフィズス菌の増殖を促進して菌濃度を高め発酵時間を短縮することは重要な課題である。
【0004】
ビフィズス菌に対して増殖促進効果を有する物質としては、N−アセチルグルコサミン含有糖類、酵母エキス、カゼイン分解物等が知られている。しかしながら、これらのビフィズス菌増殖促進剤は調製に酵素処理などを必要とするため高価である。そこで、調製または入手が容易で増殖促進の効果が大きい増殖促進剤が望まれている。
【0005】
また乳酸菌についても、安価で容易に入手できる材料を用いた増殖促進剤が望まれている。
【0006】
ビフィズス菌および/または乳酸菌の増殖促進物質に関する発明がいくつか開示されている。例えば、酒粕から調製された乳酸菌およびビフィズス菌増殖促進剤(特許文献1)、大麦焼酎蒸留残液から乳酸菌等の微生物の増殖促進物質を製造する方法(特許文献2)、酒粕からアルコールで抽出されたビフィズス菌活性化物質(特許文献3)、大麦焼酎残留残液から得られた乾燥物を含有する乳酸菌およびビフィズス菌用培地(特許文献4)、酒粕から成る乳酸菌生育促進剤(特許文献5)などがある。これらの発明はいずれも、米または大麦の発酵物に由来する材料から増殖促進物質を得ている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−15366号
【特許文献2】特開平10−327852号
【特許文献3】特開平11−228424号
【特許文献4】特開2000−342247号
【特許文献5】特開2005−151927号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖を促進して菌濃度を高め、発酵時間を短縮でき、調製または入手が容易で安価な増殖促進剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進物質の探索を行ったところ、さつまいも焼酎粕がビフィズス菌および乳酸菌に対して増殖促進効果を有することを見いだし、発酵乳製造の際、さつまいも焼酎粕を使用することによりビフィズス菌の菌数が約2〜500倍に増加することを確認し、本発明を完成した。
【0010】
本発明の特徴は、要約すると以下の通りである。
(1)さつまいも焼酎粕を有効成分として含有するビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤。
(2)(1)に記載の増殖促進剤を含有する飲食品。
(3)発酵乳である(2)に記載の飲食品。
(4)(1)に記載の増殖促進剤を含有する培地。
【0011】
本明細書において「さつまいも焼酎粕」とは、サツマイモを主原料にして作られるいも焼酎の蒸留粕をいい、米麹または麦麹で仕込んだいも焼酎の焼酎粕、サツマイモのみを用いた芋麹で仕込んだいも焼酎の焼酎粕も、さつまいも焼酎粕に包含される。
【0012】
また「発酵乳」とは、主成分として乳を含む発酵原料からビフィズス菌および/または乳酸菌による発酵で得られたものであればすべて含むことを意味し、食品衛生法や厚生省令で定められている「発酵乳」(無脂乳固形分8%以上、乳酸菌または酵母の生菌数が1mlあたり1000万個以上)だけでなく、「乳製品乳酸菌飲料」(無脂乳固形分3%以上8%未満、乳酸菌または酵母の生菌数が1mlあたり1000万個以上)、「乳酸菌飲料」(無脂乳固形分3%未満、乳酸菌または酵母の生菌数が1mlあたり100万個以上)、ビフィズス菌のみによる発酵乳も包含される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の増殖促進剤は、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖を促進してこれらの菌濃度を高め、発酵時間を短縮することができる。また、腸内細菌叢改善効果を有する発酵乳などの飲食品に適用できる。さらにビフィズス菌および/または乳酸菌の培地にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第1の態様のビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤は、さつまいも焼酎粕を有効成分として含有する。さつまいも焼酎粕はクエン酸を含み、pH約3〜4と低いので、ビフィズス菌株、乳酸菌株の増殖至適pHに応じて増殖促進剤のpHを調整することが好ましい。例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどで好ましくはpH約6.0〜7.5、より好ましくはpH約6.5〜7.0に調整する。また、さつまいも焼酎粕について遠心分離、ろ過などを行い、固形分を除去し、上清を殺菌して増殖促進剤として用いることが好ましい。
【0015】
ビフィズス菌は、例えばビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolesentis)、ビフィドバクテリウム・ブレーヴェ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)などが挙げられる。乳酸菌は、例えばラクトコッカス・ラクチス・サブスピシズ・ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピシズ・サーモフィラス(Streptococcus salivarius subsp. thermophilus)、ロイコノストック・メセントリズ・サブスピシズ・クレモリス(Leuconostoc mesenterides subsp. cremoris)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルギ・サブスピシズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルギ・サブスピシズ・ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・プランタム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、テトラジェノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaseus)などが挙げられる。本発明の増殖促進剤を添加すると、無添加の場合よりも短時間でビフィズス菌および乳酸菌の培養、発酵を行うことができる。
【0016】
いも焼酎およびさつまいも焼酎粕(さつまいも蒸留粕残液ともいう)は、例えば次の工程に従って製造することができる。
【0017】
1次仕込みに米麹を用いる場合、米を浸漬し吸水させた後、蒸しを行い、冷却後、原料の1000分の1量の種麹を接種し、十分に攪拌混合し、35〜40℃の範囲で送風、攪拌、静置を繰り返して麹を得る(製麹)。麹菌としては、白麹菌、黒麹菌、黄麹菌のいずれでもよく、具体的には、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・サティバ(Aspergillus sativa)などが用いられる。次に、製麹した米麹に米原料重量の120%量の水及び焼酎酵母を加える(1次仕込み)。焼酎酵母としては、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、キャンディダ・ロブスタ(Candida robusta)などが挙げられる。5日間の発酵を行い、1次醪を得る。次いで、米麹原料の米重量に対して5倍量のサツマイモを使用し、蒸しを行い、冷却後、粉砕機により粉砕したものを、上記1次仕込みにより得られた1次醪に、サツマイモ重量の54%の水を加えた後、粉砕したサツマイモを加える(2次仕込み)。8日間の発酵を行い、2次醪を得る。上記2段の発酵を終えた2次醪を常法により単式蒸留(常圧または減圧蒸留)に付し、いも焼酎とさつまいも蒸留粕残液(さつまいも焼酎粕)を得る。
【0018】
本発明の増殖促進剤は、液状のままでもよいし、濃縮してもよく、さらに乾燥処理等を行って固体状、顆粒状または粉末状にしてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様である飲食品は、上記増殖促進剤を含有する。増殖促進剤は、上述のように液状のまま、または濃縮してから、あるいは固体状、顆粒状または粉末状に加工してから食品に含有させてもよい。飲食品中に直接混合してもよいし、飲食品中に埋め込んでもよい。また増殖促進剤を、食品に塗布、被覆、浸透又は吹き付けてもよい。増殖促進剤は、飲食品中に均一に分布していてもよいし、不均一に分布していてもよい。あるいは増殖促進剤は、食品中の特定部位に偏在していてもよい。増殖促進剤を、例えばドリンク剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤等の経口投与可能な形態の製品、例えばサプリメントにしてもよいし、ヨーグルト、乳酸菌飲料、菓子、スナック類、調味類等の各種食品、飲料の形態にしてもよく、特に限定されない。
【0020】
例えばサプリメントなどの経口投与可能な製品の場合、本発明の増殖促進剤の配合量は、製品の種類、目的、本発明の増殖促進剤が液状、固体状、顆粒状、粉末状等によって調整することができ、製品の全量に対して、例えば100重量%、99重量%、98重量%、95重量%、90重量%、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、10重量%であるが、これらに限定されない。また、製品に例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、緩衝剤、安定化剤等の添加剤を加えてもよい。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものを用いればよく、例えば、賦形剤としては乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、硅酸等、結合剤としては水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等、崩壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等、滑沢剤としては精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等、着色剤としてはカラメル色素、パプリカ色素、コチニール色素、インジゴカルミン等、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
【0021】
ヨーグルト、乳酸菌飲料などの場合は、発酵原料として、牛乳、山羊乳、羊乳などの獣乳、それらの部分脱脂乳、脱脂乳、還元乳(濃縮乳、全脂粉乳、脱脂粉乳などに水を添加して戻したもの)などを用いることができる。発酵原料を、保持式により63℃で30分加熱殺菌するか、これと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌する。発酵原料に対してさつまいも焼酎粕を(濃縮処理、乾燥処理をしていない場合)好ましくは30〜95重量%、より好ましくは45〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%になるように添加する。なお、発酵原料に、副原料として甘味料、寒天、ゼラチン、油脂、生クリーム、果実、フルーツジュース、香料、着色料、安定剤などを添加してもよいし、発酵後にこれらを添加してもよい。
【0022】
ビフィズス菌および/または乳酸菌のスターター(前培養液)を調製する。スターターを調製するための培地は、例えば上記獣乳、部分脱脂乳、脱脂乳、還元乳などであって、pH約6.0〜7.5、好ましくはpH約6.5〜7.0のものである。
【0023】
上記培地を殺菌し、ビフィズス菌および/または乳酸菌を接種し、例えば約35〜45℃で好ましくは約4時間〜48時間、より好ましくは約6時間〜10時間、培養する。スターターが、好ましくはpH4.0〜5.0、より好ましくはpH4.0〜4.5になるまで培養する。
【0024】
調製したスターターを、上記さつまいも焼酎粕を添加した発酵原料に対して、乳酸菌スターターならば好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1.0〜3.0重量%、ビフィズス菌スターターならば好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜15重量%になるように添加する。例えばヨーグルトならば、約35〜45℃で好ましくは約4時間〜16時間、より好ましくは約4時間〜8時間、培養・発酵を行う。
【0025】
本発明の第3の態様である培地は、上記増殖促進剤を含有する。該培地は、ビフィズス菌および/または乳酸菌を効率よく増殖することができる。
【0026】
培地は、例えばGAMブイヨン(ペプトン1.0重量%、ダイズペプトン0.3重量%、プロテオーゼペプトン1.0重量%、消化血清末1.35重量%、酵母エキス0.5重量%、肉エキス0.22重量%、カンゾウエキス0.12重量%、ブドウ糖0.3重量%、リン酸二水素カリウム0.25重量%、塩化ナトリウム0.3重量%、溶性デンプン0.5重量%、L−システイン塩酸塩0.03重量%、チオグリコール酸ナトリウム0.03重量%を含有する)、GAM寒天培地、ビフィズス菌用培地(例えばグルコース1.0重量%、酵母エキス0.5重量%、ビーフエキス0.5重量%、カゼイン・トリプシン加水分解物1.0重量%、L−アスコルビン酸ナトリウム1.0重量%、L−システイン0.05重量%、リン酸水素二カリウム0.3重量%、Tween 80 1ml/Lを含有する)、乳酸菌用培地(例えばグルコース1.0重量%、ポリペプトン0.5重量%、酵母エキス0.5重量%、NaCl 0.5重量%を含有する)、乳成分主体の培地(例えば10%還元脱脂乳培地であり、これにペプトン、酵母エキス等を含めてもよい)に、上記増殖促進剤が含有されている。増殖促進剤の含有量は、培地に対して、さつまいも焼酎粕が(濃縮処理、乾燥処理をしていない場合)好ましくは30〜95重量%、より好ましくは45〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。培養するビフィズス菌株、乳酸菌株に合わせて、好ましくはpH約6.0〜7.5、より好ましくはpH約6.5〜7.0に調整する。培養条件は、ビフィズス菌株、乳酸菌株に依存するが、例えば嫌気条件下で35〜45℃で培養することが好ましい。
【0027】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
<材料>
さつまいも焼酎粕は薩摩酒造株式会社より入手した。さつまいも焼酎粕を3000rpm、4℃で10分間遠心を行い、上清を水酸化カリウムでpH6.7に調整し、以下の実験に使用した。
【0029】
乳酸菌スターターのMY800(Streptococcus thermophilus、Lactobacilus delbrueckii ssp. bulgaricus、およびLactobacillus delbrueckii ssp. lactis)、およびビフィズス菌スターターのBB12株(Bifidobacterium lactis)とB66株(Bifidobacterium longum)は、クリスチャンハンセン社より購入した。その他のビフィズス菌株(Bifidobacterium longum JCM 1217、Bifidobacterium longum JCM 1222、Bifidobacterium breve JCM 1192、Bifidobacterium breve JCM 7016、Bifidobacterium bifidum JCM 1255、Bifidobacterium infantis JCM 1210、Bifidobacterium animalis JCM 1190、Bifidobacterium adolesentis JCM 1275)は理化学研究所より購入した。
【0030】
<乳酸菌(MY800)前培養液の調製>
10%還元脱脂乳(脱脂粉乳を10重量%濃度で水に溶解させたもの)を90℃で5分間加熱殺菌した。小スパーテル1杯の上記MY800粉末ダイレクトスターターを添加し、37℃で8時間培養し、MY800前培養液を調製した。
【0031】
<ビフィズス菌B66株前培養液の調製>
1重量%Peptone(Bacto社)、1重量%Yeast Extract(Bacto社)を含む10%還元脱脂乳培地を調製し、90℃で5分間加熱殺菌した。GAMブイヨン培地(日水製薬株式会社)で前培養しておいたB66株を10重量%となるように添加し、37℃で8時間培養し、B66株前培養液を調製した。
【0032】
<ビフィズス菌BB12株前培養液の調製>
1重量%Peptone(Bacto社)、1重量%Yeast Extract(Bacto社)を含む10%還元脱脂乳培地を調製し、90℃で5分間加熱殺菌した。小スパーテル1杯のBB12粉末ダイレクトスターターを添加し、37℃で8時間培養し、BB12株前培養液を調製した。
【0033】
〔実施例1〕乳酸菌の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響
さつまいも焼酎粕を45重量%、90重量%含む10%還元脱脂乳、およびさつまいも焼酎粕を含まない10%還元脱脂乳を調製し、90℃、5分で殺菌してサンプルとした。上記乳酸菌前培養液をサンプルに3重量%となるように添加し、37℃で0〜24時間培養した。pH、乳酸酸度、乳酸菌数を測定した。pHはPHメーター、乳酸酸度は0.1N NaOHによる滴定で測定した。乳酸菌数は、BCP加プレートカウントアガール培地(日水製薬株式会社)を用い、サンプルを37℃で72時間混釈培養し、黄変したコロニーをカウントした。
【0034】
(結果)
図1に示すように、さつまいも焼酎粕を添加した場合、さつまいも焼酎粕無添加に比べ乳酸菌により生成される乳酸が増加した。さつまいも焼酎粕は乳酸菌による発酵性を高めることが示唆された。また、さつまいも焼酎粕の添加により乳酸発酵によるpHの低下が抑制された(図2)。これは、さつまいも焼酎粕には0.75重量%のクエン酸が含まれており、そのクエン酸の緩衝作用によるものと考えられる。乳酸菌数はさつまいも焼酎粕の添加により高くなる傾向が見られたものの(図3)、有意な差はなかった(図4)。
【0035】
〔実施例2〕ビフィズス菌の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響
前述のとおり、さつまいも焼酎粕には0.75重量%のクエン酸が含まれている。クエン酸は乳酸菌およびビフィズス菌の増殖を促進することも報告されているので、90重量%さつまいも焼酎粕と同等のクエン酸を含むように添加したサンプルについても同時に調べた。
【0036】
さつまいも焼酎粕を45重量%、90重量%含む10%還元脱脂乳、さつまいも焼酎粕を含まない10%還元脱脂乳、およびクエン酸3ナトリウムを0.75重量%含む10%還元脱脂乳(pH6.7に調整)を調製し、90℃、5分で殺菌してサンプルとした。BB12株前培養液をサンプルに10重量%となるように添加し、37℃で8時間培養した。培養後、ビフィズス菌数を測定した。ビフィズス菌数の測定はTOSプロピオン酸寒天培地(栄研化学株式会社)を用い、サンプルを嫌気条件下、37℃で72時間混釈培養し、コロニーをカウントした。
【0037】
また、サンプルを限外ろ過(分画分子量10000Daおよび1000Da)して、上記と同様にして培養し、ビフィズス菌数を測定した。
【0038】
(結果)
添加したさつまいも焼酎粕の濃度に依存してビフィズス菌数が有意に増加した(図5)。90重量%さつまいも焼酎粕を添加した場合、無添加のものに比べ10倍の増殖効果を示した。しかし、90重量%さつまいも焼酎粕と同等のクエン酸を添加してもビフィズス菌数に変化はなかったことから、さつまいも焼酎粕のビフィズス菌増殖効果はクエン酸以外の物質である。また、さつまいも焼酎粕を限外ろ過(分画分子量1000Da)してもろ液に活性が維持されていることから、さつまいも焼酎粕に含まれるビフィズス菌増殖因子は分子量1000Da以下の低分子物質であると考えられる(図6)。
【0039】
〔実施例3〕ビフィズス菌、乳酸菌の共培養に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響
さつまいも焼酎粕を45重量%、90重量%を含む10%還元脱脂乳、さつまいも焼酎粕を含まない10%還元脱脂乳、クエン酸3ナトリウムを0.75重量%含む10%還元脱脂乳(pH6.7に調整)を調製し、90℃、5分で殺菌してサンプルとした。BB12株前培養液およびMY800前培養液を、サンプルにそれぞれ10重量%および3重量%となるように添加し、37℃で0〜24時間培養した。実施例1及び2と同様の方法で、pH、乳酸酸度、乳酸菌数、ビフィズス菌数を測定した。
【0040】
また、BB12株前培養液をB66株前培養液にした以外は、上記と同様にして培養し、pH、乳酸酸度、乳酸菌数、ビフィズス菌数を測定した。
【0041】
(結果)
BB12株共存下での乳酸酸度増加量、pHの変化は、乳酸菌のみで発酵させた場合と同じ挙動を示した(図7および図8)。培養8時間後の乳酸菌数はさつまいも焼酎粕を添加しても変化は見られず(図9)、8時間以降も同様であった(図10)。一方、乳酸菌共存下でのビフィズス菌数(BB12株)は添加したさつまいも焼酎粕の濃度に依存して有意に増加した(図11、図12)。90重量%さつまいも焼酎粕を添加し、8時間培養した場合、無添加のものに比べ4倍の増殖効果を示した。
【0042】
B66株共存下での乳酸酸度増加量、pHの変化は、上記BB12株共存下の場合と同様であった(図13および図14)。また乳酸菌数も大きくかわることはなかった(図15)。乳酸菌共存下でのB66株のビフィズス菌数は添加したさつまいも焼酎粕の濃度に依存して有意に増加した(図16)。
【0043】
〔実施例4〕さつまいも焼酎粕のビフィズス菌増殖効果の選択性
さつまいも焼酎粕を90重量%含む10%還元脱脂乳、およびさつまいも焼酎粕を含まない10%還元脱脂乳を調製し、90℃、5分で殺菌してサンプルとした。あらかじめ表1に示すビフィズス菌(Bifidobacterium 属)10株を別々に調製した前培養液(BB12株以外の菌株は、すべて上記B66株前培養液の調製方法で調製)を、サンプルに10重量%となるように添加した。37℃で8時間培養し、実施例2と同様にしてビフィズス菌数を測定した。
【0044】
(結果)
Bifidobacterium breve、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium animalisは乳中で増殖が悪く、さつまいも焼酎粕の増殖効果を調べることはできなかった。Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolesentisの6株で増殖促進効果が確認できた。特にBifidobacterium lactisBB12株では10倍以上、Bifidobacterium longum B66株では250倍以上、Bifidobacterium infantis JCM 1210では450倍以上、Bifidobacterium adlesentis JCM 1275では145倍以上の増殖効果を示した(表1、図17)。特にBifidobacterium longumおよびBifidobacterium infantisはヒトの腸内で優勢なビフィズス菌である。また、Bifidobacterium lactis およびBifidobacterium longumはビフィズス菌入り発酵乳の製造に幅広く利用されている菌である。
【0045】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0046】
さつまいも焼酎粕はビフィズス菌および/または乳酸菌の増殖促進剤として利用でき、腸内細菌叢改善効果を有する発酵乳や飲食品の開発に適用でき、さらにはビフィズス菌および/または乳酸菌の培地にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】乳酸酸度に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図2】乳酸発酵(pH)に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図3】乳酸菌数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響(発酵8時間)を示す。
【図4】乳酸菌数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図5】ビフィズス菌(BB12株)の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響(発酵8時間)を示す。
【図6】さつまいも焼酎粕の各限外濾過分画で培養したビフィズス菌数(発酵8時間)を示す。
【図7】BB12株共存下での乳酸酸度に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図8】BB12株共存下での乳酸発酵(pH)に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図9】BB12株共存下での乳酸菌の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響(発酵8時間)を示す。
【図10】BB12株共存下での乳酸菌数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図11】乳酸菌共存下でのビフィズス菌(BB12株)の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響(発酵8時間)を示す。
【図12】乳酸菌共存下でのビフィズス菌(BB12株)数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図13】B66株共存下での乳酸酸度に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図14】B66株共存下での乳酸発酵(pH)に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図15】B66株共存下での乳酸菌数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図16】乳酸菌共存下でのビフィズス菌(B66株)数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図17】さつまいも焼酎粕のビフィズス菌増殖効果の選択性を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤、ならびにそれを含有する飲食品および培地に関する。
【背景技術】
【0002】
ビフィズス菌は主としてヒトや動物の腸管に生息しており、ヒトでは腸内菌叢の中の優勢菌の一つである。ビフィズス菌を含む食品を摂取することにより、有害菌が抑制され腸内細菌叢が改善され、有害菌によって生成する腸内腐敗産物が減少し、整腸効果や感染防御の効果を示す。さらに重要な作用としては免疫調節作用がある。これはビフィズス菌が人体最大の免疫器官である腸管を刺激し、免疫力を高めるためであり、感染防御、発ガン抑制、アレルギー症状の改善(花粉症など)など様々な効果に通じる。
【0003】
このようなビフィズス菌の保健機能は、腸内細菌叢の改善を介して発揮されると考えられている。そのため、食生活を含む生活スタイルの変化が原因とされる生活習慣病の増加が危惧されている現在、良好な腸内細菌叢を保つことが重要である。そこで、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を積極的に摂取することの重要性が叫ばれている。腸内のビフィズス菌は便と共に排出されてしまうことに加え、加齢と共に減少していき、日常のストレスによっても少なくなるので、毎日ヨーグルトやビフィズス菌入りの食品で補うことが必要である。さらに食品による腸内細菌叢の改善を期待する場合、その中の生きたビフィズス菌および乳酸菌の菌濃度を高めることが考えられる。しかしながら、ビフィズス菌は乳酸菌と異なり、増殖促進物質を添加しない牛乳培地中では増殖しにくく、また、酸素の存在が生残率に影響を与えることもあって、乳製品へ応用を行うには技術的な工夫が必要である。したがって、ビフィズス菌を用いて原料を発酵させる際、ビフィズス菌の増殖を促進して菌濃度を高め発酵時間を短縮することは重要な課題である。
【0004】
ビフィズス菌に対して増殖促進効果を有する物質としては、N−アセチルグルコサミン含有糖類、酵母エキス、カゼイン分解物等が知られている。しかしながら、これらのビフィズス菌増殖促進剤は調製に酵素処理などを必要とするため高価である。そこで、調製または入手が容易で増殖促進の効果が大きい増殖促進剤が望まれている。
【0005】
また乳酸菌についても、安価で容易に入手できる材料を用いた増殖促進剤が望まれている。
【0006】
ビフィズス菌および/または乳酸菌の増殖促進物質に関する発明がいくつか開示されている。例えば、酒粕から調製された乳酸菌およびビフィズス菌増殖促進剤(特許文献1)、大麦焼酎蒸留残液から乳酸菌等の微生物の増殖促進物質を製造する方法(特許文献2)、酒粕からアルコールで抽出されたビフィズス菌活性化物質(特許文献3)、大麦焼酎残留残液から得られた乾燥物を含有する乳酸菌およびビフィズス菌用培地(特許文献4)、酒粕から成る乳酸菌生育促進剤(特許文献5)などがある。これらの発明はいずれも、米または大麦の発酵物に由来する材料から増殖促進物質を得ている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−15366号
【特許文献2】特開平10−327852号
【特許文献3】特開平11−228424号
【特許文献4】特開2000−342247号
【特許文献5】特開2005−151927号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖を促進して菌濃度を高め、発酵時間を短縮でき、調製または入手が容易で安価な増殖促進剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進物質の探索を行ったところ、さつまいも焼酎粕がビフィズス菌および乳酸菌に対して増殖促進効果を有することを見いだし、発酵乳製造の際、さつまいも焼酎粕を使用することによりビフィズス菌の菌数が約2〜500倍に増加することを確認し、本発明を完成した。
【0010】
本発明の特徴は、要約すると以下の通りである。
(1)さつまいも焼酎粕を有効成分として含有するビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤。
(2)(1)に記載の増殖促進剤を含有する飲食品。
(3)発酵乳である(2)に記載の飲食品。
(4)(1)に記載の増殖促進剤を含有する培地。
【0011】
本明細書において「さつまいも焼酎粕」とは、サツマイモを主原料にして作られるいも焼酎の蒸留粕をいい、米麹または麦麹で仕込んだいも焼酎の焼酎粕、サツマイモのみを用いた芋麹で仕込んだいも焼酎の焼酎粕も、さつまいも焼酎粕に包含される。
【0012】
また「発酵乳」とは、主成分として乳を含む発酵原料からビフィズス菌および/または乳酸菌による発酵で得られたものであればすべて含むことを意味し、食品衛生法や厚生省令で定められている「発酵乳」(無脂乳固形分8%以上、乳酸菌または酵母の生菌数が1mlあたり1000万個以上)だけでなく、「乳製品乳酸菌飲料」(無脂乳固形分3%以上8%未満、乳酸菌または酵母の生菌数が1mlあたり1000万個以上)、「乳酸菌飲料」(無脂乳固形分3%未満、乳酸菌または酵母の生菌数が1mlあたり100万個以上)、ビフィズス菌のみによる発酵乳も包含される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の増殖促進剤は、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖を促進してこれらの菌濃度を高め、発酵時間を短縮することができる。また、腸内細菌叢改善効果を有する発酵乳などの飲食品に適用できる。さらにビフィズス菌および/または乳酸菌の培地にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第1の態様のビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤は、さつまいも焼酎粕を有効成分として含有する。さつまいも焼酎粕はクエン酸を含み、pH約3〜4と低いので、ビフィズス菌株、乳酸菌株の増殖至適pHに応じて増殖促進剤のpHを調整することが好ましい。例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどで好ましくはpH約6.0〜7.5、より好ましくはpH約6.5〜7.0に調整する。また、さつまいも焼酎粕について遠心分離、ろ過などを行い、固形分を除去し、上清を殺菌して増殖促進剤として用いることが好ましい。
【0015】
ビフィズス菌は、例えばビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolesentis)、ビフィドバクテリウム・ブレーヴェ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)などが挙げられる。乳酸菌は、例えばラクトコッカス・ラクチス・サブスピシズ・ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピシズ・サーモフィラス(Streptococcus salivarius subsp. thermophilus)、ロイコノストック・メセントリズ・サブスピシズ・クレモリス(Leuconostoc mesenterides subsp. cremoris)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルギ・サブスピシズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルギ・サブスピシズ・ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・プランタム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、テトラジェノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaseus)などが挙げられる。本発明の増殖促進剤を添加すると、無添加の場合よりも短時間でビフィズス菌および乳酸菌の培養、発酵を行うことができる。
【0016】
いも焼酎およびさつまいも焼酎粕(さつまいも蒸留粕残液ともいう)は、例えば次の工程に従って製造することができる。
【0017】
1次仕込みに米麹を用いる場合、米を浸漬し吸水させた後、蒸しを行い、冷却後、原料の1000分の1量の種麹を接種し、十分に攪拌混合し、35〜40℃の範囲で送風、攪拌、静置を繰り返して麹を得る(製麹)。麹菌としては、白麹菌、黒麹菌、黄麹菌のいずれでもよく、具体的には、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・サティバ(Aspergillus sativa)などが用いられる。次に、製麹した米麹に米原料重量の120%量の水及び焼酎酵母を加える(1次仕込み)。焼酎酵母としては、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、キャンディダ・ロブスタ(Candida robusta)などが挙げられる。5日間の発酵を行い、1次醪を得る。次いで、米麹原料の米重量に対して5倍量のサツマイモを使用し、蒸しを行い、冷却後、粉砕機により粉砕したものを、上記1次仕込みにより得られた1次醪に、サツマイモ重量の54%の水を加えた後、粉砕したサツマイモを加える(2次仕込み)。8日間の発酵を行い、2次醪を得る。上記2段の発酵を終えた2次醪を常法により単式蒸留(常圧または減圧蒸留)に付し、いも焼酎とさつまいも蒸留粕残液(さつまいも焼酎粕)を得る。
【0018】
本発明の増殖促進剤は、液状のままでもよいし、濃縮してもよく、さらに乾燥処理等を行って固体状、顆粒状または粉末状にしてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様である飲食品は、上記増殖促進剤を含有する。増殖促進剤は、上述のように液状のまま、または濃縮してから、あるいは固体状、顆粒状または粉末状に加工してから食品に含有させてもよい。飲食品中に直接混合してもよいし、飲食品中に埋め込んでもよい。また増殖促進剤を、食品に塗布、被覆、浸透又は吹き付けてもよい。増殖促進剤は、飲食品中に均一に分布していてもよいし、不均一に分布していてもよい。あるいは増殖促進剤は、食品中の特定部位に偏在していてもよい。増殖促進剤を、例えばドリンク剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤等の経口投与可能な形態の製品、例えばサプリメントにしてもよいし、ヨーグルト、乳酸菌飲料、菓子、スナック類、調味類等の各種食品、飲料の形態にしてもよく、特に限定されない。
【0020】
例えばサプリメントなどの経口投与可能な製品の場合、本発明の増殖促進剤の配合量は、製品の種類、目的、本発明の増殖促進剤が液状、固体状、顆粒状、粉末状等によって調整することができ、製品の全量に対して、例えば100重量%、99重量%、98重量%、95重量%、90重量%、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、10重量%であるが、これらに限定されない。また、製品に例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、緩衝剤、安定化剤等の添加剤を加えてもよい。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものを用いればよく、例えば、賦形剤としては乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、硅酸等、結合剤としては水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等、崩壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等、滑沢剤としては精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等、着色剤としてはカラメル色素、パプリカ色素、コチニール色素、インジゴカルミン等、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
【0021】
ヨーグルト、乳酸菌飲料などの場合は、発酵原料として、牛乳、山羊乳、羊乳などの獣乳、それらの部分脱脂乳、脱脂乳、還元乳(濃縮乳、全脂粉乳、脱脂粉乳などに水を添加して戻したもの)などを用いることができる。発酵原料を、保持式により63℃で30分加熱殺菌するか、これと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌する。発酵原料に対してさつまいも焼酎粕を(濃縮処理、乾燥処理をしていない場合)好ましくは30〜95重量%、より好ましくは45〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%になるように添加する。なお、発酵原料に、副原料として甘味料、寒天、ゼラチン、油脂、生クリーム、果実、フルーツジュース、香料、着色料、安定剤などを添加してもよいし、発酵後にこれらを添加してもよい。
【0022】
ビフィズス菌および/または乳酸菌のスターター(前培養液)を調製する。スターターを調製するための培地は、例えば上記獣乳、部分脱脂乳、脱脂乳、還元乳などであって、pH約6.0〜7.5、好ましくはpH約6.5〜7.0のものである。
【0023】
上記培地を殺菌し、ビフィズス菌および/または乳酸菌を接種し、例えば約35〜45℃で好ましくは約4時間〜48時間、より好ましくは約6時間〜10時間、培養する。スターターが、好ましくはpH4.0〜5.0、より好ましくはpH4.0〜4.5になるまで培養する。
【0024】
調製したスターターを、上記さつまいも焼酎粕を添加した発酵原料に対して、乳酸菌スターターならば好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1.0〜3.0重量%、ビフィズス菌スターターならば好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜15重量%になるように添加する。例えばヨーグルトならば、約35〜45℃で好ましくは約4時間〜16時間、より好ましくは約4時間〜8時間、培養・発酵を行う。
【0025】
本発明の第3の態様である培地は、上記増殖促進剤を含有する。該培地は、ビフィズス菌および/または乳酸菌を効率よく増殖することができる。
【0026】
培地は、例えばGAMブイヨン(ペプトン1.0重量%、ダイズペプトン0.3重量%、プロテオーゼペプトン1.0重量%、消化血清末1.35重量%、酵母エキス0.5重量%、肉エキス0.22重量%、カンゾウエキス0.12重量%、ブドウ糖0.3重量%、リン酸二水素カリウム0.25重量%、塩化ナトリウム0.3重量%、溶性デンプン0.5重量%、L−システイン塩酸塩0.03重量%、チオグリコール酸ナトリウム0.03重量%を含有する)、GAM寒天培地、ビフィズス菌用培地(例えばグルコース1.0重量%、酵母エキス0.5重量%、ビーフエキス0.5重量%、カゼイン・トリプシン加水分解物1.0重量%、L−アスコルビン酸ナトリウム1.0重量%、L−システイン0.05重量%、リン酸水素二カリウム0.3重量%、Tween 80 1ml/Lを含有する)、乳酸菌用培地(例えばグルコース1.0重量%、ポリペプトン0.5重量%、酵母エキス0.5重量%、NaCl 0.5重量%を含有する)、乳成分主体の培地(例えば10%還元脱脂乳培地であり、これにペプトン、酵母エキス等を含めてもよい)に、上記増殖促進剤が含有されている。増殖促進剤の含有量は、培地に対して、さつまいも焼酎粕が(濃縮処理、乾燥処理をしていない場合)好ましくは30〜95重量%、より好ましくは45〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。培養するビフィズス菌株、乳酸菌株に合わせて、好ましくはpH約6.0〜7.5、より好ましくはpH約6.5〜7.0に調整する。培養条件は、ビフィズス菌株、乳酸菌株に依存するが、例えば嫌気条件下で35〜45℃で培養することが好ましい。
【0027】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
<材料>
さつまいも焼酎粕は薩摩酒造株式会社より入手した。さつまいも焼酎粕を3000rpm、4℃で10分間遠心を行い、上清を水酸化カリウムでpH6.7に調整し、以下の実験に使用した。
【0029】
乳酸菌スターターのMY800(Streptococcus thermophilus、Lactobacilus delbrueckii ssp. bulgaricus、およびLactobacillus delbrueckii ssp. lactis)、およびビフィズス菌スターターのBB12株(Bifidobacterium lactis)とB66株(Bifidobacterium longum)は、クリスチャンハンセン社より購入した。その他のビフィズス菌株(Bifidobacterium longum JCM 1217、Bifidobacterium longum JCM 1222、Bifidobacterium breve JCM 1192、Bifidobacterium breve JCM 7016、Bifidobacterium bifidum JCM 1255、Bifidobacterium infantis JCM 1210、Bifidobacterium animalis JCM 1190、Bifidobacterium adolesentis JCM 1275)は理化学研究所より購入した。
【0030】
<乳酸菌(MY800)前培養液の調製>
10%還元脱脂乳(脱脂粉乳を10重量%濃度で水に溶解させたもの)を90℃で5分間加熱殺菌した。小スパーテル1杯の上記MY800粉末ダイレクトスターターを添加し、37℃で8時間培養し、MY800前培養液を調製した。
【0031】
<ビフィズス菌B66株前培養液の調製>
1重量%Peptone(Bacto社)、1重量%Yeast Extract(Bacto社)を含む10%還元脱脂乳培地を調製し、90℃で5分間加熱殺菌した。GAMブイヨン培地(日水製薬株式会社)で前培養しておいたB66株を10重量%となるように添加し、37℃で8時間培養し、B66株前培養液を調製した。
【0032】
<ビフィズス菌BB12株前培養液の調製>
1重量%Peptone(Bacto社)、1重量%Yeast Extract(Bacto社)を含む10%還元脱脂乳培地を調製し、90℃で5分間加熱殺菌した。小スパーテル1杯のBB12粉末ダイレクトスターターを添加し、37℃で8時間培養し、BB12株前培養液を調製した。
【0033】
〔実施例1〕乳酸菌の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響
さつまいも焼酎粕を45重量%、90重量%含む10%還元脱脂乳、およびさつまいも焼酎粕を含まない10%還元脱脂乳を調製し、90℃、5分で殺菌してサンプルとした。上記乳酸菌前培養液をサンプルに3重量%となるように添加し、37℃で0〜24時間培養した。pH、乳酸酸度、乳酸菌数を測定した。pHはPHメーター、乳酸酸度は0.1N NaOHによる滴定で測定した。乳酸菌数は、BCP加プレートカウントアガール培地(日水製薬株式会社)を用い、サンプルを37℃で72時間混釈培養し、黄変したコロニーをカウントした。
【0034】
(結果)
図1に示すように、さつまいも焼酎粕を添加した場合、さつまいも焼酎粕無添加に比べ乳酸菌により生成される乳酸が増加した。さつまいも焼酎粕は乳酸菌による発酵性を高めることが示唆された。また、さつまいも焼酎粕の添加により乳酸発酵によるpHの低下が抑制された(図2)。これは、さつまいも焼酎粕には0.75重量%のクエン酸が含まれており、そのクエン酸の緩衝作用によるものと考えられる。乳酸菌数はさつまいも焼酎粕の添加により高くなる傾向が見られたものの(図3)、有意な差はなかった(図4)。
【0035】
〔実施例2〕ビフィズス菌の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響
前述のとおり、さつまいも焼酎粕には0.75重量%のクエン酸が含まれている。クエン酸は乳酸菌およびビフィズス菌の増殖を促進することも報告されているので、90重量%さつまいも焼酎粕と同等のクエン酸を含むように添加したサンプルについても同時に調べた。
【0036】
さつまいも焼酎粕を45重量%、90重量%含む10%還元脱脂乳、さつまいも焼酎粕を含まない10%還元脱脂乳、およびクエン酸3ナトリウムを0.75重量%含む10%還元脱脂乳(pH6.7に調整)を調製し、90℃、5分で殺菌してサンプルとした。BB12株前培養液をサンプルに10重量%となるように添加し、37℃で8時間培養した。培養後、ビフィズス菌数を測定した。ビフィズス菌数の測定はTOSプロピオン酸寒天培地(栄研化学株式会社)を用い、サンプルを嫌気条件下、37℃で72時間混釈培養し、コロニーをカウントした。
【0037】
また、サンプルを限外ろ過(分画分子量10000Daおよび1000Da)して、上記と同様にして培養し、ビフィズス菌数を測定した。
【0038】
(結果)
添加したさつまいも焼酎粕の濃度に依存してビフィズス菌数が有意に増加した(図5)。90重量%さつまいも焼酎粕を添加した場合、無添加のものに比べ10倍の増殖効果を示した。しかし、90重量%さつまいも焼酎粕と同等のクエン酸を添加してもビフィズス菌数に変化はなかったことから、さつまいも焼酎粕のビフィズス菌増殖効果はクエン酸以外の物質である。また、さつまいも焼酎粕を限外ろ過(分画分子量1000Da)してもろ液に活性が維持されていることから、さつまいも焼酎粕に含まれるビフィズス菌増殖因子は分子量1000Da以下の低分子物質であると考えられる(図6)。
【0039】
〔実施例3〕ビフィズス菌、乳酸菌の共培養に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響
さつまいも焼酎粕を45重量%、90重量%を含む10%還元脱脂乳、さつまいも焼酎粕を含まない10%還元脱脂乳、クエン酸3ナトリウムを0.75重量%含む10%還元脱脂乳(pH6.7に調整)を調製し、90℃、5分で殺菌してサンプルとした。BB12株前培養液およびMY800前培養液を、サンプルにそれぞれ10重量%および3重量%となるように添加し、37℃で0〜24時間培養した。実施例1及び2と同様の方法で、pH、乳酸酸度、乳酸菌数、ビフィズス菌数を測定した。
【0040】
また、BB12株前培養液をB66株前培養液にした以外は、上記と同様にして培養し、pH、乳酸酸度、乳酸菌数、ビフィズス菌数を測定した。
【0041】
(結果)
BB12株共存下での乳酸酸度増加量、pHの変化は、乳酸菌のみで発酵させた場合と同じ挙動を示した(図7および図8)。培養8時間後の乳酸菌数はさつまいも焼酎粕を添加しても変化は見られず(図9)、8時間以降も同様であった(図10)。一方、乳酸菌共存下でのビフィズス菌数(BB12株)は添加したさつまいも焼酎粕の濃度に依存して有意に増加した(図11、図12)。90重量%さつまいも焼酎粕を添加し、8時間培養した場合、無添加のものに比べ4倍の増殖効果を示した。
【0042】
B66株共存下での乳酸酸度増加量、pHの変化は、上記BB12株共存下の場合と同様であった(図13および図14)。また乳酸菌数も大きくかわることはなかった(図15)。乳酸菌共存下でのB66株のビフィズス菌数は添加したさつまいも焼酎粕の濃度に依存して有意に増加した(図16)。
【0043】
〔実施例4〕さつまいも焼酎粕のビフィズス菌増殖効果の選択性
さつまいも焼酎粕を90重量%含む10%還元脱脂乳、およびさつまいも焼酎粕を含まない10%還元脱脂乳を調製し、90℃、5分で殺菌してサンプルとした。あらかじめ表1に示すビフィズス菌(Bifidobacterium 属)10株を別々に調製した前培養液(BB12株以外の菌株は、すべて上記B66株前培養液の調製方法で調製)を、サンプルに10重量%となるように添加した。37℃で8時間培養し、実施例2と同様にしてビフィズス菌数を測定した。
【0044】
(結果)
Bifidobacterium breve、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium animalisは乳中で増殖が悪く、さつまいも焼酎粕の増殖効果を調べることはできなかった。Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolesentisの6株で増殖促進効果が確認できた。特にBifidobacterium lactisBB12株では10倍以上、Bifidobacterium longum B66株では250倍以上、Bifidobacterium infantis JCM 1210では450倍以上、Bifidobacterium adlesentis JCM 1275では145倍以上の増殖効果を示した(表1、図17)。特にBifidobacterium longumおよびBifidobacterium infantisはヒトの腸内で優勢なビフィズス菌である。また、Bifidobacterium lactis およびBifidobacterium longumはビフィズス菌入り発酵乳の製造に幅広く利用されている菌である。
【0045】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0046】
さつまいも焼酎粕はビフィズス菌および/または乳酸菌の増殖促進剤として利用でき、腸内細菌叢改善効果を有する発酵乳や飲食品の開発に適用でき、さらにはビフィズス菌および/または乳酸菌の培地にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】乳酸酸度に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図2】乳酸発酵(pH)に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図3】乳酸菌数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響(発酵8時間)を示す。
【図4】乳酸菌数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図5】ビフィズス菌(BB12株)の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響(発酵8時間)を示す。
【図6】さつまいも焼酎粕の各限外濾過分画で培養したビフィズス菌数(発酵8時間)を示す。
【図7】BB12株共存下での乳酸酸度に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図8】BB12株共存下での乳酸発酵(pH)に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図9】BB12株共存下での乳酸菌の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響(発酵8時間)を示す。
【図10】BB12株共存下での乳酸菌数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図11】乳酸菌共存下でのビフィズス菌(BB12株)の生育に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響(発酵8時間)を示す。
【図12】乳酸菌共存下でのビフィズス菌(BB12株)数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図13】B66株共存下での乳酸酸度に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図14】B66株共存下での乳酸発酵(pH)に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図15】B66株共存下での乳酸菌数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図16】乳酸菌共存下でのビフィズス菌(B66株)数に及ぼすさつまいも焼酎粕の影響を示す。
【図17】さつまいも焼酎粕のビフィズス菌増殖効果の選択性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
さつまいも焼酎粕を有効成分として含有するビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤。
【請求項2】
請求項1に記載の増殖促進剤を含有する飲食品。
【請求項3】
発酵乳である、請求項2に記載の飲食品。
【請求項4】
請求項1に記載の増殖促進剤を含有する培地。
【請求項1】
さつまいも焼酎粕を有効成分として含有するビフィズス菌および乳酸菌の増殖促進剤。
【請求項2】
請求項1に記載の増殖促進剤を含有する飲食品。
【請求項3】
発酵乳である、請求項2に記載の飲食品。
【請求項4】
請求項1に記載の増殖促進剤を含有する培地。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−125055(P2009−125055A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306909(P2007−306909)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【出願人】(593050116)南日本酪農協同株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【出願人】(593050116)南日本酪農協同株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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