説明

ビーズ造形物作成台

【課題】 ビーズ造形物を製作するときに全てのビーズをムラなく均一に水に浸すことができ、容易にビーズ造形物を製作できるビーズ造形物作成台を提供する。
【解決手段】 本発明のビーズ造形物作成台は、内側に液溜部26を備えた基台部材2と、基台部材2の液溜部26に導通する液体流出口36を備えた液体タンク3と、液体タンク3に回動可能に配置される充填用タンク4と、ビーズ載置板5と、基台部材2に回動可能に装着されるビーズ載置板保持具6と、を備え、充填用タンク4に液体を充填した状態でビーズ載置板5上にビーズを並べ、並べ終わった後に充填用タンク4を回動させて液体タンク3内に液体を充填することで、液体タンク3内から液体が基台部材2の液溜部26に流れてビーズ載置板5上のビーズが液体に浸り、その後、ビーズ載置板保持具6を自立させることでビーズを乾燥させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に接触するビーズを液体により溶解接着させてビーズ造形物を作成するビーズ玩具において使用するビーズ造形物作成台に関する。
【背景技術】
【0002】
相互に接触するビーズを液体により溶解接着させてビーズ造形物を作成するビーズ玩具がある。このビーズ玩具は、複数のビーズを花の形状や動物の形状など隣り合うビーズが接触した状態で所定の形状に並べ、この状態で各ビーズに液体を吹き付けることによりビーズを一旦湿らせてその後乾燥させることにより、ビーズによる所定の形状の造形物を作成することができる。
【0003】
そして、このようなビーズ玩具を用いた造形物を容易に作成することができるように、本願出願人は、特開2009−5780号公報(特許文献1)の中でビーズ絵模様製作台の提案を行っている。この提案では、ビーズ保持トレイ上にビーズを所定の形状となるように並べ、霧吹きや刷毛でビーズに液体を塗布し、ビーズ保持トレイにビーズが並べられた状態のままトレイ立掛部にビーズ保持トレイを立て掛けてビーズを乾かし、ビーズが乾いた後にビーズをビーズ保持トレイから取り外すことによりビーズ造形物を容易に作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−5780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のビーズ絵模様製作台によれば、隣り合うビーズが接触するように複数の窪みをビーズ保持トレイ上に設け、このビーズ保持トレイ上でビーズを所定の形状に並べることによりせっかく配置したビーズが転がって所定の位置からずれてしまうことを防止でき、また、ビーズ保持トレイ上でビーズを液体で湿らせるように濡らすことも容易にできる。また、トレイ立掛部を設けることにより、ビーズがビーズ保持トレイ上に並べられた状態のままでビーズ保持トレイを立て掛けることができるため、濡れたビーズを乾燥させることも容易となる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のビーズ絵模様製作台やその他のビーズ造形物を製作するための補助具では、ビーズを液体で濡らすときに霧吹きや刷毛を用いる構成であるため、ビーズ造形物を構成する全てのビーズをムラなく液体で湿らせることが困難であった。
【0007】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、ビーズ造形物を製作するときに全てのビーズをムラなく均一に液体で濡らすことができ、容易にビーズ造形物を製作できるビーズ造形物作成台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、相互に接触するビーズを液体により溶解接着させてビーズ造形物を作成するビーズ玩具において使用するビーズ造形物作成台であって、内側に液溜部を備えた基台部材と、前記基台部材に装着され、前記基台部材の液溜部に導通する液体流出口を備えた液体タンクと、ビーズが載置されるビーズ載置板と、を備え、前記基台部材の液溜部内に前記ビーズ載置板が配置され、前記液体タンクに液体が充填されることにより、前記液体タンクから前記基台部材の液溜部に液体が流出し、前記ビーズ載置板上のビーズが液体に浸ることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のビーズ造形物作成台は、前記液体タンクに回動可能に配置される充填用タンクを備え、前記充填用タンク内に液体が充填された状態で前記充填用タンクを回動させることにより前記充填用タンクから前記液体タンク内に液体が充填されることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明のビーズ造形物作成台は、前記ビーズ載置板を保持するものであって、前記基台部材に回動可能に装着されるビーズ載置板保持具を備え、前記ビーズ載置板保持具は、前記ビーズ載置板を前記基台部材の液溜部内に収まった状態と、回動して前記基台部材から立ち上がった状態と、に保持可能とされたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のビーズ造形物作成台において前記充填用タンクは、前記液体タンクに着脱自在とされていることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明のビーズ造形物作成台において前記充填用タンクは、平行に配置される2枚の略半円板と、2枚の略半円板の円弧を連結する円弧面板と、から構成される略半円形状の容器であって、前記2枚の略半円板の中心近傍に外方に突出する回転軸を備え、該回転軸が前記液体タンクに係合されることにより前記液体タンクに回動可能な状態で取付可能とされていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のビーズ造形物作成台において前記充填用タンクは、前記円弧面板の中心部分近傍に、充填用タンクに液体を補充するときに充填用タンクのスタンドとなる自立用突起が形成されていることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明のビーズ造形物作成台において前記充填用タンクの内側には、前記充填用タンク内の液体を前記液体タンク内に流し込むときに液体の流れを整流する複数の整流板が形成され、前記複数の整流板は、前記円弧面板の中央と円弧の中心とを繋ぐ直線と平行に前記円弧面板から立設し、かつ、前記2枚の略半円板に対して垂直であって、上端辺部分にU字状の切欠きを備え、前記複数の整流板における少なくとも一枚が、前記充填用タンク内に液体を補充するときに液体量の目安となることを特徴とする。
【0015】
そして、本発明のビーズ造形物作成台において前記基台部材は、略矩形に窪んだ前記液溜部と、前記液溜部の後方に位置し前記液体タンクが配置されるタンク配置部と、を備え、前記液溜部および前記タンク配置部を構成する左右の側壁の前端近傍に前記ビーズ載置板保持具を回動可能に保持するための前溝、後溝からなる2つの溝を有する軸受け部がそれぞれ左右の対称位置に形成されており、前記ビーズ載置板保持具は、前壁、左右の側壁および下板を備え、左右の側壁の前端近傍に前記基台部材の前溝および後溝と係合するための前軸、後軸からなる2つの突起を有する係合部がそれぞれ左右の対称位置に形成されており、前記下板を前記基台部材の液溜部底部上に近接させることにより前記基台部材の前記液溜部内に平坦に配置された状態とされ、前記前軸および後軸を前記基台部材の前溝に挿入することにより前記基台部材に対して自立した状態とされることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のビーズ造形物作成台において前記基台部材の前溝は、前記基台部材の下方から垂直に立ち上がる溝であり、前記基台部材の後溝は、前記前溝の上端近傍から後下方に延在する円弧部と該円弧部の後方において前記基台部材の下方から垂直に立ち上がる垂直部とを備える溝であり、前記後溝における円弧部の曲率半径の中心が前記前溝の下端よりも上方に位置していることを特徴とする。
【0017】
そして、本発明のビーズ造形物作成台において前記基台部材、前記ビーズ載置板および前記ビーズ載置板保持具は、いずれも透光性を備えた樹脂によって形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のビーズ造形物作成台は、ビーズによる造形物の見本となる見本絵が載置され、前記基台部材の下方に挿入可能な見本絵載置板を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ビーズ造形物を製作するときに全てのビーズをムラなく均一に液体で濡らすことができ、容易にビーズ造形物を製作できるビーズ造形物作成台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るビーズ造形物作成台の斜視図である。
【図2】上記ビーズ造形物作成台の充填用タンクを回動させた状態における斜視図である。
【図3】上記ビーズ造形物作成台の分解斜視図である。
【図4】上記ビーズ造形物作成台の側面図である。
【図5】基台部材の軸受け部、および、ビーズ載置板保持具の係合部の拡大模式図である。
【図6】基台部材とビーズ載置板保持具の動作説明図である。
【図7】上記ビーズ造形物作成台の使用方法に関する説明図である。
【図8】上記ビーズ造形物作成台の使用方法に関する説明図である。
【図9】上記ビーズ造形物作成台の使用方法に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。図1は、本実施形態におけるビーズ造形物作成台の正面斜視図であり、図2は、充填用タンクが回動した状態におけるビーズ造形物作成台の正面斜視図であり、図3は、ビーズ造形物作成台の分解斜視図であり、図4は、ビーズ造形物作成台の内部を透過した側面図である。なお、以下の説明において図1における液体タンク3が配置される側を後方、液体タンク3に対して見本絵載置板7が配置される側を前方、前後方向と直交し基台部材2と平行な方向を左右方向(側方)、前後方向および左右方向と直交する方向を上下方向として述べる。
【0022】
本実施形態のビーズ造形物作成台1は、液体、例えば、水によって溶解接着するビーズを組み合わせて花の形状や動物の形状、アクセサリーなどのビーズ造形物を作成するために用いる道具であり、容易にビーズ造形物を作成可能であって、全てのビーズが均一に液体に浸るように構成され、さらに、液体に浸ったビーズの造形物を容易に乾燥させることができるものである。以下、ビーズ造形物作成台1について図面に基づいて詳説する。
【0023】
ビーズ造形物作成台1は、図1および図2に示すように、ビーズ造形物作成台1の基台となる厚みのある平板状とされる基台部材2と、基台部材2の後方に配置され、基台部材2に液体を供給する液体タンク3と、液体タンク3に回動可能に取り付けられ、液体タンク3に水を供給する充填用タンク4と、ビーズを並べるためのビーズ載置板5と、基台部材2の内側前方においてビーズ載置板5を保持するビーズ載置板保持具6と、基台部材2の下方に引き出し可能に配置され、ビーズ造形物の見本となる見本絵が載置される見本絵載置板7と、を備える。
【0024】
基台部材2は、図1乃至図3に示すように、前端辺が湾曲しているものの略長方形状であって基台部材2の略全体を占める中間板21と、中間板21の前端辺に垂直に形成された前側壁22と、中間板21の後端辺に垂直に形成された後側壁23と、中間板21の左右端辺に垂直に形成された左右側壁24,25と、を備え、透光性を有した(透明な)樹脂で形成されている。そして、基台部材2は、中間板21および各側壁22,23,24,25で囲まれた前方側に液溜部26としての窪みを有し、後方側にタンク配置部27を有する。なお、前側壁22と中間板21の接続部分はテーパー状に形成されている。
【0025】
基台部材2の各側壁22,23,24,25は、空隙を介した内壁と外壁により形成されている。そして、左側壁24および右側壁25の内壁前端近傍には、ビーズ載置板保持具6が回動可能に係合される軸受け部28が形成されている。この軸受け部28に関しての詳細な説明は後述する。また、前側壁22には、中央下端から中間板21の下面の延長線上位置までの高さを有すると共に基台部材2の略左右全幅に至る切り抜きが形成されている。これにより中間板21の下方位置に形成される載置板収納部29に見本絵載置板7を前側壁22の前方から抜き差し可能とすることができる。
【0026】
基台部材2のタンク配置部27には、中間板21から上方に膨出する方形状の膨出部27aが形成されており、この膨出部27aに液体タンク3が嵌合される。また、膨出部27aの前端面には2つの液体流出溝27bが形成されており、この2つの液体流出溝27bは、液体タンク3が膨出部27aに嵌合されたときに後述する液体タンク3の液体流出口36と重合することとなる。さらに、タンク配置部27における基台部材2の左右側壁24,25には、液体タンク3の外側面に係合する複数の係合突起27dが形成されている。また、基台部材2の左右側壁24,25の前後方向略中心部分における上面には、後述するビーズ載置板保持具6の係止突起66cが係止する係止孔24a,25aが形成されている。
【0027】
液体タンク3は、前壁31、後壁32、側壁33,34からなる上下を開口とした部材であり、下方を基台部材2のタンク配置部27の膨出部27aに嵌め込むことにより内側が膨出部27aを底面とした液体収納部35となる。また、液体タンク3の前壁31の下端には、基台部材2の液体流出溝27bと重合する位置に液体流出口36が形成されている。これにより、液体タンク3を基台部材2のタンク配置部27の膨出部27aに嵌合したとき、液体収納部35と基台部材2の液溜部26とが導通することとなるため、液体タンク3内の液体を基台部材2の液体流出溝27bおよび液体流出口36から基台部材2の液溜部26に流出させることが可能となる。さらに、液体タンク3の前壁31および後壁32の上端辺における中心部分には、後述する充填用タンク4の回転軸44を軸支するための切り欠き37がそれぞれ設けられている。
【0028】
充填用タンク4は、液体タンク3内において液体を充填用タンク4内に充填されたままで保持可能な状態と(図1)、充填用タンク4内の液体を液体タンク3内に流出させることが可能な状態と(図2)、に液体タンク3内で回動させることが可能な部材である。この充填用タンク4は、2枚の略半円形状の板(略半円板)である前壁41および後壁42と、前壁41および後壁42の円弧部分を連結する円弧面板43と、からなる略半円形状の容器であり、中心部分(前壁41および後壁42の円弧における中心部分)には前後方向における外方に突出する回転軸44が形成されている。なお、前壁41の回転軸44の前端には、ツマミ45が形成されている。この充填用タンク4は、回転軸44が液体タンク3の切り欠き37に軸支されるように液体タンク3に装着することが可能であり、ツマミ45を回転させることにより充填用タンク4内の液体を液体タンク3内に移すことができる。
【0029】
また、充填用タンク4の内側には、充填用タンク4内の液体を液体タンク3内に流し込むときに液体の流れを整流する3枚の整流板46,47,48が形成されている。この3枚の整流板46,47,48は、円弧面板43の中央と円弧の中心とを繋ぐ直線と平行に円弧面板43から立設し、かつ、前壁41および後壁42に対して垂直となるように形成されている。また、3枚の整流板46,47,48は、上端辺部分にU字状の切欠きを備えている。そして、中央に位置する整流板47は他の整流板46,48よりも高く(充填用タンク4の開口側に突出して)形成されており、この整流板47の上端が充填用タンク4内に液体を充填するときの液体量の目安となる。
【0030】
さらに、充填用タンク4の円弧面板43の外面における下端近傍部分(円弧面板43の中央近傍部分)には、図2に示したように、複数の突起49が外方に突出するように形成されている。この複数の突起49は、充填用タンク4を自立させるときにスタンド(足)の役目を果たす自立用突起49である。すなわち、充填用タンク4に自立用突起49が形成されていることにより、充填用タンク4に液体を補充するときに充填用タンク4を自立させた状態で作業できることとなる。なお、この自立用突起49は、液体タンク3内で充填用タンク4が回動したときに液体タンク3の側壁33,34と物理的に干渉しない程度の突出量とされている。
【0031】
ビーズ載置板5は、図1乃至図3に示したように、透光性を有した樹脂製の方形板であり、上面にビーズが配置される略半球形状とされた複数の凹み51が等間隔に配列されている。この凹み51は、ビーズを載置したときに隣接するビーズが接触するように形成されている。
【0032】
ビーズ載置板保持具6は、ビーズ載置板5を保持した状態で基台部材2に対して回動可能な透光性を有する樹脂製の保持具であり、基台部材2の液溜部26内に水平に配置させた状態と、基台部材2に対して立てるように自立させた状態とで基台部材2に保持されるものである。
【0033】
このビーズ載置板保持具6は、方形状の下板61と、下板61の前端辺から立設する前壁62と、下板61の側端辺から立設する側壁63,64と、からなる。前壁62は、側壁63,64よりも低く形成されており、側壁63,64の前端は前壁62よりも前方に突出するように形成されている。また、側壁63,64の前後方向の中心近傍には、ビーズ載置板5を係止するための係止板65,65が内側に向かって突出するように形成されている。
【0034】
さらに、側壁63,64の後端近傍の上方にはビーズ載置板保持具6を基台部材2から起こすときに把持する箇所である把持部66が形成されている。この把持部66は、側壁63,64から上方に延在する上方延在部66aと、上方延在部66aの上端から外側方に延在する側方延在部66bと、を備える。また、側方延在部66bの下面には、図4に示すように、基台部材2の左右側壁24,25に形成された係止孔24a,25aと係止する係止突起66cが形成されている。よって、ビーズ載置板保持具6を基台部材2上に寝かせた状態のときに係止突起66cを基台部材2の係止孔24a,25aに係止させることで、ビーズ載置板保持具6は基台部材2に固定され、ユーザが作業している最中(ビーズ載置板5にビーズを並べているとき)にビーズ載置板保持具6が動くことを防止している。
【0035】
また、ビーズ載置板保持具6の側壁63,64の前端部分には、図3に示したように、基台部材2の軸受け部28に係合される係合部68が形成されている。そして、ビーズ載置板保持具6は、この係合部68と基台部材2の軸受け部28との係合状態如何によって、上述したように基台部材2に寝た状態と基台部材2に対して自立した状態とに変化させて保持することができる。以下、基台部材2の軸受け部28と、ビーズ載置板保持具6の係合部68との構成について詳細に述べる。
【0036】
基台部材2の軸受け部28は、図5(a)に示すように、2つの溝である前溝28aと後溝28bとから構成される。前溝28aは、基台部材2の中間板21に対して垂直に形成された略U字形状の溝である。後溝28bは、前溝28aの上端近傍から後下方に延在する円弧面形状の円弧部28cと、円弧部28cの後方において基台部材2の中間板21に対して垂直に形成された垂直部28dと、を備える。また、円弧部28cを形成する曲率半径の中心Oは、前溝28aの下端よりも上方に位置している。なお、図5(a)における中心Oは、説明のために仮想の点を付しているものであり、実際に存在する点ではない。
【0037】
ビーズ載置板保持具6の係合部68は、図5(b)に示すように、側壁63,64から側外方に突出する2つの突起である前軸68aと後軸68bとから構成される。前軸68aは、側壁63,64の前端近傍に形成されており、後軸68bは、前軸68aよりも後方で前軸68aよりも上方位置に形成されている。また、前軸68aと後軸68bとの距離lは、基台部材2の前溝28aと後溝28bの下端間の距離と略同一とされている。すなわち、基台部材2の後溝28bにおける円弧部28cの曲率半径の中心Oが前溝28aの下端よりも上方に位置し、ビーズ載置板保持具6の前軸68aと後軸68bとの距離lが基台部材2の前溝28aと後溝28bの下端間の距離と略同一とされていることから、基台部材2の前溝28aの深さhはビーズ載置板保持具6の前軸68aと後軸68bとの距離よりも僅かに深く形成されていることとなる(h>l)。
【0038】
次に、ビーズ載置板保持具6の動作について述べる。ビーズ載置板保持具6が寝た状態、すなわち、ビーズ載置板保持具6の下板61が基台部材2の中間板21と平行かつ近接した状態のとき、図6(a)に示すように、ビーズ載置板保持具6の下板61が基台部材2の中間板21に先に接触するため、ビーズ載置板保持具6の前軸68aおよび後軸68bは、基台部材2の前溝28aおよび後溝28bの下端よりも僅かに浮いた状態となる。
【0039】
ビーズ載置板保持具6を寝た状態から起こすとき、図6(b)に示すように、ビーズ載置板保持具6の後軸68bは、基台部材2の後溝28bの円弧部28cに誘導されて円運動し、ビーズ載置板保持具6の前軸68aは、基台部材2の後溝28bにおける円弧部28cの曲率半径の中心Oに位置することとなる。
【0040】
ビーズ載置板保持具6を完全に起こしたとき、図6(c)に示すように、ビーズ載置板保持具6の前軸68aおよび後軸68bは、基台部材2の前溝28a内に落下し、前軸68aが前溝28aの下端に接した状態となり、ビーズ載置板保持具6の後軸68bは、基台部材2の前溝28aの上端における後端壁に接した状態となる。すなわち、ビーズ載置板保持具6は、前軸68aと後軸68bが基台部材2の前溝28aに係合することで自立した状態となる。
【0041】
見本絵載置板7は、前端面が僅かに前方に湾曲した略方形板であり、上面に見本絵を載置した状態で載置板収納部29に挿入可能とされている。基台部材2に見本絵載置板7を挿入した状態では、基台部材2やビーズ載置板保持具6、ビーズ載置板5がそれぞれ透光性を有した樹脂(透明な樹脂)で形成されているため、ビーズ造形物作成台1の上方から見本絵を視認することができる。
【0042】
次に、このような構成とされたビーズ造形物作成台1の使用方法について述べる。まず、図7(a)に示すようなビーズ載置板5にビーズを並べる前(作業開始前)の状態にするため、準備として、見本絵を見本絵載置板7上に載置し、見本絵載置板7を載置板収納部29に挿入する。そして、ビーズ載置板保持具6を起こした状態でビーズ載置板5をセットした後、ビーズ載置板保持具6を寝かせて図4に示した基台部材2の係止孔24a,25aとビーズ載置板保持具6の係止突起66cを係止させる。さらに、充填用タンク4内に、中央に位置する整流板47の上端と略同じ高さになるまで液体を充填し、液体が溢れないように注意しながら液体タンク3内に充填用タンク4を装填する。そして、この状態で図7(b)に示すように見本絵に従ってビーズ載置板5上にビーズ90を並べる。なお、準備段階における作業の順番は上述した順番に限定されるものではない。
【0043】
ビーズ90を並べ終わった後、図8(a)に示すように、充填用タンク4のツマミ45を指などで摘んで充填用タンク4を半転させ、充填用タンク4内の液体を液体タンク3内に流し込む。液体タンク3内に液体が流入すると、図8(b)に示すように、液体タンク3の液体流出口36から基台部材2の液溜部26に液体が流入し、ビーズ載置板5上のビーズ90が液体に浸る。このとき、液体タンク3内の液体は液体流出口36から少しずつ基台部材2の液溜部26に流入するため、ビーズ載置板5上に並べたビーズ90がビーズ載置板5上から移動してしまうことはない。また、整流板47の高さに合わせて充填用タンク4に充填された液体は、基台部材2の液溜部26に載置固定されたビーズ載置板5およびビーズ載置板5上に並べられたビーズ90を完全に浸しつつ、液溜部26から溢れることのない量とされる。
【0044】
そして、所定時間経過後にビーズ載置板保持具6を起こすと、ビーズ載置板5(ビーズ載置板保持具6内)の液体は基台部材2の液溜部26内に流れ、図9(a)に示すように、ビーズ載置板保持具6を自立させた状態で所定時間放置することにより、ビーズ90を乾燥させることができる。ビーズ90が乾燥した後、ビーズ載置板5をビーズ載置板保持具6から取り外し、図9(b)に示すように、ビーズ90の造形物をビーズ載置板5から離脱させることでビーズ90の造形物が完成する。
【0045】
なお、準備段階では充填用タンク4内に液体を充填せずに、ビーズ90をビーズ載置板5上に並べ終わってから充填用タンク4内に液体を充填させる構成としてもよい。また、見本絵載置板7は、ビーズ90をビーズ載置板5上に並べ終わった後は必要ないため、ビーズ載置板5を液体に浸す前に基台部材2から取り外してもよい。すなわち、上述のビーズ造形物作成台1の使用方法は、一例を述べたのみであり、ユーザが所望の方法で使用することができる。
【0046】
このように本実施形態におけるビーズ造形物作成台1は、内側に液溜部26を備えた基台部材2と、基台部材2に装着され、基台部材2の液溜部26に導通する液体流出口36を備えた液体タンク3と、ビーズ90が載置されるビーズ載置板5と、を備えてなり、基台部材2の液溜部26内にビーズ載置板5を配置し、液体タンク3に液体を充填することにより、ビーズ載置板5上のビーズ90をムラなく均一に液体に浸すことが可能となる。また、液体タンク3内の液体は、液体流出口36から徐々に基台部材2の液溜部26内に流れ込むため、一気に流れ込んでビーズ載置板5上のビーズ90を流してしまうこともない。
【0047】
さらに、液体タンク3に回動可能に配置される充填用タンク4を備えることにより、ビーズ載置板5上にビーズ90を並べる作業中には基台部材2の液溜部26に液体が流れることがなく、液体に浸す作業のときに充填用タンク4を回転させることでビーズ90を液体に浸すことができることとなる。
【0048】
また、基台部材2に回動可能に装着されるビーズ載置板保持具6を備えることにより、ビーズ載置板5を基台部材2の液溜部26内に収まった状態(寝た状態)と、回動して基台部材2から立ち上がった状態と、に保持可能となる。よって、ビーズ90を並べる作業と乾燥させる作業が容易に行えることとなる。
【0049】
さらに、充填用タンク4が液体タンク3に着脱自在とされていることにより、充填用タンク4に水を充填する作業が容易に行うことができる。
【0050】
そして、充填用タンク4を半円形状の容器としているため、充填用タンク4を回動させることが容易となり、回動時に液体タンク3と物理的に干渉することがない。
【0051】
また、充填用タンク4に自立用突起49を設けることにより、充填用タンク4に液体を充填するときに充填用タンク4を自立させることができるため、作業が容易となる。
【0052】
さらに、充填用タンク4の内側に複数の整流板46,47,48を設けることにより、充填用タンク4内の液体を液体タンク3内にスムーズに充填することができ、また、整流板47の上端が充填用タンク4内に液体を補充するときの液体量の目安となるため、液体を入れすぎて充填用タンク4から液体が溢れ出すことや、液体が少なすぎてビーズ載置板5上のビーズ90に液体が行き渡らないといったことを防止できる。
【0053】
また、基台部材2に軸受け部28として前溝28a、後溝28bを設け、ビーズ載置板保持具6に係合部68として前軸68a、後軸68bを設けることにより、各溝28a,28bと各軸68a,68bの係合状態如何によってビーズ載置板5を寝かせた状態と自立した状態とで保持することが可能となる。
【0054】
さらに、基台部材2の後溝28bにおける円弧部28cの曲率半径の中心Oが前溝28aの下端よりも上方に位置していることにより、前溝28aの深さhはビーズ載置板保持具6の前軸68aと後軸68bとの距離lよりも僅かに深いこととなる。これにより、ビーズ載置板保持具6を起こしたとき、基台部材2の前溝28a内にビーズ載置板保持具6の前軸68aおよび後軸68bが収まるため、前溝28aに前軸68aおよび後軸68bが係止して自立が可能となる。
【0055】
そして、基台部材2、ビーズ載置板5およびビーズ載置板保持具6がいずれも透光性を備えた樹脂によって形成されているため、基台部材2の中間板21の下方をビーズ載置板5の上方から視認できることとなり、見本絵載置板7上の見本絵を参考にビーズ90を並べる作業が行えることとなる。
【0056】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。すなわち、本発明は、ビーズ造形物を製作するときに全てのビーズ90をムラなく均一に水に浸すことができ、容易にビーズ造形物を製作できるビーズ造形物作成台1を提供することを目的としており、この目的から外れない限りデザインを変更したり、部材点数を増減させたりといった設計変更は発明の範囲、あるいは均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 ビーズ造形物作成台
2 基台部材 3 液体タンク
4 充填用タンク 5 ビーズ載置板
6 ビーズ載置板保持具 7 見本絵載置板
21 中間板 22 前側壁
23 後側壁 24 左側壁
25 右側壁
24a,25a 係止孔
26 液溜部
27 タンク配置部 27a 膨出部
27b 液体流出溝 27d 係合突起
28 軸受け部 28a 前溝
28b 後溝 28c 円弧部
28d 垂直部
29 載置板収納部 31 前壁
32 後壁
33,34 側壁
35 液体収納部 36 液体流出口
37 切り欠き
41 前壁 42 後壁
43 円弧面板 44 回転軸
45 ツマミ
46,47,48 整流板
49 自立用突起 51 凹み
61 下板 62 前壁
63,64 側壁 65 係止板
66 把持部 66a 上方延在部
66b 側方延在部 66c 係止突起
68 係合部 68a 前軸
68b 後軸 90 ビーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に接触するビーズを液体により溶解接着させてビーズ造形物を作成するビーズ玩具において使用するビーズ造形物作成台であって、
内側に液溜部を備えた基台部材と、
前記基台部材に装着され、前記基台部材の液溜部に導通する液体流出口を備えた液体タンクと、
ビーズが載置されるビーズ載置板と、
を備え、
前記基台部材の液溜部内に前記ビーズ載置板が配置され、前記液体タンクに液体が充填されることにより、前記液体タンクから前記基台部材の液溜部に液体が流出し、前記ビーズ載置板上のビーズが液体に浸ることを特徴とするビーズ造形物作成台。
【請求項2】
前記液体タンクに回動可能に配置される充填用タンクを備え、
前記充填用タンク内に液体が充填された状態で前記充填用タンクを回動させることにより前記充填用タンクから前記液体タンク内に液体が充填されることを特徴とする請求項1に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項3】
前記ビーズ載置板を保持するものであって、前記基台部材に回動可能に装着されるビーズ載置板保持具を備え、
前記ビーズ載置板保持具は、前記ビーズ載置板を前記基台部材の液溜部内に収まった状態と、回動して前記基台部材から立ち上がった状態と、に保持可能とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項4】
前記充填用タンクは、前記液体タンクに着脱自在とされていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項5】
前記充填用タンクは、平行に配置される2枚の略半円板と、2枚の略半円板の円弧を連結する円弧面板と、から構成される略半円形状の容器であって、前記2枚の略半円板の中心近傍に外方に突出する回転軸を備え、該回転軸が前記液体タンクに係合されることにより前記液体タンクに回動可能な状態で取付可能とされていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項6】
前記充填用タンクは、前記円弧面板の中心部分近傍に、充填用タンクに液体を補充するときに充填用タンクのスタンドとなる自立用突起が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項7】
前記充填用タンクの内側には、前記充填用タンク内の液体を前記液体タンク内に流し込むときに液体の流れを整流する複数の整流板が形成され、
前記複数の整流板は、前記円弧面板の中央と円弧の中心とを繋ぐ直線と平行に前記円弧面板から立設し、かつ、前記2枚の略半円板に対して垂直であって、上端辺部分にU字状の切欠きを備え、前記複数の整流板における少なくとも一枚が、前記充填用タンク内に液体を補充するときに液体量の目安となることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項8】
前記基台部材は、略矩形に窪んだ前記液溜部と、前記液溜部の後方に位置し前記液体タンクが配置されるタンク配置部と、を備え、前記液溜部および前記タンク配置部を構成する左右の側壁の前端近傍に前記ビーズ載置板保持具を回動可能に保持するための前溝、後溝からなる2つの溝を有する軸受け部がそれぞれ左右の対称位置に形成されており、
前記ビーズ載置板保持具は、前壁、左右の側壁および下板を備え、左右の側壁の前端近傍に前記基台部材の前溝および後溝と係合するための前軸、後軸からなる2つの突起を有する係合部がそれぞれ左右の対称位置に形成されており、
前記下板を前記基台部材の液溜部底部上に近接させることにより前記基台部材の前記液溜部内に平坦に配置された状態とされ、
前記前軸および後軸を前記基台部材の前溝に挿入することにより前記基台部材に対して自立した状態とされることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか1項に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項9】
前記基台部材の前溝は、前記基台部材の下方から垂直に立ち上がる溝であり、
前記基台部材の後溝は、前記前溝の上端近傍から後下方に延在する円弧部と該円弧部の後方において前記基台部材の下方から垂直に立ち上がる垂直部とを備える溝であり、
前記後溝における円弧部の曲率半径の中心が前記前溝の下端よりも上方に位置していることを特徴とする請求項8に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項10】
前記基台部材、前記ビーズ載置板および前記ビーズ載置板保持具は、いずれも透光性を備えた樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載のビーズ造形物作成台。
【請求項11】
ビーズによる造形物の見本となる見本絵が載置され、前記基台部材の下方に挿入可能な見本絵載置板を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のビーズ造形物作成台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−152234(P2012−152234A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11112(P2011−11112)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年1月17日 日本トイズサービス株式会社発行の「Weekly Toy News 週刊玩具通信 第2285号 別冊 TOYフォーラム2011 特集号」に発表
【出願人】(000128234)株式会社エポック社 (21)
【Fターム(参考)】