説明

ピアノのアクション

【課題】 鍵のタッチ感に悪影響を及ぼすことなく、単純な構成によって、レットオフのタイミングを明確にすることができるとともに、連打性を向上させることができ、これらにより、表現力に優れた高い演奏性を実現することができるピアノのアクションを提供する。
【解決手段】 押鍵に伴ってハンマー3を回動させるピアノのアクション1であって、鍵4で突き上げられることにより回動するウィッペン6と、その上方の所定位置に固定され、下端にジャック当接面17aを有するレギュレティングボタン17と、ウィッペン6に回動自在に設けられ、押鍵に伴ってジャック当接面17aに当接するレギュレティングボタン当接面8aを有し、補強用の長繊維を含有する熱可塑性樹脂の成形品で構成されたジャック7と、を備え、ジャック当接面17aおよびレギュレティングボタン当接面8aが平坦面で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを回動させることにより打弦を行わせるピアノのアクションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピアノのアクションとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。図9は、このアクション51の主要部分などを離鍵状態において示している。アクション51は、アップライトピアノ用のもので、鍵50の後端部(図9の左側を後ろ側とする)の上方に設けられており、鍵50の後端部に載置されたウィッペン52と、ウィッペン52に回動自在に設けられたジャック53と、ウィッペン52の上方の所定位置に設けられたレギュレティングボタン56を備えている。ジャック53は、前後方向に延びるレギュレティングボタン当接部54と、レギュレティングボタン当接部54の後端部からほぼ直角に上方に延びるハンマー突上部55とからL字形に形成され、両者54,55の角部において、ウィッペン52に回動自在に支持されている。また、離鍵状態では、ハンマー突上部55がハンマー60のバット61に係合するとともに、レギュレティングボタン当接部54のレギュレティングボタン当接面54aがレギュレティングボタン56に下方から対向しており、このレギュレティングボタン当接面54aは曲面で構成されている。バット61には、ハンマーシャンク62が上方に延びるように設けられ、このハンマーシャンク62の上端部に、ハンマー60のハンマーヘッド(図示せず)が設けられている。また、バット61には、ハンマー60を図9の時計方向に付勢するバットスプリング61aが設けられている。
【0003】
このようなアップライトピアノの鍵50を押鍵すると、ウィッペン52は、鍵50の後端部に突き上げられることによって上方に回動し、ジャック53は、ウィッペン52と一緒に上方に移動する。これにより、ハンマー60は、バット61を介してジャック53により突き上げられることによって、バットスプリング61aの付勢力に抗して、鉛直に張られた後方の弦(図示せず)に向かって回動する。そして、ジャック53のレギュレティングボタン当接部54がレギュレティングボタン56に当接することによって、ジャック53の上方への移動が阻止される。ウィッペン52の回動がさらに進むと、ジャック53は、レギュレティングボタン56から反力が作用した状態で、そのレギュレティングボタン当接部54がレギュレティングボタン56の下面に沿って摺動しながら、ウィッペン52に対して回動する結果、ハンマー60から離脱する。これにより、鍵50のタッチ重さ(指先にかかる荷重)からハンマー60の重量分が失われることによって、演奏者にレットオフ感が付与される。また、このジャック53の離脱後、ハンマー60は、慣性で回動し、弦を打弦する。
【0004】
一般に、豊かな演奏表現のためには、ジャック53がハンマー60から離脱するタイミング、すなわちレットオフのタイミングを正確に把握し、ハンマー60の打弦速度を細かく調整することが重要である。例えば、ピアニッシモのような弱音は、ハンマー60を弦の付近まで一旦、回動させ、その状態からさらに回動させることにより、ハンマー60の打弦速度を小さくすることによって得ることができる。すなわち、鍵50を、ジャック53がハンマー60から離脱するレットオフ直前まで一旦、押鍵し、その状態から押し切ることによって、弱音を得ることができる。
【0005】
これに対して、従来のアクションを適用したアップライトピアノでは、前述したように、ハンマーシャンク62が上下方向に延びているために、ハンマー60の重心がその回動支点に近い位置にあるので、ハンマー60の自重による回動支点回りのモーメントは小さい。このため、レットオフ直前のタッチ重さであるレットオフ荷重は、比較的小さく、レットオフ前後のタッチ重さの変化量もまた小さいので、レットオフのタイミングを把握し難い。その結果、ハンマー60の打弦速度を細かく調整し難いことによって、ピアノの表現力や演奏性が低くなってしまう。
【0006】
また、豊かな演奏表現のためには、優れた連打性も要求される。グランドピアノの場合、ハンマーは、ほぼ水平に延びており、その重心は、ハンマーの一端部の回動支点から水平方向に大きな間隔を隔てたハンマーヘッド付近に位置している。このため、ハンマーは、上方の弦を打弦した後、ジャックによる再度の突上げ可能な位置まで、自重で速やかに復帰回動するので、グランドピアノは高い連打性を有している。これに対し、上述したアップライトピアノの場合、打弦後に、ハンマー60を、バットスプリング61aの付勢力によって復帰回動させるため、ハンマー60およびジャック53が、ハンマー60の再度の突上げ可能な状態まで復帰するのに比較的、時間を要するので、アップライトピアノの連打性はグランドピアノよりも低い。アップライトピアノの連打性を向上させるには、バットスプリング61aのばね力を高めることによって、ハンマー60の復帰回動に要する時間を短くすることが考えられるが、その場合、ばね力を高めた分、ジャック53でハンマー60を突き上げる際の鍵50のタッチ重さが大きくなり、その結果、タッチ感に悪影響を及ぼしてしまう。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、鍵のタッチ感に悪影響を及ぼすことなく、単純な構成によって、レットオフのタイミングを明確にすることができるとともに、連打性を向上させることができ、これらにより、表現力に優れた高い演奏性を実現することができるピアノのアクションを提供することを目的とする。
【0008】
【特許文献1】特開平6−83326号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを回動させることにより打弦を行わせるピアノのアクションであって、鍵の押鍵時に、鍵で突き上げられることによって上方に回動するウィッペンと、下端にジャック当接面を有し、ウィッペンの上方の所定位置に固定されたレギュレティングボタンと、上端にレギュレティングボタン当接面を有するレギュレティングボタン当接部を有し、ウィッペンにジャック支点を中心として回動自在に設けられ、ハンマーに係合するとともに、ウィッペンの回動に伴ってハンマーを突き上げ、当該回動中、レギュレティングボタン当接面がジャック当接面に当接することによって、ウィッペンに対して回動し、ハンマーから離脱するジャックと、を備え、ジャック当接面およびレギュレティングボタン当接面が平坦面で構成されていることを特徴とする。
【0010】
このピアノのアクションによれば、離鍵状態では、ジャックがハンマーに係合しており、この状態から鍵が押鍵されると、ウィッペンは、鍵で突き上げられることによって上方に回動し、ジャックはウィッペンと一緒に上方に移動する。これにより、ハンマーは、ジャックにより突き上げられることによって回動する。また、このウィッペンの回動中、ジャックのレギュレティングボタン当接面がレギュレティングボタンのジャック当接面に当接することによって、ジャックの上方への移動が阻止される。そして、ウィッペンの回動がさらに進むと、ジャックは、レギュレティングボタンから反力が作用した状態で、レギュレティングボタン当接部がジャック当接面に沿って摺動しながら、ウィッペンに対して回動し、その回動量が所定量に達したときに、ハンマーから離脱する。その後、ハンマーは、慣性で回動し、打弦を行う。
【0011】
このように、ジャックは、レギュレティングボタンに当接した後、レギュレティングボタンから反力が作用した状態で、そのレギュレティングボタン当接部がジャック当接面に沿って摺動しながら、ウィッペンに対して回動する。このときのレギュレティングボタンの反力がジャックやウィッペンを介して鍵に伝達され、その分、タッチ重さが増大する。この場合、本発明では、レギュレティングボタン当接面およびジャック当接面がいずれも平坦面で構成されているため、レギュレティングボタン当接面とジャック当接面が面接触することによって、前述した従来のレギュレティングボタン当接面が曲面で構成される場合と比較して、両者の接触面積が大きくなり、その結果、レギュレティングボタン当接部とレギュレティングボタンとの間により大きな摩擦抵抗が発生する。これにより、レギュレティングボタン当接部がジャック当接面に沿って摺動し難くなり、ジャックが回動し難くなるので、ジャックやウィッペンを介して鍵に伝達されるレギュレティングボタンの反力が、ジャックが離脱するまでにより大きく増大する。これにより、レットオフ直前のタッチ重さ、すなわちレットオフ荷重が大きくなり、レットオフ前後のタッチ重さの変化量が大きくなることによって、レットオフのタイミングを明確にすることができる。そして、そのように明確化されたレットオフのタイミングに応じて、演奏者はハンマーの打弦速度を細かく調整できるので、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。また、以上の効果を、ジャック当接面およびレギュレティングボタン当接面を平坦面で構成するという単純な構成によって得ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のピアノのアクションにおいて、レギュレティングボタン当接面の角度は、レギュレティングボタン当接面がジャック当接面に当接したときに面接触するように設定されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、レギュレティングボタン当接面は、ジャック当接面に当接したときに、これにぴったり当接し、確実に面接触した状態になる。これにより、レギュレティングボタン当接部とレギュレティングボタンとの間に大きな摩擦抵抗が発生するので、ジャックが回動し難くなり、レットオフ荷重が大きくなることによって、請求項1の効果を確実に得ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のピアノのアクションにおいて、ジャック当接面およびレギュレティングボタン当接面の少なくとも一方には、シート状の緩衝材が設けられており、レギュレティングボタン当接面の角度は、レギュレティングボタン当接面がジャック当接面に緩衝材を介して当接したときに、レギュレティングボタン当接面がジャック支点側の端部において当接するとともに、レギュレティングボタン当接面がジャック当接面に対して近接した状態で斜めに延びるように設定されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、鍵の押鍵に伴うウィッペンの回動中、レギュレティングボタン当接部のレギュレティングボタン当接面が、ジャック当接面にシート状の緩衝材を介して当接することによって、ジャックがウィッペンに対して回動する。また、この当接時に、レギュレティングボタン当接面は、そのジャック支点側の端部において当接するとともに、ジャック当接面に対して近接した状態で斜めに延びるように、すなわち、ジャック当接面に対して微少な角度をもった状態で斜めに当接する。この場合、介在するシート状の緩衝材が圧縮されることによって、レギュレティングボタン当接面のジャック支点側の端部とその近傍を併せた部分が、ジャック当接面に緩衝材を介して面接触した状態になり、それにより、大きな摩擦抵抗が確保される。さらに、このように面接触することにより、面接触の中心、すなわちレギュレティングボタンからの反力の作用点が、ジャック支点に近い位置になり、その結果、ジャックを回動させるのに必要なレギュレティングボタンの反力がより大きくなる。以上のように、本発明によれば、面接触によって大きな摩擦抵抗が確保されることと、レギュレティングボタンの反力の作用点が請求項2の場合よりもジャック支点の近くに位置することによって、レットオフ荷重が大きくなり、したがって、請求項1の効果を確実に得ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のピアノのアクションにおいて、ジャックは、ジャック支点から上方に延びるとともに、ハンマーに係合するハンマー突上部を有しており、ハンマー突上部の上面のレギュレティングボタン当接部と反対側の端部に、突起が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、鍵の押鍵に伴うジャックの回動に伴って、ジャック支点から上方に延びるハンマー突上部の上面が、ハンマーの下面に沿ってレギュレティングボタン側に摺動する。また、ハンマー突上部の上面のレギュレティングボタン当接部と反対側の端部には突起が設けられているので、上記のようにハンマーに沿って摺動する際、この突起が抵抗になることによって、ジャックがハンマーから外れ難くなる。これにより、レットオフ荷重がさらに大きくなることによって、レットオフのタイミングをさらに明確にすることができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のピアノのアクションにおいて、ジャックは合成樹脂の成形品で構成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、ジャックを高い精度で成形でき、したがって、レギュレティングボタン当接面やハンマー突上部の突起を所望の形状に精度よく容易に形成できるとともに、ジャック当接面との位置や角度の関係も所望の関係に容易に設定できる。また、ジャックを合成樹脂で構成するので、加工精度および寸法安定性が高いという合成樹脂の利点を得ることができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のピアノのアクションにおいて、ジャックは、長繊維法で成形され、補強用の長繊維を含有する熱可塑性樹脂の成形品で構成されていることを特徴とする請求項5に記載のピアノのアクション。
【0021】
この構成によれば、ジャックは、長繊維法で成形された、補強用の長繊維を含有する熱可塑性樹脂の成形品で構成されている。ここで、長繊維法とは、熱可塑性樹脂で被覆した同じ長さの繊維状の強化材を含むペレットを射出成形することによって、成形品を得るものである。この長繊維法によれば、成形品中に、例えば0.5mm以上の長さを有する比較的長い繊維状の強化材が含有される。このように、ジャックは、比較的長い補強用の長繊維を含有するので、合成樹脂で構成したジャックと比較して、非常に高い剛性を得ることができる。
【0022】
その結果、ジャックを、必要な剛性を確保しながら、従来よりも軽量化することができる。その場合、鍵の離鍵に伴い、ジャックを、ハンマーの再度の突上げ可能な状態に迅速に復帰させることができるので、鍵のタッチ感に悪影響を及ぼすことなく、連打性を向上させることができ、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。
【0023】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のピアノのアクションにおいて、長繊維は、炭素繊維であることを特徴とする。
【0024】
アクションの可動部分にほこりが付着すると、その動きが鈍くなり、それにより、アクションの応答性が低下するおそれがある。また、一般に、炭素繊維は、他の補強用の長繊維、例えばガラス繊維よりも導電性が高い。したがって、上記のように、そのような炭素繊維を、ジャックを構成する熱可塑性樹脂に補強用の長繊維として含有させることによって、ジャックの導電性を高め、その帯電性を低減することができる。それにより、ジャックにほこりが付着するのを抑制することができるので、ジャックの動きおよび応答性を良好に保つことができる。また、ジャックへのほこりの付着の抑制により、ジャックの外観を良好に保つことができるとともに、アクションの調整作業などの際に、作業者の手や服が汚れるのを抑制することができる。
【0025】
請求項8に係る発明は、請求項6または7に記載のピアノのアクションにおいて、熱可塑性樹脂は、ABS樹脂であることを特徴とする。
【0026】
ABS樹脂は、樹脂の中でも成形収縮率が小さいため、熱可塑性樹脂としてABS樹脂を用いることにより、加工精度を向上させることができ、ジャックごとの寸法のばらつきを抑制することができる。
【0027】
また、一般に、炭素繊維などの強化材を含有した熱可塑性樹脂を射出成形する場合、そのメルトフローレートが大きいと、熱可塑性樹脂の金型内への流入速度が大きくなるために、強化材が成形品中に特定の方向に並びやすいことで、成形品の剛性に異方性が生じやすい。また、ABS樹脂は、ゴム状重合体を含む熱可塑性樹脂であり、そのメルトフローレートは小さい。従って、ジャックを前述したようにABS樹脂で構成することによって、ジャックの異方性を抑制できるので、高い剛性を安定して得ることができる。さらに、ABS樹脂が持つ延性によって、ジャックの衝撃強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるアップライトピアノのアクション1、鍵盤2およびハンマー3などを、離鍵状態において示している。この鍵盤2は、左右方向(図1の奥行方向)に並んだ多数の鍵4(1つのみ図示)によって構成されており、各鍵4は、前後方向(図1の右側を前側とする)のほぼ中央において、筬5に立設されたバランスピン5aを支点として揺動自在に支持されている。
【0029】
アクション1は、鍵盤2の後端部の上方において、筬5の左右の端部にそれぞれ設けられた左右のブラケット(いずれも図示せず)に取り付けられ、両ブラケットの間に延びるように設けられている。また、アクション1は、ウィッペン6やジャック7を有していて、これらは、鍵4ごとに設けられている(ともに1つのみ図示)。さらに、左右のブラケットの間には、センターレール15およびハンマーレール16などが渡されている。
【0030】
ウィッペン6は、例えば合成樹脂によって所定の形状に形成されており、その前部から下方に延びるヒール部6aを有していて、対応する鍵4の上面後端部に設けられたキャプスタンボタン4aに、ヒール部6aを介して載置されている。また、ウィッペン6は、その後端部において、上記センターレール15に固定されたウィッペンフレンジ6bに、ピン状の支点6cを介して回動自在に取り付けられている。ウィッペン6の上面前端部には、バックチェックワイヤ11aが立設されていて、その先端部にバックチェック11が取り付けられている。また、ウィッペン6の支点6cよりも後ろ側の部分には、後述するダンパー21を駆動するためのスプーン12が立設されている。
【0031】
ジャック7は、長繊維法で形成されており、以下に述べるようなペレットを用いて射出成形することによって成形される。このペレットは、炭素繊維で構成されたロービングを、所定の張力を加えた状態で揃えながら、合成樹脂の一種で、ゴム状重合体を含む熱可塑性樹脂である、例えばABS樹脂を押出機で押し出したもので被覆することによって成形される。これにより、ペレットの成形時に、炭素繊維のロービングを折ることなく、ペレットに含有させることができるので、ペレットには、それと等しい長さの炭素繊維が含有される。本実施形態では、ペレットの長さは、5〜15mmに設定されており、それにより、このペレットを用いて射出成形されたジャック7には、0.5〜2mmの長さの炭素繊維が含有される。なお、上記のゴム状重合体のメルトフローレートは、比較的小さな値に設定されており、例えば230℃、2.12kg荷重の試験条件で0.1〜50g/10分の範囲に設定されている。
【0032】
ジャック7は、以上のような長繊維法によってL字形に形成されており、図2に示すように、前後方向に延びるレギュレティングボタン当接部8と、レギュレティングボタン当接部8の後端部から上方に延びる、レギュレティングボタン当接部8よりも長いハンマー突上部9を有している。また、ジャック7は、レギュレティングボタン当接部8とハンマー突上部9との角部において、ウィッペン6の中央部に、ピン状のジャック支点10を介して回動自在に取り付けられている。レギュレティングボタン当接部8の前端部は若干、上方に突出しており、その上端は、平坦面で構成されたレギュレティングボタン当接面8aになっており、レギュレティングボタン当接面8aの角度は、後述するような所定の角度に設定されている。また、ジャック7の左右の各側面には、軽量化のための凹部7aが、ほぼ全面にわたって形成されている。また、ジャック7のレギュレティングボタン当接部8とウィッペン6の間には、離鍵時にジャック7を復帰回動させるためのジャックスプリング13が設けられている。
【0033】
さらに、ジャック7のレギュレティングボタン当接部8の上方には、レギュレティングボタン17が設けられている。このレギュレティングボタン17は、センターレール15に設けられた複数のレギュレティングブラケット18(1つのみ図示)と、その前端部に取り付けられ、左右方向に延びるレギュレティングレール19を介して、鍵4ごとに設けられている。レギュレティングボタン17の下端は、平坦面で構成されたジャック当接面17aになっており、離鍵状態では、ジャック7のレギュレティングボタン当接面8aに対向している。ジャック当接面17aは、水平に対して所定の角度で若干前下がりに傾斜しており、これには、例えばフェルトで構成されたシート状のパンチング17b(緩衝材)が貼り付けられている。
【0034】
前記ハンマー3は、バット3a、ハンマーシャンク3b、およびハンマーヘッド3cを有している。このバット3aは、センターレール15に固定されたバットフレンジ3dに、ピン状の支点3eを介して回動自在に取り付けられており、それにより、ハンマー3は回動自在になっている。ハンマーシャンク3bは、バット3aから上方に延びており、その上端部にハンマーヘッド3cが取り付けられている。離鍵状態では、ハンマーヘッド3cが鉛直に張られた後方の弦Sに対向している。バット3aの前面には、キャッチャー3fが取り付けられており、キャッチャー3fは、離鍵状態では、前述したバックチェック11の後方に位置し、これと対向している。また、バット3aには、バットスプリング3gが設けられており、これにより、ハンマー3が図1の時計回りに付勢されている。離鍵状態では、前述したジャック7のハンマー突上部9がバット3aに下方から係合している。
【0035】
アクション1の後方には、ダンパー21が鍵4ごとに設けられている(1つのみ図示)。ダンパー21は、ダンパーフレンジ21aを介してセンターレール15に回動自在に取り付けられたダンパーレバー21bと、ダンパーレバー21bの上側にダンパーワイヤ21cを介して取り付けられたダンパーヘッド21dと、ダンパーヘッド21dを弦S側に付勢するダンパーレバースプリング21eなどで構成されている。このダンパー21は、離鍵時に、ダンパーレバースプリング21eの付勢力によって、ダンパーヘッド21dが弦Sに当接することにより止音するためのものである。
【0036】
次に、上述したアクション1およびハンマー3などの押鍵の開始から終了までの一連の動作について説明する。演奏者により離鍵状態の鍵4が押鍵されると、鍵4は、図1の時計回りに回動し、その後端部に載置されたウィッペン6は、鍵4により突き上げられることによって、支点6cを中心として上方(反時計回り)に回動する。このウィッペン6の回動に伴い、ジャック7がウィッペン6と一緒に上方に移動し、ハンマー3は、ジャック7のハンマー突上部9により突き上げられることによって、後方の弦Sに向かって反時計回りに回動する。
【0037】
そして、図3に示すように、ウィッペン6が所定角度、回動したときに、ジャック7のレギュレティングボタン当接部8がレギュレティングボタン17に当接することによって、ジャック7の上方への移動が阻止される。この当接時には、図4に示すように、レギュレティングボタン当接面8aは、その後端部においてジャック当接面17aにパンチング17bを介して当接するとともに、ジャック当接面17aに対して近接した状態で斜めに延び、すなわち、ジャック当接面17aに対して微少な角度をもった状態で斜めに当接する。また、この当接によりパンチング17bが圧縮されることによって、レギュレティングボタン当接面8aの後部は、パンチング17bを介してジャック当接面17aに面接触した状態になる。このように、レギュレティングボタン17との当接時には、レギュレティングボタン当接面8aのジャック支点10側の部分が、ジャック当接面17aにパンチング17bを介して面接触する。
【0038】
そして、押鍵が進むのに伴って、ウィッペン6がさらに回動するのに従い、ジャック7は、レギュレティングボタン17から反力が作用した状態で、レギュレティングボタン当接部8がパンチング17bに沿って摺動しながら、ウィッペン6に対し、ジャックスプリング13の付勢力に抗して時計回りに回動する。また、このジャック7の回動に伴い、ハンマー突上部9の上面が、バット3aの下面に沿って前方に摺動する。
【0039】
そして、ジャック7の回動量が所定量に達したときに、ハンマー突上部9がバット3aから前方に外れ、ジャック7がハンマー3から離脱する。その後、ハンマー3は、慣性で回動して、弦Sを打弦し、演奏音を発生させる。また、このジャック7の離脱によって、鍵4のタッチ重さからハンマー3の重量分が急激に失われることにより、演奏者にレットオフ感が付与される。この打弦後、ハンマー3は、弦Sの反発力およびバットスプリング3gの付勢力によって時計回りに復帰回動し、キャッチャー3fがバックチェック11に係止されることで、その動作が一旦、停止する。
【0040】
そして、押鍵が終了し、鍵4が離鍵されると、鍵4およびウィッペン6は、押鍵時とは逆方向にそれぞれ回動する。このウィッペン6の復帰回動により、バックチェック11がキャッチャー3fから離れることによって、ハンマー3が時計回りに回動し、ハンマーシャンク3bがハンマーレール16に当接するようになる。また、ウィッペン6の復帰回動に伴って、ジャック7は、レギュレティングボタン17との当接が解かれる結果、ジャックスプリング13の付勢力によって、反時計回りに復帰回動する。その際、ジャック7は、軽量化されていることによって、ウィッペン6などの復帰回動に伴い、反時計回りに速やかに復帰回動する。この回動に伴い、ハンマー突上部9が、その上端の後ろ側の角部がバット3aに当接した後、バット3aの下面に沿って後方に摺動して、バット3aの下側に入り込み、これと係合することによって、ジャック7は離鍵時の元の位置に復帰する。以上のようにして、鍵4、ウィッペン6、ハンマー3およびジャック7が元の離鍵状態に復帰し、押鍵時および離鍵時の一連の動作が終了する。
【0041】
また、鍵4を連打する場合は、ハンマー3およびウィッペン6などが完全に離鍵状態に復帰する前に押鍵することが連続的に繰り返される。その場合も、ウィッペン6の復帰回動に伴い、ジャック7は、次回の押鍵までに反時計回りに速やかに復帰回動し、ハンマー3の突上げ可能な状態に迅速に復帰する。したがって、鍵4を連打した場合であっても、ジャック7は、押鍵に遅れることなく追随し、押鍵ごとに確実にハンマー3を突き上げることによって弦Sを打弦させる。
【0042】
図5は、上述した本実施形態のアクション1における鍵4の押下量(「鍵押下量」と図示)とタッチ重さとの関係を、比較例とともに示している。この比較例は、前述した図9の従来技術のように、レギュレティングボタン当接面8aを曲面で構成した場合の例を示している。
【0043】
図5に示すように、本実施形態(実線で図示)および比較例(一点鎖線で図示)のいずれの場合にも、押鍵の開始からジャック7がレギュレティングボタン17に当接するまでは(同図の区間A)、タッチ重さは、鍵4、アクション1およびハンマー3のそれぞれの自重による支点5a、6c、3e回りのモーメントに応じた大きさで、ほぼ一定の状態になっている。
【0044】
また、押鍵が進み、ジャック7がレギュレティングボタン17に当接すると、上記のアクション1などの自重によるモーメントに加え、レギュレティングボタン17からの反力が作用することによって、タッチ重さは急激に増大する(区間B、B’)。そして、ジャック7がハンマー3から外れると、タッチ重さは、ハンマー3の重量分が急激に失われることによって急激に減少する(区間C、C’)。この場合、比較例では、レギュレティングボタン当接面8aが曲面で構成されているため、ジャック7がハンマー3から外れる直前でのレットオフ荷重L’およびレットオフ前後のタッチ重さの変化量DL’は、本実施形態の場合よりも小さい。鍵4の前端部が筬5のフロントレール(図示せず)に当接することによって、鍵4がそれ以上、回動不可能になり、押鍵が終了すると、タッチ重さは、筬5からの反力によって急激に増大する(区間D)。
【0045】
これに対して、本実施形態のアクション1では、前述したように、レギュレティングボタン17へのジャック7の当接時に、レギュレティングボタン当接面8aのジャック支点10側の部分が、ジャック当接面17aにパンチング17bを介して面接触する。この面接触により大きな摩擦抵抗が確保されることと、レギュレティングボタン17の反力の作用点がジャック支点10の近くに位置することによって、この場合のレットオフ荷重Lは、比較例のレットオフ荷重L’よりも大きくなり、レットオフ前後のタッチ重さの変化量DLも、比較例の変化量DL’よりも大きくなっている。以上のように、本実施形態によれば、レットオフ荷重およびレットオフ前後のタッチ重さの変化量を大きくすることによって、レットオフのタイミングを明確にすることができ、したがって、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。また、このような効果を、レギュレティングボタン当接面8aおよびジャック当接面17aを平坦面で構成するという単純な構成によって得ることができる。
【0046】
また、ジャック7が、樹脂の中でも成形収縮率の小さいABS樹脂の成形品で構成されているので、ジャック7の加工精度を向上させることができ、レギュレティングボタン当接面8aを所望の形状に精度良く容易に形成できるとともに、ジャック当接面17aとの位置や角度の関係も所望の関係に容易に設定することができる。また、ジャック7ごとの寸法のばらつきを抑制することができる。
【0047】
また、ジャック7は、長繊維法で成形され、補強用の長繊維を含有しているので、非常に高い剛性を有している。それにより、必要な剛性を確保しながら、左右の凹部7a,7aが形成されており、ジャック7は従来よりも軽量化されている。その結果、鍵4の離鍵に伴い、ジャック7自体を、ハンマー3の再度の突上げ可能な状態に速やかに復帰回動させることができる。
【0048】
また、ジャック7が軽量化されていることにより、鍵4を連打する場合であっても、ジャック7は、次回の押鍵までに速やかに復帰回動し、ハンマー3の突上げ可能な状態に迅速に復帰する。したがって、速い連打であっても、ジャック7は、押鍵に遅れることなく追随し、押鍵ごとに確実にハンマー3を突き上げることによって弦Sを打弦させることができる。したがって、鍵4のタッチ感に悪影響を及ぼすことなく、鍵4の連打性を向上させることができ、表現力に優れた高い演奏性を実現することができる。なお、詳細は省略するが、本実施形態のジャック7は、長繊維を含有しない合成樹脂(例えばABS樹脂)で構成され、同じ形状およびサイズの従来のジャックと比較して、0.065gほど軽量化されており、その結果、1.2回/秒ほど、連打性が向上することが確認された。
【0049】
また、炭素繊維を、ABS樹脂に補強用の長繊維として含有しているので、ジャック7の導電性が高められており、その帯電性を低減することができる。それにより、ジャック7にほこりが付着するのを抑制することができるので、ジャック7の動きおよびジャック7の応答性を良好に保つことができる。また、ジャック7へのほこりの付着の抑制により、ジャック7の外観を良好に保つことができるとともに、アクション1の調整作業などの際に、作業者の手や服が汚れるのを抑制することができる。
【0050】
また、一般に、炭素繊維などの強化材を含有した熱可塑性樹脂を射出成形する場合、そのメルトフローレートが大きいと、熱可塑性樹脂の金型内への流入速度が大きくなるために、強化材が成形品中に特定の方向に並びやすいことで、成形品の剛性に異方性が生じやすい。これに対し、本実施形態では、ジャック7が、ゴム状重合体を含む熱可塑性樹脂であり、メルトフローレートの小さいABS樹脂で構成されているので、ジャック7の異方性を抑制でき、高い剛性を安定して得ることができる。さらに、ABS樹脂が持つ延性によって、ジャック7の衝撃強度を高めることができる。
【0051】
次に、図6および図7を参照しながら、本発明の第2実施形態によるアクションについて説明する。このアクション31は、基本的に第1実施形態のアクション1と同様の構成を有しており、ジャック7のハンマー突上部32の構成のみが異なっている。このハンマー突上部32の上面32aの後端部には、その左右方向の全体にわたって延びる突起32bが設けられている。この突起32bは、ほぼ三角形状で上面32aから上方に若干、突出しており、その頂部にはアールが付けられている。また、ハンマー突上部32の突起32bの後ろ側には、傾斜面32cが形成されている。この傾斜面32cは、突起32bの頂部から、ハンマー突上部32の上面32aに対して斜めに延び、ハンマー突上部32の背面32dに交わっている。
【0052】
このように、ハンマー突上部32の上面32aの後端部に突起32bが設けられているので、押鍵時に、ジャック7がハンマー3から外れるレットオフの際に、この突起32bが抵抗になることによって、ジャック7がハンマー3から外れ難くなる。これにより、レットオフ荷重がさらに大きくなることによって、レットオフのタイミングをさらに明確にすることができる。
【0053】
また、ハンマー突上部32の突起32bの後ろ側に傾斜面32cが形成されるとともに、この傾斜面32cが突起32bの頂部から背面32dにわたって長く延びている。この傾斜面32cにより、離鍵状態へのジャック7の復帰時、ハンマー突上部32の上端の後ろ側の角部がバット3aに当接した後に、ハンマー突上部32を、バット3aに引っかかることなく、その下側に円滑に入り込ませることができる。したがって、鍵4の連打性を向上させることができる。さらに、ジャック7が合成樹脂の成形品で構成されているので、ハンマー突上部32の突起32bや傾斜面32cを所望の形状に精度よく容易に形成することができる。
【0054】
次に、図8を参照しながら、本発明の第3実施形態によるアクションについて説明する。このアクションは、前述した第1実施形態のアクション1と比較して、レギュレティングボタン当接面41の角度のみが異なっている。同図に示すように、レギュレティングボタン当接面41の角度は、ジャック当接面17aとの当接時に、レギュレティングボタン当接面41の全体がぴったり面接触するように設定されている。これにより、接触面積がより大きくなることによって、レギュレティングボタン当接部8とレギュレティングボタン17との間に大きな摩擦抵抗が発生することで、レットオフを明確にすることができる。なお、この場合、パンチング17bを省略することも可能である。
【0055】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、レギュレティングボタン当接面8a,41は、完全な平坦面で構成されているが、ジャック当接面17aとの十分な面接触を確保できる程度に、若干曲がっていてもよい。また、実施形態では、パンチング17bを、ジャック当接面17aに取り付けたが、これに代えて、またはこれとともに、レギュレティングボタン当接面8a,41に取り付けてもよい。さらに、第2実施形態では、突起32bを、ハンマー突上部32の上面32aの左右方向の全体にわたって形成したが、部分的に形成してもよく、また、そのような突起を複数、形成してもよい。
【0056】
また、実施形態では、ジャック7が高い剛性を有していることから、ジャック7を軽量化し、離鍵に伴い速やかに復帰回動させることにより、連打性を向上させているが、ジャック7が軽量化されていることによって、鍵4のタッチ重さが小さくなっているので、その分、ハンマー3のバットスプリング3gのばね力を高めることにより、ジャック7だけでなくハンマー3の復帰回動速度も速くすることによって、連打性をより向上させてもよい。また、実施形態は、本発明をアップライトピアノのアクションに適用した例であるが、本発明はこれに限らず、グランドピアノのアクションにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態によるアクションなどを離鍵状態において示す側面図である。
【図2】図1のアクションのジャックなどを離鍵状態において示す部分拡大図である。
【図3】図1のアクションのジャックなどを、レギュレティングボタン当接面がジャック当接面にパンチングを介して当接したときにおいて示す側面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】図1のアクションを用いた場合の鍵の押下量とタッチ重さとの関係を比較例とともに示す図である。
【図6】第2実施形態によるアクションのジャックなどを離鍵状態において示す側面図である。
【図7】図6のハンマー突上部の部分拡大図である。
【図8】第3実施形態によるアクションのジャックなどを、レギュレティングボタン当接面がジャック当接面にパンチングを介して当接したときにおいて示す部分拡大側面図である。
【図9】従来のアクションの主要部分などを離鍵状態において示す側面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 アクション
3 ハンマー
4 鍵
6 ウィッペン
7 ジャック
8 レギュレティングボタン当接部
8a レギュレティングボタン当接面
10 ジャック支点
17 レギュレティングボタン
17a ジャック当接面
17b パンチング(緩衝材)
31 アクション
32 ハンマー突上部
32a 上面
32b 突起
41 レギュレティングボタン当接面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを回動させることにより打弦を行わせるピアノのアクションであって、
前記鍵の押鍵時に、当該鍵で突き上げられることによって上方に回動するウィッペンと、
下端にジャック当接面を有し、前記ウィッペンの上方の所定位置に固定されたレギュレティングボタンと、
上端にレギュレティングボタン当接面を有するレギュレティングボタン当接部を有し、前記ウィッペンにジャック支点を中心として回動自在に設けられ、前記ハンマーに係合するとともに、前記ウィッペンの回動に伴って前記ハンマーを突き上げ、当該回動中、前記レギュレティングボタン当接面が前記ジャック当接面に当接することによって、前記ウィッペンに対して回動し、前記ハンマーから離脱するジャックと、を備え、
前記ジャック当接面および前記レギュレティングボタン当接面が平坦面で構成されていることを特徴とするピアノのアクション。
【請求項2】
前記レギュレティングボタン当接面の角度は、当該レギュレティングボタン当接面が前記ジャック当接面に当接したときに面接触するように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載のピアノのアクション。
【請求項3】
前記ジャック当接面および前記レギュレティングボタン当接面の少なくとも一方には、シート状の緩衝材が設けられており、
前記レギュレティングボタン当接面の角度は、当該レギュレティングボタン当接面が前記ジャック当接面に前記緩衝材を介して当接したときに、前記レギュレティングボタン当接面が前記ジャック支点側の端部において当接するとともに、前記レギュレティングボタン当接面が前記ジャック当接面に対して近接した状態で斜めに延びるように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載のピアノのアクション。
【請求項4】
前記ジャックは、前記ジャック支点から上方に延びるとともに、前記ハンマーに係合するハンマー突上部を有しており、
当該ハンマー突上部の上面の前記レギュレティングボタン当接部と反対側の端部に、突起が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のピアノのアクション。
【請求項5】
前記ジャックは合成樹脂の成形品で構成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のピアノのアクション。
【請求項6】
前記ジャックは、長繊維法で成形され、補強用の長繊維を含有する熱可塑性樹脂の成形品で構成されていることを特徴とする請求項5に記載のピアノのアクション。
【請求項7】
前記長繊維は、炭素繊維であることを特徴とする請求項6に記載のピアノのアクション。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂は、ABS樹脂であることを特徴とする請求項6または7に記載のピアノのアクション。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−285175(P2006−285175A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205933(P2005−205933)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)