説明

ピエゾ式噴霧器用薬液

【課題】送風機を用いることなく優れた拡散性と害虫防除効果を発揮するピエゾ式噴霧器用薬液を提供することである。
【解決手段】少なくとも、25℃での蒸気圧が1×10-5mmHg以上である害虫防除剤と、沸点が150〜250℃の有機溶剤とを含有したピエゾ式噴霧器用薬液である。前記害虫防除剤が、トランスフルトリン、メトフルトリンおよびプロフルトリンからなる群より選ばれた1種又は2種以上であるのが好ましく、前記有機溶剤が、パラフィン、シリコーンオイルおよびグリコールエーテルからなる群より選ばれた1種又は2種以上であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置や送風機を用いることなく、優れた拡散性と害虫防除効果を発揮するピエゾ式噴霧器用薬液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、害虫防除剤を蒸散させて害虫を防除する方法としては、害虫防除剤を含有した薬液やマットを加熱蒸散させる方法、担体に保持された害虫防除剤をファンの回転により発生する気流により蒸散させる方法、等が知られている。これらの蒸散システムでは、特に、良好な蒸散を得るための薬剤組成物についての検討がなされている。例えば、殺虫剤の有機溶剤溶液中に、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン等の化合物を配合した吸液芯用殺虫液組成物(例えば、特許文献1参照。)等が知られている。
【0003】
一方、前記蒸散システムの他には、ピエゾ式噴霧器により薬剤を蒸散させる方法が知られている。これは超音波発振機で発生させた超音波を振動子を介して吸液体に伝達し、吸液体に吸液された薬液を蒸散させるものである(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2では、ピエゾ式噴霧器に液状芳香剤、殺虫剤を適用できることが示されているが、具体的な薬剤組成物や効果については記載されていない。
【特許文献1】特開昭60−161902号公報(第1−9頁)
【特許文献2】特開平8−215308号公報(第1−4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピエゾ式噴霧器では、薬剤の拡散性を得るために送風機が用いられている。これにより薬剤の拡散性を高めて所期の効果を達成しようとしているが、消費電力が多くなり電池だけで駆動させるには持続性に欠け、また噴霧器全体を小型化することが困難であった。
そこで送風機を用いることなく薬剤の拡散性が得られる薬剤組成物を用いれば、消費電力が低減できて電池による駆動ができ、しかも小型化できるとの考えに至った。
本発明は、送風機を用いることなく優れた拡散性と害虫防除効果を発揮するピエゾ式噴霧器用薬液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の害虫防除剤と有機溶剤とを併用した薬液によって、ピエゾ式噴霧器で蒸散させた時に高い揮散性および拡散性を発揮し、優れた害虫防除効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明にかかるピエゾ式噴霧器用薬液は、以下の構成を有する。
(1)少なくとも、25℃での蒸気圧が1×10-5mmHg以上である害虫防除剤と、沸点が150〜250℃の有機溶剤とを含有したことを特徴とするピエゾ式噴霧器用薬液。
(2)害虫防除剤が、トランスフルトリン、メトフルトリンおよびプロフルトリンからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする(1)に記載のピエゾ式噴霧器用薬液。
(3)有機溶剤が、パラフィン、シリコーンオイルおよびグリコールエーテルからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のピエゾ式噴霧器用薬液。
【発明の効果】
【0007】
本発明のピエゾ式噴霧器用薬液は、加熱装置や送風機を用いることなく薬剤を広範囲に拡散して、優れた害虫防除効果を発揮することができる。また送風機を用いないことから少ない電力でピエゾ式噴霧器を駆動できるので、電池を電源とすることができ、小型化して携帯することで屋内外、車中等で害虫の防除を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の害虫防除剤としては、25℃での蒸気圧が1×10-5mmHg以上である害虫防除剤であって、例えば、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、エムペントリン、プロポクスル、メトキサジアゾン、アミドフルメト、ジノテフラン、ハイドロプレン、メトプレン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、25℃での蒸気圧が2.6×10-5mmHgであるトランスフルトリン、25℃での蒸気圧が1.4×10-5mmHgであるメトフルトリン、25℃での蒸気圧が7.7×10-5mmHgであるプロフルトリンが、ピエゾ式噴霧器に適用した場合に、蒸散性がよく、害虫防除効果に優れ、本発明の有機溶剤に対する溶解性がよいことから好ましい。
【0009】
また有機溶剤としては、沸点が150〜250℃の有機溶剤(両親媒性溶媒を含む)であって、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテン、これらの混合物等のパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル、ブチルプロピレングリコール等のグリコールエーテル等が挙げられる。具体的には、前記沸点は1気圧条件下での沸点であり、例えば商品名「マルカゾール」(丸善石油社製)、商品名「ネオチオゾール」(中央化成社製)、商品名「流動パラフィン40S」(中央化成社製)、商品名「SH344」(東レシリコン社製)、商品名「BFG」(日本乳化剤社製)等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、パラフィンが害虫防除剤の蒸散性を安定に維持でき、不快臭等もないことから好ましい。また、実施可能であるかぎり、水を含んでもよい。
【0010】
本発明にかかるピエゾ式噴霧器用薬液(以下、「薬液」とも言う)は、少なくとも、上記のような特定の蒸気圧を有する害虫防除剤と、特定の沸点を有する有機溶剤とを含有する。その結果、これらが相まって、高い揮散性および拡散性を発揮し、優れた害虫防除効果を発揮する。これに対し、いずれか一方のみを含有する薬液では、揮散性と拡散性とを両立することはできない。
【0011】
本発明の薬液は、上記の害虫防除剤を1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%となるように上記の有機溶剤に溶解させることにより得られる。
また本発明の薬液には、発明の効果を発揮する限り必要に応じて、香料、消臭剤、殺菌剤、色素、安定剤、揮散調整剤、防腐剤、酸化防止剤等を含有させることもできる。
【0012】
本発明の薬液は、吸液体(吸液芯)を備えた適当な容器に充填して、ピエゾ式噴霧器にセットして使用すればよい。これにより超音波発振機で発生された超音波が振動子を介して吸液芯に伝達され、吸液芯に吸液された薬液を蒸散させることができる。
【0013】
本発明の薬液を蒸散させるためのピエゾ式噴霧器は、例えば図1に示すようなピエゾ式噴霧器を用いることができる。同図に示すように、このピエゾ式噴霧器は、薬液2を収容した容器1と、この容器1の上部開口から上部が突出し下部が容器1内の薬液2に浸漬された吸液芯3と、この吸液芯3の上端部に接触した超音波振動子5と、この振動子5に連結された超音波発振機7とを備えている。吸液芯3の上端部と振動子5との間には金属、セラミックなどからなる接合片6が配置され、これにより振動子5は吸液芯3に間接的に(接合片6を介して)接触している。8は電源としての電池である。また、吸液芯3は、容器1の上部開口にはめ込まれた中空円盤型の芯支持体4により支持されている。
【0014】
吸液芯3としては、表面張力の大きな材質、例えばフェルト、スポンジ、綿、多孔質材(例えば、炭素質微粉末を主体とし、これと結着剤との混合物からなる成形体)などで棒状に形成された芯材を使用することができる。これらのうち、炭素質微粉末を用いた前記成形体は、超音波印加時にのみ吸液機能を発揮し、無印加時は密栓的に機能する。
【0015】
薬液2を上記のような吸液芯3の上端部にまで十分に吸収させた状態で、発振機7より振動子5へ信号を送り、振動子5および接合片6を超音波振動させる。これにより、吸液芯3の上端部に対し、薬液2の表面張力以上で且つ粘度以上の超音波振動エネルギーを与え、薬液2を吸液芯3から微小な液滴として空気中に霧化して蒸散させることができる。なお、上記ピエゾ式噴霧器では、接合片6を配置せずに、振動子5が吸液芯3の上端部に直接接触するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明の薬液を蒸散させるためのピエゾ式噴霧器として、米国特許第6,450,419 B1号明細書に記載されているような、図2に示すピエゾ式噴霧器でも用いることもできる。同図に示すように、このピエゾ式噴霧器は、薬液2を収容した容器1と、この容器1の上部開口から上部が突出し下部が容器1内の薬液2に浸漬された吸液芯3と、この吸液芯3の上端部に接触した超音波振動子10と、この振動子10を固定し容器1の上部開口にはめ込まれた蓋部11と、振動子10に連結された超音波発振機(不図示)とを備えている。
【0017】
吸液芯3は、容器1の上部開口にはめ込まれた中空円盤型の芯支持体4により支持され、振動子10は、蓋部11の爪部12と固定部材13とで蓋部11に固定されている。この振動子10は、中心部に5〜10mmの径を有している。吸液芯3の上端部と振動子10との間には接合片15が配置され、これにより振動子10は吸液芯3に間接的に(接合片15を介して)接触している。接合片15としては、中心部に3〜20μmの径を有するオリフィスプレートを用いている。
【0018】
蓋部11には、噴霧口14が設けられており、薬液2を吸液芯3の上端部にまで十分に吸収させた状態で、発振機より振動子10へ信号を送り、振動子10を超音波振動させると、薬液2を噴霧口14から微小な液滴として空気中に霧化して蒸散させることができる。
なお、振動子5として、中心部に所定の径を有するものについて説明したが、これに代えて、全面に多数の孔を有するものを用いてもよい。
【0019】
上記ピエゾ式噴霧器としては、好ましくは以下の条件の1つ以上を備えたものがよく、より好ましくは全てを備えた噴霧器である。
(1)送風機を用いない。
(2)超音波発振機の周波数が50〜300kHzである。
(3)1回当たり、5m秒〜1秒間の駆動と、1〜180秒の停止とが交互に行われる間欠蒸散ができる。
(4)1回の駆動により蒸散される薬液量が0.01〜1μLである。
(5)1回の駆動における消費電力が0.3〜10Wである。
(6)以下の電池により駆動することができる。
アルカリ電池:LR20(単1)、LR14(単2)、LR6(単3)、LR3(単4)、
LR1(単5)
マンガン電池:R20P(単1)、R14P(単2)、R6P(単3)、R3P(単4)、
R1P(単5)
【実施例】
【0020】
以下に実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の薬液を、送風機を用いない図1に示すようなピエゾ式噴霧器により蒸散させ、供試虫に対するノックダウン(仰転)率等を調べ、前記薬液の拡散性と害虫防除効果を確認した。
【0022】
<薬液の調整>
(1)実施例1
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、トランスフルトリンを4重量%となるように溶解した薬液。
(2)実施例2
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、メトフルトリンを4重量%となるように溶解した薬液。
(3)比較例1
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、プラレトリンを4重量%となるように溶解した薬液。
【0023】
<ピエゾ式噴霧器の駆動条件>
本実施例におけるピエゾ式噴霧器は、送風機を使用せず、下記に示す駆動条件で使用した。
・超音波発振機の周波数:150kHz
・駆動条件:10m秒間駆動し、8秒間停止する間欠駆動
・薬液量:1回の駆動により蒸散される量が0.05μL
・消費電力:発振時に10W
・電池:LR6(単3)を1本(1.5V)
【0024】
<試験例1>
図3に示すような、6畳居室内に床面からの高さが75cmと150cmとなるように供試虫(アカイエカ雌成虫15頭)の入った金属製ケージ(16メッシュ)を天井から対角2ヶ所に吊るした。そして同居室の床面中央にピエゾ式噴霧器を設置し、薬液10mLの入った吸液体を備えた容器をセットして、上記試験条件下で、蒸散を開始した。開始60分後にケージ内でノックダウンしている供試虫の数を数えてノックダウン率(%)を求めた。
試験の結果を表1に示した。本発明の実施例1は、表1に示されるように、各ケージでのノックダウン率は高く、拡散性と害虫防除効果に優れることが実証された。
【表1】

【0025】
<試験例2>
実施例1を実施例2に代えた以外、試験例1と同様にして試験を行った。そして蒸散の開始後、供試虫の半数がノックダウンするまでの時間を計り、半数ノックダウン時間(分)を求めた。
試験の結果を表2に示した。本発明の実施例2は、表2に示すように、各ケージでの半数ノックダウン時間が早く、拡散性と害虫防除効果に優れることが実証された。尚、比較例1では、120分以内にノックダウンした供試虫の数が半数には達しなかった。
【表2】

【0026】
<考察>
表3に薬液に用いた害虫防除剤のアカイエカに対する半数致死薬量(μg/頭)を示した。実施例1で用いたトランスフルトリンは半数致死薬量が、比較例1で用いたプラレトリンに比べて同じ程度か、それより大きい値であるにもかかわらず、試験例1では、60分後のノックダウン率は比較例1の0〜30%に対して実施例1では100%を示した。また、実施例2で用いたメトフルトリンは半数致死薬量が、比較例1で用いたプラレトリンに比べて小さい値であるが、半数ノックダウン時間(分)が比較例1に比べ、実施例2では2〜4倍以上早いという結果を示した。
以上の試験例1〜2の結果を総合した考察により、本発明の薬液がピエゾ式噴霧器に用いるのに適していることがわかった。
【表3】

【0027】
<試験例3>
試験例3では、有機溶剤についての蒸散量を調べる試験を実施した。試験例3で用いた有機溶剤は、以下に示す通りである。
パラフィン1:イソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)
パラフィン2:ノルマルパラフィン(商品名「ネオチオゾール」中央化成社製)
パラフィン3:イソパラフィン・ナフテン混合(商品名「流動パラフィン40S」中央化成社製)
シリコーンオイル:デカメチルシクロペンタシロキサン(商品名「SH344」東レシリコン社製)
グリコールエーテル:ブチルプロピレングリコール(商品名「BFG」日本乳化剤社製)
これら溶剤の沸点および蒸散量を表4に示した。
これらの溶剤にメトフルトリンを溶解させ、それぞれの溶液がメトフルトリン4重量%になるように調整して薬液を作製した。これらの薬液をそれぞれ、吸液芯を備えた容器に10mLを入れてピエゾ式噴霧器により蒸散させた。薬液の蒸散量は、所定の時間毎にボトル重量の減少量を測定して、0〜300時間の平均蒸散量として求めた。ピエゾ式噴霧器の駆動条件は、試験例1と同様にした。
【0028】
試験例3の結果を表4に示した。表4に示すように、沸点が165〜250℃の有機溶剤を用いた場合、沸点が270〜360℃の有機溶剤に比べて、3〜5倍の平均蒸散量となることが示された。このことから、沸点が約150〜250℃の有機溶剤を用いれば、薬剤を蒸散させるのにエネルギー効率がよく、ピエゾ式噴霧器に用いるのに適していることがわかった。
【表4】

【0029】
<試験例4>
試験例4では、有機溶剤の沸点について調べる試験を実施した。試験例4で用いた薬液、ピエゾ式噴霧器およびその駆動条件、並びに試験条件は、以下に示す通りである。
<薬液の調整>
(1)実施例3
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、トランスフルトリンを5.6重量%となるように溶解した薬液。
(2)比較例2
沸点270〜360℃の流動パラフィン(商品名「流動パラフィン40S」中央化成社製)に、トランスフルトリンを5.6重量%となるように溶解した薬液。
【0030】
<ピエゾ式噴霧器およびその駆動条件>
ピエゾ式噴霧器としては、図2に示すような装置を用いた。なお、このピエゾ式噴霧器は、中心部に8.5mmの径を有する振動子10と、接合片15として、中心部に6μmの径を有するオリフィスプレートとを備えている。このピエゾ式噴霧器の駆動条件は、試験例1と同様にした。
【0031】
<試験条件>
図3に示すように、6畳居室内に床面からの高さが75cmと150cmとなるように供試虫(アカイエカ雌成虫15頭)の入った金属製ケージ30,30(16メッシュ)を天井から対角2ヶ所に吊るした。そして、所定位置に設置したピエゾ式噴霧器に薬液10mLの入った吸液体を備えた容器をセットして、上記試験条件下で蒸散を開始した。開始60分後にケージ内でノックダウンしている供試虫の数を数えてノックダウン率(%)を求めた。
【0032】
実施例3および比較例2におけるピエゾ式噴霧器を設置した位置及び個数は以下の通りである。
実施例3:6畳居室の床面中央に1器
比較例2:同居室の床面中央に3器
【0033】
試験の結果を表5に示した。本発明の実施例3は、表5に示されるように、各ケージでのノックダウン率は高く、拡散性と害虫防除効果に優れることが実証された。これに対し、比較例2は、実施例3の3倍のピエゾ式噴霧器を設置したにもかかわらず、床面からの高さ150cmにおいてノックダウン率が低く、拡散性に劣る結果を示した。
【表5】

【0034】
<試験例5>
試験例5では、害虫防除剤の含有量による揮散量について調べる試験を実施した。試験例5で用いた薬液は、以下に示す通りである。
<薬液の調整>
(1)実施例4
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、トランスフルトリンを5.3重量%となるように溶解した薬液。
(2)実施例5
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、トランスフルトリンを2.3重量%となるように溶解した薬液。
(3)実施例6
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、メトフルトリンを1.2重量%となるように溶解した薬液。
(4)実施例7
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、メトフルトリンを1.7重量%となるように溶解した薬液。
(5)実施例8
沸点178〜181℃のイソパラフィン(商品名「マルカゾール」丸善石油社製)に、メトフルトリンを2.3重量%となるように溶解した薬液。
【0035】
上記で得た薬液をそれぞれ、吸液芯を備えた容器に10mLを入れてピエゾ式噴霧器により蒸散させ、0〜12時間にわたり有効成分の揮散量を測定した。ピエゾ式噴霧器およびその駆動条件は、試験例4と同様にした。なお、前記実施例3の薬液についても同様に評価した。
試験例5の結果を表6および表7に示した。表6および表7に示すように、害虫防除剤の含有量が多い薬液の方が、蒸散量が多い結果を示した。
【0036】
【表6】

【表7】

【0037】
以上、本発明の一実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。例えばピエゾ式噴霧器については、本発明にかかる薬液が実施可能であるかぎり任意であり、上記の実施例において図1に示すピエゾ式噴霧器で用いた薬液を、図2に示すピエゾ式噴霧器に用いても、同様の効果が得られる。また、上記の試験例において6畳居室内で蒸散させた薬液を、12畳居室内で蒸散させても、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明におけるピエゾ式噴霧器の一例を示す概略断面図である。
【図2】実施例で使用したピエゾ式噴霧器を示す概略断面図である。
【図3】実施例における試験方法を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 容器
2 薬液
3 吸液芯
4 芯支持体
5 超音波振動子
6 接合片
7 超音波発振機
8 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、25℃での蒸気圧が1×10-5mmHg以上である害虫防除剤と、沸点が150〜250℃の有機溶剤とを含有したことを特徴とするピエゾ式噴霧器用薬液。
【請求項2】
害虫防除剤が、トランスフルトリン、メトフルトリンおよびプロフルトリンからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載のピエゾ式噴霧器用薬液。
【請求項3】
有機溶剤が、パラフィン、シリコーンオイルおよびグリコールエーテルからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のピエゾ式噴霧器用薬液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−70349(P2007−70349A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215265(P2006−215265)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】