説明

ピッキング設備

【課題】作業者の負担を軽くすることができる物品収納設備を提供する。
【解決手段】ピッキングする物品Aを保持する物品保持具Pをピッキング箇所Eに搬出入する物品供給用コンベヤC1と、ピッキングされた物品Aを搬送する集品搬送コンベヤC3とが、ピッキング作業者存在用空間Dを挟んで配備され、ピッキング作業者存在用空間Dの側部に、物品供給用コンベヤC1から集品搬送コンベヤC3に向けて物品Aを載置搬送するための中継搬送コンベヤC2が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングする物品を保持する物品保持具をピッキング箇所に搬出入する物品供給用搬送コンベヤと、ピッキングされた物品を搬送する集品搬送コンベヤとが、ピッキング作業者存在用空間を挟んで配備されたピッキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるピッキング設備は、物品供給用搬送コンベヤにてピッキングする物品を保持する物品保持具をピッキング箇所に搬出し、物品供給用搬送コンベヤと集品搬送コンベヤとの間のピッキング作業者存在用空間に存在する作業者が、ピッキング箇所に搬出された物品保持具に保持された物品のうちからピッキング対象の物品をピッキングして、集品搬送コンベヤに供給することにより、集品搬送コンベヤにてピッキングした物品を所望の箇所に搬送することができるようにしたものである。
ちなみに、作業者は、ピッキング箇所に搬出された物品保持具に保持された物品のうちからピッキング対象の物品をピッキングしたのち、例えばピンキングした物品に対してラベル等の物品表示具を貼付する等、種々の補助作業を行ない、その後、集品搬送コンベヤに物品を供給する手順で作業を行なうことになる。
【0003】
かかるピッキング設備において、従来では、ピッキング作業者存在用空間の後部に、上述した補助作業を行なう作業台が設けられ、作業台から集品搬送コンベヤに向けて物品を搬出するための搬出コンベヤが設けられているものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
つまり、この特許文献1のピッキング設備においては、作業者存在用空間に存在する作業者は、物品供給用搬送コンベヤにて搬送されてきた物品保持具としてのパレットに載置状態で保持されている物品のうちからピッキング対象の物品をピッキングして、作業者存在用空間の後部に位置する作業台に供給されたパレットに載置することにより、パレットにピッキング対象の物品を集約させる補助作業を行ない、物品が集約されたパレットを搬出コンベヤに供給することにより、この搬出コンベヤより集品搬送コンベヤに物品を供給することになる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−130214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のピッキング設備においては、作業者存在用空間に存在する作業者は、物品供給用搬送コンベヤにて搬送されてきた物品保持具からピッキング対象の物品をピッキングしたのち、後方に180度向きを変えて、作業者存在用空間の後部に位置する作業台に供給されたパレットに物品を載置することを繰り返すものとなる、つまり、前向き姿勢でピッキングした物品を後向き姿勢に向きを変えて作業台に供給されたパレットに載置する作業を繰り返すことになるが、ピッキングした物品を保持した状態で前向き姿勢から後向き姿勢に向きを変えて作業台に供給されたパレットに載置する作業は、物品を保持しながら体の向きを大きく変更させる負担の大きな作業であるため、早期に疲労し易いものであり、その結果、作業能率の低下や作業ミスを生じる等の作業性の低下を招く虞があり、改善が望まれるものであった。特に、重量の大きな物品を扱うピッキング設備においては、早期疲労が一層激しくなり易いものであり、上記不利を一層招き易いものとなる。
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、作業者の作業負担の軽減化により、作業性の向上を図ることが可能となるピッキング設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のピッキング設備は、ピッキングする物品を保持する物品保持具をピッキング箇所に搬出入する物品供給用搬送コンベヤと、ピッキングされた物品を搬送する集品搬送コンベヤとが、ピッキング作業者存在用空間を挟んで配備されたものであって、その第1特徴構成は、前記ピッキング作業者存在用空間の側部に、前記物品供給用コンベヤから前記集品搬送コンベヤに向けて物品を載置搬送するための中継搬送コンベヤが設けられている点にある。
【0007】
すなわち、物品供給用搬送コンベヤにてピッキングする物品を保持する物品保持具がピッキング箇所に搬出されると、ピッキング作業者存在用空間に存在する作業者は、ピッキング箇所に搬出された物品保持具に保持された物品のうちからピッキング対象の物品をピッキングしたのち、そのピッキングした物品をピッキング作業者存在用空間の側部に設けられた中継搬送コンベヤに載置することになる。そして、中継搬送コンベヤによりピッキングした物品を集品搬送コンベヤに向けて載置搬送することになる。
【0008】
もちろん、ピッキングした物品に対して、ラベル等の物品表示具を貼付する等、種々の補助作業を行う際には、物品を中継搬送コンベヤにて載置した状態で行い、その後集品搬送コンベヤに向けて搬送することになる。
【0009】
作業者存在用空間に存在する作業者は、物品供給用搬送コンベヤにて搬送されてきた物品保持具からピッキング対象の物品をピッキングしたのちは、横方向に90度向きを変えて、作業者存在用空間の側部に位置する中継搬送コンベヤに物品を載置する、つまり、前向き姿勢でピッキングした物品を横向き姿勢に向きを変えて中継搬送コンベヤに載置する作業や、中継搬送コンベヤを用いて物品を集品搬送コンベヤに搬出する作業を行うことになるが、物品保持具からピッキングしたピッキング対象の物品を中継搬送コンベヤに載置する作業は、ピッキングした物品を保持した状態で前向き姿勢から横向き姿勢に向きを変えるものであり、物品を保持しながら体の向きを変更する量が小さいものであるから、作業負担が軽減化されて、疲労し難いものとなるのであり、また、中継搬送コンベヤを用いて物品を集品搬送コンベヤに搬出する作業も、例えば、物品を搬送方向に自由移動自在に載置するフリー搬送式に構成された中継搬送コンベヤにて載置支持されている物品を集品搬送コンベヤに向けて押し移動させる等、作業負担が軽減化されたものであるため疲労し難いものであり、これらのことから、作業者が疲労のために、作業能率の低下や作業ミスを生じる等により、作業性の低下を招くことを抑制することができるものとなる。
したがって、作業者の作業負担の軽減化により、作業性の向上を図ることが可能となるピッキング設備を提供するに至った。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記中継搬送コンベヤを昇降駆動する昇降駆動手段と、手動昇降指令手段の上昇指令及び下降指令に基づいて、前記昇降駆動手段を作動させる制御手段とが設けられている点を特徴とする。
【0011】
すなわち、手動昇降指令手段にて上昇指令を指令することにより、制御手段が昇降駆動手段を作動させて、中継搬送コンベヤを上昇させる、あるいは、手動昇降指令手段にて下降指令を指令することにより、制御手段が昇降駆動手段を作動させて、中継搬送コンベヤを下降させることになる。
このように、手動昇降指令手段にて上昇指令及び下降指令を指令することにより、中継搬送コンベヤを昇降させることができるものであるから、作業者が、ピッキング箇所に搬出された物品保持具に保持された物品のうちピッキング対象の物品をピッキングして、ピッキングした物品をピッキング作業者存在用空間の側部に設けられた中継搬送コンベヤに載置する際に、手動昇降指令手段にて中継搬送コンベヤの高さを物品保持具に保持された物品のうちピッキング対象の物品の高さとほぼ同じ高さに合わせておくことにより、ピッキングした物品の高さをほとんど変化させること無く、ピッキングした物品を中継搬送コンベヤに載置することができるので、作業者の体に掛かる負担が一層小さいものとなる。
したがって、作業者の負担を一層軽くすることができるピッキング設備を提供するに至った。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、定位置昇降指令を指令する手動式の定位置昇降指令手段が設けられ、前記制御手段が、定位置昇降指令が指令されると、前記中継搬送コンベヤを前記集品搬送コンベヤに対応する高さに昇降させるべく、前記昇降駆動手段を作動させるように構成されている点を特徴とする。
【0013】
すなわち、定位置昇降指令手段にて定位置昇降指令を指令することにより、制御手段が昇降駆動手段を作動させて、中継搬送コンベヤを集品搬送コンベヤに対応する高さに昇降させることになる。
このように、定位置昇降指令手段にて定位置昇降指令を指令することにより、中継搬送コンベヤを集品搬送コンベヤに対応する高さに昇降させることができるものであるから、定位置昇降指令を指令するだけの簡単な操作で、中継搬送コンベヤの搬送面の高さと集品搬送コンベヤの搬送面の高さとが一致することになり、中継搬送コンベヤにて載置搬送される物品を集品搬送コンベヤに受け渡すことをスムーズに行なえるものとなる。
したがって、簡単な操作にて、中継搬送コンベヤにて載置搬送される物品をスムーズに集品搬送コンベヤに受け渡すことができるピッキング設備を提供するに至った。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、前記手動昇降指令手段及び前記定位置昇降指令手段が、足踏み式のスイッチにて構成されている点を特徴とする。
【0015】
すなわち、足踏み式のスイッチを足踏み操作することにより、上昇指令、下降指令、定位置昇降指令を指令することになる。このように、足踏み式のスイッチの足踏み操作にて上昇指令、下降指令、定位置昇降指令を指令することができるので、例えばピンキングした物品に対して物品表示具を貼付する等種々の作業を行ないながら、足踏み操作にて中継搬送コンベヤの高さを物品保持具に保持された物品のうちピッキング対象の物品の高さとほぼ同じ高さに合わせたり、中継搬送コンベヤを集品搬送コンベヤに対応する高さに昇降させたりすることができるので、中継搬送コンベヤを昇降させる間に作業を中断する必要が無い等作業の効率化を図れるものとなる。
したがって、作業の効率化を図ることができるピッキング設備を提供するに至った。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、上記第1〜第4特徴構成のいずれか1つの特徴構成に加えて、前記中継搬送コンベヤが、物品を搬送方向に自由移動自在に載置するフリー搬送式に構成され、前記中継搬送コンベヤの前記集品搬送コンベヤ側の端部に、物品を受け止めるストッパーが、前記中継搬送コンベヤが前記集品搬送コンベヤに対応する高さに位置するときには受け止め解除状態となり且つ前記中継搬送コンベヤが前記集品搬送コンベヤに対応する高さ以外の高さに位置するときには受け止め作用状態となるように切り換えられる状態で設けられている点を特徴とする。
【0017】
すなわち、中継搬送コンベヤが、物品を搬送方向に自由移動自在に載置するフリー搬送式に構成され、中継搬送コンベヤの集品搬送コンベヤ側の端部に、物品を受け止めるストッパーが設けられ、ストッパーは、中継搬送コンベヤが集品搬送コンベヤに対応する高さに位置することにより、ストッパーが受け止め解除状態に切り換わり、中継搬送コンベヤが集品搬送コンベヤに対応する高さ以外の高さに位置することにより、ストッパーが受け止め作用状態に切り換わることになる。
【0018】
このように、中継搬送コンベヤが、物品を搬送方向に自由移動自在に載置するフリー搬送式に構成されるものであるから、例えば中継搬送コンベヤに載置される物品を集品搬送コンベヤ側に押し込む等極力軽い操作力にて集品搬送コンベヤに向けて物品を載置搬送することができるものとなる。
そして、中継搬送コンベヤが集品搬送コンベヤに対応する高さに位置することにより、ストッパーが受け止め解除状態に切り換わり、中継搬送コンベヤが集品搬送コンベヤに対応する高さ以外の高さに位置することにより、ストッパーが受け止め作用状態に切り換わるものであるから、中継搬送コンベヤの搬送面の高さと集品搬送コンベヤの搬送面の高さとが一致しないにも拘わらず、中継搬送コンベヤにて載置搬送される物品を集品搬送コンベヤに受け渡すといった不都合を適切に回避できるものとなる。
したがって、作業の容易化、及び、構成の簡素化を図りながらも、中継搬送コンベヤの搬送面の高さと集品搬送コンベヤの搬送面の高さとが一致しないにも拘わらず、中継搬送コンベヤにて載置搬送される物品を集品搬送コンベヤに受け渡すといった不都合を適切に回避できるピッキング設備を提供するに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るピッキング設備について図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、ピッキングする物品Aを保持する物品保持具Pをピッキング箇所Eに搬出入する物品供給用コンベヤC1と、ピッキングされた物品Aを搬送する集品搬送コンベヤC3とが、ピッキング作業者存在用空間Dを挟んで配備され、ピッキング作業者存在用空間Dの側部に、物品供給用コンベヤC1から集品搬送コンベヤC3に向けて物品Aを載置搬送するための中継搬送コンベヤC2が設けられている。
【0020】
説明を加えると、床面には、略長円状の軌条1が設置され、その軌条1に沿って床面を走行する物品搬送車2が複数台配設されている。軌条1は、間隔を隔てて並んだ2つの直線部1aと、それら直線部1aの端部同士を接続する曲線部1bとを備えている。それら直線部1aを中間に挟んだ状態で、図示しない物品収納装置の反対側には、物品供給用コンベヤC1が直線部1aに沿って間隔を隔てた状態で複数設けられ、物品搬送車2上の物品Aを段積み状に載置した物品保持具PとしてのパレットPを、物品供給用コンベヤC1に移載可能に構成されている。物品供給用コンベヤC1は、駆動用モータ(図示せず)により駆動されるローラ式の第1コンベヤ部3及び第3コンベヤ部5と、駆動用モータ(図示せず)により駆動されるチェン式の第2コンベヤ部4とを備えて、平面視にてコ字状に構成されている。そして、物品搬送車2上のパレットPを第1コンベヤ部3に移載し、第1コンベヤ部3にて搬送されるパレットPを第2コンベヤ部4に移載し、第2コンベヤ部4にて搬送されるパレットPを第3コンベヤ部5に移載し、第3コンベヤ部5にて搬送されるパレットPを物品搬送車2上に移載するようになっている。
【0021】
前記集品搬送コンベヤC3が、第2コンベヤ部4と間隔を隔てた状態で並んで設けられている。集品搬送コンベヤC3は、駆動用モータ(図示せず)により駆動されるローラ式に構成されている。そして、第2コンベヤ部4の搬送方向下手側の箇所と集品搬送コンベヤC3とを接続する中継搬送コンベヤC2が設けられている。中継搬送コンベヤC2の近傍には、ピッキングした物品Aに対してラベリング作業を行なうためのマニュアル式のラベラ6及びそのラベラ6を載置する載置台7を設けてある。そして、中継搬送コンベヤC2が、ピッキングした物品Aを搬送方向に自由移動自在に載置するフリー搬送式に構成されている。
【0022】
これにより、第2コンベヤ部4と、集品搬送コンベヤC3と、中継搬送コンベヤC2とで囲まれた空間が、作業者がピッキング作業を行なうピッキング作業者存在用空間Dを構成し、第2コンベヤ部4の搬送方向下手側の箇所が、作業者がピッキング作業を行なうときにパレットPが位置するピッキング箇所Eを構成し、中継搬送コンベヤC2は、パレットPをピッキング箇所を経由して搬送することになる。
【0023】
前記中継搬送コンベヤC2について説明を加えると、図4〜6に示すように、横幅方向に間隔を隔てて床面に取り付けられた一対のX字リンク24と、それらX字リンク24に支持されるテーブル13とを備えて構成されている。テーブル13は、矩形枠状のフレーム部14の内部に、長手方向に間隔を隔てて並べられた複数の円筒状のローラ15を回動自在に軸支して構成されている。テーブル13の下部には、長手方向に沿う長溝13aが形成されている。
前記X字リンク24は、アーム11、12を備えて構成され、アーム11は、その基端部を床面に揺動自在に連結し、その先端部に付設のピン16をテーブル13の下部に形成された長溝13aに係合させてあり、アーム12は、その基端部に付設のピン17を床面上に転動自在に設け、その先端部に付設のピン18を長溝13aに係合させてある。そして、アーム11、12の中央部には、横幅方向に沿う軸部19の両端側を、その軸部19の軸芯周りに回動自在に連結してある。
【0024】
前記アーム12の基端部に近接する箇所には、横幅方向に沿う基端部側棒状部材25を連結し、アーム11の中央部の先端部寄りの箇所には、横幅方向に沿う先端部側棒状部材26の両端を連結してあり、伸縮自在な昇降用油圧シリンダ20を、その一端を基端部側棒状部材25の中央部に相対回動自在に連結し、他端を先端部側棒状部材26の中央部に相対回動自在に連結してある。これにより、昇降用油圧シリンダ20を伸長作動させたときには、水平状態を維持した状態でテーブル14が上昇し、昇降用油圧シリンダ17を短縮作動させたときには、水平状態を維持した状態でテーブル14が下降することになる。したがって、昇降用油圧シリンダ20が中継搬送コンベヤC2を昇降駆動する昇降駆動手段を構成する。
尚、テーブル13の前後側へのスライド移動を規制する位置規制用リンク27を、その一端をアーム11の中央部に隣接した箇所に揺動自在に連結し、他端をテーブル13の一端に揺動自在に連結してある。尚、フレーム部14には、その外周部からその下方を取り囲むように蛇腹23が設けられている。
【0025】
上昇指令及び下降指令を指令する手動式の手動昇降指令手段21、及び、定位置昇降指令を指令する手動式の定位置昇降指令手段22が設けられている。そして、手動昇降指令手段21及び定位置昇降指令手段22が、足踏み式のスイッチ21、22にて構成されている。
【0026】
説明を加えると、ピッキング作業者存在用空間Dのうち第2コンベヤ部4寄りの箇所、言い換えると、ピッキング箇所Eに近接した箇所に2連の足踏み式のスイッチ21が設けられ、ピッキング作業者存在用空間Dのうち集品搬送コンベヤC3寄りの箇所に足踏み式のスイッチ22が設けられている。そして、2連の足踏み式のスイッチ21の一方を足踏み操作することにより、上昇指令を指令し、2連の足踏み式のスイッチ21の他方を足踏み操作することにより、下降指令を指令するようになっている。又、足踏み式のスイッチ22を足踏み操作することにより、定位置昇降指令を指令するようになっている。
【0027】
前記中継搬送コンベヤC2の上限位置を検出するコンベヤ上限位置検出手段としてのコンベヤ上限位置検出用リミットスイッチ28と、中継搬送コンベヤC2の下限位置を検出するコンベヤ下限位置検出手段としてのコンベヤ下限位置検出用リミットスイッチ29と、中継搬送コンベヤC2の昇降位置を検出するコンベヤ昇降位置検出手段としてのコンベヤ位置検出ボリューム30とが設けられている。つまり、矩形状のフレーム部14には、上昇端リミットスイッチ28を、中継搬送コンベヤC2が上限位置に位置するときにアーム11に当接するように設け、下降端リミットスイッチ29を、中継搬送コンベヤC2が下限位置に位置するときにアーム11に当接するように設けてある。そして、アーム11の基端部には、中継搬送コンベヤC2の昇降位置を検出する昇降位置検出ボリューム30を設けてある。
【0028】
そして、中継搬送コンベヤC2の集品搬送コンベヤC3側の端部に、物品Aを受け止めるストッパー32が、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置するときには受け止め解除状態となり且つ中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さ以外の高さに位置するときには受け止め作用状態となるように切り換えられる状態で設けられている。
【0029】
説明を加えると、中継搬送コンベヤC2の搬送方向下手側の端部、すなわち、集品搬送コンベヤC3側の端部には、伸縮自在な切換用油圧シリンダ31を設け、切換用油圧シリンダ31には、横断面形状が略L字状の長尺状のストッパー32を、隣り合うローラ15の間に設けてある。これにより、ストッパー32が、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さ以外の高さに位置するときには、切換用油圧シリンダ31を伸長作動させて、ストッパー32の上端を複数のローラ15がなす搬送面から突出させた状態、すなわち、受け止め作用状態となるように切り換え、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置するときには、切換用油圧シリンダ31を短縮作動させて、ストッパー32の上端を複数のローラ15がなす搬送面から引退させた状態、すなわち、受け止め解除状態となるように切り換えるように構成されている。尚、切換用油圧シリンダ31の近傍には、リードスイッチ33が設けられており、受け止め解除状態及び受け止め作用状態を検出できるようになっている。
【0030】
図7に示すように、上昇指令及び下降指令を指令する手動昇降指令手段21、定位置昇降指令を指令する定位置昇降指令手段22、指令中継搬送コンベヤC2のコンベヤ上限位置を検出するコンベヤ上限位置検出用リミットスイッチ28、中継搬送コンベヤC2のコンベヤ下限位置を検出するコンベヤ下限位置検出用リミットスイッチ29、中継搬送コンベヤC2のコンベヤ昇降位置を検出するコンベヤ位置検出用ボリューム30等が備えられ、これらの入力情報に基づいて昇降用油圧シリンダ20、切換用油圧シリンダ31の作動を制御する制御手段としての制御装置Hが備えられている。
【0031】
制御装置Hが、手動昇降指令手段21の上昇指令及び下降指令、及び、定位置昇降指令手段22の定位置昇降指令に基づいて、昇降用油圧シリンダ20を作動させるように構成されている。そして、制御装置Hが、手動昇降指令手段21にて上昇指令が指令されると中継搬送コンベヤC2を上昇させ、手動昇降指令手段21にて下降指令が指令されると中継搬送コンベヤC2を下降させるべく、昇降用油圧シリンダ20を作動させ、且つ、定位置昇降指令手段22にて定位置昇降指令が指令されると、中継搬送コンベヤC2を集品搬送コンベヤC3に対応する高さに昇降させるべく、昇降用油圧シリンダ20を作動させるように構成されている。
そして、制御装置Hは、定位置昇降指令手段22にて定位置昇降指令が指令された状態において、コンベヤ位置検出用ボリューム30にて中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置することが検出されると、ストッパー32が受け止め解除状態に切り換えられるように、切換用油圧シリンダ31を作動させるように構成されている。
【0032】
次に、図8のフローチャートに基づいて、中継搬送コンベヤC2の昇降制御及びストッパー32の切り換え制御について説明を加えると、足踏み式のスイッチ21の足踏み操作により上昇指令が指令されると、中継搬送コンベヤC2がコンベヤ上限位置に位置しているときには、中継搬送コンベヤC2を停止させ、中継搬送コンベヤC2がコンベヤ上限位置に位置していないときには、中継搬送コンベヤC2を上昇させるように、昇降用油圧シリンダ20を作動させる(ステップ1〜4)。足踏み式のスイッチ21の足踏み操作により下降指令が指令されると、中継搬送コンベヤC2がコンベヤ下限位置に位置しているときには、中継搬送コンベヤC2を停止させ、中継搬送コンベヤC2がコンベヤ下限位置に位置していないときには、中継搬送コンベヤC2を下降させるように、昇降用油圧シリンダ20を作動させる(ステップ5〜8)。足踏み式のスイッチ22の足踏み操作により定位置昇降指令が指令されると、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置するときには、ストッパー32が受け止め解除状態に切り換えられるように、切換用油圧シリンダ31を作動させ、中継搬送コンベヤC2を停止させる(ステップ9〜12)。中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置しないときには、ストッパー32が受け止め作用状態に切り換えられるように、切換用油圧シリンダ31を作動させる(ステップ10、13)。そして、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さよりも高い位置に位置するときには、中継搬送コンベヤC2を下降させるように、昇降用油圧シリンダ20を作動させ、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さよりも低い位置に位置するときには、中継搬送コンベヤC2を上昇させるように、昇降用油圧シリンダ20を作動させる(ステップ14〜16)。
【0033】
作業者がピッキング作業を行なう動作について説明を加えると、物品供給用搬送コンベヤC2にて搬送されるパレットPは、ピッキング箇所Eにて停止される。ピッキング作業者存在用空間Dに存在する作業者は、足踏み式のスイッチ21を操作して中継搬送コンベヤC2をパレットPに段積み状に載置される物品Aのうちピッキング対象の物品Aとほぼ同じ高さに合わせる。作業者は、ピッキング対象の物品Aをピッキングして、ピッキング作業者存在用空間の側部に設けられた中継搬送コンベヤC2に物品を載置する。このとき、物品保持具からピッキングしたピッキング対象の物品を中継搬送コンベヤに載置する作業は、ピッキングした物品を保持した状態で前向き姿勢から横向き姿勢に向きを変えるものであり、物品を保持しながら体の向きを変更する量が小さいものであるから、作業負担が軽減化されて、疲労し難いものとなる。中継搬送コンベヤC2に載置された物品Aは、ラベル貼り等の補助作業を行なったのち、足踏みスイッチ22を操作して中継搬送コンベヤC2を集品搬送コンベヤC3に対応する高さに合わせる。このとき、ストッパー32が受け止め作用状態から受け止め解除状態に切り換えられるので、作業者が物品Aを集品搬送コンベヤC3側に押し移動させることにより、極力軽い操作力にて物品Aを集品搬送コンベヤC3に移載することができるものとなる。ちなみに、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さでないときには、ストッパー32が受け止め作用状態を維持するので、中継搬送コンベヤC2に載置された物品Aを集品搬送コンベヤC3に移載する際に、中継搬送コンベヤC2と集品搬送コンベヤC3との段差が大きいために物品Aが落下して損傷する、あるいは、物品Aを移載することができないといった虞を防止できるものとなる。
【0034】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、物品供給用コンベヤC1は、駆動用モータにより駆動されるローラ式の第1コンベヤ部3及び第3コンベヤ部5と、駆動用モータにより駆動されるチェン式の第2コンベヤ部4とを備えて、平面視にてコ字状に構成され、物品搬送車2上のパレットPを第1コンベヤ部3に移載し、第1コンベヤ部3にて搬送されるパレットPを第2コンベヤ部4に移載し、第2コンベヤ部4にて搬送されるパレットPを第3コンベヤ部5に移載し、第3コンベヤ部5にて搬送されるパレットPを物品搬送車2上に移載することにより、パレットPを第2コンベヤ部4の搬送方向下手側のピッキング箇所に搬出入する構成を例示したが、このような構成に代えて、物品供給用コンベヤC1が、駆動用モータにより駆動される直線状のコンベヤ部を備えて、駆動用モータを正回転させることにより、物品搬送車2上のパレットPをコンベヤ部に移載し、駆動用モータを逆回転させることにより、コンベヤ部にて搬送されるパレットPを物品搬送車2上に移載することにより、パレットPをコンベヤ部の先端側のピッキング箇所に搬出入する構成としてもよい。
【0035】
(2)上記実施の形態では、昇降用駆動手段が昇降用油圧シリンダ20である構成を例示したが、このような構成に代えて、昇降用駆動手段が昇降用電動シリンダである構成としてもよい。
【0036】
(3)上記実施の形態では、ストッパー32が、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さ以外の高さに位置するときには、切換用油圧シリンダ31を伸長作動させて、受け止め作用状態となるように切り換え、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置するときには、切換用油圧シリンダ31を短縮作動させて、受け止め解除状態となるように切り換える構成を例示したが、このような構成に代えて、ストッパー32をバネ等により受け止め作用状態に復帰付勢しておき、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置するときには、電動ソレノイドにて受け止め解除状態に操作する構成でもよく、又、中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さになったときに、ストッパー32を受け止め解除状態に操作するカム機構を設けても良い。
【0037】
(4)上記実施の形態では、中継搬送コンベヤC2がローラ式である構成を例示したが、このような構成に代えて、中継搬送コンベヤC2がチェン式や、ベルト式である構成としてもよい。
【0038】
(5)上記実施の形態で制御装置Hは、定位置昇降指令手段22にて定位置昇降指令が指令された状態において、コンベヤ位置検出用ボリューム30にて中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置することが検出されると、ストッパー32が受け止め解除状態に切り換えられるように、切換用油圧シリンダ31を作動させる構成を例示したが、このような構成に代えて、定位置昇降指令手段22にて定位置昇降指令が指令されるか否かに拘わらずに、コンベヤ位置検出用ボリューム30にて中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置することが検出されると、ストッパー32が受け止め解除状態に切り換えられるように、切換用油圧シリンダ31を作動させる構成としてもよい。
【0039】
(6)上記実施の形態では、中継搬送コンベヤC2が、物品Aを搬送方向に自由移動自在に載置するフリー搬送式である構成を例示したが、このような構成に代えて、中継搬送コンベヤC2が、駆動モータによる駆動式である構成としてもよい。このとき、定位置昇降指令手段22にて定位置昇降指令が指令された状態において、コンベヤ位置検出用ボリューム30にて中継搬送コンベヤC2が集品搬送コンベヤC3に対応する高さに位置することが検出されると、ストッパー32が受け止め解除状態に切り換えられるように、切換用油圧シリンダ31を作動させるとともに、物品Aを集品搬送コンベヤC3側に搬送すべく、駆動モータを作動させる構成としてもよい。
【0040】
(7)上記実施の形態では、手動昇降指令手段21及び定位置昇降指令手段22が、足踏み式のスイッチである構成を例示したが、このような構成に限られるものではなく、タッチパネル式や押しボタン式など、各種形態で実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ピッキング設備の全体平面図
【図2】ピッキング設備の平面図
【図3】ピッキング設備の側面図
【図4】中継搬送コンベヤの側面図
【図5】中継搬送コンベヤの側面図
【図6】中継搬送コンベヤの側面図
【図7】制御動作の制御ブロック図
【図8】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
【0042】
20 昇降駆動手段
21 足踏み式のスイッチ、手動昇降指令手段
22 足踏み式のスイッチ、定位置昇降指令手段
32 ストッパー
A 物品
C1 物品供給用コンベヤ
C2 中継搬送コンベヤ
C3 集品搬送コンベヤ
D ピッキング作業者存在用空間
E ピッキング箇所
P 物品保持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキングする物品を保持する物品保持具をピッキング箇所に搬出入する物品供給用搬送コンベヤと、ピッキングされた物品を搬送する集品搬送コンベヤとが、ピッキング作業者存在用空間を挟んで配備されたピッキング設備であって、
前記ピッキング作業者存在用空間の側部に、前記物品供給用コンベヤから前記集品搬送コンベヤに向けて物品を載置搬送するための中継搬送コンベヤが設けられているピッキング設備。
【請求項2】
前記中継搬送コンベヤを昇降駆動する昇降駆動手段と、手動昇降指令手段の上昇指令及び下降指令に基づいて、前記昇降駆動手段を作動させる制御手段とが設けられている請求項1に記載のピッキング設備。
【請求項3】
定位置昇降指令を指令する手動式の定位置昇降指令手段が設けられ、前記制御手段が、定位置昇降指令が指令されると、前記中継搬送コンベヤを前記集品搬送コンベヤに対応する高さに昇降させるべく、前記昇降駆動手段を作動させるように構成されている請求項2に記載のピッキング設備。
【請求項4】
前記手動昇降指令手段及び前記定位置昇降指令手段が、足踏み式のスイッチにて構成されている請求項3に記載のピッキング設備。
【請求項5】
前記中継搬送コンベヤが、物品を搬送方向に自由移動自在に載置するフリー搬送式に構成され、
前記中継搬送コンベヤの前記集品搬送コンベヤ側の端部に、物品を受け止めるストッパーが、前記中継搬送コンベヤが前記集品搬送コンベヤに対応する高さに位置するときには受け止め解除状態となり且つ前記中継搬送コンベヤが前記集品搬送コンベヤに対応する高さ以外の高さに位置するときには受け止め作用状態となるように切り換えられる状態で設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のピッキング設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−269458(P2007−269458A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98154(P2006−98154)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】