説明

ピックアップトラック用トノカバー取付構造

【課題】 ピックアップトラックにおける後部ピラーが前方斜めに傾斜している場合においても、ピックアップトラックにおける荷台を覆うことができるピックアップトラック用カバー取付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 荷台12が車両後端部から後部ピラー13部まで延びているピックアップトラック10における略板状に形成されているピックアップトラック10用トノカバー16取付構造において、前記ピックアップトラック10における荷台12の上端から前記トノカバー16の上面が下方に離間するように前記ピックアップトラック10の側壁内面に前後方向に延びている前記ピックアップトラック10用トノカバー16を載置する長尺状の支持部材であるベッドレール38が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台が車両後端部から後部ピラー部まで延びているピックアップトラックにおける略矩形板状に形成されているピックアップトラック用トノカバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、側壁面及び前端部、後端部を有するピックアップトラックのベッドのためのカバーにおいて、該カバーは、複数枚のカバーパネルと、トラックのベッドの後端部に隣接するトラックベッド領域を覆うため前記側壁面を横切って延在する後部カバーパネルと、前記後端部領域を覆うための第2のカバーパネルとを設け、前記後部パネルは前方に突出する溝状のヒンジ部分を有し、前記第2のパネルの後方に突出するヒンジ部分と前記後部パネルの前方に突出するヒンジ部分とが相互に連結して該パネル間の蝶着部を提供し、前記パネルカバーを前記トラックのベッドの側壁面に対して取り外し自在に選択的に固定する各パネルに対する固定機構を設け、以って一枚のカバーパネルを前記トラックのベッド上の所定位置に固定されると、他のパネルは下側のトラックのベッド領域を露呈するため前部蝶着部の周囲に枢動して開くことができることを特徴とするピックアップトラックのベッド用カバーが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭64−56281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来技術は、ピックアップトラックのベッド用カバーは、ピックアップトラックにおける荷台の上端面に固定されるため、ピックアップトラックにおける後部ピラーが前方斜めに傾斜している場合には、後部ピラーが前方斜めに傾斜している左右方向の部位では、ピックアップトラックにおける荷台を覆うことができないという問題点がある。
【0004】
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたもので、ピックアップトラックにおける後部ピラーが前方斜めに傾斜している場合においても、ピックアップトラックにおける荷台を覆うことができるピックアップトラック用カバー取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するため、本発明に係るピックアップトラック用カバー取付構造は、次のような手段を採用する。
【0006】
即ち、請求項1記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造は、荷台が車両後端部から後部ピラー部まで延びているピックアップトラックにおける略板状に形成されているピックアップトラック用トノカバーの取付構造において、前記ピックアップトラックにおける荷台の上端から前記トノカバーの上面が下方に離間するように前記ピックアップトラックの側壁内面に前後方向に延びている前記ピックアップトラック用トノカバーを載置する長尺状の支持部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造は、請求項1記載の発明において、前記ピックアップトラックにおける荷台の側壁には、前記支持部材の上面と上下方向に略一致する箇所に前記支持部材の上面に流れる液体を排出する排出口が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造は、請求項1又は2記載の発明において、前記支持部材の上面には、前記液体が流れる溝が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造は、請求項2又は3記載の発明において、前記支持部材の上面の前記排出口に近接する部位には、前記排出口に液体を導く導流体が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造は、請求項1乃至4の何れか1項記載の発明において、前記支持部材には、前記ピックアップトラック用の備品を装着できる装着構造が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造によれば、ピックアップトラックにおける荷台の上端からトノカバーの上面が下方に離間するようピックアップトラックの側壁内面に前後方向に延びているピックアップトラック用トノカバーを載置する長尺状の支持部材が設けられているため、ピックアップトラックにおける後部ピラーが前方斜めに傾斜している場合においてもピックアップトラックにおける荷台を覆うことができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造によれば、ピックアップトラックにおける荷台の側壁には、支持部材の上面と上下方向に略一致する箇所に支持部材の上面に流れる液体を排出する排出口が設けられているため、ピックアップトラック用トノカバーから雨水等の液体がピックアップトラックにおける荷台の側壁に流れた場合に、雨水等の液体がピックアップトラックにおける荷台に流れ込むことを防止することができる。
【0013】
また、請求項3記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造によれば、支持部材の上面には、雨水等の液体が流れる溝が形成されているため、ピックアップトラック用トノカバーから雨水等の液体が支持部材の上面を流れ排出口から排出される。
【0014】
また、請求項4記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造によれば、支持部材の上面の排出口に近接する部位には、排出口に液体を導く導流体が設けられているため、容易に雨水等の液体を排出口に導くことができる。
【0015】
また、請求項5記載の発明のピックアップトラック用カバー取付構造によれば、支持部材には、ピックアップトラック用の備品を装着できる装着構造が形成されているため、ピックアップトラックにおける荷台にピックアップトラック用の備品を支持部材に装着して載置等することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るピックアップトラック用トノカバー取付構造の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図7は、本発明に係るピックアップトラック用トノカバー取付構造の一実施形態を説明する図である。
【0017】
図1は、ピックアップトラック10の側面図である。ピックアップトラック10の後部には、荷台12が設けられている。荷台12は、ピックアップトラック10の後部ピラー13の部位から後方に後端のテールゲート15に至るまでの間に設けられている。荷台12の左右側壁内面には荷台12の上端から離間して長尺状の支持部材14が設けられている。荷台12における支持部材14の上面には、荷台12を覆うトノカバー16が載置されている。尚、ピックアップトラック10の荷台12の外側はアウトサイドパネル18で囲まれている。
【0018】
図2は、ピックアップトラック10の後部を示す図である。図2(a)は、ピックアップトラック10の側面拡大図、図2(b)は、ピックアップトラック10の後部を示す上面拡大図である。図1と同様に、ピックアップトラック10の後部には、荷台12が設けられている。荷台12は、ピックアップトラック10の後部ピラー13の部位から後方に後端のテールゲート15に至るまでの間に設けられている。荷台12の左右側壁内面には荷台12の上端から離間して長尺状の支持部材14が設けられている。荷台12における支持部材14の上面には、荷台12を覆うトノカバー16が載置されている。トノカバー16は、略矩形板状に形成されている。尚、ピックアップトラック10の荷台12の外側はアウトサイドパネル18で囲まれている。トノカバー16は、トノカバー16の右端前部に設けられてのいるブラケット22、トノカバー16の左端前部に設けられているブラケット20、トノカバー16の右端中央部に設けられているブラケット26、トノカバー16の左端中央部に設けられているブラケット24、トノカバー16の右端中央部に設けられているブラケット26の後方に設けられているブラケット32、トノカバー16の左端中央部に設けられているブラケット24の後方に設けられているブラケット30を介して、支持部材14及び荷台12の側壁内面を構成するリアインサイドパネルの後端左右突出部19に載置されている。また、トノカバー16は、トノカバー16の右端略中央部に設けられているブラケット32と一体的に設けられているヒンジ32a、及びトノカバー16の左端略中央部に設けられているブラケット30と一体的に設けられているヒンジ30aによって上方に向けて屈曲自在となっている。
【0019】
図3は、ピップアップトラック10の後部における縦断面図である。ピックアップトラック10の荷台12の側壁上端には、ベッドレールガーニシュ36が設けられている。荷台12側壁内面には、サイドライニング42が設けられている。トノカバー16は、ベッドレールガーニシュ36の上面から下方に離間して略水平に設けられている。トノカバー16の左右端部には、サイドシール34が設けられている。トノカバー16の下方であってサイドライニング42の内面には、ベッドレール38が設けられている。サイドライニング42の外側には、上端部にリアインサイドレール40が、リアインサイドレール40の下方には、リアインサイドパネル19がリアインサイドレール40と連続して設けられている。サイドライニング42及びリアインサイドパネル19の外側には、アウトサイドパネル18が設けられている。リアインサイドレール40の下方には、リアインサイドレール40における下方への略直線部と連続して内側に円弧状に形成されているリアホイールハウス44が設けられている。リアホイールハウス44の下方には、上部を開口する略コ字状に形成されているリアフレーム46が設けられている。荷台12の下部には、トランクリッド47が設けられている。トランクリッド47の下方には、トランク48が設けられている。トノカバー16の下方であって、ベッドレール38との間のサイドライニング42には、液体を排出する排出口50が設けられている。
【0020】
以上の構成によって、トノカバー16の上面に降り掛けられた雨水等の液体が、トノカバー16のサイドシール34を通過した場合でも、ベッドレール38で受けることができてサイドライニング42に形成されている排出口50から液体を排出することができる。尚、雨水等の液体は、サイドライニング42及びトランク48と、リアインサイドパネル19、リアホイールハウス44及びリアフレーム46との間を流れリアフレーム46の下壁から外部に排出される。
【0021】
次に、サイドライニング42に設けられている排出口50の近傍を説明する。図4(a)は、ピックアップトラック10の荷台12に設けられている排出口50の近傍の詳細を示す斜視図、図4(b)は、ピックアップトラック10の荷台12に設けられている排出口50の近傍の詳細を示す縦断面図、図4(c)は、ピックアップトラック10の荷台12に設けられている排出口50の近傍の詳細を示す上面図である。ベッドレール38の上面には、一側面がベッドレール38の内壁、他側面がサイドライニング42で構成される溝38aが形成されている。サイドライニング42に設けられている排出口50の近傍であるベッドレール38の上面には、溝38aを流れる液体を排出口50に前後双方から導くように上面視略三角状の板体である導流体52が設けられている。トノカバー16の両端部には、サイドライニング42に当接するようにサイドシール34が設けられている。また、トノカバー16の両端部の下面には、トノカバー16をベッドレール38に載置するためにブラケット24,26等が固定されている。導流体52は、ベッドレール38の上面に固定されている。
【0022】
以上の構成によって、トノカバー16の上面に降り掛かけられた雨水等の液体は、ベッドレール38の溝38aを流れて導流体52で排出口50に導かれる。
【0023】
次に、ベッドレール38にピックアップトラック10用の備品を取り付ける構造について説明する。図5は、ベッドレール38にピックアップトラック10用の備品56を取り付ける構造を示した図である。ベッドレール38は、左右に延びている上面部を有して内側先端が上下方向に延びている。また、ベッドレール38の外面部は上面部から下方に延びている。また、ベッドレール38の下部は、内部空間を有する縦断面略矩形状に形成され内側部に隙間38bを有するように形成されている。本隙間38bを利用してベッドレール38にピックアップトラック10用の備品56がボルト及びナット等の締結部材で固定される。尚、ヘッドレール38は、リアインサイドレール40とサイドライニング42を接合しているブラケット54に固定されている。
【0024】
次に、ピックアップトラック10の荷台12の前端部について説明する。図6は、ピックアップトラック10の荷台12の前端部を示した図である。図6(a)は、トノカバー16を取り除いた際の荷台12の前端部及び側壁部を示す斜視図、図6(b)は、荷台12の前端部の縦断面図である。荷台12の前端部には、ヘッドボードレール58が設けられている。ヘッドボードレール58は、左右方向に延びていると共に、左右方向に溝58aを有する段部が形成されている。ヘッドボードレール58の溝58aは、ベッドレール38の溝38aと上下方向の位置が略一致するように形成されている。ヘッドボードレール58は、矩形板状の前壁を有している。また、ヘッドボードレール58の下部は、内部空間を有する縦断面略矩形状に形成され内面部に隙間58bを有するように形成されている。また、ヘッドボードレール58の段部の内側先端部は上方向に延びていて先端部が円弧状に形成されている。ヘッドボードレール58にトノカバー16が載置かれる際には、トノカバー16の前端部に形成されている左右方向に延びている円弧状の凹部16aに、ヘッドボードレール58の段部の内側先端部から上方に延びている先端部58cが合致する。トノカバー16は、ヘッドボードレール58とフロントシール59を介して当接している。
【0025】
図7は、ピックアップトラック10の荷台12の後端部を示す図である。ピックアップトラック10の荷台12の後端部であるテールゲート15は、トノカバー16の後端部とテールシール62を介して当接している。
【0026】
以上、本実施形態によれば、ピックアップトラック10における荷台12の上端からトノカバー16の上面が下方に離間するよう側壁内面上部に前後方向に延びているピックアップトラック10用トノカバー16を載置する長尺状の支持部材であるベッドレール38が設けられているため、ピックアップトラック10における後部ピラー13が前方斜めに傾斜している場合においてもピックアップトラック10における荷台12を覆うことができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、ピックアップトラック10における荷台12の側壁には、支持部材であるベッドレール38の上面と上下方向に略一致する箇所に支持部材であるベッドレール38の上面に流れる液体を排出する排出口50が設けられているため、ピックアップトラック10用トノカバー16から雨水等の液体がピックアップトラック10における荷台の12側壁に流れた場合に、雨水等の液体がピックアップトラック10における荷台12に流れ込むことを防止することができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、支持部材であるベッドレール38の上面には、雨水等の液体が流れる溝38aが形成されているため、ピックアップトラック10用トノカバー16から雨水等の液体が支持部材であるベッドレール38の上面を流れ排出口から排出される。
【0029】
また、本実施形態によれば、支持部材であるベッドレール38の上面の排出口50に近接する部位には、排出口50に液体を導く導流体52が設けられているため、容易に雨水等の液体を排出口50に導くことができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、支持部材であるベッドレール38には、ピックアップトラック10用の備品56を装着できる装着構造が形成されているため、ピックアップトラック10における荷台12にピックアップトラック10用の備品56を支持部材であるベッドレール38に装着して載置等することができる。
【0031】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るピックアップトラックの側面図である。
【図2】本発明に係るピックアップトラックの後部を示す図である。
【図3】本発明に係るピップアップトラックの後部における縦断面図である。
【図4】本発明に係るピックアップトラックの荷台に設けられている排出口の近傍の詳細を示す図である。
【図5】本発明に係るピックアップトラックの荷台に設けられているベッドレールにピックアップトラック用の備品を取り付ける構造を示した図である。
【図6】本発明に係るピックアップトラックの荷台の前端部を示した図である。
【図7】本発明に係るピックアップトラックの荷台の後端部を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 ピックアップトラック
12 荷台
16 トノカバー
38 ベッドレール(支持部材)
38a 溝
50 排出口
52 導流体
56 備品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台が車両後端部から後部ピラー部まで延びているピックアップトラックにおける略板状に形成されているピックアップトラック用トノカバーの取付構造において、
前記ピックアップトラックにおける荷台の上端から前記トノカバーの上面が下方に離間するように前記ピックアップトラックの側壁内面に前後方向に延びている前記ピックアップトラック用トノカバーを載置する長尺状の支持部材が設けられていることを特徴とするピックアップトラック用トノカバー取付構造。
【請求項2】
前記ピックアップトラックにおける荷台の側壁には、前記支持部材の上面と上下方向に略一致する箇所に前記支持部材の上面に流れる液体を排出する排出口が設けられていることを特徴とする請求項1記載のピックアップトラック用トノカバー取付構造。
【請求項3】
前記支持部材の上面には、前記液体が流れる溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のピックアップトラック用トノカバー取付構造。
【請求項4】
前記支持部材の上面の前記排出口に近接する部位には、前記排出口に液体を導く導流体が設けられていることを特徴とする請求項2又は3項記載のピックアップトラック用トノカバー取付構造。
【請求項5】
前記支持部材には、前記ピックアップトラック用の備品を装着できる装着構造が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のピックアップトラック用トノカバー取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−69471(P2006−69471A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258325(P2004−258325)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】