説明

ピッチャー型浄水器

【課題】給水時以外に蓋が外れるのを防止すると共に、給水時に容易に給水作業が行え、蓋の置き場に困らないピッチャー型浄水器を提供する。
【解決手段】容器本体2とこの容器本体2の上部に着脱自在に取り付けられる原水タンク4とを備え、原水タンク4の一部に容器本体2の下部に連通する孔13を設け、この孔13に浄水カートリッジ14を着脱自在に取り付けたピッチャー型浄水器において、容器本体2の開口部に、この開口部を開閉するリッド3をスライド自在に設け、このリッド3が少なくとも2箇所以上で位置決め可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ピッチャー型浄水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浄水カートリッジが着脱自在に設けられたピッチャー型浄水器が知られている。このピッチャー型浄水器は、浄化性能が低下したとしても新しい浄水カートリッジに交換することで浄化性能を維持することが可能になっている。より具体的には、ピッチャー型浄水器は、取っ手を備えた容器本体の内部に原水用の容器が収容され、この原水用の容器の底部に浄水カートリッジが取り付けられる。そして、この浄水カートリッジを介して容器内部に収容された原水が自重で浄化されながら容器本体内に落下して貯水されるようになっている。また、容器本体には、浄水をコップなどに注ぐための注水口が設けられると共に注水口を除く容器本体の開口部を開閉する蓋が設けられており、利用者が取っ手を持って容器本体を傾けることで浄水だけが注水口を介してコップに注がれることとなる。
【0003】
ところで近年、上記ピッチャー型浄水器においては更なる商品性の向上が望まれており、例えば、上記した浄水カートリッジの適正な交換サイクルを確立するために、蓋の開閉すなわち原水を給水したであろう回数を計数して表示するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表平10−50937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のピッチャー型浄水器においては、蓋が嵌め込み式でしかも着脱自在に設けられているので、例えば容器が倒れたり、何らかの原因で容器本体に衝撃が加わると、当該蓋が給水時ではないにもかかわらず容器本体から外れてしまう場合があるという課題がある。
そのため、蓋の開閉回数の計数結果に従って浄水カートリッジを交換すると、本来交換すべきタイミングよりも早くなり、浄水カートリッジの交換頻度が高くなってしまう。一方、蓋が容器本体から外れ難くなるように蓋と容器との嵌合をより強固にした場合、蓋が外れる頻度は低下するものの、蓋が外れ難いので給水時などに利用者の負担が増大してしまう。
【0005】
そこで、この発明は、衝撃により蓋が外れるのを防止すると共に、給水時に容易に給水作業が行えるピッチャー型浄水器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、容器本体(例えば、実施の形態における容器本体2)と、該容器本体の上部に着脱自在に取り付けられた上容器(例えば、実施の形態における原水タンク4)とを備え、前記上容器の一部に前記容器本体の下部に連通する連通部(例えば、実施の形態における孔13)を設け、該連通部に浄水フィルタ(例えば、実施の形態における浄水カートリッジ14)を着脱自在に取り付けたピッチャー型浄水器において、
前記容器本体の開口部(例えば、実施の形態における開口部17)に該開口部をスライド自在に開閉するリッド部材(例えば、実施の形態におけるリッド3)を設け、
該リッド部材がスライド方向に沿う2箇所以上の位置で位置決め可能であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記リッド部材は、少なくとも前記容器本体の浄水出口(例えば、実施の形態における注水口10)のみを開放する位置に位置決め可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、給水回数を計数する計数手段(例えば、実施の形態におけるカウンタ40)を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載の発明において、前記計数手段は、少なくとも給水のための前記リッド部材の開作動と、給水後の前記リッド部材の閉作動とをそれぞれ検出し、前記開作動と前記閉作動との両方を検出した場合に1回の給水として計数することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、容器本体の開口部にスライド自在にリッド部材が設けられていることで、従来の嵌め込み式の蓋よりも衝撃で容器本体から外れるのを抑制することができ、また、浄水を注ぐときや原水を給水するときにはリッド部材をスライドさせることで容易に開口部を開放させることができるという効果がある。
また、リッド部材が少なくとも2箇所以上の位置に位置決め可能であるので、リッド部材が不必要なときにスライドして移動するのを防止することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、リッド部材の開作動および閉作動時に、容器本体の浄水出口のみを開放する位置にリッド部材を位置決めすることができるので、原水が漏れることなく容易に浄水のみを注ぐことができるという効果がある。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、給水回数を計数する計数手段が設けられていることで、浄水フィルタの適正な交換サイクルを確認することができるため、不要な浄水フィルタの交換を抑制することができるという効果がある。
また、計数手段によってスライド自在に設けられたリッド部材の開閉を計数するため、従来の嵌め込み式の蓋の場合と比較して、不用意な開放によるカウントが低減され、計数結果の信頼性が向上するという効果がある。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、給水のための開作動と、給水後の閉作動との両方を検出した場合に1回の給水として計数するので、例えば、振動などの微小なスライドによって誤って計数されるのを抑制できるため、計数手段による計数結果の更なる信頼性の向上を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1において、符号1はこの発明の実施の形態におけるピッチャー型浄水器を示している。このピッチャー型浄水器1は、主に容器本体2とリッド(リッド部材)3と原水タンク(上容器)4とで構成されている。
【0015】
容器本体2は、底壁5、前壁6、左・右側壁7,7および後壁8とからなる有底の筒形状に形成されており、後壁8に取っ手9が一体的に形成され、また、取っ手9と反対側の前壁6には、注水口10が形成されている。そして、前壁6、左・右側壁7,7および後壁8のそれぞれの間の角部は曲面で形成されており、さらに、容器本体2の底壁5の底面には滑り止めとして図示しないリング状のゴムが取り付けられている。
【0016】
注水口10は、前壁6の上縁11の左右方向略中央部分が前方に向かって山形に突出して形成されたものであり、この注水口10が形成された前壁6では、上縁11から下方に向かうにつれて徐々にこの注水口10による突出量が減少して、横断面が略矩形状に形成された容器本体2の上下略中央部で収束するように形成されている。このように注水口10が形成されていることで、前壁6と原水タンク4(詳細は後述する)との間に容器本体2の下部に通じる通路が形成され、取っ手9を持ってピッチャー型浄水器1を注水口10側に傾けることで、容器本体2の下部に貯水されている浄水が通路を通じて外部の容器などに注がれることとなる。
【0017】
図2に示すように、容器本体2は、その左右側壁7,7の上縁が互いに平行に形成されており、この左右側壁7,7の上縁の外側には、この上縁に沿ってレールR,Rがそれぞれ形成されている。このレールR,Rは、上部から下部に向かうほど外側に突出して形成される断面略鈎状となっている(図3参照)。また、左右側壁の上縁の前後方向略中央部分には、すり鉢状の切り欠き7aが設けられており、この切り欠き7aが形成されていることによって、容器本体2の上部に着脱自在に収容された原水タンク4の取り外し時に、その上縁を容易に掴むことができるので、原水タンク4の取り外しを容易に行うことができる。
【0018】
原水タンク4は、その角部が曲面で形成された横断面略矩形の有底筒状に形成されており、その底壁12には容器本体2の下部に連通する孔(連通部)13が形成されている。そして、この孔13には、筒状の浄水カートリッジ(浄水フィルタ)14が原水タンク4の内側から着脱可能に設けられており、この浄水カートリッジ14が取り付け状態で底壁12から下方に突出するようになっている。ここで、浄水カートリッジ14は、その上部に原水タンク4内に連通する図示しない原水入口を備えるとともに、その下部に容器本体内と連通する図示しない浄水出口を備えており、原水入口と浄水出口との間の筒状の通路には、活性炭などの吸着剤や中空糸膜などのフィルタが設けられており、上記原水入口から流入した原水がその自重により浄水カートリッジ14内の通路を流過して浄水として浄水出口から下方に排出されるようになっている。
【0019】
原水タンク4の開口部15の周縁には、外側に向かって略直角に屈曲形成されたつば部16が設けられており、容器本体2の開口部17から原水タンク4を挿入すると、このつば部16が容器本体2の開口部17の周縁部分に引っかかり原水タンク4が容器本体2の上部に固定されるようになっている。
【0020】
また、原水タンク4の開口部15の周縁の前方側には、前述したつば部16に連なって前方に延出する隔壁18が形成されている。この隔壁18は、後述するリッド3のパッキン19(図3参照)と共に原水タンク4の内部と容器本体2の注水口10とを隔てるためのものであり、その上面はパッキン19によって押圧される平滑面となっている。
【0021】
そして、隔壁18の前縁20には、図4に示すように、原水タンク4が容器本体2に収容されている状態で、その左右両側から前壁6の上縁11に沿ってやや内側に入り込んだ位置まで形成された後に、上縁11から離間して後方に向かってすり鉢状に没する凹部21,21が形成されている。そして、これら凹部21,21に挟まれた前縁20の左右方向略中央位置には、上縁11の外形と略同一形状で前方に向かって突出する凸部22が形成されている。ここで、前壁6の上縁11と凸部22とは離間配置されており、この空間が注水口10の開口部23を構成している。
【0022】
一方、容器本体2には、その開口部17を開閉するリッド3が着脱自在に設けられ、このリッド3が上述したレールR,Rによって前後方向にスライド可能になっている。
【0023】
リッド3は、主板部30と、この主板部30の左側縁、右側縁および後側縁から下方に向かって突出形成されて容器本体2の左右側壁7,7と後壁(図1参照)との上縁を外側から囲う左・右側壁31,31(図示都合上、図中左側壁31のみを示す)および後壁(図示せず)と、主板部30の前部に連なって前方に延出形成されると共に上述した容器本体2の注水口10の外形に対応した前板部33とで構成されている。
【0024】
主板部30は、その中央部分に前方から後下方に向かって傾斜する傾斜面34を有しており、この傾斜面34の後部がその周縁35より没して凹部36を形成している。この凹部36は、いわゆる取っ手として機能するものであり、使用者はこの凹部36に指を引っ掛けて容易に開方向すなわち後方にリッド3をスライドさせることが可能となる。
【0025】
図3に示すように、主板部30の左・右側縁から下方に延びる左・右側壁31,31には、その下縁から内側に向かって突出した突条37が形成されている。そして、この突条37と左・右側壁31,31と主板部30とによって断面略コ字状の凹部38が構成され、この略コ字状の凹部38が溝として機能するようになっている。ここで、凹部38に上述したレールRとつば部16とを積層したものを挿入して、リッド3を容器本体2の後方からレールRに沿って前方にスライドさせて容器本体2に取り付けると、突条37がレールRの下部に引っかかり、リッド3の容器本体2から剥離する方向すなわち上方への移動が規制されることとなる。
【0026】
ここで、リッド3には、主板部30の左右側縁および後側縁に沿うとともに前板部33の周縁に形成された突条39(後述する)のやや内側の位置で当該突条39に沿うリング状に形成されたパッキン19が取り付けられており、上述した主板部30とつば部16との間にはこのパッキン19が挟み込まれるようになっている。そして、このパッキン19が主板部30とつば部16との間に挟み込まれることによってリッド3と原水タンクとの間のシールがなされるようになっている。なお、パッキン19を別体とした場合について説明したが、リッド3と一体成形して設けてもよい。
【0027】
図4に示すように、前板部33は、主に注水口10の開口部23を開閉するものであり、上述した主板部30に連なって前方に向かって延出形成され、その先端側の形状が前述した注水口10の形状すなわち開口部17の前部の形状に対応するように形成されている。また、前板部33の周縁には下方向かって突出する突条39が一体的に形成されている。
【0028】
また、主板部30の後側縁から下方に延びる後壁(図示略)は、リッド3を必要以上に前方にスライドさせようとした場合に、容器本体2の開口部17の後壁8の外面に突き当たるようになっており、この後壁によって、リッド3の最前方位置が位置決めされるようになっている。
【0029】
一方、容器本体2の開口部17周縁の前部は有段成型されており、この有段成形された段差部分B(図2参照)の縦面がレールRと直交して配置されている。すなわち、リッド3を閉方向すなわち前方にスライドさせたときに、このリッド3の左・右側壁31,31の前端が段差部分Bの縦面に突き当ってこれ以上前方にスライドできなくなり、上記したリッド3の後壁と同様に、リッド3の最前方位置が位置決めされることとなる。
【0030】
また、上述したリッド3は、スライド作動させることで上記以外の位置でも位置決めされるように構成されている。より具体的には、リッド3は、図1に示すように、まず開口部17が完全に閉塞された閉塞位置で位置決めされており、この位置から後方、すなわち開放する方向にスライドさせると、図5に示す浄水を注ぐ注水位置である、注水口10の開口部23のみが開放してリッド3の前板部33の前縁と隔壁18の凸部22の前縁とが互いに重なり合う位置で位置決めされる。
【0031】
ここで、上記注水位置における位置決めとは、リッド3をスライドさせると上記注水位置で節度感が得られるようになっていることを示している。この位置決めを行うための機構としては、節度感が得られればよく、例えば、リッド3に図示しない突起または穴を設け、一方、容器本体2にリッド3の突起または穴に対応する図示しない穴または突起を設け、上記した注水位置で突起とこの突起に対応した穴とが嵌合するように構成すればよい。また、上記突起を出没自在に設けて、弾性部材で突出方向に付勢するようにしてもよい。
【0032】
このように位置決めすることで、リッド3を閉塞状態からスライドさせて開作動させると、図5に示す注水位置でスライドさせる力が急激に増加して位置決めされ、より大きな力でスライドさせないとこれ以上開作動しなくなる。そして、より大きな力でリッド3をスライドさせてさらに開作動させると、増加していたスライドさせる力が増加する前と同等まで低下し、そのまま開方向にスライドさせると図4に示すようにリッド3が容器本体2から離脱することとなる。なお、リッド3の位置決めは注水位置や閉塞位置の2箇所に限るものではなく、例えば、図6に示すように、リッド3を容器本体2から取り外す途中の位置で位置決めするようにしてもよい。このように取り外す途中で位置決めするようにした場合には、注水位置から何らかの原因で勝手にスライドしてリッド3が脱落するのを防止することができる。
【0033】
ところで、上述した浄水カートリッジ14は、ろ過した原水の量が所定量に達したときに交換するのが無駄がなく好ましいが、原水の量を積算しようとすると部品構成が複雑となりコスト高となる。そこで、浄水カートリッジ14の交換時期は、一般に、浄水カートリッジの使用期間や原水を給水した回数に基づいて判断するようにしている。
そして、この発明の実施の形態のピッチャー型浄水器1では、リッド3内に当該リッド3の開閉回数を計数して浄水カートリッジ14の交換時期の目安を示すカウンタ40が内蔵されている。
【0034】
図1に示すように、このカウンタ40の上面には、回数を表示する表示部41と当該表示部41の計数結果のリセットなどの操作を行う操作スイッチ42が設けられており、これら表示部41と操作スイッチ42とがリッド3の主板部30の上面に露出して設けられている。一方、図4に示すように、原水タンク4の後壁43には、その上下方向に沿ってトンネル形状の収容部44が形成されている。この収容部44には、永久磁石(図示せず)が収容されており、この永久磁石を収容した状態で収容部44の上部開口部が蓋45によって閉塞されている。
【0035】
カウンタ40は、リッド3の下面側に永久磁石を検出するセンサ(図示せず)を備えており、このセンサの下方を永久磁石が横切ることで永久磁石が1回通過したことを検出するようになっている。より具体的には、図1に示すリッド3の閉塞位置および図5に示す注水位置からリッド3をスライドさせて開口部17を半分程度開放させたとき、すなわち原水タンク4への給水が十分に行える給水可能位置までリッド3が開放されたときに、永久磁石がセンサによって1回検出されるように構成されている。よって、リッド3を取り外して給水作業を行う方法および取り外さずに給水作業を行う方法のうちいずれの給水方法であってもリッド3が給水可能位置を通過さえすればセンサは永久磁石を検出することとなる。なお、上記給水可能位置は、開口部17を半分開放させた位置に限られるものではなく、リッド3が注水位置から十分に開放された適宜の位置に設定すればよい。
【0036】
一方、図4に示すリッド3を取り外した状態または図6に示す給水可能位置から図5に示す注水位置および図1の閉塞位置に戻した場合、リッド3を開放するときとは逆方向から永久磁石がセンサの下方を通過するため、カウンタ40は、この通過を1回の通過として検出するようになっている。
【0037】
つまり、原水タンク4内に給水する際、リッド3を当該給水に必要なだけ十分開放して給水作業を行い、給水作業が終了して注水位置または閉塞位置に戻すと、カウンタ40は合計2回の永久磁石の通過を検出することとなり、カウンタ40はこの2回の通過を検出したときに1回の給水が行われたと判定して1回の計数を行うように構成されている。ここで、上記浄水カートリッジ14には、予め交換する時期の目安として給水回数が定められており、上記ピッチャー型浄水器1の使用者は、カウンタ40で計数された回数がこの予め定められた回数に達したときに浄水カートリッジ14を交換することとなる。
【0038】
したがって、上述した実施の形態によれば、容器本体2に対してスライド自在にリッド3が設けられていることで、従来の嵌め込み式の蓋と比較してリッド3が衝撃によって剥離方向に外れ難くなり、さらに、浄水を注ぐ時や原水を給水する際にはリッド3をスライドさせて容易に開口部17を開放させることができる。
【0039】
また、リッド3が少なくとも2箇所以上の位置で位置決め可能であるので、リッド3が不必要なときにスライドして移動するのを防止することができる。
そして、リッド3の開作動および閉作動時に、容器本体2の注水口10のみを開放する位置にリッド3を位置決めすることができるので、原水タンク4の原水が外部に漏れることなく容器本体2内に貯水された浄水のみを容易に注ぐことができる。
【0040】
さらに、給水回数を計数するカウンタ40がリッド3に内蔵されていることで、浄水カートリッジ14の交換時期の目安を確認することができるため、浄水カートリッジ14の不要な交換を抑制することができる。
また、従来の蓋と比較して、スライド自在に設けられたリッド3によって衝撃など不用意に開放してカウントしてしまうのを低減することができるため、カウンタ40による計数結果の信頼性を向上させることができる。
【0041】
そして、リッド3の給水のための開作動と、給水後の閉作動との両方を検出した場合に1回の給水として計数するので、振動などによる少ない量のスライドによって誤って計数されることがなく、この結果、カウンタ40の計数結果の信頼性を向上することができ、より正確に浄水カートリッジ14の交換サイクルを認識することができる。
【0042】
尚、上述した実施の形態では、永久磁石を用いて磁気的にリッド3の開閉を検出して給水回数を計数するように構成したが、リッド3の開作動で1回、閉作動で1回の検出が行えればよく、例えば、機械的に計数するように構成してもよく、より具体的には、永久磁石を設けた位置に突起を設けてこの突起に対する2回の接触によって文字盤を回転させて計数可能に構成してもよい。また、直接的な接触によって検出されたものを電気的に処理して表示するようにしてもよい。
さらに、上述した永久磁石は、1箇所ではなく複数箇所に設けてもよい。また、永久磁石をリッド3に取り付けて、カウンタ40を容器本体2に設けるようにしてもよい。
そして、リッド3の最前方位置の位置決めは段差部分Bと後壁によってなされる旨説明したが、さらに、リッド3の閉塞位置で節度感を付与するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施の形態のピッチャー型浄水器の斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態のピッチャー型浄水器の分解斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態の図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】この発明の実施の形態のピッチャー型浄水器のリッドを外した状態の斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態のピッチャー型浄水器のリッドを注水位置に位置決めした場合の斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態の変形例におけるピッチャー型浄水器のリッドを取り外す途中で位置決めした場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
2 容器本体
3 リッド(リッド部材)
4 原水タンク(上容器)
13 孔(連通部)
14 浄水カートリッジ(浄水フィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、該容器本体の上部に着脱自在に取り付けられた上容器とを備え、前記上容器の一部に前記容器本体の下部に連通する連通部を設け、該連通部に浄水フィルタを着脱自在に取り付けたピッチャー型浄水器において、
前記容器本体の開口部に該開口部をスライド自在に開閉するリッド部材を設け、
該リッド部材がスライド方向に沿う2箇所以上の位置で位置決め可能であることを特徴とするピッチャー型浄水器。
【請求項2】
前記リッド部材は、少なくとも前記容器本体の浄水出口のみを開放する位置に位置決め可能であることを特徴とする請求項1に記載のピッチャー型浄水器。
【請求項3】
給水回数を計数する計数手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピッチャー型浄水器。
【請求項4】
前記計数手段は、少なくとも給水のための前記リッド部材の開作動と、給水後の前記リッド部材の閉作動とをそれぞれ検出し、前記開作動と前記閉作動との両方を検出した場合に1回の給水として計数することを特徴とする請求項3に記載のピッチャー型浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−126111(P2008−126111A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311725(P2006−311725)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(504346204)エムアールシー・ホームプロダクツ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】