説明

ピペットの試験方法

本発明は、一群のピペット用チップの試験方法であって、推奨基準チップを用いて試験すべきピペットの校正を行い、試験すべきチップを該ピペットに装着して2回目の校正を行い、そして基準チップを用いて該ピペットの再校正を行う、ことを包含する試験方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UKAS認定校正ピペットに対して使用するのと同じ、ISO 17025準拠方法を用いて一群のピペット用チップを試験する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現状では、ピペット用のチップを試験するための方法や試験業務は市場に存在しない。今日のチップ製造業者は、例えば、UKAS、FINAS、DANAK、NOKASやOFRACの認定を受けた校正機関で使用するような慎重に制御した条件下において、チップをピペットに装着してのバッチ試験を行っていない。
【0003】
ピペットの適合性試験とその校正に、大きな信用が置かれている。多くの場合、ピペット装置は、ピペット試験工程において最も重要な可変因子である2つの因子、即ち、試験者と使い捨てチップ、から孤立した状態で考慮されている。
【0004】
チップに関しては、UKASとISO 8655標準は、ピペットとチップを1つの装置として扱っている。ピペットの校正に際して得られる証明書には、結果を得るために使用したチップの種類について詳細な記載がある。この事実は、ピペットではなく使用したチップが試験の対象となるように、試験のこの部分を改変することが可能であることを意味する。
【0005】
本質的には、チップの精度、正確性及び性能に関する疑義は、大部分のピペット使用者が認識しているものではない。ピペットの使用者は、チップが合いさえすれば正しく働き、作業中に生じた不精度はピペット全体によって生じたものであると仮定する傾向にある。
【0006】
発明の概要
ピペットにはその製造社や種類に応じて、推奨チップが存在する。本発明の試験方法は、広範に渡る一般的なピペットと共に用いるいかなるチップにも使用することが可能なチップ適合試験を提供することができる。さらに、顧客のための特定の種類のピペットに用いる特定のチップに試験を適合させることも可能である。
【0007】
本発明は、一群のピペット用チップの試験方法であって、推奨基準チップを用いて試験すべきピペットの校正を行い、試験すべきチップを該ピペットに装着して2回目の校正を行い、そして基準チップを用いて該ピペットの再校正を行う、ことを包含する試験方法に関する。この方法は、UKAS認証校正器を使用して、UKAS認定校正機関において行う。基準ピペットは、好ましくは固定容量ピペットであるが、他のピペットでもかまわない。
【0008】
厳密なUKAS適合条件において、基準ピペットに、そのピペットに対する推奨「基準」チップを装着する。次に、UKASに準拠する条件に基づき、製造社の試験用規格に対してピペットの校正を行う。この時、10回の計測を行う。可変容量ピペットの場合は、この計測を3種の容量について行う。そして、平均容量、不精度および不正確性について詳述したUKAS証明書を作成する。
【0009】
同じ測定者によって、試験するチップを用いた同じピペットの再校正を直ちに実施する。この段階では、ピペットに対して調整は行わない。第2のUKAS証明書を、試験しているチップについて作成する。最後に、上述と同様に推奨基準チップを用いてピペットの再試験を行うが、この時もピペットの調整は行わない。そして第3のUKAS証明書を作成する。この工程は、第1の校正試験の後にピペットが校正値から外れていないことを確認するために行う。
【0010】
ISO 8655は分注間のチップ交換を定めているため、固定容量ピペットの試験には少なくとも11個のチップを使用し、容量可変ピペットの試験には少なくとも31個のチップを使用するが、チップは全て同じ番号のバッチに属するものとする。
【0011】
次に、上述した3つの正式なUKAS証明書から得られる情報をまとめる。3つの校正結果について、数値による比較、そして所望によりグラフによる比較を行う。こうすることで、「試験したチップ」が推奨チップと比べて、製造社の規格に対してどのような性能を示したのかを観察することが容易になる。
【0012】
試験後には、依頼人は3つのUKAS証明書と適合証明書の提示を受けるであろう。
【0013】
本発明の方法の有効性を決定するための試験を行った。予備試験で広範囲に渡るチップを試験することによって、チップ製造社間のばらつきが存在することが判明した。実施した試験によって、推奨チップは予想通りに機能するが、低価格の汎用チップには、実際にピペットが校正値から外れてしまうほどの大きなばらつきが頻繁に見られることが明らかになった。このばらつきは、劣った性能しか示さない低品質のチップによって生じたものであり、ピペットは基準に準じた性能を示していた。
【0014】
上述の方法は、チップの適合試験を行うための簡単な方法である。この方法は、試験によってその有効性が示されており、今まで得られなかったレベルの品質保証を最終使用者および製造社に提供する。本発明の方法によって提供する試験業務は、現場試験サービスまたは持込試験サービスとして提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一群のピペット用チップの試験方法であって、
推奨基準チップを用いて試験すべきピペットの校正を行い、
試験すべきチップを該ピペットに装着して2回目の校正を行い、そして
基準チップを用いて該ピペットの再校正を行う、
ことを包含する試験方法。
【請求項2】
ピペットの校正を行うための3つの工程のそれぞれの後に、平均容量、不精度および不正確性について詳述した証明書を作成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ピペットの校正操作に、好ましくは10回の計測が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
3つの証明書を互いに比較し、適合証明書を作成することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
証明書の比較を、数値およびグラフからなる群より選ばれる少なくとも1つの形態で示すことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該ピペットが容量可変ピペットである場合、各校正操作に、3種の容量のそれぞれに対する10回の計測が含まれることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
該ピペットが固定容量ピペットである場合は少なくとも11個のチップを使用し、該ピペットが容量可変ピペットである場合は少なくとも31個のチップを使用することを特徴とする、請求項3または6に記載の方法。

【公表番号】特表2010−500541(P2010−500541A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523313(P2009−523313)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050442
【国際公開番号】WO2008/017735
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509031501)
【氏名又は名称原語表記】BIOHIT OYJ
【Fターム(参考)】