説明

ピペット先端部登載デバイス、ピペット先端部、およびピペット駆動デバイス

本発明は、長軸(6)の軸方向に延びる接合要素(4)を有する、ピペット先端部登載用デバイスに関する。接合要素(4)は、自由端(8)であって、それから、ピペット先端部(10)が、軸方向に、接合要素(4)に移行が可能な自由端(8)をその特徴とする。さらに、接合要素(4)は、ガスケット(21)、少なくとも一つのガイド要素(25,26)、および保持要素(27)をその特徴とする。ガスケット(21)は、軸方向、結合要素(4)の自由端(8)に向かって暴露される密封セクション(23)であって、それに対し、ピペット先端部(10)の密封セクション(43)を軸方向に押しつけることが可能な密封セクション(23)を含む。ガイド要素(25,26)は、接合要素(4)の外側に置かれ、ピペット先端部の軸を揃える目的を果たす。さらに、保持要素(27)が、ピペット先端部(10)の保持用手段(47)と相互作用を持つように、接合要素(4)の外面に置かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定分量採取/投与技術分野に属し、ピペット先端部を登載し、位置決めするためのデバイス、およびピペット先端部に関する。
【背景技術】
【0002】
ピペット先端部は、少量の液体を分量採取するために、長軸にそって延びる中央貫通孔を有する、細長い、通常、円錐形のテーパ状スリーブである。ピペット先端部は、その拡大末端(接合末端)において、ピペット駆動デバイスの適切な登載部に滑走結合され、軸的に拡大末端と対向する、尖頂末端において、分量採取される媒体の中に浸漬される。通常、ピペット先端部は、一回のみ使用として意図される、すなわち、ピペット先端部は、一度使用されると廃棄される。
【0003】
ピペット駆動デバイスは、比較的少量の液体(例えば、マイクロリットル範囲)を分量採取しなければならない、広く全ての領域において、例えば、分子生物学において使用される。ピペット駆動デバイスは、手動のピペット駆動デバイスの形状を取ることも可能であるし、あるいは、単一のピペット駆動ユニット、あるいは、同時に、または別々に活性化される多数の個別ピペット駆動ユニットを備える、ピペット駆動機またはピペット駆動ロボットの形状を取ることも可能である。
【0004】
ピペット駆動デバイスの基本操作モードは、ある指定容量の流体が、例えば、シリンダーの中を移動させられるという事実に基づく。この場合、シリンダーは、その出力側において、ピペット先端部の貫通孔に気密に接続され、そのため、一定容量の流体の移動によって、対応する容量の、分量採取される媒体が、ピペット先端部の尖頂端から吸引される。正確な分量採取を確保するために、ピペット先端部は、ピペット駆動デバイスに、確実に緊密に接続されなければならない。このことは、個々のピペット先端部の確実な合致および正確な位置決めが人間の手でチェックすることができないピペット駆動機の場合はなおさら必要である。さらに、ピペット駆動装置の製造は、できるだけ維持が簡単で、コスト有効的なやり方で行わなければならない。
【0005】
ピペット先端部を受容するための保持装置を備えたピペット駆動デバイスがいくつか知られる。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4は、その接合末端の内壁に、一体に形成される辺縁密封ストリップであって、登載部の外周面に対して放射方向にピペット先端部を密封するストリップを有するピペット先端部を記載する。同時に、ピペット先端部の側方の位置決め方向性も、このようにして実現することが意図される。
【0006】
さらに、複雑に実体化される放射状シールが、特許文献5および特許文献6に記載される。これらの密封部は、ピペット先端部の内壁と一体に形成され、登載部の外周面に対して密着することが意図される、密封リップから成る。ではあるが、この密封リップを製造するための製造コストは比較的高い。さらに、密封リップを備えるピペット先端部の側方方向の合致は、十分に確保することができない。
【0007】
さらに、ピペット先端部を軸方向に、すなわち、z方向に決めるために、軸方向決め手段を設けることが可能である。これらの手段は、例えば、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、および特許文献13に記載される。
【0008】
前述のピペット先端部は全て、登載部の外周面の上に、辺縁シールを皺壁密着させることによって保持される。一方、特許文献14は、ピペット先端部貫通孔の内壁と一体に形成され、ロック式登載具が、登載部外周面を取り囲んだ後嵌合する、別々のロック式リブによる固定を開示する。
【0009】
剛性密封カラーを備える保持デバイスが、特許文献15に記載される。この密封カラーは、ピペット先端部の壁厚が、密封表面領域において十分薄いために、該密封カラー上を滑走する際若干拡張することが確保されるため、ピペット先端部の密封表面と放射方向に相互作用を持つ。
【0010】
特許文献16は、ピペット先端部を放射方向に密封するための、O−リング付きの保持デバイスを記載する。
【0011】
ピペット先端部と保持デバイスの間の放射方向密封部であって、保持デバイスが、ピペット先端部の密封部分に対応する円筒形密封部分を有し、ピペット先端部側の密封部分の領域の壁厚は、その構成において、隣接領域よりも薄く、したがってより屈曲性に富む、密封部が、特許文献17に記載される。これは、ピペット壁の内側および外側の壁厚を減らすことによって実現される。円筒形弾性密封部分を有するピペット先端部は、特許文献18にも記載される。
【0012】
特許文献19は、ピペット先端部を放射方向に密封するための、環状皺壁シールを有するピペット駆動デバイスを開示する。密封するためには、移動可能な皺壁スリーブが、環状皺壁シールに押しつけられ、このため、前記皺壁シールは、外側放射方向に、ピペット先端部貫通孔の内壁に形成される環状溝の中に押し込められる。環状にステップ状付着部を有し、ピペット先端部を軸方向、放射方向に位置決めするために働く接合スリーブは、軸方向、皺壁シールの上流、ピペット先端部の方向に配置される。特許文献19のピペット駆動デバイスの場合、ピペット先端部は、皺壁シールによって保持、密封される。ただし、前記皺壁シールは、その活性化のために可動要素を必要とする。このため、維持および実用コストがより高くなる。さらに、皺壁シールは、曲げ仕事を要するため、磨耗の増加を招き易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US 2002/094302
【特許文献2】US 4 679 446
【特許文献3】DE 197 08 151
【特許文献4】US 4 748 859
【特許文献5】US 2003/219359
【特許文献6】US 2004/011145
【特許文献7】US 6 168 761
【特許文献8】US 2003/082078
【特許文献9】CA 2 122 244
【特許文献10】US 6 248 295
【特許文献11】EP 148 333
【特許文献12】US 6 973 845
【特許文献13】US 4 824 641
【特許文献14】US 5 200 151
【特許文献15】US 2003/0000319
【特許文献16】EP 1 319 437
【特許文献17】EP 0 351 574
【特許文献18】WO 00/27530
【特許文献19】WO 00/62933
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、このような背景の下に、本発明は、従来技術に比べて、正確な分量採取を可能とし、磨耗、維持、および製造コストに関して改良される製品特性を有する、ピペット先端部を登載するためのデバイス、または、対応するピペット先端部を提供するという目的に基づく。したがって、本発明は、長軸方向に延びる長軸、および、自由端であって、それからピペット先端部が、軸方向に、接合要素の上を滑走することが可能とされる自由端を持つ接合要素を有する、ピペット先端部を登載するためのデバイスにおいて、該接合要素が:
−弾性材料から製造され、軸および放射方向に延びる密封部分を有し、該密封部分は、軸方向に、前記接合要素の自由端に向かって暴露され、かつ、それに対し前記ピペット先端部の密封部分を、少なくとも部分的に軸方向に押しつけることが可能な密封部分を有することを特徴とする、デバイスを提案する。
【0015】
本発明の一局面によれば、接合要素は、ピペット先端部を長軸に対し側方に配向(orienting)するために、その外側に、少なくとも一つのガイド要素をさらに配置させることが可能である。
【0016】
本発明のさらに別の一局面によれば、ピペット先端部の密封部分を、軸密封部分に押しつけ、ピペット先端部を軸方向に位置決めするために、保持要素を、ピペット先端部の保持手段と相互作用を持つように、接合要素の外側に配置することが可能である。
【0017】
本発明によれば、ピペット先端部は、軸方向に活動するシールによって、接合要素に対して密封される。このために、接合要素は、それに対しピペット先端部の密封部分を軸方向に押しつけることが可能な、弾性密封要素を有する。軸方向シールの利点は、放射方向シールよりもはるかに磨耗しにくいことである。放射方向シールは、十分に皺壁密着し、したがって十分なシールが実現されるまで、登載部の外周面の上を摩擦滑走しなければならないか、あるいは、前述の、WO 00/62933の皺壁シールの場合のように、相当の屈曲作業を受ける。一方、軸方向シールの場合、対応する密封部分は、単に、密封部に対して押しつけるだけでよい。したがって、本発明による登載部は、はるかに長い使用寿命を持ち、はるかに磨耗されにくい。この場合、密封要素は、接合要素の材料よりも高い弾性を持ち、より優れた弾性変形性を示す材料から成る。この密封要素は、軸方向密封部分、すなわち、軸方向から接近が可能な部分、例えば、ピペット先端部の密封部分を軸方向に押しつけることが可能な端面を有する。
【0018】
さらに、密封部、および登載または連結部が、空間的にも機能的にも互いに分離される点が有利である。すなわち、密封要素および保持要素は、別要素として実体化される。密封要素は、ピペット先端部を、接合要素の上に密封する。さらに、密封要素は、軸密封作用のために、軸方向位置決め手段としても働く。にも拘わらず、ピペット先端部は、このシールによって保持も、連結もされない。この機能は、ピペット先端部上の関連保持手段と相互作用を持ち、前記ピペット先端部が、軸方向にぶれることが無いように確保する、保持要素によって実行される。この場合、ピペット先端部の密封部分は、密封要素の軸密封部分に対して押しつけられると同時に、一方では、所望の密封作用が実現され、他方では、ピペット先端部の軸方向位置が、保持要素および密封要素によって決められる。この保持要素は、接合要素およびピペット先端部の間の、分離可能な接続を可能とする。
【0019】
最後に、有利なことに、接合要素上のピペット先端部の側方、または放射方向の位置決めは、登載部側のガイド要素と、ピペット先端部内壁の、通常円筒形表面の、対応ガイド要素との相互作用によって確保される。
【0020】
密封機能、および登載機能さらに側方ガイドの分離は、特に、ピペット駆動機の場合有利である。なぜなら、このようにすると、軸方向密封部と保持要素との相互作用によって、軸方向の位置決め(z位置)を正確に定めることが可能となるからである。一方、放射方向皺壁シールの場合、指定の軸方向位置決めが阻まれることが考えられる。さらに、本発明による登載デバイスは、低摩耗シールを有し、ピペット先端部の正確な位置決め、さらに、その確実な登載を可能とする。
【0021】
本発明はさらに、登載部に設置するためのピペット先端部であって:
−長軸の周囲に延びる側面;および
−該ピペット先端部の第1軸末端の近傍にあって、滑走装着方向に配置される接合部分を有し、該接合部分が、少なくともいくつかの部分において、滑走装着方向と反対向きに円錐状に先細りし、かつ、長軸に関して円筒形のガイド面と一体化される、内壁を有する少なくとも一部分を有することを特徴とする、ピペット先端部に関する。
【0022】
この一体化される、円筒形ガイド面は、長軸に平行に長軸方向に延びることが好ましい。これによって、ピペット先端部のガイド面が、登載部のガイド要素と相互作用を持つ際、ピペット先端部は、その軸位置とは無関係に、指定の放射方向位置を取ることが可能とされる。したがって、ピペット先端部は、該ピペット先端部と登載部との、相互の相対的軸運動がガイド面によって妨げられることなく、登載部の上を滑走することが可能となる。したがって、ガイド面は、ピペット先端部の軸方向位置には影響を及ぼさず、単にピペット先端部の放射方向の位置決めを行う、すなわち、軸および放射方向の位置決めは別々である。
【0023】
内壁は、長軸に対して長軸方向に、通常、0.2°以上、好ましくは0.5°と3°の間、特に0.5°と1°の間の角度を持つ。この角度はさらに、約0.2°と1°の間、例えば、約0.3°となることも可能である。このように比較的小さい角度であるために、内壁は、中空断面のテーパー度が比較的低い場合には、射出成形用金型から製造済みピペット先端部をより簡単に取り出すための、金型離脱用面取りとして成形されることになる。
【0024】
接合部分はさらに、第1部分、および、押し込み方向において第1部分から軸方向に外れて配置される第2部分であって、第1部分の方が、第2部分よりも小さい放射方向延長部を有する、二つの部分を持つことが可能である。さらに、接合部分は、第1および第2部分の間の密封部分であって、登載部の密封要素と相互作用を持つように、軸にそって押し込み方向に向く密封面を有する密封部分を持つことが可能である。さらに、接合部分は、登載部の保持要素と相互作用を持つように、第2部分の内壁に配置される保持手段を持つことが可能である。この円筒形ガイド面は、第1部分、第2部分、または両部分に配置することが可能である。
【0025】
保持手段は、第2部分の内壁に形成されるアンダーカットであることが可能である。通常、ピペット先端部は、射出成形部分であるが、第1および第2部分の内壁は、長軸に平行に延びている、すなわち、金型離脱面取りを持たない。さらに、接合部分、特に、ピペット先端部の第2部分は、接合部分、または第2部分の領域で、他の領域に対しより屈曲性に富むように実体化され、第1軸末端の方に配置される領域を含むことが可能である。この屈曲性領域は、登載部に対するピペット先端部の設置、および、登載部からのピペット先端の離脱をやり易くする。この屈曲性を向上させ、かつ、目的に適うように調整するために、接合部分か、または接合部分の第2部分において延びる切痕を設け、前記切痕に、接合部分または第2部分の残余領域を構成する材料よりも弾性の高い第2材料を充填することも可能である。この場合、接合部分は、いくつかの異なる材料から成る。
【0026】
密封部分は、第1および第2部分の間のショルダーおよびヒールによって形成することが可能である。
【0027】
さらに別の局面によれば、長軸方向に延びる長軸、および、ピペット先端部が軸方向に、それから接合要素の上を滑走することが可能とされる自由端を持つ接合要素を有する、ピペット先端部を登載するためのデバイスにおいて、該接合要素がその外側に:
−互いに軸方向に離れて設けられる二つのガイド要素、および、
−ピペット先端部を軸方向に位置決めするために、ピペット先端部の保持手段と相互作用を持つ、ガイド要素とは別の保持手段を有することを特徴とする、デバイスが提案される。
【0028】
保持要素は、接合要素の外側に適切に登載される屈曲性要素、または、外側に一体に形成される、または、外側に別に連結される、剛性または弾性要素、例えば、円周側面に部分的に、または環状に分布される、一つ以上の放射状突起であることが可能である。
【0029】
さらに別の局面では、接合要素を有するピペット駆動デバイス、および、該接合要素に対し脱離可能に連結することが可能で、密封部分を有するピペット先端部であって、接合要素が、長軸方向に延びる長軸、および、ピペット先端部が軸方向に、それから接合要素の上を滑走することが可能とされる自由端を持つことを特徴とする、ピペット駆動デバイスおよびピペット先端部が提案される。接合要素はさらに、弾性材料から製造され、軸方向および放射方向に延びる密封部分であって、軸方向、接合部分の自由端に向かって暴露される密封部分を持つ、密封要素を有する。一方、ピペット先端部の密封部分は、接合要素の長軸に対し、好ましくは接合要素の方向を向く軸面として構成され、例えば、ショルダーによって形成することが可能である。接合状態では、接合要素の密封部分の少なくとも一部は、ピペット先端部の密封部分の少なくとも一部に対し軸方向に押しつけられていなければならない。ピペット駆動デバイスの接合要素はさらに、例えば、密封要素の特性および材料、ガイド要素の数、構成、および配置、または、保持要素の数、構成、および配置に関して、これまでに述べた、別の接合要素の特性を、個別に、または組み合わせて有することが可能である。
【0030】
さらに別の局面では、接合要素を有するピペット駆動デバイス、および、該接合要素に対し脱離可能に連結することが可能なピペット先端部において、接合要素が、該ピペット先端部を側方に位置決めするために、その外側に少なくとも一つのガイド要素を配置させ、かつ、好ましくは、ピペット先端部の有するガイド面と同数のガイド要素を含むことを特徴とする、駆動デバイスおよびピペット先端部が提案される。この場合、一つの、または複数のガイド要素は、互いに独立に、好ましくは、一つの部品として、または複数の部分として実体化することが可能である。ピペット先端部は、長軸、および、登載部の上に滑走するための、長軸方向に延びる接合部を有する。接合部はさらに、少なくともいくつかの部分において、滑走方向と反対向きに円錐状に先細りする内壁であって、長軸に関して円筒形のガイド面が、少なくとも一つの接合側ガイド要素と相互作用を持つように一体化される内壁を有する少なくとも一部分を有する。接合部における、一つの、または複数のガイド要素は、各ガイド要素が、それぞれ、ピペット先端部の円筒ガイド面に対応して、該部分面と相互作用を持つ円筒側面から成る少なくとも部分面を有するように構成される。ピペット先端部はさらに、前述の別々のピペット先端部の特性、例えば、内壁、特異的部分、または保持要素の特性、材料、構成、および配置に関する特性を、個別に、または組み合わせて有することも可能である。さらに、この場合、ピペット駆動デバイスの接合要素は、前述の別々の接合要素の特性、例えば、ガイド要素の数、構成、および配置に関する特性を、個別に、または組み合わせて有することも可能である。さらに、接合要素は、前述の特性、構成、さらには適切材料を有する密封要素、および、数、構成、および配置に関してこれまでに述べた、一つ以上の保持要素を含むことが可能である。
【0031】
接合要素はさらに、ピペット先端部の、少なくとも一つの保持手段と相互作用を持つように、その外側に、少なくとも一つの保持要素を配置させることが可能である。この場合、前記少なくとも一つの保持要素は、前記少なくとも一つの保持手段に対し剛性として実体化することが可能である。それとは別に、前記少なくとも一つの保持要素はさらに、前記少なくとも一つの保持手段に対し屈曲性に実体化することも可能である。
【0032】
本発明を、以下に、図示される例示の実施態様に基づいて説明し、さらに別の利点および改良点を明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、実施例1による、接合要素を備える登載部およびピペット先端部の断面図である。
【図2】図2は、実施例1による、接合要素を備える登載部、および滑走装着されるピペット先端部の断面図である。
【図3】図3は、実施例2による、接合要素を備える登載部、および滑走装着されるピペット先端部の断面図である。
【図4】図4は、X−状密封要素を有する接合要素の詳細を示す。
【図5】図5は、実施例3による、接合要素を備える登載部の断面図である。
【図6】図6は、例示の第3実施例による接合要素の第1詳細を示す。
【図7】図7は、例示の第3実施例による接合要素の第2詳細を示す。
【図8】図8は、ピペット先端部の例示の第1実施例の接合部分を示す。
【図9】図9は、ピペット先端部の、例示の第2実施例を示す。
【図10】図10は、滑走装着ピペット先端部と合体した、さらに別の接合要素の三次元図である。
【図11】図11は、接合要素またはピペット先端部の、個々のガイド要素またはガイド面の、ガイド幅di、外径Di、および幅li間の幾何学的比を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ピペット駆動デバイスまたはピペット駆動機の上にピペット先端部を確実に連結し、保持するために、特異的登載部が使用される。本発明による登載部は、この目的のために、接合要素を有し、接合要素は、特に円筒形の基本要素を有し、かつ、登載部の自由端に向かって軸方向に暴露され、かつ、少なくとも部分的に放射方向に延びる密封部分を有する、弾性密封部分を含む。ピペット先端部の対応密封部分は、この密封部分に向かって軸方向に滑走させることが可能である。この場合、密封作用は、密封要素に対する軸方向の押圧によって実現される。通常、密封要素は、フルオロエラストマーから成り、例えば、O−リング、またはそうでなければ、X−リングとして実体化される。この場合、OおよびXは、リング材料の断面を表す。他の断面、例えば、中空断面、またはV形断面も可能である。それぞれの断面の選択は、断面において材料弾性を与えるように意図される、すなわち、密封要素の断面は、特に、接合要素の長軸方向において弾性的に変形可能であり、そのため、きわめて優れた軸方向密封作用が可能となる。
【0035】
接合要素はさらに、側方に−登載部の長軸に関して、ピペット先端部の位置および方向を決めるために、少なくとも一つのガイド要素を有する。特に、ガイド要素は、接合要素を放射方向に、好ましくは部分要素から成ることが可能な、放射方向に一定の延長分を持って、取り巻くように実体化することが可能である。この場合、ガイド要素は、接合要素の外側隣接部分を放射方向に上回って突出することも可能である。したがって、ガイド要素は、接合要素の隣接部分よりも、放射方向により大きな延長部を有する。これによって、接合要素とピペット先端部との、放射方向の接触が、事実上、ガイド要素のみによって確定され、そのため、ピペット先端部の側方または放射方向の位置決めが、ガイド要素によって実行されることが確保される。通常、ガイド要素は、ピペット先端部の内壁に対して定着するが、一方、この内壁の方も、対応するガイド要素またはガイド面を有することが可能である。このガイド要素は、環状であることが可能である。登載部側ガイド要素は、特に、結合要素の長軸に関して円筒形である、ガイド面、または部分面の形状を取る。このため、ピペット先端部の側方ガイドおよび方向性は、円錐形表面とは違って、軸方向位置決め手段から独立する。
【0036】
本発明による登載部の一実施態様では、接合要素は、その外側に互いに軸方向に隔てられる二つのガイド要素を持つことが可能である。これによってさらに、ピペット先端部の、側方または放射方向の方向または位置決めの向上が実現される。さらに、接合要素およびピペット先端部の同軸方向性の向上も実現される、すなわち、登載部におけるピペット先端部の傾斜または斜向保持が阻止される。これは、特に、同時に活性化される、例えば、マトリックス形状に配置される、多数のピペット先端部を備えるピペット駆動機の場合有利である。
【0037】
両ガイド要素が、放射方向の最大延長分と、少なくとも同じ大きさの軸方向間隔を有すると有利である。この、「ガイド要素の軸方向間隔」という用語は、この場合、互いにもっとも遠く隔たって位置する接触領域または接触端間の距離を指す。例えば、ガイド要素は、接合要素の周囲に放射方向に延び、異なる放射方向延長分、または異なる外径を有するガイドリングを定めることが可能である。この場合、軸方向間隔は、ガイド面の、それぞれの外縁または輪郭によって、すなわち、軸方向に互いにもっとも遠く隔てられる外縁によって定められる。この場合、リングは、任意に、連続的に周回するリングとして、またはそうでなければ、不連続リングとして実体化することも可能である。さらに、一方のリングを連続的周回リングとして、他方のリングを断続的リングとして実体化することも可能である。
【0038】
ガイド要素、または、一つ、または複数のガイドリングは、ガイド面を定める、ある軸方向延長部を持つことが可能である。このガイド面の軸幅は、一つの、または複数のガイド要素の軸延長部の軸幅と事実上一致する。同様に、ガイド要素、または、一つまたは複数のガイドリングの軸方向延長部を減らしてゆき、最終的に、ガイド要素とピペット先端部の間に、一つ以上の、事実上直線的接触が残るようにすることが可能である。例えば、複数の、環状配置ガイド要素が使用されるとすると、対応する形状では、それぞれの場合において、ピペット先端部との、一つ以上の、点対点接触を確定させることが可能である。
【0039】
通常、接合要素は、異なる放射方向延長部すなわち外径を有する、二つのガイド要素を有する。この二つのガイド要素の、それぞれからの軸方向間隔は、この二つの外径の大きい方と、少なくとも同じ大きさである。
【0040】
本発明の、さらに別の実施態様では、接合要素は、該接合要素の自由端近傍、または自由端そのものに配置される第1部分、および、第1位置に対し、軸方向において、押し込み方向にずれて配置される第2部分を有する。通常、これらの部分は、事実上円筒形である。各部分はガイド要素を持ち、特に、自由端に直面する第1部分は、第2部分よりも、好ましくは各点においてより小さい放射方向延長部を有する。このために、二つの部分の間には、その上に密封要素を配置することが可能なステップが定められる。したがって、密封要素は、好ましくは第1および第2部分の間に置かれ、放射方向に、通常第1部分および同部分に配置されるガイド要素を超えて突出し、そのため、密封要素の一部は、接合要素の自由端から、軸方向に自由に接近可能とされる。
【0041】
軸方向に向く、放射方向辺縁性密封面によって形成される、ピペット先端部の内方階段状ヒールは、例えば、密封要素に対して押しつけることが可能である。
【0042】
接合要素はさらに、該接合要素の外側に配置され、ピペット先端部の、対応する保持手段と相互作用を持ち、脱離可能にピペット先端部を固定する、少なくとも一つの保持要素を有する。この場合、この保持要素は、特に軸方向固定を実現するが、そのため同時に、ピペット先端部の密封部分は、接合要素の軸方向密封部分にたいして軸方向に押しつけられる。さらに、一方では、密封要素と密封手段との相互作用、他方では、保持要素と保持手段との相互作用によって、ピペット先端部の、確実で、正確に指定の軸方向位置決めが実現される。保持要素は、屈曲性または剛性に実体化することが可能である。
【0043】
保持要素は、屈曲性緊張要素、例えば、接合要素の外側に置かれる辺縁陥凹の中に配置される辺縁バネ要素であることが可能である。辺縁保持要素は、僅かな力を与えるだけで、ピペット先端部をその上に滑走させること、または、それから離脱させることを可能とする。さらに、屈曲性保持要素は、比較的磨耗しにくく、かつ、比較的欠陥寛容性が高い。なぜなら、それらの屈曲性のために、例えば、ピペット先端部の製造欠陥を部分的に補償することが可能となるからである。
【0044】
それとは別に、保持要素はさらに、剛性として実体化され、例えば、放射状突起、例えば、接合要素の周囲に好ましくは環状に分布される、剛性カムまたはノブを有することが可能である。非環状分布体、または連続的リングも、剛性保持要素として好適である。剛性保持要素は、ピペット先端部中心をより正確に位置決めする点で、屈曲性保持要素よりも有利である。
【0045】
保持要素の特定の構成の如何によらず、前記保持要素は、ピペット先端部の周辺において放射方向に設けられるアンダーカット、通常、ピペット先端部の貫通孔の内壁に配置されるアンダーカットと嵌合することが可能である。
【0046】
本発明のさらに別の実施態様では、保持要素は、押し込み方向から見てみると、一つ、または複数のガイド要素の後ろに配置される。これによって、密封要素は、接合要素の自由端に向かう方向において、保持要素の前に配置されることになり、したがって、保持要素は、分量採取される媒体によって誤って汚染されることから確実に守られる。
【実施例1】
【0047】
ここで、図1を参照しながら、実施例1を説明する。保持デバイスは、長軸6および軸方向に配置される貫通孔5を有する、軸的に対称な、通常事実上円筒形の接合要素4を含む。接合要素は、先導自由端8を持つ。ピペット先端部10は、自由端8から接合要素4の上を滑走することが可能である。通常、ピペット先端部10は、軸的に対称的な形状を持ち、その後端(接合末端、または第1軸末端)12の近傍に、接合要素4の上を滑走する接合部14を有する。ピペット先端部は、その接合部14から、その先導尖頂末端(図には示さず)に向かって円錐状に先細りし、この尖頂末端において、分量採取される媒体を吸引するための吸引口を有する。
【0048】
ピペット先端部は、通常、一回のみ使用のために意図され、射出成形部品として実体化される。加工が容易で、ピペット先端部用に好適な材料は、ポリプロピレンであり、このものは、液状において、かつ、任意に添加剤(例えば、染料)および/または充填剤と混ぜ合わせて、適切な射出成形金型に注入することが可能である。一旦このプロピレンが固化したならば、完成したピペット先端部は、射出成形金型から排除され、要すれば、ゲートが取り除かれる。
【0049】
接合要素4は、通常、一金属片として形成され、その自由端8において第1部分20を持つ。接合要素4の第2部分22は、第1部分20に対し、滑走装着方向2において軸方向にずれて配置される。第1部分20は、第2部分22よりも、好ましくは各点においてより小さい放射方向延長部を有し、そのため、滑走装着方向2において後方部分となる第2部分22は、放射方向に、第1部分20を超えて突出する。辺縁円筒形ガイド面の形状を持つ、それぞれのガイド要素25,26が、各部分の外側に配置される。長軸6に対して平行に長軸方向に延びるガイド要素25,26は、それぞれの部分20,22の隣接領域よりも、大きな放射方向延長部を有し、該隣接領域を超えて放射方向に延びる。これは、ピペット先端部10が、放射方向において、ガイド面とだけ接触し、ガイド面と、接合部14の内壁との相互作用の結果、接合要素4に対し、ピペット先端部10の放射方向の方向または位置決めが定められることを確保することを意図するものである。同時に、軸方向に互いにずれて配置される二つのガイド要素25および26はさらに、ピペット先端部の斜向設置、または、接合要素4に対する、その傾きを阻止する。この二つのガイド要素25,26は、二つのガイド要素の大きい方、すなわち、この場合、第2ガイド要素26の直径D(放射方向延長部)と、少なくとも同じ大きさの軸方向間隔dを有することが好ましい。これによってさらに、接合要素4におけるピペット先端部10の同軸方向性の向上も実現される。この場合、間隔dは、ガイド要素25,26の、それぞれの外縁28,29の間隔によって定められる。これらの外縁は、ガイド要素25,26とピペット先端部間の接触部の軸端領域を形成する。
【0050】
接合要素が、第1ガイド要素25だけしか持っていない場合(図10参照)、保持要素27が、第1ガイド要素25との相互作用によって、ピペット先端部の側方の方向性を決める機能を果たす。この場合、保持要素27とガイド要素25の間の距離d1は、図3に示すように、前と同様、保持要素27の直径D1よりも大とされる(さらに、図11も参照)。
【0051】
接合要素の第1および第2部分20、22と同様、ピペット先端部10の接合部分14も、第1部分40および第2部分42を有し、第1部分40は、第2部分42よりも小さな、放射方向延長部(直径)を持つ。このため、第1および第2部分40、42の間には、密封面43として動作する、ステップまたはショルダー43が形成される。
【0052】
図示の例示の実施例では、第1および第2ガイド要素25および26は、事実上同様な形状を取る。ではあるが、これらのガイド要素のそれぞれに異なる形状を与えることも可能である。この例示の実施例では、ガイド要素25,26は、辺縁に実体化され、それぞれの接合要素側部20,22の、該要素を取り巻く外郭の上に突出して、一体的に形成されるリング形状を取る。このリングは、辺縁ガイド面を持ち、その断面は台形状である。
【0053】
第1および第2部分20、22の間には、陥凹またはアンダーカット34が延びる。このアンダーカットは、接合要素4の外側を放射方向に周回し、その中には、同様に放射方向に周回する密封要素21が納まる。密封要素は、弾性材料から製造されるリング状密封部分であると好都合である。特に、フルオロエラストマーが、好適な材料であることが判明している。なぜなら、それらは、高い弾性、長い使用寿命、高い化学的耐性、および低い磨耗性を有するからである。この例示の実施例では、密封要素は、断面が四方形の固体リングとして実体化される。ではあるが、円形(O−リング)、またはX−形状の断面を有するリング状密封部分を使用することも可能である。例えば、X−形状断面を有するリング状密封部分は、個別の密封リップのために、O−密封部分よりも弾性が高く、したがって、接合要素に対するピペット先端部のシールをさらに向上させる。X−状断面を有する密封要素21′が、例示として、図4に示される。密封要素21′は、四つの密封リップを持つが、放射方向外方、自由端12の方を指す密封リップ23′は、軸方向密封部分23となり、これに対し、ピペット先端部の対応密封部分が押しつけられる。
【0054】
図1に示す密封要素21は、第2部分と事実上同じ放射方向延長部を持ち、そのため、第1部分20を超えて放射方向に突出する。したがって、密封部分23は、事実上軸方向に、接合要素4の開放端8の方向に暴露される。密封部分23は、軸密封面として働き、ピペット先端部10の、辺縁に実体化される内部ショルダー43に対し、軸方向に押しつけられる。ピペット先端部10が、接合要素4の上に完全に設置されるところを示す、図2に関連して見られるように、密封要素21の軸方向密封部分23は、ピペット先端部の内壁と、特にショルダー43と直接接触する。そのため、軸方向の密封、および同時にz方向の方向決めが同時に実現される。z方向の方向決めはさらに、後述されるように、保持要素によっても決められる。
【0055】
密封要素21は、ピペット先端部の第2部分42の内径よりもやや小さい外径を持つ。このため、ピペット先端部の内径は、滑走装着の際、密封要素21に対し擦られながらガイドされることは、確実にない。そのため、該内径に課せられる負荷は、十分な密封作用を実現するために、従来型の円錐形テーパー表面に対し擦られながら滑走していかなければならない放射状密封部分よりも、はるかに少ない。したがって、本発明による軸方向密封要素21の維持コストも、相当に低くなる。
【0056】
接合要素4とピペット先端部10の間の、放射方向の接触は、接合要素側面ガイド要素25および26、および、ピペット先端部10の接合部分14の第1および第2ガイド面45および46によって定められる。もっとも単純な場合、ピペット先端部側部ガイド面45,46を、ピペット先端部10の、それぞれの部分40,42の内壁に形成することが可能である。ではあるが、ピペット先端部の内壁と一体の、隆起ガイド面を形成することも可能である。ピペット先端部側部接合部分14の各部分は、円周を連続的に周回するか、または、円周上に分布する部分セグメントから成るガイド面45,46を有し、前記ガイド面の直径は、それぞれ関連する第1および第2ガイド要素25,26の外径に一致し、そのため、ピペット先端部10の、形状適合性方向決定が実現される。
【0057】
できるだけ正確な方向決めを可能とするには、対応するガイド面45,46は、金型離脱傾斜角をまったく持たない。射出成形部品に対しては、該部品をより容易に射出成形金型より離脱させることを可能とするため、金型離脱傾斜角を設けると好都合である。金型離脱傾斜角を持たないために、ピペット先端部側部ガイド面は、軸6に対して平行に軸方向に延びる。このため、ピペット先端部の放射方向または側方における方向性は、ピペット先端部が、どのぐらい奥まで接合要素の上を滑走したかに依存しない。円錐形テーパー状ガイド面の場合、前記ガイド面は、ピペット先端部が接合要素の上を滑走する際、接合要素に対し次第に緊く押しつけられるので、軸方向移動に対して抵抗すると考えられる。したがって、円錐形ガイド面は、軸方向性に影響を及ぼし、必要な押し込み力を増加させる。環状バネ27を受容するための環状溝30は、滑走装着方向において第2ガイド要素26の後ろに形成される。この環状バネ27は、保持要素として働き、ピペット先端部の第2部分42の内側のアンダーカット47と嵌合する。ピペット先端部の設置の際、前記ピペット先端部は、後端12を前にして、第2ガイド要素26および環状バネ27の上を滑走させられ、滑走は、環状バネ27が、アンダーカット47の中にパチンと納まるまで続けられる。これによって、ピペット先端部は、軸方向に位置決めされ、接合要素に固定される。環状バネ27およびアンダーカット47は、脱離可能な接続であるが、同時に、ショルダー43を軸密封部分23に対し軸方向に押しつけ、接合要素に対しピペット先端部を密封するのに十分なほど安定な接続を定める。
【0058】
接合要素の幾何学的形状にしたがって、ピペット先端部のガイド面45および46は、設置されると、接合要素側部ガイド要素と相互作用を持ち、通常、第2ガイド面46の内径よりも大きな距離において互いに隔てられる。同様に、第2ガイド要素26が接合要素に配置されない場合は、第1ガイド面45およびアンダーカット(保持手段)47の間の距離は、アンダーカット47の陥凹の内径よりも大きい。通常、保持要素27は、滑走装着方向2において第2ガイド要素26の後ろに配置されるので、この関係は、二つのガイド要素25,26、またはガイド面45,46が使用される場合も適用される。第1ガイド要素25は、密封部分23に近接して配置することが可能である。したがって、ガイド面45は、ショルダー43に近接して実体化することが可能である。この場合、アンダーカット47から、特に、アンダーカット47の中心からショルダー43までの距離も、通常、アンダーカット47の内径よりも大きい。
【実施例2】
【0059】
この状況は図11に示される。同図は、例示の一実施例による接合要素4およびピペット先端部10を示す。この例示の実施例では、接合要素4は、滑走装着方向2において接合要素21の前、すなわち、接合要素4の第1部分20に配置される表面として、第1ガイド要素25を有する。接合要素4の第2部分22における保持要素27は、滑走装着方向2において密封要素21の後ろに配置される。この例では、第2ガイド要素は設けられていない。ピペット先端部10は、接合要素4のガイド要素25に対応し、滑走装着方向2においてショルダー43の密封部分の前、すなわち、ピペット先端部10の第1部分40に配置される、ガイド面45を有する。この例では、ピペット先端部10の内面は、やや円錐形に延びるところが示され、ガイド面45は、ピペット先端部10の壁に一体化される円筒面として実体化される。これは、図8に関連してさらに詳細に後述される。アンダーカットの形状を取る保持手段47は、ピペット先端部10の第2部分42において、密封部分43から離れて配置される。
【0060】
接合要素4において、保持手段27および保持要素25は、互いに距離d1だけ隔てられるが、この距離はまたガイド幅とも呼ばれる。ガイド幅d1は、それぞれの要素の中心から求められる。保持手段27および保持要素25の軸延長(個々のガイド面の幅)は、それぞれ、l1およびl2と表示される。保持手段27の外径は、この場合、D1によって指定される。確実な登載および方向決めを可能とするためには、関係式d1≧D1が満たされなければならない。それにしたがって、ピペット先端部10のアンダーカット47は、最大直径D2を有する。ガイド面45は、アンダーカット47から、距離d2(ガイド幅)だけ隔てられる(いずれの場合も、前記ガイド面の中心に基づく)。アンダーカット47およびガイド面45の軸延長は、それぞれ、l3およびl4によって指定され、l4は、通常、l2よりも大きく、そのため、円筒形ガイド面45と、円錐形内壁(図8のヒール74を参照)は、接合要素4の保持要素25とは接触せず、ピペット先端部10の接合要素4に対する滑走を妨げる。通常、下記が適用される:D1=D2およびd1=d2であり、そのため、関係式d2≧D2も同様に満足される。したがって、ガイド幅d1およびd2、軸延長l1、l2、l3、およびl4、およびさらに直径D1およびD2も互いに上記にしたがって適応し、それぞれの要素がその目的(ガイド面45およびガイド要素25は、側方方向決めのため;本例示の実施例では、保持要素27およびアンダーカット47は、側方方向および固定のため)を達成することを可能とする。この実施例では、固定はさらに、僅かな把捉と組み合わせることが可能である。
【0061】
前述の幾何学的関係によって、第1および第2ガイド面25,26が、ピペット先端部側部ガイド面45,46と相互作用を持とうが持つまいが、あるいは、第1ガイド要素25および保持要素27が、共に、ピペット先端部側部第1ガイド面45およびアンダーカット47と相互作用を持とうが持つまいが(追加の第2ガイド要素26なしで)、接合要素に対するピペット先端部の傾斜は十分確実に回避される。
【0062】
十分な密封作用を実現するために、アンダーカット47とショルダー43の間の距離は、ショルダー43が、密封部分23に押しつけられ、十分な密封作用を実現することが可能となるように該距離が実体化されるように、できるだけ精密に厳守しなければならない。ではあるが、密封要素21の弾性は、ある程度の許容度を可能とし、同じ材料について、X−状密封要素は、例えば、O−リングよりもやや高い許容度を可能とする。ショルダー43とアンダーカット間の距離は、例えば、8から9mmであることが可能である。ピペット先端部側部第2部分42の内径は、ほぼ6mmと7.5mmの間にあることが可能であり、ピペット先端側部40の内径は、ほぼ5mmと6mmの間にあることが可能である。
【0063】
ピペット先端の進入の際、ピペット先端部の後端12の、可逆的微小変化が起こり得る。なぜなら、後端は、それが環状リング27を通過する際、僅かに引き延ばされるからである。したがって、ピペット先端部は、その後端において、ある程度まで弾性を持つように実体化されなければならない。この弾性は、材料厚を適切に選択することによって調節することが可能である。ではあるが、環状バネ27を、ピペット先端部の設置の際は、頭を下げ、アンダーカット47が通過する際は、その中に貫入することができるほど十分な屈曲性を持つように実体化することも可能である。
【0064】
環状溝30は、本例示の実施例では、傾斜内壁31が、接合要素の先導端8に向かって円錐形に先細りするように実体化される。そのため、環状リング27は、自由端8に向かう方向において軸方向に正確に配置される。なぜなら、該リングは、ピペット先端部によってやや放射方向に圧迫されるので、円錐形内壁31のため、停止面50の方向に押され、該停止面に対し押しつけられ、配置される。これによって、密封要素21から発し、ピペット側密封部分43を介してアンダーカット47に伝えられる適合力が生じ、該アンダーカットは、力の流れを、環状バネ27を介して停止表面50に導く。このため、ピペット先端部は、接合要素に確実に連結され、方向を決められる。
【実施例3】
【0065】
図3はさらに別の実施例を示す。この実施例では、使用される保持要素は、環状溝に配置される環状バネではなく、第2部分の円周上に均一に分布される剛性カム57である。少なくとも三つのカムが有利である。図3から見て取れるように、カム57は、切痕によって中断される辺縁突起リングとして一体的に形成される。ピペット先端部の接合部分の材料歪に関連して言えば、複数の、別々の剛性カムの方が、連続リングよりも有利である。なぜならば、連続リングは、ピペット先端部の滑走装着の際、接合部分14後端12の、著明な拡大を強制すると考えられるからである。一方、別々の剛性カムは、後端12の、若干の変形を要求するのみで、三つのカムの場合であれば、第2部分42の断面は、カムがピペット先端部側部アンダーカット47と嵌合するまでは、著しく材料を引き伸ばされることもなく、やや三角形状を取るにすぎない。材料の引き伸ばしがないので、断面変形がやり易くなり、そのため、ピペット先端部を滑走装着するのに必要な力の印加において、相当の低下が可能とされる。それとは別に、使用される保持手段は、一体的に成形される円錐形表面、または取り付けノブ、または、一つ以上の取り付けリングであることも可能である。
【0066】
例示の実施例1の場合と同様、カムは、ピペット先端部のアンダーカット47と嵌合する。
【実施例4】
【0067】
図5から7は、さらに別の、例示の実施例を示す。この実施例においても、使用される保持要素は、平行な側壁61,62、およびV−型内壁63を有する環状溝60の中に配置される環状バネ(図示せず)である。この環状溝60は、一方では、環状バネが、軸方向に定められたやり方で登載され、他方では、放射方向において弾性的に変形可能であるという利点を持つ。これによって、ピペット先端部の設置がやり易くなり、環状バネの長い使用寿命が実現される。
【0068】
図6および7は、接合要素の、環状溝60、および第1および第2部分25,26の詳細を示す。これらの図はさらに、他の実施例においても使用が可能な、各ガイド要素を示す。
【0069】
V−型内壁63(図6)は、互いに鈍角で交差する、軸6に対して対称的に配置される、二つの部分表面を含む。第2ガイド要素26は、接合要素側部第2部分22の辺縁領域を超えて突出する。図から見られるように、対称的に実体化される、進入側接帯65,66は、第2ガイド要素26の側方に一体に形成される。
【0070】
第1部分20では(図7)、後部進入側接帯67および、ピペット先端部の中心をあらかじめ決めるための、前部円錐形挿入傾斜帯68も、第1ガイド要素25に対して軸的に実体化される。自由端8へ延びる挿入傾斜帯68は、貫通孔5も終結する、端面69において終結する。
【実施例5】
【0071】
接合要素4の、さらに別の、例示の実施例が図10に示される。この例示の実施例の場合、保持要素27は、辺縁に配置され、例えば、リングの一部となる、別々のカム90によって形成される。カム90は、例えば、一体に形成されたリングにおいて、軸方向に延びる切痕91を形成することによって簡単に形成される。この手順によって、前述の例示実施例と同様、ピペット先端部10のアンダーカット47であって、ピペット先端部14の第2部42に設けられるアンダーカットと嵌合することが可能な、別々の、この場合は、剛性のカム90が生成される。カム90とアンダーカット47の間の相互作用によって、ピペット先端部10の密封部分43は、密封要素21に対して軸方向に押しつけられる。リング、またはカム90は、良好な形状合致を可能とするように、軸方向に、アンダーカット47の輪郭に事実上一致する、面取り輪郭を持つことが可能である。
【0072】
これまで開示した例示実施例とは対照的に、図10に示す接合要素4は、接合要素4の第2部分22の領域に、別の第2ガイド要素を持たない。カム90は、ピペット先端部側部アンダーカット47と相互作用を持つことによってこの機能を実行する。したがって、同様に、第2ピペット側部42の第2ガイド面46も無しで済ますことが可能である。次に、ピペット先端部10は、押し込み方向にそって見た場合、第1部分40の領域に第1ガイド面45、第2部分42への移行部にショルダー43、および、ショルダー43から離れて設けられる保持手段47(この例では、アンダーカット)を有することが可能である。
【0073】
接合要素4の第1部分20の領域では、第1ガイド要素25が、軸方向切痕93を有する、円筒形外部輪郭を持つ辺縁リングによって形成される。この切痕93によって、空間的に隔てられるリングセグメント92、またはカムが生成される。リングの円筒形外部輪郭のために、各カム92は、円筒形外部輪郭の一部を持つことが可能となり、そのため、これらの保持要素側部カム92は、共同して、断続面の形状を持つ、辺縁ガイド要素を形成する。図7と比較すると、図10に示す例示の実施例では、軸方向に延びる切痕93が、第1ガイド要素25の領域の中に形成されることが見て取れよう。カム92は、ピペット先端部14の第1部分40の領域において内部の第1ガイド面45と相互作用を持つことによって、接合要素4に対するピペット先端部14の放射方向または側方の方向決めを行う。
【0074】
これまで述べた接合要素は、手動式のピペット登載部に対してばかりでなく、多数の接合要素を有する、ピペット駆動機に対して配置することも可能である。このタイプのピペット駆動機はさらに別の成分、特に、ピペット先端部を露出するための手段を含む。従来、この手段は、接合要素に対し軸方向に相対的に移動することが可能で、ピペット先端部10の後端12後方に嵌合し、接合要素の滑走装着方向2と逆向きに前記ピペット先端部の上を滑走するストリッパーを含む。
【0075】
図8は、ピペット側部接合部分のある部分(第1部分40および/または第2部分42)の拡大図である。この部分は、円錐形に先細りする内壁(内面)70を有する。円錐角(内壁70と長軸6の間の角度)は、僅かに数度であり、好ましくは0.5°と1°の間である。この僅かに円錐形の実施例は、射出成形部品としての形状を持つピペット先端部の、射出成形金型からの離脱をよりやり易くするために設けられる、金型離脱用面取りとも呼ばれるものである。このため、図から見て取れるように、接合部分の外壁(外面)71も円錐形に延びる。円筒形ガイド面72は、内壁70と一体である、すなわち、ガイド面72は、長軸6に平行な長軸方向に延びる。このため、ガイド面72と内壁の間に、ヒール74が形成され、ヒールの深さは、円錐角と、ガイド面72の長軸延長に依存する。ガイド面が、円錐の拡大末端の方で円錐形内壁70と直接融合すると有利である。
【0076】
ガイド面72が、軸方向において、ピペット先端部の、十分精密な方向決めを可能とするためには、ピペット先端部の壁は、この領域において十分な剛性を持つように実体化されなければならない。前述したように、円錐角は、通常きわめて小さいものであるから、円筒形ガイド面72の形成は、壁厚において無視できるほどの低下をもたらすにすぎず、したがって、ガイド面72の領域においても十分な安定性が確保される。適切であれば、壁は全体として、対応的に厚くなるように実体化されてもよい。通常、円筒形ガイド面は、内壁70においてのみ実体化される。一方、外壁71は、通常、円錐形軌跡を取る。
【0077】
図9は、屈曲性を向上させたピペット側部接合部分14を持つ実施例を示す。図から見て取れるように、接合部分14(または、ピペット先端部の第2部分)は、長軸方向に延びる切痕82であって、軸方向に軟性の成分を形成するように別の物質によって充填される切痕を有する。この軸方向軟性成分82の物質82は、接合部分14の主要部分を構成する物質80よりも高い弾性を持ち、そのため、接合部分の放射方向の屈曲性を増す。図9に示されるように、切痕82は、接合要素側部保持要素を受容するためのアンダーカット34を貫くことが可能である。このタイプの二成分ピペット先端部を製造するためにも、射出成形法を使用することが可能である。さらに、ピペット先端部は、接合部分14に付着し、軸方向に円錐形に先細りし、接合部分14から離れた、その軸端において、分量採取される媒体を吸引するための開口を持つ部分84を有する。
【0078】
一般に、ピペット先端部の総容量は、特に制限されない。例えば、ピペット先端部は、前述のように、受容領域において、すなわち、ピペット先端部の、分量採取される媒体が受容される領域(受容部分)において、受容容量を持つように構成することが可能である。この受容容量は、媒体を投与するための出口部分を含め、5から2,000μl、好ましくは40から1,800μl、より好ましくは50から1,500μlである。
【0079】
ピペット先端部の長さは、受容領域の個別の部分の大きさが定められる場合、所望の容量から通例のやり方で得られる。したがって、ピペット先端部の長さは、一般に、特に限定されない。例えば、ピペット先端部は、50から150mm、好ましくは60から140mm、もっとも好ましくは80から120mmの範囲の長さを持つことが可能である。特に好ましい実施例では、50μlの受容容量を有するピペット先端部は、60mmの長さを持ち、200または1,000μlの受容容量を有するピペット先端部は、それぞれ、80mmの長さを持ち、かつ、1,500μlの受容容量を有するピペット先端部は、120mmの長さを持つ。
【0080】
全ての実施例の場合において、ピペット先端部は、ポリプロピレンから成り、静電容量性レベル測定を可能とするために黒鉛を充填することが可能である。
【0081】
密封要素は、全ての実施例の場合において、フルオロエラストマー、例えば、DuPontから供給されるViton(登録商標)またはKalrez(登録商標)から形成することが可能である。分量採取される媒体に応じて、他の弾性材料も同様に適切である可能性がある。
【0082】
よく「マンドレル」とも呼ばれる、接合要素は、好ましくは耐腐食性金属、例えば、ステンレススチール、または、他の合金、例えば、タンタル、チタン、またはタングステンを含む合金から成る。ではあるが、接合要素を、適切であれば、例えば、電導性プラスチック材料から製造することも可能である。さらに、異なる材料、例えば、プラスチック材料挿入体と組み合わせたステンレススチールから製造される複合体、または、異なる、電導性および非電導性プラスチック材料から成るコンパウンドであることも可能である。
【0083】
これまで述べてきた実施例の共通の特徴は、これらの実施例では、ピペット先端部を、比較的小さい力で、設置し、かつ、露出することが可能であるということである。これは、一方では、接合要素側部の、屈曲性保持要素のためであり、他方では、ピペット先端部の後端12の屈曲性領域のために実現される。さらに、接合要素は全て、磨耗の少ない、または磨耗の全く無いシールを実現する。これは、接合要素が、軸密封性要素として実体化されるからである。ガイド要素は、放射方向または側方(xおよびy方向)の、正確な位置決めを可能とし、ピペット先端部の傾斜を阻止する。それに対し、軸方向(z方向)の位置決めは、一方では、接合要素側部保持要素の、ピペット先端側部保持手段との相互作用、他方では、ショルダー43の、密封要素21に対する圧迫によって定められる。このようにして、シールおよび連結は、空間的にも機能的にも互いに分離されるので、ピペット先端部の、接合要素に対する位置的に確実な連結が可能とされる。ピペット先端部および結合要素を、共に、コスト有効的に、かつ、使用時強靭に製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
2:滑走装着方向
4:接合要素
5:貫通孔
6:長軸
8:接合要素の自由端
10:ピペット先端部
12:ピペット先端部の後端/第1軸端
14:ピペット先端部の接合部分
20:接合要素の第1部分
21,21’:密封要素
22:接合要素の第2部分
23,23’:密封部分
25:第1ガイド要素
26:第2ガイド要素
27:環状バネ/保持要素
28,29:外方辺縁
30:環状溝
31:環状溝の内壁
34:陥凹/アンダーカット
40:ピペット先端部の第1部分
42:ピペット先端部の第2部分
43:密封部分/ショルダー
45:第1ガイド面
46:第2ガイド面
47:アンダーカット
50:停止面
57:カム/保持要素
60:環状溝
61,62:環状溝60の側壁
63:環状溝60の内壁
65,66,67:進入側接帯
68:挿入傾斜帯
69:端面
70:内壁
71:外壁
72:ガイド面
74:ショルダー
80:第1材料
82:第2材料
84:円錐部分
90:カム/保持要素
91:切痕
92:カム/第1ガイド要素
93:切痕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登載部に設置するためのピペット先端部であって:
−長軸(6);および
−前記登載部上を滑走するための、長軸(6)方向に延びる接合部分(14)を有し、前記接合部分(14)が、少なくともいくつかの部分において、滑走装着方向(2)と反対向きに円錐状に先細りし、かつ、長軸(6)に関して円筒形のガイド面(45,46,72)と一体化される、内壁(70)を有する少なくとも一部分(40,42)を有することを特徴とする、ピペット先端部。
【請求項2】
前記内壁(70)が、長軸(6)に対して長軸方向に、0.2°を超える角度、好ましくは0.5°と3°の間の角度を有することを特徴とする、請求項1に記載のピペット先端部。
【請求項3】
前記接合部分(14)が、第1部分(40)、および、押し込み方向(2)において前記第1部分(40)から軸方向に外れて配置される第2部分(42)を有し、かつ、前記第1部分(40)の方が、前記第2部分(42)よりも小さい放射方向延長部を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のピペット先端部。
【請求項4】
前記第1部分(40)が、前記円筒形ガイド面(45)が一体化される、円錐形に延びる内壁(70)を有することを特徴とする、請求項3に記載のピペット先端部。
【請求項5】
前記第1および第2部分(40,42)が、それぞれ、円錐形に延びる内壁を有し、かつ、該内壁のそれぞれに対し、円筒形ガイド面(45,46,72)が一体化されることを特徴とする、請求項3または4に記載のピペット先端部。
【請求項6】
前記ピペット先端部が、第1および第2部分(40,42)の間に密封部分であって、登載部の密封要素と相互作用を持つように、軸にそって押し込み方向(2)に向く密封面(43)を有する密封部分を持つことを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項7】
前記ピペット先端部が、前記登載部の保持要素と相互作用を持つように、前記第2部分(42)の内壁に配置される、少なくとも一つの保持手段(47)を有することを特徴とする、請求項3から6のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項8】
前記保持手段(47)が、アンダーカットであることを特徴とする、請求項7に記載のピペット先端部。
【請求項9】
前記ピペット先端部が、射出成形部分であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項10】
前記接合部分(14)が、末端領域であって、前記接合部分(14)の残余領域に対しより屈曲性に富むように実体化される末端領域を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項11】
前記接合部分(14)が第1材料(80)から成り、かつ、前記長軸方向に延び、前記第1材料よりも弾性の高い第2材料によって充填される切痕(82)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項12】
前記密封部分が、前記第1および第2部分(40,42)の間のショルダーであることを特徴とする、請求項6から10のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項13】
前記密封部分と前記保持手段(47)の間の距離が、前記保持手段(47)の放射方向延長部よりも大きいことを特徴とする、請求項6から12のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項14】
前記第1部分および前記保持手段(47)に配置されるガイド面(45,72)間の距離が、前記保持手段(47)の放射方向延長部よりも大きいことを特徴とする、請求項3から13のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項15】
前記密封部分が、前記円筒形ガイド面(45,72)および保持手段(47)の間に配置されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載のピペット先端部。
【請求項16】
軸方向に延びる長軸(6)、および、自由端(8)であって、それから、ピペット先端部(10)が軸方向に、接合要素(4)の上を滑走することが可能とされる自由端(8)を持つ接合要素(4)を有する、ピペット先端部を登載するためのデバイスにおいて、前記接合要素が:
−弾性材料から製造され、軸および放射方向に延びる密封部分(23,23’)であって、軸方向に、前記接合要素(4)の自由端(8)に向かって暴露され、それに対し前記ピペット先端部(10)の密封部分(43)を、少なくとも部分的に軸方向に押しつけることが可能な密封部分(23,23’)を持つ、密封要素(21,21’)を有することを特徴とする、前記デバイス。
【請求項17】
前記接合要素(4)が、前記ピペット先端部(10)を側方に配向するために、その外側に少なくとも一つの、好ましくは一体部品、または複数部品のガイド要素(25,26)を配置させることを特徴とする、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記接合要素が、前記接合要素の外側に、互いに軸方向に離れて設けられる二つのガイド要素(25,26)を有することを特徴とする、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ガイド要素(25,26)が、それぞれ、放射方向に周回する、指定の、好ましくは一定の、放射方向延長部を有するガイドリングを形成し、前記ガイドリングが、それぞれ、異なる放射方向延長部を有し、かつ、好ましくは互いに独立に、連続的および/または断続的に実体化されることを特徴とする、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記ガイド要素同士(25,26)が、互いに、距離(d)離れ、前記距離(d)が、前記ガイド要素の放射方向延長部(D)、または、前記二つのガイド要素の大きい方の放射方向延長部(D)と少なくとも同じ大きさであることを特徴とする、請求項18または19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記軸方向密封部分(23,23’)に対し前記ピペット先端部(10)の前記密封部分(43)を押しつけるため、および/または、前記ピペット先端部を軸方向に位置決めするため、前記接合要素(4)が、前記ピペット先端部の前記保持手段(47)と相互作用を持つように、少なくとも一つの保持要素(27,57)を、その外側に配置させることを特徴とする、請求項16から20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記接合要素(4)が、前記接合要素の前記自由端(8)近傍に配置される第1部分(20)、および、押し込み方向において前記第1部分(20)に対し軸方向に外れて配置される第2部分(22)を有することを特徴とする、請求項16から21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1部分(20)が、前記第2部分(22)よりも、好ましくは各点においてより小さい放射方向延長部を有することを特徴とする、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
第1および第2部分(20,22)に対し、それぞれのガイド要素(25,26)が配置されることを特徴とする、請求項22または23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記密封要素(21,21’)が、前記第1および第2部分(20,22)の間に配置されることを特徴とする、請求項22から24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記保持要素(27,57)が、前記第2部分(22)の上に配置されることを特徴とする、請求項22から25のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記密封要素(21,21’)が、フルオロエラストマーから成ることを特徴とする、請求項16から26のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記保持要素が、前記接合要素の外側に置かれる辺縁陥凹(30)の中に配置される辺縁バネ要素(27)であることを特徴とする、請求項21から27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記保持要素が、前記接合要素の外側に、部分的または環状周回的に配置され、好ましくは剛性または屈曲性である、一つ以上の放射状突起(57)を有することを特徴とする、請求項21から27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記保持要素が(27,57)、押し込み方向から見ると、全てのガイド要素(25,26)の後ろに配置されることを特徴とする、請求項21から29のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記密封要素(21,21’)が、その材料断面において弾性的に変形可能であることを特徴とする、請求項16から30のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記接合要素(4)が、ピペット先端部をあらかじめ調整するために、前記自由端(8)において挿入傾斜帯(68)を有することを特徴とする、請求項16から31のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項33】
ピペット駆動デバイスであって:
(a)請求項16から32のいずれか1項に記載の接合要素(4);および、
(b)前記接合要素(4)に対し脱離可能に連結することが可能で、かつ、密封部分(43)であって、前記接合要素(4)の前記長軸(6)に対し、前記接合要素(4)の方向を指し示す軸方向面として構成される密封部分(43)を有するピペット先端部(10)を有し、
接合状態において、前記接合要素(4)の前記密封部分(23,23’)の少なくとも一部が、前記ピペット先端部(10)の前記密封部分(43)の少なくとも一部に対して軸方向に押しつけられることを特徴とする、ピペット駆動デバイス。
【請求項34】
接合要素(4)、および、前記接合要素(4)に対し脱離可能に連結することが可能な、請求項1から15のいずれか1項に記載のピペット先端部(10)を有するピペット駆動デバイスであって、
−前記接合要素(4)は、前記ピペット先端部(10)を側方に配向するために、その外側に少なくとも一つのガイド要素(25,26)を配置させ、かつ、前記ピペット先端部(10)の有するガイド面(45,46,72)と、好ましくは同数のガイド面(25,26)を持ち、
−前記一つまたは複数のガイド要素(25,26)は、好ましくは一体部品、または複数部品として、互いに独立に実体化され、かつ、
−各ガイド要素(25,26)は、それぞれ、円筒形ガイド面(45,46,72)に対応し、前記ピペット先端部(10)において部分表面と相互作用を持つ、円筒形側面の少なくとも部分的表面を有する、
ことを特徴とする、ピペット駆動デバイス。
【請求項35】
請求項18から24、26、28から30、または32のいずれか1項に記載の特徴的主要部、および、好ましくは請求項16、25、27、または31のいずれか1項に記載の密封要素をさらに有することを特徴とする、請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記接合要素(4)が、前記ピペット先端部(10)の少なくとも一つの保持手段(47)と相互作用を持つように、その外側に少なくとも一つの保持要素(27,57)を配置させ、前記少なくとも一つの保持要素(27,57)が、前記少なくとも一つの保持手段(47)に対し、好ましくは剛性的に、または、屈曲的に構成されることを特徴とする、請求項34から35のいずれか1項に記載のピペット駆動デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−538725(P2009−538725A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512480(P2009−512480)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004746
【国際公開番号】WO2007/137818
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(599072611)キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (83)
【Fターム(参考)】