説明

ピボットヒンジ、ピボットヒンジの化粧カバーの取付構造

【課題】 固定用ネジを露出させずに化粧カバーを取り付けることができるピボットヒンジを提供する。
【解決手段】 ピボットヒンジ1のヒンジ主体3には、化粧カバー4で被覆される面に取付部材を突設し、化粧カバー4には、カバー天部41の内面に前記ヒンジ主体3の取付部材を挟持する挟持部材43を設ける。化粧カバー4をヒンジ主体3に被せて挟持部材43で取付部材を挟持させることにより、化粧カバー4の外面に固定用ネジを露出させずに化粧カバー4を取り付けることができ、外観体裁が良好となり、扉のデザイン性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピボットヒンジおよびピボットヒンジの化粧カバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ピボットおよび軸受けが開き戸の扉本体の厚み外に位置し、枠体に対して扉本体を開閉自在に取り付けるピボットヒンジは、扉本体または枠体に固定されるヒンジ基部と、前記ヒンジ基部から扉本体の厚み外の位置に延設されてピボットまたは軸受けが設けられるヒンジ主体と、ヒンジ主体を被覆する化粧カバーとを有している。
【0003】
前記化粧カバーは、扉本体または枠体の外部に位置する前記ヒンジ主体を被覆して、ピボットヒンジの外観体裁を向上させる目的で設けられる。化粧カバーは、ヒンジ主体の上面部または下面部を被覆するカバー天部と、ヒンジ主体の側面部を被覆するカバー側部とを有しており、ヒンジ主体に被嵌される。ヒンジ主体の上面部または下面部のいずれを被覆するかは、ヒンジ主体が扉本体または枠体のどの位置に取り付けられるかによって決定される。すなわち、人の目線より高い位置に取り付けられるヒンジ主体には、人の目が届くヒンジ主体の下面部を被覆するように化粧カバーが設けられる。反対に、人の目線より低い位置に取り付けられるヒンジ主体には、人の目が届くヒンジ主体の上面部を被覆するように化粧カバーが設けられる。
【0004】
従来の化粧カバーの取り付けは、ヒンジ主体の上面部または下面部にネジ孔を設け、化粧カバーのカバー天部には前記ネジ孔に対応する位置に透孔が設けられており、固定用ネジを前記ネジ孔に螺合させて化粧カバーをヒンジ主体に取り付けていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、固定用ネジを用いずに化粧カバーをヒンジ主体に取り付けるピボットヒンジとして、ヒンジ主体の側面部に切欠部を設け、化粧カバーのカバー側部に前記切欠部に対応する突起部を設け、ヒンジ主体に化粧カバーを被嵌させるとともに、ヒンジ主体の切欠部に化粧カバーの突起部を嵌合させるピボットヒンジが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−246058号公報、図2
【特許文献2】実公昭38−6281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、扉はデザイン性が重視されており、固定用ネジが露出するとデザイン性を損なうため、固定用ネジは極力目に付かない位置に設ける必要がある。しかし、化粧カバーの固定用ネジがカバー天部に露出している上記従来のピボットヒンジの場合、扉本体の上部に設けられるヒンジ主体では、ヒンジ主体の下面部側に固定用ネジが露出し、扉本体の下部に設けられるヒンジ主体では、ヒンジ主体の上面部側に固定用ネジが露出するため、化粧カバーの固定用ネジが人の目の届く目立つ位置に露出して、せっかくの扉のデザイン性を損なうという問題があった。
【0007】
また、固定用ネジを用いずに化粧カバーを取り付ける上記従来のピボットヒンジでは、ヒンジ主体に予め切欠部を形成しておく必要があるため、化粧カバーを取り付けるためのヒンジ主体の構造が複雑となり、加工にも手数がかかるという問題があった。
【0008】
更に、開き戸に既設されている従来のピボットヒンジについても、ヒンジ主体の形状はそのまま変更せず、部材の追加を行うことによって固定用ネジが露出しないピボットヒンジに改造することが望まれていた。
【0009】
そこで本発明は、固定用ネジを露出させずに化粧カバーを取り付けることができるピボットヒンジの提供を第1の目的とする。
【0010】
また、化粧カバーを取り付けるためのヒンジ主体の構造を簡単とし、加工にも手数がかからないピボットヒンジの提供を第2の目的とする。
【0011】
更に、開き戸に既設されている従来のピボットヒンジであっても、ヒンジ主体の形状はそのまま変更せず、部材の追加を行うことによって固定用ネジが露出しないピボットヒンジに改造することができるピボットヒンジの化粧カバーの取付構造の提供を第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ピボットおよび軸受けが開き戸の扉本体の厚み外に位置し、枠体に対して扉本体を開閉自在に取り付けるピボットヒンジであって、
扉本体または枠体に固定されるヒンジ基部と、
前記ヒンジ基部から扉本体の厚み外の位置に延設されてピボットまたは軸受けが設けられるとともに、上面部または下面部のうち後記化粧カバーで被覆される面に取付部材が突設されるヒンジ主体と、
前記ヒンジ主体の上面部または下面部を被覆するカバー天部、ヒンジ主体の側面部を被覆するカバー側部、および前記カバー天部の内面に形成されて前記ヒンジ主体の取付部材を挟持する挟持部材、を有する化粧カバーと、を備えた。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、取付部材は頭部を有し、ヒンジ主体と前記頭部との間に挟持部材が嵌合される凹部が形成されていることとした。
【0014】
請求項3に記載の発明では、請求項1から2のいずれか1項に記載の発明において、化粧カバーは、内面に挟持部材を支持する支持部材が設けられていることとした。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、ヒンジ主体の上面部または下面部のうち化粧カバーで被覆される面にネジ孔が形成され、取付部材は前記ネジ孔に螺合するネジであることとした。
【0016】
請求項5に記載の発明では、ピボットおよび軸受けが開き戸の扉本体の厚み外に位置し、枠体に対して扉本体を開閉自在に取り付けるピボットヒンジの化粧カバーの取付構造であって、
ピボットヒンジは、
扉本体または枠体に固定されるヒンジ基部と、
前記ヒンジ基部から扉本体の厚み外の位置に延設されてピボットまたは軸受けが設けられるとともに、上面部または下面部のうち化粧カバーで被覆される面にネジ孔が形成され、取付部材を前記ネジ孔に螺合させることにより、化粧カバーで被覆される面に取付部材が突設されたヒンジ主体と、
前記ヒンジ主体の上面部または下面部を被覆するカバー天部、ヒンジ主体の側面部を被覆するカバー側部、および前記カバー天部の内面に形成されて前記ヒンジ主体の取付部材を挟持する挟持部材、を有する化粧カバーと、
を備えており、
化粧カバーをヒンジ主体に被せ、化粧カバーの内面に形成された挟持部材でヒンジ主体の取付部材を挟持させることとした。
【0017】
(作用)
請求項1に記載の発明では、化粧カバーをヒンジ主体に被せ、化粧カバーの内面に形成された挟持部材でヒンジ主体の取付部材を挟持させる。化粧カバーの挟持部材でヒンジ主体の取付部材を挟持させると、化粧カバーはヒンジ主体に取り付けられる。そして、化粧カバーのカバー天部はヒンジ主体の上面部または下面部を被覆し、化粧カバーのカバー側部はヒンジ主体の側面部を被覆する。
【0018】
請求項2に記載の発明では、化粧カバーをヒンジ主体に被せ、化粧カバーの内面に形成された挟持部材をヒンジ主体と頭部との間に形成された凹部に嵌合させる。化粧カバーの挟持部材をヒンジ主体と前記頭部との間の凹部に嵌合させ、挟持部材で取付部材を挟持させると、化粧カバーはヒンジ主体に取り付けられる。そして、化粧カバーのカバー天部はヒンジ主体の上面部または下面部を被覆し、化粧カバーのカバー側部はヒンジ主体の側面部を被覆する。
【0019】
請求項3に記載の発明では、化粧カバーは、内面に支持部材が設けられており、支持部材に挟持部材を支持させて、化粧カバーの内面に挟持部材を取り付ける。
【0020】
請求項4に記載の発明では、ヒンジ主体の上面部または下面部のうち化粧カバーで被覆される面にネジ孔が形成され、取付部材は前記ネジ孔に螺合するネジであり、ネジ孔に取付部材を螺合することにより、ヒンジ主体に取付部材が突設される。
【0021】
請求項5に記載の発明では、扉に既設されているピボットヒンジが、化粧カバーの外面に固定用ネジが露出したピボットヒンジであっても、ヒンジ主体の上面部または下面部のうち化粧カバーで被覆されている面にネジ孔を有していれば、まず、既設の化粧カバーを除去し、次に取付部材を前記ネジ孔に螺合させて取り付けて、ヒンジ主体に取付部材が突設する。そして、カバー天部の内面に挟持部材を形成した新たな化粧カバーをヒンジ主体に被せ、化粧カバーの内面に形成された挟持部材でヒンジ主体の取付部材を挟持させることにより、化粧カバーはヒンジ主体に取り付けられる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1から4に記載の発明によれば、化粧カバーの内面の挟持部材はヒンジ主体の取付部材を挟持するため、化粧カバーはヒンジ主体に取り付けられる。よって、化粧カバーの外面に固定用ネジを露出させずに化粧カバーを取り付けることができ、外観体裁が良好となり、扉のデザイン性を向上させることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、化粧カバーの挟持部材はヒンジ主体と頭部との間の凹部に嵌合し、挟持部材は取付部材を挟持するため、化粧カバーはヒンジ主体に取り付けられるとともに、取付部材の頭部が挟持部材の抜け止めとなる。よって、化粧カバーをヒンジ主体に確実に取り付けることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、化粧カバーは、内面に支持部材が設けられており、支持部材に挟持部材を支持させて、化粧カバーの内面に挟持部材を取り付ける。このため、化粧カバーをヒンジ主体に取り付けると、支持部材がヒンジ主体に当接する。化粧カバーがヒンジ主体に対して挟持部材の部分と支持部材の部分とで当接するため、化粧カバーをヒンジ主体に対して安定して取り付けることができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、ヒンジ主体の上面部または下面部のうち化粧カバーで被覆される面にネジ孔が形成され、取付部材は前記ネジ孔に螺合するネジであるため、ネジ孔に取付部材を螺合することにより、ヒンジ主体に容易に取付部材を突設することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、扉に既設されているピボットヒンジが、化粧カバーの外面に固定用ネジが露出したピボットヒンジであっても、ヒンジ主体の形状はそのまま変更せず、取付部材を取り付け、カバー側部の内面に挟持部材を形成した新たな化粧カバーを取り付けることにより、固定用ネジが露出しないピボットヒンジに改造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を具体化した実施形態について図1から図9に従って説明する。尚、以下の説明において上下方向とは、ピボットヒンジ1を扉に取り付けた状態における上下方向とする。
【実施例1】
【0028】
本発明の実施例1に係るピボットヒンジ1を図1、2に示す。11は扉本体61の上部に設けられる扉側上ヒンジ、12は扉本体61の下部に設けられる扉側下ヒンジ、13は前記扉側上ヒンジ11に対応する位置であって枠体62の上部に設けられる枠側上ヒンジ、14は前記扉側下ヒンジ12に対応する位置であって枠体62の下部に設けられる枠側下ヒンジである。ピボットヒンジ1は前記扉側上ヒンジ11、扉側下ヒンジ12、枠側上ヒンジ13、枠側下ヒンジ14から構成される。ピボットヒンジ1は、図2に示すように、ピボット35が開き戸6の扉本体61の厚み外に位置し、枠体62に対して扉本体61を開閉自在に取り付ける。扉本体61に設けられる前記扉側上ヒンジ11と前記扉側下ヒンジ12は、それぞれ扉本体61に固定されるヒンジ基部2を有し、枠体62に設けられる前記枠側上ヒンジ13と前記枠側下ヒンジ14は、それぞれ枠体62に固定されるヒンジ基部2を有する。また、扉側上ヒンジ11と枠側下ヒンジ14はそれぞれピボット35が設けられるヒンジ主体3を有し、枠側上ヒンジ13と扉側下ヒンジ12はそれぞれ軸受け36が設けられるヒンジ主体3を有する。
【0029】
図1に示すように、実施例1に係るピボットヒンジ1では、前記扉側上ヒンジ11、扉側下ヒンジ12および枠側上ヒンジ13のヒンジ主体3に化粧カバー4が取り付けられる。このうち、扉側上ヒンジ11と扉側下ヒンジ12の化粧カバー4の取り付けについて説明するが、両者には共通する部分があるため、以下、扉側下ヒンジ12について説明すると、扉側下ヒンジ12は、図3に示すように、ヒンジ基部2、ヒンジ主体3、化粧カバー4、および取付部材を有している。
【0030】
図3に示すように、前記ヒンジ基部2は、扉本体61の下部に固定される金属製の厚板の部分である。ヒンジ基部2は扉本体61の内部に収容され、ボルトで固定される(図2参照)。ヒンジ基部2は扉本体61の内部に収容されて固定されるため、外部に露出しない部分である。
【0031】
図3に示すように、前記ヒンジ主体3は、前記ヒンジ基部2から連続して扉本体61の厚み外の位置に延設され、軸受け36が設けられる部分である。ヒンジ主体3は、前記ヒンジ基部2と同様、金属製の厚板からなる。ヒンジ主体3は上面部31、下面部32および側面部33を有する。上面部31と下面部32の先端部は、軸受け36の形状と略同心である半円形である。上面部31には、後記取付部材としての皿ネジ5を取り付けるためのネジ孔34が設けられている。
【0032】
図5に示すように、扉側下ヒンジ12の上面部31には取付部材としての皿ネジ5が設けられる。取付部材は、化粧カバー4の後記挟持部材43に挟持される部材である。取付部材としての皿ネジ5は、一端部に頭部51を有している。取付部材は前記ヒンジ主体3のネジ孔34に螺合させて取り付ける。ネジ孔34の周囲には座ぐりを形成していないため、皿ネジ5をネジ孔34に螺合させた状態では、図7に示すように、ヒンジ主体3の上面部31に頭部51が突設された状態となり、ヒンジ主体3と頭部51との間に凹部52が形成される。凹部52は、化粧カバー4の後記挟持部材43が嵌合される部分である。
【0033】
図6に示すように、化粧カバー4は、前記ヒンジ主体3を被覆する部材である。化粧カバー4は、ステンレスの板材で形成される。図3に示すように、化粧カバー4は、カバー天部41と、カバー側部42とを有している。前記カバー天部41は、ヒンジ主体3の上面部31を被覆する部分であり、前記カバー側部42は、ヒンジ主体3の側面部33を被覆する部分である。図6に示すように、カバー天部41の先端部は、ヒンジ主体3の先端部の形状に対応した半円形状である。また、カバー天部41の半円形状の部分から後端部にかけては、略一定幅である。カバー側部42は、前記カバー天部41の縁部に立設されており、先端部ではカバー天部41に沿った半円形状である。カバー天部41の半円形状の部分から後端部にかけても、カバー天部41に沿った形状であり、略一定幅である。カバー側部42の上下方向の高さは、ヒンジ主体3の側面部33を被覆しうる高さを有している。化粧カバー4の後端部はカバー側部42を形成せず、ヒンジ主体3に被嵌させるための開口部となっている。
【0034】
図4に示すように、前記カバー天部41の内面には、挟持部材43と支持部材46とが設けられる。挟持部材43は前記ヒンジ主体3の上面部31に設けられた取付部材を挟持するための部材である。挟持部材43は金属線材を屈曲させて形成されており、略C字形の挟持部44と、挟持部44に取付部材を案内するための案内部45とが設けられている。挟持部44は前記取付部材としての皿ネジ5の軸径よりやや狭く設定されており、取付部材としての皿ネジ5の軸部を確実に挟持するようにしている。挟持部材43の取り付け位置は、ヒンジ主体3に化粧カバー4を取り付けた状態において、挟持部44がヒンジ主体3の取付部材を挟持する位置とする。
【0035】
前記支持部材46は、挟持部材43を支持して、挟持部材43をカバー天部41の内面に取り付けるための部材である。前記支持部材46は、金属板材を屈曲させて形成されている。前記取付部材を支持するように両側部が屈曲されている。この屈曲した部分も、化粧カバー4をヒンジ主体3に取り付けると、ヒンジ主体3の上面部31に当接する部分となる。支持部材46は、カバー天部41の内面に、スポット溶接手段などの取付手段によって取り付けられる。
【0036】
次に、扉の施工時等において、本実施例に係るピボットヒンジ1のヒンジ主体3に化粧カバー4を取り付ける場合について説明する。まず、図5の状態から、化粧カバー4を後端部からヒンジ主体3に被せていき、図9に示すように、カバー天部41の内面に形成された挟持部材43で、ヒンジ主体3の上面部31に設けた取付部材としての皿ネジ5の軸部を挟持させる。この状態で、挟持部材43は、取付部材の頭部51とヒンジ主体3の上面部31との間に形成された凹部52に嵌合された状態となり、また、支持部材46の両側部はヒンジ主体3の上面部31に当接した状態となり、化粧カバー4はヒンジ主体3に取り付けられる。
【0037】
実施例1によれば、以下の効果を有する。
【0038】
化粧カバー4の内面の挟持部材43はヒンジ主体3の取付部材としての皿ネジ5を挟持するため、化粧カバー4はヒンジ主体3に取り付けられる。よって、化粧カバー4の外面に固定用ネジを露出させずに化粧カバー4を取り付けることができ、外観体裁が良好となり、扉のデザイン性を向上させることができる。
【0039】
化粧カバー4の挟持部材43はヒンジ主体3と皿ネジ5の頭部51との間の凹部52に嵌合し、挟持部材43は皿ネジ5を挟持するため、化粧カバー4はヒンジ主体3に取り付けられるとともに、取付部材の頭部51が挟持部材43の抜け止めとなる。よって、化粧カバー4をヒンジ主体3に確実に取り付けることができる。
【0040】
化粧カバー4は、内面に支持部材46が設けられており、支持部材46に挟持部材43を支持させて、化粧カバー4の内面に挟持部材43を取り付けるため、化粧カバー4をヒンジ主体3に取り付けると、支持部材46がヒンジ主体3に当接する。化粧カバー4がヒンジ主体3に対して挟持部材43の部分と支持部材46の部分とで当接するため、化粧カバー4をヒンジ主体3に対して安定して取り付けることができる。また、カバー天部41は、先端部は前記取付部材の形状に対応した形状であり、カバー側部42は、先端部ではカバー天部41に沿った形状である。ヒンジ主体3に化粧カバー4を被嵌させると、カバー側部42の先端部とヒンジ主体3の先端部が当接するため、ヒンジ主体3に対して化粧カバー4の位置がずれにくくなり、化粧カバー4をヒンジ主体3に確実に取り付けることができる。
【0041】
ヒンジ主体3の上面部31または下面部32のうち化粧カバー4で被覆される面にネジ孔34が形成され、取付部材は前記ネジ孔34に螺合する皿ネジ5であるため、ネジ孔34に皿ネジ5を螺合することにより、ヒンジ主体3に容易に取付部材を突設することができる。
【0042】
ヒンジ主体3に予め切欠部等を形成しておく必要がないため、化粧カバー4を取り付けるためのヒンジ主体3の構造が簡単となり、加工も容易である。
【0043】
ピボットヒンジ1の回転部分に注油する場合など、ヒンジ主体3から化粧カバー4を外す必要がある場合は、化粧カバー4をヒンジ主体3から引き抜くようにして外すことができる。化粧カバー4が固定用ネジで取り付けられている従来のピボットヒンジ1のように、化粧カバー4の着脱の際に固定用ネジを外したり、締めたりする必要がなく、化粧カバー4の着脱を迅速に行うことができる。
【実施例2】
【0044】
次に、扉に既設されているピボットヒンジが、化粧カバー4の外面に固定用ネジが露出したピボットヒンジである場合に、このピボットヒンジを改造して、化粧カバー4の外面に固定用ネジを露出させずに化粧カバー4を取り付けたピボットヒンジ1とする場合について説明する。このような改造を行うためには、ピボットヒンジは、ヒンジ主体3の上面部31または下面部32のうち化粧カバー4で被覆されている面にネジ孔34を有していることが必要である(図3参照)。
【0045】
改造は、まず、既設の化粧カバーを取り付けている固定用ネジを外し、ヒンジ主体3から既設の化粧カバーを除去する。次に取付部材としての皿ネジ5を前記ネジ孔34に螺合して、当該面に取付部材を突設させたヒンジ主体3とする(図3参照)。そして、カバー天部41の内面に挟持部材43を有する新たな化粧カバー4をヒンジ主体3に被せることにより、挟持部材43がヒンジ主体3の取付部材を挟持し、化粧カバー4をヒンジ主体3に取り付ける。
【0046】
実施例2によれば、扉に既設されているピボットヒンジが、化粧カバーの外面に固定用ネジが露出したピボットヒンジであっても、ヒンジ主体3の形状はそのまま変更せずに取付部材を取り付け、カバー天部41の内面に挟持部材43を有する新たな化粧カバー4を取り付けることにより、固定用ネジが露出しないピボットヒンジ1に改造することができる。
【0047】
尚、実施の形態は上記に限定されず、例えば以下のように変更してもよい。取付部材は皿ネジ5に限定されず、ヒンジ主体3に突設され、挟持部材43に挟持されるものであればよい。また、取付部材をヒンジ主体3に突設する場合、螺合によって取り付けるほか、圧入手段等により、取付部材をヒンジ主体3に取り付けてもよい。
【0048】
ヒンジ主体3のネジ孔34に座ぐりが形成されている場合、取付部材に座金を通し、その状態で螺合させることにより、取付部材の頭部51と座金との間に凹部52を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1に係るピボットヒンジ1の斜視図である。11は扉本体61の上部に設けられる扉側上ヒンジ、12は扉本体61の下部に設けられる扉側下ヒンジ、13は前記扉側上ヒンジ11に対応する位置であって枠体62の上部に設けられる枠側上ヒンジ、14は前記扉側下ヒンジ12に対応する位置であって枠体62の下部に設けられる枠側下ヒンジ14である。
【図2】開き戸6の厚み方向の断面簡略図である。
【図3】扉側下ヒンジ12を分解した状態の斜視図である。
【図4】化粧カバー4の内面の平面図である。
【図5】扉側下ヒンジ12の組立て前の状態の平面図である。
【図6】扉側下ヒンジ12の平面図である。
【図7】図5の7−7線における端面図である。
【図8】図5の8−8線における端面図である。
【図9】図6の9−9線における断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ピボットヒンジ
11 扉側上ヒンジ
12 扉側下ヒンジ
13 枠側上ヒンジ
14 枠側下ヒンジ
2 ヒンジ基部
3 ヒンジ主体
31 上面部
32 下面部
33 側面部
34 ネジ孔
35 ピボット
36 軸受け
4 化粧カバー
41 カバー天部
42 カバー側部
43 挟持部材
44 挟持部
45 案内部
46 支持部材
5 取付部材としての皿ネジ
51 頭部
52 凹部
6 開き戸
61 扉本体
62 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピボットおよび軸受けが開き戸の扉本体の厚み外に位置し、枠体に対して扉本体を開閉自在に取り付けるピボットヒンジであって、
扉本体または枠体に固定されるヒンジ基部と、
前記ヒンジ基部から扉本体の厚み外の位置に延設されてピボットまたは軸受けが設けられるとともに、上面部または下面部のうち後記化粧カバーで被覆される面に取付部材が突設されるヒンジ主体と、
前記ヒンジ主体の上面部または下面部を被覆するカバー天部、ヒンジ主体の側面部を被覆するカバー側部、および前記カバー天部の内面に形成されて前記ヒンジ主体の取付部材を挟持する挟持部材、を有する化粧カバーと、
を備えたことを特徴とするピボットヒンジ。
【請求項2】
取付部材は頭部を有し、ヒンジ主体と前記頭部との間に挟持部材が嵌合される凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のピボットヒンジ。
【請求項3】
化粧カバーは、内面に挟持部材を支持する支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載のピボットヒンジ。
【請求項4】
ヒンジ主体の上面部または下面部のうち化粧カバーで被覆される面にネジ孔が形成され、取付部材は前記ネジ孔に螺合するネジであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のピボットヒンジ。
【請求項5】
ピボットおよび軸受けが開き戸の扉本体の厚み外に位置し、枠体に対して扉本体を開閉自在に取り付けるピボットヒンジの化粧カバーの取付構造であって、
ピボットヒンジは、
扉本体または枠体に固定されるヒンジ基部と、
前記ヒンジ基部から扉本体の厚み外の位置に延設されてピボットまたは軸受けが設けられるとともに、上面部または下面部のうち化粧カバーで被覆される面にネジ孔が形成され、取付部材を前記ネジ孔に螺合させることにより、化粧カバーで被覆される面に取付部材が突設されたヒンジ主体と、
前記ヒンジ主体の上面部または下面部を被覆するカバー天部、ヒンジ主体の側面部を被覆するカバー側部、および前記カバー天部の内面に形成されて前記ヒンジ主体の取付部材を挟持する挟持部材、を有する化粧カバーと、
を備えており、
化粧カバーをヒンジ主体に被せ、化粧カバーの内面に形成された挟持部材でヒンジ主体の取付部材を挟持させることを特徴とするピボットヒンジの化粧カバーの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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